説明

風力設備

【課題】風力設備の構成要素の故障に起因する損害を少なくする。
【構成】風力設備は、並列に配置された複数の電力生成システムからなり、各電力生成システムは、固定子と、この固定子に対応し、整流器、インバータ及びトランスを構成要素として備えるフィードライン部とからなる。2つの電力生成システムにおいて、それぞれのトランスの出力は、ともに電力送電線に接続され、電力生成設備の出力電力の少なくとも一部を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、好適には少なくとも整流器と2台のインバータを有する、風力設備に関する。
【背景技術】
【0002】
こうした風力設備は、特許明細書DE196 20 906.4で知られている。しかし、この風力設備の短所は、発電機および/またはトランスが故障すると、風力設備が、もはや電力を生成出来なくなったり、提供出来なくなる点である。整流器および/またはインバータが故障した場合、風力設備は、まだ可能な電力のほぼ半分を生成しているが、何か事故があると消失してしまうため、少なくとも設備のオペレータに対する経済的損害を、消失したエネルギー生成に起因するもののみに制限するため、迅速な修理が要求される。
【0003】
この既知の風力設備は、同じ固定子の上に共に配置される、位相をずらした、2つの固定子巻線を有している。しかし、その巻線は、電気的に互いに絶縁され、互いに対して30°の位相角を有している。従って、1つの固定子巻線が故障した場合は、可能な出力電力の半分が、まだ利用可能である。
【0004】
サービス要員は、故障を取り除き、風力設備を修理するために、故障した風力設備へ赴き、故障あるいは損害を受けた構成要素の修理、もしくは、修理が不可能な場合は、部品交換をして、欠陥のある構成要素を取替えることにより、故障に対処する。
【0005】
迅速な修理は、とりわけ、風力設備に迅速に到達可能で、さらには、必要に応じて、予備部品が設備へ迅速に搬入可能であることを前提とすることにも留意されることになる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
地上に設置されている風力設備には、そのように迅速に到達可能であると仮定し得るにしても、沖合設備、すなわち沖合に設置された、つまり海上にある風力設備については、状況はもはや著しく異なったものとなる。大容積のおよび/または重い予備部品でも輸送可能および取り扱い可能な、適当な輸送手段が利用出来なければならない上に、天気と海の状態が、予備部品を積み込んで、設備に問題なく到達し得るものでなければならない。
しかし、たとえ設備に達することが可能であったにせよ、大波や天気が、迅速な修理を許すかどうかという点に関しては、全く定かではない。
【0007】
従って、例えば嵐が吹いているなど、波が高い、もしくは天候が悪い場合は、比較的長期間、沖合設備に到達できず、もしくは修理が出来ないことは明確であり、そのため沖合設備は、長期間電力を生成、もしくは提供出来なくなる。
【0008】
他の全ての風力設備のように、これまでに既知の風力設備を伴う、さらに不利な点は、その風力設備の基礎となるコンセプトが、発電機の出力が増加するにつれ、個々の構成要素のサイズおよび固有の重さを増加させることを意味していることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によると、風力設備の構成要素の故障に起因するダメージを制限し、さらに標準部品の使用を可能にするために、各々少なくとも1本の固定子巻線を備えた2つの固定子と、少なくとも2つのトランスを備えた、この明細書の最初の部分で提案される種類の、風力設備が提案されている。即ち、本発明の一視点において提供される風力設備は、
並列に配置された複数の電力生成システムを有し、
各電力生成システムは、発電機の共通の回転子に隣接して配設された該発電機の固定子巻線と、該固定子巻線に対応し、少なくとも整流器、インバータ及びトランスをフィードライン構成要素として備えるフィードライン部を有し、
前記複数の電力生成システムの各々の固定子は、回転可能に搭載された共通の回転子を取り囲む円形リングの中の1つの部分として独立に構成され、
前記複数のフィードライン部の各々において、整流器は、対応する固定子から電力信号を受け取る入力端子と、整流された電力信号を供給する出力端子を備え、インバータは、該整流器から整流された電力信号を受け取る入力端子と、反転された電力信号を供給する出力端子を備え、及びトランスは、該インバータから反転された電力信号を受け取る入力端子と、変圧された電力信号を電力送電線に供給する出力端子を備え、
前記発電機によって電圧が誘導される固定子巻線から始まる整流器、インバータ及びトランスを有する互いに独立のシステムが存在することにより、可能な出力電力の供給が1つの構成要素の故障によって最大でも4分の1しか阻止されないよう、前記発電機の複数の部分即ち固定子、整流器、インバータ及びトランスのような前記複数の電力生成システムの構成要素は重複的に構成されることを特徴とする(形態1・基本構成)。
