説明

風力発電設備

【課題】風力発電設備の構築をより簡単なものとする。
【解決手段】ローター、発電機、装置ケーシング、パイロンおよび光起電素子を含む複数の設備コンポーネントを具備してなる風力発電設備の構築方法。本方法は、(A)規格寸法を有する一つ以上のコンテナ内に設備コンポーネントを収容すること、(B)風力発電設備の構築現場まで一つ以上のコンテナによって、かつ、その中に収容した状態で、個々の設備コンポーネントを輸送すること、(C)一つ以上のコンテナによって風力発電設備の基礎を形成すること、(D)形成された基礎上に風力発電設備を設置すること、(E)一つ以上のコンテナの上面に、太陽光デバイスとして光起電素子を固定することと、(F)光起電素子を風力発電設備の調整電子回路に接続することを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
風力発電設備技術は最近の20年間に劇的な発展を見せた。ところで、5MWまでの規模の部類の設備が存在し、将来の開発は一層大きな公称出力を持つ設備に関する期待につながっている。本出願は好ましくはそうしたメガワット級設備には関係せず、むしろ小型設備、特に公称出力が約50ないし150kWの間である小型風力発電設備に関する。それは、強力な機械のサポートに可能な限り依存せずに世界中のあらゆる場所で実際的に構築することができる。
【背景技術】
【0002】
これまで風力発電設備の構築に関しては、風力発電設備の個々のコンポーネント、たとえばパイロン、ローター、ローターブレード、発電機、装置ケーシング、変圧器、制御用電子機器などは構築場所まで別個に輸送され、そしてそこで組み立てられるのが普通であった。この点で、パイロンを立てるには通常、装置ケーシングの配置のためおよびローターおよび発電機の据付けのためにも必須であるクレーンが必要となる。設備の個々の部品は風力発電設備が構築されるべき場所へトラックによって運ばれる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Erich Hau著、「Windkraftanlage」、1996年、p.388−390
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、風力発電設備の構築を簡単にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、この目的は請求項1の特徴、および請求項2の特徴を有する風力発電設備の構築方法によって達成される。有利な展開は従属請求項で言及されている。
【0006】
本発明による風力発電設備では、その全てのコンポーネントまたは主要コンポーネントの全ては一つ以上の規格コンテナ(たとえば20フィート;40フィート)に収容されて輸送される。そうした規格コンテナの利点は、その目的のために、たとえばトラックコンテナトランスポータのような十分な輸送手段が存在することである。それによってコンテナはまた陸上を輸送可能である。さらにそうした規格コンテナは、長い間、輸送に使用されており、ゆえに複数のコンテナ内に複数の設備が存在する場合でさえ、完全な輸送がコンテナ船を用いて簡単な方法によって達成できる。さらに一方では、航空機胴体内にペイロードとして規格コンテナを載せることができる多くの航空機が存在する。
【0007】
本発明による設備を用いれば、この設備の個々のコンポーネントを予め収容した輸送コンテナあるいは複数のそうした輸送コンテナは、今度は風力発電設備の構築にも使用される。ゆえに、たとえばコンテナは風力発電設備の基礎全体を形成する。この目的のためにそうしたコンテナは、風力発電設備のパイロンの基部に対する適当な接続部を備えることができる。
【0008】
それは、コンテナの外側に孔の列を持つ少なくとも一つのフランジを設けることによって一方では実現できる。その孔を経て、風力発電設備のパイロン基部がコンテナ接続部へ螺着されるように、風力発電設備の対応するパイロン基部またはパイロン基部フランジに適応できるネジを螺着させることができる。コンテナが十分に大きな基礎重量をも呈するようコンテナに重みを加えるために、コンテナには、砂、コンクリート、水あるいは他の媒体を充填できる。
【0009】
本発明による基礎としてのコンテナの使用法は格別な利点を有する。すなわち工場由来の適当な基礎構造体にはこうして既に工場由来の設備が供給され、もし風力発電設備が極めて遠隔な地域で構築されるべきものである場合、基礎は極めて簡単な手法で設置できる。この目的のためこれまではコンクリートが充填されたスチール構造体がたいてい採用されていた(Erich Hau著の書籍「Windkraftanlage」、1996年、388,389および390ページ参照)。
