顕微鏡システム
【課題】光路上に配置した光学素子における励起光および/または蛍光の透過率および/または反射率に関する情報をユーザが一見して把握する。
【解決手段】レーザ光源1から発せられるレーザ光および標本Aにおいて発生する蛍光を透過または反射する光学素子13,19,21と、光学素子13,19,21により透過または反射された蛍光を検出する検出器23と、光学素子13,19,21の透過波長および/または反射波長を示す波長特性、レーザ光の波長特性および蛍光試薬の蛍光特性をデータとして記憶するメモリ5と、メモリ5に記憶されている前記データに基づいて、光学素子13,19,21におけるレーザ光または蛍光の透過率または反射率を算出する制御部9と、算出された光学素子13,19,21におけるレーザ光または蛍光の透過率または反射率を光学素子13,19,21と対応づけて表示する表示部7とを備える顕微鏡システム100を提供する。
【解決手段】レーザ光源1から発せられるレーザ光および標本Aにおいて発生する蛍光を透過または反射する光学素子13,19,21と、光学素子13,19,21により透過または反射された蛍光を検出する検出器23と、光学素子13,19,21の透過波長および/または反射波長を示す波長特性、レーザ光の波長特性および蛍光試薬の蛍光特性をデータとして記憶するメモリ5と、メモリ5に記憶されている前記データに基づいて、光学素子13,19,21におけるレーザ光または蛍光の透過率または反射率を算出する制御部9と、算出された光学素子13,19,21におけるレーザ光または蛍光の透過率または反射率を光学素子13,19,21と対応づけて表示する表示部7とを備える顕微鏡システム100を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顕微鏡システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザが蛍光標識を設定することにより、使用に適した光学系の選択を可能にする顕微鏡システムが知られている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1に記載の顕微鏡システムは、蛍光試薬の励起波長および蛍光波長(放出波長)、励起光(照射光)の波長特性、および、光学素子の波長特性をバイナリデータとして予めデータファイルに記憶しておき、励起波長のバイナリデータと励起光の波長特性のバイナリデータにおいて光線強度が所定の閾値以上となる波長域が重複するか否か、また、蛍光波長のバイナリデータと光学素子の波長特性のバイナリデータにおいて光線強度が所定の閾値以上となる波長域が重複するか否かを判断することにより、使用に適した光学素子を選択することとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−39563号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の顕微鏡システムのように使用に適した光学素子の選択を自動で行うことが可能であるとしても、状況に応じて、ユーザが光学素子の設定を変更することがある。この場合において、光源から光学素子を介して標本に到達する励起光の光路、および、標本から光学素子を介して検出器に到達する蛍光の光路が表示される顕微鏡システムの光路図表示機能には、励起光および蛍光の波長特性や光学素子の波長特性が考慮されていないため、ユーザが設定した光学素子の選択に問題があったとしても、ユーザはどの光学素子の設定に問題があるのかを光路図からは認識することができないという不都合がある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、光路上に配置した光学素子における励起光および/または蛍光の透過率および/または反射率に関する情報をユーザが一見して把握することができる顕微鏡システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を採用する。
本発明は、光源から発せられ標本に照射される励起光および/または該励起光が照射されることにより前記標本において発生する蛍光を透過または反射する光学素子と、該光学素子により透過または反射された前記蛍光を検出する検出部と、前記光学素子の透過波長および/または反射波長を示す波長特性、前記励起光の波長特性、および、前記検出部が検出する蛍光の波長範囲をデータとして記憶する記憶部と、該記憶部に記憶されている前記データに基づいて、前記光学素子における前記励起光および/または前記蛍光の透過率および/または反射率を算出する演算部と、該演算部により算出された前記光学素子における前記励起光および/または前記蛍光の透過率を示す透過情報または反射率を示す反射情報を前記光学素子と対応づけて表示する表示部とを備える顕微鏡システムを提供する。
【0007】
本発明によれば、光源から発せられた励起光が光学素子を透過しまたは光学素子により反射されて標本に照射され、標本において発生した蛍光が光学素子を透過しまたは光学素子により反射されて検出部により検出される。記憶部にデータとして記憶させた光学素子の波長特性、励起光の波長特性および前記検出部が検出する蛍光の波長範囲に基づいて演算部により算出された、光学素子における励起光および/または蛍光の透過情報または反射情報を光学素子と対応づけて表示部に表示することで、ユーザは、光学素子において励起光および/または蛍光がどれくらい透過されるかまたは反射されるかを一見して把握することができる。
【0008】
これにより、ユーザが光路上に配置する光学素子を設定したり変更したりした場合に、その光学素子の波長特性をデータとして記憶部に記憶させれば、表示部を見るだけで、その光学素子が観察に適しているか否かを容易に判断することができる。また、ユーザが光路上に配置する光学素子を複数設定したり複数変更したりした場合は、各光学素子の波長特性をデータとして記憶部に記憶させれば、いずれかの光学素子の選択に問題があっても、表示部を見るだけでどの光学素子の設定に問題があるかを容易に判断し、適切な光学素子を設定し直すことができる。
【0009】
上記発明においては、前記表示部が、前記光源から前記標本、該標本から前記検出部に至る光路図を表示し、その光路図上の各光学素子の位置に、該光学素子の前記透過情報または反射情報を表示することとしてもよい。
【0010】
このように構成することで、ユーザが、光源、各光学素子および検出部の位置関係と、光学素子ごとの励起光および/または蛍光の透過情報または反射情報とを関連づけて確認することができ、システム全体における各光学素子の適性を容易に判断することができる。
【0011】
また、上記発明においては、前記検出部が検出する蛍光の波長範囲として、前記標本を標識する蛍光試薬の蛍光特性を用いることとしてもよい。
このように構成することで、標本において実際に発生する蛍光の波長特性が分かるので、蛍光が透過または反射する光学素子の高精度な透過情報または反射情報を得ることができる。
【0012】
また、上記発明においては、前記検出部が検出する蛍光の波長範囲として、前記検出部により検出可能な波長帯域を示す波長特性を用いることとしてもよい。
このように構成することで、標本において実際に発生する蛍光の波長特性が分からなくても、想定される蛍光の波長特性に対応する波長特性を有する検出部を用いることで、検出部により検出可能な波長帯域の範囲で、蛍光が透過または反射する光学素子の透過情報または反射情報を得ることができる。
【0013】
また、上記発明においては、前記検出器の直前に配置され、該検出器に入射される蛍光を透過させ励起光を遮断するフィルタ部材を備え、前記検出部が検出する蛍光の波長範囲として、前記フィルタ部材の蛍光を透過可能な波長帯域を示す波長特性を用いることとしてもよい。
【0014】
このように構成することで、標本において実際に発生する蛍光の波長特性が分からなくても、想定される蛍光の波長特性に対応する波長特性を有するフィルタ部材を用いることで、フィルタ部材により蛍光を透過可能な波長帯域の範囲で、蛍光が透過または反射する光学素子の透過情報または反射情報を得ることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、光路上に配置した光学素子における励起光および/または蛍光の透過率および/または反射率に関する情報をユーザが一見して把握することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係る顕微鏡システムの概略構成図である。
【図2】表示部に表示される光路図の一例を示す図である。
【図3】蛍光標識の蛍光プロファイルを示す図である。
【図4】図3の蛍光プロファイルにおいて、蛍光強度の閾値を50%とした場合の蛍光強度が閾値以上の蛍光波長帯域を示す図である。
【図5】図3の蛍光プロファイルにおいて、蛍光強度の閾値を30%とした場合の蛍光強度が閾値以上の蛍光波長帯域を示す図である。
【図6】蛍光試薬の蛍光波長帯域(515−550nm)内の蛍光スペクトルの面積と、励起DMの透過波長帯域(489nm以上)内の蛍光スペクトルの面積を比較した図である。
【図7】蛍光試薬の蛍光波長帯域(515−550nm)内の蛍光スペクトルの面積と、測光DMの反射波長帯域(490nm以上)内の蛍光スペクトルの面積を比較した図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る第1実施例の光路図を示す図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る第2実施例の光路図を示す図である。
【図10】蛍光試薬の蛍光波長帯域(515−550nm)内の蛍光スペクトルの面積と、測光DMの反射波長帯域(530nm〜550nm)内の蛍光スペクトルの面積を比較した図である。
【図11】蛍光の蛍光波長帯域(530〜550nm)内の蛍光スペクトルの面積と、バリアフィルタの透過波長帯域(490nm以上)内の蛍光スペクトルの面積を比較した図である。
【図12】本発明の一実施形態に係る第3実施例の光路図を示す図である。
【図13】蛍光の蛍光波長帯域(530−550nm)内の蛍光スペクトルの面積と、バリアフィルタの透過波長帯域(540〜550nm)内の蛍光スペクトルの面積を比較した図である。
