顕微レーザー質量分析装置

【課題】 顕微質量分析装置は試料を観察し、測定部位を特定し、その部位にレーザー光を微小に絞り照射して顕微レーザー質量分析を行なうもので、レーザー光を分析対象である測定部位周囲にレーザー光が広がって照射しないようにして、測定部位の情報だけを的確に得る顕微レーザー質量分析装置を提供する。
【解決手段】試料観察手段とレーザー光照射手段を同じ顕微鏡対物レンズを用い観察した部位にレーザー光を照射して測定するために、焦点距離の短い対物レンズにより、レーザー光を微小にしぼり、その対物レンズのセンター部に孔を開け、金属細管からなる微細イオン輸送管を挿入したイオン輸送管内蔵対物レンズを用いて微小部の顕微MALDIの測定を可能とする。また、イオン輸送管は高分子イオンの通過率を向上させるために加熱機能を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は試料を光学的に観察して、観察した特定の部位にレーザーを照射して生成したイオン粒子を質量分析する装置に関するもので、レーザー脱離イン化法(LDI=Laser Desorption/Ionization)とかマトリックス支援レーザー脱離イオン化法(Matrix Assisted Laser Desorption/Ionization)によるイオン源と観察手段とを備えた顕微質量分析装置や、質量分析顕微鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
生体高分子は難揮発性であることが多く、気体分子としてイオン化することが困難であった。
1980年代以降になって高速原子衝撃イオン化法(fast atom bombardment;FAB)、エレクトロスプレーイオン化法(Electro−spray ionization;ESI)
マトリックスアシステッドレーザー脱離イオン化(Matrix−assisted laser desorption ionization;MALDI)などのソフトイオン化が実用化され、近年になってタンパク質とか核酸などの生体高分子の解析に広く用いられてきた
【0003】
前項のいろいろのイオン化法の中で、マトリックスアシステッドレーザー脱離イオン化法(MALDI)は試料にレーザー光を照射し、レーザー光を吸収した物質の内部での電荷の移動を促進させてイオン化を行うものもので、レーザー光吸収し難い試料やタンパク質などレーザー光で損傷を受け易い試料を分析するのに利用される。予め試料に、レーザー光を吸収し易い物質をマトリックスとして、混合しておき、これにレーザーを照射して試料をイオン化するもので、分子量の大きい高化合物でもあまり開裂させることなく分析することが可能で、また、微量分析にも好適であることから、化学、物理学、生化学の分野から薬学、医学等のライフサイエンスの分野へ急速に広がってきている。特に生命科学の分野でプロテオーム、蛋白質、多糖質のなどの生体高分子の解析とかアミノ酸配列解析の手段として広く利用されている。
【0004】
ところで病変した病理組織や電子部品製剤なの分野でも変質部位は光学顕微鏡などで観察して、発見されることが多く、その部位を分析して、そこがどのような化合物からなっているかを解析するニーズが非常に高くなっている。励起光にレーザー光を使用した質量分析装置はレーザー光を微小に絞ることが出来るので微小部位の分析行うことが出来、また、観察装置も簡単に具備できるので、前項の要求を満足することが出来る。本発明書では顕微鏡の機能とLDIやMALDIによるイオン源を備えた質量分析装置を総称して顕微MALDI−質量分析装置と記すこととする。
【0005】
従来の顕微MALDI−質量分析装置の構成の一例を図1、に示す。オペレータは試料 1 を観察して、変位部、欠陥部などの測定すべき部位を観察用CCDカメラ 11とTVモニター23で特定し、その部位をレーザー光が照射していることを確認して、分析操作が出来ようになっている。
【0006】
より大きい質量数を、高分解能で質量分析を行う場合、質量分析部16に飛行時間質量分析装置(Time of Flight Mass Spectrometer=TOF MS)を用いることが望ましい。