【0010】
さらに本発明による風力発電設備の場合、風力発電設備の構築後、発電機と制御装置と変圧器との間に非常に複雑なケーブル接続を施すことを要さずに極めて迅速に運転状態に移行させられるよう、変圧器およびさらに制御装置全体は工場でコンテナ内の所定の位置に既に固定的に設置できる。
【0011】
風力発電設備が、モーター駆動あるいは人力駆動の少なくとも一つのケーブルウインチを有していることも特に有益である。ケーブルがコンテナに取り付けられる適当な補助キャリア(偏向ローラーを備えた支持フレーム)によってガイドされる場合、風力発電設備の少なくともパイロンを直立させることができ、しかもパイロンまたは装置ケーシングに適当なさらなるケーブルガイド装備を用いることで、本設備のさらなるコンポーネント、たとえば発電機、ローターなどをハブ高まで持ち上げることができ、しかもこれにはその目的のために必要な建築クレーンを使用する必要がない。
【0012】
本設備の安定性および不動性を改善するため、本設備の基礎を形成するためのものであるコンテナをまず風力発電設備が設置される場所で地中に埋設することも可能である。この結果、コンテナの上面またはコンテナの上部のみが地面から突き出す。
【0013】
基礎の安定性および不動性をさらに改善するため、コンテナが埋設される場合、コンテナのさまざまな側壁に開口部を設けること(または工場で側壁に設けておくこと)も手配できる。この開口部を経て、チューブ、ロッドまたは他のブレース部材がコンテナを取り囲む土中に打ち込まれる。そして、これらチューブ、ロッドまたは他のブレース部材は、溶接、ネジ締め、クランプまたは他の手法でコンテナに連結される。
【0014】
制御装置全体または主要電気コンポーネントの全て、たとえば制御キャビネット、電力キャビネット、変圧器などが工場で「基礎コンテナ」またはさらなるコンテナに固定的に既に配置される場合、設備コンポーネントが組み立てられた後、一方では上記コンポーネントおよび発電機と、他方では電力供給ネットワークとの間にケーブル接続を施すことが必要なだけである。この結果、風力発電設備のための組立て手続の全ては非常に簡単な手段を用いて可能となり、しかも風力発電設備の調整装置をセットアップするプロセス全体は工場において既に実施可能である。
【0015】
以下、図示された実施形態を用いて本発明をさらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1の代替実施形態(基本モジュール)を示す図である。
【図2】図1の設備のコンテナを通る断面図である。
【図3】本発明のさらなる代替実施形態を示す図である。
【図4】風力発電設備の構築途中での本発明の概略図である。
【図5】パイロンの方向における風力発電設備の独特な部分の概略図である。
【図6a】コンテナ解決策の風設定(wind setup)の平面図である。
【図6b】図6aに対する代替解決策を示す図である。
【図7a】本発明によるコンテナを通る断面図であり、最も下方の回動可能なパイロンセグメントを示す。
【図7b】コンテナを傾けて配置した状態でのパイロン(図7a)の配置を示す図である(誇張して示す)。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は本発明による風力発電設備の概略図であり、この設備は3枚のローターブレード2を備えたローター1を具備し、このローターブレード2は装置ケーシング3によって支持されると共にこの装置ケーシング内の発電機4に接続されている。装置ケーシング全体は被覆(ポッド)5によって保護されると共にパイロン6によって支持され、今度はこのパイロン6はコンテナ7によって支持される。次にコンテナはコンテナ7内の空間(図示せず)につながる出入口8を有し、この空間内には風力発電設備の変圧器はもちろんのこと、同設備を制御しかつ調整するための機器品目が配置される。生み出された電力は変圧器を用いてネットワークレベルまで変圧され、この結果、電力を風力発電設備が接続される電気的ネットワークに提供可能となる。
【0018】
コンテナが適当な安定性および不動性を提供できるよう、したがって適当な基礎を形成できるよう、この基礎には砂または他の重量付加物質(たとえば水)が充填されるが、この場合、その内部には、設備のいかなるコンポーネントまたは部品も必要としない。
【0019】
