説明

顕微鏡照明方法及び顕微鏡

【課題】顕微鏡照明方法及び顕微鏡を提供する。
【解決手段】本発明は、顕微鏡照明方法、白色光LED(4)と補正フィルタ(6)とを備えた顕微鏡照明セット、並びに透過光明視野照明及び入射光蛍光照明で交互に又は同時に試料(10)を解析する対応する顕微鏡システム(1)に関し、白色光LED(4)は透過光明視野照明に使用され、補正フィルタ(6)が、透過光明視野照明中及び入射光蛍光照明中の両方で透過光明視野照明の照明ビーム路内の位置でアクティブ化され、補正フィルタ(6)は、白色光LED(4)のスペクトルの少なくとも1つの最大の波長範囲に最小を有するスペクトル透過ファイルを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顕微鏡照明方法、白色LEDと補正フィルタとを備えた顕微鏡照明手段、並びに交互に又は同時にオンになる透過光明視野照明及び入射光蛍光照明を備えた、試料を解析する対応する顕微鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
細胞診及び病理学では、染色試料が、一般に透過明視野照明で顕微鏡により解析される。顕微鏡により解析される試料の色は、診断の重要な基準である。例えば、位相コントラスト又は微分干渉コントラスト(DIC)等のコントラスト方法による他の顕微鏡解析では、試料の色はあまり重要ではない。この種のコントラスト方法では、非染色試料が解析され、透過明視野顕微鏡では主に透明に見える。コントラスト方法が続けて使用されて、試料の位相特性を可視化する。
【0003】
蛍光顕微鏡はさらなる既知の解析方法である。この文脈の中では、解析すべき試料は、励起フィルタとして知られるものを通る入射光照明ビーム路により照明される。励起光は、蛍光染色された物体を蛍光させ、発せられた蛍光が結果として生成される試料の顕微鏡像を決める。これらの顕微鏡方法は本質的に、比較的長い期間にわたって知られている。詳しくは入手可能な先行技術を参照のこと。
【0004】
過去数十年では、ハロゲン灯が、例えば、透過光明視野照明のために、顕微鏡での照明手段として使用されてきた。ハロゲン灯が発する光は主に、黒体の連続スペクトルに対応する。一般に、熱保護フィルタも、ハロゲン灯を備えた照明モジュールに内蔵され、発せられる放射線の赤外線範囲を大幅に減衰する。吸収ガラス(2mm厚のKG1)が、熱保護フィルタとして使用されることが多い。結果として生成される照明の連続スペクトルは、ユーザによる色評価を可能な限り確実にする。
【0005】
特定の光源を用いる照明の場合、演色評価数(CRI)として知られるものが色の評価に重要である。これは、等しい相関色温度の光源の演色品質を示すために使用することができる測光値であると理解される。色温度5000Kまでは、対応する色温度の黒体から発せられる光が、演色品質を評価する基準として使用される。5000Kを超える色温度では、日光のようなスペクトル分布が基準として使用される。例えば、それ自体が黒体の良好な近似である家庭のフィラメント電球の演色を計算する場合、2700Kの温度を有する黒体のスペクトルが使用される。可視波長範囲の等しい(相関)色温度の黒体のスペクトルを完全に模倣する任意の光源が、演色評価数100を達成する。ハロゲン灯もフィラメント電球と同様に、最高で100の演色評価数を達成することができる。
【0006】
顕微鏡法では、ハロゲン灯は次第に、既知の利点を有する発光ダイオード(以下ではLED)で置き換えられつつある。これらの利点としては、低消費電力で高い光放射性及び長寿命が挙げられる。透過光照明の場合、白色LEDが主に使用される。白色標準LEDでは、青色、紫色、又はUVのLEDが光輝性材料と組み合わせられる。青色LEDが一般に利用され、黄色の光輝性材料と組み合わせられる。複数の異なる光輝性材料(一般に赤、緑、及び青)を含むUV LEDを使用することもできる。加法混色の原理によれば、白色光がこの主のLEDにより生成される。このように製造される構成要素は良好な演色性を有し、演色評価数は70〜90である。しかし、白色LEDは連続スペクトルを発さない。青色LEDに基づく白色光LEDは、青色スペクトル範囲内(約450nm)で強い放射を有し、青緑(約500nm)波長範囲で最小を有し、より高い波長でより広い放射範囲を有し、約550nmで最大であり、約650nmで大きく下がる。
【0007】
LEDの種類に応じて、約450nmでの最大強度に対する500nmでの最小強度の比率は通常、約10〜20%である。試料照明としてこの種の不連続スペクトルを使用する場合、色評価はより困難であり、ハロゲン灯による顕微鏡照明の場合で得られる経験値と異なる。
【0008】
特許文献1はこの問題に対処する。この文献では、日光フィルタが組み合わせられた従来のハロゲン光源からの顕微鏡照明が、白色LEDの照明と比較されている。視覚的又は(CCD)カメラで観測された観測物体の色が、スペクトル分布が異なることから変化し、この色変化が誤った診断結果に繋がり得ることが分かった。したがって、この文献では、いわゆる「波長分布変換要素」により、白色LEDのスペクトル分布を日光のスペクトル分布に合わせようとする。この文献では、可能な補正フィルタ(「波長分布変換要素」)に適したスペクトル透過プロファイルのいくつかの例が提供され、2つの補正フィルタを連続して配置することが可能である。この文献で使用される白色光LEDの第1の例は、第1の最大を青色範囲(約450nm)で示し、第2の、この場合はより高い最大を緑黄色範囲(約550nm)で示す。対照的に、白色光LEDの別の例は、本明細書の導入部で上述したスペクトルプロファイルを示し、第1の最大が第2の最大よりも高い強度を有する。両事例で、各補正フィルタは、全体としては元の白色光LEDのプロファイルに対応するが、2つの最大がおおよそ同じ強度に調整されたスペクトルプロファイルを提供する。したがって、結果として生成されるスペクトルプロファイルはなお、日光又はハロゲン灯(日光フィルタを備える)のスペクトルである所望の目的から大きく離れている。
