類似データ生成装置、方法及びプログラム
【課題】共通の物理現象を独立にセンシングした複数の装置が、ハミング距離において近似する類似データを生成することができない。
【解決手段】本発明による類似データ生成装置は、複数の類似データ生成装置を用いて物理現象に基づいて類似データを生成する類似データ生成装置であって、物理現象の一部を抽出して抽出データを出力する抽出手段11と、抽出手段11が出力した抽出データを交番二進符号に符号化する符号化手段12とを備えたことを特徴とする。
【解決手段】本発明による類似データ生成装置は、複数の類似データ生成装置を用いて物理現象に基づいて類似データを生成する類似データ生成装置であって、物理現象の一部を抽出して抽出データを出力する抽出手段11と、抽出手段11が出力した抽出データを交番二進符号に符号化する符号化手段12とを備えたことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、類似データを生成する類似データ生成装置、類似データ生成方法及び類似データ生成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
類似データを鍵としてデータを暗号化・復号するシステムの一例が特許文献1に記載されている。ここで、類似データとは、似ている(共通点がある)が完全には一致しないデータのことである。この類似データは、複数のセンサが共通の物理現象を観測することで得られる。これらのセンサは、例えば、共通の物理現象を観測したとしても、センサの位置の違いやセンサの個体差、ノイズなどの影響により、完全に共通(同一)のデータを得るとは限らない。この完全に共通(同一)のデータではないが似ている(共通点がある)データが類似データであり、特許文献1に記載されたシステムでは、この類似データを暗号化・復号の鍵として利用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2009/014063号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されたシステムにおける類似データ生成部が生成する類似データは、鍵としては類似度が低い場合がある。
【0005】
その理由は、類似度の尺度である距離は、センシングデータと、鍵とで異なるためである。具体的には、センシングデータにおける距離は、ユークリッド距離であるが、鍵における距離は、ハミング距離である。そのため、異なる類似データ生成部がそれぞれ生成するデータは、ユークリッド距離が近くとも、ハミング距離が遠くなってしまうような場合には、鍵としては類似度が高くないのである。
【0006】
例えば、類似するセンシングデータを暗号化装置と復号装置とが得たとする。そして、それぞれの装置がこれを3ビットに量子化し、暗号化装置は、「011」を、復号装置は、「100」を得たとする。これらの類似データ間における距離(相違値)は、ユークリッド距離では1であるが、ハミング距離では3である。つまり、センシングデータとしての類似度は高いが、鍵としての類似度は低い。そのため、これらのセンシングデータを鍵として用いると、類似度が低いため、データの復号に失敗する可能性が考えられる。
【0007】
そこで、本発明は、共通の物理現象を独立にセンシングした複数の装置が、ハミング距離において近似する類似データを生成することができる類似データ生成装置、類似データ生成方法及び類似データ生成プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による類似データ生成装置は、複数の類似データ生成装置を用いて物理現象に基づいて類似データを生成する類似データ生成装置であって、物理現象の一部を抽出して抽出データを出力する抽出手段と、抽出手段が出力した抽出データを交番二進符号に符号化する符号化手段とを備えたことを特徴とする。
【0009】
本発明による類似データ生成方法は、複数の類似データ生成装置を用いて物理現象に基づいて類似データを生成する類似データ生成方法であって、物理現象の一部を抽出して抽出データを出力する抽出ステップと、抽出データを交番二進符号に符号化する符号化ステップとを含むことを特徴とする。
【0010】
本発明による類似データ生成プログラムは、コンピュータに、物理現象の一部を抽出して抽出データを出力するために、所定の条件に基づいてセンサの動作を制御する動作制御処理と、抽出データを交番二進符号に符号化する符号化処理とを実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、共通の物理現象を独立にセンシングした複数の装置が、ハミング距離において近似する類似データを生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明による筐体(類似データ生成装置)の外観を示す斜視図である。
【図2】第1の実施形態における類似データ生成装置の構成例を示すブロック図である。
【図3】第1の実施形態における抽出部4の構成例を示すブロック図である。
【図4】図2に示す類似データ生成装置の動作の流れを示すアクティビティ図である。
【図5】第1の実施形態における加速度センサ6の状態遷移図である。
【図6】第1の実施形態における制御部7の状態遷移図である。
【図7】第2の実施形態における抽出部4´の構成例を示すブロック図である。
【図8】第2の実施形態における加速度センサ8の状態遷移図である。
【図9】第2の実施形態における開閉部9の状態遷移図である。
【図10】類似データ生成装置の最小の構成例を示す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<第1の実施形態>
(構成の説明)
以下、本発明による第1の実施形態について図1〜3を用いて説明する。本実施形態では、加速度から類似データを生成する類似データ生成装置について説明する。図1は、本発明による筐体(類似データ生成装置)の外観を示す斜視図である。例えば、ユーザが2つの類似データ生成装置を合体させて振ると、各装置から相互に類似したデータが出力される。そして、各類似データ生成装置が出力する類似データは、コンピュータ等の情報処理装置に入力し、暗号鍵として用いる用途に適用できる。
