説明

風力回転コマ

【課題】静止し傾いた状態で回転面に接地しているコマに、補助具等を使わずに、息を吹き掛けるだけで回す事の出来るコマの提供を目的とした。
【解決手段】
少なくとも回転体2、回転用軸3、羽根4から成る風力回転コマ1において、その回転体2の下面中央部には回転用軸3を垂直状に設け、さらにその回転用軸3の長さLと回転体2の半径Rとの比(L/R)が0.35以下であるコマによって上記課題を解決した。図2に示す本発明の風力回転コマ1(回転面6の上に静止し傾いた状態)に、コマの上方から息を吹き掛けると、コマは水平状に起き上がり回転用軸3を軸にスムーズに回転する。息を更に吹き掛けると回り続ける。なお、この風力回転コマ1は、回転体2の下面中央部に回転用軸3を垂直状に設け、回転体2の上面部には羽根4を4枚、その中央部には心棒5を垂直状に設け、長さと半径の比率L/Rは0.27に設定したものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コマを回す際に紐や回転補助具などの助けを借りずに、静止し傾いて接地しているコマに息を吹き掛けるだけで回転させる事の出来る風力回転コマに関するものである。
【背景技術】
【0002】
日本には子供から大人まで親しまれているコマ(独楽)が古くからある。そのコマを回す方法としては手や紐類などが一般的であるが、最近では特許文献1や特許文献2の様な、コマに羽根を設けそれに息吹きかけ等の風の力を利用し回転させるものも提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3102085号
【特許文献2】特願2009−122527
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
コマを回す方法としては、上述の通り、最近では息吹きかけ等の風の力を利用する方法が提案されているが、静止状態のコマに息を吹き掛けただけで容易に回転させ得るまでにはまだ至っていない。特許文献1ではストローなどの助けを借りているし、特許文献2では保持フレームやスタンドなどの補助具を使用していて、もし補助具なしで回したい時はまず心棒をつまんでクルリとひねって回して息吹き掛けを行っている。
【0005】
従って、本発明はそうした補助具や補助手段などを使わずに、静止し傾いた状態で回転面に接地しているコマに息を吹き掛けるだけで、誰でも容易に回す事の出来るコマの提供を目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記課題を、少なくとも回転体2と回転用軸3と羽根4とから成る風力回転コマ1において、回転用軸3を回転体2の下面中央部に垂直状に設け、且つその回転用軸3の長さLと回転体2の半径Rとの比(L/R)が0.35以下である風力回転コマにより解決した。
【発明の効果】
【0007】
上記課題を、上述の回転用軸の設け方や回転用軸3と回転体2の長さと半径の比率の工夫等により解決した結果、次の様にだれでもいつでも室内外で楽しく遊べて、健康にも役立つコマが得られた。
【0008】
即ち、静止し傾いた状態で回転面に接地しているコマを、それに息を吹き掛けるだけで容易に回す事が出来る様になり、コマを手であらかじめ回しておくとか或いは補助具等の助けが必要であるとかいう事がなくなった。コマの回転が弱くなっても、息を吹き掛けてやれば再び元気を取り戻し回り続ける。
【0009】
また、本発明のコマを回す時は必ず息を吹き掛けるので、肺機能等の維持向上にも役立つものであり、楽しみながら健康面のプラスにもなるという一石二鳥の効果をも有する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】円形状の回転体を使用した本発明の風力回転コマ。
【図2】同上コマが静止し回転面上に傾斜している状態図。
【図3】逆円錐形状の回転用軸を使用した本発明の風力回転コマ。
【図4】六角形状の回転体を使用した本発明の風力回転コマ。
【図5】同上コマが静止し回転面上に傾斜している状態図。
【図6】オール紙製の軽量な本発明の風力回転コマ。
【発明を実施するための形態】
【0011】