図1ではパイロンはその基部がコンテナの上面に配置され、そこに螺着されている。このためコンテナは適当なフランジまたは対応する取付け部を有する。これは孔の列を有するが、この孔の列は、パイロンフランジの下側における対応する孔の列と同じものであり、これによって上記二つの部品は互いに固定的に螺着させることができる。
【0020】
パイロンは別個の部分(セクション)を具備し、これは依然としてコンテナに収容可能であるような長さである。たとえば40フィート規格コンテナが使用される場合には、それゆえ別個のタワーセクションを約12mの長さのものとすることは容易に可能である。
【0021】
装置ケーシングまたはローターのさらなるコンポーネントはまたコンテナ内に収めて別個に輸送可能である。この点で、別個のコンポーネントについてコンテナ内に、たとえば装置キャリア内に、ジャーナルおよびその上に配置されたそのローターおよびそのステータを備えた発電機と共に、既に予備組立てされた状態で配置することももちろん可能である。この結果、構築場所において組立て手続全体を最も簡単なものとできる。
【0022】
図2は図1に対する代替実施形態を示し、この代替物は本質的に次のようなものである。パイロン基部はコンテナ上面には取り付けられておらず、コンテナ上面には収容手段が設けられている。パイロンの下側部位はこれを通過することができ、この結果、パイロン基部は、コンテナの底に設けられた保持部材によってその場所に固定することができる。この固定機能はまた螺着によってあるいは他の機械的固定によっても実現できる。
【0023】
コンテナの上面においては周方向に延在するリングがコンテナ収容手段の領域に取り付けられている。リングは一方でパイロンとコンテナをシールし、他方ではまたパイロンからコンテナへ力が良好に伝達されるようにする。
【0024】
図3は本発明のさらなる変形例を示し、ここではコンテナは地面の上に存在せず、地中に埋設されており、そしてさらに周囲のコンテナ底およびコンテナ壁には複数の開口部が設けられており、それを経て、チューブ、ロッドまたは他のブレース部材を周囲の土に打ち込むことができる。これらチューブ、ロッドまたは他のブレース部材は今度はコンテナ壁にたとえば螺着によって接合され、非常に大きな力が基礎に伝達される非常に風の強い状況下でさえ、風力発電設備の安定性および不動性を向上させる。
【0025】
図4は、どのようにすればクレーンを使用せずに本発明による風力発電設備を構築できるかを示す概略図である。この目的のために、ケーブルウインチ12がコンテナに搭載される。このケーブルウインチはモーター駆動装置を装備できるが手動操作も可能である(特に、有効な減速トランスミッションを用いて)。ケーブルウインチはケーブル13を備え、このケーブル13は、支持フレームに取り付けられた方向変換ローラー14を介して風力発電設備のパイロンに固定されている(さらに方向変換ローラーを設けることも可能である)。方向変換ローラーは支持フレームによって支えられ、この支持フレームは、それによってパイロン制御のための適当なレバー作用を提供するためにコンテナから離れるよう延在する。いまパイロンが徐々に起立させられるとき、初め水平ポジションにあったパイロンを徐々に鉛直ポジションへと立て起こすことが可能であり、その後、たとえばコンテナ内に固定的に嵌め込まれたチューブ15内へと差し込まれる。このチューブ15はソケットスリーブの役割を果たし、このスリーブはパイロンがコンテナ内部に突出する範囲でパイロンを取り囲む。チューブ15はパイロンを安全かつ確実にコンテナ内へ降下させることを可能とする。
【0026】
装置ケーシング全体が過度に大きな質量のものでない場合、装置ケーシング全体はパイロンが立て起こされる前にパイロン自体に既に設けておくこともできる。こうすることで、パイロンが立て起こされた後には、風力発電設備のあらゆる機械的コンポーネントが既に適所に存在するようになる。
【0027】
だが、装置ケーシング上のまたはポッドの別個の部品をパイロンの先端へと運ばなければならない場合、方向変換装置が装置ケーシングに搭載されていると有利であり、その場合、別個のコンポーネントは方向変換装置によってパイロンの先端へと持ち上げることができ、かつパイロンの先端に固定可能である。
【0028】
図5はそうした構造を概略的に示す。ここでは二つのケーブルローラーが装置ケーシングに搭載された適当なサポート装置によって支持されている。さらに矢印(図5)で示す方向にこのサポート装置がまた変位可能である場合、最も広範に変化するコンポーネント、たとえばローターまたは個々のローターブレードと同様、ジャーナル、発電機を、最も広範に変化する面内に持ち上げることができる。
【0029】
