説明

風力エネルギ発生用浮き土台並びにその建築及び使用方法

本発明に係る新規な水中浮き土台本体(6、13、16)は、鎖乃至ケーブル(3)によって湖底又は海底(1)に設置され、波動域(8)の下方において、風力タービンタワー(10)等の構造物を支持する。上記水中浮き土台本体情報に海洋牧場ケージ(7)を設けてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海洋牧場の実現及び外洋条件下での風力発電に適する垂直推力ブロック型水中浮き土台及びその実現方法に関する。
【0002】
本発明は、水中浮き土台に関する思想、プロジェクト設計及び実現手法の革新的組合せ技術に関する。本発明は、更に、水中浮き土台の上部空間を風力タービン支持用及び海洋牧場設備設置用に使用及び構成する技術に関する。即ち、本発明の核心は、波動域より下に水中浮き土台を設置することにとどまらず、この分野における最新技術を改良し、風力タービン及び海洋牧場を同時に実現する技術的結合にある。
【背景技術】
【0003】
本発明の如き技術的結合や、本発明を構成する優れた技術的要素は、現在までのところ、本件技術分野に属するいかなる発明によっても実現されていない。
【発明の開示】
【0004】
まず、アルキメデスの法則を有効利用し垂直推力ブロック型水中浮き土台を実現すること自体技術革新的なものであるが、本発明は更に、その土台の建築、実現、装備及び移送方法に係る新規な思想に基づいている。
【0005】
更に、本発明における風力タービンエネルギ発生設備も技術革新的である。
【0006】
特に、風力タービンの利用は順調に拡大しており、その結果風力タービンプラントを設置できる優良な土地が少なくなってきているため、開水面上に風力タービンを設置できるようにすることに多大な関心が寄せられている。
【0007】
なお、本願における「海」は「湖」を含むものとする。
【0008】
無論、現時点において進行中或いは開発中のプロジェクトは数多くあるが、それらにおいて使用されている技術は非常にありふれた技術である。
【0009】
まず、使用されている技術のうち第1のものは、海底に埋め込んだ土台上にタービンを固定する、という技術であるが、この技術を実施するには多大な処置費用がかかり、建築時や解体時に周囲環境にとって有害な影響を与える。
【0010】
次に、第2の技術は、水面上に土台を浮かべこの土台をケーブルにより海底に係留する、という技術であるが、この技術により実現される浮き土台は、水流による海底係留位置の変動と波動とに対し敏感であるという短所を有している。
【0011】
そして、第3の技術は、係留システムによって風力タービンを海底に固定しその位置を保持する、という技術であり特許を受けているが、その時間的安定性には問題がありまたその実現に要する費用が大きいという問題がある。
【0012】
更に、これらの技術による風力タービンは、何れも、海洋牧場と一体化することができない。本発明における海洋牧場設備は様々な側面を有している。
【0013】
まず第1に、本発明にて使用する建築技術は顕著に進歩的なものである。
【0014】
第2に、本発明における海洋牧場設備は水中浮き土台を支持基盤として使用しているため非常に安定であり、また何よりも、海床を生息域とする品種を含めあらゆる品種の魚類を養殖できる。
【0015】
第3に、本発明における海洋牧場設備では魚に対する給餌を含むあらゆる処置を自動的に実行できる。
【0016】
更に、本発明に係る技術的思想の基本的構成要素は各々単体でも革新的なものであり、またそれぞれ互いに独立して単独で実施することも可能であるが、それらを好適に組み合わせれば、多大な効果を奏するユニークな設備が実現される。特に、経済的観点からすると、この組合せによって製造コストが顕著に低減される。
【0017】
また、この組合せによって得られる設備は、広い範囲に亘る様々な技術生産セクタの生産能力に対して与える影響、という観点からしても革新的である。
【0018】
全体としてこの生産物の革新的なプロジェクト設計を調べるときに、これらの構成要素は、一緒に組み合わされたときに、複数の用途を持つユニークで革新的な生産物を形成し、同時に、別々に考慮されるときには、各個々の構成要素は、他の構成要素から独立に使用することができる革新的な生産物を意味するので、それが構成されている、単一の革新的な方法及び技術各々を同時に考慮に入れなければならないことが本質的なことである。
【0019】
我々は、極めて重要な局面である、水中の土台の建設のための方法から始めることとする。土台は、垂直推力ブロック型の、円筒形或いは多角形の形をした構造物から成り立っており、空気或いは異なった気体で満たすことができる、放射状の腕によって内部で交差され、そしてバラストを使って安定にされる。多様化することも可能である。運搬、バラストを使用した安定化、浸水位置の所までスポークによる内部での交差が可能であって、テンションケーブル乃至鎖を使用して海床へ係留させ、また水中の平衡錐につないで永久に固定し、浮き土台の垂直の推力に等しい強度の、重量、圧力及び応力の組み合せにも耐えさせることができる。
【0020】
これは、図面で示されるように、水平及び垂直の両方の方向に発達した単一の構造物から成り立っている。構造物はここでは六角形で説明されているが、同じ特性を持つ円筒形或いは多角形の形状で建てることもできる。
【0021】
それは、構造物の外側の胴体を形作る、多角形或いは円の形をした外側の中空の輪から成り立っている。
【0022】
数量を変更可能な中空の放射状の腕が、この外側の輪から輪(ドーナツ)につながるように、土台の中心体に伸びており、中身体は、鋼製実施形態では追加の下の部分を持ち、同様に円筒形或いは多角形の形をしている。
【0023】
実際には、この構造物は二つの円筒形或いは多角形の中空で同心の異なった寸法の本体、中心体よりもはるかに大きな外側の本体から成り立っており、また二つの本体を一緒につなぐ放射状の腕によって連結されている。
【0024】
勿論、二つの中空の本体をつなぐ腕もまた水中にあって浮いており、また空気或いは他の気体で満たすことができる材料で組み立てられている。土台の外側の本体よりも小さい寸法の中心体は、上に向かって(そして鋼製実施形態では下向きに)土台の輪よりも先の先端(そして鋼製実施形態では底)に伸びて発達している。
【0025】
中心体の内部の円形の構造物は、上に組み立てられた、もっと先でより詳細に記述される、風力タービンによって作り出されたエネルギを変換し、運び出す、設備のための入れ物としても働き、例えば変圧器、発電機及びコンピュータ化された制御システムを含み、海洋牧場設備用の設備でもある。
【0026】
このやり方で実現される構造物は、一体で建てられ単一の土台本体を意味し、個々の部分の組み立ては無いが、外側の輪、放射状の腕及び中心体のように、別々に評価することができる。
【0027】
土台の単一の本体の概念は、安定性及び力と負荷への抵抗力を増大するように、設計されまた組み立てられることである。
【0028】