【図14】本発明の一実施形態に係る第4実施例の光路図を示す図である。
【図15】図3の蛍光プロファイルにおいて、検出開始波長と検出終了波長を選択した場合の蛍光波長帯域を示す図である。
【図16】バリアフィルタの透過率の閾値を基準に設定した場合の蛍光波長帯域を示す図である。
【図17】ユーザが所望の範囲を設定した場合の蛍光波長帯域を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の一実施形態に係る顕微鏡システムについて、図面を参照して以下に説明する。
本実施形態に係る顕微鏡システム100は、図1に示すように、レーザ光(励起光)を発するレーザ光源(光源)1と、レーザ光源1から発せられたレーザ光を2次元的に走査しながら標本Aに照射し、標本Aにおいて発生する蛍光を検出する顕微鏡システム本体部10と、ユーザが種々の撮影条件を入力する入力部3と、各種データを記憶するメモリ(記憶部)5と、顕微鏡システム本体部10の光路図30を表示する表示部7と、入力部3に入力された撮影条件に基づいて、レーザ光源1、顕微鏡システム本体部10、メモリ5、表示部7を制御する制御部(演算部)9とを備えている。
【0018】
レーザ光源1は、発振波長の異なるものが複数種備えられている。
顕微鏡システム本体部10は、標本Aを載置するステージ11と、レーザ光源1からのレーザ光および標本Aからの蛍光を透過または反射する励起ダイクロイックミラー(以下、「励起DM」という。光学素子)13と、励起DM13により反射されたレーザ光および標本Aからの蛍光を反射する反射ミラー15と、反射ミラー15により反射されたレーザ光を標本Aに照射する対物レンズ17とを備えている。
【0019】
また、顕微鏡システム本体部10は、励起DM13を透過した蛍光を検出する第1検出部25と第2検出部27を備えている。第1検出部25は、励起DM13を透過した蛍光を透過または反射する測光ダイクロイックミラー(以下、「測光DM」という。光学素子)19と、測光DM19により反射された蛍光に含まれるレーザ光を除去するバリアフィルタ(光学素子、フィルタ部材)21と、バリアフィルタ21を透過した蛍光を検出する検出器(検出部)23とを備えている。以下、励起DM13、測光DM19およびバリアフィルタ21を合わせて「光学素子13,19,21」ともいう。第2検出部27は、第1検出部25の測光DM19を透過した蛍光を検出する他の検出器等(図示略)を備えている。
【0020】
励起DM13、測光DM19およびバリアフィルタ21は、例えば、それぞれ回転可能なターレット(図示略)に波長特性の異なるものが複数固定されている。
検出器23は、例えば、光電子増倍管(PMT)である。
【0021】
入力部3には、ユーザにより、光路上に配置する光学素子13,19,21の種類、使用するレーザ波長、観察対象の標本Aを染色している蛍光試薬の種類、および、検出する波長帯域等を入力することができるようになっている。
【0022】
メモリ5には、全ての光学素子13,19,21の透過波長を示す波長特性のデータまたは反射波長を示す波長特性のデータ、レーザ光の波長特性のデータ、検出器23が検出する蛍光の波長範囲を示すデータが、観察を行う波長範囲にわたって、例えば、所定の波長刻みで記憶されている。本実施形態においては、検出器23により検出する蛍光の波長範囲として、蛍光試薬ごとの蛍光波長特性を用いる。
【0023】
制御部9は、入力部3に入力されたレーザ波長のレーザ光をレーザ光源1から発生させるようになっている。また、制御部9は、ユーザにより蛍光試薬の種類が入力部3に入力されると、入力された蛍光試薬の蛍光プロファイルを表示部7に表示するようになっている。
【0024】
また、制御部9は、メモリ5に記憶されている上記各種データに基づいて、レーザ光がレーザ光源1から標本Aに到達し蛍光が標本Aから検出器23に到達するのに最適な光学素子13,19,21をターレット上で自動選択し、光学素子光路上に配置することができるようになっている。また、制御部9は、ユーザがターレット上の光学素子13,19,21を選択して入力部3に入力すると、自動選択した光学素子13,19,21に代えて、ユーザが選択した光学素子13,19,21を光路上に配置するようになっている。
【0025】
また、制御部9は、光路上に配置した光学素子13,19,21の波長特性のデータをメモリ5から読み出し、例えば、図2に示すような、レーザ光源1から標本A、標本Aから検出器23に至る光路図30を表示部7に表示させるようになっている。光路図30は、例えば、レーザ光の光路がレーザ光源1から励起DM13、および、励起DM13から標本Aの区分に分割され、蛍光の光路が標本Aから励起DM13、励起DM13から測光DM19、測光DM19からバリアフィルタ21、および、バリアフィルタ21から検出器23の区分に分割されている。
【0026】
制御部9は、光路図30において、レーザ光および蛍光の各光路の区分ごとに、レーザ光あるいは蛍光が通過する場合は光路を示すラインを表示し、通過しない場合は光路を示すラインを表示しないようになっている。レーザ光の光路と蛍光の光路は、互いに異なる色のラインで表示されるようになっている。
【0027】
また、制御部9は、メモリ5に記憶されている上記各種データに基づいて、各光学素子13,19,21におけるレーザ光あるいは蛍光の透過率や反射率を算出するようになっている。具体的には、制御部9は、励起DM13の反射波長帯域とレーザ光のレーザ波長に基づいて、励起DM13によるレーザ光の反射率を算出するようになっている。
【0028】
また、制御部9は、各光学素子13,19,21の透過波長帯域内または反射波長帯域内における蛍光波長帯域内の蛍光スペクトルの面積S13,S19,S21と、蛍光試薬における検出する蛍光波長帯域内の蛍光スペクトルの面積SAを求め(図6,7参照。)、蛍光試薬の蛍光スペクトルの面積SAに対する各光学素子13,19,21の蛍光スペクトルの面積S13,S19,S21の比により、各光学素子13,19,21の透過率または反射率を算出するようになっている。
なお、反射ミラー15は固定されて切り替えられないものである上に、レーザ光および蛍光の反射率が波長によらずほぼ一定であるとすることができるので、本実施形態では反射ミラー15の反射率を考慮しないこととする。
【0029】
また、制御部9は、表示部7において、光学素子13,19,21ごとに算出したレーザ光あるいは蛍光の透過率を示す透過情報や反射率を示す反射情報を各光学素子13,19,21にそれぞれ対応づけて表示させるようになっている。具体的には、制御部9は、透過情報として透過率を数値で表すとともに反射情報として反射率を数値で表し、それぞれの数値を光路図30上の各光学素子13,19,21の位置に表示するようになっている。さらに、制御部9は、反射ミラー15の位置にもレーザ光および蛍光の反射率を表示し、検出器23の位置には蛍光の到達率を表示するようになっている。
【0030】
このように構成された本実施形態に係る顕微鏡システム100の作用について説明する。
本実施形態に係る顕微鏡システム100を用いて標本Aを蛍光観察するには、ユーザは、レーザ光の波長、標本Aに使用している蛍光試薬の蛍光波長特性、光学素子13,19,21の透過波長および反射波長を示す波長特性を入力部3に入力し、メモリ5にデータとして記憶させる。
【0031】
例えば、蛍光標識としてAlexaFlour488を使用する場合は、励起光として488nmのレーザを使用することとし、レーザ光の波長特性のデータとして488nmをメモリ5に記憶させる。制御部9は、図3に示すように、入力部3に入力された蛍光標識の蛍光プロファイルを表示部7に表示する。図3において、縦軸はIntensity(正規化された強度:%)を示し、横軸はWavelength(波長:nm)を示している。図4〜7,10,11,13,15において同様である。
【0032】
ユーザは、表示部7に表示された蛍光標識のプロファイルを見て、どの範囲を検出する蛍光波長帯域とするか決定する。検出すべき蛍光波長帯域は、例えば、図4,5に示すように、蛍光強度の閾値(蛍光のピーク強度を100%とした場合の割合。)を基準にして設定することとしてもよい。図4は、蛍光強度の閾値を50%とした場合の蛍光強度が閾値以上の蛍光波長帯域を示し、図5は、蛍光強度の閾値を30%とした場合の蛍光強度が閾値以上の蛍光波長帯域を示している。本実施形態においては、検出すべき蛍光波長帯域として、図4に示す蛍光強度が閾値50%以上の蛍光波長帯域である515−550nmに設定する。
【0033】
ユーザが検出すべき蛍光波長帯域を設定すると、制御部9により、メモリ5に記憶されている上記各種データが読み出され、ターレット上の最適な光学素子13,19,21が自動選択されて光路上に配置される。例えば、制御部9により、488nm以下の波長を反射し488nmより長い波長を透過する励起DM13と、490nmより短い波長を透過し490nm以上の波長を反射する測光DM19と、490nmより短い波長を遮断し490nm以上の波長を透過するバリアフィルタ21が選択されて、それぞれ光路上に配置される。
【0034】
レーザ光源1から488nmのレーザ波長のレーザ光を発生させると、レーザ光は励起DM13(反射波長帯域488nm以下)により反射され、反射ミラー15を介して対物レンズ17により標本Aに照射される。レーザ光を照射することにより標本Aにおいて発生した蛍光(蛍光波長帯域515−550nm)は、対物レンズ17、反射ミラー15を介して励起DM13(透過波長帯域489nm以上)を透過し、測光DM19(反射波長帯域490nm以上)により反射され、バリアフィルタ21(透過波長帯域490nm以上)を透過して検出器23に到達する。
【0035】
この場合において、制御部9により、図2に示すような光路図30が表示部7に表示され、レーザ光および蛍光の光路を示すラインが表示される。また、制御部9により、光路上に配置した光学素子13,19,21の波長特性に対応するデータがメモリ5から読み出され、励起DM13におけるレーザ光の反射率および蛍光の透過率と、測光DMにおける蛍光の反射率と、バリアフィルタ21における蛍光の透過率が算出されて、その数値が光路図30上の各光学素子13,19,21の位置に表示される。
【0036】
