説明

顧客情報管理システム

【構成】 顧客識別用媒体1には、販売金額に対応して付与される点数へのサービス倍数情報5と、前回までの総点数情報を備えている。顧客への販売を行う場合は、先ず、顧客識別用媒体1よりサービス倍数情報5を読取る。次いで、予め設定されている販売金額に対する点数を算出すると共に、その点数に対してサービス倍数を掛けて今回の販売に対する点数を算出する。その後は、今回の点数を前回までの総点数に加算し、この値を顧客識別用媒体1に書き込む。
【効果】 顧客の点数付けのランクを示すためのテーブル等が不要となり、システムとして小規模なものであって点数サービスが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は顧客情報管理システムに関し、特に顧客別に与えられる点数換算のランク付けに関する。
【0002】
【従来の技術】今日、種々の店舗では顧客の情報や商品の販売情報を管理するシステムとしてPOS(ポイント・オブ・セールス)システムが広く用いられている。このPOSシステムとは、各店舗に設けられたPOS端末をネットワークを介して接続し、本部等のコンピュータで、これらPOS端末からの顧客情報や商品販売情報を管理するものである。
【0003】また、上記の顧客情報としては、各顧客の氏名や顧客番号あるいは前回来店日時といった情報と共に、その顧客へのサービスの等級を示すサービスランク情報がある。このサービスランク情報とは、その顧客へのサービスランクを示すものであるが、この場合のサービスとは以下のことを指している。即ち、近年では、顧客への販売金額に応じて点数を付与し、この点数を累計して次回の商品の代金の一部として用いたり、点数に応じた品物を提供するといったサービスが行われている。そして、このサービスは顧客別に等級付けがなされており、その等級を示す情報がランク情報である。
【0004】このようなランク情報は、POS端末の顧客データベース中にデータとして格納されており、次にその顧客データベースを説明する。
【0005】図2に、顧客データベースを示す。図のように、顧客データベースは、顧客コード、氏名、ランク、来店回数、総ポイント数といった項目があり、各顧客毎に一つのレコードを構成している。また、ここで、顧客コードとは、各顧客を識別するためのその顧客固有のコードであり、ランクは、例えば、A、B、C、…といった状態で格納されている。そして、このようなシステムでは、顧客データベースとは別に、A、Bといったランクがどのようなポイントとなるかを示すためのサービステーブルを持っている。
【0006】図3は、そのサービステーブルを示す図である。図のように、サービステーブルは各ランクに応じてポイント化金額とポイント数とを表している。例えば、ランクAの顧客は100円の商品を購入した場合に2ポイントの点数が発生し、ランクBの顧客は200円の商品を購入した場合に1ポイント、また、ランクCの顧客は500円で1ポイントが発生するといったように設定されている。
【0007】また、このようなPOSシステムでは、顧客に対して顧客カードを発行している。この顧客カードは、各顧客を識別するためのもので、そのカードのデータとして顧客コードや顧客の氏名といった情報を持っていた。
【0008】次に、そして、このようなPOSシステムにおいて、顧客へのサービスポイントの発生に関する動作について説明する。先ず、ある顧客が来店し、商品を購入する場合、顧客は顧客カードをオペレータに渡す。オペレータは、POS端末により、通常のレジ操作(金額記録やレシート発行といった操作)を行うと共に、顧客カードをPOS端末に挿入する。端末側では、顧客カードのデータを読取り、その顧客コードから、図2に示したような顧客テーブルを検索し、その顧客コードに対応したランクを抽出する。そして、更に、抽出したランクに基づき、サービステーブルを用いて、ポイント化金額とポイント数を取出し、売上金額に応じた今回のポイント数を算出する。そして、前回までの総ポイント数に今回のポイント数を加算し、総ポイント数を更新する。
【0009】例えば、顧客コード“1234”の顧客が来店し、2000円分の商品を購入した場合、そのランクが“B”であるため、ポイントは、2000×(1/200)=10点となり、総ポイント数を10点加算する。また、新規の顧客の場合は、新たに顧客カードを発行し、データベースに登録する。そして、その場合は、例えばランクとして最低のランクが付与されるように構成されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、従来の顧客情報管理システムでは、顧客へのポイントサービスを行う場合、POS端末側に顧客のデータベースと、サービスランクのテーブルを備え、顧客カードに記録されている顧客コード等の情報によって、これら顧客データベースおよびサービスランクテーブルを参照して、ポイント数の算出を行っていた。