【0009】
上記導入部で扱ったさらなる問題が蛍光顕微鏡で生じる。上述した透過光明視野照明に加えて、顕微鏡がさらに、入射光蛍光照明の可能性を有する場合、本発明者等は以下の作用を発見した。試料の入射光蛍光励起中に生成される励起光の大部分が、試料を透過し、透過光照明軸に沿って透過光照明源に達する。青色LEDを備えた白色光LEDがこの位置に配置される場合、青色励起光は白色LED内の黄緑変換色素を励起させ、そのために黄緑光が透過光照明軸に沿って試料に達する。これは、蛍光像の破壊的な背景として知覚され、試料からの実際の蛍光にかなり重複する危険さえある。紫色又はUVのLEDに基づく白色光LEDが使用される場合、蛍光照明の励起光が紫色又はUVスペクトル範囲内にスペクトル成分を有するとき、同様の作用が見られる。この場合、白色光LED内の対応する変換色素が励起する。この励起は、白色光LEDそれ自体がオフに切り替えられる場合であっても生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】独国特許出願公開第10 2007 022 666 A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、本発明の目的は、交互に又は同時にオンに切り替えることができる、白色光LEDによる透過光明視野照明及び入射光蛍光照明を備えた顕微鏡において、入射光蛍光観測での破壊的な光を低減することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、顕微鏡内で試料を照明する方法を提案し、この方法では、試料を透過光明視野照明及び入射光蛍光照明で交互に又は同時に照明することができ、白色光LEDが、透過光明視野照明の光源として使用される。透過光明視野照明及び入射光蛍光照明の両方で、スペクトル選択的な補正フィルタが、透過光明視野照明の照明ビーム路内の位置でアクティブ化される。この補正フィルタは、白色光LEDのスペクトルの少なくとも1つの最大の波長範囲に最小を有するスペクトル透過プロファイルを有する。
【0013】
したがって、本発明によれば、透過光明視野照明手段がオンに切り替えられる場合及び入射光蛍光照明手段がオンに切り替えられる場合の両方で、並びに透過光明視野照明と同時入射光蛍光照明が組み合わせられるあまり一般には生じない場合でも、スペクトル補正フィルタが透過光明視野照明手段の照明ビーム路に導入される。透過光照明の光源、すなわち、白色光LEDがオフに切り替えられる場合であっても、補正フィルタが透過光明視野照明の照明ビーム路に導入されることを強調すべきである。これが、補正フィルタが「照明ビーム路内の位置」でアクティブ化されるという表現の理由である。補正フィルタが透過光照明軸上に配置又はアクティブ化されるという表現は、これと同義で使用される。補正フィルタの「アクティブ化」という用語は、透過光照明軸上のこのフィルタの永久的な存在も含む旨として解釈されるべきである。しかし、補正フィルタをフィルタスライド又ハフィルタホイールに取り付けることが有利であり得、これによりフィルタスライド又はフィルタホイールは、スペクトル補正フィルタを透過光照明軸から取り出され、他の顕微鏡方法、特に最初に考察したコントラスト方法のための他の可能なフィルタがビーム路に配置される。したがって、スペクトル補正フィルタは、透過光照明軸上で試料と白色光LEDとの間に配置され、又はそのように配置することが可能である。
【0014】
スペクトル補正フィルタが必ずしも単一のフィルタである必要はなく、2つ以上のスペクトルフィルタを備え、上記2つ以上のスペクトルフィルタの組み合わせがスペクトル補正フィルタを形成してもよいことに留意されたい。
【0015】
スペクトル補正フィルタが、透過型ディスプレイのような電子フィルタを備えてもよいことにさらに留意されたい。
【0016】
本発明では、スペクトル補正フィルタは、白色光LEDのスペクトルの少なくとも1つの最大の波長範囲に透過最小を有するスペクトル透過プロファイルを有する。一般性を失うことなく、本発明は、最初に説明された白色光LEDの一種により説明され、青色光で励起する白色光LEDは、青色波長範囲(約450nm)で最大、青緑(約500nm)で最小、及び緑黄色波長範囲(約650nm)でさらなる最大を有するスペクトルを有する。しかし、本発明の背景にある原理は、この種の白色光LEDに限定されず、他の種類の白色光LEDの事例に適用することもできる。
【0017】
本発明によれば、白色光LEDに調整されたスペクトル補正フィルタは、上記例に従えば、青色及び/又は緑黄色波長範囲から発せられる白色光LEDのスペクトル範囲からの放射を低減する。一方、これは、このようにして透過放射の強度が1つ又は複数のスペクトル範囲で低減され、その結果、特に上流熱保護フィルタ及び/又は日光フィルタを含むハロゲン灯のスペクトルへの近似を達成することができ、又は補正フィルタの対応するさらなる構成により、上記スペクトルとの完全な対応を達成することができるため、透過光明視野照明に対して好ましい作用を有する。他方、入射光蛍光照明の場合、本発明は、最初に述べた望ましくない作用を低減又は完全になくすことができる。補正フィルタのスペクトル透過プロファイルが、例えば、青色波長範囲内に透過最小を有する場合、補正フィルタは、入射光蛍光照明からの青色励起光が、透過光に提供される白色光LEDに衝突することを回避することができる。最初に上述したように、特に青色励起光の大部分が、透過光照明軸に沿って試料を透過して白色光LEDに届く。したがって、透過光照明軸に配置されたスペクトル補正フィルタは、白色光LED内の黄緑変換色素の励起を回避する。補正フィルタが、例えば、黄緑波長範囲内に透過最小を有するスペクトル透過プロファイルを有する場合、透過光照明軸に適用される補正フィルタは、白色光LEDからの青色励起光による黄緑変換色素の励起により生成される黄緑光が、試料に達することを回避することができる。
