風出力を伴うゲーム機における送風装置
【課題】ファンを複数個配置する事によって風向きおよび各ファンの風速を制御することにより、風に2つの情報量を持たせ、プレイヤにベクトル的な情報量を感触として伝えることができる風出力を伴うゲーム機における送風装置を提供する。
【解決手段】ウインドサーフィンゲーム機の前にマスト5を回動可能に立てたボード2が設置され、プレイヤ3がマスト5を回転させると、その回転量にしたがってモニタ1のプレイヤサーファーのボードの進行方向が変化する。これに伴い、プレイヤに風を吹きつけていたファンが切り替えられ、変化したボードの進行方向に対し、吹きつける風向きを変えてゲームを進行させる。
【解決手段】ウインドサーフィンゲーム機の前にマスト5を回動可能に立てたボード2が設置され、プレイヤ3がマスト5を回転させると、その回転量にしたがってモニタ1のプレイヤサーファーのボードの進行方向が変化する。これに伴い、プレイヤに風を吹きつけていたファンが切り替えられ、変化したボードの進行方向に対し、吹きつける風向きを変えてゲームを進行させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲーム機(機器)側からプレイヤ(人間)側へ情報を与える出力インターフェースの一つとして、風に向き・量のベクトル要素を持たせ、プレイヤへ情報を伝達する、風出力を伴うゲーム機における送風装置に関する。
【背景技術】
【0002】
風を発生させてプレイヤに吹きつけるゲーム機としてドライブゲーム装置が存在する(特許文献1)。
これは、画面表示部の周囲に送風口を設け、車の移動状態を示すスピード信号を利用して前記送風口からの風速を制御するものである。送風口は画面表示部の左右に設けられている。
このように送風口を設け自動車の走行速度が増加するに伴って、操縦者に吹きつける風速を大きくして操縦者により一層の臨場感を与えるものである。
【0003】
現在の家庭用・業務用のビデオゲームシステムにおいては、プレイヤとのインターフェース部は一般的にモニタ・スピーカ・ランプ等の出力機器を介した情報をプレイヤが視覚・聴覚で認識し、それに対してスイッチやボリューム,カメラ等の入力機器を介して情報を機器側へ送るものである。
人間の五感(視覚,聴覚,嗅覚,味覚,触覚)に対し機器からの出力情報を受けるインターフェースの中で、触覚を用いた既存のものは、重さ・振動などの演出効果の補助的な意味合いが強い。また上記従来技術での使用方法も特許文献1を含めて例外でなく演出効果を強めるのみのものであり、常に決められた方向からのスカラー的情報しか存在しない。
風を用いた既存のゲーム機のインターフェース機構は、風量(風速)制御のみを行い、使用方法として演出効果の補助的な意味しか持たなかった。
【特許文献1】特開2000−317133号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
風を利用することを目的とするゲームにおいては、風の速度が変化することに加え、風の方向も変わることが要請される。プレイヤの操作に対応してプレイヤ自身に吹きつける風速および方向が刻々と変わることは実際のスポーツゲームなどを行っている臨場感をプレイヤに与えるものである。
【0005】
本発明は上記要請に応えるもので、その目的はファンを複数個配置する事によって風向きおよび各ファンの風速を制御することにより、風に2つの情報量を持たせ、プレイヤにベクトル的な情報量を感触として伝えることができる風出力を伴うゲーム機における送風装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために本発明の請求項1は、プレイヤを乗せるボードと、セールが受ける風の入射角を変えるため前記ボードの上に設置された、回転操作が可能なセール一体のマストと、前記ボードの上方に円形状に、かつ前記ボードに乗ったプレイヤに向けてそれぞれ送風するような角度位置になるように配置された多数のファンと、プレイヤが前記マストを回転操作したとき、その回転角を検出する回転角検出手段と、プレイヤに吹きつける風向き対応のファンを駆動しボードが進行している方向に対し、プレイヤの回転操作による回転角からボードの進行方向を演算するボード進行方向等演算部と、前記演算されたボードの進行方向に対し、変化する風向きの角度を算出することによりプレイヤに吹きつける風を発生するファンを決定し、該決定したファンに切り替えるファン切替制御部とを備え、プレイヤの操作に伴いプレイヤに吹きつける風の方向を変化させることを特徴とする。
本発明の請求項2は、請求項1記載の発明においてゲームの中でセールに吹きつける風速が変わった場合、駆動するファンの回転速度を調整してプレイヤに吹きつける風量を調整する手段を有することを特徴とする。
本発明の請求項3は、請求項1または2記載の発明において前記円形状に配置された多数のファンは、円周に沿って均等の距離で配置され、前記切替制御部は、変化する風向きの角度が、円周に沿って配置されているファンの中間位置である場合、その中間位置を挟む2つのファンを駆動して風を送ることを特徴とする。
本発明の請求項4は請求項3記載の発明において前記多数のファンは円周に沿って45度間隔で配置された8個のファンであり、前記中間位置を挟む2つのファンは前記8個のファンの中の隣接する2つのファンであり、合計で16通りの方向の風を作ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
上記構成によれば、ゲーム機の出力として補助的ではなく、メインとなる単独の出力インターフェースとして用いることができる。新たな出力インターフェースであるため、目新しさがあり、集客効果が生じる。また、従来のゲーム機とは異なり、体感要素を色濃く感じる事ができ、プレイヤが風の方向,強さの情報を受け取り、ゲーム操作の実行,判断の要素として大きい存在となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面等を参照して本発明の実施の形態を詳しく説明する。