風力発電設備の全てを輸送するのに複数のコンテナが必要な場合、基礎全体を拡張するために、たとえば図6bに示すようなT形構造または交差構造を形成するために、それらを一つに接合することもできる。そうしたコンテナに砂、コンクリートまたは水が充填される場合、この基礎質量は風力発電設備全体用の適当な基礎をもたらすのに十分なものとなる。
【0030】
基礎の安定性を向上させるため、たとえば相互に対向するコンテナ壁からまたは隣接するコンテナ壁間に、補強部材またはブレース部材をさらにコンテナ内に設けることも、もちろん適切であろう。この結果、基礎に加えられる力に起因するコンテナの変形が確実に回避される。
【0031】
図6に示す変形例において、基礎コンテナは地中に埋設され、そして風力発電設備の制御部および調整部へのアクセスは階段を経由することになる。この階段は、コンテナ上面においてコンテナ内に没入しており、かつそれはコンテナ内部の空間内に降りることを可能にする。
【0032】
二つのコンテナを相互に積み重ねた関係で配置することも可能であることが理解されるであろう。この場合、上側のものは、コンテナが純粋な「基礎コンテナ」を形成するよう、その中にスイッチングキャビネット、電力モジュールまたは変圧器などのような部品が配置される空間を形成する。
【0033】
コンテナ内部に十分な空間が存在する場合、この内部空間を比較的簡素な住まい用の空間を提供するために使用することもできる。
【0034】
風力発電設備の遠隔監視のため、適当な電気通信装置(たとえば衛星電話機)を工場で風力発電設備に取り付けることも既に可能であり、この結果、そうした装置の据付けも、風力発電設備の構築の際には、もはや不要となる。
【0035】
本発明による上記風力発電設備は、主要コンポーネントが既に予備組立て完了状態でありかつ現場で一つに組み立てる必要があるだけの場合、あるいは現場で個々のプラグを互いに接続することのみが必要である場合には、最も遠く離れた場所で特別な費用のかかるクレーン装置を使用せずに設置および組立てができ、しかも組立て手続のために特別に訓練された専門的人員を必要とさえしない点で区別される。
【0036】
パイロン高が約30ないし50mであれば、本発明による風力発電設備は100ないし300kW以上の出力を確実に伴うことができる。風力発電設備において以前から既に使用されてきたように従来型スチールチューブ構造の形態のパイロンを使用することが可能である。
【0037】
だが本発明による風力発電設備の格別の利点は、風力発電設備を設置するために基礎をもはや特別に構築する必要はなく、そうした基礎は輸送コンテナ(本設備の別個のコンポーネントはその内部に収容されて輸送される)自体によってもたらされるということである。基礎コンテナが重しを有する場合、工場で計算される設計はそれゆえ、文明世界から遠く離れた運転も可能であるのが確実であること、そして風力発電設備がうまく機能しない恐れはないということを保証する。
【0038】
風力発電設備を構築する際に必要な全ての工具は、そうした特殊工具が利用できない国においてさえ、風力発電設備の構築が何ら問題なく達成できるよう、風力発電設備の個々のコンポーネントを輸送するためのコンテナに入れて運ばれる。適当な交換物質(たとえば潤滑グリース、配線、固定手段、交換モジュールなど)もまた同じようにして輸送でき、かつコンテナの適当な交換部品室内に配置できる。
【0039】
したがって、本発明による風力発電設備を構築するためには単一のコンテナを輸送するだけでよい。十分な輸送能力は世界的に全ての国に見出され、しかも特に規格コンテナを輸送可能な輸送手段もまた利用可能であるので、その構築のための現場への風力発電設備の輸送は常に保証される。
【0040】
その全てのコンポーネントがコンテナ内に収まって輸送される風力発電設備を含む上記解決法は、多数のデバイスおよび構成要素によって補足可能である。ここでそうしたデバイスおよび構成要素は、必要とあれば工場でコンテナ内に固定的に既に配置される。そしてまたそうしたデバイスおよび構成要素に関する全ての接続は、それらが作業に力を要する場合、工場で完了させておくことができ、この結果、以下で述べるデバイスおよび構成要素の作動がこうして可能となっている。
【0041】
