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顕微フォトルミネッセンス測定装置及び測定方法
説明

顕微フォトルミネッセンス測定装置及び測定方法

【課題】観測領域の特定が容易で、小型に構成できる顕微フォトルミネッセンス測定装置を提供する。
【解決手段】顕微鏡筒体151、152と、顕微鏡筒体から出た光を光分析手段に導くバンドルファイバ20と、バンドルファイバの位置を調整する位置調整手段33と、照明光源からの光を顕微鏡筒体内に導き、試料14の反射光を観察する落射照明観察手段34、36と、試料を励起する励起光の励起光源と、励起光で励起されてフォトルミネッセンスを放出する試料の観測領域を選択する視野絞り30とを備える。この装置では、試料の表面を落射照明観察手段で観察し、PL観測領域を視野絞り30によって選択し、視野絞りで絞られた光束が適切にバンドルファイバ20に入射するように、バンドルファイバの位置を位置調整手段33で調整する。PL観測領域を高精度に特定することができ、その観測領域の最適状態での観測を容易に設定することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ光または自然放出光が照射された試料から発せられるフォトルミネッセンス(Photoluminescence:PL)を測定する顕微フォトルミネッセンス測定装置と、その測定方法に関し、特に、PL観測領域を簡単且つ高精度に特定できるようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
半導体にバンドギャップ以上のエネルギーを持つ光が入射すると、励起された半導体の結晶中に自由電子と正孔とが生じる。PLは、この自由電子と正孔とが再結合したときに発生する光である。
図9は、PL発光を説明するn型半導体のバンドモデル図である。図9(a)に示すように、バンドギャップ(禁制帯)以上のエネルギーを持つ励起光(Above-Gap Excitation:AGE)が入射すると、価電子帯(valence band)から伝道導帯(conduction band)に移行する電子が発生し、価電子帯に正孔が生じる。この電子が価電子帯の正孔と再結合するときにPLを発生する。これを発光再結合と言う。
【0003】
しかし、結晶が空孔等の欠陥や不純物を含んでいると、禁制帯内に欠陥や不純物に起因するドナーエネルギー非発光再結合準位(state1)が存在し、伝道導帯に移行した電子の中には、このエネルギー準位の正孔と再結合するものが現れる。この場合はPLが発生しないので非発光再結合と言う。
そのため、半導体結晶に欠陥や不純物が多く含まれる場合は、発光再結合に対する非発光再結合の割合が高くなり、PLの強度が低下する。従って、PL強度の測定を通じて、半導体結晶の状態を非破壊で評価することができる。
【0004】
本発明者等は、先に、非発光再結合をもたらす禁制帯内準位を測定する方法について開発した(下記特許文献1)。この方法では、半導体結晶に禁制帯エネルギー幅以上の励起光AGEと、禁制帯エネルギー幅以下の励起光BGE(Below-Gap Excitation)とを照射してPLを測定する。そのため、この方法を2波長励起PL法と呼んでいる。
図10は、2波長励起PL法の測定装置を模式的に示している。この装置は、AGEの励起光源11と、BGEの励起光源12と、試料14を液体窒素で冷却する冷却容器13と、試料14から発光されたPLを集光する顕微鏡筒15と、フィルタ21を通過したPLが入射するバンドルファイバ20と、バンドルファイバ20が導いたPLを分光する分光器16と、分光されたPLを電気信号に変換する光電子増倍管17と、PLとBGEとの関係を表示するオシロスコープ18と、BGEを制御するCPU19とを備えている。
【0005】
試料14には、一定のAGEを単独で照射し、あるいは、このAGEと、値を種々に変えたBGEとを重畳して照射する。BGEをAGEに重畳すると、BGEの大きさにより、AGE単独照射時よりもPLが増加し、あるいは、減少する。
例えば、図9(a)に示すように、AGEに重畳するBGEの大きさが、(state1)準位と伝道導帯とのエネルギーギャップに相当していると、AGEによる価電子帯から伝導帯への励起以外に、(state1)準位にトラップされていた電子が、BGEによって伝道帯に励起されるため、AGE単独照射の場合よりも伝道導帯に移行する電子の量が多くなり、発光再結合の確率が高くなり、PLが増加する。
【0006】
