風力発電設備における仮設用の避雷針及びその避雷針の施工方法
【課題】この発明は、施工期間中の風力発電設備に設ける仮設用の避雷針及びその避雷針の施工方法の提供を目的とするものである。
【解決手段】風力によって羽根を回転させ、当該回転力を利用して発電する風力発電設備の施工中に設ける避雷針において、当該風力発電設備のナセルカバー8の長手方向に複数設けられている吊り上げ用フック10上に、複数の支持部材13が立設され、各支持部材13の先端は金属製線14で接続され、また各支持部材13は支持部材13を流れる電流が地絡するように地面と接続され、支持部材13は、下部が二股に分かれており、支持部材13の二股部下端の前後に二つのアングル材を固定して当該アングル材の中央部間に間隙を設け、当該間隙に前記吊り上げ用フック10を嵌め入れ、前記各アングル材及び吊り上げ用フック10に予め設けられた貫通孔にねじ部材を通してナットで締め付け、ナセルカバー8の上面に固定した。
【解決手段】風力によって羽根を回転させ、当該回転力を利用して発電する風力発電設備の施工中に設ける避雷針において、当該風力発電設備のナセルカバー8の長手方向に複数設けられている吊り上げ用フック10上に、複数の支持部材13が立設され、各支持部材13の先端は金属製線14で接続され、また各支持部材13は支持部材13を流れる電流が地絡するように地面と接続され、支持部材13は、下部が二股に分かれており、支持部材13の二股部下端の前後に二つのアングル材を固定して当該アングル材の中央部間に間隙を設け、当該間隙に前記吊り上げ用フック10を嵌め入れ、前記各アングル材及び吊り上げ用フック10に予め設けられた貫通孔にねじ部材を通してナットで締め付け、ナセルカバー8の上面に固定した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、施工期間中の風力発電設備に設ける仮設用の避雷針、及びその避雷針の施工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
風力発電設備は通常、風量が多く、遮蔽物の少ない土地、海岸、丘陵地等に建設される。また、風力発電設備の高さは、風力発電設備の種類にもよるが、大きいもので100メートルを超えるものもある。従って、落雷の影響を受けやすい。
【0003】
通常の風力発電設備は、構造上、ブレード(=羽根)の部分が一番高い位置にあることになるが、当該ブレードの部分に落雷しても、大電流に耐えられる接地線を当該ブレードから地面まで引き下げ、地絡(=アース)される構成となっている。または、特許文献1に示すように、当該ブレードが絶縁体で形成され、またナセル上に避雷針を設置する構成となっている。つまり、完成後の風力発電設備においては、種々の落雷対策がなされており、たとえ落雷しても、当該風力発電設備が雷電流によって破損したり焼損したりする可能性は少ない。
【特許文献1】特開2001−123934
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、風力発電設備の施工を開始してから完成するまでには、通常約2〜3週間の期間が必要である。この風力発電設備の施工期間中は、当該風力発電設備に避雷針等を設ける等の落雷対策がなされておらず、当該風力発電設備に落雷した場合には、雷電流によって破損したり焼損したりするおそれがあった。
【0005】
そこで、この発明は、上記従来技術を考慮したものであって、施工期間中の風力発電設備に設ける仮設用の避雷針及びその避雷針の施工方法の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、請求項1の発明では、風力によって羽根を回転させ、当該回転力を利用して発電する風力発電設備の施工中に設ける避雷針において、
当該風力発電設備のナセルカバーの長手方向に複数設けられている吊り上げ用フック上に、複数の棒状の導体が立設され、各導体の先端部は金属製線で接続され、
また各導体は当該導体を流れる電流が地絡するように地面と接続され、
前記導体は、下部が二股に分かれた支持部材から成り、当該支持部材の二股部下端の前後に二つのアングル材を固定して当該アングル材の中央部間に間隙を設け、当該間隙に前記吊り上げ用フックを嵌め入れ、前記各アングル材及び吊り上げ用フックに予め設けられた貫通孔にねじ部材を通してナットで締め付け、ナセルカバーの上面に固定した、仮設用避雷針とした。
【0007】
請求項2の発明では、前記風力発電設備のロータ軸の外周に設けられている既設のねじ孔を利用して棒状の導体を当該箇所に当接させ、その上からねじ部材を螺着して、当該導体の下部をナセルの前面に固定し、当該導体の先端部と、請求項1に記載の導体の先端部とを金属製線で接続した、請求項1に記載の仮設用避雷針とした。
【0008】
請求項3の発明では、ロータ軸の外周付近のナセルカバーの内側から外側に、棒状の導体を突き出させて固定した、請求項1に記載の仮設用避雷針とした。
【0009】
請求項4の発明では、請求項3に記載の棒状の導体の先端部と、請求項1に記載の棒状の導体の先端部とを、金属製線で接続した、請求項3に記載の仮設用避雷針とした。
【0010】
請求項5の発明では、前記導体が、ナセルの幅方向に左右に突き出した横棒を有した略T字型又は略十字型であって、各導体の当該横棒の複数の箇所は金属製線で接続されている、請求項1に記載の仮設用避雷針とした。
【0011】
請求項6の発明では、請求項2に記載の導体又は請求項3に記載の導体が、ナセルの幅方向に左右に突き出した横棒を有した略T字型又は略十字型であって、当該導体の横棒と、請求項5に記載の各導体の横棒の複数の箇所は金属製線で接続されている、請求項5に記載の仮設用避雷針とした。
【0012】
請求項7の発明では、風力によって羽根を回転させ、当該回転力を利用して発電する風力発電設備の施工中に設ける避雷針において、
当該風力発電設備のナセルの外周が金属製のネットで覆われ、当該ネットは当該ネットを流れる電流が地絡するように地面と接続されている、仮設用避雷針とした。
【0013】
請求項8の発明では、前記ネットは外側面から複数の棒状の導体が突き出している、請求項7に記載の仮設用避雷針とした。
【0014】
請求項9の発明では、風力によって羽根を回転させ、当該回転力を利用して発電する風力発電設備の施工中に設ける避雷針において、
当該風力発電設備の支柱の上端部からナセルの幅方向に左右に、井桁状又は格子状に組んだ棒状の導体が突き出されており、
当該導体は当該導体を流れる電流が地絡するように地面と接続されている、仮設用避雷針とした。
【0015】
請求項10の発明では、風力によって羽根を回転させ、当該回転力を利用して発電する風力発電設備の施工中に設ける避雷針において、
当該風力発電設備のナセルカバーの長手方向に複数設けられている吊り上げ用フック上に、複数の棒状の導体が立設され、
当該導体は、ナセルの幅方向に左右に突き出した横棒を有した略T字型又は略十字型であり、
ナセル上の長手方向に立設された複数の導体の上、及びナセル外周に金属製のネットが被せられ、
また前記各導体は当該導体を流れる電流が地絡するように地面と接続されており、
前記導体は、下部が二股に分かれた支持部材から成り、当該支持部材の二股部下端の前後に二つのアングル材を固定して当該アングル材の中央部間に間隙を設け、当該間隙に前記吊り上げ用フックを嵌め入れ、前記各アングル材及び吊り上げ用フックに予め設けられた貫通孔にねじ部材を通してナットで締め付け、ナセルカバーの上面に固定した、仮設用避雷針とした。
【0016】
請求項11の発明では、風力によって羽根を回転させ、当該回転力を利用して発電する風力発電設備の施工中に仮設用避雷針を設置する施工方法であって、
棒状の導体を当該風力発電設備のナセルカバーの長手方向に複数設けられている吊り上げ用フックに夫々立設するステップと、
当該各棒状の導体の先端又は横棒を金属製線で接続するステップと、
当該各棒状の導体を、当該導体を流れる電流が地絡するように地面と接続するステップを有する、請求項1又は5に記載の仮設用避雷針の施工方法とした。
【0017】
請求項12の発明では、前記吊り上げ用フックに夫々立設するステップ及び前記金属製線で接続するステップを予め地上で行い、仮設用の避雷針が設置されたナセルカバーを吊り上げて、風力発電設備のナセルに被せる、請求項11に記載の仮設用避雷針の施工方法とした。
【発明の効果】
【0018】
