説明

風呂給湯装置

【課題】潜熱回収用給湯熱交換器で発生するドレンを浴槽に導いて排出しても、ドレンの浴槽湯水への混入を防げる風呂給湯装置を提供する。
【解決手段】潜熱回収用給湯熱交換器で発生するドレンを回収してドレンタンクに貯留し、この貯留量が排水基準量以上と判断されるときには、ドレンタンク内のドレンを、浴槽に接続された追い焚き循環路側に導いて排出する。ドレン排出以降に自動湯張りが行われるときには、予め定められた残水検知用の水位に対応する湯張り水量の浴槽への落とし込み終了後に検出される検出浴槽水位と、浴槽への落とし込みの水量に対応するP−Qデータの浴槽水位とを水位比較手段32が比較し、検出浴槽水位が前記湯張り用データの浴槽水位よりも大きいときには、浴槽排水報知手段34が、浴槽内の湯水の排出を促す報知を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、潜熱回収用給湯熱交換器を備えた風呂給湯装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図5には、風呂給湯装置の一例が模式図により示されており、従来、この図に示すような風呂給湯装置が様々に提案されている(例えば、特許文献1、参照。)。
【0003】
同図において、器具ケース40内には燃焼室50(50a,50b)が設けられ、燃焼室50a内には給湯バーナ1(1a,1b,1c)が、燃焼室50b内には浴槽30内の湯水の追い焚き用の追い焚きバーナ7(7a,7b)がそれぞれ配置されている。
【0004】
これらの給湯バーナ1および追い焚きバーナ7には、それぞれのバーナ1,7に燃料を供給するガス管42が接続されており、このガス管42にはバーナ1,7への燃料供給・停止を制御するための開閉弁51と、給湯バーナ1への供給燃料量を弁開度でもって制御することができる比例弁(図示せず)とが介設されている。
【0005】
給湯バーナ1と追い焚きバーナ7の下方側には、それぞれのバーナ1,7の燃焼の給排気を行なう燃焼ファン5,10が設けられており、燃焼ファン5,10の回転によって、吸気口(図示せず)を介して外部より吸気する空気を給湯バーナ1、追い焚きバーナ7に送り、この空気と、ガス管42を通って供給されるガスとによってバーナ燃焼を行う。バーナ燃焼により生じた燃焼ガスは、燃焼室50を通って排気口(図示せず)から排気される。
【0006】
上記給湯バーナ1の上側には、給湯バーナ1の燃焼ガス中の顕熱を回収するメインの給湯熱交換器(一次給湯熱交換器)4と、このメインの給湯熱交換器4よりも前記燃焼ガスの流れの下流側に設けられて、燃焼ガスの顕熱および潜熱を回収する潜熱回収用給湯熱交換器(二次給湯熱交換器)6とが設けられている。また、追い焚きバーナ7の上側には、浴槽湯水の追い焚きを行う追い焚き熱交換器12が設けられおり、この追い焚き熱交換器12は浴槽30に接続される追い焚き循環路31に設けられている。
【0007】
メインの給湯熱交換器4と潜熱回収用給湯熱交換器6と追い焚き熱交換器12は、それぞれ、水を通す管路と、該管路の外周面に互いに間隔を介して立設配置された板状のフィン3とを有して形成されている。なお、潜熱回収用給湯熱交換器6を備えた風呂給湯装置において、潜熱回収用給湯熱交換器6の管路の外周側にはフィンを設けていない構成のものも用いられている。
【0008】
前記潜熱回収用給湯熱交換器6の入側(入水口側)には、給水源から水を導くための給水通路46が接続されており、潜熱回収用給湯熱交換器6の出側にメインの給湯熱交換器4の入側が接続されている。また、メインの給湯熱交換器4の出側(出湯口側)には給湯通路47が接続されており、図5に示す風呂給湯装置は、潜熱回収用給湯熱交換器6を通る水を潜熱回収の熱で予備加熱し、その予備加熱した水をメインの給湯熱交換器4の入水口に供給し、該メインの給湯熱交換器4で加熱した湯を送水して給湯通路47から一つ以上の給湯先に給湯する機能を有している。
【0009】
なお、前記給水通路46には、給水通路46から供給されて、潜熱回収用給湯熱交換器6側へ流れ込む水の流量を検出する流量センサ43と、潜熱回収用給湯熱交換器6へ流れ込む水の入水温度を検出する入水サーミスタ(図示せず)とが設けられており、また、給湯通路47には流れ出る湯の温度を検出することができる出湯サーミスタ(図示せず)が設けられている。また、給湯通路47には、注湯接続路26を介して追い焚き循環路31が接続されており、注湯接続路26には注湯電磁弁27と、浴槽30への湯張り水量を検出するための流量検出手段15とが設けられている。
【0010】
前記追い焚き循環路31は、追い焚き熱交換器12と、該追い焚き熱交換器12の入口側に設けられた戻り管28と、追い焚き熱交換器12の出口側に設けられた往管29とを有しており、この往管29と前記戻り管28とが、浴槽30の側壁に接続されている。戻り管28には、浴槽30の水位を検出する浴槽水位検出手段としての水位センサ8と、浴槽湯水を循環させる循環ポンプ9と、戻り管28を水が流れたことを検出したときにオンとなる流水検出センサ(流水スイッチ)11と、浴槽湯水の温度を検出する風呂温度センサ(図示せず)がそれぞれ設けられている。水位センサ8は、浴槽水位を水圧によって検出する圧力センサにより形成されている。なお、風呂給湯装置と浴槽30間の追い焚き循環路31(風呂給湯装置と浴槽30間の往管29や戻り管28)は、近年、架橋ポリエチレン管等により形成することが多くなった。
【0011】
前記潜熱回収用給湯熱交換器6の下側には、該潜熱回収用給湯熱交換器6で発生するドレンを回収するドレン回収手段48と、該ドレン回収手段48により回収したドレンを貯留するドレン貯留手段としてのドレンタンク13とが設けられ、ドレン回収手段48とドレンタンク13とはドレン管49を介して接続されている。
【0012】