TOFMSでは加速されたイオンが一定距離を飛行する時間がそのイオンの質量に依存することを利用して分析を行う。イオンを一斉に試料プレートから出射させ、各イオンが所定長さの空間を飛行し、検出器に到達するまでの時間を測定する。Z価に荷電されたイオンは試料プレートに一定の電圧Vより一定の加速電圧V(volt)の電場強度を受け、加速エネルギー(ZeV)が付与される。 飛行運空間は電場勾配のない一定の電場空間を保っているので、イオン粒子は等速運動をする。 イオン速度はv(m/sec)は式(2)で示される。
mV/2=zeV (1)
v=(2zeV/mU)1/2 (2)
従って、イオンが飛行距離L飛行する時間t(sec)は
t=L/v (3)
であるので、式(2)、(3)から基本式である(4)式が導かれ。
m/z=2eV(t/L)/U (4)
TOF MSでは加速電圧と飛行距離Lは一定であるので、
m/z=Kt (5)
K=2eV/UL=1.929x10V/L (6)
e:電子の電荷[e=1.602X10−19
U:原子の質量単位(atomic mass unit:amu)
U=1.6605X10−27
すなわち、イオン質慮(M/z)は飛行時間(t)の2乗に比例する。
M/z=at+b (7)
従って実際の測定では(7)における係数a、bを既知の試料を用いてキャリブレーションにより求めておき未知試料の飛行時間(t)を質量数に換算する。
【0007】
特に生体試料のタンパク質や糖類の分析の際には、イオン化したイオンを衝突誘起型開裂法(Collision Induce Dissociation=CID)などの方法で開裂させてフラグメントイオン(子供イオン)を生成し、そのフラグメントイオンを分析するMS/MS分析が有効である。
このフラグメントイオンの生成には、イオントラップ装置の利用が極めて有効で、イオントラップを用いれば、単なるMS/MSばかりでなく、更に開裂を繰り返すMS/MS/MS/MSも可能となる。イオントラップはそれ自体が良質の質量分析機能を持つが、それだけでは高い質量分解能は得られない。従来例1,3装置は図4、図6に示すようにイオントラップ装置の後に飛行時間質量分析装置(TOF/MS)を配置することで、高分解能で測定できるようになっている。最近のレーザー質量分析装置では通常に行われて方法である。
【0008】
ところで、従来例1装置の顕微MALD質量分析装置図4はレーザー光33を試料の斜め前方の装置の窓の外においたレンズ19を用いて試料1に集光して照射している。レーザー光33の集光径(スポット径)は集光レンズ19の焦点距離(f)とレーザー光33の発散角度(θ)およびレーザー強度などに依存する。一般にレーザー光の発散角度はサブミリラジアン(sub mrad)からミリラジアン(mrad)である。図3から試料1とレンズ19の間隔は正確に推定することは出来ないが、窓の外から照射していることからレンズの焦点距離は100cm(1000,000μm)以上あると推定できるので、レーザーの発散角は通常1mrad(1/1000rad)程度であるので、この従来例1(図4)のレーザースポット径(L)は次式(8)から1000μm以上と推定される。
L=fXθ=1000,000μmX(1/1000(rad)≒1000μm (8)
しかし、実際の装置はレーザー光の発散角度の小さいレーザー光源が使用するなどの工夫がなされていると思われるので、もう少し小さいと予想している。一般に光学顕微鏡では1μm程度のものまで、識別できる。また、細胞の大きさは1〜10μmであるので、レーザースポット径も同程度大きさは必要である。実施例1の装置のレーザースポット径は大きすぎる問題がある。
【0009】
極最近であるが、独立行政法人科学技術振興機構のパンフレット産学イノベーション加速事業先端計測分析技術機器開発成果集2010の16ページに顕微質量分析の記載がある。そのページに記載された装置を図6に示した。
【0010】
従来例3装置(図6)はイオン化室34内に顕微鏡観察装置26とレーザー集光レンズ19は異なった場所に配置してある。レーザー集光レンズ19は、顕微鏡26と同じ様に試料と対向して配置した配置であり、顕微鏡用の短焦点の対物レンズを用いることが可能でレーザースポットを小さく絞る事が出来ると思われるが、集光レンズ19と試料1との間にイオン輸送管3があり、短焦点のレンズを用いることが出来ない。
