説明

風呂の凍結防止装置

【課題】風呂循環ポンプの凍結を確実に防止することが出来る風呂の凍結防止装置を提供する。
【解決手段】浴槽水を加熱する風呂熱交換器13と、該風呂熱交換器13と浴槽12とを結ぶ風呂循環回路14と、該風呂循環回路14に備えられ浴槽水を循環させる風呂循環ポンプ15と、外気温度を検知する外気温センサ27と、該外気温センサ27が凍結危険温度を検知すると、風呂循環ポンプ15を駆動させて浴槽水を循環させることで凍結防止する制御手段41とを備えたもので、前記制御手段41は、前記凍結防止運転時に浴槽12内の浴槽水の有無を判断し、浴槽12内に浴槽水がない場合には、風呂循環ポンプ15を最低回転数で連続運転させるようにしたことで、静かでありながら確実に風呂循環ポンプ15自身の凍結を防止出来るものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、浴槽水を循環させる風呂循環ポンプ自体の凍結を防止する風呂の凍結防止装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来よりこの種のものに於いては、浴槽水が検知されない時の風呂循環ポンプの凍結防止運転は、風呂循環ポンプを所定時間運転させ、所定時間経過後運転を停止させると言う間欠運転で、この間欠運転における所定時間を外気温に応じて変更するもので、即ち、外気温が低い時は、運転時間は長く、運転停止時間を短くし、逆に外気温が高い時は、運転時間は短く、運転停止時間を長くするものであった。(特許文献1参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3049951号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところでこの従来のものでは、風呂循環ポンプの運転回数が減ったとしても、間欠運転することで、運転開始時に大きな力、駆動電力が必要で、これを複数回繰り返すことにより、大きな電力消費となり、駆動音も大きく、良好な効果を得ることが出来ないと言う課題を有するものであった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は上記課題を解決するために、特にその構成を、浴槽水を加熱する風呂熱交換器と、該風呂熱交換器と浴槽とを結ぶ風呂循環回路と、該風呂循環回路に備えられ浴槽水を循環させる風呂循環ポンプと、外気温度を検知する外気温センサと、該外気温センサが凍結危険温度を検知すると、風呂循環ポンプを駆動させて浴槽水を循環させることで凍結防止する制御手段とを備えたものに於いて、前記制御手段は、前記凍結防止運転時に浴槽内の浴槽水の有無を判断し、浴槽内に浴槽水がない場合には、風呂循環ポンプを最低回転数で連続運転させるようにしたものである。
【0006】
又請求項2では、前記風呂循環ポンプは、外気温センサが凍結危険温度以上を検知することで運転停止すると共に、浴槽内の浴槽水を検知すると所定間隔で発停する通常の凍結防止運転に切り替わるようにしたものである。
【発明の効果】
【0007】
以上のようにこの発明によれば、自吸式で呼び水を有する等何らかの残水を有する風呂循環ポンプ自身の凍結防止が確実に行われるものであり、更にこの風呂循環ポンプは最低回転数で連続運転するので、騒音の発生も少なく静かで、一度駆動すると継続し何回も発停を繰り返さず、消費電力も少なく安心して使用出来るものである。
【0008】
又請求項2によれば、凍結防止のために止まるか止まらないかの最低回転数での運転を、外気温が凍結危険温度以上になるまで継続されるので、途中で停止することによる凍結の危険がなく、更に浴槽内に浴槽水が検知されれば、発停式の通常の凍結防止運転に自動的に切り替えられ、極めて使用勝手が良いものである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明の凍結防止装置の一実施形態を備えた給湯機の概略構成図。
【図2】同要部電気回路のブロック図。
【図3】同要部のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次にこの発明の一実施形態の風呂の凍結防止装置を図面に基づいて説明する。