【0014】
図1(a)に示すように、類似データ生成装置1は、結合ガイド2、3を備えている。そして、図1(b)に示すように、ある装置(類似データ生成装置1b)の結合ガイド2と、別の装置(類似データ生成装置1a)の結合ガイド3とを結合することで、2台の装置を一定の位置に結合することができる。こうすることで、2台の装置が常に一定の位置関係を維持することができ、2台の装置が観測する加速度の差を少なくすることができる。
【0015】
図2は、第1の実施形態における類似データ生成装置の構成例を示すブロック図である。図2に示すように、類似データ生成装置は、抽出部4と交番二進符号化部5とを含む。類似データ生成装置は、ROM等の記憶部に類似データ生成のための各種プログラムを記憶している。そして、類似データ生成装置は、記憶部に記憶するプログラムに従って、類似データを生成する処理を行う。
【0016】
抽出部4は、具体的には、プログラムに従って動作する類似データ生成装置が搭載するセンサ及びCPUによって実現される。抽出部4は、加速度の一部を抽出し、抽出した抽出データを出力する機能を備えている。なお、複数の類似データ生成装置(例えば、類似データ生成装置1a,1b)は、それぞれ独立した装置であるため、常に共通(同一)の加速度を観測できるとは限らない。そこで、抽出部4は、例えば、複数の装置が結合されている場合に観測する加速度のみを抽出する。なお、本実施形態では、抽出部4によって抽出された加速度のセンシングデータを抽出データという。
【0017】
交番二進符号化部5は、具体的には、プログラムに従って動作する類似データ生成装置が搭載するCPUによって実現される。交番二進符号化部5は、抽出データを交番二進符号(グレイコード)に符号化し、類似データとして出力する機能を備えている。そのため、たとえ複数の装置が抽出データを隣接する符号語に符号化してしまったとしても、そのハミング距離を1に抑えることができる。
【0018】
図3は、第1の実施形態における抽出部4の構成例を示すブロック図である。図3に示すように、抽出部4は、加速度センサ6と制御部7とを含む。
【0019】
加速度センサ6は、加速度をセンシングし、加速度データ(抽出データ)を生成する機能を備えている。制御部7は、具体的には、プログラムに従って動作する類似データ生成装置が搭載するCPUによって実現される。制御部7は、加速度センサ6の動作を制御する機能を備えている。制御部7は、装置が結合すると、加速度センサ6にセンシングを開始させ、装置が分離すると、停止させるよう制御する。なお、装置の結合を知る(検知する)方法として、どのような方法を用いてもよいが、例えば、複数の装置が結合すると信号が発生するようにし、その信号を検知する方法を用いてもよい。例えば、光センサを用いて装置の接触を検出して検出信号を出力するようにしてもよい。また、例えば、装置が結合すると端子間が導通状態となって信号を出力するようにしてもよい。
【0020】
なお、本実施形態では、抽出部4において、加速度センサ6がセンシングして、抽出データを生成する例について説明するが、加速度センサに限らず、例えば、角速度センサや方位センサ、位置センサ、傾きセンサ、圧力センサ、磁気センサ、光センサ、音センサ、宇宙線センサ、雨量センサ、日照センサ、風速センサ、流量センサ、花粉センサ、温度センサ、湿度センサ等を用いてセンシングをし、抽出データを生成するようにしてもよい。
【0021】
(動作の説明)
次に、図4〜6を用いて、加速度から類似データを生成する類似データ生成方法の一例について説明する。
【0022】
図4は、図2に示す類似データ生成装置の動作の流れを示すアクティビティ図である。図4に示すように、本実施形態による類似データ生成方法は、センシングデータを抽出するステップA1と、抽出データを交番二進符号化するステップA2とを含む。
【0023】
センシングデータを抽出するステップA1では、抽出部4は、物理現象をセンシングすることによって、加速度の一部を抽出する。ここで、複数の類似データ生成装置(例えば、類似データ生成装置1a,1b)は、それぞれ独立であるため、常に共通(同一)の加速度を観測できるとは限らない。そこで、ステップA1では、抽出部4は、複数の装置が結合されている場合に観測する加速度のみを抽出する。このステップA1で抽出された加速度のセンシングデータが抽出データである。なお、加速度の一部を抽出するとは、上述したように、結合状態で観測(検出)された加速度のみを抽出することを意味する。
【0024】
次いで、抽出データを交番二進符号化するステップA2では、交番二進符号化部5は、ステップA1において抽出した抽出データを交番二進符号に符号化する。そのため、たとえ複数の装置が抽出データを隣接する符号語に符号化してしまったとしても、そのハミング距離を1に抑えることができる。
【0025】
例えば、類似データ生成装置1aと類似データ生成装置1bとが、類似するセンシングデータを得たとする。そして、交番二進符号化を行わない場合、それぞれの装置がセンシングデータを3ビットに量子化し、類似データ生成装置1aは、「011」を、類似データ生成装置1bは、「100」を類似データとして得たとする。これらの類似データ間における距離(相違値)は、ユークリッド距離では1であるが、ハミング距離では3である。つまり、センシングデータとしての類似度は高いが、鍵としての類似度は低くなる。
【0026】
これに対して、本実施形態では、それぞれの類似データ生成装置が備える交番二進符号化部5は、センシングデータ(抽出データ)を交番二進符号化し、交番二進符号化したデータを類似データとして出力する。そのため、類似データ生成装置1aは、「010」を、類似データ生成装置1bは、「110」を類似データとして得ることとなる。従って、符号化されたデータ間のハミング距離が1となり、類似データ生成装置1a及び類似データ生成装置1bは、それぞれ類似度の高い鍵(類似データ)を得ることができる。
