説明

顔料調製物

本発明は、1つ又は複数の小板状効果顔料、少なくとも1つの酸化防止剤、及びワックス又はワックス混合物を含む顔料調製物に関し、塗布媒体、特に塗料、被覆材料、粉体塗装材料、ポリマーの着色、及びマスターバッチの製造におけるその使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1種又は複数種の小板(platelet)状効果顔料(effect pigments)を含む顔料調製物(preparations)に関し、塗布媒体(application media)、特に塗料、被覆材料、粉体塗装材料(powder coating materials)、ポリマーの着色、及びマスターバッチ(masterbatches)の製造におけるその使用に関する。
【0002】
小板状基質(substrates)、例えば雲母小板に基づく顔料の流動性は、多くの場合不満足なものである。多数の用途、特に印刷及び塗装の分野において、このことは何ら重大な問題を引き起こさない。しかし、ポリマー中に取り込む場合、これらの顔料の乏しい流動性が問題となることが分かっている。
【0003】
さらに、真珠光沢顔料の加工、例えばマスターバッチの製造は、著しい埃の発生を引き起こし、このことは埃を除去し機器を清浄にするために相当なレベルの装置の複雑性を要求する。
【0004】
例えばポリマー、粉体塗装材料、トナーなどへの顔料の取り込みを容易にするために、顔料を有機成分で被覆できることは、それ自体は公知である。そのような方法は、例えばDE 26 03 211、WO 2005/052076、WO 2005/019327、US 2002/0098495 A1、及びDE 4317019で公知である。
【0005】
例えば、US 6,451,102は、小板状効果顔料の流動性及び特にかさ密度を増加させるために、真珠光沢顔料をワックス中に埋め込む方法を提案している。
【0006】
しかし、効果顔料及び有機ポリマー又はワックスを含む(50%超(>50%))従来技術の顔料調製物は、たとえそのような調製物が高可燃性固体として分類されていないとしても(1992年12月29日付けのEU官報(the Official Journal of the European Union)No. L 383 A/76の試験法A.10.(固体の)可燃性に従う)、多くの場合酸化に対して安定ではなく、危険な自己発熱をする傾向があることが分かっている。
【0007】
したがって本発明の目的は、塗布媒体中に非常に効率的に取り込むことができ、同時に危険な自己発熱をする傾向を示さない、顔料調製物を提供することである。
【0008】
驚くことに、効果顔料及びワックスを含む顔料調製物は、それらに酸化防止剤を添加すると、危険な自己発熱に関して安定であることが今回分かった。
【0009】
本発明は、1種又は複数種の小板状効果顔料、ワックス又はワックス混合物、及び少なくとも1種の酸化防止剤を含む顔料調製物を提供する。効果顔料は、ワックス又はワックス混合物及び少なくとも1種の酸化防止剤が表面に接着結合している(adhesive−bonded)か、又はそれらが表面を部分的若しくは全体に被覆しているのが好ましい。
【0010】
そのような顔料調製物は、著しく低減された自己発火の傾向を示し、それらの良好な流動特性及び高いかさ密度のおかげで、ポリマーの着色及びマスターバッチの製造に特に適している。
【0011】
本発明は、本発明の顔料調製物の製造方法をさらに提供し、この方法において、1種又は複数種の小板状効果顔料及び少なくとも1種の酸化防止剤を、熱の作用下でワックス又はワックス混合物と混合させる。
【0012】
本発明の顔料調製物は、ポリマーへの取り込みにおいて特に有利であることが分かっている。さらに、本発明の顔料調製物は、非発埃性であり非常に良好な自由流動性を有し、このことはこの顔料調製物の加工(processing)における装置の複雑性を低減する。さらに、本発明の顔料調製物を二軸押出機で使用する場合、条件に応じて、処理量を非調製顔料と比較して少なくとも2〜5倍増加させることができる。さらに、本発明の顔料調製物を一軸押出機で使用すると、マスターバッチを基準として50質量%までの効果顔料含有量を有するマスターバッチを製造することが可能である。
【0013】
本発明の顔料調製物の本質的な成分は、酸化防止剤の他には、ワックス又はワックス混合物である。
【0014】
本出願において、ワックスは以下のように特徴づけられる:
20℃にて、混練可能(kneadable)であり、頑丈(solid)から脆性及び硬質、粗い結晶から微結晶、半透明から不透明であるが、ガラス様ではない;40℃を超えると、分解せずに融解し、融点をわずかに超えても比較的低粘性であり糸状でなく(non−stringing)、稠度(consistency)及び溶解性は強く温度に依存し、弱い圧力で磨くことができる。主として、ワックスは一般に50℃と90℃の間で、例外的には200℃までであっても、融解した低粘度状態に転換され、灰を生成する化合物を実質的に含まないという点で、ワックスは類似の合成又は天然の製品(例えば樹脂、プラスチック材料、金属石鹸など)とは異なる。ワックスはペースト又はジェルを形成し、一般にはすすを出す炎を伴って燃える。
【0015】
使用されるワックスは、好ましくは、植物ワックス(例えばカルナバワックス、キャンデリアワックス)及び動物ワックス(例えば蜜ろう)などの天然ワックス、改質(modified)天然ワックス(例えばパラフィンワックス)、マイクロワックス、部分合成ワックス(例えばモンタンエステルワックス)、あるいは、ポリオレフィンワックス(例えばポリエチレン及びポリプロピレンワックス)、ポリエチレングリコールワックス、シクロオレフィンポリマーワックス、アミドワックス(例えばN,N’− ジステアリルエチレンジアミン)、ジルコノセンワックス、及び塩素化若しくはフッ素化ポリオレフィンワックス、又はポリエチレン−ポリテトラフルオロエチレンワックス混合物などの、完全合成ワックスである。