図1は、本発明による風出力を伴うゲーム機として適用されるウインドサーフィンゲーム機の外観を示す概略斜視図、図2は、図1の側面図、図3は図1の平面図である。
ウインドサーフィンゲーム機6の中央にモニタ1が配置されている。モニタ1の下部パネル面6aには操作部やコイン投入部(図示されていない)が配置されている。ウインドサーフィンゲーム機6の前にはプレイヤが乗って操作するためのボード2が配置されている。ボード2にはセール(マスト)5が回動可能に設置されている。ボード2の上方には円周状に等間隔で8個のファン4が設けられている。各ファン4a〜4hはボード2に乗ったプレイヤに向けて風をそれぞれ独立して送出するポートを備えている。
【0009】
各ファンをそれぞれ駆動回転させるための電気信号コードが床を通ってウインドサーフィンゲーム機6のファン駆動回路に接続されている。
図4は、それぞれ風を送り出すファンの構成を説明するための図である。
送風すべき方向の延長線上にファンが存在すれば、そのファンを駆動して相応の風を斜め上からプレイヤに吹きつけることができる。送風すべき方向の延長線上にファンが存在しなければ、送風すべき方向を挟む2つのファン、例えば(2)番と(3)番のファンを駆動することによりその中間方向からの風を発生させることができる。合計で16方向から風を発生させることが可能である。ポート8はファンの風を一方向に誘導して吹き出す風出力口である。
【0010】
図5は、マストの回転を検出するロータリーエンコーダの取り付け構造を説明するための図である。
ボード2の孔2aに対しマスト5の下部が貫通して下面に突出しており、突出部5aにロータリーエンコーダ7が設置されている。マスト5をプレイヤが回転させると、その回転角はロータリーエンコーダ7でパルス信号として検出されウインドサーフィンゲーム機6の筐体に送られる。
【0011】
図6は、本発明によるウインドサーフィンゲーム機の回路の実施の形態を示すブロック図である。
ウインドサーフィンゲーム機6の回路はCPU11,ROM13,画像処理部12,RAM14,サウンド処理部20,スピーカ21,エンコーダ制御部8,ファン切替部9,ファン駆動回路10,コイン投入部15,コイン関連装置17,バックアップメモリ18,操作部16および入出力制御装置19より構成されている。
コイン関連装置(コインカウンタ,コインボックスなど)17はコイン投入部15からのコイン入力を検出し、その情報を検知し、入出力制御装置19,バス22を介してCPU11に送出する。バックアップメモリ18にはコイン数・プレイ数などの設定値が格納される。操作部16はプレイヤがゲームを開始したり、決定したり、選択するためのボタン等から構成されている。
サウンド処理部20はCPU11からの指示に基づき音声やBGMなどを処理し、スピーカ21からサウンドを出力する。
【0012】
エンコーダ制御部8はCPU11からの指示に基づきロータリエンコーダ7からのマスト5の回転角情報(パルス信号など)の送出を監視し、回転角情報が送られた場合、その回転角情報をCPU11に送出する。ファン切替部9は、CPU11で演算されて決定されたファンへのファン切替情報を受けてファンを切替えるもので、切り替えられたファンはファン駆動回路10により回転させられる。ファンの回転速度はCPU11から指示された速度となり、これにより吹きつける風量(速度)を調整する。8個のファン4a〜4hの内の1個が駆動されて、このファン設置の方向からプレイヤに風を吹きつけることができる。また、CPU11は対応する風向きの延長上にファンが存在しない場合には、その風向きを挟むファン2個を駆動し、ファンの存在しない方向からの風を発生させる。2つのファンはCPU11から指示された速度で回転する。
【0013】
ROM13にはウインドサーフィンゲーム機として機能させるためのプログラムで、操作部16の操作やプレイヤサーファーの表示など、ゲームの一般的な処理を行う制御プログラムの他、ボードのセールに吹きつける風に対し、マストの回転量からボードを進行させるべき方向やボード速度を算出するボード進行方向等演算プログラム,ファンを決定し決定したファンに切替を行うファン切替制御プログラムが格納されるとともにゲーム実行のためのキャラクタやアイテムのデータや演算式などのデータが格納されている。
RAM14はCPU11の作業エリアとして用いられるとともにゲーム履歴データや一時データが格納される。
【0014】
CPU11はROM13からウインドサーフィンプログラムを読み出して実行することによりウインドサーフィンゲームを進行させることができる。ゲーム処理の機能として操作部16からの入力,ロータリーエンコーダ7からの入力,コイン入力などに対する入力処理および演算処理した結果を画像処理部12に指示してモニタ1に表示させたり、サウンド処理部20に指示してBGMなどを出力させたりする出力処理を行う入出力制御などのゲーム制御部11aの機能を有する。また、ゲームの中で、ある風速である角度から風を受けて、プレイヤが操作するマストの回転量からボードを進行させるべき方向(現在のボードの進行方向に対する変更すべき角度θB )およびボード進行速度を算出するボード進行方向等演算部11b,この角度θB データからボード進行方向に対し受ける風の角度θF を算出し、その延長上にある駆動すべきファンを決定するファン決定演算部11c,ファンの切替を行うファン切替制御部11dの各機能を有する。
【0015】
図7は、本発明によるウインドサーフィンゲーム機のプレイ内容を説明するためのフローチャートである。
ウインドサーフィンゲーム機6は待ち受け状態では海にウインドサーファーが多数いる待ち受け用画面をモニタ1に表示しており、同時にBGMなどを流している(ステップ(以下「S」という)001)。ゲーム制御部11aはコイン投入部15よりコインが投入されコイン関連装置17からのコイン投入の信号が入力するか否かを監視している(S002)。ゲーム制御部11aは1回以上プレイができるコインが投入された場合、ウインドサーフィンゲームを開始するため画像処理部12に指示してメニュー画面をモニタ1に表示させる。モニタ1には例えばウインドサーフィンをする場所を選択するための選択エリアが表示され、さらにボードの種類を選択するための選択エリアが表示される。プレイヤは操作部16によって場所やボードの種類を選択することとなる。さらに複数個表示される風速や風向きを選択するため画面も表示され、風の強さ(風速),風向きを選択することができる(S003)。