上記土台がある点で空であって、他のもの、即ち空気或いは他の気体で満たすことができる材料で組み立てられ、多角形及び放射状の腕を形作るものを、空気或いは他の気体で満たすことができるために、この土台は均質の支持土台を持つことはない。
【0029】
土台の記述を簡単にするために、土台は外側の輪を内部のハブにつなぐスポークを持つワゴンの車輪の形をしていると言うことができ、ハブは車輪を通して横切るハブの中心で円筒を使っている。
【0030】
垂直の方向で、水面の方に発達する中心のコアは、穏やかな海の状態において、外側の周囲の周りに通路を持つことになり、稼働プラットフォームとして及び、もっと先で記述されることになるサービス設備を含む、中空の本体の内部へのアクセスの双方に使用されることが可能である。
【0031】
いったん土台が、海面下に位置を決められると、通路へのアクセスはボート或いは「跳ね橋」形のアクセスを使うことによって可能となる。
【0032】
構造物は、鋼鉄、強化コンクリート、振動強化コンクリート或いはプリストレスト・コンクリート、或いは例えばガラス繊維強化ポリマー等と同じ目的に適合する他の全ての材料で組み立てることができる。
【0033】
一体で、組み立て用のモジュール或いは構成要素品で、特別な接続封印で内側と外側を一緒に取り付けられ、つば付き封印を含み、或いは現場での鋳造或いは溶接によって組み立てることができる。現場で単一の解決方法で組み立て、或いは産業的に建設することができる;これは全ての単一の構成要素にも当てはまることである。
【0034】
テンションケーブルの係留用に、放射状の腕が周囲と交わる点で、特殊なフックが、土台の外側の壁の下部と上部の上に取り付けられる。放射状の腕の終端で土台の中心体の端に沿って、上と下の部分両方に、ケーブル用の他のフックが置かれる。テンションケーブルが、上記フックに取り付けられ、二つの機能の役目を果たすことになる。
【0035】
土台の周囲を中心体に、上部で水位の方に、また下部で海底の両方向に連結するケーブルが、構造物に必要な剛性を供給し、そのために安定したやり方で外側の輪を土台の中心体に連結することになる。土台の中心体は、下向きで海底の方に、また上向きに水面の方に両方の垂直の突起物を持つことになるので、なおさらこの連結が必要となる。
【0036】
土台の外側の輪の下の端でフックに取り付けられる鎖或いはケーブルは、平衡錐に連結され、平衡錐は海床の上に設置されて、システム上に働く全ての負荷を補正し、その範囲にある物理的な力に対抗するために、全システムに必要な安定性を供給する。
【0037】
土台と平衡錐の間を連結するテンションケーブル乃至鎖が、システムのいかなる動きも阻止するために、垂直の方向及び対角線の方向に位置を決められる。
【0038】
上記鎖或いはケーブルは、完全な鋼製ケーブル、或いは同等品であって、それについて異なる必要性と、その問題となる応力に従い可変の直径を持っている。
【0039】
ケーブルの寸法それ自身は、特定の海洋の環境における、様々な負荷の大きさに依存しており、本発明の全ての構成要素を含む全システムの転覆モーメントを補正することができるようにするために、構造物が受け取る推力と、そのために風成風力エネルギからの電気の製造のために海面の十分上にそびえている構造物にも関連している。
【0040】
前に述べたように、土台は二つの科学技術の理由で平面を形作るのに完全に十分であるとは言えない。
【0041】
第一の理由は、波の動きのレベルの十分下、少なくとも10メートルの可変の深さで水の中に沈められるので、土台が水の外の通常の引力で、酸素の状態で持つことになる重量よりもはるかに軽い特定の重量を持つ事実である。
【0042】
第二の理由は、流体に関連する物理的な法則と構造物それ自身の間の相互作用を考慮し、放射状の腕の間に空いた空間が無い場合には、土台が過剰な推力を受けることになり、それは土台と係留システムの製造のために不必要ではるかに大きな費用を要することになるであろう事実に基づいている。
【0043】
与えられた記述に従い、図面を調べることによって、鋼鉄の土台6は、空のスポークの間の空間を使い、空気室として働く放射状の腕13を備えた構造物を意味し、その間強化コンクリート及び振動或いはプリコンプレッスト強化コンクリート土台16の場合には、輪本体が構造上の壁の間にある様々な空気室から成り立っていることに容易に気が付く。
【0044】
土台の寸法は、位置を決められる海の立地、及び風力タービンタワー10の高さに従って変化する;しかし、物理学の法則によって規定される、様々な値の間には決まった割合が存在している。
【0045】
40から60メートルの間の可変の直径を持つ土台を考慮して示すと、タワー10が固定される場所の中心ユニットは、少なくとも5メートルの直径を持つことになり、中心体の二つの円筒形の部分は、垂直軸上で約15メートルでなければならず、(鋼製実施形態の場合のみ)上向き、と下向きの方向であり、その間強化コンクリート及び、振動或いはプリコンプレスト強化コンクリートの土台には、下向きの中心体部分は予測されない。
【0046】
この外形寸法の値が与えられると、ここに記述されるシステムを用いて海床に土台を係留するための理想的な割当量は、水面レベル以下10から25メートルの間になる。
【0047】
土台の位置を決めるための割当量は、勿論穏やかな海状態における状況ばかりでなく、歴史上最高の波の高さ及び強い波動下で届く潮の振幅もまた考慮に入れて計算される。
【0048】
似たような水中の浮き土台のために、この実現方法に従って提示された革新は数多くあって、垂直及び水平の両方に発達する、風力タービンの構造物それ自身に関連するものばかりでなく、この方法を使って獲得することができる極度の安定性にも関連している。
【0049】
他の局面においても、外洋で複数の重いクレーンを使用する必要のある、海床の中に打ち込まれ、脇で一緒に組み立てられる杭のシステムに基づいて現在使用中の手法で現行の問題点を取り除くので、この土台は、その実現においても革新的である。
【0050】
一方においては、本発明に従う方法を使い、海面上かなりの高さにそそり立つことさえ可能にする建設用の土台の使用を可能にする安定性及び安全性の特性を全て使って海床に取り付けることができる、水中の浮き土台を実現することが可能である。
【0051】
事実、この発明に従う実現の処置は、波動レベル領域以下に浮かされている、海面下にある支持の土台を供給する。
【0052】
空気で満たすことができる、妨げられた垂直の推力を持つ、水中のプラットフォームは、個々の多角形或いは円形の本体から成り立っており、放射状の腕によって交差され、また中心において垂直の方向に、上と下の両方に向かい発達しているが、本発明において説明された例に対し、極端な天候状態においても、安定にするために、波動レベルの数メートル下に位置を決められる。
【0053】
上記革新的な方法の目的は数多くあって、一方では水中の浮き土台の実現を、また他方では上記土台に基づいてそそり立つ建設の実現を目指し、海床の上に直接基地を置くのではなく、事実不可欠である、波動レベル以下にあるので、わずかな振動の恐れも無い。
【0054】