またこの装置は、顕微鏡で観察した後、ステージを集光レンズの下に移動して測定をする。観察光学と分析光学が別個で、観察した部位を正確に分析しているか否を、レーザー集光レンズで確認出来ないとの問題がある。特に1〜2μm程度の部位の測定では観察位置と分析位置が大きく離れると、少しの温度違いで位置ずれを起こし、観察した部位を正確にレーザースポット真下の位置に移動できない問題がある。そしてこの実施例3装置(図6)はイオン輸送管3と試料プレートは対向して配置してあり、試料プレートには電圧をかけてイオンをイオン輸送管口3に集まるようにしてあるが、イオン光学的は配慮にお欠け、イオンはレーザー光により生成したイオンの大部分は、イオン輸送管口以外の場所に向かって飛行するので、イオンの質量分析部への高い取り込みは期待できなく、極微量の成分分析には問題である。
【0011】
前項記載のイオン輸送管は大気圧質量分析装置で使用され、イオンの透過率が上げるため、加熱して使用されることは良く知られている事実である。
【0012】
図6と同じ様にレーザー集光レンズの,真下に試料を配置した従来例4としては特許3643917(特開09−304343)に記載の方法がある。この従来4ではレーザー集光19と観察を同じ対物レンズ19でおこなっており、レーザースポットが光学顕微鏡の観察し視野内に出来るように光学系を調整しておけばレーザースポットを見ながら試料1を観察可能で、分析部位をXYZステージで微調して移動することで容易に分析したい部位の分析が可能である。またレーザー光19により生成したイオン粒子は対物レンズ35のセンターに配置したアインツエルイオンレンズ34により80%以上の収率で集めることが出来るので、高感度で分析できる。しかし、このイオンレンズ内蔵対物レンズは高真空室に設置されているので、生体組織や、生体内の細胞など高真空下に入れる破壊する恐れがある試料では問題がある。独立行政法人科学技術振興機構のパンフレット産学イノベーション加速事業先端計測分析技術機器開発成果集2010のページ16記載の顕微質量分析装置や特開2007−66533公報記載の顕微質量分析装置の試料室は高真空度の分析装置室とは微孔径の再管である金属キャピラリー管からなるイオン輸送管で真空的に隔離してあり、試料室は大気圧に近い真空度となっている。
【0013】
【特許文献1】特開2007−66533公報
【特許文献2】特開09−304343公報
【特許文献2】特開2010−261882公報
【非特許文献1】独立行政法人科学技術振興機構のパンフレット産学イノベーション加速事業先端計測分析技術機器開発成果集2010のページ16
【発明の開示】

【本発明が解決しようとする課題】
【0014】
顕微質量分析装置は試料を観察し、測定部位を特定し、その部位にレーザー光を照射して顕微レーザー質量分析を行なうもので、 レーザー光を微小に絞り、分析部位の周囲を出来るだけレーザー光が照射しないようにして、目的成分の情報だけを得るような顕微レーザー質量分析装置の発明に解決すべき課題は次の4である。
1)レーザースポット径小さくし、分析の空間分解能をちいさくする。
2)質量分析部への生成イオン粒子の透過率を上げ分析感度を上げる
3)試料室の真空度を大気圧程度し、生体組織細胞にも対応できる様にする。
4)レーザースポットを直接観察し、分析部位を特定出来るようにする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前項の(1)のレーザースポットを小さくする手段はレーザー集光レンズとレーザー光源の問題点の解決ためである。
集光レンズを試料に対して斜めに入射角度が大きくなる様に配置するとレーザースポットは光軸方向に広がり長円形に広となる。
従って、レーザーを小さくするにはレーザー光の試料への入射角度を小さくしたが良く、そのためには試料の真上から照射させる必要がる。集光レンズの焦点距離fとレーザー光の広がり角度に(発散角度(θ)にスポット径は異存するので、焦点距離の小さい短焦点のレンズを用いたが良い。
また、発散角度θを小さくするにはレーザー光線を拡大レンズで拡大した後、集光レンズで集光することでより小さいスポット径が得られることはよく知られており、実際に利用されている。以上のようにレーザーの拡大光学系の利用、短焦点集光レンズの利用と集光レンズを試料真上に配置するなどの解決手段が考えられた。
