説明

風呂蓋

【課題】傾斜角が大きいフランジ面を有する浴槽に対応した風呂蓋で、風呂蓋の厚みを厚くしないことで風呂蓋の重量増を抑え、湯温の低下を防止する為に浴槽とのシール性を向上させた風呂蓋の提供を行う。
【解決手段】盛り上がり部を有する浴槽1のフランジ3に被装される風呂蓋2において前記盛り上がり部を内包する為の開口部7を有する風呂蓋2である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風呂蓋に係り、枕用途の盛り上がり形状を有する浴槽フランジに隙間なく蓋をすることができる風呂蓋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の風呂蓋として、図6及び図7に示すように、熱可塑性合成樹脂発泡体からなる芯板63の上下両面にアルミニウム薄板からなる硬質表面板64、64が積層一体化されてなる蓋本体61の周縁部に、エッヂプロテクター62が取り付けられた構成の風呂蓋60が公知である。具体的には、例えば棒状のエッヂプロテクター62を蓋本体61の周縁部に巻き付けていき接着剤によって接合した構成や、蓋本体61の周縁より幾分短めのループ状エッジプロテクター62を蓋本体61の周縁部に強制的に嵌着して一体的に取り付けた構成が採用されている。
【0003】
このようなエッジプロテクター62を蓋本体61の周縁部に設けることによって、蓋本体61の周縁部の損傷を効果的に防止できるし、露出した蓋本体61の端面による浴槽上面の損傷をも防止することができる。又、このエッジプロテクター62により風呂蓋60自体に滑り止めの機能を付与できる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、浴槽本体も入浴時の快適さを向上させることから、浴槽本体のフランジに枕部を設ける為に、浴槽本体のフランジ面が従来平面であったものが昨今同面が傾斜したものや、盛り上がったものが発売されるようになった。これらに装着する風呂蓋はなるべく湯温が下がらないように、風呂蓋を前記フランジ面にフィットさせる様々な工夫がなされていた。例えば、風呂蓋73内面に凹溝71を形成したものや、蓋全体を曲面形状に成形したものがあった。又、図7に示すようにその両方を施したものもあった。
【0005】
これらの改良したものであっても、前記傾斜角が大きいフランジ面を有する浴槽には上記風呂蓋では対応しきれなくなってきていた。前記傾斜角が大きくなると、前記フランジの高低差が大きくなり、その高低差に対応する凹溝を風呂蓋に形成しようとすれば、凹溝を深くしなければならないが、その分風呂蓋の厚みを厚くしなければならず、風呂蓋の厚みが厚くなりすぎれば風呂蓋の重量が増え、浴槽から風呂蓋を外すときに大きな力が必要となり、使用者にとっては負担となり、逆効果となっていた。又、蓋全体の曲面形状形成も困難になっていた。
【0006】
そこで、これらの課題を解決し、前記傾斜角が大きいフランジ面を有する浴槽に対応した風呂蓋で、風呂蓋の厚みを厚くしないことで風呂蓋の重量増を抑え、湯温の低下を防止する為に浴槽とのシール性を向上させた風呂蓋の提供を行う。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、盛り上がり部を有する浴槽フランジに被装される風呂蓋において、前記盛り上がり部を内包する為の開口部を有する風呂蓋にある。
【0008】
請求項2に記載の発明は、浴槽端部に盛り上がり部を有する浴槽フランジに被装される風呂蓋において、前記盛り上がり部に突き当てる突き当て部を有する風呂蓋であって、前記突き当て部の周縁にはエッヂプロテクターとパッキンが積層され、該パッキンが突き当て部において前記盛り上がり部と当接し、前記浴槽フランジと風呂蓋との間でシール構造を形成している風呂蓋にある。
【0009】
請求項3に記載の発明は、前記パッキン内部が中空状又は発泡樹脂である請求項2に記載の風呂蓋にある。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、盛り上がり部を有する浴槽フランジに被装される風呂蓋において、前記盛り上がり部と嵌合する為の開口部を有する風呂蓋であることから、傾斜角が大きく高低差が大きいフランジを有する浴槽であっても、フランジと前記開口部が嵌合した場合にフランジが前記開口部から突出させても良く、従って風呂蓋の厚みを厚くする必要がなくなり、風呂蓋の重量も増えないという効果がある。
【0011】
請求項2に記載の発明によると、浴槽端部に盛り上がり部を有する浴槽フランジに被装される風呂蓋において、前記盛り上がり部に突き当てる突き当て部を有する風呂蓋であって、前記突き当て部の周縁にはエッヂプロテクターとパッキンが積層され、該パッキンが突き当て部において前記盛り上がり部と当接し、前記浴槽フランジと風呂蓋との間でシール構造を形成している風呂蓋にあることから、傾斜角が大きく高低差が大きいフランジを有する浴槽であっても、前記風呂蓋にフランジとの突き当て部を有し、該突き当て部の周縁にはエッジプロテクターとパッキンが積層されていることから、風呂蓋をフランジに突き当てたときに、風呂蓋で浴槽のシールが確実にでき、従って、風呂蓋の厚みも厚くする必要がなく、風呂蓋の重量も増えないという効果がある。
【0012】
請求項3に記載の発明によると、前記パッキン内部が中空状又は発泡樹脂である請求項2に記載の風呂蓋にあるので、風呂蓋の重量を低減できる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1及び図2は本発明の風呂蓋の実施形態を示す例である。図1は風呂蓋2に浴槽1本体のフランジ3の枕部5が完全に嵌合するように開口部7を設けている。この開口部7を設けることによって、枕部5を開口部7から突き出させることができ、枕部5の高さに制限がなくなる。又、風呂蓋2の厚みを厚くする必要がなく、風呂蓋2の重量が増加することがない。むしろ開口部7を設けることによって、風呂蓋2の軽量化が図れ、風呂蓋の開け閉めが高齢者であっても楽にできるようになる。
