説明

顕微鏡装置

【課題】リレー光学系と光束走査手段との間の光路長を十分に確保してダイクロイックミラーを配置しつつ、小型化を実現した顕微鏡装置を提供する。
【解決手段】波面変換素子と光束走査手段とが、互いに光学的に共役な位置となるように配置され、波面変換素子側から平行光束を入射させた際の第2のリレーレンズ群5bから該第2のリレーレンズ群5bの光束走査手段側の焦点位置F1までの距離が、光束走査手段側から平行光束を入射させた際の第2のリレーレンズ群5bから該第2のリレーレンズ群5bの波面変換素子側の焦点位置F2までの距離よりも長い顕微鏡装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顕微鏡装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、光源から発せられた光の波面を変換可能な波面変換素子によって変性させ、その変性した光束を光束走査手段によって走査して対物レンズに入射させる顕微鏡装置が知られている(例えば、特許文献1(図2)参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−290081号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示されるような顕微鏡装置においては、複数の光学部品を配置するために、波面変換素子から光束走査手段に至る光路長を十分に確保する必要がある。特に、波面変換素子により波面が変換された光束を光束走査手段へリレーするリレー光学系を備える顕微鏡装置において、標本からの光を検出するためのダイクロイックミラー等の光学部品をリレー光学系と光束走査手段の間に配置するためには、リレー光学系と光束走査手段との間の光路長を十分に確保する必要がある。
【0005】
また、顕微鏡装置においては、波面変換素子と光束走査手段の位置関係を互いに共役とすることが望ましい。しかしながら、リレー光学系から光束走査手段に至る光路長を十分に確保しつつ、波面変換素子と光束走査手段の位置関係を互いに共役とするように各光学部品を配置すると、全体の光路長が長くなって顕微鏡装置が大型化してしまうという問題がある。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、波面変換素子により波面が変換された光束を光束走査手段へリレーするリレー光学系を備える顕微鏡装置において、リレー光学系と光束走査手段との間の光路長を十分に確保してダイクロイックミラーを配置しつつ、小型化を実現することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
本発明は、光源から発せられた光束の波面を変換する波面変換素子と、該波面変換素子により波面が変換された前記光束を走査する光束走査手段と、前記波面変換素子により波面が変換された前記光束を前記光束走査手段へリレーするリレー光学系と、前記光束走査手段によって走査された前記光束が入射され、該入射された光束を標本に集光する対物レンズと、前記リレー光学系と前記光束走査手段との間に配置され、前記リレー光学系から出射する光束を透過させるとともに前記対物レンズおよび前記光束走査手段を介して入射する前記標本からの光を反射する光分岐手段と、該光分岐手段により反射された前記標本からの光を検出する検出手段を備え、前記リレー光学系が、前記波面変換素子側に配置された第1のリレーレンズ群と、前記光束走査手段側に配置された第2のリレーレンズ群とを備え、前記波面変換素子と前記光束走査手段とが、互いに光学的に共役な位置となるように配置され、前記波面変換素子側から前記第2のリレーレンズ群に平行光束を入射させた際の前記第2のリレーレンズ群から該第2のリレーレンズ群の前記光束走査手段側の焦点位置までの距離が、前記光束走査手段側から前記第2のリレーレンズ群に平行光束を入射させた際の前記第2のリレーレンズ群から該第2のリレーレンズ群の前記波面変換素子側の焦点位置までの距離よりも長い顕微鏡装置を提供する。
【0008】
ここで、波面変換素子側から第2のリレーレンズ群に平行光束を入射させた際の第2のリレーレンズ群から該第2のリレーレンズ群の光束走査手段側の焦点位置までの距離と、光束走査手段側から平行光束を入射させた際の第2のリレーレンズ群から第2のリレーレンズ群の波面変換素子側の焦点位置までの距離を一致させたリレーレンズ群(以下、第2のリレーレンズ群の比較例)を備える顕微鏡装置と、本発明に係る顕微鏡装置とを対比する。この対比においては、本発明の第2のリレーレンズ群と、比較例の第2のリレーレンズ群とで、波面変換素子側から平行光束を入射させた際の第2のリレーレンズ群から該第2のリレーレンズ群の光束走査手段側の焦点位置までの距離が同程度の距離であるとする。
【0009】
本発明に係る顕微鏡装置によれば、光束走査手段側から前記第2のリレーレンズ群に平行光束を入射させた際の第2のリレーレンズ群から第2のリレーレンズ群の波面変換素子側の焦点位置までの距離が、波面変換素子側から前記第2のリレーレンズ群に平行光束を入射させた際の第2のリレーレンズ群から第2のリレーレンズ群の光束走査手段側の焦点位置までの距離よりも短い。従って、本発明の第2のリレーレンズ群の方が、比較例の第2のリレーレンズ群よりも、光路長を短くすることができる。よって、波面変換素子により波面が変換された光束を光束走査手段へリレーするリレー光学系を備える顕微鏡装置において、リレー光学系と光束走査手段との間の光路長を十分に確保して光分岐手段を配置しつつ、小型化を実現することができる。
【0010】
また、上記発明においては、前記波面変換素子側から前記第2のリレーレンズ群に平行光束を入射させた際の前記第2のリレーレンズ群から該第2のリレーレンズ群の前記光束走査手段側の焦点位置までの距離が、前記第2のリレーレンズ群の焦点距離よりも長い構成としてもよい。
【0011】