一方、図9(b)に示すように、AGEに重畳するBGEの大きさが、(state1)準位と(state2)準位とのエネルギーギャップに相当していると、AGEによる価電子帯から伝導帯への励起以外に、(state1)準位にトラップされていた電子が、BGEによって(state2)準位に励起される。この場合、(state2)準位に励起された電子が価電子帯の正孔と再結合するときは非発光再結合である。また、(state1)準位に空きができたため、(state1)準位にトラップされる電子の数が増加し、そのため、AGE単独照射の場合より、発光再結合を行う電子の数が減り、PLが減少する。
このように、2波長励起PL法では、BGEの大きさを種々に変えてPL測定を行うことにより、禁制帯内準位の特定が可能であり、半導体結晶の状態をより精密に、定量的に評価することができる。
【特許文献1】特開2002−286640号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
PL測定装置を用いて半導体材料を評価する場合は、通常、試料上の一点で測定が行われており、測定位置の精度は、それ程要求されていない。
しかし、2波長励起PL法は、試料の測定位置における状態を精密に求めることができるため、この2波長励起PL法を実施するPL測定装置では、測定範囲を正確に特定できるようにすることが極めて有意義である。
【0008】
従来の装置では、特開2006−349482号公報に開示されているように、試料に対して測定装置を相対的に走査し、測定結果と位置情報とを対応付けて表示するPLマッピング測定装置も開発されているが、この種の装置は大型であり、簡便な使用には適さない。また、特定の領域を観測しようとしたときに、目的の箇所に装置の観測領域を合わせることが難しく、目的の箇所を最適な状態で観測するためには、相当の熟練が必要になる。
【0009】
本発明は、こうした状況を考慮して創案したものであり、観測領域の特定が容易であり、小型に構成できる顕微フォトルミネッセンス測定装置を提供し、また、その測定方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の顕微フォトルミネッセンス測定装置は、試料に対向する対物レンズと、一端に前記対物レンズが装着され、前記対物レンズを通過する光の光学系が配置された顕微鏡筒体と、 前記顕微鏡筒体の他端から出た光を光分析手段に導くバンドルファイバと、前記バンドルファイバの前記顕微鏡筒体への対向位置を調整するために前記顕微鏡筒体の他端に設置された位置調整手段と、照明光源からの光を前記顕微鏡筒体内に導き、前記光を前記対物レンズを介して前記試料に照射し、前記対物レンズを通過した前記試料の反射光を観察する落射照明観察手段と、前記試料を励起する励起光の励起光源と、前記励起光で励起されてフォトルミネッセンスを放出する前記試料の観測領域を選択するために前記顕微鏡筒体内に設置された視野絞りと、を備えることを特徴とする。
この測定装置では、試料の表面を落射照明観察手段で観察し、PL観測領域を視野絞りによって選択し、視野絞りで絞られた光束が適切にバンドルファイバに入射するように、バンドルファイバの位置を位置調整手段で調整する。
【0011】
また、この顕微フォトルミネッセンス測定装置では、前記位置調整手段による前記バンドルファイバの前記対向位置の調整が、前記照明光源からの光を前記対物レンズを介して前記試料に照射し、該試料で反射して前記対物レンズ及び視野絞りを通過して前記バンドルファイバに入射する光の光量に基づいて行われる。
照明光源の光は、PLに比べて明るいため、位置調整手段によるバンドルファイバの位置調整が容易である。
【0012】
また、この顕微フォトルミネッセンス測定装置では、前記光分析手段として、前記バンドルファイバによって導かれた光を分光する分光器と、該分光器により分光された光を電気信号に変換する光電子増倍管または受光素子とを備え、前記位置調整手段による前記調整は、前記バンドルファイバに入射した光の中から前記照明光源の波長の光を前記分光器で抽出し、前記光を前記光電子増倍管または受光素子で電気信号に変換し、前記光電子増倍管または受光素子の出力が最大となるように、前記バンドルファイバの前記対向位置を調整することで実現できる。
【0013】
また、この顕微フォトルミネッセンス測定装置では、前記視野絞りを、前記顕微鏡筒体の軸心と直交する面に沿って独立して移動することが可能な複数枚の板部材で構成することができ、複数枚の板部材の端縁で区画された閉空間が光路となる。
