説明

風呂給湯装置

【課題】微小気泡を浴槽まで確実に供給することのできる風呂給湯装置を提供すること。
【解決手段】本発明の風呂給湯装置は、浴槽5から導出した浴水6を循環させて浴槽5に戻す循環配管(追い焚き用循環配管15)と、循環配管に浴水6を循環させる循環ポンプ14と、循環配管の途中に設けられ、浴水中に微小気泡を生成可能な第1の微小気泡発生装置16と、循環配管の第1の微小気泡発生装置16より下流側に設けられ、浴水中に微小気泡を生成可能な第2の微小気泡発生装置17と、を備え、循環配管に浴水6を循環させながら第1の微小気泡発生装置16および第2の微小気泡発生装置17で微小気泡を生成することにより浴槽5に微小気泡を供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風呂給湯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
省エネルギー性に優れた一般家庭用の風呂給湯装置の需要が急速に拡大している。特に新築住宅やリフォーム物件ではオール電化が加速化しており、右肩上がりの増加傾向にある。近年の風呂給湯装置は、省エネルギー化技術が急速に進歩している一方で、システム内の配管を自動洗浄する様な清潔度向上の機能を備えた製品が各社から発売されている。
【0003】
清潔度向上の機能を実現する手段として、追い焚き用循環配管内に気泡を注入する手段を備えた風呂給湯装置がある(例えば、特許文献1参照)。これは、追い焚き用循環配管に気泡を注入する手段としてのエジェクタを備えたものであり、これにより追い焚き用熱交換器の内壁や追い焚き用循環配管内の汚れを洗浄除去し、追い焚き時の浴水を清潔に維持することができる。また、銀イオンを発生させるユニットを給湯機本体の配管の一部に配置して、入浴後、除菌・防臭効果のある銀イオンを含んだお湯を浴槽、洗い場壁面に流すことで、においやヌメリなどを軽減する効果を備えたシステムも提案されている(例えば、特許文献2参照)。この他、同様にイオンを発生する方式として、最近では、貯湯ユニットに備えたミネラル(酸化亜鉛)イオンユニットにより、ミネラルのお湯を作って浴槽へ湯張りを行い、お風呂のお湯を抜くたびにミネラル自動配管洗浄するシステムも提案されている(例えば、非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−186092号公報
【特許文献2】特開2011−92858号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】パナソニック電工株式会社、“家庭用エコキュート全16機種新発売「ミネラルきれい湯」で省エネ&快適入浴”、[online]、2011年6月14日、パナソニック電工株式会社ホームページ(ニュースリリース)、[2011年9月13日検索]、インターネット<URL:http://panasonic-denko.co.jp/corp/news/1106/1106-6.htm>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に示される従来技術においては、追い炊き用循環配管に備えられた気泡注入用のエジェクタのガス吸引口から外部の気体を吸引し、流体に気泡を導入する機能を有するものである。エジェクタ方式は、管路に狭窄部と、流体の流入口と流出口と、気体が注入される気体吸引口とを備え、管路の狭窄部で流体の流速を高速化し、その部分で発生する減圧現象を利用して気体吸引口から外部の気体を吸引し、減圧下で空気が急激に膨張して崩壊することで、気泡を発生させるものである。このため、基本的にはポンプ等を使用することなく流体に気泡を発生させることができる。しかしながら、このエジェクタ方式には、微小径の気泡が発生しにくいという課題がある。この方式では、空気に対する圧力変動で気泡を発生させているため、空気を細かくせん断することができないので、直径が数10マイクロメートル以下の微小気泡を発生しにくい。また、狭窄部の減圧現象を利用して外部空気を吸引する自給方式は、空気の吸引量を大幅に増加させることが困難であり、特許文献1ではポンプ適用による強制給気を提案しているが、コストアップやポンプ自身の長期信頼性(10年以上の安定動作)を確保することが困難である等の課題がある。