また、上記発明においては、前記第2のリレーレンズ群が、前記光束走査手段側に配置された凸レンズと、前記波面変換素子側に配置された凹レンズを備える構成であってもよい。このようにすることで、光束走査手段側に配置された凸レンズと、波面変換素子側に配置された凹レンズを用いて、波面変換素子側から第2のリレーレンズ群に平行光束を入射させた際の第2のリレーレンズ群から該第2のリレーレンズ群の光束走査手段側の焦点位置までの距離を、光束走査手段側から第2のリレーレンズ群に平行光束を入射させた際の第2のリレーレンズ群から該第2のリレーレンズ群の波面変換素子側の焦点位置までの距離よりも長くすることができる。
【0012】
従って、波面変換素子により波面が変換された光束を光束走査手段へリレーするリレー光学系を備える顕微鏡装置において、リレー光学系と光束走査手段との間の光路長を十分に確保して光分岐手段を配置しつつ、小型化を実現することができる。
【0013】
また、上記構成においては、前記波面変換素子側から前記第2のリレーレンズ群に平行光束を入射させた際の前記凸レンズの主点および前記凹レンズの主点と等距離となる基準位置から前記第2のリレーレンズ群の前記光束走査手段側の焦点位置までの距離が、前記光束走査手段側から前記第2のリレーレンズ群に平行光束を入射させた際の前記基準位置から前記第2リレーレンズ群の前記波面変換素子側の焦点位置までの距離よりも長い構成であってもよい。
【0014】
また、上記発明においては、前記光束走査手段側から前記第1のリレーレンズ群に平行光束を入射させた際の前記第1のリレーレンズ群から該第1のリレーレンズ群の前記波面変換素子側の焦点位置までの距離が、前記波面変換素子側から前記第1のリレーレンズ群に平行光束を入射させた際の前記第1のリレーレンズ群から該第1のリレーレンズ群の前記光束走査手段側の焦点位置までの距離よりも長い構成であってもよい。
【0015】
ここで、光束走査手段側から平行光束を入射させた際の第1のリレーレンズ群から該第1のリレーレンズ群の波面変換素子側の焦点位置までの距離と、波面変換素子側から第1のリレーレンズ群に平行光束を入射させた際の第1のリレーレンズ群から第1のリレーレンズ群の光束走査手段側の焦点位置までの距離を一致させたリレーレンズ群(以下、第1のリレーレンズ群の比較例)を備える顕微鏡装置と、本発明に係る顕微鏡装置とを対比する。この対比においては、本発明の第1のリレーレンズ群と、比較例の第1のリレーレンズ群とで、光束走査手段側から平行光束を入射させた際の第1のリレーレンズ群から該第1のリレーレンズ群の波面変換素子側の焦点位置までの距離が同程度の距離であるとする。
【0016】
本発明に係る顕微鏡装置によれば、波面変換素子側から第1のリレーレンズ群に平行光束を入射させた際の第1のリレーレンズ群から第1のリレーレンズ群の光束走査手段側の焦点位置までの距離が、光束走査手段側から第1のリレーレンズ群に平行光束を入射させた際の第1のリレーレンズ群から第1のリレーレンズ群の波面変換素子側の焦点位置までの距離よりも短い。従って、本発明の第1のリレーレンズ群の方が、比較例の第1のリレーレンズ群よりも、光路長を短くすることができる。よって、波面変換素子により波面が変換された光束を光束走査手段へリレーするリレー光学系を備える顕微鏡装置において、リレー光学系と光束走査手段との間の光路長を十分に確保して光分岐手段を配置しつつ、小型化を実現することができる。
【0017】
また、上記発明においては、前記光束走査手段側から前記第1のリレーレンズ群に平行光束を入射させた際の前記第1のリレーレンズ群から該第1のリレーレンズ群の前記波面変換素子側の焦点位置までの距離が、前記第1のリレーレンズ群の焦点距離よりも長い構成としてもよい。
【0018】
また、上記発明においては、前記第1のリレーレンズ群が、前記波面変換素子側に配置された凸レンズと、前記光束走査手段側に配置された凹レンズを備える構成であってもよい。このようにすることで、波面変換素子側に配置された凸レンズと、光束走査手段側に配置された凹レンズを用いて、光束走査手段側から第1のリレーレンズ群に平行光束を入射させた際の第1のリレーレンズ群から該第1のリレーレンズ群の波面変換素子側の焦点位置までの距離を、波面変換素子側から第1のリレーレンズ群に平行光束を入射させた際の第1のリレーレンズ群から該第1のリレーレンズ群の光束走査手段側の焦点位置までの距離よりも長くすることができる。
【0019】
従って、波面変換素子により波面が変換された光束を光束走査手段へリレーするリレー光学系を備える顕微鏡装置において、リレー光学系と光束走査手段との間の光路長を十分に確保して光分岐手段を配置しつつ、小型化を実現することができる。
【0020】
また、上記構成においては、前記光束走査手段側から平行光束を入射させた際の前記凸レンズの主点および前記凹レンズの主点と等距離となる基準位置から前記第1のリレーレンズ群の前記波面変換素子側の焦点位置までの距離が、前記波面変換素子側から平行光束を入射させた際の前記基準位置から前記第1リレーレンズ群の前記光束走査手段側の焦点位置までの距離よりも長い構成であってもよい。
【0021】
また、上記発明においては、前記波面変換素子が、前記光束走査手段側から前記第1のリレーレンズ群に平行光束を入射させた際の前記第1のリレーレンズ群の前記波面変換素子側の焦点位置に配置され、前記光束走査手段が、前記波面変換素子側から前記第2のリレーレンズ群に平行光束を入射させた際の前記第2のリレーレンズ群の前記光束走査手段側の焦点位置に配置され、前記第1のリレーレンズ群と前記第2のリレーレンズ群が、前記波面変換素子側から前記第1のリレーレンズ群に平行光束を入射させた際の前記第1のリレーレンズ群の前記光束走査手段側の焦点位置と、前記光束走査手段側から前記第2のリレーレンズ群に平行光束を入射させた際の前記第2のリレーレンズ群の前記波面変換素子側の焦点位置が一致するように配置された構成であってもよい。このようにすることで、第1のリレーレンズ群と第2のリレーレンズ群を介して、波面変換素子と光束走査手段が互いに光学的に共役な位置となるようにすることができる。
【0022】
また、上記発明においては、前記波面変換素子から前記第1のリレーレンズ群に入射される光束が平行光束とされており、前記波面変換素子から前記第1のリレーレンズ群までの距離が、前記光束走査手段側から前記第1のリレーレンズ群に平行光束を入射させた際の前記第1のリレーレンズ群から該第1のリレーレンズ群の前記波面変換素子側の焦点位置までの距離よりも短く、前記光束走査手段から前記第2のリレーレンズ群までの距離が、前記波面変換素子側から前記第2のリレーレンズ群に平行光束を入射させた際の前記第2のリレーレンズ群から該第2のリレーレンズ群の前記光学走査手段側の焦点位置までの距離よりも長い構成であってもよい。