例として上記基部モジュールへの以下の適当な付加物、すなわち水ポンプ、汽水処理設備、海水淡水化設備、温水生成あるいは付加的発電のためのソーラー装置、所定量の水および他の液体の貯蔵のための水タンク、電気通信装置、風力発電設備が運転状態にない場合に電力源を提供するアキュムレータ、ディーゼル/植物油発電機、熱交換器、空気から水を得るための空気脱水ユニット、モーターまたはエンジン、水殺菌ステーション、および水素を生成するための電気分解機器については特に言及されるべきである。最後にコンテナ内に依然として残ったままの自由空間に生活ユニットを備え付けるのも好適であろう。この生活ユニットには、そこでの滞在および自給自足を可能とする住居設備に関する最小限の標準物品が含まれる。さらにコンテナはその輸送時に数百メートルの電力ケーブルを既に具備していてもよく、この電力ケーブルは、少なくともローカルネットワークの構築を可能にする好適なケーブルおよびプラグ接続部および他の物品を備える。ポンプ動力が必要な場合、水をある距離にわたって圧送できるよう、ある長さの、たとえば100m以上のホースもまたコンテナに収容されて輸送されるならば有益である。
【0042】
上記全ての装備および構成要素の品目に関して、適当な支持技術が構築場所において利用できない場合でさえ、組立て全般および運転始動全般が可能であるべきであることも保証できる。これは特定の用語で言うと、風力発電設備を構築しかつ始動させるための全ての機器、そしてまた上記構成要素も可能な限り供給されるべきであることを意味する。それは特に作業説明書とともに工具も含み、この結果、本発明によるモジュールシステム(これは複数の上記機器および構成要素によって拡張可能である)を施工することが可能である。
【0043】
規格コンテナが使用されかつ風力発電設備用の基礎として機能するのにその標準的な安定性および不動性が適当でない限り、所要の適当な安定性を確保するため、こうしたコンテナには工場でその内部に補強手段、たとえば補強フレーム、補強プレートまたは補強構造体が既に設けられるべきである。
【0044】
風力発電設備のパイロンが正確に垂直に立てられることを確実なものとするため、レベリング装置をコンテナ内に設けることも好適である。その上に風力発電設備が設けられる土地が平らでないならば、パイロンを収容する装置が垂直位置を調製可能である場合、コンテナを平らでない位置に設けることも可能である。これは、たとえば固定パイロンセグメント(これはその垂直方向に調整可能である)を収容するコンテナによって保証できる。この場合、パイロンセグメントの垂直位置確定の後、風力発電設備のパイロンはその上に載置される。コンテナ内に設けられた最も下方のパイロンセグメントは最も広範に変化する様式で、たとえば最も下方のパイロンセグメントをコンテナ内の適所にコンクリートで固定することで、あるいは他の様式でブレース部材に固定することで、その垂直方位に固定可能である。
【0045】
風力発電設備用の可能な限り最良の基礎構造体を確保するため複数のコンテナを一つに接合する場合、コンテナ間の好適な連結も可能であるべきである。そしてこの目的のため、(いかなる場所においても)コンテナを接続する適当な装置を工場にて既に備えるべきであり、またコンテナを一つに接続するための接続要素は、簡単な組立てが可能となるよう他のコンポーネントを備えるべきである。
【0046】
本発明による風力発電設備が岩石層の上に設けられる場合、コンテナを基層に対して固定することを可能にするこうした資材をも風力発電設備と共に輸送することが好適である。
【0047】
風力発電設備を構築するためにある状況下で必要な支持フレームはまた次のような構造のものとすることができる。すなわちある状況下で、それは現場にてモジュラー様式で組み立てることができるもの(バー構造体)であり、しかも好ましくは風力発電設備の安定した構築を可能にする適当な補強部材を備えるべきである。風力発電設備の構築後、支持フレームはまた、この風力発電設備から延在する電力ケーブルを収容するのに利用でき、ゆえに支持フレームは同時にまた第1の電力マストを既に形成する。このマストにより風力発電設備によって発生した電力をネットワークに供給可能である。
【0048】
必要ならば、太陽光デバイスをコンテナ上面に取り付けることができるということもまた可能であるべきである。光起電素子が使用される場合、光起電装置からの電流をネットワークにあるいはアキュムレータにあるいはさらなる装備品目に供給できるよう、風力発電設備の調整電子回路に接続可能であるべきである。
【0049】
必要ならば、コンテナの一つはネットワーク変圧器ステーションを収容でき、このステーションは電力ネットワークの稼働のために必要である。
【0050】