1は湯水を貯湯するステンレス製の貯湯タンク、2は貯湯タンク1底部に市水を給水する給水管、3は貯湯タンク1頂部から出湯する出湯管、4は給水管2から分岐された給水バイパス管、5は出湯管3からの湯と給水バイパス管4からの水とを給湯設定温度になるように混合する給湯混合弁、6は給湯混合弁5で混合された湯が流通する給湯管、7は給湯管6からの湯を給湯する給湯栓、8は給湯管6途中に設けられ給湯温度を検出する給湯温度センサ、9は給湯管6途中に設けられ給湯量を検出する給湯流量センサ、10は給水管2に設けられ市水の給水圧を一定の圧力に減圧する減圧弁、11は貯湯タンク1内の過圧を逃がす過圧逃がし弁である。
【0011】
12は浴槽、13は貯湯タンク1内の上部に設けられ貯湯タンク1内の湯の熱で外部流体としての浴槽水を加熱するための風呂熱交換器、14は浴槽12と風呂熱交換器13とを浴槽水が循環可能に接続する風呂循環回路、15は風呂循環回路14途中に設けられ浴槽水を循環させるDCポンプからなり高速回転から最低回転数まで無段階に能力可変それる風呂循環ポンプ、16は給湯管6から分岐され風呂循環回路14に接続された湯張り管、17は湯張り管16途中に設けられ湯張り管16を開閉する湯張り弁、18は風呂循環回路14途中に設けられ浴槽12から風呂熱交換器13へ流れる浴槽水の温度を検出する風呂温度センサ、19は同じく風呂循環回路14途中に設けられ浴槽12内の浴槽水の有無を検知する風呂フローセンサ、20は浴槽12内の水位を圧力で検出する水位センサである。
【0012】
21は貯湯タンク1内の湯水を加熱するためのヒートポンプ式加熱手段で、冷媒を圧縮する圧縮機22と、冷媒と水とを熱交換する冷媒水熱交換器23と、冷媒の圧力を減圧する減圧器24と、液冷媒を蒸発させる蒸発器25とを備え、蒸発器25で吸熱した冷媒を圧縮機22で圧縮して冷媒水熱交換器23を介して水を加熱するようにしている。蒸発器25には送風機26が設けられると共に、通風経路の蒸発器25の上流側には、外気温度を検出するための外気温センサ27が設けられている。このヒートポンプ式加熱手段21には冷媒として二酸化炭素冷媒が用いられ、高圧側が超臨界状態となることにより水を90℃の高温まで加熱することができるものである。
【0013】
28は貯湯タンク1の下部と冷媒水熱交換器23の水側と貯湯タンク1の上部とを湯水が循環可能に接続する加熱循環回路、29は加熱循環回路28途中に設けられた加熱循環ポンプ、30は冷媒水熱交換器23へ流入する水の温度を検出する入水温度センサ、31は冷媒水熱交換器23で加熱された湯の温度を検出する沸き上げ温度センサである。
【0014】
32は貯湯タンク1の側面の上下方向に複数設けられた貯湯温度センサで、貯湯タンク1内の湯水の温度を検出するためのものであり、上から32a、32b、32c、32d、32eと呼ぶ。なお、これら貯湯温度センサ32a〜eの内、最下部の貯湯温度センサ32eは所定量以上の給湯が行われた際に貯湯タンク1下部の湯水の温度を検出して給水温度を検出する給水温度センサとしても作動するものである。
【0015】
33は浴室等に設けられるリモートコントローラで、給湯機に関する各種の情報(給湯設定温度、風呂設定温度、残湯量、給湯機の作動状態等)を表示する表示部34と、給湯設定温度、風呂設定温度、風呂設定湯量等を設定操作するための設定スイッチ35と、浴槽12へ風呂設定湯量の湯張りを指示する湯張りスイッチ36と、浴槽水を風呂熱交換器13で循環加熱させる追い焚きスイッチ37と、高温差し湯運転を指示する高温差し湯スイッチ38と、風呂設定温度の湯を一定量足し湯する足し湯スイッチ39と、給水あるいは低温の湯を一定量差し水する差し水スイッチ40とを備えている。
【0016】
41は給湯温度センサ8、給湯流量センサ9、風呂温度センサ18、風呂フローセンサ19、水位センサ20、外気温センサ27、入水温度センサ30、沸き上げ温度センサ31、貯湯温度センサ32a〜eの検出値が入力され、風呂循環ポンプ15、湯張り弁17、圧縮機22、減圧器24、送風機26、加熱循環ポンプ29の作動を制御すると共に、リモートコントローラ33と通信可能に接続された制御手段である。この制御手段41は、予め給湯機の作動を制御するためのプログラムが記憶されていると共に、演算、比較、記憶機能、時計機能を有しているものである。
【0017】