【0016】
レーザーで生成したイオン粒子の質量分析部への透過率を上げるには従来例図4はイオン輸送管と試料プレートの間の電場構成に問題があり、試料プレートとイオン輸送管口とを対向して平行になるように配置し、電場が試料プレートと平行に形成されるようにする。イオンは電場に直交して飛行するので、試料とイオン輸送管とで出来る電位を1000v以上と大きくしておき、その間隔も狭くしておくとイオン粒子は図8の示したように飛び出した瞬間に真上にイオン輸送管口にひきつけられる様に飛行する。レーザースポットはイオン輸送管の真下になるように配置し、イオン輸送管が試料プレートの真上くるように配置し、その間隔も10mm以下と狭く配置することにした。
【0017】
5)前項の(3)の試料室の真空度を大気圧程度にし、生体組織細胞の高真空に対応できない試料の破壞を防止cした。
この問題の解決には本発明は特開09−304343公報記載のイオンレンズ内蔵対物レンズ使用の質量分析装置の改善を図った。
この対物レンズのイオンレンズは2重のパイプ管と導電膜をコートした合成石英製円板から構成されている。円板には中央にΦ2mmの孔と内径がΦ2mmのパイプがあるが、このパイプ内径では、真空排気コンダクタンスは小さく高真空の質量分析部から試料室を隔離でなく大きい真空コンダクタンスのある小さい孔径の細管であるイオン輸送管に変更して問題を解決することにした。
【0018】
前項の(4)レーザースポットを直接観察し、分析部位を特定出来るようにすることの解決にはもともと、独立行政法人科学技術振興機構のパンフレット産学イノベーション加速事業先端計測分析技術機器開発成果集2010のページ16に或る従来例装置は顕微鏡とレーザー集光レンズが異なった位置に配置されていることに問題がある。これらの機能を一つのレンズで行うことで解決することにした。
【0019】
上記解決するための手段は加熱手段があるイオン輸送管を短焦点の対物レンズのセンターに配置し、この対物レンズを質量分析部と試料室の真空隔壁に用いることを特徴とする質量分析装置により達成できる。
【0020】
このイオン輸送管を過熱する手段であるイオン輸送管は金属キャピラリー管が用いられるので、金属キャピラリー管に直接通電して加熱する方法図 と金属キャピラリー管を細い絶縁碍子管に挿入して、絶縁碍子管に導電膜をコートするとか導電性の金属細管を被せる図3−1、3−2とか細い電熱線を巻く図3−3 など金属コート薄膜、金属管、電熱線に通電して加熱する方法を考案した。
【発明の効果】
【0021】
試料を観察したと同じ対物レンズでレーザー光を照射するので、観察視野内にレーザースポットを形成することが可能で、観察した特定部位に直接レーザー光をして分析が出来るようになる。イオン輸送管口は試料プレートと対向して導電膜をコートした合成石英製のイオン引き出し電極円板より少し図6 のように突きだして配置するので試料プレートとイオン輸送管と出来きる電場は図6 様になり、イオン粒子は電場に対して直交して飛行して、イオン輸送管口に収束する。イオン輸送管を過熱することで、イオン粒子の通過抵抗を小さく出来、高質量数のものまで高いスループットで通過するので、高い感度で測定を可能とする顕微レーザー質量分析装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施例1のイオン輸送管内蔵対物レンズ使用したイオン化室を結合したイオントラップ顕微レーザー質量分析装置
【図2】本発明の実施例2のイオン輸送管内蔵対物レンズ使用した顕微レーザー質量分析装置レーザー脱離イオン化質量分析装置概略図
【図3】イオン輸送管内蔵対物レンズの拡大図
【図3−1】イオン輸送金属細管自体に通電して加熱する手法図
【図3−2】イオン輸送金属細管に絶縁管を被せた上に金属管を装着し、その金属管に通電して過熱する方法図
【図3−3】イオン輸送金属細管に被せた絶縁管に電熱線を巻いて加熱する方法図
【図4】従来例1の顕微レーザー質量分析装置
【図5】従来例2の顕微レーザー質量分析装置
【図6】従来例3の顕微レーザー質量分析装置
【図7】従来例4のアインツエルイオンレンズ内蔵対物レンズ使用顕微レーザー質量分析装置
【図8】試料プレートとイオン輸送管口との間に出来る電場とイオン飛行経路図