【0023】
波面変換素子から第1のリレーレンズ群に入射する励起光の光束を平行光束とすることで、波面変換素子から第1のリレーレンズ群までの距離を、光束走査手段側から第1のリレーレンズ群に平行光束を入射させた際の第1のリレーレンズ群から該第1のリレーレンズ群の波面変換素子側の焦点位置までの距離よりも短くしても第1のリレーレンズ群に入射する励起光の光束を平行光束のままとすることができる。
【0024】
また、波面変換素子から第1のリレーレンズ群までの距離を、光束走査手段側から第1のリレーレンズ群に平行光束を入射させた際の第1のリレーレンズ群から該第1のリレーレンズ群の波面変換素子側の焦点位置までの距離よりも短くする一方で、光束走査手段から第2のリレーレンズ群までの距離を、波面変換素子側から第2のリレーレンズ群に平行光束を入射させた際の第2のリレーレンズ群から該第2のリレーレンズ群の光学走査手段側の焦点位置までの距離よりも長くすることで、波面変換素子と光束走査手段とが互いに光学的に共役な位置となる関係が維持される。
【0025】
従って、光束走査手段から第2のリレーレンズ群までの距離を長くして、第2のリレーレンズ群と光束走査手段との間の光路長を十分に確保することができる。よって、リレー光学系と光束走査手段との間の光路長を十分に確保して光分岐手段を配置しつつ、小型化を実現した顕微鏡装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、波面変換素子により波面が変換された光束を光束走査手段へリレーするリレー光学系を備える顕微鏡装置において、リレー光学系と光束走査手段との間の光路長を十分に確保して光分岐手段を配置しつつ、小型化を実現することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る顕微鏡装置を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る顕微鏡装置のリレー光学系を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る顕微鏡装置の第2のリレーレンズ群の焦点位置を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係るリレー光学系の実施例のレンズ構成を示す図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る顕微鏡装置のリレー光学系を示す図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係るリレー光学系の実施例のレンズ構成を示す図である。
【図7】本発明の第3の実施形態に係る顕微鏡装置の第1のリレーレンズ群の焦点位置を示す図である。
【図8】本発明の第3の実施形態に係るリレー光学系の実施例のレンズ構成を示す図である。
【図9】本発明の第4の実施形態に係る顕微鏡装置のリレー光学系を示す図である。
【図10】本発明の第4の実施形態に係るリレー光学系の実施例のレンズ構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
<第1の実施形態>
本発明の第1の実施形態に係る顕微鏡装置1について、図面を参照して以下に説明する。
第1の実施形態に係る顕微鏡装置1は、図1に示されるように、レーザ光源2から発せられた励起光の光束の波面を変換するデフォーマブルミラー(波面変換素子)4と、波面が変換された光束を走査するガルバノミラー(光束走査手段)7と、波面が変換された光束をガルバノミラー7へリレーするリレー光学系5と、ガルバノミラー7によって走査された光束が入射され、入射された光束を標本Aに集光する対物レンズ10と、リレー光学系5とガルバノミラー7との間に配置され、リレー光学系5から出射する光束を透過させるとともに対物レンズ10およびガルバノミラー7を介して入射する標本Aからの蛍光を反射するダイクロイックミラー(光分岐手段)6と、ダイクロイックミラー6により反射された標本Aからの蛍光を検出する検出器(検出手段)13とを備える。
【0029】
顕微鏡装置1において、コリメータレンズ3は、レーザ光源2から入射される励起光を平行光(平面波)に変換し、デフォーマブルミラー4へ出射する。デフォーマブルミラー4は、コリメータレンズ3から平行光として入射した励起光の光束の波面を変換し、リレー光学系5に出射する。リレー光学系5は、デフォーマブルミラー4側に配置された第1のリレーレンズ群5aと、ガルバノミラー7側に配置された第2のリレーレンズ群5bを備える。
【0030】
デフォーマブルミラー4により波面が変換された光束は、第1のリレーレンズ群5aと第2のリレーレンズ群5bを介してガルバノミラー7へリレーされる。ここで、第2のリレーレンズ群5bとガルバノミラー7との間にはダイクロイックミラー6が配置されているが、ダイクロイックミラー6は、第2のリレーレンズ群5bから出射した光束を透過させる。
【0031】
ガルバノミラー7は、揺動軸線(不図示)回りに揺動動作させることが可能であり、この揺動動作により第2のリレーレンズ群5bから入射する光束を走査する。ガルバノミラー7により走査された光束は、瞳投影レンズ8と結像レンズ9を介して対物レンズ10の瞳位置に入射する。対物レンズ10は、瞳位置に入射された光束を集光して標本Aに照射する。なお、ガルバノミラー7が光束を走査することにより、標本Aに入射する励起光の光束を走査できるようになっている。
【0032】
標本Aが蛍光色素で染色されている場合、励起光が照射された標本Aからは蛍光が発せられ、蛍光が対物レンズ10に入射する。また、標本Aに照射された励起光自体の反射光も対物レンズ10に入射する。蛍光および反射光は、励起光が通ってきた光路(図1中の点線)と同じ光路を励起光とは反対方向に進む。
【0033】