この視野絞りを用いると、落射照明で観察した試料の任意の領域をPL観測領域として選択することができる。
【0014】
また、この顕微フォトルミネッセンス測定装置では、さらに、顕微鏡筒体に、X、Y及びZ方向への移動を可能にする移動手段を設けることができる。
この移動手段で顕微鏡筒体のX、Y及びZ方向への大きい移動を実現し、PL観測領域の細かな設定を視野絞りで行う。
【0015】
また、この顕微フォトルミネッセンス測定装置では、前記励起光源として、前記試料の禁制帯エネルギー幅以上の励起光を出力する第1の励起光源と、前記試料の禁制帯エネルギー幅以下の励起光を出力する第2の励起光源とを設け、前記試料の観測領域に、前記第1の励起光源からの励起光の単独照射、または、前記第1の励起光源及び第2の励起光源からの励起光の重畳照射を行うことができる。
この装置では、2波長励起PL法を適用するPL観測領域を正確に特定することができる。
【0016】
本発明のフォトルミネッセンス測定方法は、試料に対向する対物レンズと、一端に前記対物レンズが装着され、前記対物レンズを通過する光の光学系が配置された顕微鏡筒体と、前記顕微鏡筒体の他端から出た光を光分析手段に導くバンドルファイバと、前記バンドルファイバの前記顕微鏡筒体への対向位置を調整するために前記顕微鏡筒体の他端に設置された位置調整手段と、照明光源からの光を前記顕微鏡筒体内に導き、前記光を前記対物レンズを介して前記試料に照射し、前記対物レンズを通過した前記試料の反射光を観察する落射照明観察手段と、前記試料を励起する励起光の励起光源と、前記励起光で励起されてフォトルミネッセンスを放出する前記試料の観測領域を選択するために前記顕微鏡筒体内に設置された視野絞りと、を備える顕微フォトルミネッセンス測定装置のフォトルミネッセンス測定方法であって、前記落射照明観察手段により前記試料の表面を前記照明光源からの光で観察する第1のステップと、前記視野絞りで前記試料の観測領域を選択する第2のステップと、前記照明光源からの光を前記対物レンズを介して前記試料に照射し、該試料で反射して前記対物レンズ及び視野絞りを通過して前記バンドルファイバに入射する光の光量が最大になるように、前記位置調整手段を用いて、前記バンドルファイバの前記顕微鏡筒体への対向位置を設定する第3のステップと、前記試料の観測領域に前記励起光源から励起光を照射し、前記試料から放出され、前記対物レンズ及び視野絞りを通過して前記バンドルファイバに入射したフォトルミネッセンスを前記光分析手段に導いて測定する第4のステップと、を備えることを特徴とする。
この測定方法では、視野絞りを用いてPL観測領域を簡単、且つ、正確に設定することができ、また、視野絞りで設定したPL観測領域と合うようにバンドルファイバの位置を簡単に調整することができる。
【0017】
また、このフォトルミネッセンス測定方法では、前記励起光源として、前記試料の禁制帯エネルギー幅以上の励起光を出力する第1の励起光源と、前記試料の禁制帯エネルギー幅以下の励起光を出力する第2の励起光源とを用い、前記第4のステップにおいて、前記試料の観測領域に、前記第1の励起光源からの励起光の単独照射と、前記第1の励起光源及び第2の励起光源からの励起光の重畳照射とを交互に行うことが可能である。
フォトルミネッセンス測定に2波長励起PL法を適用することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の顕微フォトルミネッセンス測定装置及び測定方法では、PL観測領域を高精度に特定することができ、また、そのPL観測領域の最適状態での観測を容易に設定することができる。また、装置の小型化も可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の顕微フォトルミネッセンス測定装置の実施形態について、図面に基づいて説明する。
図1は、この装置のカバーが付いた状態の顕微鏡筒部分の平面図であり、図2は、顕微鏡筒部分の側面図である。図3は、図1の平面図に対応する断面図であり、図4は、図2の側面図に対応する断面図である。
【0020】
この顕微鏡筒15は水平に配置されている。顕微鏡筒15の一端には、対物レンズ31が装着されたマニュアルレボルバ32が回転可能に支持され、他端には、バンドルファイバ20の位置を調整する位置調整手段33が設置されている。マニュアルレボルバ32は、対物レンズ31を装着する孔を4個有しており、マニュアルレボルバ32を回転して、試料14に対向する対物レンズ31を切替えることができる。バンドルファイバ20は、多数のファイバ素線を束ねたものであり、図10に示すように、その先が分光器16に接続し、顕微鏡筒15の端部から出た光を分光器16に導く。位置調整手段33は、バンドルファイバ20の端部の位置を上下方向に微動するマイクロメータ331と、左右方向に微動するマイクロメータ332とを有している。