【0018】
したがって、特に有利な構成では、白色光LEDのスペクトルのすべての最大の波長範囲に透過最小、すなわち、本例では、青色波長範囲及び黄緑波長範囲に透過最小を有する補正フィルタが使用される。ここでも、入射光蛍光照明からの青色励起光による黄緑変換色素の励起の作用が、白色光LEDがオフに切り替えられた場合でも、すなわち、透過光照明手段がオフに切り替えられた場合であってもなお生じることを強調すべきである。
【0019】
したがって、本発明は理想的には、一方では、白色光LEDを含む透過光照明のスペクトルプロファイルを、日光フィルタ又は熱保護フィルタあり又はなしのハロゲン灯のスペクトルプロファイルに補正するために、そして同時に、入射光蛍光照明に切り替えられた後、入射光蛍光照明からの励起光により透過光白色光LED内の色素の励起から発せられる蛍光像内の破滅的な強度の背景をなくすために適する。一般にオフに切り替えられた白色光LEDは次に励起し、下から蛍光試料を照射する。
【0020】
本発明は特に、常に、試料に達する入射光蛍光照明の励起光のスペクトルが、白色光LED内に存在する変換色素の励起を助ける(ことができる)成分を含む場合、特に有利に使用することができる。特に、作用が起きることによって、白色光LEDがオフに切り替えられる場合であっても変換色素が蛍光照明からの励起光により励起するのはまさにこの場合である。
【0021】
補正フィルタが、白色光LEDのスペクトルの最大(又は最小)の「波長範囲」に最小(又は最大)を有するスペクトル透過プロファイルを有しなくてはならないという要件は、この最小(又は最大)が最大(又は最小)を中心とした±25nmの範囲内にあるという旨であると理解されたい。最大(又は最小)のピークの先鋭さに応じて、上記範囲は±10nmまで下がってもよく、又は±10nm未満であってもよい。しかし、特に、補正フィルタの透過プロファイルは、上述した有益な作用が透過光明視野照明中及び入射光蛍光照明中の両方で生じるように設計される。
【0022】
純粋に完全を期すために、本明細書において考察される本発明に対する代替が、入射光蛍光照明中に透過光照明軸内にシャッタを取り入れることを含み、シャッタが、透過光照明軸の方向において試料を透過する励起光を白色光LEDから完全に離れる状態を保つことに留意されたい。透過光明視野照明に切り替えられると、シャッタを再び、透過光照明ビーム路から外す必要がある。
【0023】
本発明は、最初に扱ったコントラスト方法等の他の顕微鏡方法との併用にも特に適する。位相コントラスト(「phaco」)では、光リングからの約10%のみの光が試料に向けられる。微分干渉コントラスト(「DIC」)では、交差偏光子が光強度の大半を受け取る。最後に、プローブを暗視野で見る場合、直接光は観測されず、試料から散乱した光のみが観測される。顕微鏡の照明システムは一般に、十分な光が上述したコントラスト方法でも利用可能なように構成されるため、透過光照明の強度は、本発明により使用される追加の補正フィルタによる減衰が強度問題を生じさせず、実際に強度補正に適するほど十分に高い。
【0024】
本発明がコントラスト方法と一緒に使用される場合、透過光明視野照明からコントラスト方法に切り替える際、選択されたコントラスト方法に対してより高い光強度が再び利用可能なように、補正フィルタを透過光明視野照明の照明ビーム路から取り除く(手動又は自動で)ことが好都合である。
【0025】
顕微鏡照明の上述した方法と同様に、本発明は、白色光LEDと、白色光LEDに調整された補正フィルタとを備えた顕微鏡照明手段、この種の顕微鏡照明手段の使用、そして最後に対応する顕微鏡に関する。本発明のこれらの態様の1つに関連する構成のすべてはそれぞれ、他のすべての態様に適用されることが意図される。
【0026】
本発明による顕微鏡照明手段は、特に好ましくは、顕微鏡での試料の透過光照明に適し、この試料は特に、透過光明視野照明及び入射光蛍光照明で交互に又は同時に解析される。この文脈の中では、白色光LEDは、透過光明視野照明の光源として使用され、スペクトル補正フィルタが、透過光明視野照明中及び入射光蛍光照明中の両方で透過光明視野照明の照明ビーム路内の位置でアクティブ化される。白色光LEDのスペクトルは少なくとも2つの最大を有する。補正フィルタの透過プロファイルは、白色光LEDに調整され、LEDのこれらの強度最大のうちの少なくとも1つの波長範囲内に透過最小を有する。好ましい適用シナリオは、青色波長範囲及び緑黄色波長範囲内に2つの最大を有する上述した白色光LEDの種類であり、これらの範囲を440〜470(青色範囲)及び520〜570nm(緑黄色範囲)のそれぞれに制限することが可能である。
【0027】
このようにして構成された顕微鏡照明手段は、透過光明視野照明と入射光蛍光照明とを交互(又は同時)にする間、上述する利点を提供する。白色光LEDのスペクトルプロファイルを質的に手短に上述したが、青色波長範囲及び緑黄波長範囲内のピーク(最大)の厳密な位置並びにそれらの振幅に関して同種の異なる白色光LED間に明確な差がある。これは、470nm〜520nmの範囲内の2つの最大間、特に約500nmにある最小の位置及び振幅に対しても言える。補正フィルタを白色光LEDに最適に合わせるために、放射プロファイル、すなわち白色光LEDのスペクトルについての精密な知識が重要である。