【0016】
ゲーム制御部11aは各項目について選択終了後、プレイヤが決定のための操作をしたか否かを判別し、決定した場合は、選択した条件で表示されるウインドサーファーの画面を表示する(S004,S005)。なお、プレイヤが何も選択しない場合、または或る項目のみ選択操作をしてその後は操作をしない場合は所定時間が経過したとき、デフォルトの状態(例えば場所○○海岸,標準ボード,南風,風速4m/s)または途中までの選択した条件のウインドサーフィンの画面を表示する。
プレイヤはボード2の上に乗ってマスト5を握り、モニタ1の画面を見ながら回転操作をすることが可能となる。
図10にモニタに表示されたサーファーの画面例が示されている。この画面例は上部に90度の視野の広がりがある「西,北西,北」の方向表示がなされ、右上に現在どの方向にボードが向かっているかが、円形配置された東西南北表示に対し矢印および文字で示されている。矢印は北東方向になっており、かつ「北東45°」と表示されている。
【0017】
また、モニタ1の右下には現在の風向きおよび強さが示されており、南風5m/sである。モニタ1のほぼ中央に表示されるプレイヤサーファーのボードは北東方向に向いており、プレイヤサーファーはセールのブームを持った状態が示されている。
ゲーム制御部11aはプレイヤがマストを回転させたか否かをエンコーダ制御部8から回転角度情報が送られてくるか否かにより判定している(S006)。
プレイヤがマストを回転操作すると、ボード進行方向等演算部11bは回転角度情報と風向きと風速から現在の進行しているボードが変化する角度ΔθB (風向きに対するボード進行角度をθB )とボード進行速度vを演算し、これより画面のスクロール量(ボードが変化する角度とほぼ同じ量)が分かる。ゲーム制御部11aは、この回転量だけスクロールさせる画像処理を行う指示を画像処理部12に出し、モニタ1の画面をスクロールさせる。プレイヤが画面上のプレイヤサーファーの後から進行方向に向かって常に見えるように画面が保持される。このとき画面上の90度の視野の広がりである「○,×,△」の方向表示も変化し、さらに右上の進行を示す表示も変化する(S007)。
【0018】
ボード進行方向の変更角度ΔθB が演算されると、ファン決定演算部11cはその変更角度ΔθB に基づき風を受ける方向がどれだけ変化するかの角度ΔθF (ボード進行方向に対する受ける風向きをθF )を算出し、現在駆動しているファンが例えば図4の(1)番のファンであれば、この(1)番のファンの位置から角度ΔθF の延長上に存在するファンに決定し、ファン切替制御部11dはファン切替部9に切替信号を送出し、決定したファンに切り替える(S008)。
ゲーム制御部11aはゲームのプログラムで予め決められている風速の変化を参照し、風速の変化が発生した場合には、ファンがその変化した風速になるようにファン駆動回路10を制御する(S009,S010)。
このようにしてボードの進行方向および風速が変化した場合には、その変化した状態になるようにファンの切替と、回転速度および画面表示を変化させてボードを進行させる(S011)。
【0019】
ついでタイムオーバか、またはプレイヤの回転操作ミス(例えば、風向き方向を挟んで±45°範囲はデッド領域であり、ボードは進行することができないが、そのようになるような回転操作を行った場合など)によりゲームオーバしたか否かを判断する。ゲームオーバでなければ、S006に戻り、プレイヤがマストを回転させたか否かの判断を引き続き行う。ゲームオーバであれば、ゲームを終了する(S012)。
【0020】
図8Aは、南風(風速が変わらない例)に対し、プレイヤのセール操作によりボードが進行する方向の具体例を説明するための図、図8Bは図8A(a)〜(d)のプレイヤの操作に対しプレイヤに風を吹きつけるファンの位置を示す図である。プレイヤの操作によりボードの進行方向が変化しても画面は常にボードの後ろから捕らえる位置になるようにスクロールされる。
(a)はセールの角度θS がボード中心軸に対し90°の角度の位置にあって南風を後ろから受けている状態を示している。風速は4m/sであり、この4m/sの風速を受けて北方向にボードは2.8m/sのスピードで進む。なお、この例では風速に対しボードが70%の速度を得るようにしているものであり、ボード進行方向等演算部11bの速度演算は風速×0.7によりボード速度を算出している。ボードの進行方向と風向きは同じであり、ボード中心軸に対する風向きの角度θF は0°となる。したがって、プレイヤに吹きつける風はボード進行方向と同じとなり、図8B(a)に示すようにプレイヤの真後ろの位置の(1)番のファンが風速4m/s対応の速度で回転する。
【0021】
(b)はプレイヤがボード中心軸に対しセール(マスト)の角度θS を45°にしたときのボード進行方向を示すもので、風向きに対しθB =−45°(左回転はマイナス)の方向に進行方向を変える。風速4m/sの45°方向の速度成分に0.7を掛ける演算が行われ、北西に1.96m/sで進行する。ファン決定演算部11cはボード進行方向θB =−45°を受けて南風がボード中心軸に対しどの方向になるかの角度を演算しθB =+45°を得る。そして図8B(b)に示すようにこの角度対応のファンである(2)番のファンに決定する。
【0022】
(c)は(b)の状態からプレイヤがボード中心軸に対しセールの角度θS を−90°の角度にしたときのボードの進行方向を示すものである。ボードの進行方向と風向きは同じであり、ボード中心軸に対する風向きの角度θF は0°となる。(a)と同じ方向に進行する。
