説明

顕微鏡システム

【課題】光源からの熱伝導による合焦位置の変化を防止することができる顕微鏡システムを提供すること。
【解決手段】土台をなすベース部11、ベース部11の底面と略平行に延びるアーム部13、およびベース部11とアーム部13との端部同士を連結するフレーム部12を有する側面視で略C字状をなし、光源からの照明光を標本Sに向けて出射する照明光学系を保持する顕微鏡本体部10と、顕微鏡本体部10と連結し、照明光学系に照明光を射出するランプハウス20と、標本Sが載置されるステージ41を支持するとともに、およびステージ10上の標本Sからの観察光を集光してS標本に対して焦準する対物レンズ43を少なくとも保持する焦準部40と、を備え、照明光の光軸に対して対物レンズ43の光軸を一致させた状態において、顕微鏡本体部10と焦準部40とは非接触である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、照明光を標本に照射し、標本が透過または反射した光をもとに生成された標本像を取得する顕微鏡システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、医学や生物学等の分野では、細胞等の観察に、標本を照明して観察する顕微鏡装置を有する顕微鏡システムが用いられている。また、工業分野においても、金属組織等の品質管理や、新素材の研究開発、電子デバイスや磁気ヘッドの検査等、種々の用途で顕微鏡装置が利用されている。また、標本の観察を行う顕微鏡システムとして、目視によるものの他、CCDカメラ等の撮像素子を用いて標本像を撮像し、モニタ表示する構成を有するものが知られている。
【0003】
顕微鏡システムでは、標本の微小な領域を拡大して観察するため、多量の光を標本に射出しなければならない。そのため、顕微鏡システムでは、光源として水銀ランプやハロゲンランプが用いられている。また、観察者が机上に腕を置いて楽な姿勢で観察したり、机上でメモを取ったりすることなどから、観察者の邪魔にならないように、光源は、観察者からみて顕微鏡システムの背面に取り付けられることが多い。
【0004】
例えば、従来の透過型の顕微鏡システム100は、図17に示すように、略C字状をなす顕微鏡本体部110と、顕微鏡本体部110に取り付けられ、標本Sを透過させるための照明光を射出するランプハウス120と、顕微鏡本体部110に取り付けられ、標本Sを透過した光(観察光)を鏡筒131またはカメラ132に導くアダプタ130と、を備える。顕微鏡本体部110は、土台をなすベース部111と、ベース部111の底面と略平行に延びるアーム部112と、ベース部111およびアーム部112の端部同士を連結するフレーム部113と、を有する。
【0005】
ベース部111は、ランプハウス120と連結し、ランプハウス120からの照明光を標本Sに向けて射出する。ベース部111は、光源の色調や明るさを調整するためのフィルタを保持する複数のフィルタ114からなるフィルタ挿抜機構と、照明光を標本Sに向けて反射するミラー115とで構成される照明光学系を有し、ランプハウス120からの照明光を、標本S側に向けて射出する。
【0006】
アーム部112は、レボルバ118を介して対物レンズ117を保持するとともに、対物レンズ117の光軸に沿って設けられる観察光学系を内部に有する。また、アーム部112に連結するアダプタ130は、この観察光学系から得られる観察光に対して鏡筒131またはカメラ132への光路の切り替え、もしくは50:50等の比率で両方に分岐を行う。
【0007】
フレーム部113は、ベース部111から鉛直方向に延びており、標本Sを載置するステージ116を有する。また、ステージ116は、標本Sを載置するほか、ベース部111からの照明光を標本Sに集光させるレンズを有するコンデンサユニット119を支持している。ステージ116は、対物レンズ117の光軸に沿って上下動可能であるとともに、標本Sを載置する標本載置面を、この平面に平行な方向に移動することが可能である。
【0008】
ランプハウス120は、光源121と、光源121から射出された光を集めるコレクタレンズ122と、熱線(赤外線)を吸収する熱線吸収フィルタ123と、を有する。
【0009】
上述した構成によって、ランプハウス120から射出された照明光が標本Sを透過し、透過した標本Sからの光が、対物レンズ117、観察光学系を介して鏡筒131および/またはカメラ132に伝達されることで、標本Sの観察像を観察することができる。
【0010】
このとき、上述した従来の顕微鏡システム100では、標本Sの観察時に、ランプハウス120(光源121)で発生する熱が、顕微鏡本体部110のベース部111およびフレーム部113に伝導し、この熱によって顕微鏡本体部110が、熱膨張や、顕微鏡本体部110の熱分布が不均一になる。これにより、顕微鏡本体部110が変形し、標本Sを支持しているステージ116と、対物レンズ117との間の距離が数ミクロンから数十ミクロン変化する。このステージ116と対物レンズ117との間の距離の変化は、顕微鏡の極めて小さい焦点深度範囲には影響が大きく、一度調整した合焦位置が失われてしまうという問題が生じていた。
【0011】