本革新のもう一つの目的は、水中の土台上のレベルにおいて、水面レベルに到達することが可能な、様々な、閉ざされて堅く透水性のある構造物を実現することであって、それは構造物の大きさに応じた様々な実体の、ある種の活動のために使用することができ、海洋の種類の養殖に向けられ、生息地として底を必要とする種類の魚でも養殖を可能にする。
【0055】
土台が、六角形の形をする場所の場合には、これらの構造物は六角形の六番目を形作ることができる。
【0056】
これは放射状の腕と二つの中空の本体の間にある土台の上の交差によって形作られた多角形がそれぞれ海洋牧場専用のケージ或いはタンクを構成することを意味する。
【0057】
そのため多角形の個数は、土台の上に位置を決められるケージの数に等しくなり、水面レベルの丁度上になる高さになることを意味する。上記ケージは、完全に人工の網で作られ、最上部の面の上は開いているか閉じており、或いは底のコンクリート土台及び網の壁を持つことができ、この場合でも上の面は開いているか閉じていてもよい。
【0058】
水面から突き出るケージの上部は、完全に或いは部分的に、養殖された魚が時々抜け出ることを防ぎ、また外洋の中でケージをより目に見えるようにする、二つの機能にふさわしい、浮いている構造物を備えている。
【0059】
ケージ上の網の網目は、様々な標準寸法をとることができ、破れないように十分堅いが、これは磨耗の限界を引き上げることを含み、そのために、魚の養殖設備の抵抗力とより長い耐久性を増し、また構造物に肉食動物や水面下の流れによる起こり得る攻撃への抵抗力もつける。
【0060】
その上網目は、ケージの内部で養殖された魚が抜け出ることを防ぐように大きさをそろえなければならない。そのため養殖する魚のタイプに従い、様々な網目の寸法を実現することが起こり得る。
【0061】
これらのケージを実現するために取り上げられた様々な解決法は、魚の大きさと生育する状態に関連した必要性を考慮に入れて、養殖する種類に依存する。
【0062】
ケージを土台に取り付けるための方法は、次のシステムに従って異なることもあり得る:
−プラスチック或いは硬質ゴムの線であるが、波によって引き起こされる衝撃を吸収するために、十分に柔軟性のあるものを使用するか、
−或いは海の波に対してあるレベルの弾力性を可能にする弾力性のあるショックアブソーバを備えたフックを使用して土台に固定される。
【0063】
弾力性のある材料で作られた直立材も、予備の付属品として使用することができる。
【0064】
ケージのフックを選ぶことは、養殖する魚のタイプと、その重量;及びその生育する状態のための要求に常に依存しなければならない。
【0065】
ケージはそれぞれ、一つのコーナーでのみ接続することもできる、ケージを形作る多角形の最も内部のかど、水面レベルでの底及び先端の両方、風力タービンの土台を形作る中心の杭である。
【0066】
養殖魚品種に応じ、魚をより簡単に収穫するためにケージの内部に網を下ろすことができる。
【0067】
その上魚の品種に従って、海床の上に形作された生物系の状態を作り出し、水が直接海から供給される水中の水族館を作るのに、そのケージを使用することでき、またその特定の種類のために必要な餌は自然のものであって、人工のものではない。
【0068】
装置設備は、積載された変圧器からの電力供給を使う自動的な飼養システムを持ち、ケージの中の魚に対して追加の飼養が可能であるような、やり方の方法でデザインされて組織化される。
【0069】
現状のシステムに反して、これらのケージが別々であるという事実は、海で異なった種類の養殖を可能にし、海床を生息地として必要とするもの、殆ど全てのタイプの貝類、特に二枚貝の種類を含む、甲殻類一般を養殖することも可能にする。
【0070】
そのため本発明は、その種類に従い、またその種類が生息し、繁殖する自然の生息地を再生する条件で、海での魚の養殖の可能性を提供する。
【0071】
その上本発明は、収穫及び販売の準備ができている沿岸までの魚の運搬を容易にする。
【0072】
ケージ或いはタンクの回収ために必要な最初の活動は、土台から外すことであって、水中ダイバーによって行われる。この段階に引き続き、各々のケージを風力タービンの土台にある稼働プラットフォームの上に取り付けられたクレーンによって吊り上げることができるので、魚の回収及び陸への運搬は極めて簡単に実行される。風力タービンは、本発明における第3の結合要素を構成し、もっと先で記述される。ケージが土台から外された後に、クレーンが水面近くになるまで吊り上げる。
【0073】
ケージの回収は、風力タービンの稼働プラットフォームの上に取り付けられたクレーンを使用して実行することができ、数台のクレーンは互いに反対向きに位置を決められ、或いはケージを、装置の近くに係留された船の上に据えられたクレーンによって吊り上げることができる。
【0074】
明らかに全てのケージが別々であるために、回収作業は魚の収穫の特定の要求に従って単独にまた独立して行うことができる。
【0075】
いったん魚が収穫されると、発動機船によって沿岸に運ばれる。
【0076】
この種の魚の養殖システムで獲得すべき目標は多数あって、個々の構造物を使いこのように養殖することができる魚類の多様性と広い範囲をもたらされるが、同時に異なった魚の多様性の様々な養殖を可能にする個々のケージの使用を通して差別化される。
【0077】
勿論、このやり方で養殖された魚類が、それ自身の自然な生息地及び環境の状態に留まることを強く強調されなければならない。
【0078】
自動化されたシステムは、風力タービンタワーの内部に位置する一つ以上のサイロから魚に餌を与え、上記サイロを装置の上に取り付けられた変圧器を通して風力タービンによって作り出された電気エネルギによって作動することもできる。
【0079】
風が無く、そしてそのためエネルギ生産が不足の場合、供給配電器は、中心体内部の風力タービンシステムの上に取り付けられた蓄電器によって、或いはシステムに接続された波力発電機によって得ることができる波のエネルギによって供給される。勿論、タービンタワーの上に取り付けられた太陽電池を使って追加の電力供給を実現することができる。
【0080】
給餌分配器のためのこの種のシステムによって得られた節約は、人件費を最小に抑える。
【0081】
その現在の形態において既に革新である、この装置の革新的な重要性は、更に風力タービンの装置を追加することによって完成することができる。
【0082】
上記風力タービンの装置は、水中の土台を、その上で「雌の」土台が中心に取り付けられる、支持の土台として使用し、円形の杭で支えられたタワーの中心に挿入されるか溶接され、或いは中心体の上で溶接される。
【0083】
風力タービンの土台は、そのためその回りに円形に配列された魚の養殖ケージを持つ水中の土台の中心に位置を決められる。
【0084】
産業活動のためのこの種のレイアウトの長所は、何よりも支持構造物の共通の費用にあって、費用は様々な生産的な活動の中で分割される。
【0085】
更なる長所は、各々の部分及び装置の領域が最良の長所を持って使用される、特に経済的なやり方によって説明される。
【0086】
