説明

顕微鏡システム

【課題】対物レンズとステージとの間の距離の拡張範囲を拡大することができる顕微鏡システムを提供すること。
【解決手段】標本が載置されるステージ10と、少なくともステージ10上の標本からの観察光を集光する対物レンズ25と、光源から射出され、標本を透過する照明光である透過照明光を標本へ照射する透過照明光学系と、透過照明光学系を保持するベース部21、ベース部21から直立する支柱22、支柱22のベース部21側と異なる側の端部に設けられ、光源から射出された本に反射させる照明光である落射照明光を標本へ照射する落射照明光学系を有する顕微鏡本体部20と、を備え、ステージ10および透過照明光学系は、顕微鏡本体部20と着脱可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、照明光を標本に照射し、標本が透過または反射した光をもとに生成された標本像を取得する顕微鏡システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、医学や生物学等の分野では、細胞等の観察に、標本を照明して観察する顕微鏡装置を有する顕微鏡システムが用いられている。また、工業分野においても、金属組織等の品質管理や、新素材の研究開発、電子デバイスや磁気ヘッドの検査等、種々の用途で顕微鏡装置が利用されている。標本の観察を行う顕微鏡システムとして、目視によるものの他、CCDカメラ等の撮像素子を用いて標本像を撮像し、モニタ表示する構成を有するものが知られている。
【0003】
近年、上述した顕微鏡システムを用いて観察する標本の種類の多様化に伴い、細胞のような極めて薄いものから小動物のような厚みのあるものまで観察できることが望まれている。この要望に対して、標本を載置するステージを保持するベース部、およびベース部に対して直立して形成された胴部を有するフレームと、胴部上端に設けられ、落射照明用光源を有する落射投光管と、対物レンズを保持し、胴部に沿って上下動可能な対物アームと、を備え、ステージのベース部に対する取り付け位置を変更する、または対物アームの上下方向の長さを変更して対物レンズとステージとの間の距離を変更することによって、標本の厚みに応じた観察を行うことができる顕微鏡が開示されている(例えば、特許文献1を参照)。この顕微鏡は、透過照明用光源を有するランプハウスを備えており、標本の透過照明観察も可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−31759号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1が開示する顕微鏡は、対物レンズとステージとの間の距離を拡張できるものの、ベース部には、入射した透過照明光を標本に向けて出射する構成を有するため、対物レンズとステージとの間における拡張範囲が制限されるおそれがあった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、対物レンズとステージとの間の距離の拡張範囲を拡大することができる顕微鏡システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる顕微鏡システムは、標本が載置されるステージと、少なくとも前記ステージ上の前記標本からの観察光を集光する対物レンズと、光源から射出され、前記標本を透過する照明光である透過照明光を前記標本へ照射する透過照明光学系と、前記透過照明光学系を保持するベース部、該ベース部から直立する支柱、該支柱の前記ベース部側と異なる側の端部に設けられ、光源から射出された前記標本に反射させる照明光である落射照明光の経路をなす落射照明部を有する顕微鏡本体部と、を備え、前記ステージおよび前記透過照明光学系は、前記顕微鏡本体部と着脱可能であることを特徴とする。
【0008】
また、本発明にかかる顕微鏡システムは、上記の発明において、前記支柱に設けられ、前記対物レンズを保持するレボルバを支持し、前記支柱に沿って昇降移動可能な対物アームを備え、前記ベース部は、前記ステージおよび前記透過照明光学系が前記顕微鏡本体部から離脱した状態で前記標本を載置可能であることを特徴とする。