【0016】
特に好ましいのは、ポリオレフィンワックス、及び、極性基を含有し、その後のポリオレフィンワックスの酸化によって生成されるか、カルボン酸、カルボン酸エステル、カルボン酸無水物、若しくはヒドロキシル基を含有するモノマーとのグラフト反応によって生成されるか、又はオレフィンとカルボン酸、カルボン酸エステル、カルボン酸無水物、若しくはヒドロキシル基を含有するモノマーとの共重合によって生成されるポリオレフィンワックスである。
【0017】
本発明の文脈におけるワックスはまた、ワックス様の特性を有し、好ましくは重縮合、重付加、又は重合プロセスによって調製されたより高分子量の化合物、例えば熱可塑性ポリエステル−、エポキシド−、スチレン−アクリラートコポリマー、スチレン−ブタジエンコポリマー、シクロオレフィンコポリマー樹脂であってもよい。高温で有機溶媒中への十分な溶解性を持つためには、好ましくはワックスの分子量は500〜20000、特に1000〜15000、最も好ましくは2000〜10000である。
【0018】
ワックスの融解範囲(DIN51007に規定される)は、好ましくは70〜200℃、特に80〜150℃、最も好ましくは90〜130℃の範囲内である。
【0019】
非常にとりわけて好ましいワックスは、顔料が導入されるマスターバッチとの良好な相溶性(compatibility)を有するものである。ポリオレフィンのマスターバッチへの導入において、ポリオレフィンワックス、例えばポリエチレン又はポリプロピレンワックスが好ましい。
【0020】
好ましいワックス又はワックス混合物の融解範囲は70〜200℃、特に90〜130℃である。
【0021】
特に好ましいワックスは、ポリオレフィンワックス、特にポリエチレンワックスである。さらに好ましいのはモンタンエステルワックス及びその誘導体、及びアミドワックスである。
【0022】
本発明の顔料調製物におけるワックス又はワックス混合物の比率は、調製物の全質量を基準として、好ましくは5〜50質量%、特に20〜40質量%、最も好ましくは25〜35質量%である。
【0023】
本発明の顔料調製物を使用する分野に応じて、特に塗布媒体との相溶性を確実にするために、ワックスの量及び種類は変わってもよい。当然、本発明の顔料調製物は、特定の特性のプロファイルを満たすために、1種、2種、3種、又はそれを超える異なるワックスの混合物もまた含有してもよい。しかし、本発明の顔料調製物は、好ましくは1種のみのワックス、特にポリオレフィンワックス、最も好ましくはポリエチレンワックスを含有する。
【0024】
本発明の顔料調製物において、効果顔料、酸化防止剤、及びワックスは、好ましくは互いに混合されて存在する。効果顔料は好ましくは、ワックスによって少なくとも部分的に又は完全に被覆されている、すなわち完全に包まれている。小板状効果顔料が酸化防止剤を含むワックスに完全に包まれる、及び「接着結合」しているのが非常にとりわけて好ましい。
【0025】
小板状効果顔料は、好ましくは真珠光沢顔料、干渉顔料、金属効果顔料、透明、半透明及び/若しくは不透明な層を有する多層顔料、ホログラム顔料、BiOCl顔料、ならびに/又はLCP顔料である。
【0026】
本発明に従って使用できる真珠光沢顔料、干渉顔料、金属効果顔料、又は透明、半透明、及び/若しくは不透明な層を有する多層顔料は特に、好ましくは小板状である担体(carriers)をベースとする。好適な例は、TiO2小板、合成雲母(例えばフルオロフロゴパイト(fluorophlogopite))又は天然雲母、ドープ又は非ドープのガラス小板、金属小板、SiO2小板、Al23又は酸化鉄小板である。金属小板は、数ある物質の中でもとりわけ、アルミニウム、チタン、青銅、鋼鉄、又は銀、好ましくはアルミニウム及び/又はチタンからなっていてもよい。金属小板は、適切な処理によって不動態化してもよい。ガラス小板は、当業者に公知のあらゆるガラスの種類、例えばAガラス、Eガラス、Cガラス、ECRガラス、使用済みガラス、窓ガラス、ホウケイ酸ガラス、Duran(登録商標)ガラス、実験用ガラス、又は光学ガラスからなっていてもよい。ガラス小板の屈折率は、好ましくは1.45〜1.80、特に1.50〜1.70である。ガラス基質は、好ましくはCガラス、ECRガラス、又はホウケイ酸ガラスからなる。
【0027】
好ましい実施形態において、担体は、金属酸化物、水和金属酸化物、金属亜酸化物、金属、金属フッ化物、金属窒化物、金属酸窒化物、又はこれらの物質の混合物を含む、1つ又は複数の透明、半透明、及び/又は不透明な層で被覆されてもよい。金属酸化物、水和金属酸化物、金属亜酸化物、金属、金属フッ化物、金属窒化物、金属酸窒化物の層又はそれらの混合物は、低屈折率(屈折率<1.8)又は高屈折率(屈折率≧1.8)であってもよい。好適な金属酸化物及び水和金属酸化物は、当業者に公知のあらゆる金属酸化物及び水和金属酸化物、例えば酸化アルミニウム、酸化アルミニウム水和物、酸化ケイ素、酸化ケイ素水和物、酸化鉄、酸化スズ、酸化セリウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化クロム、酸化チタン、特に二酸化チタン、酸化チタン水和物、及びそれらの混合物、例えばイルメナイト又は擬板チタン石(pseudobrookite)である。使用される金属亜酸化物は、例えば亜酸化チタンであってもよい。