請求項1〜12の発明によれば、施工期間中の風力発電設備に、設置が容易な仮設用の避雷針を設ける構成としたため、施工期間中の当該風力発電設備への落雷を遮蔽し、当該風力発電設備が雷電流によって破損したり焼損したりすることを回避するものである。
【0019】
また、請求項1及び5の発明によれば、風力発電設備のナセルカバーにあらかじめ設けられている吊り上げ用のフックを利用して、導体を立設する構成としたため、既存の風力発電設備を改造せずに、そのまま仮設用の避雷器を取り付けることができ、便宜である。
【0020】
また特に、請求項3の発明によれば、ロータ軸の外周付近のナセルカバーの内側から外側に、棒状の導体を突き出させて固定する構成としたため、作業員は、ナセルカバーの内側で作業を行うことによって、棒状の導体をナセルカバーの内側から外側に突き出させて固定することができ、作業員の作業負担が軽減され、作業の安全性が高まる。更に、請求項3の発明によれば、請求項1の発明の構成に加えて、ロータ軸の外周付近のナセルカバーの内側から外側に、棒状の導体を突き出させるため、避雷針の保護範囲がさらに広がって、落雷に対する風力発電設備の安全性が高まり、便宜である。
【0021】
また特に、請求項5の発明によれば、風力発電設備のナセルカバーに設けられている吊り上げ用のフックを利用して複数の略T字型又は略十字型の導体を立設し、各導体の複数の箇所を金属製線で接続する避雷針を設ける構成としたため、避雷針の保護範囲が広がって、落雷に対する風力発電設備の安全性が高まり、便宜である。
【0022】
また請求項2、4、6の発明によれば、請求項1又は請求項5の発明の構成に加えて、ナセルの前端部に棒状の導体を立設し、又はロータ軸の外周付近のナセルカバーの内側から外側に、棒状の導体を突き出させ、当該棒状の導体と、ナセルカバーに設けられている吊り上げ用のフックを利用して立設した導体とを金属製線で接続するため、避雷針の保護範囲がさらに広がって、落雷に対する風力発電設備の安全性が高まり、便宜である。
【0023】
また、雷雲が流れると雲の中に発生した電荷もそれに伴い移動するため、地表に誘起される反対の電荷との間に電位差が生じ、誘導雷が発生する。そしてこの誘導雷には、雲にプラスの電荷が発生するのか、マイナスの電荷が発生するのかによって、雷雲から地表に電流が流れる場合と、地表から雷雲に電流が流れる場合がある。そこで特に請求項7の発明によれば、風力発電設備のナセルの外周を金属製のネットで覆う構成としたため、また請求項8の発明によれば、風力発電設備のナセルの外周を複数の棒状の導体が突き出した金属製のネットで覆う構成としたため、通常の落雷や誘導雷によって、上空や雷雲から、地表に電流が流れる場合だけでなく、地表から、上空や雷雲に電流が流れる場合についても、雷を遮蔽することが可能となり、便宜である。また、金属製のネットをナセルに被せる構成としたため、取り付けや取り外しが非常に簡単で、便宜である。
【0024】
また特に請求項9の発明によれば、風力発電設備の支柱の上端部からナセルの幅方向に左右に、井桁状又は格子状に組んだ棒状の導体を突き出す構成としたため、通常の落雷や誘導雷によって、地表から、上空や雷雲に電流が流れる場合について、雷を遮蔽することが可能となり、便宜である。
【0025】
また特に請求項10の発明によれば、風力発電設備のナセルカバーに設けられている吊り上げ用のフックを利用して複数の略T字型又は略十字型の導体を立設し、当該複数の略T字型又は略十字型の導体の上、及びナセルの外周に金属製のネットを被せる構成とすることによって、ネットとナセルの外周との間に距離ができ、より安全に雷を遮蔽することができるだけでなく、ネットの風力発電設備のナセルカバーに接触する部分が少なくなり、ナセルカバーに傷をつけない。さらに、ネットを複数の略T字型又は略十字型の導体の上、及びナセルの外周に被せる構成としたため、避雷針の保護範囲がナセル全体となり、ナセルカバーに立設する略T字型又は略十字型の導体の高さを、例えば1m以下にして、あまり高くする必要がなくなる。そのため、仮設用避雷針を設置する作業者の負担が軽減され、作業の安全性も高まる。
【0026】
また特に請求項12の発明によれば、予め地上でナセルカバーの上面に仮設用の避雷針を設置する構成とすることによって、高所にあるナセルカバーの上で仮設用避雷針を設置するという作業員の負担が軽減され、作業の安全性も高まる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
この発明は、風力によって羽根を回転させ、当該回転力を利用して発電する風力発電設備の施工中に設ける避雷針において、当該風力発電設備のナセルカバーの長手方向に複数設けられている吊り上げ用フック上に、複数の棒状の導体が立設され、各導体の先端は金属製線で接続され、また各導体は当該導体を流れる電流が地絡するように地面と接続され、前記棒状の導体は、下部が二股に分かれた支持部材から成り、当該支持部材の二股部下端の前後に二つのアングル材を固定して当該アングル材の中央部間に間隙を設け、当該間隙に前記吊り上げ用フックを嵌め入れ、前記各アングル材及び吊り上げ用フックに予め設けられた貫通孔にねじ部材を通してナットで締め付け、ナセルカバーの上面に固定した構成とすることにより、施工期間中の当該風力発電設備への落雷を遮蔽し、当該風力発電設備が雷電流によって破損したり焼損したりすることを回避するものである。
【実施例1】
【0028】
図1は、仮設用避雷針の設置前の、施工期間中の風力発電設備Aの構成を示す正面図である。施工期間中の風力発電設備Aは、一般的な風力発電設備と同様の構成であって、ナセル1とナセル1を支える支柱2とからなる。ナセル1は、ブレード(=羽根)を保持するロータ軸3、ロータ軸3に直結された増速器4、増速器4によって回転させられ、発電を行う発電機5、ロータ軸3の軸受装置6、発電機5の動作を制御する発電機制御装置7等を有しており、外面はナセルカバー8で覆われている。また、ナセルカバー8と支柱2との間にはスリップリング9が設けられている。なお、この風力発電設備Aは施工中であり、ブレードは取り付けられていない。またナセルカバー8の上面には、複数の吊り上げ用のフック10が設けられており、図2に示すこのフック10の貫通孔11を使用して、クレーン(図示省略)で地面から上空にナセルカバー8を持ち上げて、ナセル1に被せる。さらに、ナセルカバー8の上面の後端部には、風量計(図示省略)が設けられており、当該風量計を避雷させるための避雷針12が設けられている。
【0029】
上記のような状態の風力発電設備Aに仮設用の避雷針Bを設置する。具体的には、図3に示すように、本実施例における仮設用の避雷針Bは、棒状の導体からなる支持部材13をナセルカバー8の上面に設置されているフック10を利用して立設し、またロータ軸3の外周に設けられている既設のねじ孔を利用して棒状の導体からなる支持部材13’を設置する。そして各支持部材13及び13’の先端を金属製線14で接続して設置する。このような構成とするのは,送電線最上部の架空地線が落雷から遮蔽する役割を果たすのと同様の効果を、金属製線14で得るためである。そして、落雷によって仮設用の避雷針Bに流れた雷電流が地絡されるように、各支持部材13及び13’と、地面とを地絡線20で接続する。なお、ブレード(図示省略)用等に、既に風力発電設備Aに地絡線が設けられている場合には、ナセル1内に設けられた地絡線の端子に、前記支持部材13及び13’から導出した地絡線20を接続する。また図3に示すように、ナセルカバー8上面の後端部については、既に立設されている避雷針12に金属製線14を結びつけても良い。更に、風力発電設備Aを設ける地域が雪の多い地域である場合、遠赤外線を利用する融雪塗料を塗布した金属製線14を用いれば、金属製線14に日が当たると、遠赤外線が出るため、金属製線14に雪がつかない。また、金属製線14に例えば、送電線に取り付けられている積雪回避用の難着敷設リング(図示省略)を取り付けておけば、雪が金属製線14上に積っても、雪が成長する段階において回転するため、積った雪を自然に落とすことができる。そのため、雪の重みによって金属製線14にたるみが出たり、破断したりすることを防止できる。
【0030】