風力発電設備の信頼性の高い稼働を可能にするため、それはその機械的または電気的負荷の制限範囲内で作動させられないよう常に運転されるべきである。それゆえ好ましくは機械的または電気的制限範囲を20ないし30%以上下回る範囲での運転が推奨される。風力発電設備の効率に関してこれが引き起こす損失は、風力発電設備の極めて長期のそしてほとんど保守不要の運転を保証するために受け容れられるべきである。上記コンセプトは、相対的に小さな設備の場合、ある状況下では修理処置はほとんど労力を費やす意味がなく、あるいは最も広範に変化する理由によりたいてい不可能である、という認識に基づくものである。それゆえ優先権はエネルギー生成を最大化することよりも風力発電設備全体の信頼性の高い運転に対して与えられるべきである。
【0051】
上記理由から、可能な限り、遠隔メンテナンスを実施可能であるということも具備するべきである。
【0052】
最後に、本発明による風力発電設備に関して、非常に小さな部品、たとえばネジ、プラグなど(これは風力発電設備を構築しかつ運転を開始するのに必要である)のバリエーションが最小限に抑えられることも好ましい。さらに、非常に小さな部品は、その交換品の提供がいつでも可能であるよう、できる限り規格部品であるべきである。
【0053】
最後に、風力発電設備の全体構造は、設備全体の損傷を伴わない分解、およびコンテナに収容した状態でのそのさらなる輸送、および設備全体の再使用もまた可能なものであるべきである。
【0054】
風力発電設備のパイロンとして多層スチールチューブが使用される場合、可能な限りスペースを節減する様式でコンテナ内に少なくとも二つの層を配置するため、それらを一方が他方の中に入るように嵌め込むことができるならば、それも有益である。風力発電設備のパイロンは通常、上端の直径が最下端のそれよりも著しく小さなものであるので、それゆえタワーを設計する場合にパイロンの最も上の層の外径が最も下の層の内径よりも小さくなることが確実なものとなるよう適切に注意が払われるべきである。
【0055】
可能ならば、ローターブレードはまた、ローターブレードの少なくとも一つを輸送中にパイロン部分内に嵌め込むことができるような外寸を持つべきである。
【0056】
比較的大きな重量を持つ、風力発電設備のユニット、たとえば変圧器、アキュムレータまたは上記補助装備および構成要素の一つは、風力発電設備が組み立てられた後、これらコンポーネントを作動させるために、それをもはや移動させる必要がないように、工場でコンテナ内に既に固定的に据え付けられるべきである。こうした構造はまた、上記ユニット間の全ての配線および接続を工場で既に確実に実施可能であるという利点を持つ。その場合、一方ではその発電機に対して、あるいは他方ではネットワークまたは駆動される他の装置および構成要素(上記参照)に対して、風力発電設備のこれらユニットの外部接続をなすことが依然として必要なだけである。
【0057】
接続に関して、極めて実質的にプラグに頼ることが可能であるべきである。このプラグはまた既に前もって組み立てられた状態で供給され、しかも非専門家でさえ接続を間違えることがないような構造のものである。これは、プラグが単一の対応する相手側部品接触部材のみと一つに組み付けることができるよう、プラグが非統一寸法のものである場合に保証可能である。最後に、人力で動かさねばならない全ての部品は適当な把持ポイントを備えるべきであり、これによって最小限の人数で、たとえば15ないし20人で、全ての構築作業が可能となる。
【0058】
本発明による上記解決法は、特に研究ステーションおよび遠隔地域での使用に、そしてまたローカルネットワークの構築に好適である。
【0059】
風力発電設備の公称出力は、50kWから500kWの間の範囲にあるべきで、好ましくはおよそ100から200kWの間の範囲にある。ローターブレードもまたコンテナに収容されて輸送されるべきであるので、それが一体品である限り、その長さはコンテナの内寸に制限される。この点で、ハブと風力発電設備とローターブレード根部との間に、風力発電設備の全直径の増大をもたらすことができる、ブレード長に関するブレードアダプターを設けることも、もちろん可能である。風力発電設備を調整するため、風力発電設備のローターブレードを取り付けるための手段として全ての公知技術、たとえばストール調整またはピッチを用いることができる。変速装置は可能な限り風力発電設備から排除されるべきである。風力発電設備において、その不具合の極めて最もよくある理由をもたらすポータルを代表するのは明確に変速装置である。
【0060】
図7bは本発明のさらなる代替実施形態を示す。この場合、パイロンがコンテナに収容されているだけでなく、パイロンはある角度だけ回動可能に設けられており、かつコンテナ内の室に収容可能である。いま風力発電設備が構築され、そしてコンテナを完全に平坦に設置することができない場合、完全に垂直に方向付けられたパイロンを備えた風力発電設備の構築は、それにも関わらず、図7bに示すように可能である。下側部位において風力発電設備のパイロンは、それを用いてその垂直配置を正確に確立できる構成要素(たとえば水準器)を持ち、そして、コンテナ設置後、下側パイロンセグメントが垂直に配置されたとき、パイロン用の適当な基礎構造体が保証されかつ風力発電設備全体を最も下位のパイロンセグメント上に構築できるよう、対応するコンテナ室は、砂またはコンクリートまたは他の充填物質で満たすことができる。