(形態2) 上記の風力設備において、前記複数の電力生成システムの各々において、固定子は、互いに対し30°ずらされている2つの固定子巻線を有し、
該2つの固定子巻線は夫々3相電流巻線として構成され、従って、各固定子巻線が夫々3つの相巻線を有することにより、対応する6相整流器に接続される総計6つの相巻線を備えることが好ましい。
(形態3) 上記の風力設備において、1つの巻線の各相間の位相角は120°であることが好ましい。
(形態4) 上記の風力設備において、各固定子に夫々2つの3相電流巻線が配されることにより内部重複が形成され、かくして、1つの巻線の故障時、他方の巻線は常に対応する整流器に供給される出力電力を生成することが好ましい。
(形態5) 上記の風力設備において、各インバータは、夫々3つのモジュールから構成される同じ構造を有し、各モジュールの構造は、互いに同一であること、
各モジュールは、印加されたdc電圧から3相ac電圧を生成し、夫々のスイッチによって夫々のインバータの対応する出力端子に結合可能であることが好ましい。
(形態6) 上記の風力設備において、1つのインバータ中のモジュール数は、必要な内部重複を具体化するためにより大きい数とすることができ、該モジュール数により、他のインバータが故障した場合、過負荷従って早期の故障を防止するための容量過多を実現することができることが好ましい。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明による風力設備は、少なくとも2つの固定子、2つの整流器、2つのインバータ、および2つのトランスを持つ。それらはそれぞれ、固定子から始まり、電気エネルギー生成用、例えば、正弦波のac電圧への変換用、およびac電圧ネットワークへの給電用の、特定の完全なシステムを形成する。
【0011】
本発明の好ましい実施形態は、4つの固定子を備えており、それらは、円形リングの形で配置され、円形リングの部分をなす形をしていて、その各々が少なくとも1つの専用巻線を有している。この結果、各固定子のサイズと固有の重さは、固定子の輸送と取り扱いにおいて、通常利用出来る補助によりインプリメント可能な範囲内に留まっている。
【0012】
本発明に記載の風力設備の好ましい展開では、各固定子は、電気的に互いに絶縁され、位相角度30°で互いに位置をずらした、2本の3相カレント巻線を備えている。この方法により、ローターに対するエキサイタカレントの一部は、固定子巻線内で発生可能である。
【0013】
本発明の特に好ましい展開では、整流器、インバータ、およびトランスは、各固定子に関連される。この配置は、共通の回転子から離れた、4つの個別の電力生成システムをもたらす。従って、各システムは、可能な全出力電力の4分の1を生じさせることになる。
これにより、構成要素が故障した場合は、1つのシステムだけが欠損し、それに伴って、瞬間的な全体的出力電力の4分の1のみが欠けることになる。従って、これに応じて、出力電力の4分の3は、まだ利用可能である。
【0014】
風力設備に対して、全出力電力6MWを想定するならば、各システムはしたがって1.5MWの出力電力を有している。この出力パワーにより、すでに利用可能で、今日では大量に生産されている標準構成要素を、整流器、インバータ、およびトランスとして用いることが出来る。その結果、大量生産され、技術的に熟成した部品を用いることにより、故障の可能性は著しく減少し、それによって、本発明に記載の風力設備から、いつまでも高レベルの出力が得られることになる。
【0015】
本発明の好ましい実施形態では、整流器、インバータ、およびトランスは、各固定子巻線に関連している。従って、電力生成システムは、固定子巻線、整流器、インバータ、およびトランスから形成される。この設計構成は、各システムが、瞬時に利用可能な出力電力の、1/8にのみ関係していることを意味する。つまり、構成要素が故障し、従ってシステムが故障していれば、利用し得る電力の1/8はもはや利用出来ないが、8分の7はまだ利用可能であることになる。
【0016】
それに加え、このコンセプトによるなら、標準構成要素の数を増やして生産し、同様にコスト削減することが可能である。加えて、これらの構成要素のために、輸送および取り扱い手段、手順および方法が利用可能であり、多くの状況でためされて来ている。
【0017】
本発明の特に好ましい実施形態では、整流器、インバータおよびトランスは、好ましくはおよそ20%ほど容量過多に設計され、さらに、2つの整流器の各々の間、および2つのインバータの各々の間、および2つのトランスの各々の間には、構成要素が故障した場合に、それをバイパスし得るスイッチ装置が設けられている。
【0018】