(d)は(c)の状態からプレイヤがボード中心軸に対しセール(マスト)の角度θS を−45°にしたときのボード進行方向を示すもので、風向きに対しθB =45°(右回転はプラス)の方向に進行方向を変える。風速4m/sの45°方向の速度成分に0.7を掛ける演算が行われ、北東に1.96m/sで進行する。ファン決定演算部11cはボード進行方向θB =45°を受けて南風がボード中心軸に対しどの方向になるかの角度を演算しθF =−45°を得る。そして図8B(d)に示すようにこの角度対応の(8)番のファンに決定する。
【0023】
図9Aは図8Aとは異なる角度へ進行するプレイヤのセール操作を説明するための図、図9A(a),(b)のプレイヤの操作に対しプレイヤに風を吹きつけるファンの位置を示す図である。
(a)はセールの角度θS がボード中心軸に対し90°の角度に位置にあって南風を後ろから受けている状態を示しており図8A(a)と同じである。風速は4m/sであり、この4m/sの風速を受けて北方向にボードは2.8m/sのスピードで進む。ボードの進行方向と風向きは同じであり、ボード中心軸に対する風向きの角度θF は0°となる。したがって、プレイヤに吹きつける風はボード進行方向と同じとなり、図9B(a)に示すようにプレイヤの真後ろの位置の(1)番のファンが風速4m/s対応の速度で回転する。
【0024】
(b)はプレイヤがボード中心軸に対しセール(マスト)の角度θS を60°にしたときのボード進行方向を示すもので、風向きに対しθB =−30°の方向に進行方向を変える。風速4m/sの30°方向の速度成分に0.7を掛ける演算が行われ、北北西に2.28m/sで進行する。ファン決定演算部11cはボード進行方向θB =−30°を受けて南風がボード中心軸に対しどの方向になるかの角度を演算しθF =+30°を得る。θF =+30°に対応するファンは存在しないので、(1)番(θF =+0°)と(2)番(θF =+45°)の2つのファンに決定し、θF =+30°の風を発生させる。
【0025】
以上の実施の形態はマストの回転角度に対し、一定の式を用いてボードの進行する方向(角度)を算出し、この角度より風を吹きつける方向を求めて駆動するファンを決定する例を示したが、マストの回転角に対し、直接に風を吹きつけるファンを算出することも可能である。また、プレイヤが操作する対象としてマストを回転させる例を示したが、ボードの上にセールに有するブームを設けプレイヤはこれを持ってブームの角度を変えるような構成しても本発明と同様な効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0026】
ゲームセンタやイベント会場に設置される、ウインドサーフィンゲーム機なとの風出力を伴うゲーム機である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明による風出力を伴うゲーム機として適用されるウインドサーフィンゲーム機の外観を示す概略斜視図である。
【図2】図1の側面図である。
【図3】図1の平面図である。
【図4】風を送り出すファンの構成を説明するための図である。
【図5】マストの回転を検出するロータリーエンコーダの取り付け構造を説明するための図である。
【図6】本発明によるウインドサーフィンゲーム機の回路の実施の形態を示すブロック図である。
【図7】本発明によるウインドサーフィンゲーム機のプレイ内容を説明するためのフローチャートである。
【図8A】南風に対し、プレイヤのセール操作によりボードが進行する方向の具体例を説明するための図である。
【図8B】図8Bは図8A(a)〜(d)のプレイヤの操作に対しプレイヤに風を吹きつけるファンの位置を示す図である。
【図9A】図8Aとは異なる角度へ進行するプレイヤのセール操作を説明するための図である。
【図9B】図9A(a),(b)のプレイヤの操作に対しプレイヤに風を吹きつけるファンの位置を示す図である。
【図10】ウインドサーフィンのゲーム画面例を示す図である。
【符号の説明】
【0028】
1 モニタ
2 ボード
3 プレイヤ
4 ファン
5 セール
6 ウインドサーフィンゲーム機
7 ロータリーエンコーダ
8 エンコーダ制御部
9 ファン切替部
10 ファン駆動回路
11 CPU
12 画像処理部
13 ROM
14 RAM
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲーム機(機器)側からプレイヤ(人間)側へ情報を与える出力インターフェースの一つとして、風に向き・量のベクトル要素を持たせ、プレイヤへ情報を伝達する、風出力を伴うゲーム機における送風装置に関する。
【背景技術】
【0002】
風を発生させてプレイヤに吹きつけるゲーム機としてドライブゲーム装置が存在する(特許文献1)。
これは、画面表示部の周囲に送風口を設け、車の移動状態を示すスピード信号を利用して前記送風口からの風速を制御するものである。送風口は画面表示部の左右に設けられている。
このように送風口を設け自動車の走行速度が増加するに伴って、操縦者に吹きつける風速を大きくして操縦者により一層の臨場感を与えるものである。
【0003】
現在の家庭用・業務用のビデオゲームシステムにおいては、プレイヤとのインターフェース部は一般的にモニタ・スピーカ・ランプ等の出力機器を介した情報をプレイヤが視覚・聴覚で認識し、それに対してスイッチやボリューム,カメラ等の入力機器を介して情報を機器側へ送るものである。
人間の五感(視覚,聴覚,嗅覚,味覚,触覚)に対し機器からの出力情報を受けるインターフェースの中で、触覚を用いた既存のものは、重さ・振動などの演出効果の補助的な意味合いが強い。また上記従来技術での使用方法も特許文献1を含めて例外でなく演出効果を強めるのみのものであり、常に決められた方向からのスカラー的情報しか存在しない。
風を用いた既存のゲーム機のインターフェース機構は、風量(風速)制御のみを行い、使用方法として演出効果の補助的な意味しか持たなかった。
【特許文献1】特開2000−317133号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