次に支持部材13をナセルカバー8の上面に設置されているフック10を利用して立設する施工方法について、図4及び図5を用いて具体的に説明する。図4の(A)図及び(B)図に示すように、支持部材13は、二股に分かれており、下部に支持補助材13aの上端が固定され、当該箇所から斜めに支持補助材13aが垂れており、これらの支持部材13の下端及び支持補助材13aの下端の前後両側に二つのアングル材15が固定され、このアングル材15とアングル材15との間の中央部は間隙15aを有している。またこれらの二つのアングル材15の中央部には貫通孔16が夫々設けられている。そして、図5の(A)図及び(B)図に示すように、前記フック10を前記二つのアングル材15の間の間隙15aに嵌め入れ、フック10の貫通孔11と二つのアングル材15の貫通孔16とが合わさるようにアングル材15を配置して、ねじ部材17をこれらの貫通孔11及び貫通孔16に通して他端をナット17aで締め付け、ねじ部材17でアングル材15とフック10を一緒に螺着する。なお、図5の(A)図に示すようにフック10上に立設させた支持部材13のアングル材15の両端下面にスペーサー18を設け、ナセルカバー8の上面とアングル材15の下面との隙間にスペーサー18を挟みながら、ねじ部材17でアングル材15とフック10を一緒に螺着すれば、立設された支持部材13に、がたつきが少なくなり、風圧荷重に対する強度も増す。また、ナセルカバー8の前端部については、図6に示すように、ロータ軸3の外周に設けられている既設のねじ孔を利用して支持部材13’を当該箇所に当接させ、その上からねじ部材19を螺着して、当該支持部材13’の下部をナセル1の前面に固定する。
【0031】
なお、本実施例では、ロータ軸3の外周に設けられている既設のねじ孔を利用して支持部材13’をナセル1の前面に固定する構成を示したが、図7及び図8に示すように、ロータ軸3の外周付近のナセルカバー8の内側から外側に、支持部材29を突き出させて固定する構成としても良い。この支持部材29は、棒状の導体で構成されている。又は、軽量化のため、グラスファイバー製等の樹脂製素材から構成されていても良い。その場合には、図7に示すように、銅線、アルミ線等の金属製線30を支持部材29に巻きつけ、支持部材29に導電性を持たせ、金属製線30の一端を地絡線20に接続する。また支持部材29は伸縮自在、あるいは部材を継ぎ足すことによって、長さを変えることのできる構成であることが望ましい。このように支持部材29をナセルカバー8の内側から外側に突き出させて固定する構成とすることによって、作業員は、ナセルカバー8の内側で作業を行うことによって、支持部材29をナセルカバー8の内側から外側に突き出させて固定することができ、作業員の作業負担が軽減され、作業の安全性が高まる。
【0032】
また、ナセルカバー8が風力発電設備Aに設置された状態で、作業員がナセルカバー8の上面に設けられた複数の各ハッチ(図示省略)から顔を出して、あるいはナセルカバー8の上面に立って、仮設用の避雷針Bを設置する。この場合、予め地上でナセルカバー8の上面に仮設用の避雷針Bを設置しても良い。その場合には、図9に示すように、フック10とアングル材15と共に、Uクレビス28をねじ部材17で一緒に螺着し、ナセルカバー8をクレーンで吊り上げる際には、ナセルカバー8に仮設用の避雷針Bを取り付けた状態のまま、このUクレビス28にクレーンのフックを引っ掛けて吊り上げ、ナセル1に被せることもできる。
【0033】
このように、風力発電設備Aに仮設用の避雷針Bを設置する構成とすることによって、施工期間中の当該風力発電設備への落雷を遮蔽する。従って、当該風力発電設備Aが雷電流によって破損したり焼損したりすることを回避することができる。また、仮設用避雷針Bは、主として支持部材13と金属製線14により成る簡単な構成であるため、設置作業が容易である。さらに、予め地上でナセルカバー8の上面に仮設用の避雷針Bを設置しておけば、高所にあるナセルカバー8の上で仮設用避雷針Bを設置するという作業員の作業負担が軽減され、作業の安全性が高まる。
【実施例2】
【0034】
図10は、風力発電設備Aに仮設用の避雷針Cが設置された状態を示す平面図である。本実施例における仮設用の避雷針Cは、図11に示すようにナセル1の幅方向に左右に突き出した横棒21を有した略T字型の導体からなる支持部材22及び22’をナセルカバー8の上面に設置されているフック10及びロータ軸3の外周のねじ孔を利用して立設し、各支持部材22及び22’の横棒21の複数の箇所を金属線14で接続して設置する。そして、落雷によって仮設用の避雷針Cに流れた雷電流が地絡されるように、各支持部材22及び22’と地面とを地絡線(図示省略)で接続する。なお、ブレード(図示省略)用等に、既に風力発電設備Aに地絡線が設けられている場合には、ナセル1内に設けられた地絡線の端子に、前記支持部材22及び22’から導出した地絡線を接続する。また図10に示すように、ナセルカバー8上面の後端部については、既に立設されている避雷針12に金属製線14を結びつけても良い。さらに、支持部材22及び支持部材22’の立設の方法は、実施例1の支持部材13及び支持部材13’の立設の方法と同様である。
【0035】
なお、本実施例においては、仮設用の避雷針Cは、略T字型の導体からなる支持部材22及び22’を用いる構成を示したが、これに限定されるものではなく、横棒が支持部材の中心部に配置されている、略十字型の支持部材(図示省略)を用いる構成でも良い。この略十字型の支持部材は、略十字型に成型されているものを用いても良いし、棒状の支持部材に針金等で横棒を固定しても良い。
【0036】
このように、風力発電設備Aに仮設用の避雷針Cを設置する構成とすることによって、避雷針の保護範囲が広がって、落雷に対する風力発電設備への遮蔽性が向上し、安全性も高まり、便宜である。
【0037】
なお、仮設用の避雷針Cの上記以外の構成及び作用は、実施例1の仮設用の避雷針Bと同様である。
【実施例3】
【0038】
図12は、風力発電設備Aに仮設用の避雷針Dが設置された状態を示す正面図である。本実施例における仮設用の避雷針Dは、風力発電設備Aのナセル1の外周を金属製のネット23で覆って設置する。そして、落雷によって仮設用の避雷針Dに流れた雷電流が地絡されるように、金属製のネット23と地面とを地絡線20で接続する。なお、ブレード(図示省略)用等に、既に風力発電設備Aに地絡線が設けられている場合には、ナセル1内に設けられた地絡線の端子に、前記金属製のネット23から導出した地絡線20を接続する。
【0039】
このように、風力発電設備Aに仮設用の避雷針Dを設置する構成とすることによって、通常の落雷や誘導雷によって、上空や雷雲から、地表に電流が流れる場合だけでなく、地表から、上空や雷雲に電流が流れる場合についても、遮蔽させることが可能となり、安全性が向上する。また、金属製のネット23をナセル1に被せる構成としたため、取り付けや取り外しが非常に簡単で、便宜である。
【0040】
また、金属製のネット23は、外側面から複数の棒状の導体(図示省略)が突き出している構成としても良い。このような構成とすれば、仮設用の避雷針Dによる遮蔽効果が向上する。なお、仮設用の避雷針Dの上記以外の構成及び作用は、実施例1の仮設用の避雷針Bと同様である。
【実施例4】
【0041】
図13は、風力発電設備Aに仮設用の避雷針Eが設置された状態を示す正面図である。本実施例における仮設用の避雷針Eは、風力発電設備Aの支柱2の上端部からナセル1の幅方向及び前後方向に、格子状に組んだ棒状の導体24を張り出させて設置する。そして、落雷によって仮設用の避雷針Eに流れた雷電流が地絡されるように、格子状に組んだ棒状の導体24と地面とを地絡線20で接続する。なお、ブレード(図示省略)用等に、既に風力発電設備Aに地絡線が設けられている場合には、ナセル1内に設けられた地絡線の端子に、前記格子状に組んだ棒状の導体24から導出した地絡線20を接続する。
【0042】
このように、風力発電設備Aに仮設用の避雷針Eを設置する構成とすることによって、通常の落雷や誘導雷によって、地表から、上空や雷雲に電流が流れる場合について、遮蔽効果を向上させることが可能となり、便宜である。なお、仮設用の避雷針Eの上記以外の構成及び作用は、実施例1の仮設用の避雷針Bと同様である。
【実施例5】
【0043】
図14は、風力発電設備Aに仮設用の避雷針Fが設置された状態を示す正面図である。本実施例における仮設用の避雷針Fは、ナセル1の幅方向に左右に突き出した横棒25を有する、略T字型の複数の導体からなる支持部材26及び26’を、ナセルカバー8の上面に複数設けられたフック10及びロータ軸3の外周のねじ孔を利用して立設し、支持部材26及び26’の上、及びナセル1の外周に金属製のネット27を被せて設置する。そして、落雷によって仮設用の避雷針Fに流れた雷電流が地絡されるように、支持部材26及び26’と地面とを地絡線20で接続する。なお、ブレード(図示省略)用等に、既に風力発電設備Aに地絡線が設けられている場合には、ナセル1内に設けられた地絡線の端子に、前記支持部材26及び26’から導出した地絡線20を接続する。また、支持部材26及び支持部材26’の立設の方法は、実施例1の支持部材13及び支持部材13’の立設の方法と同様である。なお、本実施例における避雷針Fの略T字型の支持部材26及び26’の形状は、実施例2と同様,略十字型でも良い。