この容量過多に起因して、残った構成要素は、過負荷を引き起こすことなく、故障した構成要素の機能を、少なくとも一時的に引き継ぐことが出来る。従って、例えば、整流器が故障した場合、故障した整流器と隣接した1つ以上の運転可能な整流器との間のスイッチ装置が起動可能である。このように、運転可能な整流器は、対応してより高出力電力で駆動され、さらに、故障した整流器を備えたシステムからのac電圧を整流する。
【0019】
特に好ましい特徴では、スイッチ装置の制御が、切り変えられる出力電力を顧慮して影響を受け、その結果、出力電力のレベルが低い場合は、1つのスイッチ装置だけが切り替わる。切り変えられる出力電力がより高い場合は、複数のスイッチ装置が作動し、それにより、負荷を複数の構成要素に分配し、過負荷を避ける。
【0020】
本発明の特に好ましい展開では、スイッチ装置は、固定子を除く各構成要素の、フィードラインおよび/またはアウトライン内に設けられる。その構成要素がスイッチ装置で完全に切断されるなら、対応するスイッチ装置の作動により、バイパスされる構成要素の部分への、いかなる反応も確実に回避可能である。
【0021】
本発明の他の実施形態では、個々の構成要素のフィードラインとアウトラインは並列に接続されている。これは、スイッチ装置を切り詰め、構成要素が故障した場合、他の構成要素が常に自動的に操作され、さらに、フィードラインおよび/またはアウトライン内でスイッチ装置より切断されなければならないのは、故障した構成要素だけであるため、コントロールシステムを単純化することが出来る。
【0022】
個々の構成要素の重複は、「外部重複」と呼ばれ、構成要素が故障した場合に、その機能が、重複的に存在する他の構成要素により引き継がれることになる可能性と認識される。従って、整流器が故障した場合には、他の整流器がその機能を引き継ぎ、インバータが故障した場合には、他のインバータがその機能を引き継ぎ、さらに、トランスが故障した場合には、他のトランスがその機能を引き継ぐ。
【0023】
これに比して、内部重複もある。これは、互いに重複して存在して、外部に関連してインバータなどの構成要素を形作る、複数のモジュールにより、構成要素を構築することを示す。つまり、1つのインバータの複数のモジュールのうちの1つが故障した場合、そのインバータは、インバータの残りのモジュールがまだ関連機能を実行し続けているため、明らかにまだ作動可能である。
【0024】
従って、2つの巻線を備えた固定子も、1つの巻線が故障した場合には、まだ第2の巻線が電力を生成し、その結果、固定子は、まだ可能な出力電力の半分を提供可能であるため、内部重複を持っていることになる。
【0025】
それに応じて、本発明に記載の風力設備では、固定子または固定子巻線を除き、個々の構成要素またはモジュールが故障した場合でさえ、瞬時に利用出来る出力電力の全てを実現可能である。
【0026】
本発明のさらなる有利な展開は、特許請求の範囲に記述されている。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明によるシステムの簡略図を示す。
【図2】スイッチ装置が追加された、図1に示されるシステムの図を示す。
【図3】出力側に接続された整流器を備えた、30°だけ位置がずれた2つの固定子巻線の例を示す。
【図4】本発明によるインバータの例を示す。
【図5】スイッチ装置を有する、重複して設けられたトランスの例を示す。
【図6】本発明の第2の実施例を示す。
【図7】本発明の第2の実施例での、重複して設けられたトランスの例を示す。
【図8】既知のシステムを示す。
【実施例】
【0028】
本発明は、以下に、実施例を用いてさらに詳細に記述される。
【0029】
図8は、風力設備の既知の電気的システムを示す。この電気的システムは、この例ではリング発電機の形をした、発電機を含んでいる。リング発電機は、回転子(図示せず)、および、電気的に互いに絶縁され、互いに対して30°だけ位相をずらした位置にある、2つの固定子巻線111、112を備えている。
【0030】
各固定子巻線111、112は、それぞれの専用整流器14の入力に接続されている。
各整流器14の出力は、それぞれのインバータ16の入力に接続されている。インバータ16の出力は、トランス18に並列に接続されている。
【0031】
トランス18が故障しただけで、風力設備は、それ以上なんらのエネルギーも提供出来ないため、必然的に経済的に完全に故障することになる。その結果、操作者は、故障の個々の継続期間に伴い、かなりの損害を蒙ることになる。
【0032】
固定子巻線111、112、整流器14、および/または、インバータ16の故障は、また、いずれにせよ、可能なエネルギー産出の半分の損失をもたらし、同様にかなりの経済的な損害を生じさせることになる。
【0033】
図1は、本発明による風力設備の簡略化された例を示す。この風力設備では、大部分の構成要素が重複して存在している。こうした重複は、発電機の部分、すなわち固定子121、122、123、124、整流器141、142、143、144、インバータ161、162、163、164およびトランス181、182、183、184に関連する。