潜熱回収用給湯熱交換器6を備えた風呂給湯装置においては、給水通路46から潜熱回収用給湯熱交換器6内の水管を通る水は、給湯バーナ1の燃焼による燃焼ガスが潜熱回収用給湯熱交換器6を通るときに、燃焼ガス中の水蒸気が保有している潜熱を奪って(潜熱を回収して)温度を高め、さらにメインの給湯熱交換器4を通るときに、給湯バーナ1の燃焼火力でもって加熱されて設定温度の湯が作り出されるので、給湯バーナ1によって効率の良い加熱ができる。
【0013】
つまり、潜熱回収用給湯熱交換器6を設けることにより、例えば風呂給湯装置においては、高位発熱量(総発熱量)ベースで熱効率が約90%以上に達し、潜熱回収用給湯熱交換器6が設けられていない通常の風呂給湯装置に比べ、高い熱効率が達成される。そのため、潜熱回収用給湯熱交換器付きの風呂給湯装置は、省エネ化(省エネルギー化)を実現できる風呂給湯装置として注目されている。
【0014】
なお、前記ドレンは、燃焼ガス中の窒素酸化物(NOx)、硫黄酸化物(SOx)等を含むため、pH2〜4の強酸性である。そこで、図5に示す風呂給湯装置は、このドレンを温水と混合して酸性泉として利用できるようにしている。つまり、この例では、ドレンタンク13により貯留したドレンを追い焚き循環路31側に導くドレン導出路16を設け、該ドレン導出路16を介して導かれるドレンを、追い焚き循環路31を介して浴槽30に導き、浴槽湯水と混合して酸性泉とする構成を設けている。
【0015】
ドレン導出路16には、ドレン導出弁17と、該ドレン導出弁17の下流側に設けられた逆止弁20とが介設されており、ドレン導出弁17を開き、浴槽30に湯が張られた状態で前記循環ポンプ9を駆動させることで、浴槽30から戻り管28を通って往管29側に送り出され、再び浴槽30に循環される湯にドレンを混ぜて浴槽30内の湯水が酸性泉となるように構成されている。
【0016】
上記風呂給湯装置において、給湯バーナ1および追い焚きバーナ7の燃焼制御と、燃焼ファン5,10の回転制御は、前記各センサの検出信号に基づき、図示されていない制御装置によって、予め与えられたシーケンスプログラムにしたがって行われており、前記の如く、ガス管42から供給されるガスと燃焼ファン5,10により送られる空気とによって給湯バーナ1、追い焚きバーナ7の燃焼がそれぞれ行われ、台所等への給湯や浴槽の湯張り、浴槽湯水の追い焚き等の動作が適宜行われる。
【0017】
以下に、風呂給湯装置の動作の一例を簡単に説明する。給湯動作は、例えば台所や洗面所等の給湯栓(図示せず)を開くことにより開始されるものであり、制御装置は流量センサ43により給水通路46を通水する最低作動流量以上の流量を検出すると、給湯バーナ1を燃焼し、給湯熱交換器4,6(メインの給湯熱交換器4および潜熱回収用給湯熱交換器6)を通る水が設定温度の湯になるように加熱し、その湯を給湯通路47を通して給湯先へ供給する。そして、給湯栓の閉止によって流量センサ43が通水の停止を検出したときに、制御装置は給湯バーナ1へのガス供給を遮断し、給湯バーナ1の燃焼を停止する。
【0018】
自動湯張り機能の動作は、前記制御装置に設けられている自動湯張り手段によって行われるものである。この動作は、給湯風呂装置の制御装置に接続されているリモコン装置の自動スイッチをオンすることにより開始するものであり、自動湯張り手段は、自動スイッチのオン信号を受けて注湯電磁弁27を開く。また、前記給湯機能の動作と同様に、給湯熱交換器4,6を通る水を給湯バーナ1の燃焼加熱により湯として、給湯通路47から注湯接続路26に通し、追い焚き循環路31を通して浴槽30へ落とし込む。
【0019】
自動湯張り手段には、浴槽水位(P)と湯張り水量(Q)との関連を示す、例えば図3に示すような、湯張り用データ(P−Qデータ)が予め与えられており、自動湯張り手段は、この湯張り用データと、前記流量検出手段15により検出される湯張り水量と、水位センサ8によって検出される浴槽水位とに基づいて浴槽30への湯張りを行う。なお、湯張りの詳細な手順は様々であるが、前記P−Qデータに基づいて、予め定められた設定水位に対応する水量の湯を浴槽30に落とし込み、それにより、水位センサ8によって検出される検出水位が前記設定水位に達したことを確認して注湯電磁弁27を閉じ、湯張り動作を終了させる。この湯張りの動作においては、制御装置は予め設定された湯張りの設定温度となるように給湯熱交換器4,6の給湯湯温を制御する。
【0020】
また、通常は、上記自動湯張り機能の動作に引き続き、追い焚き動作による保温機能の動作が行なわれ、保水機能を有しているものについては、保水機能の動作が行われる。保温機能の動作は、所定の時間間隔で、循環ポンプ9を短時間起動し、浴槽30の湯を追い焚き循環路31を通して循環し、このときに検出される浴槽30の湯温が風呂の設定温度よりも許容範囲を外れて低下したときには、循環ポンプ9を駆動して浴槽30の湯水を追い焚き循環路31を通して循環しながら、追い焚きバーナ7の燃焼により追い焚き熱交換器12で加熱する(追い焚き動作を行う)ものである。浴槽30の湯温が風呂の設定温度に達したときに、循環ポンプ9と追い焚きバーナ7の燃焼を停止する。
【0021】
なお、図5に示すように、ドレンを利用して酸性泉を形成する構成の風呂給湯装置においては、上記追い焚き動作時に、必要に応じてドレン導出弁17を開き、浴槽30に湯が張られた状態で前記循環ポンプ9を駆動させることで、前記の如く、浴槽30に循環される湯にドレンを混ぜて浴槽30内の湯水を酸性泉にすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【特許文献1】特許公報第3153361号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
しかしながら、ドレンは、排ガス中の窒素酸化物等を含む、いわば廃水であり、このようなドレンを浴槽湯水に入れて利用することを嫌がる利用者もいる。そこで、ドレンを浴槽湯水に入れずに、浴槽30内の湯水が無い状態の時にのみ、ドレンを浴槽30に導いて排出することが考えられる。
