説明

顕微鏡システム

【課題】多数の部分画像を組み合わせてなるマップ画像を短時間で生成する。
【解決手段】試料を収容した1以上の容器を搭載し該容器の位置を調節可能な電動ステージ5と、容器内の試料に照射するレーザ光を走査するスキャナ7と、走査されたレーザ光を試料に集光する対物レンズ8と、レーザ光の照射により試料において発生した蛍光を検出して試料の画像を取得する画像取得部9と、これらを収容する暗箱10とを備える顕微鏡2と、電動ステージ5に対する容器の搭載位置を記憶する記憶部と、記憶された容器の搭載位置に基づいて、画像取得部9により取得する容器内の部分画像の取得位置を設定する画像取得位置設定部と、設定された取得位置に基づいて、容器毎に複数枚の部分画像を取得するように顕微鏡2を制御する制御部3と、容器毎に取得された複数枚の部分画像を配列しマップ画像を生成するマップ画像生成部とを備える顕微鏡システム1を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顕微鏡システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の隣接する部分画像を組み合わせてより広い視野の画像、いわゆるマップ画像を生成する方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この特許文献1においては、より高い倍率で取得した他の部分画像群を前記マップ画像に対応づけることで、マップ画像から、高い倍率の画像の位置を突き止めるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2001−519944号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された方法では、マップ画像を生成するために観察可能な全範囲にわたって部分画像を取得する必要があり、試料が存在しない範囲についても部分画像を取得するため、マップ画像の生成に時間がかかり、多大な記憶容量が必要になるという不都合がある。特に、レーザ光を走査させて画像を取得する方式のレーザ走査型顕微鏡においては、試料の像を撮影するCCD等の撮像素子を用いる場合と比較して、画像取得に時間がかかるため、迅速にマップ画像を生成することができないという不都合がある。
【0005】
本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであって、多数の部分画像を組み合わせてなるマップ画像を短時間で生成することを可能とする顕微鏡システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明は以下の手段を提供する。
本発明は、試料を収容した1以上の容器を搭載し該容器の位置を調節可能な電動ステージと、該電動ステージ上に搭載された前記容器内の前記試料に照射するレーザ光を走査するスキャナと、該スキャナにより走査されたレーザ光を前記試料に集光する対物レンズと、該対物レンズによるレーザ光の照射により試料において発生した蛍光を検出して試料の画像を取得する画像取得部と、これらを収容する暗箱とを備える顕微鏡と、前記電動ステージに対する前記容器の搭載位置を記憶する記憶部と、該記憶部に記憶された前記容器の搭載位置に基づいて、前記画像取得部により取得する容器内の部分画像の取得位置を設定する画像取得位置設定部と、該画像取得位置設定部により設定された取得位置に基づいて、前記容器毎に複数枚の部分画像を取得するように前記顕微鏡を制御する制御部と、前記容器毎に取得された複数枚の部分画像を配列しマップ画像を生成するマップ画像生成部とを備える顕微鏡システムを提供する。
【0007】
本発明によれば、電動ステージ上に試料を収容した1以上の容器を搭載すると、記憶部に記憶されている容器の搭載位置に応じて、画像取得位置設定部が部分画像の取得位置を設定する。制御部は、設定された取得位置に基づいて顕微鏡を制御し、容器内の複数枚の部分画像を容器毎に取得させる。顕微鏡においては、スキャナにより走査されたレーザ光が対物レンズによって試料に集光され、試料において発生した蛍光が画像取得部により検出されることにより部分画像が取得される。そして、マップ画像生成部が、取得された複数枚の部分画像を配列することにより、部分画像より広い視野範囲にわたるマップ画像が生成される。
【0008】
この場合において、本発明によれば、画像取得位置設定部が、記憶部に記憶されている容器の搭載位置に応じて部分画像の取得位置を設定するので、搭載位置の近傍における容器内の必要な範囲にわたる部分画像のみを取得することが可能となる。その結果、容器外の部分画像を取得してしまう無駄を省いて、短時間に、かつ、少ない記憶容量でマップ画像を生成することができる。