【0034】
重複する構成要素の、並列配置から起こる重複は、外部重複である。加えて、若干の構成要素と共に、並列に接続された複数の類似モジュールから成る構成要素の内部構造から生じる、内部重複もある。内部重複は、例えば図4を参照すると、さらに詳細に記述されたインバータの場合において見ることが出来る。
【0035】
以下の記述目的のために、考察されている問題の前述の方法に類似した形式において、円形リングの部分をなし、回転する回転子(図示せず)により電圧が誘起される、少なくとも1つの巻線を有する各要素121、122、123、124は、円形リングの部分を形作る4つの要素121、122、123、124がある場合でも、固定子と呼ばれ、そして、本実施例の場合のように、それらは、共に、ほぼリング発電機の一体形固定子を形作るように配置される。
【0036】
円形リング形に配置され、共にほぼ円形リングの部分を形作る固定子121、122、123、124は、固定された回転子刃を有する風力設備回転子ハブ(図示せず)により、発電機の回転子(図示せず)が中央で回転する、円形リングを形成する。個々の固定子121、122、123、124は、機械的のみならず電気的にも互いに絶縁されるので、電圧は、固定子121、122、123、124上の巻線内で、対応して誘起される。
【0037】
これらの電圧は、導体201、202、203、204を通って整流器141、142、143、144へ流れるac電圧である。これらの導体201、202、203、204は、例えば4,000mmの断面積を有するアルミニウム棒であってもよい。その点で、個別の整流器は、各固定子121、122、123、124に関連している。このことにより、たとえ整流器が故障した場合でも、もはや利用出来ないのは、可能なエネルギー生成の1/4のみとなる。従って、可能な出力電力の4分の3は、まだ利用可能である。
【0038】
各整流器141、142、143、144の出力側に接続されているのは、インバータ161、162、163、164であり、そこへは、導体205、206、207、208によって接続されている。これらの導体205、206、207、208もまた、4,000mmの断面積を有するアルミニウム棒であってもよい。
【0039】
各インバータ161、162、163、164の出力側には、インバータ161、162、163、164で生成されるac電圧を、例えば20kVまで昇圧し、例えば中電圧ネットワークに給電する、トランス181、182、183、184が接続されている。
【0040】
この方法では、発電機回転子により電圧を誘起する固定子巻線から始まり、構成要素の故障が、最高でも可能な出力電力の4分の1の供給を妨げるだけとなるよう、整流器141、142、143、144、インバータ161、162、163、164、およびトランス181、182、183、184を有する、相互に独立したシステム101、102、103、104が備えられている。
【0041】
図2は、図1と比べると、スイッチ装置130、131、132、133、134、135、136、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、186、187、188、189によって拡張されている。これらは、以下では、そのまとまりとして、参照番号130−136、146−156、166−176および186−189として言及されている。図の明瞭さを保持するために、ここでは、固定子121、122、123、124、整流器141、142、143、144およびインバータ161、162、163、164の間の導体、およびシステム101、102、103、104のマーキングの参照は省略している。
【0042】
各システム101、102、103、104(図1)が他から独立して動作するよう、通常の動作では、個々の構成要素のフィードライン間のスイッチ装置130、131、132、150、151、152、170、171、172は開路され、さらに、通常の動作では、それぞれの構成要素と直列なフィードライン内およびアウトライン内のスイッチ装置133、134、135、136、146、147、148、149、153、154、155、156、166、167、168、169、173、174、175、176、186、187、188、189は閉路されている。
【0043】
ここで、スイッチ装置130−136、146−156、166−176、186−189を、それらが少なくとも2つのシステム101、102、103、104の個々の構成要素を接続するよう、制御することが出来る。これらの接続は、各スイッチ装置130、131、132、150、151、152、170、171、172により、2つの類似した構成要素のフィードラインが、常に並列に接続されるようになされる。
【0044】