水面レベルの上にそびえ立つ杭で支えられたタワーは、構造物の先端の上に取り付けられる風力タービンのための支えとして予定され、波動レベルより高いレベルであるが、土台の土台と適切な比例にある。この装置は、風力エネルギから電気を作り出すよう予定されている。
【0087】
風力タービンの土台は円形であって、土台の土台の比例の高さで、鋼、強化コンクリート、或いはコンプレスト、或いは振動強化コンクリートで建てられたタワーから成り立っている垂直の建造物を持ち、タワーの先端の上に据えられた風力タービンから得られるエネルギの使用に予定される。
【0088】
杭状タワーの先端において、ロータ、変速機(revolution multiplier)及び発電機を含むナセルがある。
【0089】
杭状タワーの内部に、風力タービンによって作り出された電気を電導する電気的な装置があって、電気を運ぶケーブルを通して、岸にまた部分的に海洋牧場の食料分配システムに供給を与えるアキュムレータに送る。
【0090】
実際に、個々の風力タービンユニットは、互いに平行に水平に整列して位置を決められ、ケーブル或いは適切な容量のケーブルを通して順々に接続され、ユニットの一つの中に設置されたサブステーションに電気を運ぶこともできる。
【0091】
個々の風力タービンを水平に整列して、互いに接続する位置決めの可能性は、単一のサブステーションの装置を可能にし、作り出された風成エネルギの電気を伝送するための費用を明らかに削減するのに貢献する。
【0092】
風力タービンのグループ分けに関する、もう一つの重要な局面は、これが装置の運転と保守費用を削減もする事実である。
【0093】
本発明の革新の一つは、より大きな運転及び管理費用ばかりでなく、問題の領域における海洋汚染に関する明らかな問題もまた巻き込んでいる、ディーゼルモータ或いはエネルギ供給のための陸へのケーブル接続を使う、現状の方法に反して、海洋牧場用の個々の装置が必要性に従って計算され、個々の装置各々によって作り出された電気を供給される事実によって説明される。
【0094】
本発明の具体化のために使用される方法及び手段は、ある種の活動の連続と調整から成り立っており、上記手段は全体として考えられたときに、請求項に従って本発明によって保護される革新を、一緒に組み合わされたときに供給する。装置の実現のための多くの段階は、現場及び土台によって供給される固定の支えの上で直接実行され、従って建設の支えとしての大きな船の必要を避けていることが強調されなければならない。
【0095】
我々はここで、異なっているが、組み合わされたプロジェクトの方法を使用して建てることができる、革新的な装置の実現に伴う様々な段階を実例で説明する。
【0096】
第一の段階は、空気で満たされ、円筒形或いは多角形の構造物から成り立っている土台の準備を含んでおり、構造物の中に外側の構造物よりも小さいが、放射状の腕を使って外側の構造物に接続される、第二の円筒形或いは多角形の構造物が存在し;より小さい多角形によって表わされる土台の中心部分は平坦ではなく、土台の両側で垂直にそびえ立っている。
【0097】
空気で満たすことができる、上記構造物の外側と内側の両方の多角形は、正しい安定性を与える平衡錐の方に向かって、土台に張力を与える鎖或いはケーブルを取り付けるためのフックを備えることができる。
【0098】
空気で満たすことができると同様に、明らかに構造物は、気密で、内部が中空でなければならず、浮くための容量と堅さを結び付ける適切な重量を持たなければならない。
【0099】
ここに記述されるような本来の形で土台を建てるときに、十分な数の固定フックを備え、海床の上に位置を決められるための関連する数の中空のコンクリートブロックが準備される。ブロックは砂の中に埋めて位置を決めることができるか、或いは海床が砂地でない場合は、ブロックの位置を決めて、大きい等級の砂利で完全に覆うことができる。
【0100】
平衡錐の代わりに、ドリル錨等を海底に準備することができる。
【0101】
比較的固定の付属品を備える、空気を満たした構造物の建設の段階は、陸上で行われるべきであり、いったん完成した際に海の選ばれた領域に運ぶことができる。
【0102】
上記土台は、水中のレベルの可能性もまた提供し、ある部分が波動レベル以下で空である事実にもかかわらず、海床の深さとの比例のみならず、土台の上部で行われる活動のタイプとの比例においても、土台の外形寸法の正確な構成も可能にするために、似たような土台の実現で発生する全ての問題点を取り除く。
【0103】
積み込み場所の必要が無くまた寸法に関する問題が無く、水上を船で牽引することができるので、運搬は簡単である。
【0104】
土台がいったんその海の目的地まで牽引されると、取り外し可能な正或いは負の荷積みによる適切なバラスト用途、及び土台内部の海水の導入及び中空のコンクリート係留ブロックを使用して沈められる。
【0105】
空気を満たした構造物は、丁度波動レベル以下で、安全レベルまで下げられ、そしてあらかじめ適用されたバラストが徐々に取り除かれる。
【0106】
汲み出すバラストの割合を含む上記最後の取り組みは、規定される浸水レベルでの空気で満たされた構造物の位置決めを可能にする。
【0107】
バラスト或いは係留システムの一部は、構造物内部の空気を抜いた後で、海床の上に全重力を使って据え付けることができる、中空のコンクリートブロックから成り立っている。
【0108】
ブロックがいったん海底に置かれ、浮いている構造物が、丁度波動レベル以下の、一定レベルに置かれる間に、係留鎖及びケーブルが海底に置かれた平衡錐の上に位置された固定システムに取り付けられる。
【0109】
この段階に続いて、中心体と一緒に、土台の水平の輪を張り詰めるケーブルが、海床に向かい降下する部分と、中心体の上部に取り付けられる。
【0110】
その位置があまり深くなければ、中空のコンクリートブロックを砂で満たすことが可能である。
【0111】
一旦連結の鎖或いはケーブル及び平衡錐本体が連結されると、浮き土台は、あらかじめ詰められたバラストを取り除くことによって、振動或いは他の動き無しに安定した位置に動く。
【0112】
この時点で、全システムの重力の中心を下げるために、中心体の下の部分に置くことができるバラストを除いて、土台の中の残りのバラストは全て取り除くことができる。バラストを移動することによって、より軽い重量のせいで海床の上の平衡錐に取り付けられた全ての鎖或いはケーブルの張力を行使する、海床から上向きの方向での推力を受け取る結果によって、土台の重量が軽くされ、そのため土台に必要な安定性を与える。
【0113】
いったんこれらの作業が終了すると、土台は海面上で取り付けられるこれ以上のいかなる設備の積み込みを可能にするのに必要な高い安定性のレベルを所有するが、波動の影響は最小限度に留まる。
【0114】
更に土台に取り付けられるべき構造物は、放射状の腕によって形作られる土台のセグメント上に、各自が置かれるケージであってもよい。
【0115】
各々のケージは、様々な方法を使い、そして上で記述された異なるタイプの構造物に従って、垂直の位置で、土台に取り付けられるので、ケージの頂点はわずかに水面レベルの下にある。