【0027】
次に、加速度センサ6の動作について説明する。図5は、第1の実施形態における加速度センサ6の状態遷移図である。図5に示すように、加速度センサ6は、停止状態S1と動作状態S2との2つの状態をとり、動作状態S2の場合のみ、加速度をセンシングする。また、加速度センサ6の状態は、制御部7から出力される開始イベントE1があれば停止状態S1から動作状態S2へ遷移し、制御部7から出力される停止イベントE2があれば動作状態S2から停止状態S1へ遷移する。
【0028】
次に、制御部7の動作を説明する。図6は、第1の実施形態における制御部7の状態遷移図である。図6に示すように、制御部7は、未結合状態S3と、結合状態S4との2つの状態をとる。そして、制御部7は、結合イベントE3があれば、未結合状態S3から結合状態S4へ遷移すると同時に、開始メッセージM1を発(生成)する。また、制御部7は、分離イベントE4があれば、結合状態S4から未結合状態S3へ遷移すると同時に、停止メッセージM2を発(生成)する。なお、開始メッセージM1と停止メッセージM2とは、それぞれ加速度センサ6における開始イベントE1と停止イベントE2となる。
【0029】
すなわち、ユーザが、類似データ生成装置1aと類似データ生成装置1bとを結合させると(結合イベントE3)、制御部7は、状態を未結合状態S3から結合状態S4に遷移すると同時に、開始メッセージM1を発(生成)する(開始イベントE1)。そして、開始メッセージM1が発(生成)されると、加速度センサ6は、状態を停止状態S1から動作状態S2に遷移し、センシングを開始する。
【0030】
また、ユーザが、類似データ生成装置1aと類似データ生成装置1bとを分離させると(分離イベントE4)、制御部7は、状態を結合状態S4から未結合状態S3に遷移すると同時に、停止メッセージM2を発(生成)する(停止イベントE2)。そして、停止メッセージM2が発(生成)されると、加速度センサ6は、状態を動作状態S2から停止状態S1に遷移し、センシングを停止する。
【0031】
以上のように、本実施形態では、類似データ生成装置が備える交番二進符号化部5は、センシングデータ(抽出データ)を交番二進符号化し、交番二進符号化したデータを類似データとして出力する。従って、類似データがハミング距離においても近似することとなり、複数の類似データ生成装置は、それぞれ類似度の高い鍵(類似データ)を得ることができる。
【0032】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態と第1の実施形態との相違点は、抽出部の構成及び動作である。第1の実施形態における抽出部4が、センサの動作を制御することで加速度の一部を抽出するものであったのに対し、本実施形態における抽出部4´は、センシングデータの一部のみを通過させることで加速度の一部を抽出する。以下、第1の実施形態との相違点である、本実施形態における抽出部4´の構成及び動作のみを説明する。
【0033】
(構成の説明)
抽出部4´の構成について説明する。図7は、第2の実施形態における抽出部4´の構成例を示すブロック図である。図7に示すように、抽出部4´は、加速度センサ8と開閉部9とを含む。
【0034】
加速度センサ8は、加速度をセンシングし、加速度データ(抽出データ)を生成する機能を備えている。なお、本実施形態では、抽出部4´において、加速度センサがセンシングして、抽出データを生成する例について説明するが、加速度センサに限らず、例えば、角速度センサや方位センサ、位置センサ、傾きセンサ、圧力センサ、磁気センサ、光センサ、音センサ、宇宙線センサ、雨量センサ、日照センサ、風速センサ、流量センサ、花粉センサ、温度センサ、湿度センサ等を用いてセンシングをし、抽出データを生成するようにしてもよい。
【0035】
開閉部9は、加速度データ8が出力するセンシングデータを制限する機能を備えている。開閉部9は、装置(例えば、類似データ生成装置1a,1b)が結合すると、加速度センサ8がセンシングしたセンシングデータを通過させ、装置が分離すると、通過させないように制御する。なお、装置の結合や分離を知る(判断)する方法として、どのような方法を用いてもよいが、例えば、センサのセンシングデータから所定のパターンを検出することによって判断する方法を用いてもよい。
【0036】
(動作の説明)
次に、本実施形態における加速度センサ8の動作について説明する。図8は、第2の実施形態における加速度センサ8の状態遷移図である。図8に示すように、加速度センサ8は、常に加速度をセンシングする。
【0037】
次に、本実施形態における開閉部9の動作について説明する。図9は、第2の実施形態における開閉部9の状態遷移図である。図9に示すように、開閉部9は、閉状態S6と開状態S7との2つの状態をとり、開状態S7の場合のみ入力データ(加速度センサ8がセンシングしたセンシングデータ)を通過させる。また、開閉部9の状態は、結合イベントE5があれば、閉状態S6から開状態S7へ遷移し、分離イベントE6があれば、開状態S7から閉状態S6へ遷移する。
【0038】
すなわち、本実施形態では、加速度センサ8は、常に加速度をセンシングし、加速度データを生成する。この状態では、生成された加速度データは、まだ出力されていない。そして、ユーザが類似データ生成装置1aと類似データ生成装置1bとを結合すると(結合イベントE5)、開閉部9は、状態を閉状態S6から開状態S7に遷移し、加速度センサ8が生成した加速度データを抽出データとして、抽出部4´から出力する。その後、交番二進符号化部5は、抽出部4´が出力した抽出データを交番二進符号に符号化し、類似データとして出力する。
【0039】
また、ユーザが類似データ生成装置1aと類似データ生成装置1bとを分離すると(分離イベントE6)、開閉部9は、状態を開状態S7から閉状態S6に遷移し、抽出データの出力を停止する。
【0040】