【0024】
なお、浴槽30内の残水の有無の検出は、例えば、以下のようにして行うことができる。つまり、追い焚き循環路31に設けられている循環ポンプ9を駆動させて、浴槽30の湯水を、追い焚き循環路31を通して循環したときに、この循環湯水の流水が流水スイッチ11で検知されたときには、浴槽30に残水ありと判断し、流水が検知されないときには浴槽30に残水無しと判断することができる。
【0025】
しかしながら、追い焚き循環路31は浴槽30の側壁に接続されており、浴槽30に、追い焚き循環路31の接続部よりも下側の水位の残水があった場合には、循環ポンプ9を駆動させても浴槽30の湯水が追い焚き循環路31に流れないため、残水があっても残水無しと判断されてしまうことになる。残水がある状態で浴槽30へのドレンの排出が行われて、その状態で、通常通りの自動湯張りが行われると、浴槽30内の湯は、ドレンが混入した湯となってしまうことになるため、ドレンを浴槽湯水に入れて利用することを嫌がる利用者には問題である。
【0026】
また、例えばドレン排水管44に、ドレン排水用のポンプとドレン排出用の管路とを設け、ポンプの作動によって、ドレンをドレン排出用の管路を通して浴槽の排水口へ直接排水する構成や、外部の排水溝へ排出する構成も提案されているが、この構成では、ドレン排水用の専用のポンプや管路が必要になることからコストが高くなるし、家屋に排水管を通す穴を開けることも必要になるため、その分だけ費用がかかる。また、マンション等の集合住宅においては、風呂給湯装置が設けられているベランダ等に液状の排水をそのまま流出させると、利用者が不快な思いをすることになるといった問題も生じる。
【0027】
本発明は、上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、潜熱回収用給湯熱交換器を備えていることにより発生するドレンの装置外部への排出の問題を解決でき、容易に設置可能で高効率の風呂給湯装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0028】
上記目的を達成するために、本発明は次のような構成をもって課題を解決するための手段としている。すなわち、第1の発明は、給湯バーナと、該給湯バーナの燃焼ガス中の顕熱を吸収するメインの給湯熱交換器と、該メインの給湯熱交換器よりも前記燃焼ガスの流れの下流側に配置されて排気潜熱を回収する潜熱回収用給湯熱交換器と、前記メインの給湯熱交換器の出側に接続された給湯通路とを有し、浴槽の側壁に接続される追い焚き循環路を有して、該追い焚き循環路には循環ポンプが設けられ、前記追い焚き循環路は注湯接続路を介して前記給湯通路に連通されており、前記潜熱回収用給湯熱交換器と前記メインの給湯熱交換器とを通って加熱された湯を前記注湯接続路と追い焚き循環路とを通して前記浴槽に送水して浴槽への湯張りを行う自動湯張り手段と、浴槽水位を検出する浴槽水位検出手段と、浴槽への湯張り水量を検出するための流量検出手段とを有し、前記自動湯張り手段は、浴槽水位と湯張り水量との関連を示す予め与えられた湯張り用データと、前記流量検出手段により検出される湯張り水量と、前記浴槽水位検出手段によって検出される浴槽水位とに基づいて前記浴槽への湯張りを行う構成を備えた風呂給湯装置であって、前記潜熱回収用給湯熱交換器で発生するドレンを回収するドレン回収手段と、該ドレン回収手段により回収したドレンを貯留するドレン貯留手段と、該ドレン貯留手段に貯留したドレンを前記追い焚き循環路の前記浴槽と前記循環ポンプの吸込み側間の管路に導くドレン導出路と、前記ドレン貯留手段に貯留したドレンの量が予め定められた排水基準量以上のときに前記循環ポンプを駆動して前記ドレンを前記ドレン導出路と前記追い焚き循環路とを通して排出するドレン排出制御手段と、該ドレン排出制御手段によりドレンの排出が行われた以降に前記自動湯張り手段によって前記浴槽への湯張りが行われるときには、前記浴槽内が空の状態で浴槽内に湯水を落とし込んだときに前記浴槽水位検出手段によって水位検出が可能となる予め定められた残水検知用の水位に対応する湯張り水量の浴槽への落とし込み終了後に、前記浴槽水位検出手段によって検出される検出浴槽水位と前記残水検知用の水位に対応する湯張り水量の落とし込みの水量に対応する前記湯張り用データの浴槽水位とを比較する水位比較動作を行う水位比較手段と、該水位比較手段によって前記検出浴槽水位の値が前記湯張り用データの浴槽水位の値よりも大きいと判断されたときには前記浴槽内の湯水の排出を促す報知を行う浴槽排水報知手段を有する構成をもって課題を解決する手段としている。
【0029】
また、第2の発明は、前記第1の発明の構成に加え、前記追い焚き循環路の管路のうちの追い焚き熱交換器から浴槽へ至る管路の往管に三方電磁弁を介して排水通路が接続され、循環ポンプ側から前記往管を通して浴槽側へ流れてくるドレンの流路を前記三方電磁弁により前記排水通路に切り替えて当該ドレンを前記排水通路を通して浴室内に排出する構成が具備されていることを特徴とする。
【0030】
さらに、第3の発明は、前記第1または第2の発明の構成に加え、前記残水検知用の水位は、浴槽の側壁への追い焚き循環路の接続部上端部に定められた基準水位としたことを特徴とする。
【0031】
さらに、第4の発明は、前記第1または第2または第3の発明の構成に加え、前記水位比較手段により水位比較動作が行われたときに、検出浴槽水位の値が湯張り用データの浴槽水位の値よりも大きかったときには、自動湯張り手段による自動湯張り動作を中止させる湯張り中止手段を有することを特徴とする。
【0032】