好適な金属は、例えばクロム、アルミニウム、ニッケル、銀、金、チタン、銅、又は合金であり;金属フッ化物の好適な例は、フッ化マグネシウムである。使用される金属窒化物又は金属酸窒化物は、例えば金属チタン、ジルコニウム、及び/又はタンタルの窒化物又は酸窒化物であってもよい。好ましくは、金属酸化物、金属、金属フッ化物、及び/又は水和金属酸化物の層、最も好ましくは金属酸化物及び/又は水和金属酸化物の層を担体に付ける。さらに、高屈折率及び低屈折率の金属酸化物、水和金属酸化物、金属、又は金属フッ化物の層から構成される多層構造が存在することもまた可能であり、この場合、高屈折率層及び低屈折率層は好ましくは交互である。特に好ましいのは、高屈折率層及び低屈折率層の層集合体であり、この場合、1つ又は複数のその層集合体を担体に付けてもよい。担体を多層構造に含めるために、一連の高屈折率層及び低屈折率層を担体に適合させてもよい。さらなる実施形態において、金属酸化物、水和金属酸化物、金属亜酸化物、金属、金属フッ化物、金属窒化物、金属酸窒化物の層に、着色剤又は他の元素を混合又はドープしてもよい。好適な着色剤又は他の元素は、例えば、着色金属酸化物(例えば磁鉄鉱、酸化クロム)、又は着色顔料(例えばプルシアンブルー、ウルトラマリン、バナジウム酸ビスマス、テナール青)、あるいは有機着色顔料(例えばインディゴ、アゾ顔料、フタロシアニン)、あるいはカルミンレッドなどの、有機又は無機の着色顔料、あるいは例えばイットリウム又はアンチモンといった元素である。これらの層を含有する効果顔料は、それらのマストーン(mass tone)に関して高い色調の多様性を示し、多くの場合、干渉の結果として角度依存性の色変化(カラーフロップ)を示し得る。
【0028】
好ましい実施形態において、担体の外層は高屈折率の金属酸化物である。この外層は、上記の層集合体の頂部に付加されているか、又は高屈折率の担体の場合は層集合体の一部であってもよく、例えばTiO2、亜酸化チタン、Fe23、SnO2、ZnO、ZrO2、Ce23、CoO、Co34、V25、Cr23、及び/又はそれらの混合物(例えばイルメナイト又は擬板チタン石)からなっていてもよい。TiO2が特に好ましく、Fe23も同様である。担体小板がTiO2で被覆されている場合、TiO2は好ましくはルチル型多形体で、あるいはアナターゼ型多形体で存在する。特に好ましい効果顔料は、以下の構造を有する:
基質小板+TiO2(ルチル)
基質小板+TiO2(ルチル)+Fe23
基質小板+Fe23
基質小板+Fe34
基質小板+SiO2+TiO2(ルチル)
基質小板+TiO2(ルチル)+SiO2+TiO2(ルチル)
基質小板+TiO2(アナターゼ)+SiO2+TiO2(アナターゼ)。
【0029】
本特許出願において、「高屈折率」とは1.8以上(≧1.8)の屈折率を意味し、一方「低屈折率」とは1.8未満(<1.8)の屈折率を意味する。
【0030】
金属酸化物、水和金属酸化物、金属亜酸化物、金属、金属フッ化物、金属窒化物、金属酸窒化物の層、又はそれらの混合物の厚さは、典型的には3〜300nmであり、金属酸化物、水和金属酸化物、金属亜酸化物、金属フッ化物、金属窒化物、金属酸窒化物の層、又はそれらの混合物の場合は、好ましくは20〜200nmである。金属層の厚さは好ましくは4〜50nmである。
【0031】
担体のサイズ、従って効果顔料のサイズは、それ自体は決定的なものではない。担体小板、及び/又は、1つ又は複数の透明もしくは半透明の金属酸化物、金属、又は金属フッ化物の層で被覆された担体小板は、一般に厚さが0.05μmと5μmの間、特に0.1μmと4.5μmの間である。長さ又は幅は典型的には1μmと250μmの間、好ましくは2μmと200μmの間、特に2μmと100μmの間である。
【0032】
特に好ましい効果顔料は、以下の構造を有する:
雲母小板+TiO2
雲母小板+TiO2+Fe23
雲母小板+TiO2/Fe23
雲母小板+Fe23
雲母小板+Fe34
雲母小板+酸窒化チタン
雲母小板+TiO2+SiO2+TiO2
雲母小板+TiO2/Fe23
雲母小板+TiO2/Fe23+SiO2+TiO2
雲母小板+TiO2/Fe23+SiO2+TiO2/Fe23
雲母小板+TiO2+SiO2+TiO2/Fe23
Al23小板+TiO2
Al23小板+Fe23
Al23小板+酸窒化チタン
SiO2小板+TiO2
SiO2小板+Fe23
SiO2小板+酸窒化チタン
ガラス小板+TiO2
ガラス小板+Fe23
ガラス小板+TiO2+Fe23
ガラス小板+SiO2+TiO2
ガラス小板+SiO2+Fe23
ガラス小板+SiO2+TiO2+Fe23
ガラス小板+SiO2+TiO2+SiO2
ガラス小板+TiO2+SiO2+TiO2
ガラス小板+SiO2+TiO2+SiO2+TiO2
ガラス小板+酸窒化チタン
Fe23小板+TiO2
Fe23小板+Fe23
Fe23小板+酸窒化チタン
金属小板(場合により不動態化されている)+TiO2
金属小板(場合により不動態化されている)+Fe23
【0033】
TiO2/Fe23は、TiO2及びFe23が混合物として、及び/又は擬板チタン石(TiFe25)の形態の混合酸化物として層中に存在することを意味する。
【0034】
好適な効果顔料は、例えばBASF Catalysts(旧Engelhard Corporation)より、例えばFiremist(登録商標)、Rightfit(商標)、Magnapearl(登録商標)の商標名で、Merck KGaAより、Iriodin(登録商標)、Miraval(登録商標)、Xirallic(登録商標)、Pyrisma(登録商標)、及びColorstream(登録商標)の商標名で市販されている。