そして、対物レンズ10に入射した蛍光および反射光は、結像レンズ9、瞳投影レンズ8、およびガルバノミラー7を介してダイクロイックミラー6に入射する。ダイクロイックミラー6は、検出器13により検出すべき特定の波長の蛍光を反射させるとともに、反射させた蛍光を集光レンズ11に入射させる。
【0034】
集光レンズ11は、ダイクロイックミラー6から入射する蛍光を集光して検出器13へ出射する。そして、検出器13は、集光レンズ11により集光された蛍光を検出する。ここで、集光レンズ11の焦点位置と光学的に共役な位置には、ピンホール12が配置されている。
【0035】
以上のように構成された顕微鏡装置1によれば、標本Aをレーザ光源2から発せられる励起光により標本Aを走査して、標本Aから発せられる蛍光を観察することができる。
【0036】
次に、図2及び図3を用いて、第1の実施形態に係るリレー光学系5について詳細に説明する。図2に示されるように、リレー光学系5は、デフォーマブルミラー4から平行光として入射される励起光の光束を、同じく平行光の光束としてガルバノミラー7へリレーする。なお、図2では第1のリレーレンズ群5aおよび第2のリレーレンズ群5bをそれぞれ1枚のレンズとして図示してあるが、第1のリレーレンズ群5aは1枚のレンズにより構成され、第2のリレーレンズ群5bは2枚のレンズにより構成されるものとする。
【0037】
図2において、焦点位置F1はデフォーマブルミラー4側から平行光束を入射させた際の第2のリレーレンズ群5bのガルバノミラー7側の焦点位置であり、焦点位置F3はガルバノミラー7側から平行光束を入射させた際の第1のリレーレンズ群5aのデフォーマブルミラー4側の焦点位置である。また、焦点位置F2は、デフォーマブルミラー4側から平行光束を入射させた際の第1のリレーレンズ群5aのガルバノミラー7側の焦点位置であるとともに、ガルバノミラー7側から平行光束を入射させた際の第2のリレーレンズ群5bのデフォーマブルミラー4側の焦点位置でもある。
【0038】
図3は、凹レンズ31と凸レンズ30により構成される第2のリレーレンズ群5bを図示したものである。凹レンズ31はデフォーマブルミラー4側に配置されており、凸レンズ30はガルバノミラー7側に配置されている。第2のリレーレンズ群5bのデフォーマブルミラー4側から平行光が入射された場合、凹レンズ31により光束径が拡大された後に凸レンズ30により光束径が縮小されて焦点位置F1に集光する。この焦点位置F1が、デフォーマブルミラー4側から平行光束を入射させた際の第2のリレーレンズ群5bのガルバノミラー7側の焦点位置となる。
【0039】
また、第2のリレーレンズ群5bのガルバノミラー7側から平行光が入射された場合、凸レンズ30により光束径が縮小された後に凹レンズ31により光束径の縮小する角度が広げられて焦点位置F2に集光する。この焦点位置F2が、ガルバノミラー7側から平行光束を入射させた際の第2のリレーレンズ群5bのデフォーマブルミラー4側の焦点位置となる。
【0040】
ここで、凸レンズ30の主点をO3とし、凹レンズ31の主点をO4とし、O3とO4と等距離d0となる位置を基準位置C1とする。この場合、基準位置C1から第2のリレーレンズ群5bのガルバノミラー7側の焦点位置F1までの距離d1が、基準位置C1から第2のリレーレンズ群5bのデフォーマブルミラー4側の焦点位置F2までの距離d2よりも長くなる。
【0041】
なお、第2のリレーレンズ群5bのデフォーマブルミラー4側から入射される平行光の延長線と、凸レンズ30から出射される光の光路を結んだ直線の交点は、第2のリレーレンズ群5bのガルバノミラー7側の主平面と一致する。そして、この主平面の光軸上の主点01が第2のリレーレンズ群5bのガルバノミラー7側の主点となる。この主点O1から焦点位置F1までの距離f1が、第2のリレーレンズ群5bの焦点距離となる。
【0042】
また、第2のリレーレンズ群5bのガルバノミラー7側から入射される平行光の光路と、凹レンズ31から出射される光の光路の延長線の交点は、第2のリレーレンズ群5bのデフォーマブルミラー4側の主平面と一致する。そして、この主平面の光軸上の主点02が第2のリレーレンズ群5bのデフォーマブルミラー4側の主点となる。この主点O2から焦点位置F2までの距離が、前述した第2のリレーレンズ群5bの焦点距離f1となる。
【0043】
そして、図3に示されるように、第2のリレーレンズ群5bの基準位置C1から焦点位置F1までの距離d1は、第2のリレーレンズ群5bの焦点距離f1よりも長い。
【0044】
なお、デフォーマブルミラー4から平行光として入射される励起光の光束を、同じく平行光の光束としてガルバノミラー7へリレーするためには、デフォーマブルミラー4とガルバノミラー7が互いに光学的に共役な位置となるように配置するのが好ましい。そこで、第1の実施形態では、デフォーマブルミラー4とガルバノミラー7が互いに光学的に共役な位置となるように配置される。
【0045】
具体的には、デフォーマブルミラー4が第1のリレーレンズ群5aのデフォーマブルミラー4側の焦点位置F3に配置され、ガルバノミラー7が第2のリレーレンズ群5bのガルバノミラー7側の焦点位置F1に配置される。また、第1のリレーレンズ群5aと第2のリレーレンズ群5bが、第1のリレーレンズ群5aのガルバノミラー7側の焦点位置F2と第2のリレーレンズ群5bのデフォーマブルミラー4側の焦点位置F2が一致するように配置される。
【0046】
ここで、第2のリレーレンズ群5bの基準位置C1から焦点位置F1までの距離と、第2のリレーレンズ群5bから焦点位置F2までの距離を一致させたリレーレンズ群(以下、第2のリレーレンズ群の比較例)を、第1の実施形態に係る第2のリレーレンズ群5bと対比する。この対比においては、第1の実施形態に係る第2のリレーレンズ群5bと、比較例に係る第2のリレーレンズ群5bとで、第2のリレーレンズ群5bから焦点位置F1までの距離が同程度の距離(望ましくは同距離)であるとする。この場合、第1の実施形態においては、第2のリレーレンズ群5bから焦点位置F2までの距離が、第2のリレーレンズ群5bから焦点位置F1までの距離よりも短い。
【0047】