以上のように、本実施形態では、加速度センサ8は、常に加速度をセンシングし、加速度データを生成する。そして、開閉部9は、状態が開状態S7(装置が結合されたことによって、結合イベントE5が発生した状態)である場合のみ、加速度データを抽出データとして抽出部4´から出力する。
【0041】
従って、本実施形態では、複数の類似データ生成装置は、加速度センサを開始及び停止する制御を行うことなく、それぞれ類似度の高い鍵(類似データ)を得ることができる。
【0042】
次に、本発明による類似データ生成装置の最小構成について説明する。図10は、類似データ生成装置の最小の構成例を示す機能ブロック図である。図10に示すように、類似データ生成装置は、最小の構成要素として、抽出手段11と、符号化手段12とを含む。
【0043】
図10に示す最小構成の類似データ生成装置では、抽出手段11は、他の類似データ生成装置と共通の物理現象の一部を抽出して抽出データを出力する。そして、符号化手段12は、抽出手段11が出力した抽出データを交番二進符号に符号化する。
【0044】
従って、図10に示す最小構成の類似データ生成装置によれば、他の装置が生成するデータとハミング距離においても近似することとなり、複数の類似データ生成装置は、それぞれ類似データを得ることができる。
【0045】
なお、本実施形態では、以下の(1)〜(5)に示すような類似データ生成装置の特徴的構成が示されている。
【0046】
(1)類似データ生成装置は、複数の類似データ生成装置(例えば、類似データ生成装置1a,1b)を用いて物理現象に基づいて類似データを生成する類似データ生成装置であって、物理現象の一部を抽出して抽出データを出力する抽出手段(例えば、抽出部4によって実現される)と、抽出手段が出力した抽出データを交番二進符号に符号化する符号化手段(例えば、交番二進符号化部5によって実現される)とを特徴とする。
【0047】
(2)類似データ生成装置において、抽出手段は、物理現象を観測して計測したセンシングデータを出力するセンサ(例えば、加速度センサ6によって実現される)と、所定の条件に従って、前期センサを動作又は停止させるように制御する動作制御手段(例えば、制御部7によって実現される)とを含むように構成されていてもよい。
【0048】
(3)類似データ生成装置において、抽出手段は、物理現象を観測して計測したセンシングデータを出力するセンサ(例えば、加速度センサ8によって実現される)と、所定の条件に従って、センサからのセンシングデータの出力を制限する出力制限手段(例えば、開閉部9によって実現される)とを含むように構成されていてもよい。
【0049】
(4)類似データ生成装置において、センサは、加速度センサ、角速度センサ、方位センサ、位置センサ、傾きセンサ、圧力センサ、磁気センサ、光センサ、音センサ、宇宙線センサ、雨量センサ、日照センサ、風速センサ、流量センサ、花粉センサ、温度センサ、又は湿度センサのうちの何れかであるように構成されていてもよい。
【0050】
(5)類似データ生成装置は、複数の筐体を結合するための結合ガイドを備えたことを特徴とする。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、類似データを鍵として利用する暗号通信システムなどに適用可能である。
【符号の説明】
【0052】
1a,1b 類似データ生成装置
2,3 結合ガイド
4,4´ 抽出部
5 交番二進符号化部
6,8 加速度センサ
7 制御部
9 開閉部
11 抽出手段
12 符号化手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、類似データを生成する類似データ生成装置、類似データ生成方法及び類似データ生成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
類似データを鍵としてデータを暗号化・復号するシステムの一例が特許文献1に記載されている。ここで、類似データとは、似ている(共通点がある)が完全には一致しないデータのことである。この類似データは、複数のセンサが共通の物理現象を観測することで得られる。これらのセンサは、例えば、共通の物理現象を観測したとしても、センサの位置の違いやセンサの個体差、ノイズなどの影響により、完全に共通(同一)のデータを得るとは限らない。この完全に共通(同一)のデータではないが似ている(共通点がある)データが類似データであり、特許文献1に記載されたシステムでは、この類似データを暗号化・復号の鍵として利用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2009/014063号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されたシステムにおける類似データ生成部が生成する類似データは、鍵としては類似度が低い場合がある。
【0005】
その理由は、類似度の尺度である距離は、センシングデータと、鍵とで異なるためである。具体的には、センシングデータにおける距離は、ユークリッド距離であるが、鍵における距離は、ハミング距離である。そのため、異なる類似データ生成部がそれぞれ生成するデータは、ユークリッド距離が近くとも、ハミング距離が遠くなってしまうような場合には、鍵としては類似度が高くないのである。
【0006】
例えば、類似するセンシングデータを暗号化装置と復号装置とが得たとする。そして、それぞれの装置がこれを3ビットに量子化し、暗号化装置は、「011」を、復号装置は、「100」を得たとする。これらの類似データ間における距離(相違値)は、ユークリッド距離では1であるが、ハミング距離では3である。つまり、センシングデータとしての類似度は高いが、鍵としての類似度は低い。そのため、これらのセンシングデータを鍵として用いると、類似度が低いため、データの復号に失敗する可能性が考えられる。
【0007】