【0035】
加えて顔料の光安定性、水安定性、及び耐候性を高めるために、多くの場合、使用の分野に応じて、効果顔料を後コーティング又は後処理に供することが望ましい。有用な後コーティング又は後処理としては、例えばDE-C 22 15 191、DE-A 31 51 354、DE-A 32 35 017、又はDE-A 33 34 598に記載の方法が挙げられる。この後コーティングはさらに、顔料の化学安定性を高めるか、又は顔料の取り扱い(特に異なる媒体中への加工)を容易にする。塗布媒体に対するぬれ性、分散性、及び/又は相溶性を改善するために、Al23又はZrO2又はそれらの混合物若しくは混合相の機能性コーティングを、顔料表面に施用することが可能である。加えて、例えばEP 0090259、EP 0 634 459、WO 99/57204、WO 96/32446、WO 99/57204、US 5,759,255、US 5,571,851、WO 01/92425、又はJ.J.Ponjee、Philips Technical Review、Vol.44、No.3、81ページ以下、及びP.H.Harding J.C.Berg、J.Adhesion Sci.Technol.Vol.11 No.4、471〜493ページに記載のような、有機又は有機/無機の、例えばシランとの、組合せの後コーティングが可能である。
【0036】
本発明の顔料調製物における小板状効果顔料の比率は、顔料調製物を基準として一般に55質量%と80質量%の間、好ましくは65質量%と75質量%の間である。最適な比率は当業者によって容易に決定でき、本質的には使用される効果顔料の粒径、効果顔料の形状因子、及び顔料構造の種類に依存する。
【0037】
特に好ましい本発明の顔料調製物は、調製物全体を基準として、
55〜80質量%、好ましくは65〜75質量%の効果顔料と、
20〜45質量%、好ましくは25〜35質量%のワックス又はワックス混合物と、
0.03〜1.5質量%、好ましくは0.03〜0.8質量%の酸化防止剤と、
場合により
10質量%までの従来のポリマー、及び/又は被覆材料分野の添加剤、補助剤、フィラー、染料(dyes)、及び/又は着色顔料と
を含み、ここですべての成分の総含量は≦100質量%である。
【0038】
着色される塗布媒体(例えばポリマー)中に最小量の外部(extraneous)材料を導入するために、最大限の比率の効果顔料、又は最小限の比率のキャリア材料(carrier material)が望ましい。しかし、本発明の顔料調製物の所望の特性、例えば非発埃性、改善された自由流動性、又はマスターバッチ製造におけるより高い処理量を確保するために、十分なキャリア材料が使用されなければならない。そのためには、粒子がキャリア材料によって包まれなければならないだけでなく、互いに接着結合して、良好な自由流動性を有する粗い「粉末」を生じなければならない。
【0039】
ワックス及び効果顔料を含む顔料調製物の危険な自己発熱は、酸化防止剤の添加によって低減されるので、the Recommendations on the Transport of Dangerous Goods, Manual of Tests and Criteriaの33.3.1.6章に記載の試験法N.4に従った危険物質としての分類はもはや必要ではない。
【0040】
当業者に公知のあらゆる酸化防止剤は、それらがワックスと相溶性であるならば、本発明に適している。酸化防止剤は、塗布媒体中(例えば被覆材料及びポリマー中)でワックスが熱誘引的に酸化されるのを妨げる又は防ぐ。それらは、酸素の存在下で加熱されると生成することになるフリーラジカルの生成を防ぎ、同時に塗布媒体(例えばポリマー、被覆材料)の変色、及び/又はその機械的特性の変化を防ぐ。
【0041】
好ましい酸化防止剤は、
− ラクトン/ホスフィット混合物類(lactone/phosphite mixtures)
− ラクトン/ホスフィット/フェノール混合物類(lactone/phosphite/phenol mixtures)
− フェノール/ホスフィット混合物類(phenol/phosphite mixtures)
− ホスフィット類(phosphites)
− フェノール類(phenols)
の群から選択される。
【0042】
特に好ましい酸化防止剤は、
− テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオナート)]メタン
− n−オクタデシルβ−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)−プロピオナート
− N,N’−ビス(3,5−ジブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)−ヒドラジン
− N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオンアミド]
− トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌラート
− トリ(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスフィット
− ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリトリトールジホスフィット
− トリフェニルホスフィット
− トリスノニルフェニルホスフィット
− ジフェニルイソデシルホスフィット
− ジイソデシルフェニルホスファート
− ジイソオクチルフェニルホスフィット
− ジフェニルイソオクチルホスファート