【0009】
また、本発明にかかる顕微鏡システムは、上記の発明において、前記透過照明光学系は、コンデンサを有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明にかかる顕微鏡システムは、上記の発明において、前記顕微鏡本体部は、前記支柱に設けられ、前記ステージを着脱可能に支持し、前記支柱に沿って昇降移動可能な昇降部を有し、前記ステージおよび前記透過照明光学系が前記顕微鏡本体部から離脱した状態で、前記昇降部に取り付けられる載置部材を備え、前記載置部材は、前記透過照明光学系の配設領域で前記標本を載置することを特徴とする。
【0011】
また、本発明にかかる顕微鏡システムは、上記の発明において、前記昇降部は、コンデンサを着脱可能に支持することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明にかかる顕微鏡システムは、ステージおよび透過照明部が顕微鏡本体部に対して着脱可能であって、透過照明部が位置していた領域で厚みのある標本を保持するようにしたので、対物レンズとステージとの間の距離の拡張範囲を拡大することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本発明の実施の形態1にかかる顕微鏡システムの構成を示す模式図である。
【図2】図2は、図1の矢視A方向からみた模式図である。
【図3】図3は、本発明の実施の形態1にかかる顕微鏡システムの構成を示す部分断面図である。
【図4】図4は、本発明の実施の形態1の変形例1−1にかかる顕微鏡システムの構成を示す部分断面図である。
【図5】図5は、本発明の実施の形態1の変形例1−2にかかる顕微鏡システムの構成を示す部分断面図である。
【図6】図6は、本発明の実施の形態1の変形例1−3にかかる顕微鏡システムの構成を示す模式図である。
【図7】図7は、本発明の実施の形態1の変形例1−3にかかる顕微鏡システムの構成を示す模式図である。
【図8】図8は、本発明の実施の形態2にかかる顕微鏡システムの構成を示す模式図である。
【図9】図9は、図8の矢視B方向からみた模式図である。
【図10】図10は、本発明の実施の形態2にかかる顕微鏡システムの構成を示す部分断面図である。
【図11】図11は、本発明の実施の形態2の変形例2−1にかかる顕微鏡システムの構成を示す部分断面図である。
【図12】図12は、本発明の実施の形態2の変形例2−2にかかる顕微鏡システムの構成を示す部分断面図である。
【図13】図13は、本発明の実施の形態2の変形例2−3にかかる顕微鏡システムの構成を示す模式図である。
【図14】図14は、本発明の実施の形態2の変形例2−3にかかる顕微鏡システムの構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態を図面と共に詳細に説明する。なお、以下の実施の形態により本発明が限定されるものではない。また、以下の説明において参照する各図は、本発明の内容を理解し得る程度に形状、大きさ、および位置関係を概略的に示してあるに過ぎない。すなわち、本発明は各図で例示された形状、大きさ、および位置関係のみに限定されるものではない。
【0015】
(実施の形態1)
まず、本実施の形態1にかかる顕微鏡システムについて、図面を参照して詳細に説明する。図1は、本実施の形態1にかかる顕微鏡システム1の全体構成を示す模式図である。図2は、図1の矢視A方向からみた模式図である。本実施の形態1では、正立型の顕微鏡を例に説明する。
【0016】
顕微鏡システム1は、図1に示すように、厚さの小さい標本S1が載置されるステージ10と、側面視略C字状をなす顕微鏡本体20と、顕微鏡本体20の上部後方(図1の右方)に配設された落射照明用ランプハウス31と、顕微鏡本体20の底部後方(図1の右方)に配設された透過照明用ランプハウス32と、顕微鏡本体20の上部に載置された鏡筒33と、透過照明用ランプハウス32から射出される透過照明光を通過させる透過投光管34と、を備える。また、鏡筒33には、標本S1の標本像を目視観察するための接眼レンズ35が取り付けられている。
【0017】