【0014】
図2は、前記枕部5に突き当たる突き当て部9を有する風呂蓋4である。前記突き当て部9周縁をエッジプロテクター11で覆い、さらにエッジプロテクター11にパッキン13を積層した構造としている。前記パッキン13は、少なくとも前記エッジプロテクター11の少なくとも浴槽1本体側の角部15を覆うようにする。前記エッジプロテクター11とパッキン13とは接着剤で接着一体化させることが好ましい。このことから、風呂蓋4をフランジ3に突き当てたときに、風呂蓋4で浴槽1のシールが確実にでき、従って、風呂蓋4の厚みも厚くする必要がなく、風呂蓋4の重量も増えないという効果がある。
【0015】
風呂蓋2本体は、芯材としてポリエチレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体等の発泡率15倍程度の熱可塑性合成樹脂発泡体からなる芯板の上下両面に面板8としてデコラ材の如きベークライト系のフェノール樹脂を始め、強化ABS樹脂等の各種の硬質合成樹脂板のほか、耐蝕性及び表面化粧性に優れたアルミニウム等の金属板も使用可能である。
【0016】
エッジプロテクター11としては、芯材6の合成樹脂発泡体よりも低発泡率の合成樹脂発泡体もしくは非発泡の弾性材料であれば良く、例えばエチレン−酢酸ビニル共重合体やポリエチレンの発泡率6倍程度の発泡体、非発泡のポリ塩化ビニル、スチレン系エラストマー等が好適である。又、パッキン13も前記エッジプロテクター11と同材料を使用することができる。
【0017】
風呂蓋2の製造法としては、熱プレス法を利用することにより、高性能を有するものを極めて簡単に製造できる。即ち、風呂蓋2では図3に示すように、上下一対の面板8、8と、これらにより縦横寸法の小さい合成樹脂発泡体からなる芯材用原板50と、面板8、8及び原板50の合計厚よりも大きい厚みを有し、かつ片側面に原板50に等しい厚みの突出した嵌入部30aとその上下両側の溝部30bが形成されたエッジプロテクター用原材30の溝部30bに嵌挿して、原板50の周端面50aとエッジプロテクター用原板30の嵌入部30a端面とが接合する形に組み立て、エッジプロテクター用原材30に対応する位置に凹嵌部10aを有する加熱成形型10、10により両側から熱プレスすれば良い。このときに、風呂蓋2に開口を形成するために、加熱成形型10、10には、それぞれ合計の長さが開口部7の厚みに合致する突出部20、20を設ける。これにより図4に示すように、原板50及びエッジプロテクター用原材30が圧縮されて芯材6及びエッジプロテクター11として面板8、8と強固に一体化すると共に、エッジプロテクター11が蓋本体12より大きな厚みでリップ部11bを有する所要の丸みを帯びた外形に成形され、かつ該エッジプロテクター11の表面に溶融によるスキン層14が形成される。
【0018】
一方、風呂蓋4を製造する場合、芯材6、面材8、及びエッジプロテクター11の製造方法は、風呂蓋2と同じであるが、風呂蓋4は開口部7を有さないことから、前記加熱金型10には突出部20は設けない。そして、パッキン13は、前記エッジプロテクター11と同材料を使用することから、成形型10にパッキン13の形状が成形できるような凹部を設け、エッジプロテクター11と同時に成形することもできるし、別々に作製し、パッキン13をエッジプロテクター11に接着剤で接着することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態を示す一例である。
【図2】本発明の別の実施形態を示す一例である。
【図3】第1実施例の風呂蓋を製造する熱プレス工程の要部縦断面図。
【図4】第2実施例の風呂蓋を示す断面図。
【図5】従来のエッジプロテクター付き風呂蓋を示す全体斜視図である。
【図6】従来のエッジプロテクター付き風呂蓋を示す図5におけるE−E線の端面図である。
【図7】従来の別の風呂蓋を示した図である。
【符号の説明】
【0020】
1 浴槽
2 風呂蓋
3 フランジ
4 風呂蓋
5 枕部
6 芯材
7 開口部
8 面板
9 突当部
10 成形型
11 エッジプロテクター
11b リップ部
12 蓋本体
13 パッキン
14 スキン層
15 角部
20 突出部
30 エッジプロテクター用原板
30a 嵌入部
30b 溝部
50 原板
50a 周端面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
盛り上がり部を有する浴槽フランジに被装される風呂蓋において、前記盛り上がり部を内包する為の開口部を有することを特徴とする風呂蓋。
【請求項2】
浴槽端部に盛り上がり部を有する浴槽フランジに被装される風呂蓋において、前記盛り上がり部に突き当てる突き当て部を有する風呂蓋であって、前記突き当て部の周縁にはエッヂプロテクターとパッキンが積層され、該パッキンが突き当て部において前記盛り上がり部と当接し、前記浴槽フランジと風呂蓋との間でシール構造を形成していることを特徴とする風呂蓋。
【請求項3】
前記パッキン内部が中空状又は発泡樹脂である請求項2に記載の風呂蓋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−206876(P2008−206876A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−48264(P2007−48264)
【出願日】平成19年2月28日(2007.2.28)
【出願人】(000006068)三ツ星ベルト株式会社 (730)
【Fターム(参考)】