【0009】
上記発明においては、前記制御部が、前記画像取得部により取得される前記部分画像の取得に際して、前記容器毎に少なくとも1回合焦動作を行うよう前記顕微鏡を制御することとしてもよい。
このようにすることで、容器毎に少なくとも1回試料に合焦されるので、試料が存在しない焦点面のみにおいて部分画像が取得されてしまう無駄を省くことができる。
【0010】
また、上記発明においては、前記画像取得位置設定部が、前記容器のほぼ中央から一方向に回転する順序で、隣接する前記部分画像を取得するように取得位置を設定することとしてもよい。
このようにすることで、試料の存在している可能性が高い容器のほぼ中央部から広がるように部分画像が取得されるので、容器内の全範囲にわたって部分画像を取得しなくても試料が存在するマップ画像を短時間で取得することができる。
【0011】
また、上記発明においては、前記電動ステージが相互に交差する複数の移動軸を備え、前記画像取得位置設定部が、前記複数の移動軸に交差する方向に隣接する部分画像を取得するように取得位置を設定してもよい。
このようにすることで、隣接する部分画像を取得するために電動ステージを作動させる場合に、複数の移動軸を同時に移動させることができ、各移動軸による移動距離を短縮して、移動時間を短縮し、短時間の内にマップ画像を生成することができる。例えば、直交する2方向に移動軸を有する場合、移動軸方向に隣接する部分画像を取得する場合には、1つの移動軸のみを距離Xだけ移動させる必要がある。しかし、2つの移動軸に対して45°の角度をなす方向に隣接する部分画像を取得する場合には、2つの移動軸をそれぞれX/√2ずつ同時に移動させれば足り、所要時間を約30%短縮することができる。
【0012】
また、上記発明においては、前記制御部が、多重染色された試料のマップ画像を生成する場合に、一部の蛍光色について容器毎に複数の部分画像を取得した後、取得された部分画像中で蛍光の存在する部分画像の取得位置において、他の蛍光色についても部分画像を取得するよう前記顕微鏡を制御し、前記マップ画像生成部は、複数の蛍光色について取得された部分画像を合成してマップ画像を生成することとしてもよい。
このようにすることで、多重染色画像が得られない領域について部分画像を取得してしまう無駄を省き、マップ画像を短時間で生成することができる。
【0013】
また、上記発明においては、前記制御部が、前記対物レンズの焦点位置を光軸方向に異ならせて複数組の部分画像群を取得するよう前記顕微鏡を制御し、前記マップ画像生成部は、取得された複数組の部分画像群を合成してマップ画像を生成することとしてもよい。
このようにすることで、異なる焦点面に存在する試料の位置を一目で確認することができるマップ画像を生成することができる。
【0014】
また、上記発明においては、前記制御部が、マップ画像を生成するための部分画像の取得に際して、被写界深度を増大させるよう前記顕微鏡を制御することとしてもよい。
このようにすることで、異なる焦点面に存在する試料の位置を一目で確認することができるマップ画像を生成することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、多数の部分画像を組み合わせてなるマップ画像を短時間で生成することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係る顕微鏡システムを示すブロック図である。
【図2】図1の顕微鏡システムにおけるサンプルホルダと、該サンプルホルダに搭載された容器の一例を示す斜視図である。
【図3】図1の顕微鏡システムの制御装置を示すブロック図である。
【図4】図2のサンプルホルダに保持された容器内に取得される部分画像およびマップ画像の一例を示す平面図である。
【図5】図1の顕微鏡システムによる部分画像の取得順序の一例を示す平面図である。
【図6】図1の顕微鏡システムによる部分画像の取得順序の他の例を示す平面図である。
【図7】図1の顕微鏡システムによる部分画像の取得方法の一例を示す平面図である。
【図8】図1の顕微鏡システムによる部分画像の取得方法の他の例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の一実施形態に係る顕微鏡システムについて、図1〜図8を参照して以下に説明する。
本実施形態に係る顕微鏡システム1は、図1に示されるように、レーザ走査型顕微鏡2と、該レーザ走査型顕微鏡2を制御する制御装置3とを備えている。
【0018】
レーザ走査型顕微鏡2は、試料を収容した複数の容器4(図2参照。)を搭載して移動させる電動ステージ5と、レーザ光を出射するレーザ光源部6と、レーザ光源部6からのレーザ光を2次元的に走査するスキャナ7と、該スキャナ7により走査されたレーザ光を試料に集光する対物レンズ8と、該対物レンズ8によるレーザ光の照射により試料において発生した蛍光を検出して試料の画像を取得する画像取得部9と、これらを収容する暗箱10とを備えている。