補助具等の助けを借りる風力回転コマの場合でも、それがスムーズに回る為には、そのコマを構成している回転体2や回転用軸3、羽根4、心棒5などはバランスよく形成されている事が大切である。そのバランスの目安としては、例えば心棒5をつまんでクルリと回した時、少なくとも平面上でスムーズに回る事が大切である。しかし、そうしたバランス良く構成されているからといって、そのコマが静止し傾いた状態の時にそれに息を吹き掛けるだけで回転させる事は極めて難しい。
【0012】
そこで、上述のバランス良く構成されているコマをベースに、息吹き掛けだけで容易に回す事の出来るコマについて種々検討の結果、回転用軸3や回転体2などが強く関係している事を把握したので、それらについて更に検討工夫の結果、回転用軸3を回転体2の下面中央部に垂直状に設け、且つその回転用軸3の長さLと回転体2の半径Rとの比(L/R)が0.35以下であれば本発明目的のコマが得られ、課題を解決するに至った。
【0013】
回転用軸3の設け方に関しては、それが回転体2の下面の中央部でなかったり、垂直状でなかったりした場合には、回転の軸がぶれてバランスが崩れコマはスムーズに回らない。
【0014】
長さと半径の比率に関しては、回転用軸3の長さLと回転体2の半径Rとの比(L/R)が0.35を超えると、回転用軸3の長さが回転体2の大きさに比べて長くなり過ぎる為に、息吹き掛けだけで傾いた状態から水平状に起き上がらせる事が難しく、回転までに結び付ける事が難しいものと考えられる。また、その比率が零(0)の場合、即ち回転用軸3の長さが零(0)の場合は、回転体2の下面部分と回転面6とが接触し擦り合ってスムーズな回転が得られ難い。但し、本発明では、回転用軸3を必ず回転体2の下面部分に設けるので、比率が零(0)という事はない。
以下、本発明について実施例にもとづき更に説明する。
【実施例1】
【0015】
本実施例は、平面形状が円形状の回転体2を使用し、その上面部に羽根4と心棒5を、下面部に回転用軸3を設けた風力回転コマ1の実施例である。その実施例図を図1((イ)正面図、(ロ)平面図、(ハ)底面図)と図2(回転面6上で静止し傾いた状態の正面図)に示す。
【0016】
本実施例の風力回転コマ1は、図1に示す様に、円形板状の回転体2の上面部に羽根4を4枚、その中央部に棒状の心棒5を垂直状に設け、更に回転体2の下面中央部に下端先端部を丸状に形成した棒状の回転用軸3を回転体2に対し垂直状に設け、その回転用軸3の長さLと回転体2の半径Rとの比(L/R)は0.27に形成した。なお羽根4には紙を、それ以外の部分は木を使用し作った。
【0017】
この様にして形成の風力回転コマ1を、それを回すフラットな平面の回転面6の上に回さずに静止させて置けば、図2に示す様な傾いた状態となる。この状態の風力回転コマ1に上方から息を吹き掛ければ、風力回転コマ1は回転面6の上で図1の(イ)の様な起き上がった形でスムーズに回転する。回転を止めて静止させ再度繰り返しても同様に息吹き掛けだけでスムーズな回転が得られた。即ち、心棒5をつまんでクルリとあらかじめ回したり、或いは回転用補助具類の使用の必要はなく、息の吹き掛けだけで回す事が出来た。回転がゆっくりとなってきたら上方から息を吹きかければ元気をまた取り戻し回り続ける。
【実施例2】
【0018】
本実施例は、実施例1の回転用軸3の形状を変えた実施例で、図3((イ)正面図、(ロ)回転面6上で静止し傾いた状態の正面図)にその実施例図を示す。回転用軸3の形状を変えた以外は実施例1と同様である。
【0019】
回転用軸3として、実施例1では棒状のものを使用したが、本実施例では逆円錐形状のものを使用した。その下端先端部は丸状に形成しておく。この形状の回転用軸3を回転体2の下面中央部に垂直状に、即ち、図3の(イ)に示す様に、回転用軸3の中心軸を回転面6に垂直状にした時に回転体2と回転面6とが並行状になる様に設ける。
【0020】
この様に形成の風力回転コマ1を静止させると、図3の(ロ)の様に傾く。Rは実施例1と同じく回転体2の半径、Lは回転用軸3の下端先端部から回転体2迄の長さ即ち回転用軸3の長さで、その比(L/R)は実施例1と同じく0.27に設定。
この風力回転コマ1を静止させ図3の(ロ)の傾斜状態とし、それに息を吹き掛けると、その息吹き掛けだけで実施例1の場合と同様にコマはスムーズに回転した。この様に回転用軸3が円錐状であっても支障なく回転する。
【実施例3】
【0021】