【発明の実施するための最良の形態】
【0023】
本発明の一実施である顕微MALDI質量分析装置を図1に示す。紫外線レーザー光源22ーと紫外線レーザー光32を拡大して穴あき全反射ミラー7を介してイオン輸送管内蔵対物レンズ2に入射させる。レーザー光学系14にからの レーザー光32イオン輸送管内蔵対物レンズ2の焦点の位置に配置した試料1に集光する。レーザー光を集光する位置はCCDカメラ13で受けた映像をTVモニターカメラ23の画面を見ながらXYZステージ 10を操作して決定する。
【0024】
2,5−dihydroxybenzoic acid(DHB Mw224.07)、α―cyano―4−hydroxy cinnamic acid(CCA Mw189.04)、Sinapinic acid (SA Mw224.07)などのマトリックス試薬の飽和溶液を塗布した試料1はレーザー光線を受けイオン粒子20を発生する。発生したイオン粒子20はイオン輸送管2を通過して質量分析部9で分析される。
【0025】
図1の質量分析室9と試料室8の間に配置したイオン輸送管2は真空排気の良質のコンダクタンスとなり、質量分析部9をターボ真空排気ポンプなどで排気することで試料室8を低真空に保った状態で質量分析部9を超高真空にすることができる。この真空の良質のコンダクタンスとなるイオン輸送管は次のような3種類である。
【0026】
図3−1はイオン輸送部となる金属キャピラリー管4そのものに通電して過熱するほう方法である。内径Φ0.05〜0.5mmの微細空孔有する外径Φ1.5mmで長さ200mmの金属キャピラー管4の両端部と中央に金属電線を図3−1のように固定し、キャピラー管端部からの電気配線と中央部からでた金属電線との間に加熱用の電源30を配置した。熱電対29で、イオン輸送管である金属キャピラリー管4の温度を熱電対29で計測して、過熱用電源30の通電量をコントロールして、所定の温度にイオン輸送管3を加熱した。金属キャピー管4であるイオン輸送管3は対物レンズなどの光学素子を保護するために、断熱保護管31を被せて制作したのが実施例1の直接イオン輸送管過熱型のイオン輸送管3である。
【0027】
図3−1実施例はイオン輸送管先端部3に高い電圧を印加してイオンを試料から引き出して使う時は、イオン輸送管である金属キャピラー管も高電圧に印加されており、高電圧を印加した状態で加熱用に電気を加える必要があり、低電圧の加熱用電源を高い電圧の下で用いることは絶縁処理とかいろいろ問題が生じる恐れがあるので、加熱部とイオン輸送管である金属キャピラー管4との間を絶縁管6で電気的に分離することとした。イオン輸送管である金キャピラー管4を絶縁管6で絶縁し、その上の加熱金属管7あるいは加熱電熱線5で加熱することとした。図3−2イオン輸送管である金属キャピラリー管3にセラミック碍子管6を被せその碍子管7に加熱用金属パイプ7を被せて、被せた金属パイプの両端と中央から通電して加熱する方法で図3−3は過熱用金属パイプの代わりにタングステン細線かニクロム細線などの加熱電線5を巻き加熱方法である。そして、実施例1(図3−1)と同じ用に加熱金属パイプまたは加熱電線5を覆うように断熱保護管31被せてイオン輸送管実施例図3−2、図3−2を制作した。
【0028】
図3に示したように合成石英製ネサ導電膜をコートした引き出し電極円板11のセンターに開いた孔から2mmつき出でるように取り付けた。
【0029】
引き出し電極円板11からイオン輸送管3の先端部を突き出すことにより引き出し電極円板11と試料プレート間に出来る電場はイオン輸送管の先端部で電場は図8に示したように試料プレート側に突き出されるような形となる。レーザー光線により試料上で生成したイオンは電場に直交するように飛行するので、試料1付近では真上におしだされる。引き出し電極と試料間の電位差が大きいと角度を持って斜めに飛び出したイオンも引き出し電極板ひきつけられるように真上に飛行する。イオン輸送管近くではそこに出来た電場によりイオン輸送管の先端部に収束するようにイオンは行きつけられる。イオン輸送管の孔径よりレーザースポットは小さいので、そこで発生したイオンの大部分がイオン輸送管の孔内に入射することになる。イオン輸送管口の孔の位置から離れた位置で発生したイオンはそこに出来る電場はイオン輸送管に影響されないので図7 に示したように引き出し電極と試料プレートの間では平行な電場が出来るので、イオンはイオン輸送管には入射しない。