ステージ10は、透過投光管34から鉛直方向に延びる略柱状の支持部材11,12によって支持されている。また、支持部材12は、コンデンサホルダ13を介してコンデンサ14を上下動可能に保持している。また、ステージ10には、標本S1を載置する載置面をXY平面とみたときに、ステージ10をX方向に移動させるX方向移動部101と、ステージ10をY方向に移動させるY方向移動部102と、が設けられている。X方向移動部101およびY方向移動部102は、それぞれ自転可能に設けられ、自転による回転量に応じて各方向にステージ10を移動させる。
【0018】
顕微鏡本体部20は、平板状をなすベース部21と、ベース部21から直立する支柱22と、支柱22のベース部21側と異なる側の端部に設けられ、支柱22が延びる方向と垂直な方向に延び、落射照明用ランプハウス31から射出される落射照明光を通過させる落射投光管23(落射照明光学系)と、支柱22によって上下動可能に支持されるとともに、レボルバ24を介して対物レンズ25を保持する側面視略L字状をなす対物アーム26と、を有する。
【0019】
支柱22は、ベース部21の板面から鉛直方向に延び、対物アーム26を移動させるための動力の入力を行う自転可能な入力部221を有する。入力部221は、例えばラックアンドピニオン等の焦準機構を介して回転動力を対物アーム26側に伝達し、入力部221(ピニオン)の回転量に応じて対物アーム26を上下方向に移動させる。なお、ラックは、対物アーム26に形成されてもよいし、対物アーム26と連結する別部材として設けられてもよい。また、支柱22は、透過照明用ランプハウス32と接続し、透過照明用ランプハウス32から射出された透過照明光を透過投光管34に対して出射する。
【0020】
落射投光管23は、落射照明用ランプハウス31から射出される光軸N1の落射照明光を通過させるとともに、キューブユニット231によって、軸N2方向に落射照明光を反射させる。なお、この軸N2は、対物レンズ25の光軸と一致する。キューブユニット231は、図示しない複数のキューブを有し、各キューブを検鏡法に応じて選択的に光路上に配置させる。このキューブによって、落射照明用ランプハウス31からの落射照明光の標本S1側への切り替え、または標本S1からの光(観察光)の接眼レンズ35側への切り替えを行うことで、光路の切り替えを行うことができる。
【0021】
レボルバ24は、顕微鏡本体部20に対してスライド自在または回転自在に設けられ、対物レンズ25を標本S1の上方に配置する。レボルバ24は、電動レボルバ等を用いて構成される。レボルバ24は、マウンタによって倍率(観察倍率)が異なる複数の対物レンズ25を保持し、観察光の光路上に挿入されて標本S1の観察に用いる対物レンズ25を択一的に切換える。
【0022】
対物レンズ25は、たとえば1倍,2倍,4倍の比較的倍率の低い対物レンズ(以下、「低倍対物レンズ」という)と、10倍,20倍,40倍の低倍対物レンズの倍率に対して高倍率である対物レンズ(以下、「高倍対物レンズ」という)とを少なくとも一つずつレボルバ24に装着させる。なお、低倍対物レンズおよび高倍対物レンズの倍率は一例であり、高倍対物レンズが低倍対物レンズに対して高ければよい。
【0023】
透過投光管34は、透過照明用ランプハウス32から支柱22を介して射出される透過照明光を通過させるとともに、ミラー341によって、軸N2方向に透過照明光を反射させる。なお、この軸N2は、対物レンズ25の光軸と一致する。ミラー341によって反射した透過照明光は、出射窓342からコンデンサ14(標本S1)に向けて出射される。なお、本実施の形態1では、透過投光管34およびコンデンサ14が透過照明光学系を構成する。
【0024】
また、透過投光管34は、図2に示すように、透過投光管34が延びる方向と直交する方向に突出した突出部34aを介して、ボルト343によってベース部21に固定されている。このとき、透過投光管34のベース部21に対する固定においては、図示しないノックピンあるいは、加工の突き当て面などで、位置決め固定されている。なお、ベース部21および透過投光管34に対して凹形状および凸形状をそれぞれ形成して、ベース部21に対して透過投光管34の載置位置が案内されるものであってもよい。
【0025】