風を利用することを目的とするゲームにおいては、風の速度が変化することに加え、風の方向も変わることが要請される。プレイヤの操作に対応してプレイヤ自身に吹きつける風速および方向が刻々と変わることは実際のスポーツゲームなどを行っている臨場感をプレイヤに与えるものである。
【0005】
本発明は上記要請に応えるもので、その目的はファンを複数個配置する事によって風向きおよび各ファンの風速を制御することにより、風に2つの情報量を持たせ、プレイヤにベクトル的な情報量を感触として伝えることができる風出力を伴うゲーム機における送風装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために本発明の請求項1は、プレイヤを乗せるボードと、セールが受ける風の入射角を変えるため前記ボードの上に設置された、回転操作が可能なセール一体のマストと、前記ボードの上方に円形状に、かつ前記ボードに乗ったプレイヤに向けてそれぞれ送風するような角度位置になるように配置された多数のファンと、プレイヤが前記マストを回転操作したとき、その回転角を検出する回転角検出手段と、プレイヤに吹きつける風向き対応のファンを駆動しボードが進行している方向に対し、プレイヤの回転操作による回転角からボードの進行方向を演算するボード進行方向等演算部と、前記演算されたボードの進行方向に対し、変化する風向きの角度を算出することによりプレイヤに吹きつける風を発生するファンを決定し、該決定したファンに切り替えるファン切替制御部とを備え、プレイヤの操作に伴いプレイヤに吹きつける風の方向を変化させることを特徴とする。
本発明の請求項2は、請求項1記載の発明においてゲームの中でセールに吹きつける風速が変わった場合、駆動するファンの回転速度を調整してプレイヤに吹きつける風量を調整する手段を有することを特徴とする。
本発明の請求項3は、請求項1または2記載の発明において前記円形状に配置された多数のファンは、円周に沿って均等の距離で配置され、前記切替制御部は、変化する風向きの角度が、円周に沿って配置されているファンの中間位置である場合、その中間位置を挟む2つのファンを駆動して風を送ることを特徴とする。
本発明の請求項4は請求項3記載の発明において前記多数のファンは円周に沿って45度間隔で配置された8個のファンであり、前記中間位置を挟む2つのファンは前記8個のファンの中の隣接する2つのファンであり、合計で16通りの方向の風を作ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
上記構成によれば、ゲーム機の出力として補助的ではなく、メインとなる単独の出力インターフェースとして用いることができる。新たな出力インターフェースであるため、目新しさがあり、集客効果が生じる。また、従来のゲーム機とは異なり、体感要素を色濃く感じる事ができ、プレイヤが風の方向,強さの情報を受け取り、ゲーム操作の実行,判断の要素として大きい存在となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面等を参照して本発明の実施の形態を詳しく説明する。
図1は、本発明による風出力を伴うゲーム機として適用されるウインドサーフィンゲーム機の外観を示す概略斜視図、図2は、図1の側面図、図3は図1の平面図である。
ウインドサーフィンゲーム機6の中央にモニタ1が配置されている。モニタ1の下部パネル面6aには操作部やコイン投入部(図示されていない)が配置されている。ウインドサーフィンゲーム機6の前にはプレイヤが乗って操作するためのボード2が配置されている。ボード2にはセール(マスト)5が回動可能に設置されている。ボード2の上方には円周状に等間隔で8個のファン4が設けられている。各ファン4a〜4hはボード2に乗ったプレイヤに向けて風をそれぞれ独立して送出するポートを備えている。
【0009】
各ファンをそれぞれ駆動回転させるための電気信号コードが床を通ってウインドサーフィンゲーム機6のファン駆動回路に接続されている。
図4は、それぞれ風を送り出すファンの構成を説明するための図である。
送風すべき方向の延長線上にファンが存在すれば、そのファンを駆動して相応の風を斜め上からプレイヤに吹きつけることができる。送風すべき方向の延長線上にファンが存在しなければ、送風すべき方向を挟む2つのファン、例えば(2)番と(3)番のファンを駆動することによりその中間方向からの風を発生させることができる。合計で16方向から風を発生させることが可能である。ポート8はファンの風を一方向に誘導して吹き出す風出力口である。
【0010】
図5は、マストの回転を検出するロータリーエンコーダの取り付け構造を説明するための図である。
ボード2の孔2aに対しマスト5の下部が貫通して下面に突出しており、突出部5aにロータリーエンコーダ7が設置されている。マスト5をプレイヤが回転させると、その回転角はロータリーエンコーダ7でパルス信号として検出されウインドサーフィンゲーム機6の筐体に送られる。
【0011】
図6は、本発明によるウインドサーフィンゲーム機の回路の実施の形態を示すブロック図である。
ウインドサーフィンゲーム機6の回路はCPU11,ROM13,画像処理部12,RAM14,サウンド処理部20,スピーカ21,エンコーダ制御部8,ファン切替部9,ファン駆動回路10,コイン投入部15,コイン関連装置17,バックアップメモリ18,操作部16および入出力制御装置19より構成されている。
コイン関連装置(コインカウンタ,コインボックスなど)17はコイン投入部15からのコイン入力を検出し、その情報を検知し、入出力制御装置19,バス22を介してCPU11に送出する。バックアップメモリ18にはコイン数・プレイ数などの設定値が格納される。操作部16はプレイヤがゲームを開始したり、決定したり、選択するためのボタン等から構成されている。
サウンド処理部20はCPU11からの指示に基づき音声やBGMなどを処理し、スピーカ21からサウンドを出力する。
【0012】