【0019】
暗箱10内は、電動ステージ5を含んだ上方の第1の領域11と、それより下方の第2の領域12とに区画されている。第1の領域11には、ヒータ13が配置され、領域11内の温度が所定の培養条件(例えば、27℃±0.5℃)となるように調整されている。
【0020】
第1の領域11内には、電動ステージ5に位置決め状態に搭載されるサンプルホルダ14が配置されている。
電動ステージ5は、図示しない3個のモータを備えていて、相互に直交するX,Y,Z方向の移動軸に沿って独立して移動することができ、搭載した容器4を3次元方向に移動させることができるようになっている。
【0021】
サンプルホルダ14は、図2に示されるように、貫通穴15aを有する平板状のプレート部15と、該プレート部15の貫通穴15aに一致する位置に配置されたシャーレ等の透明な容器4をプレート部15との間に挟んで位置決め状態に固定するホルダ部16とを備えている。サンプルホルダ14は電動ステージ5に設けられた図示しないセンサによってその種別が検出されるようになっている。
【0022】
また、サンプルホルダ14に搭載された複数の容器4は、簡易型インキュベータ17内に収容されてその培養条件(例えば、湿度100%およびCO濃度0.5%)が維持されるようになっている。図中符号18は、位相差観察用の位相差コンデンサである。
【0023】
レーザ光源部6は、異なる波長のレーザ光を出射する複数のレーザダイオード19と、これら複数のレーザダイオード19から発せられたレーザ光を単一の光路に合流させるミラー20およびダイクロイックミラー21とを備えている。
スキャナ7は、例えば、相互に直交する軸線回りに揺動させられる2枚のガルバノミラーを対向させて構成された、いわゆる近接ガルバノミラーである。
【0024】
対物レンズ8は、ドライ観察用の対物レンズ8aと、油浸または水浸観察用の対物レンズ8bとがレボルバ8cによって切り替え可能に設けられている。また、対物レンズ8にはオートフォーカス機能が備えられていて、定期的にまたは必要に応じて合焦位置を検出し、光軸に沿う方向に移動させられることにより、対物レンズ8の焦点位置を試料の表面に一致させることができるようになっている。
図中符号22は、対物レンズ8bと容器4底面との間に油浸用のエマージョンオイルまたは水浸用の水を供給するポンプ、符号23は、水またはエマージョンオイルを除去するためのエアブラシである。
【0025】
スキャナ7と対物レンズ8との間には、スキャナ7により走査されたレーザ光を集光する瞳投影レンズ24および結像レンズ25が配置されている。
画像取得部9は、レーザ光源部6とスキャナ7との間に挿入されて、試料から発せられ、対物レンズ8、結像レンズ25、瞳投影レンズ24およびスキャナ7を介して戻る蛍光をレーザ光の光路から分岐するビームスプリッタ26と、該ビームスプリッタ26により分岐された蛍光を集光するコンフォーカルレンズ27と、可変ピンホール28と、コリメートレンズ29と、該コリメートレンズ29により略平行光とされた蛍光を回折させて波長ごとに分離するグレーティング30と、該グレーティング30により分離された蛍光を集光する集光レンズ31と、集光された蛍光を波長ごとに分岐するビームスプリッタ32と、分岐された蛍光をそれぞれ検出する光検出器33とを備えている。可変ピンホール28は、対物レンズ8の焦点位置と光学的に共役な位置関係に配置されている。符号34はピンホールである。
【0026】
制御装置3は、図3に示されるように、サンプルホルダ14上における容器4の搭載位置をサンプルホルダ14の種別に対応づけて記憶する記憶部35と、センサによって検出されたサンプルホルダ14の種別に対応づけて該記憶部35に記憶されている容器4の搭載位置に基づいて、画像を取得する取得位置を設定する画像取得位置設定部36と、設定された取得位置において各容器4毎内の領域を複数に分割した部分領域の複数枚の部分画像Gaを取得するようにレーザ走査型顕微鏡2を制御する制御部37と、取得された複数枚の部分画像を配列してマップ画像Gを生成するマップ画像生成部38とを備えている。
【0027】
記憶部35に記憶する搭載位置としては、例えば、サンプルホルダ14のプレート部15に設けられた貫通穴15aの中心位置P等を挙げることができる。図4に示される例では、画像取得位置設定部36は、各容器4を搭載するサンプルホルダ14のプレート部15の各貫通穴15aの中心位置Pを中心として、相互に隣接する5×5=25枚の部分画像Gaの取得位置を設定するようになっている。
【0028】