例えば、整流器141、142のフィードラインはスイッチ装置130の作動により、インバータ161、162の入力はスイッチ装置150の作動により、インバータ162、163の入力はスイッチ装置151の作動により、並列に接続される。この形での組合せも可能なことは言うまでもない。
【0045】
いまだ作動中の、故障もしくは欠陥のある構成要素の反応を避けるために、個々の構成要素のフィードラインおよびアウトライン内には、全ての線において、好適に個々の構成要素の接続を断つ、スイッチ装置133、146;134、147;135、148;136、149;153、166;154、167;155、168;156、169;173、186;174、187;175、188;176、189が設けられる。
【0046】
従って、構成要素が故障した場合、その構成要素は、スイッチ装置130−136、146−156、166−176、186−189の適当な作動によりバイパスされ、結果として、故障にもかかわらず、風力設備は、まだ生成する電力の大部分、もしくは生成する全電力でさえ提供することになる。
【0047】
残った故障のない構成要素の過負荷を防止するために、つまり、それらが早期に故障してしまうのを防ぐために、これらの残った構成要素が故障した構成要素の出力電力をロードされた場合でも、いかなる過負荷も引き起こさないよう、これらの構成要素は20%ほど容量過多であることが望ましい。
【0048】
スイッチ装置130−136、146−156、166−176、186−189は、この場合、例えば整流器141、142、143、144もしくはインバータ161、162、163、164などの構成要素をバイパスすることは明らかに可能だが、こうした構成要素によってインプリメントされる機能をスキップすることは出来ないような方法で、配置され、制御される。
【0049】
例えば、インバータ162が故障した場合、常開のスイッチ装置150、151、152は、残りのインバータ161、163、164をインバータ162のフィードラインに接続するために閉路することが可能である。同時に、常閉のスイッチ装置154、167が作動し、故障したインバータ162への接続を断つために、開路される。
【0050】
最後に、3つのインバータ161、163、164が、再び全ての4つのトランス181、182、183、184に作用するよう、常開のスイッチ装置170、171、172が作動し、同様に閉路となることが出来る。
【0051】
この方法で、故障したインバータ162がバイパスされ、インバータ162の故障にもかかわらず、風力設備は、生成される全ての利用可能な電力を提供することが出来る。
【0052】
図3は、システム101の例を用いて、固定子巻線とその下流に接続された整流器の特に好ましい実施例を示す。ここでは、下流に接続された整流器141を伴う固定子巻線1211、1212が示されている。例として示されたこの配置は、他の重複システム102、103、104のそれと同一である。
【0053】
図3に示されていない固定子121は、互いと比して30°だけ位置がずれた、2つの固定子巻線1211、1212を伴っている。双方の固定子巻線1211、1212は、三相電流巻線形であり、同様に各々が3つの相巻線1213、1214、1215および1216、1217、1218を有している。総計6つの相巻線1213、1214、1215、1216、1217、1218は、6相整流器141に接続されている。
【0054】
個々の相1213、1214、1215および1216、1217、1218の間の位相角は120°である。回転子(図示せず)が時計回りに回転する場合、巻線1211で誘起される電圧の位相は、30°だけ、巻線1212で誘起される電圧の位相とずれることになる。巻線の位相が互いと比して120°だけずれるので、例えば、巻線1211内の相1214での電圧は、巻線1212内の相1217での電圧と30°ずれるが、巻線1212内の相1218とは90°ずれることになる。このように、相1218に必要なエクサイタ電力の一部は、相1214で生成可能である。
【0055】
双方の三相電流巻線1211、1212が固定子121上に配置されるので、内部重複はすでにここで具体化され、その結果、巻線1211、1212が故障した場合でも、他の巻線1212、1211は、その後整流器141へと流れる出力電力を常に生成することが出来る。
【0056】
本発明によるインバータ161、162、163、164の好ましい実施例は、図4に示される。複数のインバータ161、162、163、164を設けることにより、外部重複が提供される。
【0057】
他のインバータ162、163、164の構造と同じ構造のインバータ161を例にあげると、図4は、それが内部抵抗を統合する3つのモジュール1611、1612、613から成っていることを示す。個々のモジュール1611、1612、1613の構造は、互いに同じである;この場合、それらは、適当な作動手順によりdc電圧+Ud、−Udからac電圧を生成する、スイッチ要素としてのIGBTを備えている。加えて、こうしたモジュールの構造および作動モードは、本技術の水準から既知であり、従って、作動モードの詳細な記述はここには含まれない。