【0021】
顕微鏡筒15の対物レンズ31側の側部には、照明光源の光を顕微鏡筒15内部に導く照明光学系36が接続している。照明光学系36の照明用ファイバ361の先端には照明光源(省略)が接続しており、照明光源から発せられた光は、照明用ファイバ361を通り、反射鏡362(図3)で直角に曲げられて顕微鏡筒15内部に入射する。37は照明光学系36の光軸調整用の螺子である。
顕微鏡筒15の位置調整手段33側の側部には、試料14に照明光源の光を照射したときの像を観察するための観察用カメラ(CCDカメラ)34が接続している。
【0022】
また、顕微鏡筒15の中間には、視野絞り30が配置され、顕微鏡筒15は、視野絞り30によって前方側顕微鏡筒151と後方側顕微鏡筒152とに二分されている(図1)。
図5は、この視野絞り30の詳細を示している。図5(a)は正面図、図5(b)は断面図である。図5(a)の紙面に垂直な方向が顕微鏡筒15の軸心方向であり、図5(b)の一点鎖線が顕微鏡筒15の軸心位置である。また、図5(b)の上側がバンドルファイバ20側であり、下側が対物レンズ31側である。また、図6は、絞りを構成する4枚の金属薄板301、302、303、304を取り出して示している。金属薄板301は、マイクロメータ305の回転で、また、金属薄板302は、マイクロメータ306の回転で、それぞれ上下方向に独立して移動し、金属薄板303は、マイクロメータ307の回転で、また、金属薄板304は、マイクロメータ308の回転で、それぞれ左右方向に独立して移動する。4枚の金属薄板301、302、303、304の端縁によって区画される閉空間309を光束が通過する。
【0023】
視野絞り30より対物レンズ31側の前方側顕微鏡筒151の内部には、ハーフミラー412及び結像光学系43が配置されている(図3)。ハーフミラー412の台座は把手411に連結しており、把手411の先端は前方側顕微鏡筒151から突出している。把手411を前方側顕微鏡筒151の軸心に垂直な方向(図1の矢印方向)に動かすと、ハーフミラー412も同じように動く。把手411を前方側顕微鏡筒151に最も押し込むと、ハーフミラー412の中心は前方側顕微鏡筒151の軸心の位置に来る。このとき、反射鏡362(図3)で直角に曲げられて前方側顕微鏡筒151内部に入射した照明光源の光は、ハーフミラー412で反射して対物レンズ31の方向に進み、試料14の表面を照射する。また、試料14の表面で反射した光は、対物レンズ31で集光されてハーフミラー412に至り、ハーフミラー412を透過して結像光学系43に入射する。
【0024】
また、把手411を前方側顕微鏡筒151から最も引き出すと、ハーフミラー412は、前方側顕微鏡筒151の側面近くに移動し、ハーフミラー412で反射した照明光源の光は、もはや対物レンズ31に入射しない。また、対物レンズ31を通って前方側顕微鏡筒151内に進入した光は、ハーフミラー412を介することなく、直接、結像光学系43に入射する。
このように、ハーフミラー412及び把手411は、照明光学系の切替機構41を構成している。
結像光学系43は、光が入射すると、視野絞り30の閉空間309の位置を含む平面上に中間像を結像するし、視野絞り30の閉空間309によってその1部分を任意に選択することができる。
【0025】
また、視野絞り30よりバンドルファイバ20側の後方側顕微鏡筒152の内部には、反射鏡422及び把手421から成る切替機構42が配置されている(図3)。把手421は、把手411と同様に、後方側顕微鏡筒152の軸心に垂直な方向(図1の矢印方向)に動かすことができ、把手421を後方側顕微鏡筒152に最も押し込むと、反射鏡422の中心は顕微鏡筒15の軸心の位置に来る。このとき、対物レンズ31の方向から反射鏡422に入射した光は、反射鏡422で反射してCCDカメラ34に入射する。また、把手421を後方側顕微鏡筒152から最も引き出すと、反射鏡422は、後方側顕微鏡筒152の側面近くに移動し、対物レンズ31の方向から入射した光は、反射鏡422に遮られることなく進行し、バンドルファイバ20に入射する。
このように、反射鏡422及び把手421は、CCDカメラ34による画像観察と光分析手段によるPL観測とを切替える画像観察/PL観測切替機構42を構成している。
