説明

風力発電装置及び発電システム

【課題】太陽電池アレイを支持する架台部分のスペースを有効活用するとともに、日射のないときにも発電を行うことができる風力発電装置を提供する。
【解決手段】風力発電装置1は、側面に開口部14aが設けられている筐体14と、筐体14内に収容されている風車10と、風車10の回転軸に連結された発電機12と、筐体14の上部に設けられ、所定の傾斜をつけて太陽電池アレイ20を支持することができる支持部16と、を備える。支持部16の載荷板16aの下側スペースに発電機12が設置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の屋根面等において太陽電池アレイと共に設置される風力発電装置、及びこの風力発電装置を有する発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化対策の1つとして、二酸化炭素の発生がなく自然エネルギーにより発電する太陽光発電装置の普及が進んでいる(例えば特許文献1、2、3参照)。太陽光発電装置は、複数の太陽電池モジュールがアレイ状に配置された太陽電池アレイを備えており、この太陽電池アレイは、平地、建築物の屋上、住宅の屋根などに設置されている。
【0003】
平地や建築物の屋上等の平坦な場所では、太陽光発電装置の発電効率を向上させるために、架台を使用して、太陽光の角度を考慮した傾斜をつけて太陽電池アレイを設置している。また、太陽電池アレイを住宅の屋根に簡便に設置する方法として、金具で架台を屋根に固定し、この架台上に太陽電池アレイを設置する方法が知られている。
【0004】
このように、従来の太陽電池アレイは架台上に設置されていたが、この架台部分のスペースは有効活用されていなかった。また、太陽光発電装置は悪天候や夜間等の日射のない時は発電できないため、このような時にも自然エネルギーを利用して発電を行うことが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−45852号公報
【特許文献2】特開平10−140686号公報
【特許文献3】特開平5−89330号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、太陽電池アレイを支持する架台部分のスペースを有効活用するとともに、日射のないときにも発電を行うことができる風力発電装置、及びこの風力発電装置を有する発電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明(請求項1)の風力発電装置は、側面に開口部が設けられている筐体と、前記筐体内に収容されている風車と、前記風車の回転軸に連結された発電機と、前記筐体の上部に設けられ、所定の傾斜をつけて太陽電池アレイを支持することができる支持部と、を備えるものである。
【0008】
本発明の一態様による風力発電装置においては、前記筐体又は前記支持部に取り付けられ、前記開口部への風量を調整する風量調整板をさらに備え、前記風車は垂直軸型風車である。
【0009】
本発明の一態様による風力発電装置においては、前記発電機は、前記筐体の上面と前記支持部の載荷板との間に設けられる。
【0010】
本発明(請求項4)の発電システムは、前記風力発電装置が水平方向に複数連結されているものである。
【0011】
本発明(請求項5)の発電システムは、垂直方向に連結され、側面に開口部が設けられている複数の筐体と、前記複数の筐体内に収容されている複数の風車と、前記複数の風車の回転軸に連結された発電機と、最上段の筐体の上部に設けられ、所定の傾斜をつけて太陽電池アレイを支持することができる支持部と、を備えるものである。
【0012】
本発明(請求項6)の発電システムは、側面に開口部が設けられている筐体と、前記筐体内に収容されている風車と、前記風車の回転軸に連結され、第1交流電力を発電する発電機と、太陽光を利用して第1直流電力を発電する太陽電池アレイと、前記筐体の上部に設けられ、所定の傾斜をつけて前記太陽電池アレイを支持する支持部と、前記第1交流電力を第2直流電力に変換するコントローラと、前記第1直流電力及び前記第2直流電力を充電する蓄電池と、前記蓄電池に充電されている直流電力を第2交流電力に変換して負荷に供給するインバータと、を備えるものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の風力発電装置によれば、太陽電池アレイを支持する架台部分のスペースを有効活用するとともに、日射のないときにも発電を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係る風力発電装置の外観図である。