さらに、第5の発明は、前記第1乃至第4のいずれか一つの発明の構成に加え、前記ドレン排出制御手段が追い焚き循環路を通してドレンを排出しながら又は排出した後に、予め定められた設定水量の水を前記追い焚き循環路を通して浴槽に送水する送水制御手段を有し、該送水制御手段による送水終了後に、浴槽水位検出手段によって検出される検出浴槽水位と自動湯張り手段による浴槽への落とし込みの水量に前記設定水量を合わせた水量に対応する前記湯張り用データの浴槽水位とを水位比較手段が比較することを特徴とする。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、潜熱回収用給湯熱交換器を有し、該潜熱回収用給湯熱交換器を通る水を潜熱回収の熱で予備加熱し、その予備加熱した水をメインの給湯熱交換器の入側に供給するタイプの風呂給湯装置であるので、高効率の風呂給湯装置とすることができる。
【0034】
また、本発明によれば、ドレン排出制御手段によりドレンの排出が行われた以降に、自動湯張り手段によって前記浴槽への湯張りが行われるときには、浴槽内が空の状態で浴槽内に湯水を落とし込んだときに浴槽水位検出手段によって水位検出が可能となる予め定められた残水検知用の水位に対応する湯張り水量の浴槽への落とし込み終了後に、水位比較手段が、浴槽水位検出手段によって検出される検出浴槽水位と、前記残水検知用の水位に対応する湯張り水量の落とし込みの水量に対応する予め与えられた湯張り用データの浴槽水位とを比較する水位比較動作を行い、前記検出浴槽水位が前記湯張り用データの浴槽水位の値が前記湯張り用データの浴槽水位の値よりも大きいと判断されたときには、浴槽排水報知手段が、浴槽内の湯水の排出を促す報知を行うので(報知によって、ドレンを浴槽湯水に入れて利用することを嫌がる人達等に浴槽湯水にドレン混入が発生している旨を知らせることができ)、そのドレンが混入した浴槽湯水を排出するように促すことができる。そのため、利用者が前記報知に基づいてドレン混入の浴槽湯水を排出した後に、湯張りを行うことにより、ドレン混入の浴槽湯水を利用することを防ぐことができる。
【0035】
また、本発明において、ドレンの排出は、追い焚き循環路を用いて行うことから、ドレンを家屋の排水口に導くための配管を設けることによって費用がかかったり、ベランダ等に液状の排水をそのまま流出させることによって利用者に非常に不快な思いを与えたりすることも防ぐことができ、例えば風呂給湯装置の買い換えを行う際にも、高効率の風呂給湯装置である本発明の風呂給湯装置を容易に適用することができ、省エネ化を達成できる。
【0036】
さらに、本発明は、ドレンを追い焚き循環路を介して(追い焚き循環路に通して)浴槽に排出するので、例えば酸性度が強いドレンを中和せずに追い焚き循環路に導いて追い焚き循環路に通せば、追い焚き循環路を酸性度が強いドレンで殺菌等することができ、追い焚き循環路内を衛生上好ましい状態で維持でき、利用者が快適に入浴できるようにすることができる。また、ドレンの中和を行わなければ、中和剤等の中和手段を不要とすることができ、コストの節約もできる。
【0037】
また、本発明において、残水検知用の水位を、浴槽の側壁への追い焚き循環路の接続部上端部に定められた基準水位とすれば、残水有無の検出が可能な最低限の水位を残水検知用の水位とすることができ、ドレンが浴槽湯水に混入して、その浴槽湯水を排出する場合に、湯水量を最低限にすることができる。
【0038】
さらに、本発明において、水位比較手段により水位比較動作が行われたときに、検出浴槽水位の値が湯張り用データの浴槽水位の値よりも大きかった(高かった)ときには、自動湯張り手段による自動湯張り動作を中止させる湯張り中止手段を設けることにより、浴槽排水報知手段が、浴槽内の湯水の排出を促す報知を行ったときに、利用者が自動湯張り動作を中止させなくても、自動湯張り動作を自動的に中止させることができる。そのため、浴槽排水報知手段による報知時に、たとえ、利用者が即座に対応できなくても、自動湯張り動作の継続による水等の無駄を省くことができる。
【0039】
さらに、本発明において、ドレン排出制御手段が追い焚き循環路を通してドレンを浴槽に排出しながら又は排出した後に、予め定められた設定水量の水を前記追い焚き循環路を通して浴槽に送水する送水制御手段を有するものにおいては、前記設定水量の水の送水後に、水位比較手段による水位比較動作を行うことにより、この動作をより的確に行うことができる。つまり、例えば、残水検知用の水位を基準水位とした場合、浴槽内の残水が非常に少なかった場合には、ドレンの排出が行われた後に基準水位までの湯張りが行われても、浴槽水位が基準水位よりもわずかに高いだけとなり、浴槽水位検出手段による水位検出が難しい場合もある。この場合でも、前記送水後に浴槽水位を検出すれば、その検出は的確に行えることになり、水位比較動作も容易に、かつ、的確に行うことができる。
【0040】
また、この構成により、追い焚き循環路内のドレン通水領域を水洗することができるので、追い焚き循環路内や浴槽底面にドレンが残存することを防ぐことができ、たとえ酸性度が高いドレンを中和せずに追い焚き循環路を介して浴槽に排出したとしても、残存するドレンを洗い流すことができる。なお、前記水を給湯熱交換器を通して湯とし、追い焚き循環路を介して浴槽に送水すれば、ドレンの洗浄効果をより一層良好とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明に係る風呂給湯装置の第1実施例におけるドレン排出関連制御構成を示すブロック図である。
【図2】上記第1実施例のシステム構成を模式的に示す説明図である。
【図3】湯張り用データの例を示すグラフである。
【図4】本発明に係る風呂給湯装置の第2実施例のシステム構成を模式的に示す説明図である。
【図5】従来の、潜熱回収用給湯熱交換器を備えた風呂給湯装置の一例を模式的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。なお、本実施例の説明において、従来例と同一名称部分には同一符号を付し、その重複説明は省略又は簡略化する。
【実施例1】
【0043】