このようなことから、気泡の発生量が十分ではなく、気泡径も大きいため、浴槽までの追い焚き用循環配管内で合泡や配管内壁への付着による消失が起こり、配管洗浄で気泡を消費してしまう。配管洗浄のみを目的とするのであればこのような気泡発生装置の仕様でも目的を達成することができる。一方、マイクロバブル(発生時に10〜数10マイクロメートルの直径を有する気泡を指す)は、本来、多様な機能を有することが一般的に知られており、浴槽中の浴水に対しても有用な機能を発現させることが可能である。特許文献1の先行技術では、浴槽内の浴水には十分な気泡が届かず、浴槽内での洗浄機能、および、浴水の温浴効果等が期待できないという課題がある。
【0007】
また、特許文献2および3で示される従来技術においては、銀イオンあるいは亜鉛イオンによる抗菌性を発現させる方式のため、耐性菌が発生する課題があった。例えば、銀イオンは、大腸菌や枯草菌(バチルス菌)、酵母菌(ロドトルラ)などには抗菌効果を有することができるが、緑膿菌(シュードモナス菌)には抗菌効果が高くないことが知られており、イオンなどの抗菌手段を適用する場合は、耐性菌が発生してしまうという課題がある。特に、緑膿菌は繁殖が進むと不快臭気やヌメリを発生させ、レジオネラ菌発生の原因にもなる恐れがある。またカビに対しても効果が低いことが知られている。また亜鉛イオンについても銀イオンと同様である。
【0008】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、微小気泡を浴槽まで確実に供給することのできる風呂給湯装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る風呂給湯装置は、浴槽から導出した浴水を循環させて浴槽に戻す循環配管と、循環配管に浴水を循環させる循環ポンプと、循環配管の途中に設けられ、浴水中に微小気泡を生成可能な第1の微小気泡発生装置と、循環配管の第1の微小気泡発生装置より下流側に設けられ、浴水中に微小気泡を生成可能な第2の微小気泡発生装置と、を備え、循環配管に浴水を循環させながら第1の微小気泡発生装置および第2の微小気泡発生装置で微小気泡を生成することにより浴槽に微小気泡を供給するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、第1の微小気泡発生装置から発生する微小気泡の効果により、浴水中の溶存空気量を増加させることができるため、高濃度溶存空気の水流を第2の微小気泡発生装置に供給することで、第2の微小気泡発生装置から発生する微小気泡を増量化させることができる。このため、配管途中で気泡が合泡して径が増大したり、あるいは、配管内壁に付着して消失したりする事象が仮に発生したとしても、十分な気泡数を維持することができるので、十分な量の微小気泡を浴槽まで確実に到達させることができる。このため、浴槽内での微小気泡による温浴効果や、浴槽内面への垢や皮脂汚れ等の付着を微小気泡により抑制するなどの効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態1の風呂給湯装置を示す構成図である。
【図2】第1の微小気泡発生装置および第2の微小気泡発生装置として用いることのできる微小気泡発生装置の構造の一例とその原理を説明するための断面図である。
【図3】微小気泡発生による水中溶存酸素量の増量効果を確認するために行った実験の結果を示すグラフである。
【図4】本発明の実施の形態1の風呂給湯装置における微小気泡の発生量を確認するために行った実験の結果を示すグラフである。
【図5】本発明の実施の形態2の風呂給湯装置を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において共通する要素には、同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0013】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1の風呂給湯装置を示す構成図である。図1に示す本実施形態の風呂給湯装置は、給湯のための熱量を貯湯タンク1に蓄熱する機能と、浴槽5の浴水6を追い焚き(加温または保温)する追い焚き機能とを有している。貯湯タンク1は、ヒートポンプユニット2と接続されている。沸き上げ運転時には、貯湯タンク1中の冷水3は、ヒートポンプユニット2に送水されることで冷凍サイクルにより供給された熱によって温水4に変えられ、貯湯タンク1に戻る。沸き上げ運転時に水が体積膨張した分の膨張水は、貯湯タンク1に接続された排水管30を通って逃し弁31から系外に排水される。貯湯タンク1には、上水を供給する上水管7から分岐した給水配管8が接続されている。貯湯タンク1内の温水4は、給湯配管10を通って蛇口9に送られ、蛇口9から浴槽5に供給される。