そこで、本発明は、共通の物理現象を独立にセンシングした複数の装置が、ハミング距離において近似する類似データを生成することができる類似データ生成装置、類似データ生成方法及び類似データ生成プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による類似データ生成装置は、複数の類似データ生成装置を用いて物理現象に基づいて類似データを生成する類似データ生成装置であって、物理現象の一部を抽出して抽出データを出力する抽出手段と、抽出手段が出力した抽出データを交番二進符号に符号化する符号化手段とを備えたことを特徴とする。
【0009】
本発明による類似データ生成方法は、複数の類似データ生成装置を用いて物理現象に基づいて類似データを生成する類似データ生成方法であって、物理現象の一部を抽出して抽出データを出力する抽出ステップと、抽出データを交番二進符号に符号化する符号化ステップとを含むことを特徴とする。
【0010】
本発明による類似データ生成プログラムは、コンピュータに、物理現象の一部を抽出して抽出データを出力するために、所定の条件に基づいてセンサの動作を制御する動作制御処理と、抽出データを交番二進符号に符号化する符号化処理とを実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、共通の物理現象を独立にセンシングした複数の装置が、ハミング距離において近似する類似データを生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明による筐体(類似データ生成装置)の外観を示す斜視図である。
【図2】第1の実施形態における類似データ生成装置の構成例を示すブロック図である。
【図3】第1の実施形態における抽出部4の構成例を示すブロック図である。
【図4】図2に示す類似データ生成装置の動作の流れを示すアクティビティ図である。
【図5】第1の実施形態における加速度センサ6の状態遷移図である。
【図6】第1の実施形態における制御部7の状態遷移図である。
【図7】第2の実施形態における抽出部4´の構成例を示すブロック図である。
【図8】第2の実施形態における加速度センサ8の状態遷移図である。
【図9】第2の実施形態における開閉部9の状態遷移図である。
【図10】類似データ生成装置の最小の構成例を示す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<第1の実施形態>
(構成の説明)
以下、本発明による第1の実施形態について図1〜3を用いて説明する。本実施形態では、加速度から類似データを生成する類似データ生成装置について説明する。図1は、本発明による筐体(類似データ生成装置)の外観を示す斜視図である。例えば、ユーザが2つの類似データ生成装置を合体させて振ると、各装置から相互に類似したデータが出力される。そして、各類似データ生成装置が出力する類似データは、コンピュータ等の情報処理装置に入力し、暗号鍵として用いる用途に適用できる。
【0014】
図1(a)に示すように、類似データ生成装置1は、結合ガイド2、3を備えている。そして、図1(b)に示すように、ある装置(類似データ生成装置1b)の結合ガイド2と、別の装置(類似データ生成装置1a)の結合ガイド3とを結合することで、2台の装置を一定の位置に結合することができる。こうすることで、2台の装置が常に一定の位置関係を維持することができ、2台の装置が観測する加速度の差を少なくすることができる。
【0015】
図2は、第1の実施形態における類似データ生成装置の構成例を示すブロック図である。図2に示すように、類似データ生成装置は、抽出部4と交番二進符号化部5とを含む。類似データ生成装置は、ROM等の記憶部に類似データ生成のための各種プログラムを記憶している。そして、類似データ生成装置は、記憶部に記憶するプログラムに従って、類似データを生成する処理を行う。
【0016】
抽出部4は、具体的には、プログラムに従って動作する類似データ生成装置が搭載するセンサ及びCPUによって実現される。抽出部4は、加速度の一部を抽出し、抽出した抽出データを出力する機能を備えている。なお、複数の類似データ生成装置(例えば、類似データ生成装置1a,1b)は、それぞれ独立した装置であるため、常に共通(同一)の加速度を観測できるとは限らない。そこで、抽出部4は、例えば、複数の装置が結合されている場合に観測する加速度のみを抽出する。なお、本実施形態では、抽出部4によって抽出された加速度のセンシングデータを抽出データという。
【0017】
交番二進符号化部5は、具体的には、プログラムに従って動作する類似データ生成装置が搭載するCPUによって実現される。交番二進符号化部5は、抽出データを交番二進符号(グレイコード)に符号化し、類似データとして出力する機能を備えている。そのため、たとえ複数の装置が抽出データを隣接する符号語に符号化してしまったとしても、そのハミング距離を1に抑えることができる。
【0018】
図3は、第1の実施形態における抽出部4の構成例を示すブロック図である。図3に示すように、抽出部4は、加速度センサ6と制御部7とを含む。
【0019】
加速度センサ6は、加速度をセンシングし、加速度データ(抽出データ)を生成する機能を備えている。制御部7は、具体的には、プログラムに従って動作する類似データ生成装置が搭載するCPUによって実現される。制御部7は、加速度センサ6の動作を制御する機能を備えている。制御部7は、装置が結合すると、加速度センサ6にセンシングを開始させ、装置が分離すると、停止させるよう制御する。なお、装置の結合を知る(検知する)方法として、どのような方法を用いてもよいが、例えば、複数の装置が結合すると信号が発生するようにし、その信号を検知する方法を用いてもよい。例えば、光センサを用いて装置の接触を検出して検出信号を出力するようにしてもよい。また、例えば、装置が結合すると端子間が導通状態となって信号を出力するようにしてもよい。
【0020】
なお、本実施形態では、抽出部4において、加速度センサ6がセンシングして、抽出データを生成する例について説明するが、加速度センサに限らず、例えば、角速度センサや方位センサ、位置センサ、傾きセンサ、圧力センサ、磁気センサ、光センサ、音センサ、宇宙線センサ、雨量センサ、日照センサ、風速センサ、流量センサ、花粉センサ、温度センサ、湿度センサ等を用いてセンシングをし、抽出データを生成するようにしてもよい。