【0044】
このように、風力発電設備Aに仮設用の避雷針Fを設置する構成とすることによって、金属製のネット27とナセル1の外周との間に距離ができ、より雷電流に対する遮蔽効果を向上させることができるだけでなく、金属製のネット27が風力発電設備Aのナセルカバー8に接触する部分が少なくなり、ナセルカバー8に傷をつけない。さらに、金属製のネット27をナセル1の外周に被せる構成としたため、避雷針の保護範囲がナセル全体となり、ナセルカバー8に立設させる略T字型の支持部材26及び26’の高さを、例えば1m以下にして、あまり高くする必要がなくなる。そのため、仮設用の避雷針を設置する作業者の負担が軽減され、作業の安全性も高まる。なお、仮設用の避雷針Fの上記以外の構成及び作用は、実施例1の仮設用の避雷針B、実施例2の仮設用の避雷針C、実施例3の仮設用の避雷針Dと同様である。
【0045】
なお本明細書において、支持部材13及び13’、支持部材22及び22’、支持部材26及び26’は導体であると述べたが、これは支持部材の素材自体が導体である場合だけでなく、支持部材の素材はグラスファイバー等の樹脂であって、導体ではないが、支持部材の外周に金属製線等を巻き付けて、支持部材に導電性を持たせるように構成した場合も含まれる概念である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】この発明に係る風力発電設備Aの構成を示す正面図である。
【図2】図1のフックの部分を拡大した一部拡大図である。
【図3】この発明に係る風力発電設備Aに仮設用の避雷針Bを設置した状態を示す正面図である。
【図4】この発明に係る仮設用の避雷針Bの支持部材を示すもので、(A)図は正面図及び(B)図はその一部拡大図である。
【図5】この発明に係る風力発電設備Aのフックに仮設用の避雷針Bの支持部材を立設した状態を示すもので、(A)図は正面図及び(B)図はそのG−G断面図である。
【図6】この発明に係る風力発電設備Aの前面に仮設用の避雷針Bの他の支持部材を取り付けた状態を示す側面図である。
【図7】この発明に係る風力発電設備Aにさらに他の支持部材を用いて仮設用の避雷針Bを設置した状態を示す正面図である。
【図8】この発明に係る風力発電設備Aにさらに他の支持部材を用いて仮設用の避雷針Bを設置した状態を示す平面図である。
【図9】この発明に係る風力発電設備Aのフックに仮設用の避雷針Bの支持部材及びUクレビスを螺着した状態を示す断面図である。
【図10】この発明に係る風力発電設備Aに仮設用の避雷針Cを設置した状態を示す平面図である。
【図11】この発明に係る風力発電設備Aの前面に仮設用の避雷針Cの他の支持部材を取り付けた状態を示す側面図である。
【図12】この発明に係る風力発電設備Aに仮設用の避雷針Dを設置した状態を示す正面図である。
【図13】この発明に係る風力発電設備Aに仮設用の避雷針Eを設置した状態を示す斜視図である。
【図14】この発明に係る風力発電設備Aに仮設用の避雷針Fを設置した状態の構成を示す正面図である。
【符号の説明】
【0047】
A:風力発電設備、B:仮設用の避雷針、C:仮設用の避雷針、D:仮設用の避雷針、E:仮設用の避雷針、F:仮設用の避雷針
1:ナセル、2:支柱、3:ロータ軸、4:増速器、5:発電機、6:軸受装置、7:発電機制御装置、8:ナセルカバー、9:スリップリング、10:フック、11:貫通孔、12:避雷針、13:支持部材、13’:支持部材、13a:支持補助材、14:金属製線、15:アングル材、16:貫通孔、17:ねじ部材、17a:ナット、18:スペーサー、19:ねじ部材、20:地絡線、21:横棒、22:支持部材、22’:支持部材、23:金属製のネット、24:格子状に組んだ棒状の導体、25:横棒、26:支持部材、26’:支持部材、27:金属製のネット、28:Uクレビス、29:支持部材、30:金属製線
【技術分野】
【0001】
この発明は、施工期間中の風力発電設備に設ける仮設用の避雷針、及びその避雷針の施工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
風力発電設備は通常、風量が多く、遮蔽物の少ない土地、海岸、丘陵地等に建設される。また、風力発電設備の高さは、風力発電設備の種類にもよるが、大きいもので100メートルを超えるものもある。従って、落雷の影響を受けやすい。
【0003】
通常の風力発電設備は、構造上、ブレード(=羽根)の部分が一番高い位置にあることになるが、当該ブレードの部分に落雷しても、大電流に耐えられる接地線を当該ブレードから地面まで引き下げ、地絡(=アース)される構成となっている。または、特許文献1に示すように、当該ブレードが絶縁体で形成され、またナセル上に避雷針を設置する構成となっている。つまり、完成後の風力発電設備においては、種々の落雷対策がなされており、たとえ落雷しても、当該風力発電設備が雷電流によって破損したり焼損したりする可能性は少ない。
【特許文献1】特開2001−123934
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、風力発電設備の施工を開始してから完成するまでには、通常約2〜3週間の期間が必要である。この風力発電設備の施工期間中は、当該風力発電設備に避雷針等を設ける等の落雷対策がなされておらず、当該風力発電設備に落雷した場合には、雷電流によって破損したり焼損したりするおそれがあった。
【0005】
そこで、この発明は、上記従来技術を考慮したものであって、施工期間中の風力発電設備に設ける仮設用の避雷針及びその避雷針の施工方法の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、請求項1の発明では、風力によって羽根を回転させ、当該回転力を利用して発電する風力発電設備の施工中に設ける避雷針において、
当該風力発電設備のナセルカバーの長手方向に複数設けられている吊り上げ用フック上に、複数の棒状の導体が立設され、各導体の先端部は金属製線で接続され、
また各導体は当該導体を流れる電流が地絡するように地面と接続され、
前記導体は、下部が二股に分かれた支持部材から成り、当該支持部材の二股部下端の前後に二つのアングル材を固定して当該アングル材の中央部間に間隙を設け、当該間隙に前記吊り上げ用フックを嵌め入れ、前記各アングル材及び吊り上げ用フックに予め設けられた貫通孔にねじ部材を通してナットで締め付け、ナセルカバーの上面に固定した、仮設用避雷針とした。
【0007】
請求項2の発明では、前記風力発電設備のロータ軸の外周に設けられている既設のねじ孔を利用して棒状の導体を当該箇所に当接させ、その上からねじ部材を螺着して、当該導体の下部をナセルの前面に固定し、当該導体の先端部と、請求項1に記載の導体の先端部とを金属製線で接続した、請求項1に記載の仮設用避雷針とした。
【0008】
請求項3の発明では、ロータ軸の外周付近のナセルカバーの内側から外側に、棒状の導体を突き出させて固定した、請求項1に記載の仮設用避雷針とした。
【0009】
請求項4の発明では、請求項3に記載の棒状の導体の先端部と、請求項1に記載の棒状の導体の先端部とを、金属製線で接続した、請求項3に記載の仮設用避雷針とした。
【0010】
請求項5の発明では、前記導体が、ナセルの幅方向に左右に突き出した横棒を有した略T字型又は略十字型であって、各導体の当該横棒の複数の箇所は金属製線で接続されている、請求項1に記載の仮設用避雷針とした。
【0011】
請求項6の発明では、請求項2に記載の導体又は請求項3に記載の導体が、ナセルの幅方向に左右に突き出した横棒を有した略T字型又は略十字型であって、当該導体の横棒と、請求項5に記載の各導体の横棒の複数の箇所は金属製線で接続されている、請求項5に記載の仮設用避雷針とした。
【0012】
請求項7の発明では、風力によって羽根を回転させ、当該回転力を利用して発電する風力発電設備の施工中に設ける避雷針において、
当該風力発電設備のナセルの外周が金属製のネットで覆われ、当該ネットは当該ネットを流れる電流が地絡するように地面と接続されている、仮設用避雷針とした。