− リン酸アルキル/アリールエステル
− ビスフェノールAホスフィット
− ジラウリルチオジプロピオナート
− ジステアリルチオジプロピオナート
− ブチル−及びオクチルジフェニルアミン
− ジノニルジフェニルアミン
− 4,4’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン
− 4,4’−ジオクチルジフェニルアミン
− テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオナート)]メタン及びトリ(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスフィットの混合物(質量比1:1)
− テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオナート)]メタン及びトリ(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスフィットの混合物(質量比1:2)
− テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオナート)]メタン及びトリ(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスフィットの混合物(質量比1:3)
− テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオナート)]メタン及びトリ(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスフィットの混合物(質量比1:4)
− n−オクタデシルβ−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)プロピオナート及びトリ(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスフィットの混合物(質量比1:1)
の群から選択される。
【0043】
この化学組成を有する酸化防止剤は、例えばCiba Specialty Chemicals製の
IRGANOX(登録商標)1010、IRGANOX(登録商標)1076、IRGANOX(登録商標)245:フェノール類
IRGANOX(登録商標)B225:フェノール/ホスフィット混合物
IRGANOX(登録商標)XP620:フェノール/ホスフィット/フェノール混合物
IRGAFOS(登録商標)168、IRGAFOS(登録商標)126:ホスフィット類
IRGAFOS(登録商標)XP60:ラクトン/ホスフィット混合物、
又は例えばClariant製の
Hostanox010(フェノール系酸化防止剤:テトラキスメチレン−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル/ヒドロシンナマート)
が市販されている。
【0044】
本発明の顔料調製物は、使用されるワックスを基準として、好ましくは0.01〜5質量%、特に0.1〜2質量%、最も好ましくは0.1〜1.0質量%の酸化防止剤を含有する。
【0045】
さらなる実施形態において、本発明の顔料調製物は、塗料、被覆材料、粉体塗装材料、ポリマーの分野からの塗布媒体において使用するのが慣例的であるような、さらなる添加剤及び/又は補助剤を含んでいてもよい。そのような添加剤及び/又は補助剤は、潤滑剤、離型剤、安定剤、静電防止剤、難燃剤、染料、軟化剤、及び可塑剤、接着促進剤、発泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、無機フィラー、有機ポリマー相溶性溶媒、及び/又は界面活性剤、例えばジイソオクチルフタラート、フェノール誘導体、鉱油であってもよい。使用可能な添加剤及び補助剤の概要は、Saechtling, Kunststoff Taschenbuch [Plastics Handbook]、第27版、Carl Hanser Verlagにおいて見いだすことができ、又は、Ullmann's, Encyclopedia of Industrial Chemistry、インターネット版、第7版、2003年のR.Wolf著「Plastics, Additives」に示される。
【0046】
本発明の顔料調製物は比較的製造が容易である。したがって本発明は、本発明の顔料調製物の製造方法も提供し、この方法において、1種又は複数種の小板状効果顔料を、熱の作用下でワックス又はワックス混合物及び酸化防止剤と混合する。
【0047】
例えば、本発明による方法において、最初に効果顔料を投入し、それをワックス又はワックスの溶液(又は水性のエマルション又は分散液)及び酸化防止剤と混合することが可能である。ワックス又はワックス混合物を溶液の形態で加える場合、効果顔料及び酸化防止剤をこの溶液中に分散させ、溶媒を蒸発させる(evaporate off)こともまた可能である。溶媒は、使用される顔料及び特に使用されるワックスの溶解性を考慮しながら、当業者にとって自明な方法で選択される。pHを変化させることによって水性のエマルション又は分散液からキャリア材料を沈殿させることも同様に可能である。さらに、顔料調製物はワックスを融解させることによって製造できる。これによって溶媒の使用を避けることが可能になるため、ワックスの融解は本発明において特に好ましい。
【0048】
融解による本発明の顔料調製物の製造は、好ましくは70〜250℃の温度で行われる。ワックスの融解範囲を超える温度でこの方法を実施するのが好ましい。このようにして、顔料、酸化防止剤、及びワックスの特に良好な混合が実現される。