具体的には、制御部9により、励起DM13の反射波長帯域(488nm以下)とレーザ光のレーザ波長488nmとから、励起DM13におけるレーザ光の反射率100%が算出される。また、制御部9により、図6に示すような、蛍光試薬の蛍光波長帯域(515−550nm)内の蛍光スペクトルの面積SAに対する、励起DM13の透過波長帯域(489nm以上)内における蛍光波長帯域内の蛍光スペクトルの面積S13の比により、励起DM13における蛍光の透過率100%が算出される。
【0037】
同様にして、制御部9により、図7に示すような、蛍光試薬の蛍光波長帯域(515−550nm)内の蛍光スペクトルの面積SAに対する、測光DM19の反射波長帯域(490nm以上)内における蛍光波長帯域内の蛍光スペクトルの面積S19の比により、測光DM19における蛍光の反射率100%が算出され、蛍光試薬の蛍光波長帯域(515−550nm)内の蛍光スペクトルの面積SAに対する、バリアフィルタ21の透過波長帯域(490nm以上)内における蛍光波長帯域内の蛍光スペクトルの面積S21の比により、バリアフィルタ21における蛍光の透過率100%が算出される。
【0038】
そして、制御部9により、光路図30において、レーザ光源1から励起DM13を介した標本Aまでの光路の全ての区分にレーザ光の通過を示すラインと、標本Aから励起DM13、測光DM19およびバリアフィルタ21を介した検出器23までの光路の全ての区分に蛍光の通過を示すラインが表示される。
【0039】
また、制御部9により、光路図30において、励起DM13の位置にレーザ光の反射率が100%で蛍光の透過率が100%であると表示され、測光DM19の位置に蛍光の反射率が100%であると表示され、バリアフィルタ21の位置に蛍光の透過率が100%であると表示される。
【0040】
したがって、ユーザは、光路図30を見るだけで、各光学素子13,19,21においてレーザ光あるいは蛍光がどれくらい透過されるかまたは反射されるかを一見して把握することができる。
なお、反射ミラー15の位置にもレーザ光の反射率が100%で蛍光の反射率が100%であると表示され、検出器23の位置には蛍光の到達率が100%であると表示される。
【0041】
次に、制御部9により自動選択された光学素子13,19,21に代えて、ユーザが選択した光学素子13,19,21を光路上に配置する場合の各実施例について説明する。
第1実施例は、ユーザが、例えば、400nm以下の波長を反射する波長特性の励起DM13を選択したとする。制御部9により、自動選択された励起DM13に代えて、ユーザが選択した励起DM13(反射波長帯域400nm以下)が光路上に配置される。
【0042】
レーザ光源1から発せられた488nmのレーザ光は励起DM13(反射波長帯域400nm以下)においては全く反射されない。一方、標本Aにおいて発生する蛍光(蛍光波長帯域515−550nm)は、標本Aから励起DM13、測光DM19およびバリアフィルタ21を介して検出器23に到達する。
【0043】
この場合において、制御部9により、励起DM13の反射波長帯域(400nm以下)とレーザ光のレーザ波長488nmとから、励起DM13におけるレーザ光の反射率0%が算出される。また、制御部9により、図6,7に示すような、蛍光試薬の蛍光波長帯域(515−550nm)内の蛍光スペクトルの面積SAに対する各光学素子13,19,21の蛍光スペクトルの面積S13,S19,S21のそれぞれの比により、励起DM13における蛍光の透過率100%、測光DM19における蛍光の反射率100%、および、バリアフィルタ21における蛍光の透過率100%がそれぞれ算出される。
【0044】
その結果、第1実施例では、図8に示すように、制御部9により、光路図30において、レーザ光源1から励起DM13までの光路の区分にレーザ光の通過を示すラインが表示されるが、励起DM13から標本Aまでの区分にレーザ光の通過を示すラインは表示されない。一方、標本Aから励起DM13、測光DM19およびバリアフィルタ21を介した検出器23までの光路の全ての区分に蛍光の通過を示すラインが表示される。
【0045】
また、制御部9により、光路図30において、励起DM13の位置にレーザ光の反射率が0%で蛍光の透過率が100%であると表示される。また、測光DM19の位置に蛍光の反射率が100%であると表示され、バリアフィルタ21の位置に蛍光の透過率が100%であると表示され、検出器23の位置に蛍光の到達率が100%であると表示される。したがって、ユーザは、光路図30により、レーザ光が励起DM13までは到達しているが、それより先の標本Aまでは全く到達していないことを一見して把握することができる。
なお、レーザ光は励起DM13までしか到達しないため、反射ミラー15の位置にはレーザ光の反射率が0%であると表示される。
【0046】
第2実施例は、ユーザが、例えば、515nmより短い波長しか反射しない波長特性の測光DM19を選択したとする。制御部9により、自動選択された測光DM19に代えて、ユーザが選択した測光DM19(反射波長帯域514以下)が光路上に配置される。
【0047】
レーザ光源1から発せられた488nmのレーザ光は励起DM13(反射波長帯域488nm以下)により反射され、反射ミラー15を介して対物レンズ17により標本Aに照射される。一方、標本Aにおいて発生した蛍光(蛍光波長帯域が515−550nm)は、対物レンズ17、反射ミラー15を介して励起DM13(透過波長帯域489nm以上)を透過するが、測光DM19(反射波長帯域514以下)においては全く反射されず、バリアフィルタ21および検出器23には蛍光が到達しない。
【0048】
この場合において、制御部9により、蛍光試薬の蛍光波長帯域(515−550nm)内の蛍光スペクトルの面積SAに対する、測光DM19の反射波長帯域(514nm以下)内における蛍光波長帯域内の蛍光スペクトルの面積S19の比により、測光DM19における蛍光の反射率0%が算出される。蛍光が測光DM19で反射されないため、バリアフィルタ21における蛍光の透過率および検出器23における蛍光の到達率はそれぞれ0%となる。
【0049】
その結果、第2実施例では、図9に示すように、制御部9により、光路図30において、レーザ光源1から標本Aまでの光路の全ての区分にレーザ光の通過を示すラインが表示されるとともに、標本Aから励起DM13を介した測光DM19までの光路の区分に蛍光の通過を示すラインが表示されるが、測光DM19から検出器23までの光路の区分に蛍光の通過を示すラインは表示されない。
【0050】
また、制御部9により、光路図30において、励起DM13の位置にレーザ光の反射率が100%で蛍光の透過率が100%であると表示される。また、測光DM19の位置に蛍光の反射率が0%であると表示され、バリアフィルタ21の位置に蛍光の透過率が0%であると表示され、検出器23の位置に蛍光の到達率が0%であると表示される。したがって、ユーザは、光路図30により、レーザ光は標本Aまで到達しているが、蛍光が測光DM19で反射されず検出器23に到達していないことを一見して把握することができる。
【0051】
第3実施例は、ユーザが、例えば、400nm以下の波長を反射し400nmより長い波長を透過する波長特性の励起DM13と、530nm〜550nmの範囲の波長しか反射しない波長特性の測光DM19を選択したとする。制御部9により、自動選択された励起DM13と測光DM19に代えて、ユーザが選択した励起DM13(反射波長帯域400nm以下)と測光DM19(反射波長帯域530nm〜550nm)が光路上に配置される。
【0052】
レーザ光源1から発せられた488nmのレーザ光は励起DM13(反射波長帯域400nm以下)において全く反射されない。一方、標本Aにおいて発生する蛍光(蛍光波長帯域515−550nm)は、対物レンズ17、反射ミラー15を介して励起DM13(透過波長帯域489nm以上)を透過するが、測光DM19(反射波長帯域530nm〜550nm)においてはその一部しか反射されない。また、測光DM19により反射された蛍光は全てバリアフィルタ21(透過波長帯域490nm以上)を透過して検出器23に到達する。
【0053】
この場合において、制御部9により、励起DM13の反射波長帯域(400nm以下)とレーザ光のレーザ波長488nmとから、励起DM13におけるレーザ光の反射率0%が算出される。また、制御部9により、図6に示すような、蛍光試薬の蛍光波長帯域(515−550nm)内の蛍光スペクトルの面積SAに対する、励起DM13の透過波長帯域(401nm以上)内における蛍光波長帯域内の蛍光スペクトルの面積S13の比により、励起DM13における蛍光の透過率100%が算出される。
【0054】
また、制御部9により、図10に示すような、蛍光試薬の蛍光波長帯域(515−550nm)内の蛍光スペクトルの面積SAに対する、測光DM19の反射波長帯域(530nm〜550nm)内における蛍光波長帯域内の蛍光スペクトルの面積S19の比により、測光DM19における蛍光の反射率E%が算出される。
【0055】
また、制御部9により、図11に示すような、測光DM19により反射された蛍光の蛍光波長帯域(530〜550nm)内の蛍光スペクトルの面積SAに対する、バリアフィルタ21の透過波長帯域(490nm以上)内における蛍光波長帯域内の蛍光スペクトルの面積S21の比により、バリアフィルタ21における蛍光の透過率F%が算出される。
【0056】
さらに、制御部9により、測光DM19における反射率E%とバリアフィルタ21における透過率F%により、検出器23への蛍光の到達率G%(E×F=G)が算出される。本実施形態においては、バリアフィルタ21における蛍光の透過率F%が100%となり、結果的に、検出器23への蛍光の到達率G%はE%と等しくなる。
【0057】
その結果、第3実施例では、図12に示すように、制御部9により、光路図30において、レーザ光源1から励起DM13までの光路の区分にレーザ光の通過を示すラインが表示されるが、励起DM13から標本Aまでの光路の区分にレーザの通過を示すラインは表示されない。また、標本Aから励起DM13、測光DM19およびバリアフィルタ21を介した検出器23までの光路の全ての区分に蛍光の通過を示すラインが表示される。
【0058】