このように構成された本実施形態に係る顕微鏡システム1の作用について説明する。
本実施形態に係る顕微鏡システム1によれば、サンプルホルダ14に複数の容器4を設置して、電動ステージ5上に搭載すると、電動ステージ5に設けられたセンサによりサンプルホルダ14の種別が検出され、検出されたサンプルホルダ14の種別に基づいて記憶部35内に記憶されている容器4の位置情報が読み出される。
【0029】
画像取得位置設定部36は、読み出された容器4の位置情報に基づいて、部分画像Gaを取得する画像取得位置を設定し、設定された取得位置に基づいて制御部37がレーザ走査型顕微鏡2を制御する。
レーザ走査型顕微鏡2においては、レーザ光源部6から出射されたレーザ光が、スキャナ7によって2次元的に走査される。制御部37は、レーザ光の走査位置および範囲が、各部分画像Gaの取得位置に一致するようにスキャナ7を制御する。
【0030】
スキャナ7により2次元的に走査されたレーザ光は瞳投影レンズ24、結像レンズ25および対物レンズ8を介して容器4内の試料に集光されるので、レーザ光の照射位置においては、試料内に存在している蛍光物質が励起されて蛍光が発生する。発生した蛍光は、対物レンズ8、結像レンズ25、瞳投影レンズ24およびスキャナ7を介して戻り、ビームスプリッタ26によって分岐されて画像取得部9に入射する。
【0031】
画像取得部9に入射した蛍光は、コンフォーカルレンズ27によって集光され、可変ピンホール28を通過した蛍光のみがコリメートレンズ29によって略平行光とされた後、グレーティング30によって分光されて集光レンズ31およびビームスプリッタ32を介して波長毎に異なる光検出器33により検出される。可変ピンホール28を十分に絞っておくことにより、対物レンズ8の焦点位置から発生した蛍光のみを通過させて光検出器33により検出させることができる。これにより、ブレのない鮮明な共焦点蛍光画像を取得することができる。
【0032】
画像取得位置設定部36は、サンプルホルダ14のプレート部15の貫通穴15aの中心位置Pを中心として、相互に隣接する5×5枚の部分画像Gaを取得するようにその取得位置を設定するので、画像取得部9により25枚の部分画像Gaが取得される。そして、マップ画像生成部38の作動により、取得された25枚の部分画像Gaが並べられて、容器4のほぼ全体領域を覆うマップ画像Gが生成される。
【0033】
さらに、画像取得位置設定部38は、複数の容器4に対して容器4毎に部分画像Gaの取得位置を設定するので、容器4外の余分な画像を取得することなく、容器4内の必要な範囲にわたる部分画像Gaのみを取得し、無駄を省いて、短時間に、かつ、少ない記憶容量でマップ画像Gを生成することができるという利点がある。
【0034】
なお、本実施形態においては、制御部37が、レーザ走査型顕微鏡2によって各容器4の部分画像Gaを取得させる際に、容器4毎に少なくとも1回、オートフォーカス機能によって合焦動作を行わせることが好ましい。このようにすることで、試料が存在しない焦点面のみにおいて部分画像Gaが取得されてしまう無駄を省くことができる。
【0035】
また、画像取得位置設定部38が、複数の部分画像Gaの取得順序を設定することにしてもよい。すなわち、図5に矢印で示されるように、容器4のほぼ中央から一方向に回転する順序で、隣接する部分画像Gaを取得するように取得順序を設定することにすれば、試料の存在している可能性が高い容器4のほぼ中央部から広がるように部分画像Gaが取得される。これにより、容器4内の全範囲にわたって部分画像Gaを取得しなくても試料が存在するマップ画像Gを早期に取得することができ、取得する部分画像Ga数を少なくして短時間で有効なマップ画像Gを取得することができる。
【0036】
また、画像取得位置設定部38が、電動ステージ5の複数の移動軸に交差する方向に隣接する部分画像Gaを取得するように取得順序を設定することにしてもよい。すなわち、例えば、図6に矢印示されるように、直交するX,Y2方向に同時に同一速度で電動ステージ5を移動させることにより、試料は2つの移動軸に対して45°の角度をなす方向に移動させられる。したがって、各移動軸は距離A/√2ずつ移動するだけで、移動軸に対して45°の角度をなす方向に距離Aだけ移動することができ、単一の移動軸で同じ距離Aだけ移動する場合と比較して移動に要する時間を約30%短縮できる。
【0037】
すなわち、隣接する部分画像Gaを取得するために電動ステージ5を作動させる場合に、複数の移動軸を同時に移動させることができ、各移動軸による移動距離を短縮して、移動時間を短縮し、短時間の内にマップ画像Gを生成することができるという利点がある。
【0038】