従って、第1の実施形態に係る第2のリレーレンズ群5bの方が、比較例に係る第2のリレーレンズ群5bよりも、光路長を短くすることができる。よって、デフォーマブルミラー4により波面が変換された光束をガルバノミラー7へリレーするリレー光学系5を備える顕微鏡装置1において、リレー光学系5とガルバノミラー7との間の光路長を十分に確保してダイクロイックミラー6を配置しつつ、小型化を実現しすることができる。
【0048】
次に、本発明の第1の実施形態に係る顕微鏡装置1の実施例について以下に説明する。
本実施例に係る顕微鏡装置1のレンズ配列を図4に示し、レンズデータを表1に示す。図4において面番号は一部のみ表示し他を省略している。なお、第1のリレーレンズ群5aの焦点距離は200mmである。また、第1のリレーレンズ群5aの第1面S1から第1のリレーレンズ群5aのデフォーマブルミラー4側の焦点位置F3(デフォーマブルミラー4の配置位置)までの距離は199.3mmであり、第1のリレーレンズ群5aの第2面S2(最終面)から第1のリレーレンズ群5aのガルバノミラー7側の焦点位置F2までの距離は199.3mmである。
【0049】
第2のリレーレンズ群5aの焦点距離は50mmである。また、第2のリレーレンズ群5bの第4面S6(最終面)から第2のリレーレンズ群5bのガルバノミラー4側の焦点位置F1(ガルバノミラー7の配置位置)までの距離は90.0mmであり、第2のリレーレンズ群5bの第1面S3から第2のリレーレンズ群5bのデフォーマブルミラー4側の焦点位置F2までの距離は22.6mmである。
【0050】
[表1]
面番号 曲率半径 面間隔 屈折率 アッベ数
デフォーマブルミラー ∞ 199.3
(第1のリレーレンズ群5a)
1 208.3 5.0 1.5225 59.5
2 −208.8 221.9
(第2のリレーレンズ群5b)
3 −10.3 4.0 1.6480 49.2
4 11.5 2.5
5 38.0 6.0 1.7552 27.6
6 −11.6
【0051】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態に係る顕微鏡装置1について、図面を参照して以下に説明する。
第2の実施形態に係る顕微鏡装置1において、第1の実施形態に係る顕微鏡装置1と構成を共通とする箇所には同一符号を付して説明を省略する。リレー光学系5の構成は第1の実施形態に係る顕微鏡装置1と第2の実施形態に係る顕微鏡装置1とで同様である。
【0052】
一方、第2の実施形態に係る顕微鏡装置1のデフォーマブルミラー4は第1の実施形態に係る顕微鏡装置1のデフォーマブルミラー4よりも第1のリレーレンズ群5aに近づけて配置されている。図5では、第1の実施形態に係る顕微鏡装置1のデフォーマブルミラーを符号4’として示している。また、第2の実施形態に係る顕微鏡装置1のガルバノミラー7は第1の実施形態に係る顕微鏡装置1のガルバノミラー7よりも第2のリレーレンズ群5bから遠ざけて配置されている。図5では、第1の実施形態に係る顕微鏡装置1のガルバノミラーを符号7’として示している。
【0053】
第2の実施形態に係る顕微鏡装置1は、図5に示されるように、デフォーマブルミラー4から第1のリレーレンズ群5aまでの距離が第1のリレーレンズ群5aから焦点位置F3までの距離よりも短く、ガルバノミラー7から第2のリレーレンズ群5bまでの距離が第2のリレーレンズ群5bから焦点位置F1までの距離よりも長い。つまり、デフォーマブルミラー4は焦点位置F3とは異なる位置に配置されており、ガルバノミラー7は焦点位置F1とは異なる位置に配置されている。
【0054】
第1の実施形態においては、デフォーマブルミラー4を焦点位置F3に配置し、ガルバノミラー7を焦点位置F1に配置することで、デフォーマブルミラー4とガルバノミラー7とを互いに光学的に共役な位置となるようにした。第2の実施形態に係る顕微鏡装置1では、デフォーマブルミラー4から第1のリレーレンズ群5aまでの距離が第1のリレーレンズ群5aから焦点位置F3までの距離よりも短い。この場合、デフォーマブルミラー4と光学的に共役となる位置が、焦点位置F1よりも第2のリレーレンズ群5bから遠い位置となる。
【0055】
第2の実施形態においては、焦点位置F1よりも第2のリレーレンズ群5bから遠い位置であり、かつ、デフォーマブルミラー4と光学的に共役となる位置にガルバノミラー7を配置する。このようにすることで、デフォーマブルミラー4とガルバノミラー7とが互いに光学的に共役な位置となる関係が維持される。
【0056】
従って、ガルバノミラー7から第2のリレーレンズ群5bまでの距離を長くして、第2のリレーレンズ群5bからガルバノミラー7に至る光路長を十分に確保することができる。よって、第2の実施形態によれば、リレー光学系5とガルバノミラー7との間の光路長を十分に確保してダイクロイックミラー6を配置しつつ、小型化を実現した顕微鏡装置1を提供することができる。
【0057】
次に、本発明の第2の実施形態に係る顕微鏡装置1の実施例について以下に説明する。
本実施例に係る顕微鏡装置1のレンズ配列を図6に示し、レンズデータを表2に示す。図6において面番号は一部のみ表示し他を省略している。なお、第1のリレーレンズ群5aの焦点距離は200mmである。また、第1のリレーレンズ群5aの第1面S1からデフォーマブルミラー4の配置位置までの距離は75.0mmであり、第1のリレーレンズ群5aの第2面S2(最終面)から第1のリレーレンズ群5aのガルバノミラー7側の焦点位置F2までの距離は199.3mmである。
【0058】
第2のリレーレンズ群5aの焦点距離は50mmである。また、第2のリレーレンズ群5bの第4面S6(最終面)からガルバノミラー7の配置位置までの距離は98.4mmであり、第2のリレーレンズ群5bの第1面S3から第2のリレーレンズ群5bのデフォーマブルミラー4側の焦点位置F2までの距離は22.6mmである。
【0059】
[表2]
面番号 曲率半径 面間隔 屈折率 アッベ数
デフォーマブルミラー ∞ 75.0
(第1のリレーレンズ群5a)
1 208.3 5.0 1.5225 59.5
2 −208.8 221.9
(第2のリレーレンズ群5b)
3 −10.3 4.0 1.6480 49.2
11.5 2.5
5 38.0 6.0 1.7552 27.6
6 −11.6
【0060】