【0013】
請求項8の発明では、前記ネットは外側面から複数の棒状の導体が突き出している、請求項7に記載の仮設用避雷針とした。
【0014】
請求項9の発明では、風力によって羽根を回転させ、当該回転力を利用して発電する風力発電設備の施工中に設ける避雷針において、
当該風力発電設備の支柱の上端部からナセルの幅方向に左右に、井桁状又は格子状に組んだ棒状の導体が突き出されており、
当該導体は当該導体を流れる電流が地絡するように地面と接続されている、仮設用避雷針とした。
【0015】
請求項10の発明では、風力によって羽根を回転させ、当該回転力を利用して発電する風力発電設備の施工中に設ける避雷針において、
当該風力発電設備のナセルカバーの長手方向に複数設けられている吊り上げ用フック上に、複数の棒状の導体が立設され、
当該導体は、ナセルの幅方向に左右に突き出した横棒を有した略T字型又は略十字型であり、
ナセル上の長手方向に立設された複数の導体の上、及びナセル外周に金属製のネットが被せられ、
また前記各導体は当該導体を流れる電流が地絡するように地面と接続されており、
前記導体は、下部が二股に分かれた支持部材から成り、当該支持部材の二股部下端の前後に二つのアングル材を固定して当該アングル材の中央部間に間隙を設け、当該間隙に前記吊り上げ用フックを嵌め入れ、前記各アングル材及び吊り上げ用フックに予め設けられた貫通孔にねじ部材を通してナットで締め付け、ナセルカバーの上面に固定した、仮設用避雷針とした。
【0016】
請求項11の発明では、風力によって羽根を回転させ、当該回転力を利用して発電する風力発電設備の施工中に仮設用避雷針を設置する施工方法であって、
棒状の導体を当該風力発電設備のナセルカバーの長手方向に複数設けられている吊り上げ用フックに夫々立設するステップと、
当該各棒状の導体の先端又は横棒を金属製線で接続するステップと、
当該各棒状の導体を、当該導体を流れる電流が地絡するように地面と接続するステップを有する、請求項1又は5に記載の仮設用避雷針の施工方法とした。
【0017】
請求項12の発明では、前記吊り上げ用フックに夫々立設するステップ及び前記金属製線で接続するステップを予め地上で行い、仮設用の避雷針が設置されたナセルカバーを吊り上げて、風力発電設備のナセルに被せる、請求項11に記載の仮設用避雷針の施工方法とした。
【発明の効果】
【0018】
請求項1〜12の発明によれば、施工期間中の風力発電設備に、設置が容易な仮設用の避雷針を設ける構成としたため、施工期間中の当該風力発電設備への落雷を遮蔽し、当該風力発電設備が雷電流によって破損したり焼損したりすることを回避するものである。
【0019】
また、請求項1及び5の発明によれば、風力発電設備のナセルカバーにあらかじめ設けられている吊り上げ用のフックを利用して、導体を立設する構成としたため、既存の風力発電設備を改造せずに、そのまま仮設用の避雷器を取り付けることができ、便宜である。
【0020】
また特に、請求項3の発明によれば、ロータ軸の外周付近のナセルカバーの内側から外側に、棒状の導体を突き出させて固定する構成としたため、作業員は、ナセルカバーの内側で作業を行うことによって、棒状の導体をナセルカバーの内側から外側に突き出させて固定することができ、作業員の作業負担が軽減され、作業の安全性が高まる。更に、請求項3の発明によれば、請求項1の発明の構成に加えて、ロータ軸の外周付近のナセルカバーの内側から外側に、棒状の導体を突き出させるため、避雷針の保護範囲がさらに広がって、落雷に対する風力発電設備の安全性が高まり、便宜である。
【0021】
また特に、請求項5の発明によれば、風力発電設備のナセルカバーに設けられている吊り上げ用のフックを利用して複数の略T字型又は略十字型の導体を立設し、各導体の複数の箇所を金属製線で接続する避雷針を設ける構成としたため、避雷針の保護範囲が広がって、落雷に対する風力発電設備の安全性が高まり、便宜である。
【0022】
また請求項2、4、6の発明によれば、請求項1又は請求項5の発明の構成に加えて、ナセルの前端部に棒状の導体を立設し、又はロータ軸の外周付近のナセルカバーの内側から外側に、棒状の導体を突き出させ、当該棒状の導体と、ナセルカバーに設けられている吊り上げ用のフックを利用して立設した導体とを金属製線で接続するため、避雷針の保護範囲がさらに広がって、落雷に対する風力発電設備の安全性が高まり、便宜である。
【0023】
また、雷雲が流れると雲の中に発生した電荷もそれに伴い移動するため、地表に誘起される反対の電荷との間に電位差が生じ、誘導雷が発生する。そしてこの誘導雷には、雲にプラスの電荷が発生するのか、マイナスの電荷が発生するのかによって、雷雲から地表に電流が流れる場合と、地表から雷雲に電流が流れる場合がある。そこで特に請求項7の発明によれば、風力発電設備のナセルの外周を金属製のネットで覆う構成としたため、また請求項8の発明によれば、風力発電設備のナセルの外周を複数の棒状の導体が突き出した金属製のネットで覆う構成としたため、通常の落雷や誘導雷によって、上空や雷雲から、地表に電流が流れる場合だけでなく、地表から、上空や雷雲に電流が流れる場合についても、雷を遮蔽することが可能となり、便宜である。また、金属製のネットをナセルに被せる構成としたため、取り付けや取り外しが非常に簡単で、便宜である。
【0024】
また特に請求項9の発明によれば、風力発電設備の支柱の上端部からナセルの幅方向に左右に、井桁状又は格子状に組んだ棒状の導体を突き出す構成としたため、通常の落雷や誘導雷によって、地表から、上空や雷雲に電流が流れる場合について、雷を遮蔽することが可能となり、便宜である。
【0025】
また特に請求項10の発明によれば、風力発電設備のナセルカバーに設けられている吊り上げ用のフックを利用して複数の略T字型又は略十字型の導体を立設し、当該複数の略T字型又は略十字型の導体の上、及びナセルの外周に金属製のネットを被せる構成とすることによって、ネットとナセルの外周との間に距離ができ、より安全に雷を遮蔽することができるだけでなく、ネットの風力発電設備のナセルカバーに接触する部分が少なくなり、ナセルカバーに傷をつけない。さらに、ネットを複数の略T字型又は略十字型の導体の上、及びナセルの外周に被せる構成としたため、避雷針の保護範囲がナセル全体となり、ナセルカバーに立設する略T字型又は略十字型の導体の高さを、例えば1m以下にして、あまり高くする必要がなくなる。そのため、仮設用避雷針を設置する作業者の負担が軽減され、作業の安全性も高まる。
【0026】
また特に請求項12の発明によれば、予め地上でナセルカバーの上面に仮設用の避雷針を設置する構成とすることによって、高所にあるナセルカバーの上で仮設用避雷針を設置するという作業員の負担が軽減され、作業の安全性も高まる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
この発明は、風力によって羽根を回転させ、当該回転力を利用して発電する風力発電設備の施工中に設ける避雷針において、当該風力発電設備のナセルカバーの長手方向に複数設けられている吊り上げ用フック上に、複数の棒状の導体が立設され、各導体の先端は金属製線で接続され、また各導体は当該導体を流れる電流が地絡するように地面と接続され、前記棒状の導体は、下部が二股に分かれた支持部材から成り、当該支持部材の二股部下端の前後に二つのアングル材を固定して当該アングル材の中央部間に間隙を設け、当該間隙に前記吊り上げ用フックを嵌め入れ、前記各アングル材及び吊り上げ用フックに予め設けられた貫通孔にねじ部材を通してナットで締め付け、ナセルカバーの上面に固定した構成とすることにより、施工期間中の当該風力発電設備への落雷を遮蔽し、当該風力発電設備が雷電流によって破損したり焼損したりすることを回避するものである。
【実施例1】
【0028】
図1は、仮設用避雷針の設置前の、施工期間中の風力発電設備Aの構成を示す正面図である。施工期間中の風力発電設備Aは、一般的な風力発電設備と同様の構成であって、ナセル1とナセル1を支える支柱2とからなる。ナセル1は、ブレード(=羽根)を保持するロータ軸3、ロータ軸3に直結された増速器4、増速器4によって回転させられ、発電を行う発電機5、ロータ軸3の軸受装置6、発電機5の動作を制御する発電機制御装置7等を有しており、外面はナセルカバー8で覆われている。また、ナセルカバー8と支柱2との間にはスリップリング9が設けられている。なお、この風力発電設備Aは施工中であり、ブレードは取り付けられていない。またナセルカバー8の上面には、複数の吊り上げ用のフック10が設けられており、図2に示すこのフック10の貫通孔11を使用して、クレーン(図示省略)で地面から上空にナセルカバー8を持ち上げて、ナセル1に被せる。さらに、ナセルカバー8の上面の後端部には、風量計(図示省略)が設けられており、当該風量計を避雷させるための避雷針12が設けられている。