【0028】
好ましくは、補正フィルタのスペクトル透過プロファイルは、白色光LEDのスペクトルの最小の波長範囲内に透過最大を有する。最適には、スペクトル透過プロファイルは、試料に衝突する透過光明視野照明のスペクトルがハロゲン灯のスペクトルに対応するように、白色光LEDに調整される。光学的に見るためには、このスペクトルは、可視波長範囲の少なくとも主な部分でハロゲン灯のスペクトルに対応することで十分である。可視波長範囲の主な部分は特に、420〜700nmに及ぶ。
【0029】
適用シナリオに応じて、上流日光フィルタ及び/又は熱保護フィルタを有するハロゲン灯のスペクトルへの対応を提供することもできる。ハロゲン灯に関連して、熱保護フィルタは、できる限りスペクトル内の望ましくないIR成分をなくすべきである。典型的な熱保護フィルタは、以下のスペクトル特性を有するSchottからの2mm KG1ガラスからなる:約400nm〜約600nmの可視範囲で、透過が略一定(90%のすぐ下)であり、600nm上では、光は次第に吸収され、700nmでは、透過は60%のみであり、800nmでは、すでに30%未満である。対照的に、日光フィルタは主に可視スペクトル範囲で有効であり、ハロゲン灯の色温度を、例えば、3200Kから日光のような色温度である約5500Kに「シフト」することを目的とする。したがって、この種のフィルタは変換フィルタとも呼ばれる。この種のフィルタの典型的なスペクトルは、おおよそ逆指数的であり、400nmで最大(100%透過)を有し、続けて波長が高くなるにつれて次第に衰える(500nmで40%の透過、600nmで20%の透過、800nmで10%の透過)。
【0030】
実際には、使用される白色光LEDのスペクトル放射がまず、例えば、適した分光計により精密に特定される。補正フィルタは、それに合うように設計され製造される。この文脈の中では、LED製造業者が製造後にLEDを較正し、「色ランク」として知られるランクに配することができるという利点がある。比較的多数のLEDが必要とされる場合、製造業者は、条片に取り付けられたLEDを提供し、各条片は1つの色ランクのLEDのみを含む。したがって、本発明による顕微鏡照明セットを製造するには、各LEDに異なるフィルタを設計し製造する必要はなく、1条片のすべてのLEDに異なるフィルタを設計し製造する必要があるだけである。これは物流の複雑性を大幅に低減する。
【0031】
白色光LEDのスペクトルプロファイル及び補正フィルタに適する透過プロファイルについての詳細は、後述する実施形態から導出し得る。
【0032】
最後に、本発明は、透過光明視野照明及び入射光蛍光照明で交互に又は同時に試料を解析する顕微鏡にも関し、顕微鏡は、透過光明視野照明手段と、入射光蛍光照明手段とを備え、白色光LEDが、透過光明視野照明手段の光源として提供され、透過光明視野照明中及び入射光蛍光照明中の両方で透過光明視野照明手段の照明ビーム路内の位置で補正フィルタをアクティブ化することが可能である。補正フィルタは、白色光LEDのスペクトルの少なくとも1つの最大の波長範囲に透過最小を有するスペクトル透過プロファイルを有する。
【0033】
この種の顕微鏡システムのさらなる構成、特に顕微鏡システム内で使用される補正フィルタの構成は、本発明に関する上記文章から導出し得る。
【0034】
透過光明視野照明手段の白色光LEDのスペクトルが、特に青色波長範囲及び緑黄色波長範囲のそれぞれに少なくとも2つの最大を有し、補正フィルタのスペクトル透過プロファイルがこれら最大のうちの少なくとも一方の波長範囲に透過最小を有し、白色光LEDのスペクトルが少なくとも2つの最大の間に少なくとも1つの最小を有し、補正フィルタのスペクトル透過プロファイルが、この少なくとも1つの最小の波長範囲に透過最大を有する顕微鏡の構成が特に好ましい。この構成の利点に関しては、対応する上記文章を参照すべきである。
【0035】
試料の顕微鏡観測及び解析に特に適した構成は、補正フィルタのスペクトル透過プロファイルが、補正フィルタを透過する相対スペクトルプロファイルが、少なくとも可視波長範囲の主な部分においてハロゲン灯のスペクトル、特に、上流熱保護フィルタ及び/又は日光フィルタを含むハロゲン灯のスペクトルに対応するように、白色光LEDのスペクトルに調整される場合に達成される。実際には、可視波長範囲のこの主な部分は特に、420nm〜700nmに及ぶ。この構成のさらなる利点に関しては、対応する上記文章を参照すべきである。
【0036】
スペクトルが440nm〜470nm及び520nm〜570nmのそれぞれの範囲に2つの最大を有する白色光LEDを使用することが特に好都合である。最後に、スペクトルが470nm〜520nmの範囲、特に500nmに最小を有する白色光LEDを使用することが好ましい。この種の白色光LEDは当初、青色光により励起する白色光LEDの種類に関連付けられた。特に、この種の白色光LEDに関連して、蛍光励起により生成される破滅的な光を大幅に低減し、透過光照明のスペクトルをハロゲン灯(特に熱保護フィルタを備えるハロゲン灯)のスペクトルに良好に近似させることもできる補正フィルタを設計することができる。
【0037】
上記特徴及び以下に説明される特徴が、本発明の範囲から逸脱せずに、それぞれ述べられた組み合わせのみならず、他の組み合わせ又は分離して使用することも可能なことは言うまでもない。
【0038】
本発明は、実施形態として図面に概略的に示され、図面を参照して以下に詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】視感度曲線(K1)と共に、白色光LEDのスペクトル(K2)、熱保護フィルタを備えたハロゲン灯のスペクトル(K3)、及び白色光LEDの補正スペクトル(K4)を示す。