【0021】
(動作の説明)
次に、図4〜6を用いて、加速度から類似データを生成する類似データ生成方法の一例について説明する。
【0022】
図4は、図2に示す類似データ生成装置の動作の流れを示すアクティビティ図である。図4に示すように、本実施形態による類似データ生成方法は、センシングデータを抽出するステップA1と、抽出データを交番二進符号化するステップA2とを含む。
【0023】
センシングデータを抽出するステップA1では、抽出部4は、物理現象をセンシングすることによって、加速度の一部を抽出する。ここで、複数の類似データ生成装置(例えば、類似データ生成装置1a,1b)は、それぞれ独立であるため、常に共通(同一)の加速度を観測できるとは限らない。そこで、ステップA1では、抽出部4は、複数の装置が結合されている場合に観測する加速度のみを抽出する。このステップA1で抽出された加速度のセンシングデータが抽出データである。なお、加速度の一部を抽出するとは、上述したように、結合状態で観測(検出)された加速度のみを抽出することを意味する。
【0024】
次いで、抽出データを交番二進符号化するステップA2では、交番二進符号化部5は、ステップA1において抽出した抽出データを交番二進符号に符号化する。そのため、たとえ複数の装置が抽出データを隣接する符号語に符号化してしまったとしても、そのハミング距離を1に抑えることができる。
【0025】
例えば、類似データ生成装置1aと類似データ生成装置1bとが、類似するセンシングデータを得たとする。そして、交番二進符号化を行わない場合、それぞれの装置がセンシングデータを3ビットに量子化し、類似データ生成装置1aは、「011」を、類似データ生成装置1bは、「100」を類似データとして得たとする。これらの類似データ間における距離(相違値)は、ユークリッド距離では1であるが、ハミング距離では3である。つまり、センシングデータとしての類似度は高いが、鍵としての類似度は低くなる。
【0026】
これに対して、本実施形態では、それぞれの類似データ生成装置が備える交番二進符号化部5は、センシングデータ(抽出データ)を交番二進符号化し、交番二進符号化したデータを類似データとして出力する。そのため、類似データ生成装置1aは、「010」を、類似データ生成装置1bは、「110」を類似データとして得ることとなる。従って、符号化されたデータ間のハミング距離が1となり、類似データ生成装置1a及び類似データ生成装置1bは、それぞれ類似度の高い鍵(類似データ)を得ることができる。
【0027】
次に、加速度センサ6の動作について説明する。図5は、第1の実施形態における加速度センサ6の状態遷移図である。図5に示すように、加速度センサ6は、停止状態S1と動作状態S2との2つの状態をとり、動作状態S2の場合のみ、加速度をセンシングする。また、加速度センサ6の状態は、制御部7から出力される開始イベントE1があれば停止状態S1から動作状態S2へ遷移し、制御部7から出力される停止イベントE2があれば動作状態S2から停止状態S1へ遷移する。
【0028】
次に、制御部7の動作を説明する。図6は、第1の実施形態における制御部7の状態遷移図である。図6に示すように、制御部7は、未結合状態S3と、結合状態S4との2つの状態をとる。そして、制御部7は、結合イベントE3があれば、未結合状態S3から結合状態S4へ遷移すると同時に、開始メッセージM1を発(生成)する。また、制御部7は、分離イベントE4があれば、結合状態S4から未結合状態S3へ遷移すると同時に、停止メッセージM2を発(生成)する。なお、開始メッセージM1と停止メッセージM2とは、それぞれ加速度センサ6における開始イベントE1と停止イベントE2となる。
【0029】
すなわち、ユーザが、類似データ生成装置1aと類似データ生成装置1bとを結合させると(結合イベントE3)、制御部7は、状態を未結合状態S3から結合状態S4に遷移すると同時に、開始メッセージM1を発(生成)する(開始イベントE1)。そして、開始メッセージM1が発(生成)されると、加速度センサ6は、状態を停止状態S1から動作状態S2に遷移し、センシングを開始する。
【0030】
また、ユーザが、類似データ生成装置1aと類似データ生成装置1bとを分離させると(分離イベントE4)、制御部7は、状態を結合状態S4から未結合状態S3に遷移すると同時に、停止メッセージM2を発(生成)する(停止イベントE2)。そして、停止メッセージM2が発(生成)されると、加速度センサ6は、状態を動作状態S2から停止状態S1に遷移し、センシングを停止する。
【0031】
以上のように、本実施形態では、類似データ生成装置が備える交番二進符号化部5は、センシングデータ(抽出データ)を交番二進符号化し、交番二進符号化したデータを類似データとして出力する。従って、類似データがハミング距離においても近似することとなり、複数の類似データ生成装置は、それぞれ類似度の高い鍵(類似データ)を得ることができる。
【0032】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態と第1の実施形態との相違点は、抽出部の構成及び動作である。第1の実施形態における抽出部4が、センサの動作を制御することで加速度の一部を抽出するものであったのに対し、本実施形態における抽出部4´は、センシングデータの一部のみを通過させることで加速度の一部を抽出する。以下、第1の実施形態との相違点である、本実施形態における抽出部4´の構成及び動作のみを説明する。
【0033】
(構成の説明)
抽出部4´の構成について説明する。図7は、第2の実施形態における抽出部4´の構成例を示すブロック図である。図7に示すように、抽出部4´は、加速度センサ8と開閉部9とを含む。
【0034】
加速度センサ8は、加速度をセンシングし、加速度データ(抽出データ)を生成する機能を備えている。なお、本実施形態では、抽出部4´において、加速度センサがセンシングして、抽出データを生成する例について説明するが、加速度センサに限らず、例えば、角速度センサや方位センサ、位置センサ、傾きセンサ、圧力センサ、磁気センサ、光センサ、音センサ、宇宙線センサ、雨量センサ、日照センサ、風速センサ、流量センサ、花粉センサ、温度センサ、湿度センサ等を用いてセンシングをし、抽出データを生成するようにしてもよい。