図2には、本発明に係る風呂給湯装置の第1実施例の構成が模式的に示されている。本実施例の風呂給湯装置は、図5に示した従来例と同様に、台所等への給湯や浴槽への湯張り(湯張りのための給湯)と、浴槽内の湯水の追い焚き機能とを備えた風呂給湯装置であり、また、ドレンタンク13により貯留したドレンを追い焚き循環路31側に導くドレン導出路16を設け、該ドレン導出路16を介して導かれるドレンを、追い焚き循環路31を介して浴槽30に排出するドレン排出制御構成を設けている。
【0044】
なお、本実施例では、潜熱回収用給湯熱交換器6は、フィンを有していない構成としている。また、ドレンタンク13に貯留するドレンを中和するドレン中和手段14をドレンタンク13の上側に設けており、このドレン中和手段14によって中和したドレンをドレンタンク13に貯留する構成と成している。
【0045】
また、本実施例は、図1に示す制御構成を備えている。つまり、制御装置23に、ドレン液量検出手段2、残水有無判断部35、ドレン排出制御手段38、送水制御手段39、自動湯張り手段33、P−Qデータ格納部36、水位比較手段32、自動湯張り中止手段37、浴槽排水報知手段34を設けており、浴槽排水報知手段34は、リモコン装置のスピーカ77に接続されている。
【0046】
本実施例において、自動湯張り手段33は、前記の如く、図3に示したような湯張り用データ(P−Qデータ)と、前記流量検出手段15により検出される湯張り水量と、水位センサ8によって検出される浴槽水位とに基づいて浴槽30への湯張りを行うものである。なお、P−Qデータは、P−Qデータ格納部36に格納されている。
【0047】
本実施例において、自動湯張り手段33は、通常、最初に、浴槽30の側壁への追い焚き循環路31の接続部上端部に定められた基準水位よりも5cmだけ浴槽30の水位が高くなる水量の湯または水を浴槽30に落とし込み、その後、前記循環ポンプ9を駆動させて流水検出センサ11により流水が検知されることを確認し、その後、設定水位までの水量の湯または水を浴槽30に落とし込んで湯張りを行うようにしている(なお、図1において、自動湯張り手段33から循環ポンプ9への矢印は省略している。)。この自動湯張りの仕方は特に限定されるものでなく、適宜設定されるものであり、設定されたシーケンスプログラムに応じて、自動湯張り手段33が自動湯張りを行う。
【0048】
ドレン液量検出手段2は、ドレンタンク13内のドレン量を検出するものであり、本実施例では、ドレンタンク13の上部側に設けられたドレン液量検出電極2a,2b,2c(図2参照)に接続されている。
【0049】
ドレンタンク13の容量は、例えば3.5リットルであり、ドレンタンク13内に貯留されたドレン量が、予め定められたドレン貯留下限値(例えばドレンタンク13の容量の5%)を越えるとドレン液量検出電極2aがドレンを検知し、予め定められたドレン排水基準量(例えばドレンタンク13の容量の50%)に達するとドレン液量検出電極2bがドレンを検知し、予め定められたドレン貯留上限値(例えばドレンタンク13の容量の90%)に達するとドレン液量検出電極2cがドレンを検知するように構成されている。
【0050】
なお、1日に、例えば60MJ(インプット、14.3Gcal)を給湯で使用すると、(60MJ÷4.2÷25)×0.95(熱効率)≒543(リットル・25deg
up)となり、給水温度が15℃の水を40℃に加温して543リットルのお湯を使えることになる。そして、このとき、例えば湿度が100%であれば、ドレンは1.4リットル発生することになる。したがって、3.5リットルの容量をもつドレンタンク13内には、上記条件において、2日分のドレンを貯留できる。また、湿度が低ければドレンの発生量は小さく、例えば、湿度100%のときの半分程度のこともあるので、湿度が低ければ、さらに、ドレンを貯留できる時間は多くなる。
【0051】
ドレン液量検出手段2は、上記各ドレン検出電極2a,2b,2cの検出信号に基づいてドレンタンク13内のドレン水の量を検出し、例えば、検出した値が予め定められたドレン排水基準量に達したとき(ドレン検出電極2aによるドレン検出に加えて、ドレン検出電極2bによるドレン検出が行われたとき)には、この検出信号をドレン排出制御手段38に加える。
【0052】
残水有無判断部35は、追い焚き循環路31に設けられた循環ポンプ9を作動させて、追い焚き循環路31の流水の有無を検出し、流水が検知されたときには浴槽30に残水ありと判断し、流水が検知されないときには浴槽30に残水無しと判断する。なお、循環ポンプ9を作動させたときに、流水検出センサ11により流水が検出されたときには流水あり、流水が検出されないときには流水無し、と判断することができるし、水位センサ8によって追い焚き循環路31の浴槽30への接続部よりも上側の水位が検出されたときに流水あり、検出されなかったときに流水無し、と判断してもよい。浴槽30内の残水有無の判断信号は、ドレン排出制御手段38に加えられる。
【0053】
ドレン排出制御手段38は、ドレンタンク13に貯留したドレンの量が予め定められた排水基準量以上のときに、前記残水有無判断手段35によって、浴槽30に残水無し、と判断されるときには、前記ドレンを前記ドレン導出路16と前記追い焚き循環路31とを通して浴槽30に排出する。
【0054】
本実施例は、ドレン排出制御手段38の制御によって、ドレンを追い焚き循環路31を介して浴槽30へ排出するために、以下の構成を有している。つまり、図2に示すように、前記循環ポンプ9の吸込側24には、追い焚き循環路31に浴槽30からの湯水を導入する戻り管28と、前記ドレンタンク13から追い焚き循環路31にドレンを導く前記ドレン導出路16とが、三方弁21の切り替えにより切り替え自在に接続されている。
【0055】
そして、ドレン排出制御手段38は、ドレン排出実行を行わない時には、電磁弁により形成されたドレン導出弁17を閉状態とし、さらに、三方弁21を操作することにより、ドレン導出路16と循環ポンプ9の吸込側24とを非接続状態とする。このようにすると、循環ポンプ9の駆動によって、従来例における追い焚き動作と同様に、追い焚き動作が可能となる。