【図2】白色光LEDのスペクトルを補正する補正フィルタの透過プロファイルを示す。
【図3】白色光LEDの誤って補正されたスペクトル(K4’)の例を示す。
【図4】顕微鏡の概略図である。
【図5】典型的な蛍光フィルタの透過曲線(T1〜T3)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1は、相対的な強度と波長(ナノメートル単位)との4つの異なる曲線K1〜K4を概略的に示す。示される強度は1.0に正規化される。示される波長範囲は400〜750nmをカバーし、したがって、紫から青、緑、黄、橙、及び赤の可視波長範囲をカバーする。
【0041】
曲線K1は視感度曲線を表し、最高感度を約550nm(緑黄)の波長範囲に有し、最高から高波長及び低波長の両側に向かってベル形に減衰するプロファイルを有する。約420nmよりも下(青紫)及び約700nmよりも上(赤)では、眼は非常に感度が悪くなり、すなわち、420nm〜700nmの範囲外では、人間の眼にとって色の知覚がわずかにのみ可能であることに留意する。したがって、顕微鏡により解析される試料の光学表示では、420nm〜700nmのスペクトル範囲での色補正で十分である。
【0042】
破線曲線K2は、白色光LEDの典型的なスペクトルプロファイルを示し、白色光LEDは青色波長範囲内で放射し、変換色素を励起させて、緑黄色スペクトル範囲で輝く。したがって、第1の最大は、青色波長範囲の約450〜460nmにあり、第2の最大は緑黄色スペクトル範囲の約550〜560nmにある。第2の最大の範囲が第1の最大の範囲よりも広いことに留意する。これら最大の間の約500nmに最小がある。同種(この場合、変換色素を含む青色LED)の異なる白色光LEDでは、スペクトルプロファイルの最大及び最小の位置及びレベルが異なり得る。スペクトルプロファイルに対応する最大及び最小を有するLEDは、製造業者により特定の色ランクに割り当てられる。
【0043】
曲線K3は、熱保護フィルタを備えたハロゲン灯の相対スペクトルプロファイルを示す。最大が約650nm(赤)にあることがわかる。約600nmまでの上昇範囲では、曲線K3は黒体の放射によって決まる。曲線は600nmよりも上では平坦になり、約650nmで最大に達した後は再び下がる。これは追加の熱保護フィルタによるものである。
【0044】
約420nm〜700nmの範囲内で、K4と示された曲線は曲線K3に実質的に対応するが、この範囲外で、強度の大きな低減がある。曲線K4は、図2に示される透過プロファイルを有する補正フィルタを、曲線K2に従うスペクトルプロファイルを有する白色光LEDよりも上流に配置することにより生成することができる。
【0045】
図2は、特に適した補正フィルタの透過プロファイルの最小及び最大の位置を明確に示す。この場合、透過は、0〜1の値を使用して特定され、0は完全な吸収に対応し、1.0は完全な透過に対応する。示される波長範囲は図1の波長範囲に対応する。補正フィルタの透過プロファイルは、約450〜460nmに第1の透過最小を示し、おおよそそのポイントで、曲線K2は第1の最大を有する。透過曲線の第2の透過最小は、約550nmであり、すなわち、曲線K2が第2の最大(550〜560nm)を有する範囲にある。「範囲」は、特定の値を中心とした±25nmの範囲を意味するものと解釈すべきである。スペクトル曲線K2内の最大の位置及びフィルタの透過プロファイルの透過最小の位置が厳密に対応する必要はないことに留意する。補正フィルタの透過プロファイルの2つの透過最小間の約500nmに透過最大がある。この透過最大は、曲線K2のスペクトル曲線の最小から数nm以内にある。
【0046】
図2による透過プロファイルは、補正フィルタを透過する、図1によるスペクトルK2を有する白色光LEDの光が、熱保護フィルタを備えた従来のハロゲン灯と同様のスペクトルプロファイルを有することを提供する。したがって、この種の補正フィルタは、閲覧者がハロゲン灯による従来の顕微鏡照明からのいかなる違いも知覚しない状態での透過光明視野での試料の顕微鏡解析に最適である。この時点では、カメラによる観測のための対応する補正フィルタを上述したように設計することも可能なことに留意されたい。したがって、この場合の目的は、白色光LEDによる顕微鏡照明において、カメラ像で、従来のハロゲン灯(任意選択的に熱保護フィルタ及び/又は日光フィルタを備える)による顕微鏡照明に可能な限り近い印象を引き起こすことである。しかし、この用途シナリオは、カメラのホワイトバランスにより破滅的な背景をなくすことができる(多くの場合、自動的に)ため、重要性は低い。
【0047】
透過光に使用される白色光LEDの光の上述したフィルタリングにより、試料に入射する透過光の強度は当然、全体として低減する。図2に示されるフィルタリングでは、これは全体的にLED強度の5分の1の低減に対応する。しかし、十分な強度が透過光照明に利用可能であるため、この低減は問題ではない。しかし、以下に説明される可能なコントラスト方法では、この文脈の中でやはり十分な透過光を提供できるように、補正フィルタを非アクティブ化する必要がある。
【0048】