【0035】
開閉部9は、加速度データ8が出力するセンシングデータを制限する機能を備えている。開閉部9は、装置(例えば、類似データ生成装置1a,1b)が結合すると、加速度センサ8がセンシングしたセンシングデータを通過させ、装置が分離すると、通過させないように制御する。なお、装置の結合や分離を知る(判断)する方法として、どのような方法を用いてもよいが、例えば、センサのセンシングデータから所定のパターンを検出することによって判断する方法を用いてもよい。
【0036】
(動作の説明)
次に、本実施形態における加速度センサ8の動作について説明する。図8は、第2の実施形態における加速度センサ8の状態遷移図である。図8に示すように、加速度センサ8は、常に加速度をセンシングする。
【0037】
次に、本実施形態における開閉部9の動作について説明する。図9は、第2の実施形態における開閉部9の状態遷移図である。図9に示すように、開閉部9は、閉状態S6と開状態S7との2つの状態をとり、開状態S7の場合のみ入力データ(加速度センサ8がセンシングしたセンシングデータ)を通過させる。また、開閉部9の状態は、結合イベントE5があれば、閉状態S6から開状態S7へ遷移し、分離イベントE6があれば、開状態S7から閉状態S6へ遷移する。
【0038】
すなわち、本実施形態では、加速度センサ8は、常に加速度をセンシングし、加速度データを生成する。この状態では、生成された加速度データは、まだ出力されていない。そして、ユーザが類似データ生成装置1aと類似データ生成装置1bとを結合すると(結合イベントE5)、開閉部9は、状態を閉状態S6から開状態S7に遷移し、加速度センサ8が生成した加速度データを抽出データとして、抽出部4´から出力する。その後、交番二進符号化部5は、抽出部4´が出力した抽出データを交番二進符号に符号化し、類似データとして出力する。
【0039】
また、ユーザが類似データ生成装置1aと類似データ生成装置1bとを分離すると(分離イベントE6)、開閉部9は、状態を開状態S7から閉状態S6に遷移し、抽出データの出力を停止する。
【0040】
以上のように、本実施形態では、加速度センサ8は、常に加速度をセンシングし、加速度データを生成する。そして、開閉部9は、状態が開状態S7(装置が結合されたことによって、結合イベントE5が発生した状態)である場合のみ、加速度データを抽出データとして抽出部4´から出力する。
【0041】
従って、本実施形態では、複数の類似データ生成装置は、加速度センサを開始及び停止する制御を行うことなく、それぞれ類似度の高い鍵(類似データ)を得ることができる。
【0042】
次に、本発明による類似データ生成装置の最小構成について説明する。図10は、類似データ生成装置の最小の構成例を示す機能ブロック図である。図10に示すように、類似データ生成装置は、最小の構成要素として、抽出手段11と、符号化手段12とを含む。
【0043】
図10に示す最小構成の類似データ生成装置では、抽出手段11は、他の類似データ生成装置と共通の物理現象の一部を抽出して抽出データを出力する。そして、符号化手段12は、抽出手段11が出力した抽出データを交番二進符号に符号化する。
【0044】
従って、図10に示す最小構成の類似データ生成装置によれば、他の装置が生成するデータとハミング距離においても近似することとなり、複数の類似データ生成装置は、それぞれ類似データを得ることができる。
【0045】
なお、本実施形態では、以下の(1)〜(5)に示すような類似データ生成装置の特徴的構成が示されている。
【0046】
(1)類似データ生成装置は、複数の類似データ生成装置(例えば、類似データ生成装置1a,1b)を用いて物理現象に基づいて類似データを生成する類似データ生成装置であって、物理現象の一部を抽出して抽出データを出力する抽出手段(例えば、抽出部4によって実現される)と、抽出手段が出力した抽出データを交番二進符号に符号化する符号化手段(例えば、交番二進符号化部5によって実現される)とを特徴とする。
【0047】
(2)類似データ生成装置において、抽出手段は、物理現象を観測して計測したセンシングデータを出力するセンサ(例えば、加速度センサ6によって実現される)と、所定の条件に従って、前期センサを動作又は停止させるように制御する動作制御手段(例えば、制御部7によって実現される)とを含むように構成されていてもよい。
【0048】
(3)類似データ生成装置において、抽出手段は、物理現象を観測して計測したセンシングデータを出力するセンサ(例えば、加速度センサ8によって実現される)と、所定の条件に従って、センサからのセンシングデータの出力を制限する出力制限手段(例えば、開閉部9によって実現される)とを含むように構成されていてもよい。
【0049】
(4)類似データ生成装置において、センサは、加速度センサ、角速度センサ、方位センサ、位置センサ、傾きセンサ、圧力センサ、磁気センサ、光センサ、音センサ、宇宙線センサ、雨量センサ、日照センサ、風速センサ、流量センサ、花粉センサ、温度センサ、又は湿度センサのうちの何れかであるように構成されていてもよい。
【0050】
(5)類似データ生成装置は、複数の筐体を結合するための結合ガイドを備えたことを特徴とする。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、類似データを鍵として利用する暗号通信システムなどに適用可能である。
【符号の説明】
【0052】
1a,1b 類似データ生成装置
2,3 結合ガイド
4,4´ 抽出部
5 交番二進符号化部
6,8 加速度センサ
7 制御部
9 開閉部
11 抽出手段
12 符号化手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の類似データ生成装置を用いて物理現象に基づいて類似データを生成する類似データ生成装置であって、