【0058】
各モジュール1611、1612、1613は、印加適用されたdc電圧から三相ac電圧を生成し、スイッチ1614、1615、1616によって、インバータ161の出力LI、L2、L3へと接続可能である。
【0059】
しかし、インバータ161、162、163、164の中のモジュール数は、3に限られていない。外部重複の他に、必要な内部重複を具体化するために、異なる数のモジュール1611、1612、1613および好ましくはより大きい数を選ぶことは、等しく可能である。
【0060】
モジュールの数は、この場合でもやはり、他の1つのインバータ161、162、163、164が故障した場合、過負荷を予防し、早期の故障を予防するための、容量過多を実現することが出来る。
【0061】
図5は、好しくは3相電圧トランスの形をして、1次側は、例えば各場合に、インバータ161、162、163、164からの3×400Vで動作し、さらに2次側上に、例えば中電圧ネットワークには例えば3×20kVまで変換されるac電圧を提供する、トランス181、182、183、184の重複配置を示している。
【0062】
これらのトランス181、182、183、184も、欠陥もしくは故障したトランス181、182、183、184から付加的な出力電力が印加された後でも、確実に作動可能となるよう、容量過多となっているのが好ましい。
【0063】
図5は、故障したトランス181、182、183、184をバイパス可能とする、スイッチ装置170、171、172、173、174、175、176、186、187、188、189をもう一度示す。この場合、スイッチ装置173、186;174、187;175、188;176、189は、スイッチ装置170、171、172が閉路した時、トランス181、182、183、184の1次巻線および/または2次巻線の並列接続に起因して、インピーダンスシフトが起こるのを避けるために、故障したトランス181、182、183、184の1次および2次巻線をオフにすることが可能となる。
【0064】
この目的のために、1次側に配置されたスイッチ装置173、174、175、176、および、2次側に配置されたスイッチ装置186、187、188、189は、対応するトランス巻線の全ての端子を、直流電気的に切り離すよう設計されている。この点で、制御は、トランス181、182、183、184の双方のスイッチ装置173、186;174、187;175、188;176、189、すなわち、例えばトランス182の1次スイッチ装置174と2次側スイッチ装置187とが、確実にトランス182の接続を断つために、常に同時に作動する形で実行されるのが好ましい。
【0065】
図6は、本発明の第2の実施例を示している。この実施例は、図2に示される実施例に大まかな部分では一致しており、図2での各2つの構成要素間のスイッチ装置130、131、132、150、151、152、170、171、172を省略している点が異なっており、その結果、図1の個々のシステム101、102、103、104に類似した構成要素は並列に接続され、通常の動作では、生成される出力電力のほぼ1/4により全て駆動される。
【0066】
第1の実施例の配置と一致する方法において、スイッチ装置133、134、135、136、146、147、148、149、153、154、155、156、166、167、168、169、173、174、175、176、186、187、188、189は、全システム101、102、103、104が作動するように、通常の作動では閉路されている。
【0067】
ここで構成要素が故障した場合、その構成要素は、問題となっている構成要素のフィードラインおよびアウトライン内に配置されたスイッチ装置133、146;134、147;135、148;136、149;153、166;154、167;155、168;156、169;173、186;174、187;175、188;176、189の開路により切断され、他のシステム101、102、103、104(図1)内の他の構成要素は、自動的に出力電力のより高いレベルで作動される。
【0068】
これはまた、トランス181、182、183、184が、常閉のスイッチ装置173、174、175、176、186、187、188、189により、並列に接続されている図7からもう一度明らかに認識可能である。ここで、トランス181、182、183、184に欠陥もしくは故障があると分かった場合、関連するスイッチ装置173、186;174、187;175、188;176、189は作動し(開路し)、他のトランス181、182、183、184が、それぞれ出力電力のより高いレベルで作動している間、問題となったトランスは切断され、風力設備は、なお生成される全エネルギーを提供することになる。