【0116】
ケージ或いはタンクもまた、養殖するタイプの種類に従って実現される。記述された方法は、各々のケージの中に含む種類のタイプを確立し、問題の種類がその生息地のために底を必要とするかどうかに従って、ケージがコンクリートの土台を持つかどうかを決定する。
【0117】
ケージ及びケージの上に取り付けられた網の標準的な保守は、潜水ダイバーによって定期的に行われる。
【0118】
ケージは、定期的に吊り上げられ、非標準的な保守作業用のクレーンを使い、支持ボートの上に設置される。
【0119】
ここで記述されるように、この発明の具体化と方法に従って実現された水中の浮き土台は、魚の養殖活動のためばかりでなく、風力エネルギから電気を作り出すことにも利用される。
【0120】
風力タービン及び魚の養殖システムのような、概念的に個々の設備の接続、また相互に及び水中の浮き土台と組み合わせた両方のシステムの接続は、関係のある様々な活動の間で分割することもできる、組み立て品費用、及び保守費用の分割によって、なかんずく説明される、数多くの長所を提供することが明らかである。
【0121】
更にこの革新的な実現は、風力タービンによって作り出されたエネルギを、海洋牧場設備を含む全構造物に供給するために使用することを可能にする。
【0122】
このやり方でシステムの各部分が、単一の革新的な装置の実現に調和し、また方向付けされているが、装置がそれ自身のエネルギを供給し、全複合体の運転と保守費用を大幅に削減するので、実現の各段階の間のみならず、完成時においても費用を削減することが可能になる。
【0123】
事実土台の土台を魚の養殖用の入れ物及び風力タービン用の両方に用いる概念は、上記革新的な実現の方法を、装置及び保守費用の分割のために、はるかに経済的にするのみならず、作業中の費用を削減し、構造物上の全ての利用可能な空間を利用することができる明らかな利益もまた提供するので、各区分は個々のそして別々の目的を持つが、同時に互いに調整される。
【0124】
いったん土台の構造物及び平衡錐の位置が決められ、取り付けられると、風力タービンの組み立てのための作業の計画を立てることが可能になる。
【0125】
次の段階は、土台の垂直の部分の上に円形杭状タワーの位置決めを含む。円形の構造物は、面に向かい垂直にそびえ立ち、十分水面の上で終わる。
【0126】
この詳細は、図面で説明される。
【0127】
鋼或いはコンクリートのタワーから成り立っている、垂直杭状タワーは、ここで記述された土台の外形寸法に従って、70から120の間、特に約90メートルの高さを持ち、その上に垂直の位置にあるときの風力タービン羽根の一つの40から60メートルを加えなければならない。
【0128】
実際に、高さにして70から120メートルの間の長さがあるタワーに対して、この空間の残りは、80から120メートルの間にわたる直径を持つ理想的な円を描く、数にして二つか三つの風力タービンの羽根によって占められるので、水面からおよそ40から50メートルが自由になる。
【0129】
鋼鉄のタワーは、「雌の」土台を使って土台に取り付けられ、垂直に、装置の位置及び領域における特定の大気の状態に従う、しかしどんな場合でも取り付けられる土台の幅に比例して変化する高さでもってそびえ立つ。
【0130】
作業が、甲板昇降型やクレーン船を使う代わりに、支持として固定のプラットフォームを使い、簡単なタワーの据え付けを可能にする予備のクレーンによって実行されるために、杭で支えられたタワーの位置決めは、労働の介入を最小にして、現場で実行される。このタワーは、関連する据え付け方法の必要性のために、あらかじめ実現しておく必要は無いが、現場においてさえも実現することでき、そのため更に運搬上の節約において更に費用の削減に貢献している。
【0131】
一つ以上の平行の線の中に据えられた各風力タービンは、ナセルの中の先端に設置された発電機を備える。
【0132】
各ユニットは、他のユニットに接続される。
【0133】
タービンタワーの内部は、中空であって、各単一のユニットに接続されたサブステーションを使って岸に送る作り出された電気を集める電気装置の通行を可能にする。
【0134】
杭状タワーの内部に据え付けられるのも、装置それ自身に必要な全ての技術的で、科学技術及び安全の設備に、加えて養殖ケージの中に含まれる魚のための食料供給サイロである。
【0135】
鋼鉄のタワーの上に置かれたナセルは、標準的及び非標準的な保守作業のためのアクセスを可能にするのに十分な大きさがある。
【0136】
追加のクレーンは、ナセルを載せるためと、タワーの要素を集めるために使用される。
【0137】
各々の風力タービンの上に取り付けられる発電機は、電気を作り出し、サブステーションを通して、個々の接続されたユニット各々から岸へ送る必要を満たしている。
【0138】
水平の軸或いはハブが、水面上およそ70から120、例えば80メートルの高さに位置を決められるように、風力タービン、或いは風車が据え付けられる。
【0139】
この位置は、風成のエネルギ製造を促進するために、より大きく風にさらすことを可能にする。
【0140】
魚の養殖設備及び風力タービン装置のための組み立て作業は、異なった時間、及び互いに連続して、また何れにせよ他の構造物を追加するための土台を成すので、勿論浮き土台が運ばれて、据え付けられた後で、直接外洋の現場で実行することができる。
【0141】
上記海での組み立て作業は、個々の装置グループ各々に可動式のクレーンを使い促進することができ、更なる人件費の節約にもなる。
【0142】
この方法を使って実現される装置は、限られた空間でまた正しいやり方で、殆ど自然に存在する要素を使い、作ることに限定しているので、生態に優しいという大きな長所をもたらす。
【0143】
この発明は、ある経済的に重要性のある活動を遂行するために限られた空間を使い、その間同時に環境に全面的に配慮する事実に対して特に有利でもある。
【0144】
完全な装置のための継続的な構造上の段階の連続は、異なった時間に起こり得て、また装置の地理的な位置に従う様々な適応と修正の対象になり得る。
【0145】
しかし、いかなる上記適応も、この特許によって保護される科学技術の革新に関係するものでなければならない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0146】
(図面に基づく説明)
図面、作業モードに関する記述及び符号の説明は、明細書及び特許請求の範囲と不離一体のものである。
【0147】
図1に、鉄製の水中浮き土台(submerged floating foundation)の全構成要素を示す。この図に示す水中浮き土台の水平部分上には海洋牧場設備(mariculture facility)が固定されている。これは、浮き土台及び海洋牧場設備7という二種類の構成要素の組合せ方の一例である。この例ではケージ7の先端が波によって揺すぶられるが、ケージ7全体としては、波の動きに従いつつ且つ固定構造物に対し十分弾性を呈するよう、ループによって連結することができる。
【0148】