【0056】
また、ドレン排出制御手段38は、前記ドレン排出時には、ドレン導出弁17を開き、さらに、三方弁21を操作することにより、ドレン導出路16と循環ポンプ9の吸込側24とを接続状態とし、この状態で、循環ポンプ9のポンプ駆動によって、前記ドレン導出路16を通して前記ドレンを追い焚き循環路31側に導き、このドレンを、浴槽30に排出する。
【0057】
本実施例は、このようにして、ドレン導出路16と循環ポンプ9の吸込側との接続切り替えと循環ポンプ9の駆動とによって、ドレンを的確に、追い焚き循環路を介して浴槽30に排出でき、的確なドレン排水を実行できる。
【0058】
ドレン排出制御手段38は、ドレン排出実行によって、前記ドレン検出液量が前記ドレン貯留下限値以下になったとき、または、このときから予め設定された時間が経過したときにドレン排出を停止する。なお、ドレンタンク13内のドレンが全て排出される前に循環ポンプ9を停止させ、水封が維持されるように(循環ポンプ9内に空気が混入しないように)する。
【0059】
送水制御手段39は、ドレン排出制御手段38が追い焚き循環路31を通してドレンを浴槽30に排出した後に、注湯電磁弁27を開いて、予め定められた設定水量(例えば20リットル)の水を前記追い焚き循環路31を通して浴槽30に送水する。なお、この送水は、電磁比例弁53を操作して給水通路46からの水を加熱せずに送水してもよいし、給湯熱交換器4,6を通して送水してもよい。
【0060】
水位比較手段32は、前記ドレン排出制御手段38によりドレンの排出が行われた以降に、自動湯張り手段33によって浴槽30への湯張りが行われるときには、自動湯張り手段33によって、予め定められた残水検知用の水位(本実施例では、基準水位であり、図3のP1)に対応する湯張り水量Q1の、浴槽30への落とし込みが行われた後(落とし込み終了後)、水位センサ8によって検出される検出浴槽水位と浴槽26への落とし込みの水量に対応する前記P−Qデータの浴槽水位とを比較する水位比較動作を行う。
【0061】
なお、本実施例においては、ドレン排出制御手段38によりドレンの排出が行われた後に、送水制御手段39による送水が行われるので、水位比較手段32は、この送水量ΔQを前記水量Qと合わせ、この水量に対応する水位、つまり、図3に示したP1に、ΔQの水量に対応する水位ΔPを加えた水位P2(P2=P1+ΔP)と、前記水位センサ8の検出浴槽水位との比較を行い、この水位比較結果を、浴槽排水報知手段34と自動湯張り中止手段37とに加える。
【0062】
浴槽排水報知手段34は、前記水位比較手段32によって前記検出浴槽水位が前記湯張り用データの浴槽水位よりも大きい(高い)と判断されたときには、前記浴槽内の湯水の排出を促す報知を行う。この報知方法は、特に限定されるものでなく、適宜設定されるものであるが、例えばスピーカ77から、「お風呂の栓をはずしてお湯を捨ててください」といった内容のメッセージを発信する。なお、このメッセージ発信と共に、この内容の表示を、リモコン装置の表示部に表示するようにしてもよい。
【0063】
自動湯張り中止手段37は、水位比較手段34により水位比較動作が行われたときに、検出浴槽水位が湯張り用データの浴槽水位よりも大きかったときには、前記自動湯張り手段33による自動湯張り動作を中止させる。
【0064】
本実施例の風呂給湯装置は以上のように構成されており、ドレンを、追い焚き循環路31を介して浴槽30に適宜排出することによって、ドレンの排水管等の敷設費用の問題や、ベランダ等に液状のドレンをそのまま流出させた場合の利用者に与える不快感の問題も防ぐことができる利点を有し、かつ、追い焚き循環路31の接続部以上の水位(基準水位以上の水位)の浴槽湯水があるときに、その湯水にドレンが混入することを防ぐことができることはもちろんのこと、前記基準水位より下側の水位まで残水があった状態でドレン排出が行われたときには、そのドレンが混入した浴槽湯水を排出するように促すことにより、ドレン混入の浴槽湯水を利用することを防ぐことができる。
【実施例2】
【0065】
次に、本発明に係る風呂給湯装置の第2実施例について説明する。第2実施例は上記第1実施例とほぼ同様に構成されており、その重複説明は省略する。
【0066】
第2実施例は、図4に示すシステム構成を有し、第1実施例に設けたドレン中和手段14を省略している。また、第2実施例では、追い焚き循環路31の戻り管28と前記往管29とを、追い焚き熱交換器12を通さずに連通する風呂用バイパス通路22を、循環ポンプ9の吐出側25に連通する箇所に設けており、追い焚き循環路31に導かれたドレンを、追い焚き熱交換器12を通さずに風呂用バイパス通路22と戻り管28と往管29を通して浴槽30に排出する構成としている。
【0067】
第2実施例において、風呂用バイパス通路22にはバイパス電磁弁18を介設し、流水検出センサ11と追い焚き熱交換器12との間の管路には電磁弁19を設けており、図1の実線と破線とで示す制御構成を有している。
【0068】
ドレン排出制御手段38は、ドレン排出を行わない時には、ドレン導出弁17を閉状態としてドレン導出路16と循環ポンプ9の吸込側24とを非接続状態とする。また、このとき、電磁弁18は閉状態とし、電磁弁19は開状態とし、三方弁21を調整して戻り管28とバイパス通路22とを非接続状態とする。このようにすると、循環ポンプ9の駆動によって、従来例における追い焚き動作と同様に、追い焚き動作が可能となる。
【0069】
また、ドレン排出制御手段38は、ドレン排出実行動作時には、ドレン導出弁17を開き、ドレン導出路16と循環ポンプ9の吸込側24とを接続状態とし、電磁弁19を閉じ、バイパス電磁弁18を開状態とし、三方弁21を調整して戻り管28とバイパス通路22とを接続状態とする。この状態で、循環ポンプ9のポンプ駆動によって、前記ドレン導出路16を通して前記ドレンを追い焚き循環路31側に導く。