図2による透過プロファイルを有する補正フィルタの動作の詳細は以下のとおりである。補正フィルタは、白色光LEDの変換色素の望ましくない蛍光励起により、入射光蛍光照明中に詳細に上述された背景を大幅に低減する。このフィルタが、入射光蛍光照明中に旋回した場合、青色光(BP470/40)、すなわち、例えば450nm〜490nmの光による試料の蛍光励起中、この波長範囲のフィルタの平均透過は約10%であるため、この青色光はまず、試料を通って透過光照明手段の白色光LEDまでの経路上で約10分の1に低減される(図2による透過プロファイルの第1の透過最小を参照のこと)。しかし同時に、白色光LEDの変換層でやはり生じる望ましくない黄緑光は、LEDから試料に戻る経路上で少なくとも5分の1に低減される(この波長範囲でのフィルタの透過は20%未満)。したがって、全体的に破滅的な背景の強度は、少なくとも50分の1に低減される。したがって、白色光LEDを備えた透過光照明手段の存在にも拘わらず、試料の蛍光解析は、シャッタを透過光照明軸に配置する必要なく、又は白色光LEDを全体的に外す必要なく、且つ試料の破滅的な背景照明を許容する必要なく、実行することができる。同時に、図2による補正フィルタの透過プロファイルは、図1からの曲線K4によるスペクトルプロファイルを有する透過光明視野で試料照明を生成する。
【0049】
白色光LED及び補正フィルタの厳密は調整が、図3に示されるように、本発明の手段による達成すべき利点に対して最重要であることに留意されたい。図3では、図2の補正フィルタが、図1のスペクトルK2からわずか10nmだけシフトしたスペクトルの白色光LEDと併用される場合の相対強度プロファイルK4’が示される。約450nmでの最大及び約500nmでの最小は非常に顕著であるため、LED及びフィルタが互いに一致しない場合、高レベルのスペクトル干渉がこれらの領域で生じる。したがって、熱保護フィルタを備えたハロゲン灯のスペクトルプロファイル(曲線K3)への補正は、補正フィルタが各白色光LEDに精密に調整された場合のみ、最適に提供することができる。
【0050】
図4は、主構成要素と共に顕微鏡1の概略図であり、顕微鏡1を動作させ、入射光蛍光照明及び/又は透過光明視野照明で試料10を解析することが可能である。
【0051】
入射光蛍光照明手段2は、以下の構成要素を備える:入射光照明光源17、例えば、水銀灯、及び入射光照明軸16に配置された蛍光フィルタブロック12。蛍光フィルタブロック12はスペクトル励起フィルタ14を備え、スペクトル励起フィルタ14の後に、入射光照明光の伝播方向において、ビームスプリッタ13が続く。励起フィルタ14は、試料10内の蛍光を励起させるのに適した1つ又は複数の波長範囲のスペクトル選択に使用される。ビームスプリッタ13は、フィルタ14を通って試料10に送られる励起光を偏向させる。ブロックフィルタ15が蛍光フィルタブロック12にさらに提供される。ブロックフィルタ15は、試料から発せられた(緑色)蛍光のみが閲覧者に達し、したがって、励起光をブロックすることを保証する。
【0052】
透過光明視野照明手段3は、光源として白色光LED4を備え、白色光LED4の後に、スペクトル補正フィルタ6(影付きで示される)を透過光照明軸7上に備えたフィルタスライド5が続く。スペクトル補正フィルタ6を通って送られる光は、透過光明視野照明手段3の偏向ミラー8に達する。両照明手段2及び3では、明確にするために、レンズ等のいかなる照明光学系も、本考察に関係ないため、示されない。
【0053】
顕微鏡1のさらなる既知の従来の構成要素は、顕微鏡台9と、顕微鏡台9の上に配置される試料10とを含み、顕微鏡台9は、焦点を合わせるために、顕微鏡1のスタンド24に提供される焦点合わせつまみ20によりz方向、すなわち、光軸18に平行して調整可能である。顕微鏡対物レンズ11、顕微鏡レンズ管23、及び接眼部19がさらに示され、最後にカメラ22が接続されたカメラポート21が示される。対物レンズ11は、複数の異なる対物レンズを担持する対物レンズタレットの構成要素であってもよい。レンズ管23は、内部に、閲覧者及びカメラ22に顕微鏡1の撮像ビーム路を偏向させる役割を果たす偏向プリズム(明確にするために図示せず)を備える。
【0054】
入射光蛍光照明手段2により生成される入射光照明ビーム路は、軸16を有し、図4に示される矢印に沿って伝播する。上記経路はまず励起光フィルタ14を通り、ビームスプリッタ13により試料10に向けて偏向される。蛍光は試料内で励起するが、励起光の大部分は実際に試料10を透過し、透過光照明軸7に沿って透過光明視野照明手段3内に伝播する。偏向ミラー8を介して、励起光は補正フィルタ6(又はより一般的にはフィルタスライド5の位置)に達し、補正フィルタ6から白色光LED4に続く。例えば、青色励起光(450nm〜490nm)は、この経路上で白色光LED4に達する。この青色励起光は、白色光LED内の変換色素の励起に極めてよく適し、上記色素に黄緑範囲の光を発せさせる。この光(ここでも矢印で示される)は、透過光照明軸7に沿って偏向ミラー8に向かって伝播し、偏向ミラー8から試料10に続く。黄緑光は、試料10から対物レンズ11を介して蛍光フィルタブロック12に続き、ブロックフィルタ15を透過して接眼部19又はカメラ22に達する。対策なしでは、この作用は、蛍光像内の黄緑背景としてかなり破滅的に目立つようになる。
【0055】
図1〜図3に示される特性及び利点を有する補正フィルタ6により、この破滅的な背景をなくすとともに、同時に白色光LED4の光を、熱保護フィルタを備えたハロゲン灯の従来通りの光に補正することが可能である。
【0056】
このために、蛍光照明の場合及び明視野照明の場合の両方で、補正フィルタ6は、フィルタスライド5により透過光照明軸7に、すなわち、透過光照明ビーム路上の位置に導入される。補正フィルタ6の透過プロファイルが図2に示されるようなものであると考える。範囲450〜470nm内の透過最小により、試料10を透過した青色励起光は、補正フィルタ6により大半が吸収されるため(10%未満の透過レベル)、白色光LED4に向かって前方に伝播することができない。それでも透過される残りの青色励起光は、白色光LED4の変換色素を励起させることができる。対応する黄緑光は、透過光照明軸7の方向に伝播し、補正フィルタ6に衝突する。範囲540〜570nmの顕著な透過最小により(20%未満の透過レベル)、この望ましくない黄緑色光は大幅に低減する。2つの作用により、破滅的な黄緑背景は50分の1に低減する。