これら二種類の構成要素には、相異なる様々な組合せ方がある。例えば、海洋牧場ケージ7の位置を海面特にその波動域8に近い位置としてもよい。また、土台本体6、21における幾何学的形状の配置に相応するよう、海洋牧場ケージ7を複数個のセグメントに分けてもよい。海洋牧場ケージ7を、その頂部又は側面にて土台本体6、21に又は平衡錐2のみにリンクしている複数個の独立型ケージに分けてもよい。或いは、海洋牧場ケージ7を1個の大きなケージとしてもよい。何れにせよ、海洋牧場ケージ7は、その上部が海面上に浮くか或いは海面特にその波動域8に近い位置になるようにする。
【0149】
海洋牧場ケージ7を海面下に設けた場合には、このユニットの稼働プラットフォーム(working platform)9上に乗り込めるようにするため、海面下所定水位にてそのセグメントのうち1個(図3中の26)を開閉できるようにしておく必要がある。土台6、13、16を構成する水平本体部分は、第1に全ユニットの安定性を最大化するための条件を満たし、或いは1個又は複数個の海洋牧場ケージ7の容積をより大きくするための条件を満たすよう、位置決めすればよい。この場合、海面と浮き土台6、13、16の本体との間の空間は、流体静力学的推力が常時最小に保つという上で必要な空間より、かなりの程度広くする(図1及び図4参照)。
【0150】
鋼製実施形態の水中浮き土台6、13、16は、土台6の鋼製の本体に十分な剛性を付与するテンションケーブル3によって特徴付けられている。図2に示す例では六角形とされているが、より多辺又は少辺の多角形としてもよいし、或いは円形としてもよい。
【0151】
図4に示すコンクリート製実施形態は、全システムの重心を低くするための付加バラストに用いられる下部4を有していないという点で、鋼製実施形態と本質的に異なっている。これは、コンクリート製実施形態(図4〜図7参照)の土台本体が鋼製実施形態のそれに比べ遙かに重いためである。
【0152】
土台本体6、13、16の体積は、水中で全作用負荷及び土台自身の重量を補償できるよう寸法設定されている。これは、システムを安定化するのに必要な垂直推力を常時発生させるためである。
【0153】
テンションケーブル乃至鎖3は、転覆方向に作用するモーメント(overturning moment)に対抗するため及び各移動方向についてプラットフォームを安定化するのに有用である。また、平衡錐2は、設置深さ及び利用設備に応じ様々なやり方で実現できる。例えば、内部に空洞を有するコンクリートブロックを利用すれば、それらコンクリートブロックを浮かせて運搬することができる。地球に対しこれらブロックを位置決めする際には、まずそのブロック内の空洞から空気を部分的に抜いた状態で所定場所まで浮かせて運び、所定場所に到着したら空気を全て抜くようにすればよい。
【0154】
また、平衡錐2の設置深さがさほど深くない場合は、所定場所に到着したら砂利を詰めるというやり方でも平衡錐2を実現できる。このやり方は、重力の作用と吸引作用とを組み合わせたものである。平衡錐2の設置深さがさほど深くなく設置場所が平衡錐2を埋め込める場所であれば、平衡錐2をその場所の海底1の土中に配置してもよい。鋼製実施形態(図1〜図3)及びコンクリート製実施形態(図4〜図7)の何れにおいても、セグメントの1個に浸水したとしても土台を浮かせ続けられるよう、気密閉止セグメントを用いるようにする。そのようにすれば、土台の寿命は風力タービン及びタワーのそれよりもはるかに長くなる。
【0155】
(動作モードについての説明)
垂直推力ブロック型水中浮き土台6、13、16は、風力エネルギを電力に変換して取り出すことだけでなく海洋牧場による生産物をももたらす設備であり、その機能的核となっているのは、開水面を有する海洋中に設けられ安定化されている支持基盤での生産活動と、200m又はそれ以上の深さでの生産活動とを、組み合わせて実行できることにある。
【0156】
図1及び図4に示した鋼製又はコンクリート製の土台本体6、13、16は、これら二種類の生産活動において用いる設備を支え係留する基台乃至プラットフォームとして、使用されている。何れの実施形態においても、動作原理となっているのは、風、波、海流等により発生し生産設備に作用する全負荷に対して、流体静力学的推力の作用と鎖3及び平衡錐2を介した抗力との結合という土台本体6、13、16の動的安定性により、バランスをとるという原則である。このシステムの安定性は、風及び波という形でその上部に作用し海流の形でその下部に作用する負荷に対し、土台本体6、13、16の寸法及び体積を適宜寸法設定することによって、確実なものとすることができる。最悪の場合として考え得るのは、風による推力と波による推力が同時同方向に作用しこれとは逆方向に海流が作用する場合であり、システムに対し転覆方向に作用し得る最大のモーメントは、この場合を想定して決定することができる。
【0157】
転覆方向のモーメントは、鎖乃至ケーブル3のうち上述した負荷方向に関わるものの作用によって、補償される。転覆方向のモーメントを補償する作用は、当該負荷方向を挟む隣り合った複数本の鎖3の協働によって生じるものであるが、好ましくは、1本の鎖3で最大の転覆モーメントを補償できるよう鎖3の寸法を決定したほうがよい。加えて、鎖3にプリテンションが加わるよう、浮き土台6、13、16及び鎖3の容積を適宜寸法設定する。波高が考え得る最高値になっている場合(排水量が最小になっている場合)に土台全体に対し海面下で作用する最小の垂直推力は、システム本体重量及び時間経過に伴い発生した藻等による重量増加分を含め、関連する全作用が平衡に達する値に等しくなければならない。
【0158】
土台の中心部下部に設置されている付加バラスト4(図1参照)は、システムの重心を低める作用を有している。海洋牧場設備7は、外洋上にて風力タービン(wind turbin)により取得した電力を用い、自動給餌制御システムを動作させることや重量物を吊り上げるためのクレーンを動作させることによって、稼働している。一次梱包及び冷却氷製造は、プラットフォーム9上で調達した電力で実行できる。
【0159】
海洋牧場設備7の運用を継続するための作業者は、通常保守や小規模なスペア部品移送の際に運搬船に同乗して到来し、風力タービンを稼働させる。これら二種類の生産活動は、1個の支持構造物、1個の係留システム及び人的資源を共有することによって、利益を得ている。また、これら二種類の生産活動はそれぞれ非常に広い海洋面積を要する活動であるが、これらを同一の海域に集中させることによってこれらの生産活動における所要面積を実質低減できるため、環境に対する影響を抑えることができる。更に、通常の沖合海洋牧場と異なり風力タービンから光信号を発することができるため、航海上の安全性を良好とすることができる。そして、システム構成は簡素且つ経済的であり海洋環境に与える影響は最小になる。即ち、ドリル、ハンマー、ジャッキアップ等も使用する必要がない。加えて、寿命が尽きたときはシステム全体を撤去する必要があるが、それも極めて簡便且つ経済的に実行でき環境上の支障も発生しない。例えば、平衡錐2は既に海洋環境の一部となり改善された生息環境を提供しているため、そのまま残して置くべきである。