【0011】しかしながら、このような構成はPOS端末にデータベースとサービステーブルとを備える必要があるため、POS端末が大規模なものとなり、従って、記憶容量の小さい端末や処理能力の低い端末では、点数サービスを行うことができないといった問題点を有していた。
【0012】本発明は、上記従来の問題点を解決するためになされたもので、システムとしてサービスランクのための顧客データベース等を持つ必要がなく、処理能力が低い端末であっても、顧客へのポイントサービスを容易に実施することのできる顧客情報管理システムを提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明の顧客情報管理システムは、販売金額に対応した点数を設定し、顧客への販売を行った場合は、その販売金額に対応した点数を顧客別に管理する顧客情報管理システムにおいて、顧客別に任意に設定されたサービス倍数情報を備えた顧客識別用媒体と、任意の顧客への販売を行った場合、当該顧客の顧客識別媒体より前記サービス倍数情報を読取り、このサービス倍数を前記点数に掛けて今回販売時における顧客への点数を算出する点数算出部とを備えたことを特徴とするものである。
【0014】
【作用】本発明の顧客情報管理システムにおいては、顧客への販売を行う場合、先ず、読取・書込部は、顧客識別用媒体より倍数情報と前回までの総ポイント数を読取る。そして、今回の販売金額に対応したポイント数を、予め設定されている換算値に基づいて算出すると共に、ポイント数に対するランク付けを行う場合は、今回ポイント数に対してサービス倍数を掛けて今回ポイント数とする。そして、この今回ポイント数を前回までの総ポイント数に加算し、これが予め設定された金券化ポイントに達した場合は、そのポイント数を金券額に換算して、総ポイント数と金券化額とを更新し、これらの値を顧客識別用媒体に書き込む。
【0015】また、金券化額にランク付けを行う場合、金券化ポイントを金額に換算した金券化額にサービス倍数を掛け、これを今回の金券化額とし、前回までの金券額に加算する。そして、この金券額と、今回までの総ポイント数とを顧客識別用媒体に書き込む。従って、システム側に顧客のデータベースを持たなくても、顧客識別用媒体上のデータのみで、顧客へのサービスランクの管理を行うことができる。
【0016】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を用いて詳細に説明する。図1は本発明の顧客情報管理システムの実施例を示すブロック図である。図のシステムは、顧客識別用媒体1、読取・書込部2、販売金額出力部3、点数算出部4からなる。顧客識別用媒体1は、顧客情報を磁気データとして有する磁気カードや電気信号として持つICカード等からなり、その顧客情報の一つとしてサービス倍数情報5を備えている。
【0017】図4に顧客識別用媒体1におけるデータフォーマットを示す。即ち、顧客識別用媒体1では、顧客情報として、顧客コード、サービス倍数情報5としてのサービス倍数、顧客氏名、総ポイント数、金券額といった情報が含まれている。ここで、顧客コードとは、その顧客を識別するための固有のコードであり、また、サービス倍数とはその顧客のポイント数や金券額といった点数の倍数としての機能を有する情報である。更に、顧客氏名とはその顧客の氏名がカタカナデータとして記憶されている情報であり、総ポイント数とは、現在までの合計のポイント数、金券額とはその顧客の現在までの合計金券額を示している。尚、金券額については後述する。
【0018】読取・書込部2は、顧客識別用媒体1のデータの読取、書込を行う装置であり、顧客識別用媒体1の読取を行った場合、点数算出部4に対してサービス倍数情報と総点数情報、即ち、サービス倍数および総ポイント数と金券額情報を送出する。また、読取・書込部2は、点数算出部4から更新された総点数情報が送られてきた場合、この情報を顧客識別用媒体1に書き込む機能を有している。販売金額出力部3は、POS端末としての販売業務を行う装置であり、その顧客の1回の取引に対する販売金額情報を点数算出部4に送出する機能を有している。点数算出部4は、読取・書込部2からのサービス倍数情報と総点数情報および販売金額出力部3からの販売金額情報とに基づいて今回の点数を算出し、更に前回までの総点数情報に今回の点数を加算し、新たな総点数情報として読取・書込部2に送出する機能を有している。