【0026】
また、顕微鏡筒15は、顕微鏡筒15を上下方向に移動させるZステージ53、顕微鏡筒15を軸心方向に移動させるXステージ51、及び、顕微鏡筒15を軸心と直交する水平方向に移動させるYステージ52によって支えられている(図2)。顕微鏡筒15は、Zステージ53のZ螺子531を回転すれば上下方向に移動し、Xステージ51のX螺子511を回転すれば軸心方向に移動し、また、Yステージ52のY螺子521(図1)を回転すれば、水平方向に平行移動する。
【0027】
なお、試料14の冷却手段や励起手段、発生したPLの分析手段は、図10と同様であり、冷却した試料14の励起がAGEの励起光源11とBGEの励起光源12とで行われ、この励起により発生したPLが、分光器16、光電子増倍管または受光素子17、オシロスコープ18等の光分析手段によって分析される。
【0028】
次に、この装置を用いてPLを測定する手順について説明する。
まず、図7(a)に示すように、視野絞り30を全開にして、ハーフミラー412が顕微鏡筒15の軸心位置に来るように照明光学系切替機構41を設定し、反射鏡422が顕微鏡筒15の軸心位置に来るように画像観察/PL観測切替機構42を設定する。
この状態では、照明光源の光が、ハーフミラー412で反射して試料14を照射し、試料14の反射光が、ハーフミラー412を透過した後、反射鏡422で反射されてCCDカメラ34に入射する。そのため、試料14表面の落射照明(試料の上から当てる照明)による観察をCCDカメラ34の画像を用いて行うことができる。
【0029】
次に、図7(b)に示すように、落射照明によるCCDカメラ34の画像を見ながら、視野絞り30により、PL観測領域を選択する。
このとき、バンドルファイバ20は、視野絞り30で絞られた光束の延長線上に位置しているとは限らない。
このバンドルファイバ20の位置を調整するため、図7(c)に示すように、反射鏡422が顕微鏡筒15の軸心位置から外れるように画像観察/PL観測切替機構42を設定する。
この状態では、試料14表面で反射した照明光源の光が、視野絞り30で絞られた後、顕微鏡筒15の後端に達する。この光束が最適な状態でバンドルファイバ20に入射するように、位置調整手段33でバンドルファイバ20の位置を設定する。
このとき、バンドルファイバ20に入射した光の中から照明光源の波長の光を分光器16で抽出し、分光器16が抽出した光を光電子増倍管または受光素子17で電気信号に変換し、光電子増倍管17の出力が最大となるように、バンドルファイバ20の位置を調整すれば、バンドルファイバ20は、最適位置に設定されたことになる。
【0030】
次いで、図7(d)に示すように、ハーフミラー412が顕微鏡筒15の軸心位置から外れるように照明光学系切替機構41を設定し、試料14へのAGEの単独照射、あるいは、AGEとBGEとの重畳照射を実施して、試料14からPLを発生させる。
発生したPLは、対物レンズ31を通じて顕微鏡筒15内部に導かれ、視野絞り30により選択された観測領域のPLがバンドルファイバ20に入射し、分光器16、光電子増倍管または受光素子17、オシロスコープ18等の光分析手段で分析される。
【0031】
図8(a)は、蛍光体の上に多数の穴を開けた金属板を置き、これを落射照明で観察したときの画像を示している。また、図8(b)は、この試料に励起光を照射したときのPLの画像を示している。PLは、金属板の穴から覗く蛍光体の部分で発生している。
図8(c1)は、視野絞り30を用いて、PL観測領域を左上の箇所だけに限定したときのPL画像を示し、同様に、図8(c2)は、PL観測領域を右上の箇所だけに限定し、図8(c3)は、PL観測領域を左下の箇所だけに限定し、また、図8(c4)は、PL観測領域を右下の箇所だけに限定したときのPL画像を示している。
図8から分かるように、PLの明るさは、落射照明の反射光(図8(a))の明るさに比べて極めて低い。そのため、微弱なPLを用いてバンドルファイバ20の位置決めを行うことは、極めて難しく、熟練を要するが、この装置では、図7(c)に示すように、落射照明の反射光を用いてバンドルファイバ20の位置決めを行っているため、バンドルファイバ20をPL観測領域に合った位置に設定する作業が容易であり、且つ、正確な位置への設定が可能である。
【0032】
また、この装置では、視野絞り30を、独立して移動できる4枚の金属板で構成しているため、PL観測領域の位置や面積を任意に、且つ、高精度に設定することができる。この視野絞り30を備えることにより、試料の特定領域だけを測定することができ、2波長励起PL法を用いて試料の状態を精密に観察することができる。なお、視野絞り30を構成する金属板の枚数は4以外であっても良い。