【0049】
本発明による方法のさらなる実施形態において、被覆材料及びポリマーの加工において慣例的なさらなる添加剤及び/又は補助剤を、小板状効果顔料、酸化防止剤、及びキャリア材料の混合物に加えることができる。そのような添加剤及び/又は補助剤の例は、顔料調製物の説明において既に述べている。
【0050】
溶媒を除去した後、又は融解の過程で施用したワックスを冷却させた後、顔料調製物は、さらに効率的に加工できる自由流動性の粗い粉末として存在する。
【0051】
このようにして処理された効果顔料は、その光沢の点において純粋な未処理の効果顔料に決して劣らない。このことは、顔料を比較的多量にワックス中に入れ込むことできるという点で、いっそう驚くべきことである。例えば、加工後に光沢が損なわれていると気づくこと無しに、顔料調製物中のワックスの比率を50質量%未満(<50質量%)、好ましくは25〜35質量%とすることができる。
【0052】
本発明の顔料調製物のかさ密度は、純粋な(未処理の)効果顔料のかさ密度よりも少なくとも50%高い。
【0053】
本出願において、かさ密度はゆるい床(loose bed)の質量/体積の比を意味すると理解される。
【0054】
ポリマー及び被覆材料を直接着色するため、及びマスターバッチを製造するための、本発明の顔料調製物の使用は、同様に本発明の主題の一部を構成する。
【0055】
本発明の顔料調製物をポリマー中へ直接取り込むことは、ポリマー顆粒及び/又は粉末を顔料調製物と混合することによって行われる。続いて、本発明の顔料調製物で着色されたポリマーは、熱の作用下で成形される。加えて、さらなる添加剤及び顔料を、顔料調製物の取り込みの過程で、任意選択によりポリマー顆粒及び/又は粉末へ加えることができる。そのような添加剤の例は、顔料調製物の説明において上記に述べている。好適な顔料は、当業者に公知のあらゆる無機又は有機顔料である。
【0056】
ポリマー顆粒及び/又は粉末/顔料混合物は一般に、最初にポリマー顆粒及び/又は粉末を適切なミキサー(例えば回転ミキサー又は高速ミキサー)へ投入し、これを任意の添加剤で濡らし、次いで顔料調製物を加え、十分に混合することによって製造される。
【0057】
一連の非常に多くのポリマー、特に熱可塑性ポリマーが、本発明の顔料調製物の使用において適している。ポリマーは好ましくは極性ポリマーであるが、適切に選択されたキャリア材料の場合、非極性(オレフィン系)ポリマーを使用することも可能である。好適なポリマーの例は、例えばSaechtling, Kunststoff Taschenbuch、第27版、Carl Hanser Verlagにおいて見いだすことができる。
【0058】
加えて、本発明の顔料調製物は、塗料、被覆材料(自動車及び工業用被覆材料)、粉体塗装材料、印刷用インク及びトナーにおける利用も見いだすことができる。
【0059】
本発明の顔料調製物をマスターバッチの製造において有利に使用することも可能である。このようにして、顔料の分散に対する最も高い要求であっても満たすことができる。マスターバッチは連続的に又はバッチ式のいずれでも、好ましくは連続的に、例えば一軸又は二軸押出機を用いることによって製造できる。マスターバッチの製造において、特定のポリマーの粉末又はチップを使用するのが好都合である。本発明の顔料調製物を二軸押出機で使用する場合、処理量は条件に応じて、未処理の顔料と比較して少なくとも2〜5倍高めることができる。加えて、本発明の顔料調製物を一軸押出機で使用して、顔料含有量がマスターバッチを基準として50質量%までであるマスターバッチを製造することが可能である。
【0060】
マスターバッチを製造するのに本発明の顔料調製物を使用するのが好ましい。キャリア材料を適切に選択する場合、極性及び非極性ポリマーの両方がマスターバッチのベースとして適切である。例えば、本発明の効果顔料調製物におけるキャリア材料として、極性又は非極性(オレフィン系)ポリマー中で使用できるグラフトコポリマーがある。例えば、エチレン−アクリル酸コポリマーは、極性ポリマー中での使用及び非極性ポリマー中での使用の両方に適している。
【0061】
以下の例は本発明を説明することを意図しているが、本発明を制限するものではない。
【0062】

例1:
297gのLicowax PE520(Clariant製のPEワックス粉末)及び3gのIRGANOX(登録商標)1010(Ciba Specialty Chemicals製の酸化防止剤)を、回転ミキサー中で0.5時間、均一に混合する。続いて、700gのIriodin(登録商標)100(Merck KGaA製の真珠光沢顔料(TiO2で被覆した雲母小板)を加え、この混合物を、均一な予備混合物が得られるまでさらに0.5時間混合する。
【0063】
混合物のかさ密度は、周囲圧力下で混合物を250mlのメスシリンダーに満たし入れ、床の質量を測定することにより決定される。かさ密度は質量/体積の比であり、この混合物については290g/lである。
【0064】
鋳鉄パン(pan)を表面温度が220℃になるまで加熱する。全混合物を、絶えず撹拌しながらパンへゆっくりと導入し、ワックスが真珠光沢顔料上に均一に広がるようになるまで、絶えず撹拌しながら加熱する。続いて均一な混合物をスチールたらい(steel bath)中に導入し、さらに撹拌しながら冷却する。
【0065】
得られる顔料調製物は埃を発生せず、自由に流動し、一軸押出機で加工して総量を基準としておよそ50質量%までの顔料を有するマスターバッチとすることができる。二軸押出機では、同じ顔料含有量で、この調製物についての処理量を(未処理の顔料と比較して)少なくとも2〜5倍高めることが可能である。本発明の顔料調製物は、当業者に公知のあらゆる非極性(オレフィン系)ポリマー中に問題なく取り込むことができる。