【0029】
上記のような状態の風力発電設備Aに仮設用の避雷針Bを設置する。具体的には、図3に示すように、本実施例における仮設用の避雷針Bは、棒状の導体からなる支持部材13をナセルカバー8の上面に設置されているフック10を利用して立設し、またロータ軸3の外周に設けられている既設のねじ孔を利用して棒状の導体からなる支持部材13’を設置する。そして各支持部材13及び13’の先端を金属製線14で接続して設置する。このような構成とするのは,送電線最上部の架空地線が落雷から遮蔽する役割を果たすのと同様の効果を、金属製線14で得るためである。そして、落雷によって仮設用の避雷針Bに流れた雷電流が地絡されるように、各支持部材13及び13’と、地面とを地絡線20で接続する。なお、ブレード(図示省略)用等に、既に風力発電設備Aに地絡線が設けられている場合には、ナセル1内に設けられた地絡線の端子に、前記支持部材13及び13’から導出した地絡線20を接続する。また図3に示すように、ナセルカバー8上面の後端部については、既に立設されている避雷針12に金属製線14を結びつけても良い。更に、風力発電設備Aを設ける地域が雪の多い地域である場合、遠赤外線を利用する融雪塗料を塗布した金属製線14を用いれば、金属製線14に日が当たると、遠赤外線が出るため、金属製線14に雪がつかない。また、金属製線14に例えば、送電線に取り付けられている積雪回避用の難着敷設リング(図示省略)を取り付けておけば、雪が金属製線14上に積っても、雪が成長する段階において回転するため、積った雪を自然に落とすことができる。そのため、雪の重みによって金属製線14にたるみが出たり、破断したりすることを防止できる。
【0030】
次に支持部材13をナセルカバー8の上面に設置されているフック10を利用して立設する施工方法について、図4及び図5を用いて具体的に説明する。図4の(A)図及び(B)図に示すように、支持部材13は、二股に分かれており、下部に支持補助材13aの上端が固定され、当該箇所から斜めに支持補助材13aが垂れており、これらの支持部材13の下端及び支持補助材13aの下端の前後両側に二つのアングル材15が固定され、このアングル材15とアングル材15との間の中央部は間隙15aを有している。またこれらの二つのアングル材15の中央部には貫通孔16が夫々設けられている。そして、図5の(A)図及び(B)図に示すように、前記フック10を前記二つのアングル材15の間の間隙15aに嵌め入れ、フック10の貫通孔11と二つのアングル材15の貫通孔16とが合わさるようにアングル材15を配置して、ねじ部材17をこれらの貫通孔11及び貫通孔16に通して他端をナット17aで締め付け、ねじ部材17でアングル材15とフック10を一緒に螺着する。なお、図5の(A)図に示すようにフック10上に立設させた支持部材13のアングル材15の両端下面にスペーサー18を設け、ナセルカバー8の上面とアングル材15の下面との隙間にスペーサー18を挟みながら、ねじ部材17でアングル材15とフック10を一緒に螺着すれば、立設された支持部材13に、がたつきが少なくなり、風圧荷重に対する強度も増す。また、ナセルカバー8の前端部については、図6に示すように、ロータ軸3の外周に設けられている既設のねじ孔を利用して支持部材13’を当該箇所に当接させ、その上からねじ部材19を螺着して、当該支持部材13’の下部をナセル1の前面に固定する。
【0031】
なお、本実施例では、ロータ軸3の外周に設けられている既設のねじ孔を利用して支持部材13’をナセル1の前面に固定する構成を示したが、図7及び図8に示すように、ロータ軸3の外周付近のナセルカバー8の内側から外側に、支持部材29を突き出させて固定する構成としても良い。この支持部材29は、棒状の導体で構成されている。又は、軽量化のため、グラスファイバー製等の樹脂製素材から構成されていても良い。その場合には、図7に示すように、銅線、アルミ線等の金属製線30を支持部材29に巻きつけ、支持部材29に導電性を持たせ、金属製線30の一端を地絡線20に接続する。また支持部材29は伸縮自在、あるいは部材を継ぎ足すことによって、長さを変えることのできる構成であることが望ましい。このように支持部材29をナセルカバー8の内側から外側に突き出させて固定する構成とすることによって、作業員は、ナセルカバー8の内側で作業を行うことによって、支持部材29をナセルカバー8の内側から外側に突き出させて固定することができ、作業員の作業負担が軽減され、作業の安全性が高まる。
【0032】
また、ナセルカバー8が風力発電設備Aに設置された状態で、作業員がナセルカバー8の上面に設けられた複数の各ハッチ(図示省略)から顔を出して、あるいはナセルカバー8の上面に立って、仮設用の避雷針Bを設置する。この場合、予め地上でナセルカバー8の上面に仮設用の避雷針Bを設置しても良い。その場合には、図9に示すように、フック10とアングル材15と共に、Uクレビス28をねじ部材17で一緒に螺着し、ナセルカバー8をクレーンで吊り上げる際には、ナセルカバー8に仮設用の避雷針Bを取り付けた状態のまま、このUクレビス28にクレーンのフックを引っ掛けて吊り上げ、ナセル1に被せることもできる。
【0033】
このように、風力発電設備Aに仮設用の避雷針Bを設置する構成とすることによって、施工期間中の当該風力発電設備への落雷を遮蔽する。従って、当該風力発電設備Aが雷電流によって破損したり焼損したりすることを回避することができる。また、仮設用避雷針Bは、主として支持部材13と金属製線14により成る簡単な構成であるため、設置作業が容易である。さらに、予め地上でナセルカバー8の上面に仮設用の避雷針Bを設置しておけば、高所にあるナセルカバー8の上で仮設用避雷針Bを設置するという作業員の作業負担が軽減され、作業の安全性が高まる。
【実施例2】
【0034】
図10は、風力発電設備Aに仮設用の避雷針Cが設置された状態を示す平面図である。本実施例における仮設用の避雷針Cは、図11に示すようにナセル1の幅方向に左右に突き出した横棒21を有した略T字型の導体からなる支持部材22及び22’をナセルカバー8の上面に設置されているフック10及びロータ軸3の外周のねじ孔を利用して立設し、各支持部材22及び22’の横棒21の複数の箇所を金属線14で接続して設置する。そして、落雷によって仮設用の避雷針Cに流れた雷電流が地絡されるように、各支持部材22及び22’と地面とを地絡線(図示省略)で接続する。なお、ブレード(図示省略)用等に、既に風力発電設備Aに地絡線が設けられている場合には、ナセル1内に設けられた地絡線の端子に、前記支持部材22及び22’から導出した地絡線を接続する。また図10に示すように、ナセルカバー8上面の後端部については、既に立設されている避雷針12に金属製線14を結びつけても良い。さらに、支持部材22及び支持部材22’の立設の方法は、実施例1の支持部材13及び支持部材13’の立設の方法と同様である。
【0035】
なお、本実施例においては、仮設用の避雷針Cは、略T字型の導体からなる支持部材22及び22’を用いる構成を示したが、これに限定されるものではなく、横棒が支持部材の中心部に配置されている、略十字型の支持部材(図示省略)を用いる構成でも良い。この略十字型の支持部材は、略十字型に成型されているものを用いても良いし、棒状の支持部材に針金等で横棒を固定しても良い。
【0036】
このように、風力発電設備Aに仮設用の避雷針Cを設置する構成とすることによって、避雷針の保護範囲が広がって、落雷に対する風力発電設備への遮蔽性が向上し、安全性も高まり、便宜である。
【0037】
なお、仮設用の避雷針Cの上記以外の構成及び作用は、実施例1の仮設用の避雷針Bと同様である。
【実施例3】
【0038】
図12は、風力発電設備Aに仮設用の避雷針Dが設置された状態を示す正面図である。本実施例における仮設用の避雷針Dは、風力発電設備Aのナセル1の外周を金属製のネット23で覆って設置する。そして、落雷によって仮設用の避雷針Dに流れた雷電流が地絡されるように、金属製のネット23と地面とを地絡線20で接続する。なお、ブレード(図示省略)用等に、既に風力発電設備Aに地絡線が設けられている場合には、ナセル1内に設けられた地絡線の端子に、前記金属製のネット23から導出した地絡線20を接続する。