<第3の実施形態>
次に、本発明の第3の実施形態に係る顕微鏡装置1について、図面を参照して以下に説明する。
第3の実施形態に係る顕微鏡装置1において、第1の実施形態に係る顕微鏡装置1と構成を共通とする箇所には同一符号を付して説明を省略する。第3の実施形態に係る顕微鏡装置1と第1の実施形態に係る顕微鏡装置1は、第1のリレーレンズ群5aの構成が異なる。
【0061】
図7は、凹レンズ41と凸レンズ40により構成される第1のリレーレンズ群5aを図示したものである。凹レンズ41はガルバノミラー7側に配置されており、凸レンズ40はデフォーマブルミラー4側に配置されている。第1のリレーレンズ群5aのガルバノミラー7側から平行光が入射された場合、凹レンズ41により光束径が拡大された後に凸レンズ40により光束径が縮小されて焦点位置F3に集光する。この焦点位置F3が、ガルバノミラー7側から平行光束を入射させた際の第1のリレーレンズ群5aのデフォーマブルミラー4側の焦点位置となる。
【0062】
また、第1のリレーレンズ群5aのデフォーマブルミラー4側から平行光が入射された場合、凸レンズ40により光束径が縮小された後に凹レンズ41により光束径の縮小する角度が広げられて焦点位置F2に集光する。この焦点位置F2が、デフォーマブルミラー4側から平行光束を入射させた際の第1のリレーレンズ群5aのガルバノミラー7側の焦点位置となる。
【0063】
ここで、凸レンズ40の主点をO7とし、凹レンズ41の主点をO8とし、O7とO8と等距離d10となる位置を基準位置C10とする。この場合、基準位置C10から第1のリレーレンズ群5aのデフォーマブルミラー4側の焦点位置F3までの距離d3が、基準位置C10から第1のリレーレンズ群5aのガルバノミラー7側の焦点位置F2までの距離d4よりも長くなる。
【0064】
なお、第1のリレーレンズ群5aのガルバノミラー7側から入射される平行光の延長線と、凸レンズ40から出射される光の光路を結んだ直線の交点は、第1のリレーレンズ群5aのデフォーマブルミラー4側の主平面と一致する。そして、この主平面の光軸上の主点05が第1のリレーレンズ群5aのデフォーマブルミラー4側の主点となる。この主点O5から焦点位置F3までの距離f2が、第1のリレーレンズ群5aの焦点距離となる。
【0065】
また、第1のリレーレンズ群5aのデフォーマブルミラー4側から入射される平行光の光路と、凹レンズ41から出射される光の光路の延長線の交点は、第1のリレーレンズ群5aのガルバノミラー7側の主平面と一致する。そして、この主平面の光軸上の主点06が第1のリレーレンズ群5aのガルバノミラー7側の主点となる。この主点O6から焦点位置F2までの距離が、前述した第1のリレーレンズ群5aの焦点距離f2となる。
【0066】
そして、図7に示されるように、第1のリレーレンズ群5aの基準位置C10から焦点位置F3までの距離d3は、第1のリレーレンズ群5aのデフォーマブルミラー4側の焦点距離f2よりも長い。
【0067】
なお、デフォーマブルミラー4から平行光として入射される励起光の光束を、同じく平行光の光束としてガルバノミラー7へリレーするためには、デフォーマブルミラー4とガルバノミラー7が光学的に互いに光学的に共役な位置となるように配置するのが好ましい。そこで、第3の実施形態では、デフォーマブルミラー4とガルバノミラー7が光学的に互いに光学的に共役な位置となるように配置される。
【0068】
具体的には、デフォーマブルミラー4が第1のリレーレンズ群5aのデフォーマブルミラー4側の焦点位置F3に配置され、ガルバノミラー7が第2のリレーレンズ群5bのガルバノミラー7側の焦点位置F1に配置される。また、第1のリレーレンズ群5aと第2のリレーレンズ群5bが、第1のリレーレンズ群5aのガルバノミラー7側の焦点位置F2と第2のリレーレンズ群5bのデフォーマブルミラー4側の焦点位置F2が一致するように配置される。
【0069】
ここで、第1のリレーレンズ群5aの基準位置C10から焦点位置F3までの距離と、第1のリレーレンズ群5aから焦点位置F3までの距離を一致させたリレーレンズ群(以下、第1のリレーレンズ群の比較例)を、第3の実施形態に係る第1のリレーレンズ群5aと対比する。この対比においては、第3の実施形態に係る第1のリレーレンズ群5aと、比較例に係る第1のリレーレンズ群5aとで、第1のリレーレンズ群5aから焦点位置F3までの距離が同程度の距離(望ましくは同距離)であるとする。この場合、第3の実施形態においては、第1のリレーレンズ群5aから焦点位置F3までの距離が、第1のリレーレンズ群5aから焦点位置F3までの距離よりも短い。
【0070】
従って、第3の実施形態に係る第1のリレーレンズ群5aの方が、比較例に係る第1のリレーレンズ群5aよりも、光路長を短くすることができる。よって、第3の実施形態によれば、デフォーマブルミラー4により波面が変換された光束をガルバノミラー7へリレーするリレー光学系5を備える顕微鏡装置1において、リレー光学系5とガルバノミラー7との間の光路長を十分に確保してダイクロイックミラー6を配置しつつ、小型化を実現することができる。
【0071】
次に、本発明の第3の実施形態に係る顕微鏡装置1の実施例について以下に説明する。
本実施例に係る顕微鏡装置1のレンズ配列を図8に示し、レンズデータを表3に示す。図8において面番号は一部のみ表示し他を省略している。なお、第1のリレーレンズ群5aの焦点距離は200mmである。また、第1のリレーレンズ群5aの第1面S1から第1のリレーレンズ群5aのデフォーマブルミラー4側の焦点位置F3(デフォーマブルミラー4の配置位置)までの距離は360.0mmであり、第1のリレーレンズ群5aの第4面S4(最終面)から第1のリレーレンズ群5aのガルバノミラー7側の焦点位置F2までの距離は90.5mmである。
【0072】
第2のリレーレンズ群5aの焦点距離は50mmである。また、第2のリレーレンズ群5bの第4面S8(最終面)から第2のリレーレンズ群5bのガルバノミラー4側の焦点位置F1(ガルバノミラー7の配置位置)までの距離は90.0mmであり、第2のリレーレンズ群5bの第1面S5から第2のリレーレンズ群5bのデフォーマブルミラー4側の焦点位置F2までの距離は22.6mmである。