また、制御部9により、励起DM13の位置にレーザ光の反射率が0%で蛍光の透過率が100%であると表示され、測光DM19の位置に蛍光の反射率がE%であると表示され、バリアフィルタ21の位置に蛍光の透過率がF%であると表示される。さらに、検出器23の位置に蛍光の到達率がG%であると表示される。したがって、ユーザは、光路図30により、レーザ光は励起DM13までしか到達しておらず、蛍光全体のE%が測光DM19で反射され、測光DM19により反射された蛍光のF%がバリアフィルタ21を透過し、検出器23には蛍光全体のG%しか到達していないことを一見して把握することができる。
【0059】
第4実施例は、第3実施例において、ユーザが、例えば、540〜550nmの範囲の蛍光を透過する波長特性のバリアフィルタ21を選択したとする。制御部9により、自動選択したバリアフィルタ21に代えて、ユーザが選択したバリアフィルタ21(透過波長帯域540〜550nm)が配置される。
【0060】
測光DM19により反射された蛍光(蛍光波長帯域530〜550nm)は、バリアフィルタ21(透過波長帯域540〜550nm)においてその一部しか透過されず、バリアフィルタ21を透過した蛍光のみが検出器23に到達する。
【0061】
この場合において、制御部9により、図13に示すような、測光DM19により反射された蛍光の蛍光波長帯域(530−550nm)内の蛍光スペクトルの面積SAに対する、バリアフィルタ21の透過波長帯域(540〜550nm)内における蛍光波長帯域内の蛍光スペクトルの面積S21の比により、バリアフィルタ21による蛍光の透過率H%が算出される。さらに、測光DM19における反射率E%とバリアフィルタ21における透過率H%により、検出器23への蛍光の到達率J%(E×H=J)が算出される。
【0062】
その結果、第4実施例では、図14に示すように、制御部9により、光路図30において、レーザ光および蛍光の通過を示すラインの表示は変わらないが、バリアフィルタ21の位置に蛍光の透過率がH%であると表示され、検出器23の位置に蛍光の到達率がJ%であると表示される。したがって、ユーザは、光路図30により、レーザ光は励起DM13までしか到達しておらず、蛍光全体のE%が測光DM19で反射され、測光DM19により反射された蛍光のH%がバリアフィルタ21を透過し、検出器23には蛍光全体のJ%しか到達していないことを一見して把握することができる。
【0063】
以上説明したように、本実施形態に係る顕微鏡システム100によれば、ユーザは、光路図30を見るだけで、各光学素子13,19,21においてレーザ光および蛍光がどれくらい透過されるかまたは反射されるかを容易に把握することができる。これにより、ユーザが光路上に配置する光学素子13,19,21を設定したり変更したりした場合に、その光学素子13,19,21の波長特性をデータとしてメモリ5に記憶させておけば、光路図30によりその光学素子13,19,21が観察に適しているか否かを容易に判断することができる。また、ユーザが光路上に配置する光学素子13,19,21を複数設定したり複数変更したりした場合も、各光学素子13,19,21の波長特性をデータとしてメモリ5に記憶させておけば、いずれかの光学素子13,19,21の選択に問題があっても光路図30によりどの光学素子13,19,21の設定に問題があるかを容易に判断し、適切な光学素子13,19,21を設定し直すことができる。
【0064】
また、自動設定により選択された光学素子が最適でない場合、例えば、自動設定ではバンドパスフィルタが選択されるが、ローパスフィルタやハイパスフィルタの方がより明るい画像を取得することができるような場合において、ユーザが適切な各光学素子を個別に容易に選択することができる。
【0065】
本実施形態においては、制御部9は、検出すべき蛍光波長帯域を蛍光強度の閾値を基準にして設定することとしたが、これに代えて、制御部9が、例えば、図15に示すように、検出開始波長(例えば、515nm)と検出終了波長(例えば、550nm)を適宜選択することにより、検出すべき蛍光波長帯域を設定することとしてもよい。
【0066】
また、本実施形態においては、光源としてレーザ光源1を採用し、励起光の波長特性としてレーザ光のレーザ波長を用いることとしたが、光源として例えばランプ光源を採用する場合は、ランプ光源の最も近くに配置される励起DM13の波長特性、または、励起用波長を抽出する励起フィルタ(図示略)の波長特性を励起光の波長特性として用いることとしてもよい。
【0067】
また、本実施形態においては、蛍光標識の蛍光特性が予め分かっている場合について説明したが、蛍光標識の蛍光特性が分からない場合は、検出器23が検出する蛍光の波長範囲として、例えば、検出器23の直前に配置されるバリアフィルタ21の波長特性を用いることとしてもよいし、あるいは、検出器23により検出可能な波長帯域を示す波長特性を用いることとしてもよい。このようにすることで、蛍光試薬の開発過程のように、開発した蛍光試薬の情報がメモリ9に登録されていない場合においても、光路図30により光線の到達状況を視覚的に把握し、最適な光学素子の組み合わせを容易に実現することができる。
【0068】
この場合において、バリアフィルタ21がバンドバスフィルタであれば、検出すべき蛍光波長範囲として、図16に示すように、透過率の閾値(蛍光のピーク強度を100%としたときの割合。)を基準に設定することとしてもよい(同図においては、閾値10%。)。また、バリアフィルタ21がハイパスフィルタであれば、検出すべき蛍光波長として、図17に示すように、ユーザが所望の範囲を設定することとしてもよい(同図においては、520〜600nm)。
【0069】
また、本実施形態においては、光学素子13,19,21の波長特性および蛍光試薬の蛍光スペクトルを加味して蛍光の透過率または反射率を算出することとしたが、蛍光試薬の蛍光スペクトルが不明の場合は、蛍光の検出波長帯域幅に対する光学素子13,19,21の波長帯域幅の比により、励起DM13における蛍光の透過率、測光DM19における蛍光の反射率、および、バリアフィルタ21における蛍光の透過率を算出することとしてもよい。
【0070】
この場合、第3実施例においては、蛍光試薬の蛍光波長帯域(515−550nm)に対する測光DM19の反射波長帯域(530nm〜550nm)の比により、測光DM19における蛍光の反射率は57%となる。
また、第4実施例においては、測光DM19により反射された蛍光の蛍光波長帯域(530−550nm)に対するバリアフィルタ21の透過波長帯域(540〜550nm)の比により、バリアフィルタ21における蛍光の透過率は50%となる。そして、測光DM19における反射率57%とバリアフィルタ21における透過率50%により、検出器23への蛍光の到達率は28%(0.57×0.50=0.28)となる。
【0071】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。例えば、本発明を上記の一実施形態およびその変形例に適用したものに限定されることなく、これらの実施形態および変形例を適宜組み合わせた実施形態に適用してもよく、特に限定されるものではない。また、例えば、本実施形態においては、光学素子として、励起DM13、測光DM19およびバリアフィルタ21を例示して説明したが、これに限定されるものではない。光学素子としては、例えば、光路上に切り替え可能に設けられ、レーザ光および蛍光の透過率または反射率が波長によって変化するものであればよい。
【0072】
また、上記一実施形態においては、制御部9が、透過情報として透過率の割合を数値で表し、反射情報として反射率の割合を数値で表すこととしたが、これに代えて、透過情報および反射情報を、例えば、光路図30に表示するレーザ光または蛍光の通過を示すラインの太さ、ラインの色、ラインの種類またはラインの数等で表すこととしてもよい。
【0073】
例えば、透過率または反射率が高いほどラインの太さを太くし透過率または反射率が低いほどラインの太さを細くしたり、透過率または反射率が高いほどラインの色を濃くし透過率または反射率が低いほどラインの色を薄くしたり、透過率または反射率が高いほどラインの数を多くし透過率または反射率が低いほどラインの数を少なくしたりすることとしてもよい。また、例えば、透過率または反射率が所定の閾値よりも高い場合にラインを実線で示し、透過率または反射率が所定の閾値より低い場合にラインを鎖線で表示することとしてもよい。
【0074】
また、上記一実施形態においては、顕微鏡システム本体部10に代えて、例えば、ランプ光源、CCDカメラおよび接眼レンズ等を備えた通常の光学顕微鏡(図示略)を用いることとしてもよい。
【符号の説明】
【0075】
1 光源
5 メモリ(記憶部)
7 表示部
9 制御部(演算部)
13 励起DM(励起ダイクロイックミラー:光学素子)
19 測光DM(測光ダイクロイックミラー:光学素子)
21 バリアフィルタ(光学素子、フィルタ部材)
23 検出器(検出部)
30 光路図
100 顕微鏡システム
A 標本
【技術分野】
【0001】
本発明は、顕微鏡システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザが蛍光標識を設定することにより、使用に適した光学系の選択を可能にする顕微鏡システムが知られている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1に記載の顕微鏡システムは、蛍光試薬の励起波長および蛍光波長(放出波長)、励起光(照射光)の波長特性、および、光学素子の波長特性をバイナリデータとして予めデータファイルに記憶しておき、励起波長のバイナリデータと励起光の波長特性のバイナリデータにおいて光線強度が所定の閾値以上となる波長域が重複するか否か、また、蛍光波長のバイナリデータと光学素子の波長特性のバイナリデータにおいて光線強度が所定の閾値以上となる波長域が重複するか否かを判断することにより、使用に適した光学素子を選択することとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−39563号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の顕微鏡システムのように使用に適した光学素子の選択を自動で行うことが可能であるとしても、状況に応じて、ユーザが光学素子の設定を変更することがある。この場合において、光源から光学素子を介して標本に到達する励起光の光路、および、標本から光学素子を介して検出器に到達する蛍光の光路が表示される顕微鏡システムの光路図表示機能には、励起光および蛍光の波長特性や光学素子の波長特性が考慮されていないため、ユーザが設定した光学素子の選択に問題があったとしても、ユーザはどの光学素子の設定に問題があるのかを光路図からは認識することができないという不都合がある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、光路上に配置した光学素子における励起光および/または蛍光の透過率および/または反射率に関する情報をユーザが一見して把握することができる顕微鏡システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を採用する。