【0057】
同時に、補正フィルタ6は、図4に示される透過光明視野照明手段3内で、スペクトルが、可視光の少なくとも大部分で、熱保護フィルタを備えたハロゲン灯のスペクトルに一致する試料10の照明光を生成するのに理想的に適する(図1の曲線K4参照)。透過光明視野照明において、入射光蛍光照明手段2の光源17は従来通りにオフに切り替えられる。
【0058】
上述したコントラスト方法も、図4に示される顕微鏡システム1により実行することができる。このために、各コントラスト方法に十分な光強度を提供することができるように、補正フィルタ6を取り外すことが賢明である。透過光照明軸7上のフィルタスライド5の適した配置により、いかなるフィルタもない空の位置又は各コントラスト方法で必要とされる別の適した光学要素を補正フィルタ6の代わりに照明ビーム路に導入することができる。
【0059】
図5は、適切な色素で染色され、450nm〜490nmの青色光で励起する化合物の緑色FITC放射に典型的な蛍光フィルタのスペクトル透過プロファイルを示す。透過曲線T1は、励起フィルタET470/40xのスペクトル透過プロファイルを示し、この励起フィルタはスペクトル範囲450nm〜490nmで略100%の透過率を有する。この励起フィルタは、例えば、図4の励起フィルタ14を構成する。図2との比較は、この励起フィルタの450nm〜490nmの範囲で、補正フィルタが約11%の平均透過率を有することを示す。したがって、試料を透過した励起光はおおよそ10分の1に低減する。
【0060】
ブロックフィルタ15として使用し得る放射フィルタET525/50mは、500nm〜550nmの範囲で略100%の透過率を有する(透過曲線T3参照)。したがって、蛍光により励起した緑色光は、このフィルタを透過することができる。図2との比較は、補正フィルタが500nm〜550nmのこの範囲で約18%の平均透過率を有することを示す。したがって、全体的に、白色光LEDの変換色素からの破滅的な背景光をおおよそ50分の1に低減することができる。曲線T2は、図4の二色性スプリッタ13に関連付けられる。二色性スプリッタ13は、励起フィルタ14を透過することができる波長を対物レンズ11又は試料10に向けて反射する。試料10により発せられた蛍光は、励起光よりも波長が長く、放射フィルタ15の透過範囲で二色性スプリッタ13を透過することができる。したがって、理想的な二色性スプリッタ13は、励起波長範囲で透過を有さず、放射波長範囲に最大透過を有しない。
【符号の説明】
【0061】
1 顕微鏡
2 入射光蛍光照明手段
3 透過光明視野照明手段
4 白色光LED
5 ファイルスライド
6 補正フィルタ
7 透過光照明軸
8 偏向ミラー
9 顕微鏡台
10 試料
11 対物レンズ
12 蛍光フィルタブロック
13 ビームスプリッタ
14 励起フィルタ
15 ブロックフィルタ
16 入射光照明軸
17 入射光照明光源
18 光軸
19 接眼部
20 焦点合わせつまみ
21 カメラポート
22 カメラ
23 レンズ管
24 スタンド
K1〜K4 曲線
T1〜T3 透過曲線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
顕微鏡(1)で試料(10)を照明する方法であって、透過光明視野照明及び入射光蛍光照明で交互に又は同時に前記試料(10)を照明することが可能であり、
前記透過光明視野照明の光源として白色光LED(4)が使用され、透過光明視野照明及び入射光蛍光照明の両方で前記透過光明視野照明の照明ビーム路内の位置で補正フィルタ(6)がアクティブ化され、
前記補正フィルタ(6)は、前記白色光LEDに合わせ調整されるスペクトル透過プロファイルであって、前記白色光LED(4)のスペクトルの少なくとも1つの最大の波長範囲内に透過最小を有するスペクトル透過プロファイルを有する、方法。
【請求項2】
前記試料(10)に達する前記入射光蛍光照明の励起光のスペクトルが、前記白色光LED(4)に存在する変換色素を励起させる役割を果たすスペクトル成分を有すること、及び前記補正フィルタ(6)が、これらスペクトル成分の範囲内に透過最小を有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記補正フィルタ(6)として、前記白色光LED(4)のスペクトルの最大の波長範囲内に最小を有するスペクトル透過プロファイルを有するフィルタが使用されることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記補正フィルタ(6)として、前記白色光LED(4)のスペクトルの最小の波長範囲内に透過最大を有するスペクトル透過プロファイルを有するフィルタが使用されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記補正フィルタ(6)を透過する相対スペクトルプロファイルが、少なくとも可視波長範囲の大部分でハロゲン灯、特に上流日光フィルタ及び/又は熱保護フィルタを備えたハロゲン灯のスペクトルに対応するように、前記補正フィルタ(6)の前記スペクトル透過プロファイルが前記白色光LED(4)のスペクトルに合わせ調整されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記補正フィルタ(6)を透過する前記相対スペクトルプロファイルが、少なくとも前記可視波長範囲の前記大部分で、上流日光フィルタ及び/又は熱保護フィルタを備えたハロゲン灯のスペクトルに対応することを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