この問題に対して、熱によるフレーム部の伸び変形をアーム部の曲げ変形により相殺させて、ステージと対物レンズとの距離の変化を抑える技術が開示されている(例えば、特許文献1を参照)。具体的には、顕微鏡本体部のベース部、フレーム部およびアーム部をそれぞれ別体とし、締結部材を介してそれぞれが固定されてなり、ベース部とフレーム部との接触面積を所定の接触面積よりも小さく形成することで、電源および照明光学系から、フレーム部およびアーム部への熱伝導を減少させたり、フレーム部およびアーム部をそれぞれ互いに熱膨張率の異なる材料により形成したりする。
【0012】
また、顕微鏡本体部のベース部およびフレーム部や、フレーム部およびアーム部の間の接触面積を小さくするための接触面積調整部材を備え、接触面積調整部材によりベース部からフレーム部や、アーム部からフレーム部への熱伝導を減少させることで、ステージと対物レンズとの距離の変化を抑える技術が開示されている(例えば、特許文献2を参照)。
【0013】
さらに、図18に示す顕微鏡システム200のように、顕微鏡本体部110およびランプハウス120とそれぞれ連結するアダプタ140によって、顕微鏡本体部110とランプハウス120との間の距離を大きくし、ランプハウス120から顕微鏡本体部110への熱伝導を減少させることが挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2001−66514号公報
【特許文献2】特開2001−66515号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、従来の顕微鏡システムでは、顕微鏡本体部110とランプハウス120(光源)とが直接連結しているため、ランプハウス120から顕微鏡本体部110への熱伝導は避けられず、少なからず伝導された熱によってステージと対物レンズとの距離が変化していた。これにより、調整した合焦位置が変化してしまうというおそれがあった。
【0016】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、光源からの熱伝導による合焦位置の変化を防止することができる顕微鏡システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる顕微鏡システムは、土台をなすベース部、該ベース部の底面と略平行に延びるアーム部、および前記ベース部と前記アーム部との端部同士を連結するフレーム部を有する側面視で略C字状をなし、光源からの照明光を前記標本に向けて出射する照明光学系を保持する顕微鏡本体部と、前記顕微鏡本体部と連結し、前記照明光学系に前記照明光を射出する光源部と、標本が載置されるステージを支持するとともに、および前記ステージ上の前記標本からの観察光を集光して前記標本に対して焦準する対物レンズを少なくとも保持する焦準部と、を備え、前記照明光の光軸に対して前記対物レンズの光軸を一致させた状態において、前記顕微鏡本体部と前記焦準部とは非接触であることを特徴とする。
【0018】
また、本発明にかかる顕微鏡システムは、上記の発明において、前記焦準部は、前記照明光を集光するコンデンサを有することを特徴とする。
【0019】
また、本発明にかかる顕微鏡システムは、上記の発明において、前記焦準部と前記顕微鏡本体部とが、前記照明光の光軸に対して前記対物レンズの光軸が一致した状態となるように位置決めする位置決め部材を備えたことを特徴とする。
【0020】
また、本発明にかかる顕微鏡システムは、上記の発明において、前記顕微鏡本体部および前記焦準部は、底部に挿入穴を有し、前記位置決め部材は、平板状の部材からなり、前記挿入穴に応じた位置に配置される挿通穴と、前記挿通穴に挿通され、前記焦準部および前記顕微鏡本体部に挿入されて該焦準部および前記顕微鏡本体部を位置決めするピンと、を有することを特徴とする。
【0021】
また、本発明にかかる顕微鏡システムは、上記の発明において、前記位置決め部材は、前記顕微鏡本体部を固定して位置決めする顕微鏡本体固定部と、前記焦準部を固定して位置決めする焦準部固定部と、を有することを特徴とする。
【0022】
また、本発明にかかる顕微鏡システムは、上記の発明において、前記位置決め部材は、前記顕微鏡本体部から突出して、前記焦準部の所定位置と接触することを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、照明光の光軸と対物レンズの光軸とが一致した状態で、光源と、ステージおよび対物レンズとが非接触、または顕微鏡本体部と焦準部との接触面積を小さくするようにしたので、光源からの熱伝導による合焦位置の変化を防止することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は、本発明の実施の形態1にかかる顕微鏡システムの構成を示す模式図である。
【図2】図2は、本発明の実施の形態1にかかる顕微鏡システムの構成を示す模式図である。
【図3】図3は、本発明の実施の形態1の変形例1−1にかかる顕微鏡システムの構成を示す模式図である。
【図4】図4は、本発明の実施の形態1の変形例1−2にかかる顕微鏡システムの構成を示す模式図である。
【図5】図5は、本発明の実施の形態1の変形例1−3にかかる顕微鏡システムの構成を示す模式図である。
【図6】図6は、本発明の実施の形態2にかかる顕微鏡システムの構成を示す部分断面図である。
【図7】図7は、本発明の実施の形態2にかかる顕微鏡システムの要部の構成を示す模式図である。
【図8】図8は、本発明の実施の形態2の変形例2−1にかかる顕微鏡システムの要部の構成を示す模式図である。
【図9】図9は、本発明の実施の形態3にかかる顕微鏡システムの構成を示す模式図である。