本発明は、光源から発せられ標本に照射される励起光および/または該励起光が照射されることにより前記標本において発生する蛍光を透過または反射する光学素子と、該光学素子により透過または反射された前記蛍光を検出する検出部と、前記光学素子の透過波長および/または反射波長を示す波長特性、前記励起光の波長特性、および、前記検出部が検出する蛍光の波長範囲をデータとして記憶する記憶部と、該記憶部に記憶されている前記データに基づいて、前記光学素子における前記励起光および/または前記蛍光の透過率および/または反射率を算出する演算部と、該演算部により算出された前記光学素子における前記励起光および/または前記蛍光の透過率を示す透過情報または反射率を示す反射情報を前記光学素子と対応づけて表示する表示部とを備える顕微鏡システムを提供する。
【0007】
本発明によれば、光源から発せられた励起光が光学素子を透過しまたは光学素子により反射されて標本に照射され、標本において発生した蛍光が光学素子を透過しまたは光学素子により反射されて検出部により検出される。記憶部にデータとして記憶させた光学素子の波長特性、励起光の波長特性および前記検出部が検出する蛍光の波長範囲に基づいて演算部により算出された、光学素子における励起光および/または蛍光の透過情報または反射情報を光学素子と対応づけて表示部に表示することで、ユーザは、光学素子において励起光および/または蛍光がどれくらい透過されるかまたは反射されるかを一見して把握することができる。
【0008】
これにより、ユーザが光路上に配置する光学素子を設定したり変更したりした場合に、その光学素子の波長特性をデータとして記憶部に記憶させれば、表示部を見るだけで、その光学素子が観察に適しているか否かを容易に判断することができる。また、ユーザが光路上に配置する光学素子を複数設定したり複数変更したりした場合は、各光学素子の波長特性をデータとして記憶部に記憶させれば、いずれかの光学素子の選択に問題があっても、表示部を見るだけでどの光学素子の設定に問題があるかを容易に判断し、適切な光学素子を設定し直すことができる。
【0009】
上記発明においては、前記表示部が、前記光源から前記標本、該標本から前記検出部に至る光路図を表示し、その光路図上の各光学素子の位置に、該光学素子の前記透過情報または反射情報を表示することとしてもよい。
【0010】
このように構成することで、ユーザが、光源、各光学素子および検出部の位置関係と、光学素子ごとの励起光および/または蛍光の透過情報または反射情報とを関連づけて確認することができ、システム全体における各光学素子の適性を容易に判断することができる。
【0011】
また、上記発明においては、前記検出部が検出する蛍光の波長範囲として、前記標本を標識する蛍光試薬の蛍光特性を用いることとしてもよい。
このように構成することで、標本において実際に発生する蛍光の波長特性が分かるので、蛍光が透過または反射する光学素子の高精度な透過情報または反射情報を得ることができる。
【0012】
また、上記発明においては、前記検出部が検出する蛍光の波長範囲として、前記検出部により検出可能な波長帯域を示す波長特性を用いることとしてもよい。
このように構成することで、標本において実際に発生する蛍光の波長特性が分からなくても、想定される蛍光の波長特性に対応する波長特性を有する検出部を用いることで、検出部により検出可能な波長帯域の範囲で、蛍光が透過または反射する光学素子の透過情報または反射情報を得ることができる。
【0013】
また、上記発明においては、前記検出器の直前に配置され、該検出器に入射される蛍光を透過させ励起光を遮断するフィルタ部材を備え、前記検出部が検出する蛍光の波長範囲として、前記フィルタ部材の蛍光を透過可能な波長帯域を示す波長特性を用いることとしてもよい。
【0014】
このように構成することで、標本において実際に発生する蛍光の波長特性が分からなくても、想定される蛍光の波長特性に対応する波長特性を有するフィルタ部材を用いることで、フィルタ部材により蛍光を透過可能な波長帯域の範囲で、蛍光が透過または反射する光学素子の透過情報または反射情報を得ることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、光路上に配置した光学素子における励起光および/または蛍光の透過率および/または反射率に関する情報をユーザが一見して把握することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係る顕微鏡システムの概略構成図である。
【図2】表示部に表示される光路図の一例を示す図である。
【図3】蛍光標識の蛍光プロファイルを示す図である。
【図4】図3の蛍光プロファイルにおいて、蛍光強度の閾値を50%とした場合の蛍光強度が閾値以上の蛍光波長帯域を示す図である。
【図5】図3の蛍光プロファイルにおいて、蛍光強度の閾値を30%とした場合の蛍光強度が閾値以上の蛍光波長帯域を示す図である。
【図6】蛍光試薬の蛍光波長帯域(515−550nm)内の蛍光スペクトルの面積と、励起DMの透過波長帯域(489nm以上)内の蛍光スペクトルの面積を比較した図である。
【図7】蛍光試薬の蛍光波長帯域(515−550nm)内の蛍光スペクトルの面積と、測光DMの反射波長帯域(490nm以上)内の蛍光スペクトルの面積を比較した図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る第1実施例の光路図を示す図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る第2実施例の光路図を示す図である。
【図10】蛍光試薬の蛍光波長帯域(515−550nm)内の蛍光スペクトルの面積と、測光DMの反射波長帯域(530nm〜550nm)内の蛍光スペクトルの面積を比較した図である。
【図11】蛍光の蛍光波長帯域(530〜550nm)内の蛍光スペクトルの面積と、バリアフィルタの透過波長帯域(490nm以上)内の蛍光スペクトルの面積を比較した図である。
【図12】本発明の一実施形態に係る第3実施例の光路図を示す図である。
【図13】蛍光の蛍光波長帯域(530−550nm)内の蛍光スペクトルの面積と、バリアフィルタの透過波長帯域(540〜550nm)内の蛍光スペクトルの面積を比較した図である。
【図14】本発明の一実施形態に係る第4実施例の光路図を示す図である。
【図15】図3の蛍光プロファイルにおいて、検出開始波長と検出終了波長を選択した場合の蛍光波長帯域を示す図である。
【図16】バリアフィルタの透過率の閾値を基準に設定した場合の蛍光波長帯域を示す図である。
【図17】ユーザが所望の範囲を設定した場合の蛍光波長帯域を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の一実施形態に係る顕微鏡システムについて、図面を参照して以下に説明する。
本実施形態に係る顕微鏡システム100は、図1に示すように、レーザ光(励起光)を発するレーザ光源(光源)1と、レーザ光源1から発せられたレーザ光を2次元的に走査しながら標本Aに照射し、標本Aにおいて発生する蛍光を検出する顕微鏡システム本体部10と、ユーザが種々の撮影条件を入力する入力部3と、各種データを記憶するメモリ(記憶部)5と、顕微鏡システム本体部10の光路図30を表示する表示部7と、入力部3に入力された撮影条件に基づいて、レーザ光源1、顕微鏡システム本体部10、メモリ5、表示部7を制御する制御部(演算部)9とを備えている。
【0018】
レーザ光源1は、発振波長の異なるものが複数種備えられている。
顕微鏡システム本体部10は、標本Aを載置するステージ11と、レーザ光源1からのレーザ光および標本Aからの蛍光を透過または反射する励起ダイクロイックミラー(以下、「励起DM」という。光学素子)13と、励起DM13により反射されたレーザ光および標本Aからの蛍光を反射する反射ミラー15と、反射ミラー15により反射されたレーザ光を標本Aに照射する対物レンズ17とを備えている。
【0019】
また、顕微鏡システム本体部10は、励起DM13を透過した蛍光を検出する第1検出部25と第2検出部27を備えている。第1検出部25は、励起DM13を透過した蛍光を透過または反射する測光ダイクロイックミラー(以下、「測光DM」という。光学素子)19と、測光DM19により反射された蛍光に含まれるレーザ光を除去するバリアフィルタ(光学素子、フィルタ部材)21と、バリアフィルタ21を透過した蛍光を検出する検出器(検出部)23とを備えている。以下、励起DM13、測光DM19およびバリアフィルタ21を合わせて「光学素子13,19,21」ともいう。第2検出部27は、第1検出部25の測光DM19を透過した蛍光を検出する他の検出器等(図示略)を備えている。
【0020】
励起DM13、測光DM19およびバリアフィルタ21は、例えば、それぞれ回転可能なターレット(図示略)に波長特性の異なるものが複数固定されている。
検出器23は、例えば、光電子増倍管(PMT)である。
【0021】
入力部3には、ユーザにより、光路上に配置する光学素子13,19,21の種類、使用するレーザ波長、観察対象の標本Aを染色している蛍光試薬の種類、および、検出する波長帯域等を入力することができるようになっている。
【0022】
メモリ5には、全ての光学素子13,19,21の透過波長を示す波長特性のデータまたは反射波長を示す波長特性のデータ、レーザ光の波長特性のデータ、検出器23が検出する蛍光の波長範囲を示すデータが、観察を行う波長範囲にわたって、例えば、所定の波長刻みで記憶されている。本実施形態においては、検出器23により検出する蛍光の波長範囲として、蛍光試薬ごとの蛍光波長特性を用いる。