従って、レーザースポットはイオン輸送管の孔の真下になるように調性する必要がある。
【0030】
イオン輸送管、イオン輸送管内蔵対物レンズ、レーザー光源、試料XYZステージ、試料プレート、レーザー照射光源 観察用CCDカメラを取り付けて組み立てた顕微MALDI質量分析装置図1、図2を用いて生体組織試料を測定した結果良好な質量スペクトルが得られタンパク脂質など解析が可能であった。
【産業上の利用の可能性】
【0031】
本発明により、大気圧化で、生体試料を観察し、測定部位を特定した、微細に絞った試料サンプリングマイクロレーザービームで質量分析を可能とする試料イオン化室の提供を可能とする。生体組織中に異常タンパク、脂質、薬効成分出来る様になり、病気に原因解析、治療法の探索、薬剤の開発などに有用な機器となる。また、あらゆる産業分野における製造プロセスで発生する異物、汚染物の解明に有効に機能するので、医薬品だけでなく、食品、電子機器、自動車部品などの製造プロセスの安定化に繋がり、品質や歩留まりの向上に役に立つ技術となる。
【符号の説明】
【0032】
1・・・試料プレート(試料)
2・・・イオン輸送管内蔵対物レンズ
3・・・イオン輸送管
4・・・超微細金属管(イオン輸送金属キャピラリー)
5・・・微細電熱線
6・・・絶縁碍子管
7・・・加熱金属パイプ
8・・・イオン化室
7・・・孔開き全反射ミラー
8・・・排気用フランジ(ロータリーポンプ用)
9・・・質量分析装置
10・・・XYZ試料ステージ
11・・・引き出し電極円板
12・・・観察用TVモニターカメラ
13・・・データ処理部
14・・・レーザー光照射、観察光学系
15・・・四重極イオントラップ装置
16・・・飛行時間質量分析装置
17・・・リフレクトロン
18・・・MCP(マルチチャンネルイオン検出器)
19・・ 集光レンズ
20・・・イオン
21・・・イオンガイド
22・・・レーザー光源
23・・・TVモニター
24・・・計測制御コンピュータ
25・・・レーザースキャニング(レーザー走査機構)
26・・・顕微鏡
27・・・ターボポンプ(TMP)
28・・・イオン光軸
29・・・熱伝対(温度計測端子)
30・・・ヒーター電源
31・・・断熱保護管
32・・・レーザー光
33・・・レーザー光拡大レンズ
34・・・アインツエルイオンレンズ」
35・・・アインツエルイオンレンズ内蔵対物レンズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学顕微鏡で観察し分析部位を特定した部位にレーザー光線を照射して生成されたイオン粒子を質量分析する顕微レーザー質量分析装置において該対物レンズの光軸センターに貫通穴を開け、該穴部に微細孔イオン輸送細管を挿入した該対物レンズを用いることを特徴とする顕微レーザー質量分析装置
【請求項2】
請求項1の微細孔イオン輸送細管は金属細孔管、絶縁管、過熱ヒーター金属管、断熱管からなり、該微細孔イオン輸送細管は金属細孔管を加熱する機構を備えた該対物レンズを用いることを特徴とする顕微レーザー質量分析装置
【請求項3】
該イオン粒子を質量分析することに周波数変動方式四重極イオントラップと飛行時間質量分析装置を用いることを特徴とする顕微レーザー質量分析装置

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図3−1】
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【図3−2】
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【図3−3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−105737(P2013−105737A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−262912(P2011−262912)
【出願日】平成23年11月14日(2011.11.14)
【出願人】(302051980)有限会社 レーザー分光 (4)
【出願人】(511291821)
【Fターム(参考)】