【0160】
水中土台という策を採ることによって、より深い水中へ、従ってより遠洋へとこれら二種類の生産設備を移行させ得るため、遠望を損ねることを防ぐことができる。また、岸から遠く離れれば風速が強まりまた水質が良好になるため(特に近海養殖に比べて酸素含有率が高まりまた排泄物の影響が軽減されるため)、これら二種類の生産活動の経済効果を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0161】
【図1】鋼製の水中浮き土台を示す図である。
【図2】鋼製の水中浮き土台を示す図である。
【図3】鋼製の水中浮き土台を示す図である。
【図4】コンクリート製の水中浮き土台を示す図である。
【図5】コンクリート製の水中浮き土台を示す図である。
【図6】コンクリート製の水中浮き土台を示す図である。
【図7】コンクリート製の水中浮き土台を示す図である。
【符号の説明】
【0162】
1 海底又は湖底、2 係留システムを構成する平衡錐又は水中中空体、3 係留システムを構成する鎖又はケーブル、4 (垂直)支柱又はバラスト付中心体下部、5 浮き土台本体に剛性を与えるテンションケーブル、6 水中にある浮き土台又はその本体乃至構造のうち外縁部、7 界面又はその付近にある(水中)ケージ又は魚類養殖若しくは海洋牧場設備、8 波動域、9 浮揚又は稼働プラットフォーム、10 円形杭状の風力タービンタワー又は垂直支柱若しくは水上突出構造物、11 タービンのブレード、12 風力タービン又はそのナセル及びロータハブ、13 水中にある浮き土台又はその本体乃至構造のうち放射状の腕、14 セグメント間構造壁、15 海洋牧場ケージセグメント(海面上に先端が浮いている海洋牧場の場合)、16 水中にある浮き土台又はその本体乃至構造のうち中心部セグメント、17 稼働プラットフォームのうち水中浮き土台中心部上部とタービンタワーとの接続部、20、23 中心部、21 コンクリート製土台本体セグメント、25 中心部セグメント断面、26 稼働プラットフォームに乗るためのアクセスセグメント(海面上に先端が浮いている海洋牧場の場合)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水中に固定され水上構造物を支持する基礎である垂直推力ブロック型の水中土台(6、13、16)を実現形成する方法であって、空気充填可能な浮き土台本体(構造)(6、13、16)を指定場所へ移送し波動域(8)直下に沈めて位置決めし、海底(1)面上に重力のみで位置決めされた平衡錐(2)によりまたケーブル(3)及び支柱を介しこの浮き土台本体を係留することを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法であって、上記浮き土台本体(6、13、16)が円筒状又は多角形状の受容部を有し、その十分広く且つ好ましくは平坦な上面及び下面に適切な取付具を装着し、この取付具によって、ケーブル(3)及び支柱を固定すると共に、当該浮き土台本体により支持され又は水上に突出する構造物(10)を固定することを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1又は2記載の方法であって、上記浮き土台本体(6、13、16)及びあらゆる固定器具を水上にてその最終位置に向け引っ張るステップを有することを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のうち何れか一項記載の方法であって、海底(1)に対し固定しようとしている上記浮き土台本体(6、13、16)内に、浮き土台本体積載済のバラスト重量に見合う適量の水を導入することにより、当該浮き土台本体を波動域(8)直下にあるその使用位置まで部分沈降させまたその浮き土台本体の平衡位置を正確に指定レベルに合わせるステップを、有することを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項4記載の方法であって、コンクリート等の適切な素材により形成されておりまた上記浮き土台本体(6、13、16)から降ろされ重力のみにより海底(1)面上に位置決めされている平衡錐(2)と、当該浮き土台本体とに、ケーブル(3)及び支柱を固定することにより、当該浮き土台本体を上記指定レベルに固定及び係留することを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項4又は5記載の方法であって、部分沈降に用いるバラスト全てと共に海底(1)への係留に用いるコンクリート製の平衡錐(2)を徐々に降ろしていくこと、並びに先のステップにて導入されたものを含め上記浮き土台本体(6、13、16)内からあらゆる水を汲み出すことにより、当該浮き土台本体に作用する上向き推力を最大にして当該浮き土台本体を最大限軽量化し、以て全てのケーブル(3)及び支柱に張力を加え当該浮き土台本体を海底にタイトにブロックするステップを、有することを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1乃至6のうち何れか一項記載の方法であって、中実の又は堅固なシステムを構成するケーブル(3)及び支柱を使用して上記浮き土台本体(6、13、16)に作用する浮力を適切にブロックし、当該浮き土台本体又はそこから水上に突出している構造物の重量を支えられるよう当該浮き土台本体の安定性及び剛性を最大限に高めることによって、現在のところ海中土台上の設備上で行われ得ると見込まれるあらゆる用途に利用できるようにしたことを特徴とする方法。
【請求項8】
海底(1)の砂の中に埋められ海底面下に配置されている水中中空体(2)に対し、適切な鋼製のケーブル(3)を用い土台(6、13、16)を垂直方向及び対角方向に連結することによって、当該土台を固定する土台係留方法。
【請求項9】
岩石性の海底(1)上で大きめの砂利により覆い尽くされ海底面下に配置されている水中中空体(2)に対し、適切な鋼製のケーブル(3)を用い土台(6、13、16)を垂直方向及び対角方向に連結することによって、当該土台を固定する土台係留方法。
【請求項10】
土台(6、13、16)の中央から一方は水面に向かい上向きに他方は海底(1)に向かい下向きにそれぞれ延びている2本の支柱(4、10)に、当該土台の外縁部に取り付けられているテンションケーブル(5)を連結することによって、当該土台を安定化する土台安定化方法。
【請求項11】
その頂部に風力タービン(12)が実装される円形杭状タワー(10)の一端を水中土台(6、13、16)内に挿入乃至締結するための孔を、当該水中土台の表面中央部に形成することにより、当該水中土台の上側を、当該風力タービンを係合固定し実装乃至配置する設備の基礎として使用する使用方法。
【請求項12】
水面上に出ている杭状タワー(10)及びその内部の技術的装置に対してアクセスできることとなるよう、当該杭状タワーの周のうち少なくとも一部を取り巻く浮揚プラットフォーム(9)から当該杭状タワーに沿って、当該浮揚プラットフォーム上に跳ね橋システムを建築する建築方法。
【請求項13】