【0019】図5は、顧客情報管理システムの具体的なシステム構成を示すブロック図である。図のシステムは、プロセッサ11、メモリ12、ハードディスク装置13、バーコードリーダ14、通信制御部15、ディスプレイ16、キーボード17、プリンタ18、カードリーダ/ライタ19からなる。
【0020】プロセッサ11は、POS端末としての種々の制御を行うもので、図1における点数算出部4の構成に相当している。また、メモリ12はランダム・アクセス・メモリ等からなり、プロセッサ11の実行するプログラムやデータ等を格納すると共に、プロセッサ11の作業領域を構成するといった機能を有するものである。ハードディスク装置13は、POSシステムとしての各種の業務プログラム等を格納するためのものである。
【0021】バーコードリーダ14は、商品に付与されているバーコードを読取り、そのコードデータをプロセッサ11に対して送出するものである。また、通信制御部15は、通信回線を介して本部のコンピュータあるいはマスタ側のPOS端末と接続され、POS端末の通信制御を行う機能を有している。ディスプレイ16は、液晶表示装置等からなり、販売金額や顧客情報等を表示するためのものである。また、キーボード17は、販売時にオペレータが金額等を手入力したり、各種の情報を入力するための入力装置である。
【0022】プリンタ18は、販売品目や金額等のレシートを印刷し、出力するためのものである。カードリーダ/ライタ19は、図1における読取・書込部2に相当するもので、顧客識別用媒体1が挿入された場合、サービス倍数情報5といった顧客情報を読取ると共に、更新データを顧客識別用媒体1に書き込む機能を備えている。また、図1における販売金額出力部3は、バーコードリーダ14やキーボード17およびこれらの出力を処理するプロセッサ11等の構成で実現されている。
【0023】次に、上記構成の顧客情報管理システムの動作について説明する。図6は、ポイントサービス動作のフローチャートである。先ず、オペレータが通常の売上業務を行う(ステップS1)。この売上業務とは、バーコードリーダ14による商品のバーコード読取やオペレータのキーボード17からの入力に基づく各種の処理である。また、この売上業務においては、オペレータは顧客から顧客識別用媒体1を受け取り、POS端末に挿入する。これにより、カードリーダ/ライタ19はそのカードデータ、即ち、顧客コード、サービス倍数、顧客氏名といった情報を読取る(ステップS2)。
【0024】また、業務プログラムを実行するプロセッサ11は、カードリーダ/ライタ19によって読み取られた情報に基づき、その顧客識別用媒体1が正常なカードであるか否かを判定する(ステップS3)。ここで、その顧客識別用媒体1が正常なカードでなかった場合は、ディスプレイ16にその旨の表示を行い、顧客識別用媒体1を排出するといったエラー処理を行う(ステップS4)。
【0025】ステップS3において、顧客識別用媒体1が正常であると確認された場合は、その売上に対するポイント算出を行う(ステップS5)。このポイント算出は、予め決められた換算値によるポイント算出である。例えば、この換算値としては、100円分の購入に対して1ポイントといったように予め固定的に設定されている。次に、サービスの等級化処理を行うが、この等級化処理はポイント数に対する等級付けと金券化額に対する等級付けがある。
【0026】先ず、ポイント数に対する等級付けの処理を説明すると、ステップS5において算出された今回のポイント数に対して、顧客識別用媒体1から読取ったサービス倍数情報5であるサービス倍数を掛け、これを前回までの総ポイント数に加算し、今の総ポイント数とする(ステップS6a)。そして、この総ポイント数と金券化ポイントとを比較する(ステップS7a)。例えば、100円の購入に対して1ポイントの設定で、サービス倍数が1.5であった場合、顧客が3000円分の購入を行ったとする。この場合、発生ポイント数は、30ポイントであり、総ポイント数に加算されるポイント数は、30×1.5=45ポイントとなる。
【0027】また、金券化ポイントとは、予め設定され、累計ポイント数がこの金券化ポイントに達した時、前回までの金券額に対して今回の金券化額を加算するポイントである。そして、金券化額とは一定のポイント数と交換される金券額を指している。例えば、金券化ポイントが100ポイント、金券化額が100円に設定されていた場合、総ポイントが100ポイントに達すると、金券化額100円を金券額に加算し、総ポイント数を0ポイントに戻すといった処理である。