エンコーダ制御部8はCPU11からの指示に基づきロータリエンコーダ7からのマスト5の回転角情報(パルス信号など)の送出を監視し、回転角情報が送られた場合、その回転角情報をCPU11に送出する。ファン切替部9は、CPU11で演算されて決定されたファンへのファン切替情報を受けてファンを切替えるもので、切り替えられたファンはファン駆動回路10により回転させられる。ファンの回転速度はCPU11から指示された速度となり、これにより吹きつける風量(速度)を調整する。8個のファン4a〜4hの内の1個が駆動されて、このファン設置の方向からプレイヤに風を吹きつけることができる。また、CPU11は対応する風向きの延長上にファンが存在しない場合には、その風向きを挟むファン2個を駆動し、ファンの存在しない方向からの風を発生させる。2つのファンはCPU11から指示された速度で回転する。
【0013】
ROM13にはウインドサーフィンゲーム機として機能させるためのプログラムで、操作部16の操作やプレイヤサーファーの表示など、ゲームの一般的な処理を行う制御プログラムの他、ボードのセールに吹きつける風に対し、マストの回転量からボードを進行させるべき方向やボード速度を算出するボード進行方向等演算プログラム,ファンを決定し決定したファンに切替を行うファン切替制御プログラムが格納されるとともにゲーム実行のためのキャラクタやアイテムのデータや演算式などのデータが格納されている。
RAM14はCPU11の作業エリアとして用いられるとともにゲーム履歴データや一時データが格納される。
【0014】
CPU11はROM13からウインドサーフィンプログラムを読み出して実行することによりウインドサーフィンゲームを進行させることができる。ゲーム処理の機能として操作部16からの入力,ロータリーエンコーダ7からの入力,コイン入力などに対する入力処理および演算処理した結果を画像処理部12に指示してモニタ1に表示させたり、サウンド処理部20に指示してBGMなどを出力させたりする出力処理を行う入出力制御などのゲーム制御部11aの機能を有する。また、ゲームの中で、ある風速である角度から風を受けて、プレイヤが操作するマストの回転量からボードを進行させるべき方向(現在のボードの進行方向に対する変更すべき角度θB )およびボード進行速度を算出するボード進行方向等演算部11b,この角度θB データからボード進行方向に対し受ける風の角度θF を算出し、その延長上にある駆動すべきファンを決定するファン決定演算部11c,ファンの切替を行うファン切替制御部11dの各機能を有する。
【0015】
図7は、本発明によるウインドサーフィンゲーム機のプレイ内容を説明するためのフローチャートである。
ウインドサーフィンゲーム機6は待ち受け状態では海にウインドサーファーが多数いる待ち受け用画面をモニタ1に表示しており、同時にBGMなどを流している(ステップ(以下「S」という)001)。ゲーム制御部11aはコイン投入部15よりコインが投入されコイン関連装置17からのコイン投入の信号が入力するか否かを監視している(S002)。ゲーム制御部11aは1回以上プレイができるコインが投入された場合、ウインドサーフィンゲームを開始するため画像処理部12に指示してメニュー画面をモニタ1に表示させる。モニタ1には例えばウインドサーフィンをする場所を選択するための選択エリアが表示され、さらにボードの種類を選択するための選択エリアが表示される。プレイヤは操作部16によって場所やボードの種類を選択することとなる。さらに複数個表示される風速や風向きを選択するため画面も表示され、風の強さ(風速),風向きを選択することができる(S003)。
【0016】
ゲーム制御部11aは各項目について選択終了後、プレイヤが決定のための操作をしたか否かを判別し、決定した場合は、選択した条件で表示されるウインドサーファーの画面を表示する(S004,S005)。なお、プレイヤが何も選択しない場合、または或る項目のみ選択操作をしてその後は操作をしない場合は所定時間が経過したとき、デフォルトの状態(例えば場所○○海岸,標準ボード,南風,風速4m/s)または途中までの選択した条件のウインドサーフィンの画面を表示する。
プレイヤはボード2の上に乗ってマスト5を握り、モニタ1の画面を見ながら回転操作をすることが可能となる。
図10にモニタに表示されたサーファーの画面例が示されている。この画面例は上部に90度の視野の広がりがある「西,北西,北」の方向表示がなされ、右上に現在どの方向にボードが向かっているかが、円形配置された東西南北表示に対し矢印および文字で示されている。矢印は北東方向になっており、かつ「北東45°」と表示されている。
【0017】
また、モニタ1の右下には現在の風向きおよび強さが示されており、南風5m/sである。モニタ1のほぼ中央に表示されるプレイヤサーファーのボードは北東方向に向いており、プレイヤサーファーはセールのブームを持った状態が示されている。
ゲーム制御部11aはプレイヤがマストを回転させたか否かをエンコーダ制御部8から回転角度情報が送られてくるか否かにより判定している(S006)。
プレイヤがマストを回転操作すると、ボード進行方向等演算部11bは回転角度情報と風向きと風速から現在の進行しているボードが変化する角度ΔθB (風向きに対するボード進行角度をθB )とボード進行速度vを演算し、これより画面のスクロール量(ボードが変化する角度とほぼ同じ量)が分かる。ゲーム制御部11aは、この回転量だけスクロールさせる画像処理を行う指示を画像処理部12に出し、モニタ1の画面をスクロールさせる。プレイヤが画面上のプレイヤサーファーの後から進行方向に向かって常に見えるように画面が保持される。このとき画面上の90度の視野の広がりである「○,×,△」の方向表示も変化し、さらに右上の進行を示す表示も変化する(S007)。
【0018】
ボード進行方向の変更角度ΔθB が演算されると、ファン決定演算部11cはその変更角度ΔθB に基づき風を受ける方向がどれだけ変化するかの角度ΔθF (ボード進行方向に対する受ける風向きをθF )を算出し、現在駆動しているファンが例えば図4の(1)番のファンであれば、この(1)番のファンの位置から角度ΔθF の延長上に存在するファンに決定し、ファン切替制御部11dはファン切替部9に切替信号を送出し、決定したファンに切り替える(S008)。