【0061】
最も下位のパイロンセグメントが回動可能に設けられる場合、最も下位のパイロンセクションの垂直ポジション調整後、調整されたポジションを保持できるよう、適当な拘束装置を設けることもまた可能であるということは自明であろう。
【符号の説明】
【0062】
1 ローター
2 ローターブレード
3 装置ケーシング
4 発電機
5 被覆(ポッド)
6 パイロン
7 コンテナ
8 出入口
12 ケーブルウインチ
13 ケーブル
14 方向変換ローラー
15 チューブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローター、発電機、装置ケーシング、パイロンおよび光起電素子を含む複数の設備コンポーネントを具備してなる風力発電設備の構築方法であって、
前記方法は、
(A)規格寸法を有する一つ以上のコンテナ内に設備コンポーネントを収容することと、
(B)前記風力発電設備の構築現場まで前記一つ以上のコンテナによって、かつ、その中に収容した状態で、前記個々の設備コンポーネントを輸送することと、
(C)前記一つ以上のコンテナによって前記風力発電設備の基礎を形成することと、
(D)形成された前記基礎上に前記風力発電設備を設置することと、
(E)前記一つ以上のコンテナの上面に、太陽光デバイスとして前記光起電素子を固定することと、
(F)前記光起電素子を前記風力発電設備の調整電子回路に接続することと、
を具備することを特徴とする風力発電設備の構築方法。
【請求項2】
前記基礎を形成するステップは、前記風力発電設備が立設されることになる位置において地面の穴に一つのコンテナを埋設すること、および/または一つのコンテナに、前記コンテナに重みを加える重量付加物質を、少なくとも部分的に充填することを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記風力発電設備を設置するステップは、さらに、
前記基礎コンテナに対して、最も下方のパイロン部分を回動可能に取り付けることと、
前記最も下方のパイロン部分を垂直状態となるように方向付けることと、
拘束によって前記最も下方のパイロン部分の方向付けられた状態を保持することと、を具備してなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記拘束ステップは、
特に、
前記コンテナ内の適所で前記最も下方のパイロン部分をコンクリートで固定すること、あるいは、
前記コンテナの壁に接合されたチューブあるいはロッドあるいはブレース部材に対して前記最も下方のパイロン部分を固定すること、あるいは
前記最も下方のパイロン部分を収容するコンテナチャンバーを、砂またはコンクリートまたはその他の充填物質で満たすこと、のうちの一つによって、
前記最も下方のパイロン部分を、それが垂直配置された状態で固定することを含むことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記風力発電設備の前記パイロンを、モーター式または手動式駆動装置を有し、かつ、前記風力発電設備の基礎を形成する一つ以上のコンテナの少なくとも一つに対して取り付けられたケーブルウインチを用いて直立させることをさらに含むことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記整備の基礎を形成することになる、前記コンテナの上面に受け開口部を設けることと、
前記受け開口部を経て、前記パイロンの下側部分を差し込むことと、
前記コンテナの底に設けられたホルダーで、前記コンテナの底において、前記パイロンベースを拘束することと、をさらに具備することを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記基礎を形成するステップは、前記設備の前記基礎を形成することになる前記コンテナが地中に埋設される場合には、
前記コンテナの上面または前記コンテナの上側部分のみが地面から突出するように、前記コンテナを埋設することを含むことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記方法はさらに、