【図2】同実施形態に係る発電システムの外観図である。
【図3】同実施形態に係る発電システムのブロック図である。
【図4】変形例による風力発電システムの外観図である。
【図5】変形例による発電システムの外観図である。
【図6】変形例による風力発電システムの外観図である。
【図7】変形例による発電システムの外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
図1に本発明の実施形態に係る風力発電装置の外観を示す。風力発電装置1は、風車10と、風車10の回転軸に連結された発電機12と、風車10を収容する筐体14と、太陽電池アレイ(図示せず)を支持可能な支持部16とを備えている。
【0017】
風車10は、風向きに対して回転軸が垂直な垂直軸型風車であり、風向きの制御を必要としない。また、風車10を垂直軸型風車とすることで、太陽電池アレイを上方に載置することで筐体14内における風が乱れても、風車10を効率良く回転させることができる。風車10の回転軸の上端及び下端を軸承する軸受(図示略)は、筐体14の上面(天井部)と下面(底版部)にそれぞれ設けられている。発電機12は、風車10の回転により発電を行う。発電機12は、例えば筐体14の上面に設置することができる。
【0018】
筐体14は、金属又は樹脂で形成された直方体形状の箱型になっており、4側面に開口部14aが設けられ、風が通り抜けるようになっている。
【0019】
支持部16は、筐体14上に設けられている。該支持部16の上面部を構成する載荷板16aは、筐体14の上面に対して所定の傾斜角θをなしている。傾斜角θは、風力発電装置1の設置場所の緯度、及び支持部16上に支持される太陽電池アレイの構造に基づいて決定される。
【0020】
支持部16は、金属又は合成樹脂で形成される。筐体14及び支持部16を形成する材料は同じでもよいし、異なっていてもよい。支持部16及び筐体14は、太陽電池アレイの荷重に耐えられる耐重量性能を有しているものとする。支持部16及び筐体14を構成する金属材料としては例えばアルミ、ステンレス等を使用することができ、合成樹脂材料としては耐候性に優れたものを使用する。
【0021】
図1に示すように、筐体14には、開口部14aへの風量を調整するための風量調整板18がロック付きヒンジ(図示略)等により設置角度調節可能に設けられている。風量調整板18の角度を変えることで、風車10が受ける風量を調整することができる。この風量調整板18により、強風で風車10が故障することを防止できる。この風量調整板18は、支持部16に支持される太陽電池アレイに接触しないように設けられる。風量調整板18は支持部16に取り付けられていてもよい。
【0022】
このような風力発電装置1上に太陽電池アレイを載置した発電システムの外観を図2に示し、ブロック構成を図3に示す。
【0023】
図2に示すように、太陽電池アレイ20は、風力発電装置1の支持部16の載荷板16a上に設置される。太陽電池アレイ20は、複数の太陽電池モジュール(太陽電池パネル)を直並列に接続したものである。また、太陽電池モジュールは、太陽電池(セル)を複数枚直並列接続して必要な電圧及び電流を得られるようにしたものである。
【0024】
風力発電装置1の筐体10を住宅の屋根等に固定し、太陽電池アレイ20を支持部16に取り付けることで、太陽電池アレイ20を設置することができる。
【0025】
図3に示すように、この発電システムは、太陽光発電及び風力発電による電力を、電気器具等の負荷50に供給するものである。太陽電池アレイ20で発電された直流電力は、太陽電池コントローラ30により負荷供給電力P1及び蓄電池充電電力P2になる。負荷供給電力P1は、インバータ(DC/AC)34により交流電力P3に変換され、負荷50に供給される。また、蓄電池充電電力P2は蓄電池36に充電される。
【0026】
風力発電装置1の発電機12により発電された交流電力は、風力発電コントローラ32により直流電力P4となり、蓄電池36に充電される。風力発電装置1の出力電力は、風の吹き具合によって不安定になり得るが、蓄電池36に一旦充電することで安定した出力となる。
【0027】
放電コントローラ38は、蓄電池36に充電された直流電力をインバータ(DC/AC)40を用いて交流電力P5に変換し、負荷50に供給する。
風力発電装置1は風が吹いているときは昼夜・天候を問わず発電することができる。そのため、この発電システムによれば、太陽光発電装置が発電できない悪天候や夜間等の日射のない時にも発電を行うことができる。
【0028】
また、太陽電池アレイ20は、支持部16により所望の傾斜をつけて設置できるため、太陽電池アレイ20を太陽高度に合わせることができ、発電効率を向上させることができる。