物理現象の一部を抽出して抽出データを出力する抽出手段と、
前記抽出手段が出力した前記抽出データを交番二進符号に符号化する符号化手段とを
備えたことを特徴とする類似データ生成装置。
【請求項2】
抽出手段は、
物理現象を観測して計測したセンシングデータを出力するセンサと、
所定の条件に従って、前期センサを動作又は停止させるように制御する動作制御手段とを含む
請求項1記載の類似データ生成装置。
【請求項3】
抽出手段は、
物理現象を観測して計測したセンシングデータを出力するセンサと、
所定の条件に従って、前記センサからの前記センシングデータの出力を制限する出力制限手段とを含む
請求項1記載の類似データ生成装置。
【請求項4】
センサは、加速度センサ、角速度センサ、方位センサ、位置センサ、傾きセンサ、圧力センサ、磁気センサ、光センサ、音センサ、宇宙線センサ、雨量センサ、日照センサ、風速センサ、流量センサ、花粉センサ、温度センサ、又は湿度センサのうちの何れかである
請求項2又は請求項3記載の類似データ生成装置。
【請求項5】
複数の筐体を結合するための結合ガイドを備えた
請求項1から請求項4のうちのいずれか1項に記載の類似データ生成装置。
【請求項6】
複数の類似データ生成装置を用いて物理現象に基づいて類似データを生成する類似データ生成方法であって、
物理現象の一部を抽出して抽出データを出力する抽出ステップと、
前記抽出データを交番二進符号に符号化する符号化ステップとを
含むことを特徴とする類似データ生成方法。
【請求項7】
抽出ステップで、所定の条件に従って、物理現象を観測して計測したセンシングデータを出力するセンサを動作又は停止させるように制御する
請求項6記載の類似データ生成方法。
【請求項8】
抽出ステップで、所定の条件に従って、物理現象を観測して計測したセンシングデータを出力するセンサからの前記センシングデータの出力を制限する
請求項6記載の類似データ生成方法。
【請求項9】
コンピュータに、
物理現象の一部を抽出して抽出データを出力するために、所定の条件に従って、センサを動作又は停止させるように制御する動作制御処理と、
前記抽出データを交番二進符号に符号化する符号化処理とを
実行させるための類似データ生成プログラム。
【請求項10】
コンピュータに、
物理現象の一部を抽出して抽出データを出力するために、所定の条件に従って、センサからの抽出データの出力を制限する出力制限処理と、
前記抽出データを交番二進符号に符号化する符号化処理とを
実行させるための類似データ生成プログラム。
【請求項1】
複数の類似データ生成装置を用いて物理現象に基づいて類似データを生成する類似データ生成装置であって、
物理現象の一部を抽出して抽出データを出力する抽出手段と、
前記抽出手段が出力した前記抽出データを交番二進符号に符号化する符号化手段とを
備えたことを特徴とする類似データ生成装置。
【請求項2】
抽出手段は、
物理現象を観測して計測したセンシングデータを出力するセンサと、
所定の条件に従って、前期センサを動作又は停止させるように制御する動作制御手段とを含む
請求項1記載の類似データ生成装置。
【請求項3】
抽出手段は、
物理現象を観測して計測したセンシングデータを出力するセンサと、
所定の条件に従って、前記センサからの前記センシングデータの出力を制限する出力制限手段とを含む
請求項1記載の類似データ生成装置。
【請求項4】
センサは、加速度センサ、角速度センサ、方位センサ、位置センサ、傾きセンサ、圧力センサ、磁気センサ、光センサ、音センサ、宇宙線センサ、雨量センサ、日照センサ、風速センサ、流量センサ、花粉センサ、温度センサ、又は湿度センサのうちの何れかである
請求項2又は請求項3記載の類似データ生成装置。
【請求項5】
複数の筐体を結合するための結合ガイドを備えた
請求項1から請求項4のうちのいずれか1項に記載の類似データ生成装置。
【請求項6】
複数の類似データ生成装置を用いて物理現象に基づいて類似データを生成する類似データ生成方法であって、
物理現象の一部を抽出して抽出データを出力する抽出ステップと、
前記抽出データを交番二進符号に符号化する符号化ステップとを
含むことを特徴とする類似データ生成方法。
【請求項7】
抽出ステップで、所定の条件に従って、物理現象を観測して計測したセンシングデータを出力するセンサを動作又は停止させるように制御する
請求項6記載の類似データ生成方法。
【請求項8】
抽出ステップで、所定の条件に従って、物理現象を観測して計測したセンシングデータを出力するセンサからの前記センシングデータの出力を制限する
請求項6記載の類似データ生成方法。
【請求項9】
コンピュータに、
物理現象の一部を抽出して抽出データを出力するために、所定の条件に従って、センサを動作又は停止させるように制御する動作制御処理と、
前記抽出データを交番二進符号に符号化する符号化処理とを
実行させるための類似データ生成プログラム。
【請求項10】
コンピュータに、
物理現象の一部を抽出して抽出データを出力するために、所定の条件に従って、センサからの抽出データの出力を制限する出力制限処理と、
前記抽出データを交番二進符号に符号化する符号化処理とを
実行させるための類似データ生成プログラム。
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図1】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図1】
【公開番号】特開2010−263577(P2010−263577A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−114775(P2009−114775)
【出願日】平成21年5月11日(2009.5.11)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月11日(2009.5.11)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]