【0023】
制御部9は、入力部3に入力されたレーザ波長のレーザ光をレーザ光源1から発生させるようになっている。また、制御部9は、ユーザにより蛍光試薬の種類が入力部3に入力されると、入力された蛍光試薬の蛍光プロファイルを表示部7に表示するようになっている。
【0024】
また、制御部9は、メモリ5に記憶されている上記各種データに基づいて、レーザ光がレーザ光源1から標本Aに到達し蛍光が標本Aから検出器23に到達するのに最適な光学素子13,19,21をターレット上で自動選択し、光学素子光路上に配置することができるようになっている。また、制御部9は、ユーザがターレット上の光学素子13,19,21を選択して入力部3に入力すると、自動選択した光学素子13,19,21に代えて、ユーザが選択した光学素子13,19,21を光路上に配置するようになっている。
【0025】
また、制御部9は、光路上に配置した光学素子13,19,21の波長特性のデータをメモリ5から読み出し、例えば、図2に示すような、レーザ光源1から標本A、標本Aから検出器23に至る光路図30を表示部7に表示させるようになっている。光路図30は、例えば、レーザ光の光路がレーザ光源1から励起DM13、および、励起DM13から標本Aの区分に分割され、蛍光の光路が標本Aから励起DM13、励起DM13から測光DM19、測光DM19からバリアフィルタ21、および、バリアフィルタ21から検出器23の区分に分割されている。
【0026】
制御部9は、光路図30において、レーザ光および蛍光の各光路の区分ごとに、レーザ光あるいは蛍光が通過する場合は光路を示すラインを表示し、通過しない場合は光路を示すラインを表示しないようになっている。レーザ光の光路と蛍光の光路は、互いに異なる色のラインで表示されるようになっている。
【0027】
また、制御部9は、メモリ5に記憶されている上記各種データに基づいて、各光学素子13,19,21におけるレーザ光あるいは蛍光の透過率や反射率を算出するようになっている。具体的には、制御部9は、励起DM13の反射波長帯域とレーザ光のレーザ波長に基づいて、励起DM13によるレーザ光の反射率を算出するようになっている。
【0028】
また、制御部9は、各光学素子13,19,21の透過波長帯域内または反射波長帯域内における蛍光波長帯域内の蛍光スペクトルの面積S13,S19,S21と、蛍光試薬における検出する蛍光波長帯域内の蛍光スペクトルの面積SAを求め(図6,7参照。)、蛍光試薬の蛍光スペクトルの面積SAに対する各光学素子13,19,21の蛍光スペクトルの面積S13,S19,S21の比により、各光学素子13,19,21の透過率または反射率を算出するようになっている。
なお、反射ミラー15は固定されて切り替えられないものである上に、レーザ光および蛍光の反射率が波長によらずほぼ一定であるとすることができるので、本実施形態では反射ミラー15の反射率を考慮しないこととする。
【0029】
また、制御部9は、表示部7において、光学素子13,19,21ごとに算出したレーザ光あるいは蛍光の透過率を示す透過情報や反射率を示す反射情報を各光学素子13,19,21にそれぞれ対応づけて表示させるようになっている。具体的には、制御部9は、透過情報として透過率を数値で表すとともに反射情報として反射率を数値で表し、それぞれの数値を光路図30上の各光学素子13,19,21の位置に表示するようになっている。さらに、制御部9は、反射ミラー15の位置にもレーザ光および蛍光の反射率を表示し、検出器23の位置には蛍光の到達率を表示するようになっている。
【0030】
このように構成された本実施形態に係る顕微鏡システム100の作用について説明する。
本実施形態に係る顕微鏡システム100を用いて標本Aを蛍光観察するには、ユーザは、レーザ光の波長、標本Aに使用している蛍光試薬の蛍光波長特性、光学素子13,19,21の透過波長および反射波長を示す波長特性を入力部3に入力し、メモリ5にデータとして記憶させる。
【0031】
例えば、蛍光標識としてAlexaFlour488を使用する場合は、励起光として488nmのレーザを使用することとし、レーザ光の波長特性のデータとして488nmをメモリ5に記憶させる。制御部9は、図3に示すように、入力部3に入力された蛍光標識の蛍光プロファイルを表示部7に表示する。図3において、縦軸はIntensity(正規化された強度:%)を示し、横軸はWavelength(波長:nm)を示している。図4〜7,10,11,13,15において同様である。
【0032】
ユーザは、表示部7に表示された蛍光標識のプロファイルを見て、どの範囲を検出する蛍光波長帯域とするか決定する。検出すべき蛍光波長帯域は、例えば、図4,5に示すように、蛍光強度の閾値(蛍光のピーク強度を100%とした場合の割合。)を基準にして設定することとしてもよい。図4は、蛍光強度の閾値を50%とした場合の蛍光強度が閾値以上の蛍光波長帯域を示し、図5は、蛍光強度の閾値を30%とした場合の蛍光強度が閾値以上の蛍光波長帯域を示している。本実施形態においては、検出すべき蛍光波長帯域として、図4に示す蛍光強度が閾値50%以上の蛍光波長帯域である515−550nmに設定する。
【0033】
ユーザが検出すべき蛍光波長帯域を設定すると、制御部9により、メモリ5に記憶されている上記各種データが読み出され、ターレット上の最適な光学素子13,19,21が自動選択されて光路上に配置される。例えば、制御部9により、488nm以下の波長を反射し488nmより長い波長を透過する励起DM13と、490nmより短い波長を透過し490nm以上の波長を反射する測光DM19と、490nmより短い波長を遮断し490nm以上の波長を透過するバリアフィルタ21が選択されて、それぞれ光路上に配置される。
【0034】
レーザ光源1から488nmのレーザ波長のレーザ光を発生させると、レーザ光は励起DM13(反射波長帯域488nm以下)により反射され、反射ミラー15を介して対物レンズ17により標本Aに照射される。レーザ光を照射することにより標本Aにおいて発生した蛍光(蛍光波長帯域515−550nm)は、対物レンズ17、反射ミラー15を介して励起DM13(透過波長帯域489nm以上)を透過し、測光DM19(反射波長帯域490nm以上)により反射され、バリアフィルタ21(透過波長帯域490nm以上)を透過して検出器23に到達する。
【0035】
この場合において、制御部9により、図2に示すような光路図30が表示部7に表示され、レーザ光および蛍光の光路を示すラインが表示される。また、制御部9により、光路上に配置した光学素子13,19,21の波長特性に対応するデータがメモリ5から読み出され、励起DM13におけるレーザ光の反射率および蛍光の透過率と、測光DMにおける蛍光の反射率と、バリアフィルタ21における蛍光の透過率が算出されて、その数値が光路図30上の各光学素子13,19,21の位置に表示される。
【0036】
具体的には、制御部9により、励起DM13の反射波長帯域(488nm以下)とレーザ光のレーザ波長488nmとから、励起DM13におけるレーザ光の反射率100%が算出される。また、制御部9により、図6に示すような、蛍光試薬の蛍光波長帯域(515−550nm)内の蛍光スペクトルの面積SAに対する、励起DM13の透過波長帯域(489nm以上)内における蛍光波長帯域内の蛍光スペクトルの面積S13の比により、励起DM13における蛍光の透過率100%が算出される。
【0037】
同様にして、制御部9により、図7に示すような、蛍光試薬の蛍光波長帯域(515−550nm)内の蛍光スペクトルの面積SAに対する、測光DM19の反射波長帯域(490nm以上)内における蛍光波長帯域内の蛍光スペクトルの面積S19の比により、測光DM19における蛍光の反射率100%が算出され、蛍光試薬の蛍光波長帯域(515−550nm)内の蛍光スペクトルの面積SAに対する、バリアフィルタ21の透過波長帯域(490nm以上)内における蛍光波長帯域内の蛍光スペクトルの面積S21の比により、バリアフィルタ21における蛍光の透過率100%が算出される。
【0038】
そして、制御部9により、光路図30において、レーザ光源1から励起DM13を介した標本Aまでの光路の全ての区分にレーザ光の通過を示すラインと、標本Aから励起DM13、測光DM19およびバリアフィルタ21を介した検出器23までの光路の全ての区分に蛍光の通過を示すラインが表示される。
【0039】
また、制御部9により、光路図30において、励起DM13の位置にレーザ光の反射率が100%で蛍光の透過率が100%であると表示され、測光DM19の位置に蛍光の反射率が100%であると表示され、バリアフィルタ21の位置に蛍光の透過率が100%であると表示される。
【0040】
したがって、ユーザは、光路図30を見るだけで、各光学素子13,19,21においてレーザ光あるいは蛍光がどれくらい透過されるかまたは反射されるかを一見して把握することができる。
なお、反射ミラー15の位置にもレーザ光の反射率が100%で蛍光の反射率が100%であると表示され、検出器23の位置には蛍光の到達率が100%であると表示される。
【0041】
次に、制御部9により自動選択された光学素子13,19,21に代えて、ユーザが選択した光学素子13,19,21を光路上に配置する場合の各実施例について説明する。
第1実施例は、ユーザが、例えば、400nm以下の波長を反射する波長特性の励起DM13を選択したとする。制御部9により、自動選択された励起DM13に代えて、ユーザが選択した励起DM13(反射波長帯域400nm以下)が光路上に配置される。
【0042】
レーザ光源1から発せられた488nmのレーザ光は励起DM13(反射波長帯域400nm以下)においては全く反射されない。一方、標本Aにおいて発生する蛍光(蛍光波長帯域515−550nm)は、標本Aから励起DM13、測光DM19およびバリアフィルタ21を介して検出器23に到達する。
【0043】