【0014】
本実施形態の風呂給湯装置には、浴槽5の浴水6を追い焚きするための追い焚き用熱交換器11と、貯湯タンク1内の温水4を追い焚き用熱交換器11に供給する加熱配管12と、この加熱配管12に温水4を循環させる循環ポンプ13と、浴槽5と追い焚き用熱交換器11とを接続する追い焚き用循環配管15と、追い焚き用循環配管15に浴槽5の浴水6を循環させる循環ポンプ14と、追い焚き用循環配管15の途中に配置された微小気泡注入用の第1の微小気泡発生装置16および第2の微小気泡発生装置17とが更に備えられている。第1の微小気泡発生装置16と、循環ポンプ14と、第2の微小気泡発生装置17と、追い焚き用熱交換器11とは、追い焚き用循環配管15の上流側から下流側に向かって、この順で配置されている。
【0015】
浴槽5の浴水6を追い焚きする場合には、貯湯タンク1から温水4が、循環ポンプ13により、加熱配管12を通り、追い焚き用熱交換器11に送られる。一方、浴槽5の浴水6は、循環ポンプ14により、追い焚き用循環配管15を通り、追い焚き用熱交換器11へ送られる。追い焚き用熱交換器11において、貯湯タンク1の温水4と浴水6との熱交換により、温水4は熱を奪われ低温となって加熱配管12を通って貯湯タンク1に戻され、浴水6は受熱して温度上昇し、追い焚き用循環配管15を通って浴槽5に戻される。
【0016】
本実施形態の風呂給湯装置では、浴槽5に水を供給する給水配管18が蛇口9に接続され、また、追い焚き用循環配管15に上水を供給する給水配管19と、この給水配管19に設置された気泡注入用の微小気泡発生装置20とが更に備えられている。微小気泡発生装置20は、追い焚き用循環配管15の洗浄時に使用される。なお、上記の説明では、配管に取り付けられている通常の開閉弁類や逆止弁の説明は省略している。
【0017】
図2は、第1の微小気泡発生装置16および第2の微小気泡発生装置17として用いることのできる微小気泡発生装置の構造の一例とその原理を説明するための断面図である。本実施形態の風呂給湯装置における第1の微小気泡発生装置16および第2の微小気泡発生装置17としては、図2に示すような構成の微小気泡発生装置21を好ましく用いることができる。図2に示すように、微小気泡発生装置21は、空気導入部22と、水導入部23と、気液導入部24と、旋回流生成部25と、微小気泡発生部26とを有している。循環ポンプ14によって形成される水導入部23内の水流は、空気導入部22から取り入れられた空気と気液導入部24にて混合され、気液混合流体となって旋回流生成部25内に流入する。旋回流生成部25は、内部流路断面が出口部に向かって滑らかに縮径する円錐状の旋回流生成空間を有する構造体である。気液導入部24からの気液混合流体は、旋回流生成部25の円錐の底部に接線方向から流入し、気液混合流体中の水流は遠心力によって旋回流生成部25の壁面に沿う旋回水流となり、気液混合流体中の空気は水流と分離して旋回流生成部25の中心軸を通って旋回の影響を受けて細く絞られた気柱が高速旋回しながら旋回流生成部25の出口部に向かう。旋回流生成部25の出口部は、高速旋回水流と空気流が再び合流する合流部分となり、ここでは急激な減圧現象が起こるため、空気が急激に膨張して空気柱から分離し、気泡が発生する。この際に、高速旋回流が更に空気を微小にせん断する作用が働き、数10マイクロメートル以下の直径の微小気泡を効率良く発生させることができる。本明細書では、マイクロバブル、マイクロナノバブル、およびナノバブルを総称して微小気泡と呼ぶ。
【0018】
一般にマイクロバブルとは、発生時に10〜数10マイクロメートルの直径を有する気泡として定義されており、マイクロバブルはその発生後に収縮する性質を有している。マイクロバブルは収縮が進むとやがてマイクロナノバブル(直径が数100ナノメートル〜10マイクロメートルの気泡)に変化し、更に直径が8マイクロメートル以下になると収縮速度は急峻に高まることが知られている。それから更に収縮が進むと、バブル内部気体の噴出現象が加わって収縮の進行が加速化され、やがてバブルは消滅に至ることが知られている(参考文献:大成博文、未来材料としてのマイクロバブル、未来材料 vol.9 No.1)。