【0066】
得られる顔料調製物のかさ密度は、同様に上記の方法により測定され、470g/lである。
【0067】
例2:
IRGANOX(登録商標)1010酸化防止剤を加えないことを除いて、例1と同様に顔料調製物を製造する。
【0068】
ここで、早くも冷却操作の過程でくすぶり床(smouldering nest)が生成し、これはドライアイスを加えることによってのみ防ぐことができる。
【0069】
得られる顔料調製物の、例1に記載の方法によるかさ密度は480g/lであり、使用される混合物のかさ密度は285g/lである。
【0070】
自己発熱挙動の試験
例1及び2による調製物の自己発熱挙動を試験するために、the Recommendations on the Transport of Dangerous Goods, Manual of Tests and Criteriaの33.3.1.6章に記載の試験法N.4を用いる。自然発生的な自己発火又は危険な自己発熱が起こるかどうかを試験するために、縁の長さが25mm及び100mmであるワイヤーバスケット中で140℃の温度にて試験を行う。限界の判断基準は、24時間以内にオーブン温度を超えて少なくとも60K温度が上昇することである。
【0071】
試験1:
例1による調製物の試験、140℃、100mmワイヤーバスケット中:発熱なし
試験2:
例1による調製物の試験、140℃、25mmワイヤーバスケット中:発熱なし
試験3:
例2による調製物の試験、140℃、100mmワイヤーバスケット中:発熱あり
試験4:
例2による調製物の試験、140℃、25mmワイヤーバスケット中:発熱あり
結果:
例2による顔料調製物はクラス4.2の危険物質として分類されるが、調製物1はクラス4.2に基づく危険物質として分類されない。
【0072】
例3:
295.5gのLuwax(登録商標)AH3粉末(BASF製の低分子量PEワックス)及び4.5gのHostanox 010(Clariant製のフェノール系酸化防止剤)を、回転ミキサー中で0.5時間、均一に混合する。続いて、700gのIriodin(登録商標)7205(Merck KGaA製の干渉顔料:TiO2/SiO2/TiO2で被覆した雲母小板)を加え、この混合物を、均一な予備混合物が得られるまでさらに0.5時間混合する。
【0073】
鋳鉄パンを表面温度が220℃になるまで加熱する。全混合物を、絶えず撹拌しながらパンへゆっくりと導入し、ワックスが干渉顔料上に均一に広がるようになるまで、絶えず撹拌しながら加熱する。続いて均一な混合物をスチールたらい中に導入し、さらに撹拌しながら冷却する。
【0074】
得られる顔料調製物は埃を発生せず、自由に流動し、一軸押出機で加工して総量を基準としておよそ50質量%までの顔料を有するマスターバッチとすることができる。二軸押出機では、同じ顔料含有量で、この調製物についての処理量を(未処理の顔料と比較して)少なくとも2〜5倍高めることが可能である。本発明の顔料調製物は、当業者に公知のあらゆる非極性(オレフィン系)ポリマー中に問題なく取り込むことができる。
【0075】
例4:
295.5gのLuwax(登録商標)AH3粉末(BASF製の低分子量PEワックス)及び4.5gのHostanox 010(Clariant製のフェノール系酸化防止剤)を、回転ミキサー中で0.5時間、均一に混合する。続いて、700gのIriodin(登録商標)305 Solar Gold(Merck KGaA製の金色顔料:Fe23及びTiO2及びSiO2を雲母上に被覆した多層顔料)を加え、この混合物を、均一な予備混合物が得られるまでさらに0.5時間混合する。
【0076】
鋳鉄パンを表面温度が220℃になるまで加熱する。全混合物を、絶えず撹拌しながらパンへゆっくりと導入し、ワックスが干渉顔料上に均一に広がるようになるまで、絶えず撹拌しながら加熱する。続いて均一な混合物をスチールたらい中に導入し、さらに撹拌しながら冷却する。
【0077】
得られる顔料調製物は埃を発生せず、自由に流動し、一軸押出機で加工して総量を基準としておよそ50質量%までの顔料を有するマスターバッチとすることができる。二軸押出機では、同じ顔料含有量で、この調製物についての処理量を(未処理の顔料と比較して)少なくとも2〜5倍高めることが可能である。本発明の顔料調製物は、当業者に公知のあらゆる非極性(オレフィン系)ポリマー中に問題なく取り込むことができる。
【0078】
例5:
295.5gのLuwax(登録商標)AH3粉末(BASF製の低分子量PEワックス)及び4.5gのHostanox 010(Clariant製のフェノール系酸化防止剤)を、回転ミキサー中で0.5時間、均一に混合する。続いて、700gのMerck KGaA製Miraval 5311 Scenic White(SiO2及びTiO2で被覆したガラス小板)を加え、この混合物を、均一な予備混合物が得られるまでさらに0.5時間混合する。
【0079】
鋳鉄パンを表面温度が220℃になるまで加熱する。全混合物を、絶えず撹拌しながらパンへゆっくりと導入し、ワックスが干渉顔料上に均一に広がるようになるまで、絶えず撹拌しながら加熱する。続いて均一な混合物をスチールたらい中に導入し、さらに撹拌しながら冷却する。
【0080】
得られる顔料調製物は埃を発生せず、自由に流動し、一軸押出機で加工して総量を基準としておよそ50質量%までの顔料を有するマスターバッチとすることができる。二軸押出機では、同じ顔料含有量で、この調製物についての処理量を(未処理の顔料と比較して)少なくとも2〜5倍高めることが可能である。本発明の顔料調製物は、当業者に公知のあらゆる非極性(オレフィン系)ポリマー中に問題なく取り込むことができる。