【図10】図10は、図9のA−A線断面を示す断面図である。
【図11】図11は、本発明の実施の形態3にかかる顕微鏡システムの要部の構成を示す部分断面図である。
【図12】図12は、本発明の実施の形態3の変形例3−1にかかる顕微鏡システムの構成を示す断面図である。
【図13】図13は、本発明の実施の形態3の変形例3−1にかかる顕微鏡システムの要部の構成を示す部分断面図である。
【図14】図14は、本発明の実施の形態3の変形例3−2にかかる顕微鏡システムの要部の構成を示す部分断面図である。
【図15】図15は、本発明の実施の形態4にかかる顕微鏡システムの要部の構成を示す模式図である。
【図16】図16は、本発明の実施の形態4の変形例4−1にかかる顕微鏡システムの構成を示す模式図である。
【図17】図17は、従来の顕微鏡システムの構成を示す模式図である。
【図18】図18は、従来の顕微鏡システムの構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を実施するための形態を図面と共に詳細に説明する。なお、以下の実施の形態により本発明が限定されるものではない。また、以下の説明において参照する各図は、本発明の内容を理解し得る程度に形状、大きさ、および位置関係を概略的に示してあるに過ぎない。すなわち、本発明は各図で例示された形状、大きさ、および位置関係のみに限定されるものではない。
【0026】
(実施の形態1)
まず、本実施の形態1にかかる顕微鏡システム1について、図面を参照して詳細に説明する。図1,2は、本実施の形態1にかかる顕微鏡システム1の構成を示す模式図である。本実施の形態1では、透過型の正立顕微鏡を例に説明する。
【0027】
顕微鏡システム1は、側面視で略C字状をなす顕微鏡本体部10と、顕微鏡本体部10に取り付けられ、標本Sを透過させるための照明光を射出するランプハウス20(光源部)と、顕微鏡本体部10に取り付けられ、標本Sを透過した光(観察光)を鏡筒31またはカメラ32に導くアダプタ30と、標本Sを保持し、焦準を合わせる焦準部40と、を備える。
【0028】
顕微鏡本体部10は、土台をなすベース部11と、ベース部11の底面と略平行に延びるアーム部12と、ベース部11とアーム部12との端部同士を連結するフレーム部13と、を有する。
【0029】
ベース部11は、ランプハウス20と連結し、ランプハウス20からの照明光を標本Sに向けて射出する。ベース部11は、光源の色調や明るさを調整するための複数のフィルタ14を挿抜可能に保持するフィルタ挿抜機構と、照明光を標本Sに向けて反射するミラー15とで構成される照明光学系を有する。また、ベース部11は、ランプハウス20からの照明光を標本Sに集光させるコンデンサを有するコンデンサユニット16を支持している。
【0030】
アーム部12は、対物レンズ43の光軸に沿って設けられる観察光学系を内部に有する。また、アーム部12に連結するアダプタ30は、この観察光学系から得られる観察光に対して鏡筒31またはカメラ32への光路の切り替え、もしくは50:50等の比率で両方に分岐を行う。また、鏡筒31には、標本Sの標本像を目視観察するための接眼レンズが取り付けられている。
【0031】
フレーム部13は、ベース部11の板面から鉛直方向に延びている。また、フレーム部13は、顕微鏡システム1に対して電源供給を行う電源基板13aを有する。
【0032】
ランプハウス20は、光源21と、光源21から射出された光を集めるコレクタレンズ22と、熱線(赤外線)を吸収する熱線吸収フィルタ23と、を有する。
【0033】
焦準部40は、標本Sを載置するステージ41と、内部底面においてステージ41を保持する略C字状をなす焦準ホルダ42と、レボルバ44を介して、焦準ホルダ42のステージ41の保持面に対向する面側に取り付けられる対物レンズ43と、焦準ホルダ42のステージ41保持面の裏面から突出して設けられる4つの支持部材45と、を有する。
【0034】
ここで、ステージ41には、標本Sを載置する標本載置面をXY平面とみたときに、ステージ41をX方向およびY方向にそれぞれ独立して移動させるステージ移動機構が設けられていることが好ましい。
【0035】
焦準ホルダ42は、対物レンズ43を保持し、ステージ41の標本Sの標本載置面に対して直交する方向に移動可能な昇降部421と、昇降部421の移動量を入力する入力部422と、を有する。対物レンズ43は、昇降部421によって、自身の光軸に沿って上下動可能となる。
【0036】
入力部422は、例えばラックアンドピニオンによって実現される動力伝達機構と連結したダイアルであって、このダイアル(ピニオン)の回転量を、動力伝達機構を介して対物レンズ43の移動量として入力する。このとき、ラックは、昇降部421と連結している、または昇降部421に設けられている。
【0037】
対物レンズ43は、たとえば1倍,2倍,4倍の比較的倍率の低い対物レンズ(以下、「低倍対物レンズ」という)と、10倍,20倍,40倍の低倍対物レンズの倍率に対して高倍率である対物レンズ(以下、「高倍対物レンズ」という)とを少なくとも一つずつレボルバ44に装着させる。なお、低倍対物レンズおよび高倍対物レンズの倍率は一例であり、高倍対物レンズが低倍対物レンズに対して高ければよい。
【0038】
レボルバ44は、焦準ホルダ42に対してスライド自在または回転自在に設けられ、対物レンズ43を標本Sの上方に配置する。レボルバ44は、電動レボルバ等を用いて構成される。レボルバ44は、マウンタによって倍率(観察倍率)が異なる複数の対物レンズ43を保持し、観察光の光路上に挿入されて標本Sの観察に用いる対物レンズ43を択一的に切換える。