また、本実施形態においては、多重染色された試料のマップ画像Gを生成する場合に、図7(a)に示されるように、一部の蛍光色について容器4毎に複数の部分画像Gaを取得した後、制御部37が取得された部分画像Ga中で蛍光の存在する部分画像Gaの取得位置(図7(b)の斜線部)のみにおいて、他の蛍光色についても部分画像Gaを取得するようレーザ走査型顕微鏡2を制御してもよい。このようにすることで、一律に複数の蛍光色についてすべての領域の部分画像Gaを取得する場合と比較して、短時間で、所望の場所の多重染色されたマップ画像Gを得ることができるという利点がある。
【0039】
また、本実施形態においては、図8(a)に示されるように、制御部37が、対物レンズ8の焦点位置を光軸方向に異ならせて複数組の部分画像群Gbを取得するようレーザ走査型顕微鏡2を制御し、図8(b)に示されるように、マップ画像生成部38が、取得された複数組の部分画像群Gbを合成してマップ画像Gを生成することとしてもよい。
このようにすることで、電動ステージ5が傾いていたり、試料の存在位置が対物レンズ8の光軸方向に分布している場合であっても、合成されたマップ画像Gから試料の存在の有無を簡易に判定することができる。
【0040】
また、本実施形態においては、制御部37が、マップ画像Gを生成するための部分画像Gaの取得に際して、被写界深度を増大させるようレーザ走査型顕微鏡2を制御することとしてもよい。具体的には可変ピンホール28の口径を増加させることとしてもよい。
このようにすることで、対物レンズ8の光軸方向に分布する試料の位置にかかわらず、試料の存在する部分画像Gaを簡易に取得することができ、上記よりもさらに短時間に、試料の存在の有無を簡易に判定可能なマップ画像Gを生成することができる。
【符号の説明】
【0041】
G マップ画像
Ga 部分画像
1 顕微鏡システム
2 顕微鏡
3 制御装置(制御部)
4 容器
5 電動ステージ
7 スキャナ
8 対物レンズ
9 画像取得部
10 暗箱
35 記憶部
36 画像取得位置設定部
38 マップ画像生成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料を収容した1以上の容器を搭載し該容器の位置を調節可能な電動ステージと、該電動ステージ上に搭載された前記容器内の前記試料に照射するレーザ光を走査するスキャナと、該スキャナにより走査されたレーザ光を前記試料に集光する対物レンズと、該対物レンズによるレーザ光の照射により試料において発生した蛍光を検出して試料の画像を取得する画像取得部と、これらを収容する暗箱とを備える顕微鏡と、
前記容器の搭載位置を記憶する記憶部と、
該記憶部に記憶された前記容器の搭載位置に基づいて、前記画像取得部により取得する容器内の部分画像の取得位置を設定する画像取得位置設定部と、
該画像取得位置設定部により設定された取得位置に基づいて、前記容器毎に複数枚の部分画像を取得するように前記顕微鏡を制御する制御部と、
前記容器毎に取得された複数枚の部分画像を配列しマップ画像を生成するマップ画像生成部と、
前記容器を保持するホルダ部を有し、前記電動ステージへ搭載される試料ホルダとを備え、
前記記憶部は、前記試料ホルダにおける前記容器に関する位置情報を記憶し、
前記画像取得位置設定部は、前記記憶部に記憶された前記位置情報を用いて前記部分画像の前記取得位置を設定する顕微鏡システム。
【請求項2】
前記電動ステージが、複数種類の前記試料ホルダを交換可能に搭載し、
前記記憶部が、前記試料ホルダにおける前記容器に関する位置情報を前記試料ホルダの種類に対応づけて記憶する請求項1に記載の顕微鏡システム。
【請求項3】
前記制御部が、前記画像取得部により取得される前記部分画像の取得に際して、前記容器毎に少なくとも1回オートフォーカス機能によって合焦動作を行うよう前記顕微鏡を制御する請求項2に記載の顕微鏡システム。
【請求項4】
前記試料ホルダの種類を検出するセンサをさらに備え、
前記画像取得位置設定部は、前記センサにより検出された前記試料ホルダの種類に対応する前記記憶部に記憶された前記位置情報を用いて前記部分画像の前記取得位置を設定する請求項1から請求項3のいずれかに記載の顕微鏡システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−101400(P2013−101400A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−31267(P2013−31267)
【出願日】平成25年2月20日(2013.2.20)
【分割の表示】特願2008−250823(P2008−250823)の分割
【原出願日】平成20年9月29日(2008.9.29)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】