【0019】
第1の微小気泡発生装置16が生成する微小気泡は、特に小さいものであることが好ましい。すなわち、第1の微小気泡発生装置16は、マイクロナノバブルを生成可能なものであることがより好ましく、ナノバブル(直径が1マイクロメートル以下の気泡)を生成可能なものであることが更に好ましい。一方、第2の微小気泡発生装置17が生成する微小気泡は、第2の微小気泡発生装置17が生成する微小気泡より直径の大きいものでもよい。すなわち、第2の微小気泡発生装置17は、マイクロバブルまたはマイクロナノバブルを生成可能なものであることが好ましい。このように、第1の微小気泡発生装置16が生成する微小気泡の平均直径は、第2の微小気泡発生装置17が生成する微小気泡の平均直径より小さいことが好ましい。
【0020】
第1の微小気泡発生装置16と第2の微小気泡発生装置17とは、図2に示すような基本的に同様の構造であるが、第1の微小気泡発生装置16は、第2の微小気泡発生装置17と比べて、旋回流生成部25の水流の旋回速度(旋回角速度)が増大するように、また気柱から分離してバブルが噴出する速度が遅くなるように、構造がチューニングされていることが好ましい(参考文献:山口修一、旋回噴流により発生するマイクロバブルの特性、日本航空宇宙学会 第36回流体力学公演会)。これにより、第1の微小気泡発生装置16が生成する微小気泡の直径を、第2の微小気泡発生装置17が生成する微小気泡の直径より小さくすることができる。
【0021】
本実施形態では、第1の微小気泡発生装置16で微小気泡が生成された浴水が第2の微小気泡発生装置17に流入する。上述したように、微小気泡は、発生後に収縮する性質を有し、やがて消滅する。このため、第2の微小気泡発生装置17に流入する浴水中には、第1の微小気泡発生装置16で生成された微小気泡の空気が溶け込んでいるため、溶存空気量が高くなる。第2の微小気泡発生装置17に流入する浴水中の溶存空気量が高いほど、第2の微小気泡発生装置17から発生する微小気泡の量が増大する。
【0022】
第1の微小気泡発生装置16で生成する微小気泡の直径が小さいほど、その微小気泡が消失するまでの時間が短くなるので、第2の微小気泡発生装置17に流入する浴水中の溶存空気量をより高効率に増大させることができる。このため、第1の微小気泡発生装置16が生成する微小気泡の平均直径を第2の微小気泡発生装置17が生成する微小気泡の平均直径より小さくすること、好ましくは第1の微小気泡発生装置16でマイクロナノバブルを生成すること、より好ましくは第1の微小気泡発生装置16でナノバブルを生成することにより、第2の微小気泡発生装置17から発生する微小気泡の量を更に増大させることができる。
【0023】
図3は、微小気泡発生による水中溶存酸素量の増量効果を確認するために行った実験の結果を示すグラフである。この実験では、溶存酸素量の測定は、配管内での測定が直接行えないため、20リットル容器内に10L/minの送水ポンプと微小気泡発生装置とを配管に接続して循環系を形成し、マイクロバブルまたはマイクロナノバブルを容器内に発生させながら容器水中の溶存酸素量測定器(ORP METER RM−12P TOA Electronics Ltd)により測定した。この実験の結果、図3に示すように、マイクロバブルを発生させた場合には水流中の溶存酸素量を水道水と比べて約2倍に高めることができた。また、マイクロナノバブルを発生させた場合には水流中の溶存酸素量を水道水と比べて2倍以上に高めることができた。この実験結果にも示されるように、微小気泡を発生させることによって水中の溶存空気量を増大させることができる。その場合、微小気泡の径が小さいほど、水中の溶存空気量を更に高めることができる。
【0024】