【0073】
[表3]
面番号 曲率半径 面間隔 屈折率 アッベ数
デフォーマブルミラー ∞ 360.0
(第1のリレーレンズ群5a)
1 46.2 24.0 1.7552 27.6
2 −152.1 10.2
3 −45.9 16.0 1.6480 49.2
4 41.3
(第2のリレーレンズ群5b)
5 −10.3 4.0 1.6480 49.2
6 11.5 2.5
7 38.0 6.0 1.7552 27.6
8 −11.6
【0074】
<第4の実施形態>
次に、本発明の第4の実施形態に係る顕微鏡装置1について、図面を参照して以下に説明する。
第4の実施形態は第3の実施形態の変形例であり、第4の実施形態に係る顕微鏡装置1において、第3の実施形態に係る顕微鏡装置1と構成を共通とする箇所には同一符号を付して説明を省略する。リレー光学系5の構成は第3の実施形態に係る顕微鏡装置1と第4の実施形態に係る顕微鏡装置1とで同様である。
【0075】
一方、第4の実施形態に係る顕微鏡装置1のデフォーマブルミラー4は第3の実施形態に係る顕微鏡装置1のデフォーマブルミラー4よりも第1のリレーレンズ群5aに近づけて配置されている。図9では、第3の実施形態に係る顕微鏡装置1のデフォーマブルミラーを符号4’として示している。また、第4の実施形態に係る顕微鏡装置1のガルバノミラー7は第3の実施形態に係る顕微鏡装置1のガルバノミラー7よりも第2のリレーレンズ群5bから遠ざけて配置されている。図9では、第3の実施形態に係る顕微鏡装置1のガルバノミラーを符号7’として示している。
【0076】
第4の実施形態に係る顕微鏡装置1は、図9に示されるように、デフォーマブルミラー4から第1のリレーレンズ群5aまでの距離が第1のリレーレンズ群5aから焦点位置F3までの距離よりも短く、ガルバノミラー7から第2のリレーレンズ群5bまでの距離が第2のリレーレンズ群5bから焦点位置F1までの距離よりも長い。つまり、デフォーマブルミラー4は焦点位置F3とは異なる位置に配置されており、ガルバノミラー7は焦点位置F1とは異なる位置に配置されている。
【0077】
第3の実施形態においては、デフォーマブルミラー4を焦点位置F3に配置し、ガルバノミラー7を焦点位置F1に配置することで、デフォーマブルミラー4とガルバノミラー7とを互いに光学的に共役な位置となるようにした。第4の実施形態に係る顕微鏡装置1では、デフォーマブルミラー4から第1のリレーレンズ群5aまでの距離が第1のリレーレンズ群5aから焦点位置F3までの距離よりも短い。この場合、デフォーマブルミラー4と光学的に共役となる位置が、焦点位置F1よりも第2のリレーレンズ群5bから遠い位置となる。
【0078】
第4の実施形態においては、焦点位置F1よりも第2のリレーレンズ群5bから遠い位置であり、かつ、デフォーマブルミラー4と光学的に共役となる位置にガルバノミラー7を配置する。このようにすることで、デフォーマブルミラー4とガルバノミラー7とが互いに光学的に共役な位置となる関係が維持される。
【0079】
従って、ガルバノミラー7から第2のリレーレンズ群5bまでの距離を長くして、第2のリレーレンズ群5bからガルバノミラー7に至る光路長を十分に確保することができる。よって、第4の実施形態によれば、リレー光学系5とガルバノミラー7との間の光路長を十分に確保してダイクロイックミラー6を配置しつつ、小型化を実現した顕微鏡装置1を提供することができる。
【0080】
次に、本発明の第4の実施形態に係る顕微鏡装置1の実施例について以下に説明する。
本実施例に係る顕微鏡装置1のレンズ配列を図10に示し、レンズデータを表4に示す。図10において面番号は一部のみ表示し他を省略している。なお、第1のリレーレンズ群5aの焦点距離は200mmである。また、第1のリレーレンズ群5aの第1面S1からデフォーマブルミラー4の配置位置までの距離は100.0mmであり、第1のリレーレンズ群5aの第4面S4(最終面)から第1のリレーレンズ群5aのガルバノミラー7側の焦点位置F2までの距離は90.5mmである。
【0081】
第2のリレーレンズ群5aの焦点距離は50mmである。また、第2のリレーレンズ群5bの第4面S8(最終面)からガルバノミラー7の配置位置までの距離は106.6mmであり、第2のリレーレンズ群5bの第1面S5から第2のリレーレンズ群5bのデフォーマブルミラー4側の焦点位置F2までの距離は22.6mmである。
【0082】
[表4]
面番号 曲率半径 面間隔 屈折率 アッベ数
デフォーマブルミラー ∞ 100.0
(第1のリレーレンズ群5a)
1 46.2 24.0 1.7552 27.6
2 −152.1 10.2
3 −45.9 16.0 1.6480 49.2
4 41.3
(第2のリレーレンズ群5b)
5 −10.3 4.00 1.6480 49.2
6 11.5 2.50
7 38.0 6.00 1.7552 27.6
8 −11.6
【0083】
<他の実施形態>
第1の実施形態および第2の実施形態においては、第1のリレーレンズ群5aを1枚のレンズにて構成することとしたが、光学的な特性が同様であれば複数枚のレンズにて構成するようにしてもよい。また、第1の実施形態、第2の実施形態、第3の実施形態、および第4の実施形態においては、第2のリレーレンズ群5bを2枚のレンズで構成することとしたが、光学的な特性が同様であれば、1枚のレンズで構成しても、3枚以上のレンズで構成してもよい。
【0084】
また、第1から第4の実施形態においては、光分岐手段としてダイクロイックミラー6を用いたが、他の態様であってもよい。例えば、光分岐手段として、光の入射角によって光を分岐するハーフミラーを用いてもよい。また、光分岐手段として、S偏光またはP偏光のいずれか一方の光を反射する一方、他方を透過する偏光ビームスプリッタを用いてもよい。
【符号の説明】
【0085】
1 顕微鏡装置
2 レーザ光源
3 コリメータレンズ
4 デフォーマブルミラー
5 リレー光学系
5a 第1のリレーレンズ群
5b 第2のリレーレンズ群
6 ダイクロイックミラー(光分岐手段)
7 ガルバノミラー
8 瞳投影レンズ
9 結像レンズ
10 対物レンズ
11 集光レンズ
12 ピンホール
13 検出器
A 標本