固定装置を用い1台又は複数台の吊り上げクレーンを杭状タワー(10)の周辺に取り付ける建築方法。
【請求項14】
風力エネルギ収集用電気設備、コンピュータ化された制御ユニット及び安全設備を含む風力タービン用技術的装置、並びにケージ(7)内で飼育している魚の食餌を貯蔵しておくための1個又は複数個のサイロを、杭状タワー(10)の中空部に収容し、風力タービン用技術的装置から供給されるエネルギにより動作させコンピュータ化部分により管理及び制御する使用方法。
【請求項15】
風力タービン(12)が設置され互いに整列して連結された一連の土台(6、13、16)を実現する土台列実現方法。
【請求項16】
ケージ(7)と、海底(1)に生息する品種が海底の如く利用できる頑丈な基礎面と、を有し、水中に浮かんだ海洋牧場設備を実現する海洋牧場実現方法。
【請求項17】
風力タービン支持タワー(10)の中空部内に配置された1個又は複数個のサイロを備え電力供給及び電子制御を受けるシステムによって、海底(1)の如き人工的な開水域内に生息する魚類品種に対し自動給餌する自動給餌方法。
【請求項18】
プラスチック又は硬質ラバー製のラインにより、或いはフックの付いた弾性ショックアブソーバラインにより、或いは弾性直立材の補助により、水中ケージ(7)を土台(6、13、16)に取り付ける取付方法。
【請求項19】
風力タービンタワー(10)の稼働プラットフォーム(9)上に配置されたクレーンにより可動式ネットを持ち上げ水中ケージ(7)内で位置決めすることにより、当該水中ケージを維持し当該水中ケージから漁獲するケージ維持漁獲方法。
【請求項20】
推力ブロック型水中浮き土台(6、13、16)の上部空間を風力タービン(12)支持用にまた当該空間のうち水中部分を魚類養殖設備(7)設置用にそれぞれ使用する思想、プロジェクト設計及び実用化手段の組合せ。
【請求項21】
浮き土台本体(6、13、16)と、鎖乃至ケーブル(3)を含む湖底又は海底(1)への係留システム(2、3)と、を有し、水中で貨物乃至構造物を支持する浮き土台であって、当該浮き土台本体が湖又は海の波動域(8)より下に浮かぶよう当該鎖乃至ケーブルが短めとなっていることを特徴とする浮き土台。
【請求項22】
請求項21記載の浮き土台であって、上記浮き土台本体(6、13、16)が、好適に相互溶接可能で且つ水乃至気体により充填可能な中空金属管から形成されたことを特徴とする浮き土台。
【請求項23】
請求項21記載の浮き土台であって、上記浮き土台本体(16)が、水乃至気体により充填可能な中空コンクリート室から形成されたことを特徴とする浮き土台。
【請求項24】
請求項21乃至23のうち何れか一項記載の浮き土台であって、上記浮き土台本体(6、13、16)が、その下側を湖底又は海底(1)に連結するための複数の連結装置を有することを特徴とする浮き土台。
【請求項25】
請求項24記載の浮き土台であって、上記連結装置により上記鎖乃至ケーブル(3)を湖底又は海底(1)に連結することを特徴とする浮き土台。
【請求項26】
請求項25記載の浮き土台であって、上記鎖乃至ケーブル(3)が、湖底又は海底(1)の上にあり又は湖底又は海底(1)に突き刺さっている平衡錐(2)と連結されることを特徴とする浮き土台。
【請求項27】
請求項26記載の浮き土台であって、上記平衡錐(2)が中空室を含み、この中空室が、気体を充填すると浮かぶよう、また水又は砂を充填すると湖底又は海底(1)に沈むよう、構成されたことを特徴とする浮き土台。
【請求項28】
請求項21乃至27のうち何れか一項記載の浮き土台であって、上記浮き土台本体(6、13、16)が、その上方に向け垂直に伸びる垂直支柱(4、10、23)を有し、この垂直支柱が、好ましくはテンションケーブル(5)により当該浮き土台本体のリムに連結されたことを特徴とする浮き土台。
【請求項29】
請求項21乃至28のうち何れか一項記載の浮き土台であって、その最上端に風力タービン(12)が設けられたタービンタワー(10)を上記浮き土台本体(6、13、16)により支持することを特徴とする浮き土台。
【請求項30】
請求項21乃至29のうち何れか一項記載の浮き土台であって、稼働プラットフォーム(9)を支持する垂直支柱(4、23)又はタービンタワー(10)を有することを特徴とする浮き土台。
【請求項31】
請求項30記載の浮き土台であって、上記稼働プラットフォーム(9)が少なくとも1台のクレーンを支持することを特徴とする浮き土台。
【請求項32】
請求項29乃至31のうち何れか一項記載の浮き土台であって、上記タービンタワー(10)内に設けられ風力タービン(12)の電子制御回路を含め電気設備を収容する中空室を有することを特徴とする浮き土台。
【請求項33】
請求項29乃至32のうち何れか一項記載の浮き土台であって、上記タービンタワー(10)内に設けられ食料特に魚の食餌を貯蔵する室を有することを特徴とする浮き土台。
【請求項34】
請求項21乃至33のうち何れか一項記載の浮き土台であって、その浮き土台本体(6、13、16)同士の連結によって複数個の浮き土台をひとつながりにできることを特徴とする浮き土台。
【請求項35】
請求項21乃至33のうち何れか一項記載の浮き土台であって、上記浮き土台本体(6、13、16)の上又は下に海洋牧場設備(7)を設けたことを特徴とする浮き土台。
【請求項36】
請求項35記載の浮き土台であって、上記海洋牧場設備(7)が、硬い基礎面を提供するプラットフォームを有することを特徴とする浮き土台。
【請求項37】
請求項35又は36記載の浮き土台であって、ケージ(7)、網又はその類似物を有することを特徴とする浮き土台。
【請求項38】
請求項21乃至37のうち何れか一項記載の浮き土台であって、風力タービン(12)の電気出力に好適に電気接続された給餌用自動機械と、この魚類給餌用自動機械を含む稼働プラットフォーム(9)と、を有することを特徴とする浮き土台。
【請求項39】
請求項35乃至38のうち何れか一項記載の浮き土台であって、上記海洋牧場設備(7)が、プラスチックライン若しくはゴムラインから形成されたケージ(7)、ケージ(7)内にある可動式ネット、又はその双方を含むことを特徴とする浮き土台。
【請求項40】
請求項21乃至39のうち何れか一項記載の浮き土台であって、稼働プラットフォーム(9)を有し、この稼働プラットフォームが当該稼働プラットフォームに上陸するためのアクセスセグメント(26)を有することを特徴とする浮き土台。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2006−510524(P2006−510524A)
【公表日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−560123(P2004−560123)
【出願日】平成15年12月16日(2003.12.16)
【国際出願番号】PCT/IB2003/006011
【国際公開番号】WO2004/055272
【国際公開日】平成16年7月1日(2004.7.1)
【出願人】(505227984)エナーテック アーゲー (2)
【Fターム(参考)】