ゲーム制御部11aはゲームのプログラムで予め決められている風速の変化を参照し、風速の変化が発生した場合には、ファンがその変化した風速になるようにファン駆動回路10を制御する(S009,S010)。
このようにしてボードの進行方向および風速が変化した場合には、その変化した状態になるようにファンの切替と、回転速度および画面表示を変化させてボードを進行させる(S011)。
【0019】
ついでタイムオーバか、またはプレイヤの回転操作ミス(例えば、風向き方向を挟んで±45°範囲はデッド領域であり、ボードは進行することができないが、そのようになるような回転操作を行った場合など)によりゲームオーバしたか否かを判断する。ゲームオーバでなければ、S006に戻り、プレイヤがマストを回転させたか否かの判断を引き続き行う。ゲームオーバであれば、ゲームを終了する(S012)。
【0020】
図8Aは、南風(風速が変わらない例)に対し、プレイヤのセール操作によりボードが進行する方向の具体例を説明するための図、図8Bは図8A(a)〜(d)のプレイヤの操作に対しプレイヤに風を吹きつけるファンの位置を示す図である。プレイヤの操作によりボードの進行方向が変化しても画面は常にボードの後ろから捕らえる位置になるようにスクロールされる。
(a)はセールの角度θS がボード中心軸に対し90°の角度の位置にあって南風を後ろから受けている状態を示している。風速は4m/sであり、この4m/sの風速を受けて北方向にボードは2.8m/sのスピードで進む。なお、この例では風速に対しボードが70%の速度を得るようにしているものであり、ボード進行方向等演算部11bの速度演算は風速×0.7によりボード速度を算出している。ボードの進行方向と風向きは同じであり、ボード中心軸に対する風向きの角度θF は0°となる。したがって、プレイヤに吹きつける風はボード進行方向と同じとなり、図8B(a)に示すようにプレイヤの真後ろの位置の(1)番のファンが風速4m/s対応の速度で回転する。
【0021】
(b)はプレイヤがボード中心軸に対しセール(マスト)の角度θS を45°にしたときのボード進行方向を示すもので、風向きに対しθB =−45°(左回転はマイナス)の方向に進行方向を変える。風速4m/sの45°方向の速度成分に0.7を掛ける演算が行われ、北西に1.96m/sで進行する。ファン決定演算部11cはボード進行方向θB =−45°を受けて南風がボード中心軸に対しどの方向になるかの角度を演算しθB =+45°を得る。そして図8B(b)に示すようにこの角度対応のファンである(2)番のファンに決定する。
【0022】
(c)は(b)の状態からプレイヤがボード中心軸に対しセールの角度θS を−90°の角度にしたときのボードの進行方向を示すものである。ボードの進行方向と風向きは同じであり、ボード中心軸に対する風向きの角度θF は0°となる。(a)と同じ方向に進行する。
(d)は(c)の状態からプレイヤがボード中心軸に対しセール(マスト)の角度θS を−45°にしたときのボード進行方向を示すもので、風向きに対しθB =45°(右回転はプラス)の方向に進行方向を変える。風速4m/sの45°方向の速度成分に0.7を掛ける演算が行われ、北東に1.96m/sで進行する。ファン決定演算部11cはボード進行方向θB =45°を受けて南風がボード中心軸に対しどの方向になるかの角度を演算しθF =−45°を得る。そして図8B(d)に示すようにこの角度対応の(8)番のファンに決定する。
【0023】
図9Aは図8Aとは異なる角度へ進行するプレイヤのセール操作を説明するための図、図9A(a),(b)のプレイヤの操作に対しプレイヤに風を吹きつけるファンの位置を示す図である。
(a)はセールの角度θS がボード中心軸に対し90°の角度に位置にあって南風を後ろから受けている状態を示しており図8A(a)と同じである。風速は4m/sであり、この4m/sの風速を受けて北方向にボードは2.8m/sのスピードで進む。ボードの進行方向と風向きは同じであり、ボード中心軸に対する風向きの角度θF は0°となる。したがって、プレイヤに吹きつける風はボード進行方向と同じとなり、図9B(a)に示すようにプレイヤの真後ろの位置の(1)番のファンが風速4m/s対応の速度で回転する。
【0024】
(b)はプレイヤがボード中心軸に対しセール(マスト)の角度θS を60°にしたときのボード進行方向を示すもので、風向きに対しθB =−30°の方向に進行方向を変える。風速4m/sの30°方向の速度成分に0.7を掛ける演算が行われ、北北西に2.28m/sで進行する。ファン決定演算部11cはボード進行方向θB =−30°を受けて南風がボード中心軸に対しどの方向になるかの角度を演算しθF =+30°を得る。θF =+30°に対応するファンは存在しないので、(1)番(θF =+0°)と(2)番(θF =+45°)の2つのファンに決定し、θF =+30°の風を発生させる。
【0025】
以上の実施の形態はマストの回転角度に対し、一定の式を用いてボードの進行する方向(角度)を算出し、この角度より風を吹きつける方向を求めて駆動するファンを決定する例を示したが、マストの回転角に対し、直接に風を吹きつけるファンを算出することも可能である。また、プレイヤが操作する対象としてマストを回転させる例を示したが、ボードの上にセールに有するブームを設けプレイヤはこれを持ってブームの角度を変えるような構成しても本発明と同様な効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0026】
ゲームセンタやイベント会場に設置される、ウインドサーフィンゲーム機なとの風出力を伴うゲーム機である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明による風出力を伴うゲーム機として適用されるウインドサーフィンゲーム機の外観を示す概略斜視図である。