【0039】
また、コンデンサユニット16は、ベース部11に設けられ、入力部422と同様の構成をなし、動力伝達機構に連結された入力部11aによって開口数の調整が行われる。
【0040】
上述した構成によって、ランプハウス20から射出された照明光が標本Sを透過し、透過した標本Sからの光が、対物レンズ43、観察光学系を介して鏡筒31および/またはカメラ32に伝達されることで、標本Sの観察像を観察することができる。
【0041】
ここで、顕微鏡本体部10と焦準部40とは、図1,2に示すように、互いに挿脱可能となっている。また、図1に示すように、顕微鏡本体部10に対して焦準部40が挿入され、ランプハウス20から射出されてミラー15によって反射された照明光の光軸と対物レンズ43の光軸とが一致した状態においては、顕微鏡本体部10と焦準部40とが接触しないように配設される。
【0042】
すなわち、顕微鏡本体部10に対して焦準部40が挿入され、ランプハウス20から射出されてミラー15によって反射された照明光の光軸と対物レンズ43の光軸とが一致した状態では、顕微鏡本体部10のランプハウス20と、焦準部40とが接触しないため、ランプハウス20の光源21から発生した熱が、ステージ41および対物レンズ43に直接伝達しない。これにより、光源21からの熱伝導によるステージ41と対物レンズ43との間の合焦位置の変化を防止することが可能となる。
【0043】
上述した本実施の形態1によれば、ランプハウス20から射出されてミラー15によって反射された照明光の光軸と対物レンズ43の光軸とが一致した状態で、光源21と、ステージ41および対物レンズ43とが非接触となるようにしたので、ランプハウス20の光源21から発生した熱が、ステージ41および対物レンズ43に直接伝達しないため、ステージ41および対物レンズ43の熱による伸縮などの熱変形を抑制して、光源からの熱伝導による合焦位置の変化を防止することができる。
【0044】
また、本実施の形態1では、ステージ41および対物レンズ43と、顕微鏡本体部10が有するフィルタ14、コンデンサユニット16およびアダプタ30等とが別体(非接触)であるため、フィルタ14の挿抜、コンデンサユニット16の切り替えや、アダプタ30の光路切り替え等により振動が生じた場合であっても、ステージ41および対物レンズ43にこの振動が伝達することがないため、振動の影響を抑制して標本Sの観察を行うことができる。
【0045】
図3は、本実施の形態1の変形例1−1にかかる顕微鏡システム1aの構成を示す模式図である。図3に示す変形例1−1にかかる焦準部40aのように、図1,2に示す焦準部40に対し、焦準ホルダ42aが、コンデンサユニット16に対応するコンデンサユニット46を保持するものであってもよい。また、顕微鏡本体部10aは、ランプハウス20と連結し、これにより、コンデンサユニット46に対しても、ベース部11bを介する光源21からの熱伝達を抑制することができる。なお、コンデンサユニット46は、入力部11aと同様の構成を有する入力部46aによって開口数の調整が行われる。
【0046】
図4は、本実施の形態1の変形例1−2にかかる顕微鏡システム1bの構成を示す模式図である。図4に示す変形例1−2にかかる顕微鏡システム1bは、図1,2に示す顕微鏡システム1の構成に加え、少なくともステージ41(標本S)、対物レンズ43を覆う保温箱51と、保温箱51内の温度調整を行う温度調整部52と、保温箱51と温度調整部52とを連結し、調整された温度の気体を輸送するパイプ53と、を有する保温ユニット50を備える。
【0047】
また、保温箱51は、ステージ41上の標本Sを交換する際に開閉する開閉扉51aを有する。また、保温箱51には、開閉扉51aのほか、支持部材45等を挿通させるための挿通孔(図示せず)が設けられ、挿通孔の径は、支持部材45の径と同等であって、調整された温度の気体が孔から漏れないようになっている。なお、照明光、標本Sが透過した観察光を挿通させる挿通孔に対しては、光束の径に応じて設けられた挿通孔をガラス等によって塞ぐことで適用可能である。
【0048】
このとき、保温箱51は、顕微鏡本体部10と非接触となるように配設されている。これにより、光源21からの熱が保温箱51にも伝達しないため、光源21からの熱の影響を受けずに、安定した温度調整を行うことが可能となる。
【0049】
図5は、本実施の形態1の変形例1−3にかかる顕微鏡システム1cの構成を示す模式図である。上述した図1,2に示す顕微鏡システム1は、透過型の正立顕微鏡であるものとして説明したが、図5に示す変形例1−3にかかる顕微鏡システム1cのように、落射型の正立顕微鏡であってもよい。
【0050】
顕微鏡システム1cは、略C字状をなす顕微鏡本体部10bと、顕微鏡本体部10bに取り付けられ、標本Sを照明するための照明光を射出するランプハウス20aと、顕微鏡本体部10bに取り付けられ、標本Sを透過した光(観察光)を鏡筒31またはカメラ32に導くアダプタ30と、標本Sを保持し、焦準を合わせる焦準部40と、を備える。ランプハウス20aは、上述したランプハウス20と同様、光源21aと、光源21aから射出された光を集めるコレクタレンズ22aと、熱線(赤外線)を吸収する熱線吸収フィルタ23aと、を有する。
【0051】