また、この装置では、落射照明による観察が併用できるため、PL観測領域の選択を鮮明な画像に基づいて行うことができ、PL観測領域の選択作業が容易である。
また、この装置は、従来の装置に比べてコンパクトに構成することができる。
【0033】
なお、ここでは、バンドルファイバ20の位置調整を手動で行う場合について説明したが、光電子増倍管または受光素子17の出力が最大となるように、バンドルファイバ20の位置を自動調整することも可能である。
また、本発明の構成は、PLマッピング測定装置に応用することもできる。
また、ここでは、この装置を用いて2波長励起PL法を行う場合について説明したが、この装置は、その他のPL測定方法にも用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明の顕微PL測定装置は、半導体発光素子、受光素子を始めとする各種半導体や、蛍光体、有機光機能素子等を対象として、その特性の測定や評価等のために広く用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施形態に係る顕微PL測定装置のカバー付顕微鏡筒の平面図
【図2】本発明の実施形態に係る顕微PL測定装置のカバー付顕微鏡筒の側面図
【図3】図1に対応する顕微鏡筒の断面図
【図4】図2に対応する顕微鏡筒の断面図
【図5】本発明の実施形態に係る視野絞りの平面図(a)と断面図(b)
【図6】本発明の実施形態に係る視野絞りの4枚の金属薄板を示す図
【図7】本発明の実施形態に係る顕微PL測定装置での測定手順を示す図
【図8】落射照明画像(a)、PL画像(b)、及び、視野絞りで特定したPL観測領域のPL画像(c1〜c4)を示す図
【図9】半導体のバンドモデル図
【図10】2波長励起PL法を実施する測定装置の模式図
【符号の説明】
【0036】
11 AGE励起光源
12 BGE励起光源
13 冷却容器
14 試料
15 顕微鏡筒
151 前方側顕微鏡筒
152 後方側顕微鏡筒
16 分光器
17 光電子増倍管または受光素子
18 オシロスコープ
19 CPU
20 バンドルファイバ
21 フィルタ
30 視野絞り
301 金属薄板
302 金属薄板
303 金属薄板
304 金属薄板
305 マイクロメータ
306 マイクロメータ
307 マイクロメータ
308 マイクロメータ
309 閉空間
31 対物レンズ
32 マニュアルレボルバ
33 位置調整手段
331 マイクロメータ
332 マイクロメータ
34 CCDカメラ
36 照明光学系
361 照明用ファイバ
362 反射鏡
37 光軸調整用螺子
41 照明光学系切替機構
411 把手
412 ハーフミラー
42 画像観察/PL観測切替機構
421 把手
422 反射鏡
43 結像光学系
51 Xステージ
511 X螺子
52 Yステージ
521 Y螺子
53 Zステージ
531 Z螺子


【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料に対向する対物レンズと、
一端に前記対物レンズが装着され、前記対物レンズを通過する光の光学系が配置された顕微鏡筒体と、
前記顕微鏡筒体の他端から出た光を光分析手段に導くバンドルファイバと、
前記バンドルファイバの前記顕微鏡筒体への対向位置を調整するために前記顕微鏡筒体の他端に設置された位置調整手段と、
照明光源からの光を前記顕微鏡筒体内に導き、前記光を前記対物レンズを介して前記試料に照射し、前記対物レンズを通過した前記試料の反射光を観察する落射照明観察手段と、
前記試料を励起する励起光の励起光源と、
前記励起光で励起されてフォトルミネッセンスを放出する前記試料の観測領域を選択するために前記顕微鏡筒体内に設置された視野絞りと、
を備えることを特徴とする顕微フォトルミネッセンス測定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の顕微フォトルミネッセンス測定装置であって、
前記位置調整手段による前記バンドルファイバの前記対向位置の調整が、前記照明光源からの光を前記対物レンズを介して前記試料に照射し、該試料で反射して前記対物レンズ及び視野絞りを通過して前記バンドルファイバに入射する光の光量に基づいて行われることを特徴とする顕微フォトルミネッセンス測定装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の顕微フォトルミネッセンス測定装置であって、