【図2】図1の側面図である。
【図3】図1の平面図である。
【図4】風を送り出すファンの構成を説明するための図である。
【図5】マストの回転を検出するロータリーエンコーダの取り付け構造を説明するための図である。
【図6】本発明によるウインドサーフィンゲーム機の回路の実施の形態を示すブロック図である。
【図7】本発明によるウインドサーフィンゲーム機のプレイ内容を説明するためのフローチャートである。
【図8A】南風に対し、プレイヤのセール操作によりボードが進行する方向の具体例を説明するための図である。
【図8B】図8Bは図8A(a)〜(d)のプレイヤの操作に対しプレイヤに風を吹きつけるファンの位置を示す図である。
【図9A】図8Aとは異なる角度へ進行するプレイヤのセール操作を説明するための図である。
【図9B】図9A(a),(b)のプレイヤの操作に対しプレイヤに風を吹きつけるファンの位置を示す図である。
【図10】ウインドサーフィンのゲーム画面例を示す図である。
【符号の説明】
【0028】
1 モニタ
2 ボード
3 プレイヤ
4 ファン
5 セール
6 ウインドサーフィンゲーム機
7 ロータリーエンコーダ
8 エンコーダ制御部
9 ファン切替部
10 ファン駆動回路
11 CPU
12 画像処理部
13 ROM
14 RAM
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレイヤを乗せるボードと、
セールが受ける風の入射角を変えるため前記ボードの上に設置された、回転操作が可能なセール一体のマストと、
前記ボードの上方に円形状に、かつ前記ボードに乗ったプレイヤに向けてそれぞれ送風するような角度位置になるように配置された多数のファンと、
プレイヤが前記マストを回転操作したとき、その回転角を検出する回転角検出手段と、
プレイヤに吹きつける風向き対応のファンを駆動しボードが進行している方向に対し、プレイヤの回転操作による回転角からボードの進行方向を演算するボード進行方向等演算部と、
前記演算されたボードの進行方向に対し、変化する風向きの角度を算出することによりプレイヤに吹きつける風を発生するファンを決定し、該決定したファンに切り替えるファン切替制御部とを備え、
プレイヤの操作に伴いプレイヤに吹きつける風の方向を変化させることを特徴とする風出力を伴うゲーム機における送風装置。
【請求項2】
ゲームの中でセールに吹きつける風速が変わった場合、駆動するファンの回転速度を調整してプレイヤに吹きつける風量を調整する手段を有することを特徴とする請求項1記載の風出力を伴うゲーム機における送風装置。
【請求項3】
前記円形状に配置された多数のファンは、円周に沿って均等の距離で配置され、
前記切替制御部は、変化する風向きの角度が、円周に沿って配置されているファンの中間位置である場合、その中間位置を挟む2つのファンを駆動して風を送ることを特徴とする請求項1または2記載の風出力を伴うゲーム機における送風装置。
【請求項4】
前記多数のファンは円周に沿って45度間隔で配置された8個のファンであり、
前記中間位置を挟む2つのファンは前記8個のファンの中の隣接する2つのファンであり、合計で16通りの方向の風を作ることを特徴とする請求項3記載の風出力を伴うゲーム機における送風装置。
【請求項1】
プレイヤを乗せるボードと、
セールが受ける風の入射角を変えるため前記ボードの上に設置された、回転操作が可能なセール一体のマストと、
前記ボードの上方に円形状に、かつ前記ボードに乗ったプレイヤに向けてそれぞれ送風するような角度位置になるように配置された多数のファンと、
プレイヤが前記マストを回転操作したとき、その回転角を検出する回転角検出手段と、
プレイヤに吹きつける風向き対応のファンを駆動しボードが進行している方向に対し、プレイヤの回転操作による回転角からボードの進行方向を演算するボード進行方向等演算部と、
前記演算されたボードの進行方向に対し、変化する風向きの角度を算出することによりプレイヤに吹きつける風を発生するファンを決定し、該決定したファンに切り替えるファン切替制御部とを備え、
プレイヤの操作に伴いプレイヤに吹きつける風の方向を変化させることを特徴とする風出力を伴うゲーム機における送風装置。
【請求項2】
ゲームの中でセールに吹きつける風速が変わった場合、駆動するファンの回転速度を調整してプレイヤに吹きつける風量を調整する手段を有することを特徴とする請求項1記載の風出力を伴うゲーム機における送風装置。
【請求項3】
前記円形状に配置された多数のファンは、円周に沿って均等の距離で配置され、
前記切替制御部は、変化する風向きの角度が、円周に沿って配置されているファンの中間位置である場合、その中間位置を挟む2つのファンを駆動して風を送ることを特徴とする請求項1または2記載の風出力を伴うゲーム機における送風装置。
【請求項4】
前記多数のファンは円周に沿って45度間隔で配置された8個のファンであり、
前記中間位置を挟む2つのファンは前記8個のファンの中の隣接する2つのファンであり、合計で16通りの方向の風を作ることを特徴とする請求項3記載の風出力を伴うゲーム機における送風装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【公開番号】特開2008−79789(P2008−79789A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−262547(P2006−262547)
【出願日】平成18年9月27日(2006.9.27)
【出願人】(306019111)株式会社タイトー (475)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年9月27日(2006.9.27)
【出願人】(306019111)株式会社タイトー (475)
【Fターム(参考)】
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