顕微鏡本体部10bは、土台をなす略平板状のベース部11cと、ベース部11cの底面と略平行に延び、ランプハウス20aおよびアダプタ30とそれぞれ連結するアーム部12aと、ベース部11cとアーム部12aとの端部同士を連結するフレーム部13bと、を有する。フレーム部13bは、顕微鏡システム1cに対して電源供給を行う電源基板13cを有する。
【0052】
アーム部12aは、ランプハウス20aからの照明光を標本Sに向けて射出する。アーム部12aは、ランプハウス20aから射出される落射用の照明光を、光源の色調や明るさを調整するためのフィルタを保持する複数のフィルタ14aを介して通過させるとともに、キューブユニット17によって、標本Sに向けて照明光を反射する。なお、ランプハウス20aから射出された(キューブユニット17によって反射された)照明光の光軸は、対物レンズ43の光軸と一致している。キューブユニット17は、複数のキューブ17aを有し、各キューブ17aを検鏡法に応じて選択的に光路上に配置させる。
【0053】
キューブ17aは、所定波長の光を反射するとともに、標本Sが発した光のうち、所定波長の光を透過するダイクロイックミラー171と、ダイクロイックミラー171によって反射させる励起波長に対応した光をランプハウス20aから射出された出射光から抽出する励起フィルタ172と、標本Sが発した光から所望の波長の光を抽出する吸収フィルタ173と、を有する。ここで、複数のキューブ17aの各ダイクロイックミラー171は、所定の励起波長にそれぞれ対応する波長の光を反射し、標本Sから発せられる所定波長の光を透過する。
【0054】
このキューブ17aによって、ランプハウス20aからの照明光の標本S側への切り替え(反射)、または標本Sからの光(観察光)のアダプタ30側への切り替え(透過)を行うことで、光路の切り替えを行うことができる。
【0055】
(実施の形態2)
図6は、本実施の形態2にかかる顕微鏡システム2の構成を示す模式図である。なお、図1等で上述したものと同じ構成要素には同じ符号を付してある。顕微鏡システム2は、略C字状をなす顕微鏡本体部10cと、顕微鏡本体部10cに取り付けられ、標本Sを透過させるための照明光を射出するランプハウス20と、顕微鏡本体部10cに取り付けられ、標本Sを透過した光(観察光)を鏡筒31またはカメラ32に導くアダプタ30と、標本Sを保持し、焦準を合わせる焦準部40bと、を備える。また、本実施の形態2では、顕微鏡本体部10cおよび焦準部40bが、位置決め部材60(図7参照)上に固定されている。
【0056】
顕微鏡本体部10cは、土台をなす略平板状のベース部11dと、ベース部11dの底面と略平行に延びる上述したアーム部12と、ベース部11dとアーム部12との端部同士を連結するフレーム部13と、を有する。
【0057】
ベース部11dは、ランプハウス20と連結し、ランプハウス20からの照明光を標本Sに向けて射出する。また、ベース部11dは、上述した複数のフィルタ14からなるフィルタ挿抜機構、ミラー15とで構成される照明光学系およびコンデンサユニット16を有する。また、ベース部11dには、ボルトB(ピン)が挿入されるボルト穴11e(挿入穴)が形成されている。
【0058】
焦準部40bは、上述したステージ41、焦準ホルダ42、対物レンズ43と、焦準ホルダ42のステージ保持面の裏面から突出して設けられる4つの支持部材45aと、を有する。また、各支持部材45aには、ボルトBが挿入されるボルト穴451(挿入穴)が形成されている。
【0059】
図7は、顕微鏡システム2の位置決め部材60の構成を示す模式図である。位置決め部材60は、顕微鏡システム2が載置される除振台等の載置面P上に固定され、ベース部11dと連結して顕微鏡本体部10cを固定する顕微鏡本体固定部61と、支持部材45aと連結して焦準部40bを固定する焦準部固定部62と、を有する。なお、位置決め部材60は、断熱性材料(熱伝導の小さい材料)で形成されることが好ましい。
【0060】
顕微鏡本体固定部61には、ボルト穴11eに対応した配置で設けられるボルト穴611(挿通穴)と、載置面Pに形成されたボルト穴P1に対応した配置で設けられるボルト穴612と、が形成されている。
【0061】
焦準部固定部62は、第1焦準部固定部62aおよび第2焦準部固定部62bからなり、第1焦準部固定部62aおよび第2焦準部固定部62bが顕微鏡本体固定部61の側部にそれぞれ配置されている。第1焦準部固定部62aおよび第2焦準部固定部62bには、ボルト穴451に対応した配置で設けられるボルト穴621(挿通穴)と、載置面Pに形成されたボルト穴P2に対応した配置で設けられるボルト穴622と、がそれぞれ形成されている。
【0062】
顕微鏡本体部10cは、ボルト穴11eと、顕微鏡本体固定部61に設けられたボルト穴611とがボルトBを介して固定される。焦準部40bは、ボルト穴451と、焦準部固定部62に設けられたボルト穴621とがボルトBを介して固定される。
【0063】
また、顕微鏡本体固定部61と焦準部固定部62とは、載置面Pに設けられたボルト穴P1,P2と、ボルト穴612,622とがそれぞれボルトBを介して固定されることによって、互いに位置決めされる。この位置決めによって、顕微鏡本体部10cと焦準部40bとの相対位置が決定される。
【0064】