【0069】
図1に例示された整流器141、142、143、144は、機械ハウジング、言わば風力設備のポッド内に配置されているのが好ましい。インバータ161、162、163、164は、風力設備のパイロンのベース領域に配置され、さらに、インバータと整流器は、直流バスバー205、206、207、208によって、一緒に接続されているのが好ましい。沖合風力設備の場合、生成される出力電力をネットワークに供給するためのトランスは、また、風力設備のパイロンの最下部のベース領域、つまり喫水線下に配置可能である。
【0070】
なお、本発明は、以下のように構成することも可能である:
(1)並列に配置された複数の電力生成システムからなり、
各電力生成システムは、固定子と、上記の固定子に対応し、整流器、インバータ及びトランスを構成要素として備えるフィードライン部とからなり、
第1の電力生成システムは、第1の固定子と第1のフィードライン部とからなり、第1の固定子の出力は、第1のフィードライン部の入力に電気的に接続され、第1のフィードライン部は、第1の整流器、第1のインバータ及び第1のトランスを含み、
第2の電力生成システムは、第2の固定子と第2のフィードライン部とからなり、第2の固定子の出力は、第2のフィードライン部の入力に電気的に接続され、第2のフィードライン部は、第2の整流器、第2のインバータ及び第2のトランスを含み、
第1のトランスの出力と第2のトランスの出力は、ともに電力送電線に接続され、電力生成設備の出力電力の少なくとも一部を提供し、
少なくとも1組のスイッチが、複数のフィードライン部の中の少なくとも1つのフィードライン部の入力に設置され、
さらに、故障した構成要素がバイパスされるように、複数の並列のフィードライン部の中の1以上における構成要素の故障に対応して、上記の少なくとも1組のスイッチの中の1以上のスイッチを作動させるアクチュエータが設けられる風力設備。
(2)上記の風力設備において、上記の複数の電力生成システムにおける各固定子は、回転可能に搭載された回転子を取り囲む円形リングの中の1つの部分として独立に構成されていることが好ましい。
(3)上記の風力設備において、少なくとも1つの上記の固定子が2つの巻線を備えることが好ましい。
(4)上記の風力設備において、各々の上記の固定子が2つの巻線を備えることを特徴とすることが好ましい。
(5)上記の風力設備において、上記の2つの巻線が、電気的に互いと比して位相が30°だけずらされていることが好ましい。
(6)上記の風力設備において、少なくとも1つの上記の固定子の巻線が三相電流巻線であることが好ましい。
(7)上記の風力設備において、各々の上記の固定子の巻線が三相電流巻線であることが好ましい。
(8)上記の風力設備において、少なくとも1つの上記の整流器が名目上の作動負荷に比べて容量過多であることが好ましい。
(9)上記の風力設備において、少なくとも1つの上記のインバータが名目上の作動負荷に比べて容量過多であることが好ましい。
(10)上記の風力設備において、少なくとも1つの上記のトランスが名目上の作動負荷に比べて容量過多であることが好ましい。
(11)上記の風力設備において、上記の複数のフィードライン部の各々において、
上記の整流器が、上記の固定子から電力信号を受け取る入力端子と、整流された電力信号を供給する出力端子を備え、
上記のインバータは、上記の整流器から整流された電力信号を受け取る入力端子と、
反転された電力信号を供給する出力端子を備え、
かつ、上記のトランスは、上記のインバータから反転された電力信号を受け取る入力端子と、変圧された電力信号を供給する出力端子を備えることが好ましい。
(12)上記の風力設備において、さらに、第1の組の常開のスイッチ装置を備え、これらのスイッチ装置が、隣接する複数の上記のフィードライン部を上記の整流器の入力側で接続することが好ましい。
(13)上記の風力設備において、さらに、第2の組の常開のスイッチ装置を備え、これらのスイッチ装置が、隣接する複数の上記のフィードライン部を上記のインバータの入力側で接続することが好ましい。
(14)上記の風力設備において、さらに、第3の組の常開のスイッチ装置を備え、これらのスイッチ装置が、隣接する複数の上記のフィードライン部を上記のトランスの入口で接続することが好ましい。
(15)上記の風力設備において、さらに、アクチュエータを備え、このアクチュエータは、上記の第1、第2または第3の組の常開のスイッチ装置から選択される少なくとも1個のスイッチ装置を、上記の複数の電力生成システムにおける整流器、インバータまたはトランスの故障に対応して閉じることが好ましい。
(16)上記の風力設備において、さらに、複数対の常閉のバイパススイッチ装置を備え、これらのバイパススイッチ装置は、1つの上記のフィードライン部に、整流器、インバータ又はトランスの近傍で直列に接続され、