【0029】
また、本実施形態では、太陽電池アレイ20を支える筐体14部分に風車10を設けて風力発電装置1を構成する。そのため、従来デッドスペースとなっていた太陽電池アレイ20の架台部分を有効活用することができる。また、風力発電装置1の発電機12を、筐体14と支持部16の載荷板16aとの間の空間に設置しているので、支持部16の傾斜により生じる空間を有効活用することができる。
【0030】
図2では、発電機及び太陽電池アレイが1セットずつ設けられているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図4及び図5に示すように、水平方向に連結した複数の風力発電装置1の上に、太陽電池アレイ20を取り付けてもよい。さらに、図示は省略するが、このように水平方向に連結した複数の風力発電装置1を有する風力発電システムを互いに平行に複数配置してもよい。
【0031】
また、図6及び図7に示すように垂直方向に連結した複数の風力発電装置1の上に、太陽電池アレイ20を取り付けてもよい。なお、この場合、最上段以外の風力発電装置1は、支持部16を省略した構成となる。また、複数の風力発電装置1の風車10の回転軸を同一にし、この回転軸に発電機12が連結されるようにしてもよい。さらに、垂直方向に連結した複数の風力発電装置1を有する風力発電システムを互いに平行に複数配置してもよい。
【0032】
上記実施形態では、風車10として、サボニウス型風車やダリウス型風車など様々なタイプの垂直軸型風車を使用することができる。また、垂直軸型風車でなくプロペラ型風車のような水平軸型の風車を用いてもよい。プロペラ型風車では、風向きに対する制御が必要となるが、強風時に風を受け逃がす機構と併用することができ、その場合、風量調整板18を省略することができる。
【0033】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で上記以外の種々の構成をとりうる。
【符号の説明】
【0034】
1 風力発電装置
10 風車
12 発電機
14 筐体
16 支持部
18 風量調整板
20 太陽電池アレイ
30 太陽電池コントローラ
32 風力発電コントローラ
34 インバータ
36 蓄電池
38 放電コントローラ
40 インバータ
50 負荷

【特許請求の範囲】
【請求項1】
側面に開口部が設けられている筐体と、
前記筐体内に収容されている風車と、
前記風車の回転軸に連結された発電機と、
前記筐体の上部に設けられ、所定の傾斜をつけて太陽電池アレイを支持することができる支持部と、
を備えた風力発電装置。
【請求項2】
前記筐体又は前記支持部に取り付けられ、前記開口部への風量を調整する風量調整板をさらに備え、
前記風車は垂直軸型風車であることを特徴とする請求項1に記載の風力発電装置。
【請求項3】
前記発電機は、前記筐体の上面と前記支持部の載荷板との間に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の風力発電装置。
【請求項4】
請求項1に記載された風力発電装置が水平方向に複数連結されていることを特徴とする発電システム。
【請求項5】
垂直方向に連結され、側面に開口部が設けられている複数の筐体と、
前記複数の筐体内に収容されている複数の風車と、
前記複数の風車の回転軸に連結された発電機と、
最上段の筐体の上部に設けられ、所定の傾斜をつけて太陽電池アレイを支持することができる支持部と、
を備えた発電システム。
【請求項6】
側面に開口部が設けられている筐体と、
前記筐体内に収容されている風車と、
前記風車の回転軸に連結され、第1交流電力を発電する発電機と、
太陽光を利用して第1直流電力を発電する太陽電池アレイと、
前記筐体の上部に設けられ、所定の傾斜をつけて前記太陽電池アレイを支持する支持部と、
前記第1交流電力を第2直流電力に変換するコントローラと、
前記第1直流電力及び前記第2直流電力を充電する蓄電池と、
前記蓄電池に充電されている直流電力を第2交流電力に変換して負荷に供給するインバータと、
を備えた発電システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−197675(P2012−197675A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−60593(P2011−60593)
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【出願人】(000001063)栗田工業株式会社 (1,536)
【Fターム(参考)】