上述した本実施の形態2によれば、ランプハウス20から射出されてミラー15によって反射された照明光の光軸と対物レンズ43の光軸とが一致した状態で、光源21と、ステージ41および対物レンズ43とが非接触となるようにしたので、ランプハウス20の光源21から発生した熱のステージ41および対物レンズ43への伝達を抑制し、光源からの熱伝導による合焦位置の変化を防止することができる。
【0065】
また、本実施の形態2では、位置決め部材60によって、顕微鏡本体部10cと焦準部40bとの相対位置を決定して固定するため、ランプハウス20から射出されてミラー15によって反射された照明光および標本Sからの観察光の光軸と、対物レンズ43の光軸とを確実に一致させることができる。
【0066】
なお、上述した本実施の形態2では、ボルトがボルト穴に螺合されることによって顕微鏡本体部10cと焦準部40bとを固定して位置決めするものとして説明したが、挿通穴としてピンを挿通し、顕微鏡本体部10cおよび焦準部40bにそれぞれ設けられた挿入穴に挿入されるピンであってもよい。
【0067】
図8は、本実施の形態2の変形例2−1にかかる位置決め部材60aの構成を示す模式図である。図8に示す変形例2−1のように、図7に示す位置決め部材60に対して顕微鏡本体固定部61と焦準部固定部62とが一体的なものであってもよい。
【0068】
位置決め部材60aは、略平板状をなし、上述したボルト穴611,621に対応して形成されたボルト穴611a,621aと、ボルトBを挿通して載置面Pに連結するボルト穴631と、を有する。なお、ボルト穴611a,621aは、ランプハウス20から射出されてミラー15によって反射された照明光の光軸と、焦準部40bの対物レンズ43の光軸とを一致させた場合の、顕微鏡本体固定部61および焦準部固定部62のボルト穴611,621の配置と対応付いている。また、位置決め部材60aは、断熱性材料(熱伝導の小さい材料)で形成されることが好ましい。
【0069】
(実施の形態3)
図9は、本実施の形態3にかかる顕微鏡システム3の構成を示す模式図である。なお、図1等で上述したものと同じ構成要素には同じ符号を付してある。顕微鏡システム3は、略C字状をなす顕微鏡本体部10dと、顕微鏡本体部10dに取り付けられ、標本Sを透過させるための照明光を射出するランプハウス20と、顕微鏡本体部10dに取り付けられ、標本Sを透過した光(観察光)を鏡筒31またはカメラ32に導くアダプタ30と、標本Sを保持し、焦準を合わせる焦準部40と、を備える。
【0070】
顕微鏡本体部10dは、土台をなす略平板状のベース部11fと、ベース部11fの底面と略平行に延びる上述したアーム部12と、ベース部11fとアーム部12との端部同士を連結するフレーム部13と、を有する。
【0071】
ベース部11fは、ランプハウス20と連結し、ランプハウス20からの照明光を標本Sに向けて射出する。また、ベース部11fは、上述した複数のフィルタ14からなるフィルタ挿抜機構、ミラー15とで構成される照明光学系およびコンデンサユニット16と、ベース部11fの側面からそれぞれ突出する略棒状のスタッド18(位置決め部材)と、有する。
【0072】
図10は、図9のA−A線断面を示す断面図である。図11は、顕微鏡システム3のスタッド18の構成を示す部分断面図である。図10に示すように、各スタッド18は、ベース部11fの側面から突出して、支持部材45の所定位置でそれぞれ接触している。また、図11に示すように、各スタッド18は、一方の端部からスタッド18が延びる方向に突出する突出端部181を有し、突出端部181が、ベース部11fに形成されたガイド穴11gと嵌合することによって固定されている。なお、スタッド18は、断熱性材料(熱伝導の小さい材料)で形成されることが好ましい。
【0073】
顕微鏡本体部10dと焦準部40とは、4つのスタッド18が支持部材45の所定位置でそれぞれ接触した状態で相対位置を決定される。これにより、顕微鏡本体部10dと焦準部40との位置決めを行うことができる。このとき、顕微鏡本体部10dと焦準部40との接触面積は、従来の顕微鏡における光源と、ステージおよび対物レンズとの接触面積と比して小さい。
【0074】
上述した本実施の形態3によれば、ランプハウス20から射出されてミラー15によって反射された照明光の光軸と対物レンズ43の光軸とが一致した状態で、顕微鏡本体部10dと焦準部40との接触面積を小さくするようにしたので、ランプハウス20の光源21から発生した熱のステージ41および対物レンズ43への伝達を抑制し、光源からの熱伝導による合焦位置の変化を防止することができる。
【0075】
また、本実施の形態3では、ベース部11fのスタッド18によって、顕微鏡本体部10dと焦準部40との相対位置を決定するため、ランプハウスから射出された照明光および標本Sからの観察光の光軸と、対物レンズ43の光軸とを確実に一致させることができる。また、上述した実施の形態2と比して、顕微鏡本体部10dと焦準部40との位置決めを簡易に行うことができるとともに、着脱も容易となる。この構成においても、光源21と、ステージ41および対物レンズ43とを非接触状態とすることができる。
【0076】
なお、スタッド18の配設位置は、顕微鏡本体部10dと焦準部40との相対位置の決定が可能であれば、ベース部11fの他の箇所に設けられるものであってもよいし、フレーム部13に設けられるものであってもよい。
【0077】