この場合において、制御部9により、励起DM13の反射波長帯域(400nm以下)とレーザ光のレーザ波長488nmとから、励起DM13におけるレーザ光の反射率0%が算出される。また、制御部9により、図6,7に示すような、蛍光試薬の蛍光波長帯域(515−550nm)内の蛍光スペクトルの面積SAに対する各光学素子13,19,21の蛍光スペクトルの面積S13,S19,S21のそれぞれの比により、励起DM13における蛍光の透過率100%、測光DM19における蛍光の反射率100%、および、バリアフィルタ21における蛍光の透過率100%がそれぞれ算出される。
【0044】
その結果、第1実施例では、図8に示すように、制御部9により、光路図30において、レーザ光源1から励起DM13までの光路の区分にレーザ光の通過を示すラインが表示されるが、励起DM13から標本Aまでの区分にレーザ光の通過を示すラインは表示されない。一方、標本Aから励起DM13、測光DM19およびバリアフィルタ21を介した検出器23までの光路の全ての区分に蛍光の通過を示すラインが表示される。
【0045】
また、制御部9により、光路図30において、励起DM13の位置にレーザ光の反射率が0%で蛍光の透過率が100%であると表示される。また、測光DM19の位置に蛍光の反射率が100%であると表示され、バリアフィルタ21の位置に蛍光の透過率が100%であると表示され、検出器23の位置に蛍光の到達率が100%であると表示される。したがって、ユーザは、光路図30により、レーザ光が励起DM13までは到達しているが、それより先の標本Aまでは全く到達していないことを一見して把握することができる。
なお、レーザ光は励起DM13までしか到達しないため、反射ミラー15の位置にはレーザ光の反射率が0%であると表示される。
【0046】
第2実施例は、ユーザが、例えば、515nmより短い波長しか反射しない波長特性の測光DM19を選択したとする。制御部9により、自動選択された測光DM19に代えて、ユーザが選択した測光DM19(反射波長帯域514以下)が光路上に配置される。
【0047】
レーザ光源1から発せられた488nmのレーザ光は励起DM13(反射波長帯域488nm以下)により反射され、反射ミラー15を介して対物レンズ17により標本Aに照射される。一方、標本Aにおいて発生した蛍光(蛍光波長帯域が515−550nm)は、対物レンズ17、反射ミラー15を介して励起DM13(透過波長帯域489nm以上)を透過するが、測光DM19(反射波長帯域514以下)においては全く反射されず、バリアフィルタ21および検出器23には蛍光が到達しない。
【0048】
この場合において、制御部9により、蛍光試薬の蛍光波長帯域(515−550nm)内の蛍光スペクトルの面積SAに対する、測光DM19の反射波長帯域(514nm以下)内における蛍光波長帯域内の蛍光スペクトルの面積S19の比により、測光DM19における蛍光の反射率0%が算出される。蛍光が測光DM19で反射されないため、バリアフィルタ21における蛍光の透過率および検出器23における蛍光の到達率はそれぞれ0%となる。
【0049】
その結果、第2実施例では、図9に示すように、制御部9により、光路図30において、レーザ光源1から標本Aまでの光路の全ての区分にレーザ光の通過を示すラインが表示されるとともに、標本Aから励起DM13を介した測光DM19までの光路の区分に蛍光の通過を示すラインが表示されるが、測光DM19から検出器23までの光路の区分に蛍光の通過を示すラインは表示されない。
【0050】
また、制御部9により、光路図30において、励起DM13の位置にレーザ光の反射率が100%で蛍光の透過率が100%であると表示される。また、測光DM19の位置に蛍光の反射率が0%であると表示され、バリアフィルタ21の位置に蛍光の透過率が0%であると表示され、検出器23の位置に蛍光の到達率が0%であると表示される。したがって、ユーザは、光路図30により、レーザ光は標本Aまで到達しているが、蛍光が測光DM19で反射されず検出器23に到達していないことを一見して把握することができる。
【0051】
第3実施例は、ユーザが、例えば、400nm以下の波長を反射し400nmより長い波長を透過する波長特性の励起DM13と、530nm〜550nmの範囲の波長しか反射しない波長特性の測光DM19を選択したとする。制御部9により、自動選択された励起DM13と測光DM19に代えて、ユーザが選択した励起DM13(反射波長帯域400nm以下)と測光DM19(反射波長帯域530nm〜550nm)が光路上に配置される。
【0052】
レーザ光源1から発せられた488nmのレーザ光は励起DM13(反射波長帯域400nm以下)において全く反射されない。一方、標本Aにおいて発生する蛍光(蛍光波長帯域515−550nm)は、対物レンズ17、反射ミラー15を介して励起DM13(透過波長帯域489nm以上)を透過するが、測光DM19(反射波長帯域530nm〜550nm)においてはその一部しか反射されない。また、測光DM19により反射された蛍光は全てバリアフィルタ21(透過波長帯域490nm以上)を透過して検出器23に到達する。
【0053】
この場合において、制御部9により、励起DM13の反射波長帯域(400nm以下)とレーザ光のレーザ波長488nmとから、励起DM13におけるレーザ光の反射率0%が算出される。また、制御部9により、図6に示すような、蛍光試薬の蛍光波長帯域(515−550nm)内の蛍光スペクトルの面積SAに対する、励起DM13の透過波長帯域(401nm以上)内における蛍光波長帯域内の蛍光スペクトルの面積S13の比により、励起DM13における蛍光の透過率100%が算出される。
【0054】
また、制御部9により、図10に示すような、蛍光試薬の蛍光波長帯域(515−550nm)内の蛍光スペクトルの面積SAに対する、測光DM19の反射波長帯域(530nm〜550nm)内における蛍光波長帯域内の蛍光スペクトルの面積S19の比により、測光DM19における蛍光の反射率E%が算出される。
【0055】
また、制御部9により、図11に示すような、測光DM19により反射された蛍光の蛍光波長帯域(530〜550nm)内の蛍光スペクトルの面積SAに対する、バリアフィルタ21の透過波長帯域(490nm以上)内における蛍光波長帯域内の蛍光スペクトルの面積S21の比により、バリアフィルタ21における蛍光の透過率F%が算出される。
【0056】
さらに、制御部9により、測光DM19における反射率E%とバリアフィルタ21における透過率F%により、検出器23への蛍光の到達率G%(E×F=G)が算出される。本実施形態においては、バリアフィルタ21における蛍光の透過率F%が100%となり、結果的に、検出器23への蛍光の到達率G%はE%と等しくなる。
【0057】
その結果、第3実施例では、図12に示すように、制御部9により、光路図30において、レーザ光源1から励起DM13までの光路の区分にレーザ光の通過を示すラインが表示されるが、励起DM13から標本Aまでの光路の区分にレーザの通過を示すラインは表示されない。また、標本Aから励起DM13、測光DM19およびバリアフィルタ21を介した検出器23までの光路の全ての区分に蛍光の通過を示すラインが表示される。
【0058】
また、制御部9により、励起DM13の位置にレーザ光の反射率が0%で蛍光の透過率が100%であると表示され、測光DM19の位置に蛍光の反射率がE%であると表示され、バリアフィルタ21の位置に蛍光の透過率がF%であると表示される。さらに、検出器23の位置に蛍光の到達率がG%であると表示される。したがって、ユーザは、光路図30により、レーザ光は励起DM13までしか到達しておらず、蛍光全体のE%が測光DM19で反射され、測光DM19により反射された蛍光のF%がバリアフィルタ21を透過し、検出器23には蛍光全体のG%しか到達していないことを一見して把握することができる。
【0059】
第4実施例は、第3実施例において、ユーザが、例えば、540〜550nmの範囲の蛍光を透過する波長特性のバリアフィルタ21を選択したとする。制御部9により、自動選択したバリアフィルタ21に代えて、ユーザが選択したバリアフィルタ21(透過波長帯域540〜550nm)が配置される。
【0060】
測光DM19により反射された蛍光(蛍光波長帯域530〜550nm)は、バリアフィルタ21(透過波長帯域540〜550nm)においてその一部しか透過されず、バリアフィルタ21を透過した蛍光のみが検出器23に到達する。
【0061】
この場合において、制御部9により、図13に示すような、測光DM19により反射された蛍光の蛍光波長帯域(530−550nm)内の蛍光スペクトルの面積SAに対する、バリアフィルタ21の透過波長帯域(540〜550nm)内における蛍光波長帯域内の蛍光スペクトルの面積S21の比により、バリアフィルタ21による蛍光の透過率H%が算出される。さらに、測光DM19における反射率E%とバリアフィルタ21における透過率H%により、検出器23への蛍光の到達率J%(E×H=J)が算出される。
【0062】
その結果、第4実施例では、図14に示すように、制御部9により、光路図30において、レーザ光および蛍光の通過を示すラインの表示は変わらないが、バリアフィルタ21の位置に蛍光の透過率がH%であると表示され、検出器23の位置に蛍光の到達率がJ%であると表示される。したがって、ユーザは、光路図30により、レーザ光は励起DM13までしか到達しておらず、蛍光全体のE%が測光DM19で反射され、測光DM19により反射された蛍光のH%がバリアフィルタ21を透過し、検出器23には蛍光全体のJ%しか到達していないことを一見して把握することができる。
【0063】
以上説明したように、本実施形態に係る顕微鏡システム100によれば、ユーザは、光路図30を見るだけで、各光学素子13,19,21においてレーザ光および蛍光がどれくらい透過されるかまたは反射されるかを容易に把握することができる。これにより、ユーザが光路上に配置する光学素子13,19,21を設定したり変更したりした場合に、その光学素子13,19,21の波長特性をデータとしてメモリ5に記憶させておけば、光路図30によりその光学素子13,19,21が観察に適しているか否かを容易に判断することができる。また、ユーザが光路上に配置する光学素子13,19,21を複数設定したり複数変更したりした場合も、各光学素子13,19,21の波長特性をデータとしてメモリ5に記憶させておけば、いずれかの光学素子13,19,21の選択に問題があっても光路図30によりどの光学素子13,19,21の設定に問題があるかを容易に判断し、適切な光学素子13,19,21を設定し直すことができる。