落射照明用ランプハウス31および透過照明用ランプハウス32は、光源311,321から出射された光を集光レンズ312,322によって集光して、ランプハウスの外部に射出する。
【0026】
このような構成において、図1では、標本S1として細胞のような極めて薄いものの観察を行う。ここで、標本S1を透過観察する場合、透過照明用ランプハウス32の光源321からの透過照明光は、透過投光管34の内部のミラー341で反射して、出射窓342より出射され、コンデンサ14を通過した後、標本S1を透過して対物レンズ25、キューブユニット231を介して接眼レンズ35に入射される。
【0027】
また、標本S1を落射観察する場合、落射照明用ランプハウス31の光源311からの落射照明光は、キューブユニット231で反射され、対物レンズ25を介して標本S1に照射されるとともに、この照射光を反射した標本S1からの光が対物レンズ25、キューブユニット231を介して接眼レンズ35に入射される。
【0028】
このとき、入力部221を回転操作して図示しない焦準機構を介して対物アーム26を支柱22の長手方向に沿って上下動させることにより、対物レンズ25を軸N2に沿って移動させることで焦準操作を行うことができる。
【0029】
一方、厚みのある標本S2の観察を行う場合は、落射照明光を用いた観察となる(図3参照)。この場合、図2に示すボルト343をベース部21から外して、透過投光管34をベース部21から取り外す。その後、ステージ10を固定している図示しないボルトを緩めて外し、支持部材11,12からステージ10を取り外す。これにより、透過投光管34が配設されていた領域を、標本S2を載置することが可能な領域(標本載置可能領域)とすることができる。
【0030】
このとき、図3に示すように、透過照明用ランプハウス32を支柱22から取り外してもよい。また、支持部材11,12、コンデンサ14(コンデンサホルダ13)を透過投光管34から取り外すことも可能である。
【0031】
この状態で厚みのある標本S2をベース部21に載置して、上述した落射観察を行うことができる。ここで、ベース部21には除振台などに顕微鏡を固定するための複数のボルト穴21aが設けてあり、ボルト211によって除振台に固定されていることが好ましい。
【0032】
上述した本実施の形態1によれば、ステージを支持する透過投光管を取り外し、この透過投光管を載置していた載置面に厚みのある標本を載置するようにしたので、対物レンズとステージとの間の距離の拡張範囲を拡大することができる。
【0033】
また、本実施の形態1では、透過投光管34の取り外し作業を行うのみで、標本S2に対応した対物レンズ25とステージ10との間の距離を変更することができるため、構成部材を増大させることなく、効率よく標本の観察を行うことが可能となる。
【0034】
なお、上述した顕微鏡システムに対して、厚みの異なるベース部や、長さの異なる支柱にそれぞれ取り替えて対物レンズとステージとの距離を変更してもよい。これにより、標本に適したベース部や支柱を選択することにより効率的に観察することが可能となる。また、ステージを顕微鏡本体と独立して設けてもよい。これにより、ランプハウスから射出される照明光の熱による合焦位置の変化を防止することができる。
【0035】
図4は、本実施の形態1の変形例1−1にかかる顕微鏡システムの構成を示す部分断面図である。図4に示す変形例1−1のように、図3に示すベース部21に対して支持部材11より長手方向の長さの短い支持部材15を固定して、この支持部材15がステージ10を支持することにより、ステージ10の高さを変更するものであってもよい。
【0036】
図5は、本実施の形態1の変形例1−2にかかる顕微鏡システムの構成を示す部分断面図である。図5に示す変形例1−2のように、図3に示すベース部21に対してランニングマシン36を固定して、標本となる動物の運動状態を観察するものであってもよい。なお、ランニングマシン36は、例えばボルト361によってベース部21に固定される。
【0037】