図4は、本実施形態の風呂給湯装置における微小気泡の発生量を確認するために行った実験の結果を示すグラフである。この実験では、第1の微小気泡発生装置16および第2の微小気泡発生装置17で微小気泡を発生させた場合の第2の微小気泡発生装置17での気泡発生個数を計測した。比較例として、第1の微小気泡発生装置16で微小気泡を発生させずに第2の微小気泡発生装置17のみで微小気泡を発生させた場合の第2の微小気泡発生装置17での気泡発生個数を計測した。この実験の結果は、図4に示すように、第1の微小気泡発生装置16および第2の微小気泡発生装置17で微小気泡を発生させた場合には、第2の微小気泡発生装置17のみで微小気泡を発生させた場合と比較して、気泡発生量がほぼ倍増する結果となった。
【0025】
このように、本実施形態では、第1の微小気泡発生装置16で微小気泡を発生させることによって第2の微小気泡発生装置17に流入する浴水中の溶存空気量を増大させることができ、その結果、第2の微小気泡発生装置17で発生する微小気泡の量を増大させることができる。このため、追い焚き用循環配管15の途中で微小気泡が合泡して気泡径が増大したり、追い焚き用循環配管15の内壁に微小気泡が付着して消失したりする事象が仮に発生したとしても、十分な気泡数を維持することができるので、十分な量の微小気泡を浴槽5まで確実に到達させることができる。このため、浴槽5内での微小気泡による温浴効果や、浴槽5の内面への垢や皮脂汚れ等の付着を微小気泡により抑制するなどの効果が得られる。なお、第1の微小気泡発生装置16および第2の微小気泡発生装置17で発生した微小気泡により、追い焚き用循環配管15および追い焚き用熱交換器11内に付着した汚れを洗浄することも可能である。また、第1の微小気泡発生装置16および第2の微小気泡発生装置17は、浴槽5から離れた場所(例えば貯湯タンクユニット内)に設置することも可能である。
【0026】
また、本実施形態では、循環ポンプ14のエア噛みを抑制することができ、それにより不安定送水と騒音発生を抑制することができる。仮に、第1の微小気泡発生装置16が直径が数10マイクロメートルを超える大きな気泡を発生するものであると、循環ポンプ14はエア噛みを起こし、脈動による不安定送水と配管を通じて住居内に響く騒音を発生させてしまう。通常、微小気泡発生装置は、上流にある循環ポンプの水流を利用して気泡を発生させる。これに対し、本実施形態における第1の微小気泡発生装置16は、溶存空気量を増加させることが目的であり、第2の微小気泡発生装置17が発生する微小気泡より直径が小さい微小気泡、より好ましくは直径が10マイクロメートル以下のマイクロナノバブル、更に好ましくは直径が1マイクロメートル以下のナノバブルを発生するものであるので、第1の微小気泡発生装置16で発生した微小気泡が下流の循環ポンプ14に流入しても、エア噛みは発生しない。したがって、本実施形態では、第1の微小気泡発生装置16と第2の微小気泡発生装置17とは、その間に配置した1台の循環ポンプ14で動作することが可能となり、ポンプ追加が必要無く、最小限のコストアップでシステムを組むことができる。
【0027】
また、本実施形態の風呂給湯装置が備える第1および第2の微小気泡発生装置16,17は、原理的にマイクロナノバブルあるいはマイクロバブルを高効率で発生させることができることから、気泡の収縮現象が活発に進行し、この現象に伴って気泡は大きな負電位をもつことができる。気泡は本来、負電位を帯びる性質を有しているが、収縮に伴って電位量が増える傾向があり、直径が10〜20マイクロメートル付近で最大になる特性を有していることが知られている。このため、静電反発によって、合泡抑制や配管内壁への付着による消失が抑制される効果を有している(参考文献:大成博文、未来材料としてのマイクロバブル、未来材料 vol.9 No.1)。
【0028】
なお、追い焚き用循環配管15を循環する浴水を第1および第2の微小気泡発生装置16,17に通過させる状態と通過させない状態とに切り替え可能な切替弁(図示せず)を設け、微小気泡の発生が不要である場合には追い焚き用循環配管15を循環する浴水を第1および第2の微小気泡発生装置16,17に通過させないように切り替える構成としても良い。
【0029】
また、本実施形態では、浴槽5を追い焚きする際に浴水6を循環させる循環ポンプ14および追い焚き用循環配管15を用いて浴槽5に微小気泡を供給するので、ポンプや配管を兼用でき、コストアップを抑制することができる。ただし、本発明では、浴槽5に微小気泡を供給する際の循環配管および循環ポンプは、追焚きと兼用しないものであってもよい。
【0030】
実施の形態2.