図12は、図9のA−A線断面に対応し、本実施の形態3の変形例3−1にかかるスタッド19の構成を示す断面図である。図13は、本実施の形態3の変形例3−1にかかるスタッド19の構成を示す部分断面図である。図12に示すように、2つのスタッド19(位置決め部材)は、ベース部11fの側面から突出する棒状の突出部191と、突出部191のベース部11fとの連結側と異なる側の端部に設けられ、支持部材45と接触する接触部192とを有する。また、図13に示すように、突出部191は、接触部192との連結側と異なる側の端部からスタッド19が延びる方向に突出する突出端部191aを有し、突出端部191aがベース部11fに形成されたガイド穴11gと嵌合することによって固定されている。なお、接触部192は、突出部191に対して、外周面に沿って摺動自在である。
【0078】
接触部192は、支持部材45の外周形状に対応した弧状をなし、この弧状の内部側面から突出して凸状をなす複数の凸部192aを有する。この凸部192aがそれぞれ支持部材45の側面と接触することによって支持部材45(焦準部40)に対するベース部11f(顕微鏡本体部)の位置を決定する。
【0079】
図14は、本実施の形態3の変形例3−2にかかるスタッド70の構成を示す部分断面図である。図14に示すように、スタッド70は、ベース部11fの側面から突出する棒状の突出部71と、突出部71のベース部11fとの連結側と異なる側の端部側で連結し、支持部材45の側面の一部を覆う被覆部72とを有する。また、突出部71は、中空の内部空間を形成する中空部71aと、被覆部72との連結側と異なる側の端部から突出部71が延びる方向に突出する突出端部71bとを有し、突出端部71bがベース部11fに形成されたガイド穴11gと螺合することによって固定されている。
【0080】
被覆部72は、支持部材45の外周を覆う略円環状をなし、外周側面から突出して中空部71aと嵌合する嵌合部材72aを有する。この嵌合部材72aは、突出部71の中空部71aの内部空間に挿通されて嵌合する。これにより、突出部71と被覆部72とが連結するとともに、突出部71の回転によって突出端部71aがガイド穴11gと螺合して内部に対して進退することで、支持部材45とベース部11fとの間の距離を伸縮して、支持部材45とベース部11fとの相対位置を調整することによって支持部材45(焦準部40)に対するベース部11f(顕微鏡本体部)の位置を決定する。なお、被覆部72は、支持部材45の外周面に沿って摺動自在である。なお、スタッド70は、顕微鏡本体部と焦準部との相対位置決定後、顕微鏡本体部から取り外してもよい。
【0081】
(実施の形態4)
図15は、本実施の形態4にかかる顕微鏡システム4の構成を示す模式図である。なお、図1等で上述したものと同じ構成要素には同じ符号を付してある。上述した図1〜14に示す顕微鏡システムは、正立顕微鏡であるものとして説明したが、倒立顕微鏡であってもよい。顕微鏡システム4は、倒立型の顕微鏡であって、略C字状をなす顕微鏡本体部10eと、顕微鏡本体部10eに取り付けられ、標本Sを透過させるための照明光を射出する透過照明用ランプハウス20bと、標本Sに対して落射するための照明光を射出する落射照明用ランプハウス20cと、顕微鏡本体部10eに取り付けられ、標本Sを透過した光(観察光)を鏡筒31に導くアダプタ30aと、標本Sを保持し、焦準を合わせる焦準部40cと、を備える。
【0082】
顕微鏡本体部10eは、土台をなす略平板状のベース部11hと、ベース部11hの底面と略平行に延びるアーム部80aと、コンデンサユニット16を支持し、ベース部11hとアーム部80aとの端部同士を連結するフレーム部13dと、を有する。
【0083】
ベース部11hは、顕微鏡システム4に対して電源供給を行う電源基板11iと、落射照明用ランプハウス20cからの照明光を標本にS向けて射出する落射投光管80bと、を有する。また、ベース部11hは、アダプタ30aを支持するとともに、落射投光管80bを介して落射照明用ランプハウス20cを支持する。
【0084】
アーム部80aは、透過照明用ランプハウス20bと連結し、透過照明用ランプハウス20bからの照明光を標本Sに向けて射出する。
【0085】
落射投光管80bは、上述したキューブユニット17を有する。このキューブユニット17の各キューブ17aによって、落射照明用ランプハウス20cからの照明光の標本S側への切り替え(反射)、または標本Sからの光(観察光)のアダプタ30a側への切り替え(透過)を行うことで、光路の切り替えを行うことができる。
【0086】
透過照明用ランプハウス20bは、光源21bと、光源21bから射出された光を集めるコレクタレンズ22bと、熱線(赤外線)を吸収する熱線吸収フィルタ23bと、を有する。
【0087】
落射照明用ランプハウス20cは、光源21cと、光源21cから射出された光を集めるコレクタレンズ22cと、熱線(赤外線)を吸収する熱線吸収フィルタ23cと、を有する。
【0088】
焦準部40cは、標本Sを載置するステージ41aと、ステージ41aを保持する略板状をなす焦準ホルダ42bと、レボルバ44aを介して、焦準ホルダ42bのステージ41aの保持面の裏面側に取り付けられる対物レンズ43と、焦準ホルダ42bのステージ保持面の裏面から突出して設けられる4つの支持部材45bと、を有する。
【0089】
ここで、顕微鏡本体部10eに対して焦準部40cが配設された場合、アーム部80aが射出する透過用の照明光の光軸と、コンデンサユニット16の光軸と、対物レンズ43の光軸と、落射投光管80bが射出する落射用の照明光の光軸とは、直線状の軸と一致する。すなわち、上述した光軸は、一つの軸と一致する。