図6,7は、本発明の実施の形態1の変形例1−3にかかる顕微鏡システムの構成を示す模式図である。図6,7に示す顕微鏡システム1aのように、落射照明光としてレーザ光を射出するレーザユニット40と、上述したベース部21、支柱22、および支柱22のベース部21側と異なる側の端部に支持され、支柱22が延びる方向と垂直な方向に延び、一方の端部側でレーザユニット40と連結して、レーザユニット40から射出されたレーザ光を取り込んで、取り込んだレーザ光を対物レンズ25側に出射するレーザ投光管27を有する顕微鏡本体部20aと、を備える。
【0038】
レーザユニット40は、例えば、所定波長のレーザ光を発振する光源ユニット40aと、光源ユニット40aから発振されたレーザ光をレーザ投光管27に向けて射出するとともに、標本Sが反射した光を、レーザ投光管27を介して入射するレーザ光学系40bと、レーザ投光管27からレーザ光学系40bに入射した光を検出する検出部40cとで構成される。レーザユニット40は、具体的には、レーザ光を発振するレーザ光発振部、レーザ光発振部から射出されたレーザ光を反射する反射ミラー、レーザ光の透過および反射を選択的に行うダイクロイックミラーや、レーザ光を平行光とするコリメートレンズ等を1または複数備え、音響光学可変フィルタ、シングルモードファイバを介して所定波長のレーザ光(光軸N3)を外部(顕微鏡本体部20a)に射出する。また、レーザユニット40は、レーザ投光管27を介して標本Sから反射された反射光を入射し、この入射光を検出する検出部を有する。
【0039】
レーザ投光管27は、レーザユニット40からのレーザ光を瞳投影レンズ271、結像レンズ272および上述したキューブユニット231を介して対物レンズ25にレーザ光を入射させる。
【0040】
また、従来の技術として、ベース部から鉛直方向に延びる支柱に対して、所望の高さ位置に対物レンズ、レーザ投光管を含む焦準機構を設けて、対物レンズとステージとの間の距離を変更することが挙げられるが、支柱に取り付ける焦準機構が上述したレーザユニットのように大型で質量の大きなユニットを搭載する場合、このユニットによる荷重が、支柱に取り付けられた焦準機構に加わって、光軸にずれなどが生じる場合があった。また、レーザユニットを載置台等に載置する場合であっても、レーザユニットと投光管とを連結する連結部材に対して、焦準機構の上下移動に対して追従可能となるような構成とする必要があった。
【0041】
これに対して、上述した変形例1−3によれば、ステージを支持する透過投光管を取り外し、この透過投光管を載置していた載置面に標本を載置するようにしたので、標本の厚みに応じて対物レンズとステージとの間の距離を拡大することができるとともに、対物レンズとステージとの間の距離を変更した際であってもレーザ投光管の位置を変えることなく対応することが可能である。また、レーザユニットによる光軸のずれを防止することができる。
【0042】
(実施の形態2)
図8は、本実施の形態2にかかる顕微鏡システム1bの構成を示す模式図である。図9は、図8の矢視B方向からみた模式図である。なお、図1等で上述したものと同じ構成要素には同じ符号を付してある。顕微鏡システム1bは、上述したステージ10、落射照明用ランプハウス31、透過照明用ランプハウス32、鏡筒33と、側面視略C字状をなす顕微鏡本体20bと、透過照明用ランプハウス32から射出される透過照明光を通過させる透過投光管37と、を備える。
【0043】
顕微鏡本体20bは、上述したベース部21、支柱22と、支柱22のベース部21側と異なる側の端部に支持され、支柱22が延びる方向と垂直な方向に延び、落射照明用ランプハウス31から射出される落射照明光を通過させる落射投光管23aと、対物レンズ25を保持し、落射投光管23aに保持されるレボルバ24aと、を備える。また、支柱22には、支柱22に沿って昇降移動する昇降部28が設けられる。昇降部28は、ステージ10およびコンデンサホルダ13を保持する保持部材29を着脱可能に支持している。ここで、ステージ10とコンデンサ14とは、距離関係が固定された状態で昇降部28に支持されている。
【0044】
また、支柱22は、自転可能に設けられ、昇降部28を移動させるための動力の入力を行う入力部222を有する。入力部222は、例えばラックアンドピニオン等の焦準機構を介して回転動力を昇降部28側に伝達し、入力部222(ピニオン)の回転量に応じて昇降部28を上下方向に移動させる。なお、ラックは、昇降部28に形成されてもよいし、昇降部28と連結する別部材として設けられてもよい。