F1 第2のリレーレンズ群のガルバノミラー側の焦点位置
F2 第2のリレーレンズ群のデフォーマブルミラー側の焦点位置
F3 第1のリレーレンズ群のデフォーマブルミラー側の焦点位置
C1 第2のリレーレンズ群の基準位置
C10 第1のリレーレンズ群の基準位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源から発せられた光束の波面を変換する波面変換素子と、
該波面変換素子により波面が変換された前記光束を走査する光束走査手段と、
前記波面変換素子により波面が変換された前記光束を前記光束走査手段へリレーするリレー光学系と、
前記光束走査手段によって走査された前記光束が入射され、該入射された光束を標本に集光する対物レンズと、
前記リレー光学系と前記光束走査手段との間に配置され、前記リレー光学系から出射する光束を透過させるとともに前記対物レンズおよび前記光束走査手段を介して入射する前記標本からの光を反射する光分岐手段と、
該光分岐手段により反射された前記標本からの光を検出する検出手段とを備え、
前記リレー光学系が、前記波面変換素子側から順に配置された第1のリレーレンズ群および第2のリレーレンズ群を備え、
前記波面変換素子と前記光束走査手段とが、互いに光学的に共役な位置となるように配置され、
前記波面変換素子側から前記第2のリレーレンズ群に平行光束を入射させた際の前記第2のリレーレンズ群から該第2のリレーレンズ群の前記光束走査手段側の焦点位置までの距離が、前記光束走査手段側から前記第2のリレーレンズ群に平行光束を入射させた際の前記第2のリレーレンズ群から該第2のリレーレンズ群の前記波面変換素子側の焦点位置までの距離よりも長い顕微鏡装置。
【請求項2】
前記波面変換素子側から前記第2のリレーレンズ群に平行光束を入射させた際の前記第2のリレーレンズ群から該第2のリレーレンズ群の前記光束走査手段側の焦点位置までの距離が、前記第2のリレーレンズ群の焦点距離よりも長い請求項1に記載の顕微鏡装置。
【請求項3】
前記第2のリレーレンズ群が、前記光束走査手段側に配置された凸レンズと、前記波面変換素子側に配置された凹レンズを備える請求項1または請求項2に記載の顕微鏡装置。
【請求項4】
前記波面変換素子側から前記第2のリレーレンズ群に平行光束を入射させた際の前記凸レンズの主点および前記凹レンズの主点と等距離となる基準位置から前記第2のリレーレンズ群の前記光束走査手段側の焦点位置までの距離が、前記光束走査手段側から前記第2のリレーレンズ群に平行光束を入射させた際の前記基準位置から前記第2リレーレンズ群の前記波面変換素子側の焦点位置までの距離よりも長い請求項3に記載の顕微鏡装置。
【請求項5】
前記光束走査手段側から前記第1のリレーレンズ群に平行光束を入射させた際の前記第1のリレーレンズ群から該第1のリレーレンズ群の前記波面変換素子側の焦点位置までの距離が、前記波面変換素子側から前記第1のリレーレンズ群に平行光束を入射させた際の前記第1のリレーレンズ群から該第1のリレーレンズ群の前記光束走査手段側の焦点位置までの距離よりも長い請求項1に記載の顕微鏡装置。
【請求項6】
前記光束走査手段側から前記第1のリレーレンズ群に平行光束を入射させた際の前記第1のリレーレンズ群から該第1のリレーレンズ群の前記波面変換素子側の焦点位置までの距離が、前記第1のリレーレンズ群の焦点距離よりも長い請求項5に記載の顕微鏡装置。
【請求項7】
前記第1のリレーレンズ群が、前記波面変換素子側に配置された凸レンズと、前記光束走査手段側に配置された凹レンズを備える請求項5または請求項6に記載の顕微鏡装置。
【請求項8】
前記光束走査手段側から前記第1のリレーレンズ群に平行光束を入射させた際の前記凸レンズの主点および前記凹レンズの主点と等距離となる基準位置から前記第1のリレーレンズ群の前記波面変換素子側の焦点位置までの距離が、前記波面変換素子側から前記第1のリレーレンズ群に平行光束を入射させた際の前記基準位置から前記第1リレーレンズ群の前記光束走査手段側の焦点位置までの距離よりも長い請求項7に記載の顕微鏡装置。
【請求項9】
前記波面変換素子が、前記光束走査手段側から前記第1のリレーレンズ群に平行光束を入射させた際の前記第1のリレーレンズ群の前記波面変換素子側の焦点位置に配置され、
前記光束走査手段が、前記波面変換素子側から前記第2のリレーレンズ群に平行光束を入射させた際の前記第2のリレーレンズ群の前記光束走査手段側の焦点位置に配置され、
前記第1のリレーレンズ群と前記第2のリレーレンズ群が、前記波面変換素子側から前記第1のリレーレンズ群に平行光束を入射させた際の前記第1のリレーレンズ群の前記光束走査手段側の焦点位置と、前記光束走査手段側から前記第2のリレーレンズ群に平行光束を入射させた際の前記第2のリレーレンズ群の前記波面変換素子側の焦点位置とが一致するように配置された請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の顕微鏡装置。
【請求項10】
前記波面変換素子から前記第1のリレーレンズ群に入射される光束が平行光束とされており、
前記波面変換素子から前記第1のリレーレンズ群までの距離が、前記光束走査手段側から前記第1のリレーレンズ群に平行光束を入射させた際の前記第1のリレーレンズ群から該第1のリレーレンズ群の前記波面変換素子側の焦点位置までの距離よりも短く、
前記光束走査手段から前記第2のリレーレンズ群までの距離が、前記波面変換素子側から前記第2のリレーレンズ群に平行光束を入射させた際の前記第2のリレーレンズ群から該第2のリレーレンズ群の前記光学走査手段側の焦点位置までの距離よりも長い請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の顕微鏡装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−109080(P2013−109080A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−252672(P2011−252672)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】