白色光LED(4)と、前記白色光LED(4)に合わせ調整された補正フィルタ(6)とを備えた顕微鏡照明手段であって、前記白色光LED(4)のスペクトルは、特に青色波長範囲及び緑黄色波長範囲のそれぞれに少なくとも2つの最大を有し、前記補正フィルタ(6)の前記スペクトル透過プロファイルは、これら最大のうちの少なくとも一方の波長範囲内に透過最小を有し、前記白色光LED(4)のスペクトルは、前記少なくとも2つの最大の間に少なくとも1つの最小を有し、前記補正フィルタ(6)の前記スペクトル透過プロファイルは、この少なくとも1つの最小の波長範囲内に透過最大を有する、顕微鏡照明手段。
【請求項8】
前記補正フィルタ(6)を透過する前記相対スペクトルプロファイルが、少なくとも前記可視波長範囲の前記大部分で、ハロゲン灯、特に上流熱保護フィルタ及び/又は日光フィルタを備えたハロゲン灯のスペクトルに対応するように、前記補正フィルタ(6)の前記スペクトル透過プロファイルが前記白色光LED(4)のスペクトルに合わせ調整されることを特徴とする請求項7に記載の顕微鏡照明手段。
【請求項9】
前記可視波長範囲の前記大部分が420nm〜700nmに及ぶことを特徴とする請求項8に記載の顕微鏡照明手段。
【請求項10】
前記白色光LED(4)のスペクトルが、440〜470nmの範囲及び520nm〜570nmの範囲のそれぞれに2つの最大を有することを特徴とする請求項7〜9のいずれか一項に記載の顕微鏡照明手段。
【請求項11】
前記白色光LED(4)のスペクトルが、470nm〜520nmの範囲、特に500nmに最小を有することを特徴とする請求項7〜10のいずれか一項に記載の顕微鏡照明手段。
【請求項12】
白色光LED(4)と、前記白色光LED(4)に合わせ調整された補正フィルタ(6)とを備えた顕微鏡照明手段の使用法であって、この白色光LED(4)のスペクトルは、特に青色波長範囲及び緑黄色波長範囲のそれぞれに少なくとも2つの最大を有し、前記補正フィルタ(6)のスペクトル透過プロファイルは、顕微鏡(1)内の試料(10)を照明するため、これら最大のうちの少なくとも一方の波長範囲内に最小を有し、前記試料(10)は、透過光明視野照明及び入射光蛍光照明で交互に又は同時に解析され、前記白色光LED(4)は、前記透過光明視野照明の光源として使用され、前記補正フィルタ(6)は、透過光明視野照明中及び入射光蛍光照明中の両方で、前記透過光明視野照明の照明ビーム路内の位置でアクティブ化される、使用法。
【請求項13】
請求項7〜11のいずれか一項に記載の顕微鏡照明手段の請求項12に記載の使用法。
【請求項14】
試料を解析する顕微鏡(1)であって、
透過光明視野照明手段(3)と入射光蛍光照明手段(2)とを備え、
これら2つの照明手段(2、3)は交互に又は同時にオンに切り替えることができ、
前記透過光明視野照明手段の光源として白色光LED(4)が設けられ、スペクトル補正フィルタ(6)が、前記透過光明視野照明手段がオンに切り替えられた場合と前記入射光蛍光照明手段がオンに切り替えられた場合の両方で、前記透過光明視野照明手段(3)の照明ビーム路内の位置でアクティブ化可能であり、前記補正フィルタ(6)は、前記白色光LED(4)のスペクトルの少なくとも1つの最大の波長範囲に透過最小を有するスペクトル透過プロファイルを有する、顕微鏡。
【請求項15】
前記白色光LED(4)のスペクトルが、特に青色波長範囲及び緑黄色波長範囲のそれぞれに少なくとも2つの最大を有し、前記補正フィルタ(6)の前記スペクトル透過プロファイルが、これら最大のうちの少なくとも一方の波長範囲に透過最小を有し、前記白色光LED(4)のスペクトルが、前記少なくとも2つの最大の間に少なくとも1つの最小を有し、前記補正フィルタ(6)の前記スペクトル透過プロファイルが、この少なくとも1つの最小の波長範囲に透過最大を有することを特徴とする請求項14に記載の顕微鏡。
【請求項16】
前記補正フィルタ(6)を透過する相対スペクトルプロファイルが、少なくとも可視波長範囲の大部分でハロゲン灯のスペクトルに対応するように、前記補正フィルタ(6)の前記スペクトル透過プロファイルが前記白色光LED(4)のスペクトルに合わせ調整されることを特徴とする請求項14又は15に記載の顕微鏡。
【請求項17】
前記補正フィルタ(6)を透過する前記相対スペクトルプロファイルが、少なくとも前記可視波長範囲の前記大部分で、上流熱保護フィルタ及び/又は日光フィルタを備えたハロゲン灯のスペクトルに対応することを特徴とする請求項16に記載の顕微鏡。
【請求項18】
前記可視波長範囲の前記大部分が420nm〜700nmに及ぶことを特徴とする請求項16又は17に記載の顕微鏡。
【請求項19】
前記白色光LED(4)のスペクトルが、440nm〜470nmの範囲及び520nm〜570nmの範囲のそれぞれに2つの最大を有することを特徴とする請求項14〜18のいずれか一項に記載の顕微鏡。
【請求項20】
前記白色光LED(4)のスペクトルが、470nm〜520nmの範囲、特に500nmに最小を有することを特徴とする請求項14〜19のいずれか一項に記載の顕微鏡。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−29836(P2013−29836A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−165672(P2012−165672)
【出願日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【出願人】(500178876)ライカ マイクロシステムス ツェーエムエス ゲーエムベーハー (80)
【Fターム(参考)】