【0045】
また、透過投光管37は、図9に示すように、透過投光管37が延びる方向と直交する方向に突出した突出部37aを介して、ボルト371によってベース部21に固定されている。このとき、透過投光管37のベース部21に対する固定においては、図示しないノックピンあるいは、加工の突き当て面などで、位置の再現性よく固定できている。なお、ベース部21および透過投光管37に対して凹形状および凸形状をそれぞれ形成して、ベース部21に対して透過投光管37の載置位置が案内されるものであってもよい。
【0046】
このような構成において、図8では、標本S1として細胞のような極めて薄いものの観察を行う。ここで、標本S1を透過観察する場合、透過照明用ランプハウス32の光源321からの透過照明光は、透過投光管37の内部のミラー341で反射して、出射窓342より出射され、コンデンサ14を通過した後、標本S1を透過して対物レンズ25、キューブユニット231を介して接眼レンズ35に入射される。
【0047】
また、標本S1を落射観察する場合、落射照明用ランプハウス31の光源311からの落射照明光は、キューブユニット231で反射され、対物レンズ25を介して標本S1に照射されるとともに、この照射光を反射した標本S1からの光が対物レンズ25、キューブユニット231を介して接眼レンズ35に入射される。
【0048】
このとき、入力部222を回転操作して図示しない焦準機構を介して昇降部28を支柱22の長手方向に沿って上下動させることにより、ステージ10を軸N2に沿って移動させることで焦準操作を行うことができる。
【0049】
一方、厚みのある標本S2の観察を行う場合は、落射照明光を用いた観察となる(図10参照)。この場合、図9に示すボルト371をベース部21から外して、透過投光管37をベース部21から取り外す。その後、昇降部28および保持部材29を固定している図示しないボルトを緩めて外し、ステージ10およびコンデンサホルダ13を保持している保持部材29を昇降部28から取り外す。このとき、昇降部28に支持されているステージ10およびコンデンサホルダ13(コンデンサ14)は、一体的に取り外される。保持部材29を取り外した後、側面視略L字状をなす載置部材38を昇降部28に取り付ける。これにより、載置部材38の標本載置面を、透過投光管37が配設されていた領域に配置することができる。
【0050】
このとき、図10に示すように、透過照明用ランプハウス32を支柱22から取り外してもよい。また、ステージ10を保持部材29から取り外すことも可能である。
【0051】
この状態で厚みのある標本S2を載置部材38に載置して、入力部222により載置部材38を昇降させることによって、上述した落射観察を行うことができる。ここで、ベース部21には除振台などに顕微鏡を固定するべく、複数のボルト穴21aが設けてあり、ボルト211によって除振台に固定されていることが好ましい。
【0052】
上述した本実施の形態2によれば、ベース部上の透過投光管を取り外し、この透過投光管が位置していた領域で厚みのある標本を載置するようにしたので、対物レンズとステージとの間の距離の拡張範囲を拡大することができる。
【0053】
図11は、本実施の形態2の変形例2−1にかかる顕微鏡システムの構成を示す部分断面図である。図11に示す変形例2−1のように、図10に示す昇降部28に対して軸N2方向の長さの短いステージ保持部材39を固定して、このステージ保持部材39がステージ10を支持することにより、ステージ10の高さを変更するものであってもよい。
【0054】
図12は、本実施の形態2の変形例2−2にかかる顕微鏡システムの構成を示す部分断面図である。図12に示す変形例2−2のように、図10に示す昇降部28に対してステージ10に上述した載置部材38を固定して、この載置部材38がランニングマシン36を保持して、標本となる動物の運動状態を観察するものであってもよい。なお、ランニングマシン36は、例えばボルト361によって載置部材38に固定される。
【0055】