輸送ステップに先立って、制御キャビネット、電力キャビネット、変圧器などの制御装置または電気コンポーネントを、工場で、前記一つ以上のコンテナ内に配置することを含むことを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記光起電素子はさらなる電力を発生するよう構成されており、前記光起電素子の電流は電力ネットワークあるいはアキュムレータあるいは風力発電設備のさらなる装備のさらなる品目に供給できるようになっていることを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記一つ以上のコンテナは、電力ネットワークの稼働のためのネットワーク変圧器ステーションを収容することを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
ローター、発電機、装置ケーシング、パイロンおよび光起電素子を含む複数の設備コンポーネントを具備してなる風力発電設備であって、
(C,D)組み立てられた前記設備部品が、前記風力発電設備の構築現場において前記風力発電設備を形成し、かつ、前記風力発電設備は、少なくとも一つのコンテナによって形成された基礎の上に構築され、
(A,B)前記少なくとも一つのコンテナは、構築現場への輸送中に、前記風力発電設備の設備コンポーネントを収容するのに用いられたものであり、
(E)前記少なくとも一つのコンテナの上面に、太陽光デバイスとしての光起電素子が固定されており、かつ、
(F)前記光起電素子は前記風力発電設備の調整電子回路に接続されることを特徴とする風力発電設備。
【請求項12】
前記基礎を形成する前記少なくとも一つのコンテナは、構築現場において地面の穴に埋設され、かつ/または、
重量付加物質が少なくとも部分的に充填され、これによって前記少なくとも一つのコンテナには、十分に大きな基礎重量のために重みが加えられることを特徴とする請求項11に記載の風力発電設備。
【請求項13】
前記基礎を形成する前記少なくとも一つのコンテナは、その垂直配置状態を調整可能な、固定された最も下方のパイロン部分を収容し、かつ、これによって前記最も下方のパイロン部分の垂直配置後、前記風力発電設備の前記パイロンはその上に設置され、かつ、
前記最も下方のパイロン部分は、拘束構造によって、それが垂直配置された状態で固定されていることを特徴とする請求項11または請求項12に記載の風力発電設備。
【請求項14】
前記拘束構造は、
前記コンテナ内の適所で前記最も下方のパイロン部分をコンクリートで固定すること、あるいは、
前記コンテナの壁に接合されたチューブあるいはロッドあるいはブレース部材に対して前記最も下方のパイロン部分を固定すること、あるいは
前記最も下方のパイロン部分を収容するコンテナチャンバーを、砂またはコンクリートまたはその他の充填物質で満たすこと、のうちの一つによって実現されることを特徴とする請求項13に記載の風力発電設備。
【請求項15】
一つのコンテナは、前記風力発電設備の調整装置のセットアップを工場において実施できるように、前記風力発電設備の事前設置された変圧器と、スイッチングデバイスを備えた運転室と、を収容することを特徴とする請求項11ないし請求項14のいずれか1項に記載の風力発電設備。
【請求項16】
前記光起電素子はさらなる電力を発生するよう構成されており、前記光起電素子の電流は電力ネットワークあるいはアキュムレータあるいは風力発電設備のさらなる装備のさらなる品目に供給できるようになっていることを特徴とする請求項11ないし請求項15のいずれか1項に記載の風力発電設備。
【請求項17】
前記一つ以上のコンテナは、電力ネットワークの稼働のためのネットワーク変圧器ステーションを収容することを特徴とする請求項11ないし請求項16のいずれか1項に記載の風力発電設備。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6a】
image rotate

【図6b】
image rotate

【図7a】
image rotate

【図7b】
image rotate


【公開番号】特開2012−97757(P2012−97757A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−9790(P2012−9790)
【出願日】平成24年1月20日(2012.1.20)
【分割の表示】特願2008−286971(P2008−286971)の分割
【原出願日】平成15年9月22日(2003.9.22)
【出願人】(500017944)アロイス・ヴォベン (107)
【Fターム(参考)】