前記光分析手段として、前記バンドルファイバによって導かれた光を分光する分光器と、該分光器により分光された光を電気信号に変換する光電子増倍管または受光素子とを備え、前記位置調整手段による前記調整は、前記バンドルファイバに入射した光の中から前記照明光源の波長の光を前記分光器で抽出し、前記光を前記光電子増倍管または受光素子で電気信号に変換し、前記光電子増倍管または受光素子の出力が最大となるように、前記バンドルファイバの前記対向位置が調整されることを特徴とする顕微フォトルミネッセンス測定装置。
【請求項4】
請求項1に記載の顕微フォトルミネッセンス測定装置であって、
前記視野絞りは、前記顕微鏡筒体の軸心と直交する面に沿って独立して移動することが可能な複数枚の板部材を有し、前記複数枚の板部材の端縁で区画された閉空間が光路となることを特徴とする顕微フォトルミネッセンス測定装置。
【請求項5】
請求項1に記載の顕微フォトルミネッセンス測定装置であって、
さらに、前記顕微鏡筒体をX、Y及びZ方向に移動する移動手段を有することを特徴とする顕微フォトルミネッセンス測定装置。
【請求項6】
請求項1に記載の顕微フォトルミネッセンス測定装置であって、
前記励起光源として、前記試料の禁制帯エネルギー幅以上の励起光を出力する第1の励起光源と、前記試料の禁制帯エネルギー幅以下の励起光を出力する第2の励起光源とを有し、前記試料の観測領域に、前記第1の励起光源からの励起光の単独照射、または、前記第1の励起光源及び第2の励起光源からの励起光の重畳照射を行うことを特徴とする顕微フォトルミネッセンス測定装置。
【請求項7】
試料に対向する対物レンズと、一端に前記対物レンズが装着され、前記対物レンズを通過する光の光学系が配置された顕微鏡筒体と、前記顕微鏡筒体の他端から出た光を光分析手段に導くバンドルファイバと、前記バンドルファイバの前記顕微鏡筒体への対向位置を調整するために前記顕微鏡筒体の他端に設置された位置調整手段と、照明光源からの光を前記顕微鏡筒体内に導き、前記光を前記対物レンズを介して前記試料に照射し、前記対物レンズを通過した前記試料の反射光を観察する落射照明観察手段と、前記試料を励起する励起光の励起光源と、前記励起光で励起されてフォトルミネッセンスを放出する前記試料の観測領域を選択するために前記顕微鏡筒体内に設置された視野絞りと、を備える顕微フォトルミネッセンス測定装置のフォトルミネッセンス測定方法であって、
前記落射照明観察手段により前記試料の表面を前記照明光源からの光で観察する第1のステップと、
前記視野絞りで前記試料の観測領域を選択する第2のステップと、
前記照明光源からの光を前記対物レンズを介して前記試料に照射し、該試料で反射して前記対物レンズ及び視野絞りを通過して前記バンドルファイバに入射する光の光量が最大になるように、前記位置調整手段を用いて、前記バンドルファイバの前記顕微鏡筒体への対向位置を設定する第3のステップと、
前記試料の観測領域に前記励起光源から励起光を照射し、前記試料から放出され、前記対物レンズ及び視野絞りを通過して前記バンドルファイバに入射したフォトルミネッセンスを前記光分析手段に導いて測定する第4のステップと、
を備えることを特徴とするフォトルミネッセンス測定方法。
【請求項8】
請求項7に記載のフォトルミネッセンス測定方法であって、
前記励起光源として、前記試料の禁制帯エネルギー幅以上の励起光を出力する第1の励起光源と、前記試料の禁制帯エネルギー幅以下の励起光を出力する第2の励起光源とを用い、前記第4のステップにおいて、前記試料の観測領域に、前記第1の励起光源からの励起光の単独照射と、前記第1の励起光源及び第2の励起光源からの励起光の重畳照射とを交互に行うことを特徴とするフォトルミネッセンス測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図8】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−249506(P2008−249506A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−91467(P2007−91467)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(504190548)国立大学法人埼玉大学 (292)
【出願人】(507104016)オーケーラボ有限会社 (5)
【Fターム(参考)】