【0039】
このように、風力発電設備Aに仮設用の避雷針Dを設置する構成とすることによって、通常の落雷や誘導雷によって、上空や雷雲から、地表に電流が流れる場合だけでなく、地表から、上空や雷雲に電流が流れる場合についても、遮蔽させることが可能となり、安全性が向上する。また、金属製のネット23をナセル1に被せる構成としたため、取り付けや取り外しが非常に簡単で、便宜である。
【0040】
また、金属製のネット23は、外側面から複数の棒状の導体(図示省略)が突き出している構成としても良い。このような構成とすれば、仮設用の避雷針Dによる遮蔽効果が向上する。なお、仮設用の避雷針Dの上記以外の構成及び作用は、実施例1の仮設用の避雷針Bと同様である。
【実施例4】
【0041】
図13は、風力発電設備Aに仮設用の避雷針Eが設置された状態を示す正面図である。本実施例における仮設用の避雷針Eは、風力発電設備Aの支柱2の上端部からナセル1の幅方向及び前後方向に、格子状に組んだ棒状の導体24を張り出させて設置する。そして、落雷によって仮設用の避雷針Eに流れた雷電流が地絡されるように、格子状に組んだ棒状の導体24と地面とを地絡線20で接続する。なお、ブレード(図示省略)用等に、既に風力発電設備Aに地絡線が設けられている場合には、ナセル1内に設けられた地絡線の端子に、前記格子状に組んだ棒状の導体24から導出した地絡線20を接続する。
【0042】
このように、風力発電設備Aに仮設用の避雷針Eを設置する構成とすることによって、通常の落雷や誘導雷によって、地表から、上空や雷雲に電流が流れる場合について、遮蔽効果を向上させることが可能となり、便宜である。なお、仮設用の避雷針Eの上記以外の構成及び作用は、実施例1の仮設用の避雷針Bと同様である。
【実施例5】
【0043】
図14は、風力発電設備Aに仮設用の避雷針Fが設置された状態を示す正面図である。本実施例における仮設用の避雷針Fは、ナセル1の幅方向に左右に突き出した横棒25を有する、略T字型の複数の導体からなる支持部材26及び26’を、ナセルカバー8の上面に複数設けられたフック10及びロータ軸3の外周のねじ孔を利用して立設し、支持部材26及び26’の上、及びナセル1の外周に金属製のネット27を被せて設置する。そして、落雷によって仮設用の避雷針Fに流れた雷電流が地絡されるように、支持部材26及び26’と地面とを地絡線20で接続する。なお、ブレード(図示省略)用等に、既に風力発電設備Aに地絡線が設けられている場合には、ナセル1内に設けられた地絡線の端子に、前記支持部材26及び26’から導出した地絡線20を接続する。また、支持部材26及び支持部材26’の立設の方法は、実施例1の支持部材13及び支持部材13’の立設の方法と同様である。なお、本実施例における避雷針Fの略T字型の支持部材26及び26’の形状は、実施例2と同様,略十字型でも良い。
【0044】
このように、風力発電設備Aに仮設用の避雷針Fを設置する構成とすることによって、金属製のネット27とナセル1の外周との間に距離ができ、より雷電流に対する遮蔽効果を向上させることができるだけでなく、金属製のネット27が風力発電設備Aのナセルカバー8に接触する部分が少なくなり、ナセルカバー8に傷をつけない。さらに、金属製のネット27をナセル1の外周に被せる構成としたため、避雷針の保護範囲がナセル全体となり、ナセルカバー8に立設させる略T字型の支持部材26及び26’の高さを、例えば1m以下にして、あまり高くする必要がなくなる。そのため、仮設用の避雷針を設置する作業者の負担が軽減され、作業の安全性も高まる。なお、仮設用の避雷針Fの上記以外の構成及び作用は、実施例1の仮設用の避雷針B、実施例2の仮設用の避雷針C、実施例3の仮設用の避雷針Dと同様である。
【0045】
なお本明細書において、支持部材13及び13’、支持部材22及び22’、支持部材26及び26’は導体であると述べたが、これは支持部材の素材自体が導体である場合だけでなく、支持部材の素材はグラスファイバー等の樹脂であって、導体ではないが、支持部材の外周に金属製線等を巻き付けて、支持部材に導電性を持たせるように構成した場合も含まれる概念である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】この発明に係る風力発電設備Aの構成を示す正面図である。
【図2】図1のフックの部分を拡大した一部拡大図である。
【図3】この発明に係る風力発電設備Aに仮設用の避雷針Bを設置した状態を示す正面図である。
【図4】この発明に係る仮設用の避雷針Bの支持部材を示すもので、(A)図は正面図及び(B)図はその一部拡大図である。
【図5】この発明に係る風力発電設備Aのフックに仮設用の避雷針Bの支持部材を立設した状態を示すもので、(A)図は正面図及び(B)図はそのG−G断面図である。
【図6】この発明に係る風力発電設備Aの前面に仮設用の避雷針Bの他の支持部材を取り付けた状態を示す側面図である。
【図7】この発明に係る風力発電設備Aにさらに他の支持部材を用いて仮設用の避雷針Bを設置した状態を示す正面図である。
【図8】この発明に係る風力発電設備Aにさらに他の支持部材を用いて仮設用の避雷針Bを設置した状態を示す平面図である。
【図9】この発明に係る風力発電設備Aのフックに仮設用の避雷針Bの支持部材及びUクレビスを螺着した状態を示す断面図である。
【図10】この発明に係る風力発電設備Aに仮設用の避雷針Cを設置した状態を示す平面図である。
【図11】この発明に係る風力発電設備Aの前面に仮設用の避雷針Cの他の支持部材を取り付けた状態を示す側面図である。
【図12】この発明に係る風力発電設備Aに仮設用の避雷針Dを設置した状態を示す正面図である。
【図13】この発明に係る風力発電設備Aに仮設用の避雷針Eを設置した状態を示す斜視図である。
【図14】この発明に係る風力発電設備Aに仮設用の避雷針Fを設置した状態の構成を示す正面図である。
【符号の説明】
【0047】
A:風力発電設備、B:仮設用の避雷針、C:仮設用の避雷針、D:仮設用の避雷針、E:仮設用の避雷針、F:仮設用の避雷針
1:ナセル、2:支柱、3:ロータ軸、4:増速器、5:発電機、6:軸受装置、7:発電機制御装置、8:ナセルカバー、9:スリップリング、10:フック、11:貫通孔、12:避雷針、13:支持部材、13’:支持部材、13a:支持補助材、14:金属製線、15:アングル材、16:貫通孔、17:ねじ部材、17a:ナット、18:スペーサー、19:ねじ部材、20:地絡線、21:横棒、22:支持部材、22’:支持部材、23:金属製のネット、24:格子状に組んだ棒状の導体、25:横棒、26:支持部材、26’:支持部材、27:金属製のネット、28:Uクレビス、29:支持部材、30:金属製線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
風力によって羽根を回転させ、当該回転力を利用して発電する風力発電設備の施工中に設ける避雷針において、
当該風力発電設備のナセルカバーの長手方向に複数設けられている吊り上げ用フック上に、複数の棒状の導体が立設され、各導体の先端部は金属製線で接続され、
また各導体は当該導体を流れる電流が地絡するように地面と接続され、
前記導体は、下部が二股に分かれた支持部材から成り、当該支持部材の二股部下端の前後に二つのアングル材を固定して当該アングル材の中央部間に間隙を設け、当該間隙に前記吊り上げ用フックを嵌め入れ、前記各アングル材及び吊り上げ用フックに予め設けられた貫通孔にねじ部材を通してナットで締め付け、ナセルカバーの上面に固定したことを特徴とする、仮設用避雷針。
【請求項2】
前記風力発電設備のロータ軸の外周に設けられている既設のねじ孔を利用して棒状の導体を当該箇所に当接させ、その上からねじ部材を螺着して、当該導体の下部をナセルの前面に固定し、当該導体の先端部と、請求項1に記載の導体の先端部とを金属製線で接続したことを特徴とする、請求項1に記載の仮設用避雷針。
【請求項3】
ロータ軸の外周付近のナセルカバーの内側から外側に、棒状の導体を突き出させて固定したことを特徴とする、請求項1に記載の仮設用避雷針。
【請求項4】
請求項3に記載の棒状の導体の先端部と、請求項1に記載の棒状の導体の先端部とを、金属製線で接続したことを特徴とする、請求項3に記載の仮設用避雷針。
【請求項5】