【0028】ステップS7aでの比較により、総ポイント数が金券化ポイントより多かった場合は、その総ポイント数から金券化ポイントを減算し、その値を総ポイントとする。また、金券額を前回までの金券額に金券化額を加算した値とし(ステップS8a)、これら総ポイント数と金券化額とを顧客識別用媒体1に書き込む(ステップS9)。一方、ステップS7aの比較により、総ポイント数が金券化ポイントより少なかった場合は、総ポイント数を金券化額に換算せず、そのままステップS9に移行し、総ポイント数を顧客識別用媒体1に書き込む。
【0029】次に、金券化額に対してサービスの等級化を行う場合を説明する。先ず、ステップS5において算出された今回のポイント数を、前回までの総ポイント数に加算し、今回の総ポイント数とする(ステップS6b)。そして、この総ポイント数を金券化ポイントと比較し(ステップS7b)、総ポイント数が金券化ポイントより多かった場合は、総ポイント数から金券化ポイントを減算し、新たな総ポイント数とし、かつ、金券化額にサービス倍数を掛けて今回の金券額を算出し、この値を新たな金券額とする(ステップS8b)。そして、ステップS9に移行し、これらの値を顧客識別用媒体1に書き込む。
【0030】例えば、金券化額が1000円で、サービス倍数が1.5の場合、金券額に加算される額は、1000×1.5=1500円となる。また、ステップS7bにおいて、総ポイント数が金券化ポイントより少なかった場合は、総ポイント数を金券化額に換算せず、そのままステップS9に移行し、総ポイント数を顧客識別用媒体1に書き込む。
【0031】尚、上記実施例では、顧客情報管理システムをPOSシステムに適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、この他にも、販売金額に対応した点数を設定し、顧客への販売を行った場合は、その販売金額に対応した点数を顧客別に管理するシステムであれば、種々のシステムに適用可能である。また、顧客識別用媒体1としてカードとしたが、サービス倍数情報等を格納できるものであれば、どんなものであってもよい。
【0032】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の顧客情報管理システムによれば、顧客識別用媒体に顧客へのサービス倍数情報を格納し、顧客への販売業務において、このサービス倍数情報を読出して、顧客への点数算出を行うようにしたので、従来のようにシステム側でサービス倍数情報のための顧客データベース等やランクテーブルを持つ必要がなく、従って小規模な端末であっても、顧客の点数管理システムを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の顧客情報管理システムのブロック図である。
【図2】従来の顧客情報管理システムにおける顧客データベースの説明図である。
【図3】従来の顧客情報管理システムにおけるサービステーブルの説明図である。
【図4】本発明の顧客情報管理システムにおける顧客識別用媒体のデータフォーマットを示す図である。
【図5】本発明の顧客情報管理システムの具体的なシステム構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の顧客情報管理システムにおけるポイントサービス動作のフローチャートである。
【符号の説明】
1 顧客識別用媒体
2 読取・書込部
4 点数算出部
5 サービス倍数情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】 販売金額に対応した点数を設定し、顧客への販売を行った場合は、その販売金額に対応した点数を顧客別に管理する顧客情報管理システムにおいて、顧客別に任意に設定されたサービス倍数情報を備えた顧客識別用媒体と、任意の顧客への販売を行った場合、当該顧客の顧客識別媒体より前記サービス倍数情報を読取り、このサービス倍数を前記点数に掛けて今回販売時における顧客への点数を算出する点数算出部とを備えたことを特徴とする顧客情報管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開平7−65243
【公開日】平成7年(1995)3月10日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平5−239141
【出願日】平成5年(1993)8月31日
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)