【0070】
なお、バイパス電磁弁18と電磁弁19とを設ける代わりに、図4のAに示す位置に、三方電磁弁を設けて、上記戻り管28とバイパス通路22との接続と非接続とを切り替えるようにしてもよい。また、循環ポンプ9を駆動開始してから、ドレン導出弁17を開いてドレン導出路16と循環ポンプ9の吸込側24とを接続状態としてもよい。
【0071】
第2実施例は、以上のように構成されており、第2実施例も上記第1実施例とほぼ同様の動作により、同様の効果を奏することができる。
【0072】
また、第2実施例では、ドレン排出実行動作時に、追い焚き循環路31側に導かれるドレンを、追い焚き熱交換器12を通さずに風呂用バイパス通路22を通して往管29と戻り管28に導入して浴槽30に排出するので、ドレン中和手段14を省略して酸性度が高いドレンを中和せずに排出しても、追い焚き熱交換器12を通さずにドレンを排出することによって、一般に銅を含む金属により形成された追い焚き熱交換器12の腐食等を防げる。
【0073】
なお、例えば浴槽30と風呂給湯装置(器具)を接続する追い焚き循環路31は、近年は、架橋ポリエチレン管等の非金属管で形成されることが殆どであり、追い焚き熱交換器12以外の器具内配管はプラスチックコーティングして酸性のドレンによる腐食等から保護することができるが、熱交換器はコーティングすることができない。また、未中和のドレンは加熱されることにより、その腐食性が高まるものであり、熱交換器は予熱(後沸きとほぼ同じ)によって、ドレンによる腐食が高まるが、上記のように、追い焚き熱交換器12だけでも未中和のドレンを通さないようにできれば、ドレンによる腐食等を防ぐ効果が高まる。
【0074】
そして、酸性度が強いドレンを中和せずに追い焚き循環路31に導いて追い焚き循環路31に通すことにより、追い焚き循環路を酸性度が強いドレンで殺菌等することができる。
【0075】
なお、本発明は上記実施例に限定されることはなく、様々な態様を採り得る。例えば、上記各実施例では、潜熱回収用熱交換器6はフィン3を有していない構成としたが、図5に示した風呂給湯装置のように、潜熱回収用熱交換器6を、フィン3を有する構成としてもよい。また、風呂給湯装置は、入水サーミスタを設ける代わりに、演算等により求めた入水温度を用いて給湯バーナ1の燃焼制御等を行うようにしてもよい。
【0076】
また、上記各実施例では、ドレン液量検出電極2a,2b,2cをドレン液量検出手段2に接続して、ドレンの液量を検出するようにしたが、ドレン液量検出手段2によるドレン液量の検出構成は特に限定されるものでなく、適宜設定されるものである。
【0077】
さらに、上記第1実施例では、ドレンタンク13の上部側に、ドレンタンク13とは別個にドレン中和手段14を設けたが、ドレン中和手段14はドレンタンク13内に設けることもできるものであり、また、ドレン中和手段14の詳細な構成は適宜設定されるものである。
【0078】
さらに、上記各実施例では、水位比較手段32による比較のための残水検知用の水位を基準水位としたが、残水検知用の水位は必ずしも基準水位とするとは限らず、適宜設定されるものであり、例えば湯張りの設定水位よりも低い適宜の値に設定されるものである。
【0079】
さらに、上記各実施例では、送水制御手段39を設け、ドレンの浴槽30内への排水後に、給水源から給水される水を注湯接続路26から追い焚き循環路31側に導いて浴槽30に送水したが、この送水は、ドレンを浴槽30へ排出しながら行ってもよい。また、送水制御手段39は省略することもできる。この場合は、水位比較手段32は、例えば予め定められた残水検知用の水位に対応する湯張り水量の、浴槽30への落とし込み終了後、水位センサ8によって検出される検出浴槽水位と浴槽30への落とし込みの水量に対応する前記P−Qデータの浴槽水位とを比較する。
【0080】
なお、最近のように、風呂給湯装置と浴槽間の追い焚き循環路31を、架橋ポリエチレン等の樹脂を用いて形成した場合には、酸性のドレンが追い焚き循環路31に残留しても問題はないが、風呂給湯装置と浴槽間の追い焚き循環路31は、つい最近まで銅管を用いた管路を用いて形成されており、かつ、この管路は、床下や壁の奥等に配設されている場合が多く、この管路を交換することは難しい。そこで、風呂給湯装置を買い換え等によって交換する場合にも、通常、風呂給湯装置と浴槽間の追い焚き循環路31の管路を交換することは行われず、この管路内に樹脂のコーティングを追加することが難しい。このような場合は、風呂給湯装置と浴槽間の追い焚き循環路31が酸性のドレンによって腐食することを防ぐためにも、特に、ドレンを中和せずに追い焚き循環路31に導出する場合には、上記各実施例のように、送水制御手段39を設けるべきである。
【0081】
なお、送水制御手段39を設けて、ドレンの浴槽30内への排水後に、給水源から給水される水を注湯接続路26から追い焚き循環路31側に導いて浴槽30に送水する構成を設ける場合、ドレンによって追い焚き熱交換器12に与えるダメージがほぼ無いので、三方弁21を省略し、往管29と戻り管28の両方を用いてドレンを排出するようにしてもよい。
【0082】
さらに、前記各実施例では、給湯バーナ1は、3つの給湯バーナ1a,1b,1cを有し、追い焚きバーナ7は、2つのバーナ7a,7bを有していたが、これらのバーナ1,7の詳細な構成や、配管構成の詳細は、必ずしも、図2に示した構成とは限らず、適宜設定されるものである。
【0083】
さらに、本発明の風呂給湯装置は、給湯と風呂の追い焚き以外の、例えば暖房機能も有する装置としてもよい。この場合、給湯バーナ1と追い焚きバーナ7の他に暖房用のバーナを設ける構成としてもよいし、上記各実施例に設けた追い焚きバーナを設けずに、暖房機能を発揮するための暖房用バーナを設け、追い焚き熱交換器12は、暖房用バーナにより加熱された湯と追い焚き循環路31を通る水との熱交換を行うタイプの熱交換器としてもよい。