【0081】
例6:
295.5gのLuwax(登録商標)AH3粉末(BASF製の低分子量PEワックス)及び4.5gのHostanox 010(Clariant製のフェノール系酸化防止剤)を、回転ミキサー中で0.5時間、均一に混合する。続いて、700gのColorstream Autumn Mystery(Merck KGaA製のカラーフロップ顔料:Fe23で被覆したSiO2小板)を加え、この混合物を、均一な予備混合物が得られるまでさらに0.5時間混合する。
【0082】
鋳鉄パンを表面温度が220℃になるまで加熱する。全混合物を、絶えず撹拌しながらパンへゆっくりと導入し、ワックスが干渉顔料上に均一に広がるようになるまで、絶えず撹拌しながら加熱する。続いて均一な混合物をスチールたらい中に導入し、さらに撹拌しながら冷却する。
【0083】
得られる顔料調製物は埃を発生せず、自由に流動し、一軸押出機で加工して総量を基準としておよそ50質量%までの顔料を有するマスターバッチとすることができる。二軸押出機では、同じ顔料含有量で、この調製物についての処理量を(未処理の顔料と比較して)少なくとも2〜5倍高めることが可能である。本発明の顔料調製物は、当業者に公知のあらゆる非極性(オレフィン系)ポリマー中に問題なく取り込むことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一以上の小板状効果顔料、ワックス又はワックス混合物、及び少なくとも一つの酸化防止剤を含むことを特徴とする、顔料調製物。
【請求項2】
ワックス含量が調製物全体を基準として20〜45質量%であることを特徴とする、請求項1に記載の顔料調製物。
【請求項3】
ワックス又はワックス混合物が、天然ワックス、改質天然ワックス、部分合成ワックス、完全合成ワックス、アミドワックス、塩素化又はフッ素化ポリオレフィンワックスの群から選択されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の顔料調製物。
【請求項4】
ワックスが完全合成ワックスであることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の顔料調製物。
【請求項5】
ワックスが非酸化又は部分酸化ポリオレフィンワックスであることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の顔料調製物。
【請求項6】
ワックスがポリエチレンワックス又はポリプロピレンワックスであることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の顔料調製物。
【請求項7】
ワックス又はワックス混合物の融解範囲が70〜200℃である(DIN51007に従って測定される)ことを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の顔料調製物。
【請求項8】
効果顔料が、真珠光沢顔料、干渉顔料、金属効果顔料、透明、半透明及び/もしくは不透明な層を有する多層顔料、ホログラム顔料、BiOCl顔料、ならびに/又はLCP顔料の群から選択されることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の顔料調製物。
【請求項9】
効果顔料の比率が、顔料調製物を基準として55〜80質量%であることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の顔料調製物。
【請求項10】
酸化防止剤が、
ラクトン/ホスフィット混合物類
ラクトン/ホスフィット/フェノール混合物類
フェノール/ホスフィット混合物類
ホスフィット類
フェノール類
の群から選択されることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の顔料調製物。
【請求項11】
酸化防止剤の比率が、使用されるワックスを基準として0.01〜5質量%であることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の顔料調製物。
【請求項12】
一以上の添加剤、補助剤、無機フィラー、染料、及び/又は着色顔料をさらに含むことを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の顔料調製物。
【請求項13】
一以上の小板状効果顔料及び少なくとも一つの酸化防止剤を、熱の作用下でワックス又はワックス混合物と混合することを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の顔料調製物の製造方法。
【請求項14】
塗料、被覆材料、粉体塗装材料、印刷用インク、ポリマー、トナーの着色、及びマスターバッチの製造における、請求項1から12のいずれか一項に記載の顔料調製物の使用。

【公表番号】特表2011−518903(P2011−518903A)
【公表日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−505402(P2011−505402)
【出願日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際出願番号】PCT/EP2009/002681
【国際公開番号】WO2009/129941
【国際公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】