前記導体が、ナセルの幅方向に左右に突き出した横棒を有した略T字型又は略十字型であって、各導体の当該横棒の複数の箇所は金属製線で接続されていることを特徴とする、請求項1に記載の仮設用避雷針。
【請求項6】
請求項2に記載の導体又は請求項3に記載の導体が、ナセルの幅方向に左右に突き出した横棒を有した略T字型又は略十字型であって、当該導体の横棒と、請求項5に記載の各導体の横棒の複数の箇所は金属製線で接続されていることを特徴とする、請求項5に記載の仮設用避雷針。
【請求項7】
風力によって羽根を回転させ、当該回転力を利用して発電する風力発電設備の施工中に設ける避雷針において、
当該風力発電設備のナセルの外周が金属製のネットで覆われ、当該ネットは当該ネットを流れる電流が地絡するように地面と接続されていることを特徴とする、仮設用避雷針。
【請求項8】
前記ネットは外側面から複数の棒状の導体が突き出していることを特徴とする、請求項7に記載の仮設用避雷針。
【請求項9】
風力によって羽根を回転させ、当該回転力を利用して発電する風力発電設備の施工中に設ける避雷針において、
当該風力発電設備の支柱の上端部からナセルの幅方向に左右に、井桁状又は格子状に組んだ棒状の導体が突き出されており、
当該導体は当該導体を流れる電流が地絡するように地面と接続されていることを特徴とする、仮設用避雷針。
【請求項10】
風力によって羽根を回転させ、当該回転力を利用して発電する風力発電設備の施工中に設ける避雷針において、
当該風力発電設備のナセルカバーの長手方向に複数設けられている吊り上げ用フック上に、複数の棒状の導体が立設され、
当該導体は、ナセルの幅方向に左右に突き出した横棒を有した略T字型又は略十字型であり、
ナセル上の長手方向に立設された複数の導体の上、及びナセル外周に金属製のネットが被せられ、
また前記各導体は当該導体を流れる電流が地絡するように地面と接続されており、
前記導体は、下部が二股に分かれた支持部材から成り、当該支持部材の二股部下端の前後に二つのアングル材を固定して当該アングル材の中央部間に間隙を設け、当該間隙に前記吊り上げ用フックを嵌め入れ、前記各アングル材及び吊り上げ用フックに予め設けられた貫通孔にねじ部材を通してナットで締め付け、ナセルカバーの上面に固定したことを特徴とする、仮設用避雷針。
【請求項11】
風力によって羽根を回転させ、当該回転力を利用して発電する風力発電設備の施工中に仮設用避雷針を設置する施工方法であって、
棒状の導体を当該風力発電設備のナセルカバーの長手方向に複数設けられている吊り上げ用フックに夫々立設するステップと、
当該各棒状の導体の先端又は横棒を金属製線で接続するステップと、
当該各棒状の導体を、当該導体を流れる電流が地絡するように地面と接続するステップを有することを特徴とする、請求項1又は5に記載の仮設用避雷針の施工方法。
【請求項12】
前記吊り上げ用フックに夫々立設するステップ及び前記金属製線で接続するステップを予め地上で行い、仮設用の避雷針が設置されたナセルカバーを吊り上げて、風力発電設備のナセルに被せることを特徴とする、請求項11に記載の仮設用避雷針の施工方法。
【請求項1】
風力によって羽根を回転させ、当該回転力を利用して発電する風力発電設備の施工中に設ける避雷針において、
当該風力発電設備のナセルカバーの長手方向に複数設けられている吊り上げ用フック上に、複数の棒状の導体が立設され、各導体の先端部は金属製線で接続され、
また各導体は当該導体を流れる電流が地絡するように地面と接続され、
前記導体は、下部が二股に分かれた支持部材から成り、当該支持部材の二股部下端の前後に二つのアングル材を固定して当該アングル材の中央部間に間隙を設け、当該間隙に前記吊り上げ用フックを嵌め入れ、前記各アングル材及び吊り上げ用フックに予め設けられた貫通孔にねじ部材を通してナットで締め付け、ナセルカバーの上面に固定したことを特徴とする、仮設用避雷針。
【請求項2】
前記風力発電設備のロータ軸の外周に設けられている既設のねじ孔を利用して棒状の導体を当該箇所に当接させ、その上からねじ部材を螺着して、当該導体の下部をナセルの前面に固定し、当該導体の先端部と、請求項1に記載の導体の先端部とを金属製線で接続したことを特徴とする、請求項1に記載の仮設用避雷針。
【請求項3】
ロータ軸の外周付近のナセルカバーの内側から外側に、棒状の導体を突き出させて固定したことを特徴とする、請求項1に記載の仮設用避雷針。
【請求項4】
請求項3に記載の棒状の導体の先端部と、請求項1に記載の棒状の導体の先端部とを、金属製線で接続したことを特徴とする、請求項3に記載の仮設用避雷針。
【請求項5】
前記導体が、ナセルの幅方向に左右に突き出した横棒を有した略T字型又は略十字型であって、各導体の当該横棒の複数の箇所は金属製線で接続されていることを特徴とする、請求項1に記載の仮設用避雷針。
【請求項6】
請求項2に記載の導体又は請求項3に記載の導体が、ナセルの幅方向に左右に突き出した横棒を有した略T字型又は略十字型であって、当該導体の横棒と、請求項5に記載の各導体の横棒の複数の箇所は金属製線で接続されていることを特徴とする、請求項5に記載の仮設用避雷針。
【請求項7】
風力によって羽根を回転させ、当該回転力を利用して発電する風力発電設備の施工中に設ける避雷針において、
当該風力発電設備のナセルの外周が金属製のネットで覆われ、当該ネットは当該ネットを流れる電流が地絡するように地面と接続されていることを特徴とする、仮設用避雷針。
【請求項8】
前記ネットは外側面から複数の棒状の導体が突き出していることを特徴とする、請求項7に記載の仮設用避雷針。
【請求項9】
風力によって羽根を回転させ、当該回転力を利用して発電する風力発電設備の施工中に設ける避雷針において、
当該風力発電設備の支柱の上端部からナセルの幅方向に左右に、井桁状又は格子状に組んだ棒状の導体が突き出されており、
当該導体は当該導体を流れる電流が地絡するように地面と接続されていることを特徴とする、仮設用避雷針。
【請求項10】
風力によって羽根を回転させ、当該回転力を利用して発電する風力発電設備の施工中に設ける避雷針において、
当該風力発電設備のナセルカバーの長手方向に複数設けられている吊り上げ用フック上に、複数の棒状の導体が立設され、
当該導体は、ナセルの幅方向に左右に突き出した横棒を有した略T字型又は略十字型であり、
ナセル上の長手方向に立設された複数の導体の上、及びナセル外周に金属製のネットが被せられ、
また前記各導体は当該導体を流れる電流が地絡するように地面と接続されており、
前記導体は、下部が二股に分かれた支持部材から成り、当該支持部材の二股部下端の前後に二つのアングル材を固定して当該アングル材の中央部間に間隙を設け、当該間隙に前記吊り上げ用フックを嵌め入れ、前記各アングル材及び吊り上げ用フックに予め設けられた貫通孔にねじ部材を通してナットで締め付け、ナセルカバーの上面に固定したことを特徴とする、仮設用避雷針。
【請求項11】
風力によって羽根を回転させ、当該回転力を利用して発電する風力発電設備の施工中に仮設用避雷針を設置する施工方法であって、
棒状の導体を当該風力発電設備のナセルカバーの長手方向に複数設けられている吊り上げ用フックに夫々立設するステップと、
当該各棒状の導体の先端又は横棒を金属製線で接続するステップと、
当該各棒状の導体を、当該導体を流れる電流が地絡するように地面と接続するステップを有することを特徴とする、請求項1又は5に記載の仮設用避雷針の施工方法。
【請求項12】
前記吊り上げ用フックに夫々立設するステップ及び前記金属製線で接続するステップを予め地上で行い、仮設用の避雷針が設置されたナセルカバーを吊り上げて、風力発電設備のナセルに被せることを特徴とする、請求項11に記載の仮設用避雷針の施工方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−190756(P2011−190756A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−58087(P2010−58087)
【出願日】平成22年3月15日(2010.3.15)
【出願人】(000141060)株式会社関電工 (115)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月15日(2010.3.15)
【出願人】(000141060)株式会社関電工 (115)
【Fターム(参考)】
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