【0090】
上述した本実施の形態4によれば、照明光の光軸と対物レンズ43の光軸とが一致した状態で、光源21b,21cと、ステージ41aおよび対物レンズ43とが非接触となるようにしたので、各ランプハウスの光源から発生した熱が、ステージ41aおよび対物レンズ43に直接伝達せず、光源からの熱伝導による合焦位置の変化を防止することができる。
【0091】
図16は、本実施の形態4の変形例4−1にかかる顕微鏡システム4aの構成を示す模式図である。図16に示す変形例4−1にかかる顕微鏡システム4aは、図15に示す顕微鏡システム4の構成に加え、少なくともステージ41a(標本S)、対物レンズ43を覆う保温箱51aと、保温箱51a内の温度調整を行う温度調整部52aと、保温箱51aと温度調整部52aとを連結し、調整された温度の気体を輸送するパイプ53aと、を有する保温ユニット50aを備える。なお、保温ユニット50aは、上述した保温ユニット50と同様の構成および機能を有する。
【0092】
なお、上述した実施の形態1〜4および各実施の形態にかかる変形例は、適宜組合せ可能である。例えば、実施の形態12〜4において、図3に示す変形例1−1のように、焦準部が、コンデンサを有する構成を適用することが可能である。
【0093】
以上のように、本発明にかかる顕微鏡システムは、光源からの熱伝導による合焦位置の変化を防止することに有用である。
【符号の説明】
【0094】
1a,1b,1c,2,3,4,4a,100 顕微鏡システム
10,10a,10b,10c,10d,10e,110 顕微鏡本体部
11,11b,11c,11d,11f,11h,111 ベース部
11a,422 入力部
11e,451,611,611a,612,621,621a,622,631,S1,S2 ボルト穴
11g ガイド穴
12,112 アーム部
13,13b,13d,113 フレーム部
13a,13c 電源基板
14,114 フィルタ
15,115 ミラー
16,119 コンデンサユニット
17 キューブユニット
17a キューブ
18,19 スタッド
20,20a,120 ランプハウス
20b 透過照明用ランプハウス
20c 落射照明用ランプハウス
21,121 光源
22,122 コレクタレンズ
23,123 熱線吸収フィルタ
30,130 アダプタ
31,131 鏡筒
32,132 カメラ
40,40a 焦準部
41,116 ステージ
42,42a 焦準ホルダ
43,117 対物レンズ
44,118 レボルバ
45,45a 支持部材
50,50a 保温ユニット
51,51a 保温箱
52,52a 温度調整部
53,53a パイプ
60,60a 位置決め部材
61 顕微鏡本体固定部
62 焦準部固定部
171 ダイクロイックミラー
172 励起フィルタ
173 吸収フィルタ
421 昇降部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
土台をなすベース部、該ベース部の底面と略平行に延びるアーム部、および前記ベース部と前記アーム部との端部同士を連結するフレーム部を有する側面視で略C字状をなし、光源からの照明光を前記標本に向けて出射する照明光学系を保持する顕微鏡本体部と、
前記顕微鏡本体部と連結し、前記照明光学系に前記照明光を射出する光源部と、
標本が載置されるステージを支持するとともに、および前記ステージ上の前記標本からの観察光を集光して前記標本に対して焦準する対物レンズを少なくとも保持する焦準部と、
を備え、
前記照明光の光軸に対して前記対物レンズの光軸を一致させた状態において、前記顕微鏡本体部と前記焦準部とは非接触であることを特徴とする顕微鏡システム。
【請求項2】
前記焦準部は、前記照明光を集光するコンデンサを有することを特徴とする請求項1に記載の顕微鏡システム。
【請求項3】
前記焦準部と前記顕微鏡本体部とが、前記照明光の光軸に対して前記対物レンズの光軸が一致した状態となるように位置決めする位置決め部材を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の顕微鏡システム。
【請求項4】
前記顕微鏡本体部および前記焦準部は、底部に挿入穴を有し、
前記位置決め部材は、
平板状の部材からなり、前記挿入穴に応じた位置に配置される挿通穴と、
前記挿通穴に挿通され、前記焦準部および前記顕微鏡本体部に挿入されて該焦準部および前記顕微鏡本体部を位置決めするピンと、
を有することを特徴とする請求項3に記載の顕微鏡システム。
【請求項5】
前記位置決め部材は、
前記顕微鏡本体部を固定して位置決めする顕微鏡本体固定部と、
前記焦準部を固定して位置決めする焦準部固定部と、
を有することを特徴とする請求項4に記載の顕微鏡システム。
【請求項6】
前記位置決め部材は、前記顕微鏡本体部から突出して、前記焦準部の所定位置と接触することを特徴とする請求項3に記載の顕微鏡システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate


【公開番号】特開2013−105156(P2013−105156A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−250971(P2011−250971)
【出願日】平成23年11月16日(2011.11.16)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】