上記のアクチュエータは、さらに、故障した整流器、インバータまたはトランスに関連される1対の上記バイパススイッチ装置を開くことが好ましい。
【符号の説明】
【0071】
14 整流器
16 インバータ
18 トランス
111 固定子巻線
112 固定子巻線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
並列に配置された複数の電力生成システム(101、102、103、104)を有し、
各電力生成システムは、発電機の共通の回転子に隣接して配設された該発電機の固定子巻線(121:1211、1212)と、該固定子巻線に対応し、少なくとも整流器(141、142、143、144)、インバータ(161、162、163、164)及びトランス(181、182、183、184)をフィードライン構成要素として備えるフィードライン部を有し、
前記複数の電力生成システムの各々の固定子は、回転可能に搭載された共通の回転子を取り囲む円形リングの中の1つの部分として独立に構成され、
前記複数のフィードライン部の各々において、整流器は、対応する固定子から電力信号を受け取る入力端子と、整流された電力信号を供給する出力端子を備え、インバータは、該整流器から整流された電力信号を受け取る入力端子と、反転された電力信号を供給する出力端子を備え、及びトランスは、該インバータから反転された電力信号を受け取る入力端子と、変圧された電力信号を電力送電線に供給する出力端子を備え、
前記発電機によって電圧が誘導される固定子巻線から始まる整流器(141、142、143、144)、インバータ(161、162、163、164)及びトランス(181、182、183、184)を有する互いに独立のシステム(101、102、103、104)が存在することにより、可能な出力電力の供給が1つの構成要素の故障によって最大でも4分の1しか阻止されないよう、前記発電機の複数の部分即ち固定子(121、122、123、124)、整流器(141、142、143、144)、インバータ(161、162、163、164)及びトランス(181、182、183、184)のような前記複数の電力生成システムの構成要素は重複的に構成される
風力設備。
【請求項2】
前記複数の電力生成システム(101、102、103、104)の各々において、固定子(121、122、123、124)は、互いに対し30°ずらされている2つの固定子巻線(121:1211、1212)を有し、
該2つの固定子巻線は夫々3相電流巻線として構成され、従って、各固定子巻線が夫々3つの相巻線(121:1213、1214、1215及び1216、1217、1218)を有することにより、対応する6相整流器に接続される総計6つの相巻線を備えること
を特徴とする請求項1に記載の風力設備。
【請求項3】
1つの巻線の各相間の位相角は120°であること
を特徴とする請求項2に記載の風力設備。
【請求項4】
各固定子(121、122、123、124)に夫々2つの3相電流巻線(121:1211、1212)が配されることにより内部重複が形成され、かくして、1つの巻線の故障時、他方の巻線は常に対応する整流器(141、142、143、144)に供給される出力電力を生成すること
を特徴とする請求項2に記載の風力設備。
【請求項5】
各インバータ(161、162、163、164)は、夫々3つのモジュール(161:1611、1612、1613)から構成される同じ構造を有し、各モジュールの構造は、互いに同一であること、
各モジュール(161:1611、1612、1613)は、印加されたdc電圧から3相ac電圧を生成し、夫々のスイッチ(161:1614、1615、1616)によって夫々のインバータの対応する出力端子(L1、L2、L3)に結合可能であること
を特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の風力設備。
【請求項6】
1つのインバータ(161、162、163、164)中のモジュール数は、必要な内部重複を具体化するためにより大きい数とすることができ、該モジュール数により、他のインバータ(161、162、163、164)が故障した場合、過負荷従って早期の故障を防止するための容量過多を実現することができること
を特徴とする請求項5に記載の風力設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−160657(P2011−160657A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−115913(P2011−115913)
【出願日】平成23年5月24日(2011.5.24)
【分割の表示】特願2007−23856(P2007−23856)の分割
【原出願日】平成13年8月10日(2001.8.10)
【出願人】(500017944)アロイス・ヴォベン (107)
【Fターム(参考)】