次に、図5を参照して、本発明の実施の形態2について説明するが、上述した実施の形態1との相違点を中心に説明し、同一部分または相当部分は同一符号を付し説明を省略する。
【0031】
図5は、本発明の実施の形態2の風呂給湯装置を示す構成図である。本実施形態では、図5に示すように、追い焚き用循環配管15には、追い焚き用熱交換器11をバイパスするバイパス配管27が備えられている。バイパス配管27の両端は、それぞれ、三方電磁弁28,29(流路切替手段)を介して、追い焚き用循環配管15に接続されている。三方電磁弁28,29の切り替えは、電気的に制御される。本実施形態では、浴槽5に微小気泡を供給する場合には、三方電磁弁28,29をバイパス配管27側に切り替えることにより、追い焚き用熱交換器11に通水せずに浴水を循環させることができる。これにより、第1の微小気泡発生装置16および第2の微小気泡発生装置17に作用する圧力損失を低下させることができ、また、細管構造からなる追い焚き用熱交換器11の内部に、発生した微小気泡を通過させないことで、気泡の合泡や壁面付着による気泡消失を抑制することができる。このため、より多くの微小気泡を浴槽5に供給することができる。
【符号の説明】
【0032】
1 貯湯タンク
2 ヒートポンプユニット
3 冷水
4 温水
5 浴槽
6 浴水
7 上水管
8,18,19 給水配管
9 蛇口
10 給湯配管
11 追い焚き用熱交換器
13,14 循環ポンプ
15 追い焚き用循環配管
16 第1の微小気泡発生装置
17 第2の微小気泡発生装置
21 微小気泡発生装置
22 空気導入部
23 水導入部
24 気液導入部
25 旋回流生成部
26 微小気泡発生部
27 バイパス配管
28,29 三方電磁弁
30 排水管
31 逃し弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽から導出した浴水を循環させて前記浴槽に戻す循環配管と、
前記循環配管に浴水を循環させる循環ポンプと、
前記循環配管の途中に設けられ、浴水中に微小気泡を生成可能な第1の微小気泡発生装置と、
前記循環配管の前記第1の微小気泡発生装置より下流側に設けられ、浴水中に微小気泡を生成可能な第2の微小気泡発生装置と、
を備え、
前記循環配管に浴水を循環させながら前記第1の微小気泡発生装置および前記第2の微小気泡発生装置で微小気泡を生成することにより前記浴槽に微小気泡を供給する風呂給湯装置。
【請求項2】
前記循環配管の上流側から下流側に向かって、前記第1の微小気泡発生装置、前記循環ポンプ、前記第2の微小気泡発生装置の順に配置されている請求項1記載の風呂給湯装置。
【請求項3】
前記第1の微小気泡発生装置が生成する微小気泡の平均直径は、前記第2の微小気泡発生装置が生成する微小気泡の平均直径より小さい請求項1または2記載の風呂給湯装置。
【請求項4】
前記第1の微小気泡発生装置は、直径が1マイクロメートル以下の微小気泡を生成可能である請求項1乃至3の何れか1項記載の風呂給湯装置。
【請求項5】
前記第1の微小気泡発生装置および前記第2の微小気泡発生装置の少なくとも一方は、水流体あるいは気液混合流体を高速旋回させるための内部流路断面が円形状を成す構造体を有し、前記構造体の出口部から微小気泡を放出する構成となっている請求項1乃至4の何れか1項記載の風呂給湯装置。
【請求項6】
前記循環配管の少なくとも一部および前記循環ポンプは、前記浴槽の浴水を追い焚きするための追い焚き用熱交換器に浴水を循環させる経路として兼用される請求項1乃至5の何れか1項記載の風呂給湯装置。
【請求項7】
前記循環配管は、前記追い焚き用熱交換器をバイパスするバイパス配管と、浴水の通過経路を前記追い焚き用熱交換器側と前記バイパス配管側とに切り替える流路切替手段とを含み、
前記浴槽の浴水を追い焚きする場合には前記流路切替手段を前記追い焚き用熱交換器側に切り替え、前記浴槽に微小気泡を供給する場合には前記流路切替手段を前記バイパス配管側に切り替える請求項6記載の風呂給湯装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−113453(P2013−113453A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−257551(P2011−257551)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】