図13,14は、本発明の実施の形態2の変形例2−3にかかる顕微鏡システムの構成を示す模式図である。上述した変形例1−3のように、図12,13に示す顕微鏡システム1cとして、上述した顕微鏡システム1bに対して、落射照明用ランプハウス31に代えてレーザユニット40と、落射投光管23aに代えてレーザ投光管27aを有する顕微鏡本体部20cと、を備える構成であってもよい。
【0056】
これにより、上述した変形例1−3と同様、ステージを支持する透過投光管を取り外し、この透過投光管を載置していた載置面に標本を載置するようにしたので、標本の厚みに応じて対物レンズとステージとの間の距離を拡大することができるとともに、対物レンズとステージとの間の距離を変更した際であってもレーザ投光管の位置を変えることなく対応することが可能である。また、レーザユニットによる光軸のずれを防止することができる。
【0057】
以上のように、本発明にかかる顕微鏡システムは、対物レンズとステージとの間の距離の拡張範囲を拡大することに有用である。
【符号の説明】
【0058】
1,1a,1b,1c 顕微鏡システム
10 ステージ
11,12,15 支持部材
13 コンデンサホルダ
14 コンデンサ
20,20a,20b,20c 顕微鏡本体部
21 ベース部
21a ボルト穴
22 支柱
23,23a 落射投光管
24,24a レボルバ
25 対物レンズ
26 対物アーム
27,27a レーザ投光管
28 昇降部
29 保持部材
31 落射照明用ランプハウス
32 透過照明用ランプハウス
33 鏡筒
34,37 透過投光管
34a,37a 突出部
35 接眼レンズ
36 ランニングマシン
38 載置部材
39 ステージ保持部材
40 レーザユニット
40a 光源ユニット
40b レーザ光学系
40c 検出部
101 X方向移動部
102 Y方向移動部
221,222 入力部
231 キューブユニット
311,321 光源
312,322 集光レンズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
標本が載置されるステージと、
少なくとも前記ステージ上の前記標本からの観察光を集光する対物レンズと、
光源から射出され、前記標本を透過する照明光である透過照明光を前記標本へ照射する透過照明光学系と、
前記透過照明光学系を保持するベース部、該ベース部から直立する支柱、該支柱の前記ベース部側と異なる側の端部に設けられ、光源から射出された前記標本に反射させる照明光である落射照明光を前記標本へ照射する落射照明光学系を有する顕微鏡本体部と、
を備え、
前記ステージおよび前記透過照明光学系は、前記顕微鏡本体部と着脱可能であることを特徴とする顕微鏡システム。
【請求項2】
前記支柱に設けられ、前記対物レンズを保持するレボルバを支持し、前記支柱に沿って昇降移動可能な対物アームを備え、
前記ベース部は、前記ステージおよび前記透過照明光学系が前記顕微鏡本体部から離脱した状態で前記標本を載置可能であることを特徴とする請求項1に記載の顕微鏡システム。
【請求項3】
前記透過照明光学系は、コンデンサを有することを特徴とする請求項2に記載の顕微鏡システム。
【請求項4】
前記顕微鏡本体部は、前記支柱に設けられ、前記ステージを着脱可能に支持し、前記支柱に沿って昇降移動可能な昇降部を有し、
前記ステージおよび前記透過照明光学系が前記顕微鏡本体部から離脱した状態で、前記昇降部に取り付けられる載置部材を備え、
前記載置部材は、前記透過照明光学系の配設領域で前記標本を載置することを特徴とする請求項1に記載の顕微鏡システム。
【請求項5】
前記昇降部は、コンデンサを着脱可能に支持することを特徴とする請求項4に記載の顕微鏡システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−105155(P2013−105155A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−250941(P2011−250941)
【出願日】平成23年11月16日(2011.11.16)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】