【0084】
さらに、上記説明は、いずれも、ドレン排出制御手段38によるドレン排出実行動作は、ドレン導出路16を通してドレンを追い焚き循環路31側に導き、該追い焚き循環路31を介して浴槽30に排出するものとしたが、例えば図4の破線に示すように、追い焚き循環路31の往管29に三方電磁弁65を介して連通する排水通路66を設け、前記ドレンを追い焚き循環路31を介して排水通路66に導き、浴室に排水してもよい。
【0085】
さらに、上記実施例では、ガス燃焼式の風呂給湯装置としたが、風呂給湯装置は石油燃焼式の風呂給湯装置としてもよい。
【符号の説明】
【0086】
1 給湯バーナ
2 ドレン液量検出手段
4 メインの給湯熱交換器
5,10 燃焼ファン
6 潜熱回収用給湯熱交換器
7 追い焚きバーナ
8 水位センサ
9 循環ポンプ
11 流水検出センサ
12 追い焚き熱交換器
13 ドレンタンク
14 ドレン中和手段
16 ドレン導出路
17 ドレン導出弁
18 バイパス電磁弁
22 バイパス通路
23 制御装置
30 浴槽
31 追い焚き循環路
32 水位比較手段
33 自動湯張り手段
34 浴槽排水報知手段
35 残水有無判断部
36 P−Qデータ格納部
37 自動湯張り中止手段
38 ドレン排出制御手段
39 送水制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給湯バーナと、該給湯バーナの燃焼ガス中の顕熱を吸収するメインの給湯熱交換器と、該メインの給湯熱交換器よりも前記燃焼ガスの流れの下流側に配置されて排気潜熱を回収する潜熱回収用給湯熱交換器と、前記メインの給湯熱交換器の出側に接続された給湯通路とを有し、浴槽の側壁に接続される追い焚き循環路を有して、該追い焚き循環路には循環ポンプが設けられ、前記追い焚き循環路は注湯接続路を介して前記給湯通路に連通されており、前記潜熱回収用給湯熱交換器と前記メインの給湯熱交換器とを通って加熱された湯を前記注湯接続路と追い焚き循環路とを通して前記浴槽に送水して浴槽への湯張りを行う自動湯張り手段と、浴槽水位を検出する浴槽水位検出手段と、浴槽への湯張り水量を検出するための流量検出手段とを有し、前記自動湯張り手段は、浴槽水位と湯張り水量との関連を示す予め与えられた湯張り用データと、前記流量検出手段により検出される湯張り水量と、前記浴槽水位検出手段によって検出される浴槽水位とに基づいて前記浴槽への湯張りを行う構成を備えた風呂給湯装置であって、前記潜熱回収用給湯熱交換器で発生するドレンを回収するドレン回収手段と、該ドレン回収手段により回収したドレンを貯留するドレン貯留手段と、該ドレン貯留手段に貯留したドレンを前記追い焚き循環路の前記浴槽と前記循環ポンプの吸込み側間の管路に導くドレン導出路と、前記ドレン貯留手段に貯留したドレンの量が予め定められた排水基準量以上のときに前記循環ポンプを駆動して前記ドレンを前記ドレン導出路と前記追い焚き循環路とを通して排出するドレン排出制御手段と、該ドレン排出制御手段によりドレンの排出が行われた以降に前記自動湯張り手段によって前記浴槽への湯張りが行われるときには、前記浴槽内が空の状態で浴槽内に湯水を落とし込んだときに前記浴槽水位検出手段によって水位検出が可能となる予め定められた残水検知用の水位に対応する湯張り水量の浴槽への落とし込み終了後に、前記浴槽水位検出手段によって検出される検出浴槽水位と前記残水検知用の水位に対応する湯張り水量の落とし込みの水量に対応する前記湯張り用データの浴槽水位とを比較する水位比較動作を行う水位比較手段と、該水位比較手段によって前記検出浴槽水位の値が前記湯張り用データの浴槽水位の値よりも大きいと判断されたときには前記浴槽内の湯水の排出を促す報知を行う浴槽排水報知手段を有することを特徴とする風呂給湯装置。
【請求項2】
追い焚き循環路の管路のうちの追い焚き熱交換器から浴槽へ至る管路の往管に三方電磁弁を介して排水通路が接続され、循環ポンプ側から前記往管を通して浴槽側へ流れてくるドレンの流路を前記三方電磁弁により前記排水通路に切り替えて当該ドレンを前記排水通路を通して浴室内に排出する構成が具備されていることを特徴とする請求項1記載の風呂給湯装置。
【請求項3】
残水検知用の水位は、浴槽の側壁への追い焚き循環路の接続部上端部に定められた基準水位としたことを特徴とする請求項1または請求項2記載の風呂給湯装置。
【請求項4】
水位比較手段により水位比較動作が行われたときに、検出浴槽水位の値が湯張り用データの浴槽水位の値よりも大きかったときには、自動湯張り手段による自動湯張り動作を中止させる湯張り中止手段を有することを特徴とする請求項1または請求項2または請求項3記載の風呂給湯装置。
【請求項5】
ドレン排出制御手段が追い焚き循環路を通してドレンを排出しながら又は排出した後に、予め定められた設定水量の水を前記追い焚き循環路を通して浴槽に送水する送水制御手段を有し、該送水制御手段による送水終了後に、浴槽水位検出手段によって検出される検出浴槽水位と自動湯張り手段による浴槽への落とし込みの水量に前記設定水量を合わせた水量に対応する前記湯張り用データの浴槽水位とを水位比較手段が比較することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1つに記載の風呂給湯装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−83438(P2013−83438A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−1871(P2013−1871)
【出願日】平成25年1月9日(2013.1.9)
【分割の表示】特願2008−78523(P2008−78523)の分割
【原出願日】平成20年3月25日(2008.3.25)
【出願人】(000129231)株式会社ガスター (277)
【Fターム(参考)】