更にこの制御手段41は、外気温センサ27が凍結危険温度未満を検知することで、風呂循環ポンプ15を弱回転で駆動させて、風呂フローセンサ19が水流を検知するかを見て、検知する場合は浴槽12内に浴槽水があると判断して、一定時間ONと一定時間OFFの間欠運転の従来の凍結防止運転を行うものであり、水流検知がなかった場合には、更に風呂循環ポンプ15を強回転で駆動させ、再度風呂フローセンサ19が水流を検知するかを判断し、これでも水流が検知されず浴槽水がないことが確定されれば、自吸式の風呂循環ポンプ15を最低回転数で連続運転させ、即ち、風呂循環ポンプ15を回るか回らないかの回転数で駆動させることで、静かでありながら確実に風呂循環ポンプ15自身の凍結を防止出来るものであり、又この風呂循環ポンプ15の駆動は、外気温センサ27が凍結防止温度以上を検知するか、途中で浴槽12に給水が行われて浴槽水の水流が検知されることで停止されるものである。
【0018】
次にこの一実施形態の風呂の凍結防止運転について図3のフローチャートに基づいて説明する。
今外気温度が低下しステップS1で、外気温センサ27が凍結危険温度未満を検知すると、YESでステップS2に進み風呂循環ポンプ15を弱回転で駆動させた後に、ステップS3に進んで風呂フローセンサ19による水流検知で水流有りかを判断し、有りのYESではステップS4に進み風呂循環ポンプ15を一定時間ON(駆動)した後、一定時間OFF(停止)する従来の間欠運転の凍結防止運転を行うものである。
【0019】
又ステップS3で水流検知なしのNOでは、ステップS5に進んで風呂循環ポンプ15を今度は強回転で駆動させた後、ステップS6に進み再度風呂フローセンサ19による水流検知で水流有りかを判断し、ここで初めて有りのYESで従来の凍結防止運転を行わせるためにステップS4に進むものであり、一方風呂循環ポンプ15を強回転させても水流が検知されなかった場合には、確実に浴槽12内に浴槽水がないと判断し、ステップS6でNOでは、ステップS7に進んで風呂循環ポンプ15を回るか回らないかの回転数の最低回転数で連続運転させて、自吸式である風呂循環ポンプ15自身の凍結を防止するものである。
【0020】
更にこの風呂循環ポンプ15の最低回転数の駆動は、ステップS8で外気温センサ27が凍結危険温度以上を検知したかを判断し、YESでステップS9に進んで風呂循環ポンプ15が停止されるまで継続され、又はステップ9のNOでステップS6に進み途中で浴槽12に給水があり、風呂フローセンサ19が水流を検知して、YESでステップS4の従来の凍結防止運転に切り替えられるまで行われるものである。
【0021】
このように浴槽12が空で風呂循環回路14の凍結の心配がない場合でも、自吸式で呼び水や残水がある風呂循環ポンプ15の凍結による破損を、極めて低速で静かでありながら確実に防止することが出来、常に安心して使用することが出来て極めて使用勝手が良いものである。
【0022】
なお、この発明は貯湯式ヒートポンプ給湯機を例に説明したが、これに限定されず要旨を変更しない範囲で改変が可能なもので、例えば電気温水器や石油、ガス給湯機であっても良いものである。
【符号の説明】
【0023】
12 浴槽
13 風呂熱交換器
14 風呂循環回路
15 風呂循環ポンプ
27 外気温センサ
41 制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽水を加熱する風呂熱交換器と、該風呂熱交換器と浴槽とを結ぶ風呂循環回路と、該風呂循環回路に備えられ浴槽水を循環させる風呂循環ポンプと、外気温度を検知する外気温センサと、該外気温センサが凍結危険温度を検知すると、風呂循環ポンプを駆動させて浴槽水を循環させることで凍結防止する制御手段とを備えたものに於いて、前記制御手段は、前記凍結防止運転時に浴槽内の浴槽水の有無を判断し、浴槽内に浴槽水がない場合には、風呂循環ポンプを最低回転数で連続運転させるようにした事を特徴とする風呂の凍結防止装置。
【請求項2】
前記風呂循環ポンプは、外気温センサが凍結危険温度以上を検知することで運転停止すると共に、浴槽内の浴槽水を検知すると所定間隔で発停する通常の凍結防止運転に切り替わるようにした事を特徴とする請求項1記載の風呂の凍結防止装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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