【0064】
また、自動設定により選択された光学素子が最適でない場合、例えば、自動設定ではバンドパスフィルタが選択されるが、ローパスフィルタやハイパスフィルタの方がより明るい画像を取得することができるような場合において、ユーザが適切な各光学素子を個別に容易に選択することができる。
【0065】
本実施形態においては、制御部9は、検出すべき蛍光波長帯域を蛍光強度の閾値を基準にして設定することとしたが、これに代えて、制御部9が、例えば、図15に示すように、検出開始波長(例えば、515nm)と検出終了波長(例えば、550nm)を適宜選択することにより、検出すべき蛍光波長帯域を設定することとしてもよい。
【0066】
また、本実施形態においては、光源としてレーザ光源1を採用し、励起光の波長特性としてレーザ光のレーザ波長を用いることとしたが、光源として例えばランプ光源を採用する場合は、ランプ光源の最も近くに配置される励起DM13の波長特性、または、励起用波長を抽出する励起フィルタ(図示略)の波長特性を励起光の波長特性として用いることとしてもよい。
【0067】
また、本実施形態においては、蛍光標識の蛍光特性が予め分かっている場合について説明したが、蛍光標識の蛍光特性が分からない場合は、検出器23が検出する蛍光の波長範囲として、例えば、検出器23の直前に配置されるバリアフィルタ21の波長特性を用いることとしてもよいし、あるいは、検出器23により検出可能な波長帯域を示す波長特性を用いることとしてもよい。このようにすることで、蛍光試薬の開発過程のように、開発した蛍光試薬の情報がメモリ9に登録されていない場合においても、光路図30により光線の到達状況を視覚的に把握し、最適な光学素子の組み合わせを容易に実現することができる。
【0068】
この場合において、バリアフィルタ21がバンドバスフィルタであれば、検出すべき蛍光波長範囲として、図16に示すように、透過率の閾値(蛍光のピーク強度を100%としたときの割合。)を基準に設定することとしてもよい(同図においては、閾値10%。)。また、バリアフィルタ21がハイパスフィルタであれば、検出すべき蛍光波長として、図17に示すように、ユーザが所望の範囲を設定することとしてもよい(同図においては、520〜600nm)。
【0069】
また、本実施形態においては、光学素子13,19,21の波長特性および蛍光試薬の蛍光スペクトルを加味して蛍光の透過率または反射率を算出することとしたが、蛍光試薬の蛍光スペクトルが不明の場合は、蛍光の検出波長帯域幅に対する光学素子13,19,21の波長帯域幅の比により、励起DM13における蛍光の透過率、測光DM19における蛍光の反射率、および、バリアフィルタ21における蛍光の透過率を算出することとしてもよい。
【0070】
この場合、第3実施例においては、蛍光試薬の蛍光波長帯域(515−550nm)に対する測光DM19の反射波長帯域(530nm〜550nm)の比により、測光DM19における蛍光の反射率は57%となる。
また、第4実施例においては、測光DM19により反射された蛍光の蛍光波長帯域(530−550nm)に対するバリアフィルタ21の透過波長帯域(540〜550nm)の比により、バリアフィルタ21における蛍光の透過率は50%となる。そして、測光DM19における反射率57%とバリアフィルタ21における透過率50%により、検出器23への蛍光の到達率は28%(0.57×0.50=0.28)となる。
【0071】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。例えば、本発明を上記の一実施形態およびその変形例に適用したものに限定されることなく、これらの実施形態および変形例を適宜組み合わせた実施形態に適用してもよく、特に限定されるものではない。また、例えば、本実施形態においては、光学素子として、励起DM13、測光DM19およびバリアフィルタ21を例示して説明したが、これに限定されるものではない。光学素子としては、例えば、光路上に切り替え可能に設けられ、レーザ光および蛍光の透過率または反射率が波長によって変化するものであればよい。
【0072】
また、上記一実施形態においては、制御部9が、透過情報として透過率の割合を数値で表し、反射情報として反射率の割合を数値で表すこととしたが、これに代えて、透過情報および反射情報を、例えば、光路図30に表示するレーザ光または蛍光の通過を示すラインの太さ、ラインの色、ラインの種類またはラインの数等で表すこととしてもよい。
【0073】
例えば、透過率または反射率が高いほどラインの太さを太くし透過率または反射率が低いほどラインの太さを細くしたり、透過率または反射率が高いほどラインの色を濃くし透過率または反射率が低いほどラインの色を薄くしたり、透過率または反射率が高いほどラインの数を多くし透過率または反射率が低いほどラインの数を少なくしたりすることとしてもよい。また、例えば、透過率または反射率が所定の閾値よりも高い場合にラインを実線で示し、透過率または反射率が所定の閾値より低い場合にラインを鎖線で表示することとしてもよい。
【0074】
また、上記一実施形態においては、顕微鏡システム本体部10に代えて、例えば、ランプ光源、CCDカメラおよび接眼レンズ等を備えた通常の光学顕微鏡(図示略)を用いることとしてもよい。
【符号の説明】
【0075】
1 光源
5 メモリ(記憶部)
7 表示部
9 制御部(演算部)
13 励起DM(励起ダイクロイックミラー:光学素子)
19 測光DM(測光ダイクロイックミラー:光学素子)
21 バリアフィルタ(光学素子、フィルタ部材)
23 検出器(検出部)
30 光路図
100 顕微鏡システム
A 標本
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源から発せられ標本に照射される励起光および/または該励起光が照射されることにより前記標本において発生する蛍光を透過または反射する光学素子と、
該光学素子により透過または反射された前記蛍光を検出する検出部と、
前記光学素子の透過波長および/または反射波長を示す波長特性、前記励起光の波長特性、および、前記検出部が検出する蛍光の波長範囲をデータとして記憶する記憶部と、
該記憶部に記憶されている前記データに基づいて、前記光学素子における前記励起光および/または前記蛍光の透過率および/または反射率を算出する演算部と、
該演算部により算出された前記光学素子における前記励起光および/または前記蛍光の透過率を示す透過情報または反射率を示す反射情報を前記光学素子と対応づけて表示する表示部とを備える顕微鏡システム。
【請求項2】
前記表示部が、前記光源から前記標本、該標本から前記検出部に至る光路図を表示し、その光路図上の各光学素子の位置に、該光学素子の前記透過情報または反射情報を表示する請求項1に記載の顕微鏡システム。
【請求項3】
前記検出部が検出する蛍光の波長範囲として、前記標本を標識する蛍光試薬の蛍光特性を用いる請求項1または請求項2に記載の顕微鏡システム。
【請求項4】
前記検出部が検出する蛍光の波長範囲として、前記検出部により検出可能な波長帯域を示す波長特性を用いる請求項1または請求項2に記載の顕微鏡システム。
【請求項5】
前記検出器の直前に配置され、該検出器に入射される蛍光を透過させ励起光を遮断するフィルタ部材を備え、
前記検出部が検出する蛍光の波長範囲として、前記フィルタ部材の蛍光を透過可能な波長帯域を示す波長特性を用いる請求項1または請求項2に記載の顕微鏡システム。
【請求項1】
光源から発せられ標本に照射される励起光および/または該励起光が照射されることにより前記標本において発生する蛍光を透過または反射する光学素子と、
該光学素子により透過または反射された前記蛍光を検出する検出部と、
前記光学素子の透過波長および/または反射波長を示す波長特性、前記励起光の波長特性、および、前記検出部が検出する蛍光の波長範囲をデータとして記憶する記憶部と、
該記憶部に記憶されている前記データに基づいて、前記光学素子における前記励起光および/または前記蛍光の透過率および/または反射率を算出する演算部と、
該演算部により算出された前記光学素子における前記励起光および/または前記蛍光の透過率を示す透過情報または反射率を示す反射情報を前記光学素子と対応づけて表示する表示部とを備える顕微鏡システム。
【請求項2】
前記表示部が、前記光源から前記標本、該標本から前記検出部に至る光路図を表示し、その光路図上の各光学素子の位置に、該光学素子の前記透過情報または反射情報を表示する請求項1に記載の顕微鏡システム。
【請求項3】
前記検出部が検出する蛍光の波長範囲として、前記標本を標識する蛍光試薬の蛍光特性を用いる請求項1または請求項2に記載の顕微鏡システム。
【請求項4】
前記検出部が検出する蛍光の波長範囲として、前記検出部により検出可能な波長帯域を示す波長特性を用いる請求項1または請求項2に記載の顕微鏡システム。
【請求項5】
前記検出器の直前に配置され、該検出器に入射される蛍光を透過させ励起光を遮断するフィルタ部材を備え、
前記検出部が検出する蛍光の波長範囲として、前記フィルタ部材の蛍光を透過可能な波長帯域を示す波長特性を用いる請求項1または請求項2に記載の顕微鏡システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
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【図14】
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【図16】
【図17】
【公開番号】特開2013−29800(P2013−29800A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−60323(P2012−60323)
【出願日】平成24年3月16日(2012.3.16)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年3月16日(2012.3.16)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
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