本実施例は、回転体2の平面形状が正六角形状で、回転用軸3の長さLと回転体2の半径Rとの比(L/R)を0.18、羽根4は6枚設けた風力回転コマ1の実施例である。その実施例図を図4((イ)正面図、(ロ)平面図)と図5(回転面6上で静止し傾いた状態の正面図)に示す。回転体2の形状、羽根の形状と枚数、長さと半径の比率は異なっているが、コマの構成部材等は実施例1と同様であるので、実施例1と同じ要領で図4に示す風力回転コマ1を形成した。
【0022】
本実施例の場合、回転体2は円形ではなく多角形(六角形)であるので、静止時に回転面6に接地する部位は、実施例1の時の様に点での接地ではなく、辺での接地となる。即ち、図4の(ロ)に示す左の辺Eで接地し図5に示す様に傾斜する。従って、こうした場合には、この接地辺Eの中央点と回転体2の中心との距離を半径Rとして使用する。回転用軸3の長さLは、実施例1と同様に図4、図5に示す長さLを使用する。
【0023】
本実施例では羽根4は6枚使用している。これは、回転体2が六角形なので、それに合わせて6枚の羽根を使用しバランスよく回転する様にした。その羽根4の形状も実施例1とは異なる形状とした。実施例1では、図1に示す様に、平面形状は直線状で、正面形状は外周部が低くなる扇状のものを使用したが、本実施例では、図4に示す様に、平面形状はL字状に湾曲した形で、正面形状は矩形状(長方形状)のものを使用した。この様に平面形状がL字状や弓形状等に湾曲した羽根を使用すると、羽根が風を効率良く受け止めてコマの回転がスムーズで良く回るというメリットがある。
【0024】
本実施例のコマも、実施例1や2のコマと同様に、図5の静止し傾斜している状態のものに上方から息を吹き掛けるだけで回り、回転が弱くなってきたら再度息を吹き掛けてやると元気をまた取り戻し回り続ける。
【実施例4】
【0025】
本実施例は、実施例1と同様に平面形状が円形状の回転体2を使用したものであるが、その回転体2には回転用軸3と羽根4のみを設け、心棒5は設けずに形成した実施例である。その実施例図を図6((イ)正面図、(ロ)平面図、(ハ)底面図)に示す。
【0026】
本実施例では、材料はすべて紙を使用し、8枚の羽根4を設け、回転用軸3の長さLと回転体2の半径Rとの比(L/R)は0.06とした。実施例1と異なり回転体2にも紙(厚紙)を使用したので、薄くて軽いコマとなった。長さと半径の比率を0.06と小さく設定したので、回転用軸3には球体をカットした半球状の短いものを使用した。この風力回転コマ1も、静止し傾いて接地している状態のものに息を吹き掛けると、実施例1のコマと同様に大変スムーズに回り始め楽しい風力回転コマを提供してくれる。
【0027】
使用材料としては、本実施例では紙のみを、他の実施例では木も使用したが、息吹き掛け等に耐えてコマの回転等に支障を来さないものであれば、木や紙以外のもの例えば樹脂類その他の素材、或いはそれらの複合材等も使用できる。また、心棒5は設けなくとも本実施例の様にスムーズに息で回す事が出来る。しかし、回転体2、回転用軸3、羽根4は、本発明の風力回転コマ1には必ず必要である。なお、回す為に息を吹き掛けるが、息と同様に羽根4の部分を狙って風を当てる事の出来るものであればファン類等も使用可能である。また、回転用軸3としては、必ずしも棒状でなくとも、例えば本実施例や実施例2に示す様な球形状や錐形状のものなども使用出来る。
【符号の説明】
【0028】
1、風力回転コマ
2、回転体
3、回転用軸
4、羽根
5、心棒
6、回転面
E、接地辺

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも回転体2と回転用軸3と羽根4とから成る風力回転コマ1において、回転用軸3を回転体2の下面中央部に垂直状に設ける事、及びその回転用軸3の長さLと回転体2の半径Rとの比(L/R)が0.35以下である事を特徴とした風力回転コマ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−55667(P2012−55667A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−222742(P2010−222742)
【出願日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(597110124)
【Fターム(参考)】