説明

風呂蓋

【課題】半身浴時等に入浴者の補助ツールとして利用できる風呂蓋を提供する。
【解決手段】平板から成る風呂蓋10であって、一方の面に物品を保持する保持部を備えている。これらの保持部は、例えば、ドリンクホルダーや本立てで成る。好ましくは、保持部は凹陥部21,22で成り、凹陥部21,22内の水を凹陥部外へ導く溝が平板の面に形成されている。物品は保持部で支えられるため、滑って位置がずれたりすることが防止できる。よって、コップや半身浴グッズなどの物品は常に入浴者の使い勝手の良い位置に載置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半身浴時等に入浴者の補助ツールとして利用できる風呂蓋に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、浴室において、風呂蓋が浴槽内の湯を保温するために用いられている。この風呂蓋は、例えば断熱材や強度を持たせる為の芯材を表面材で挟み外周を軟質のエッジで囲われて構成される。この種の風呂蓋は薄板状に形成され、表裏を気にすることなく使用することができる。
【0003】
このような風呂蓋は、入浴時には浴槽から取り外されて利用されないのが一般的であるが、入浴の際、補助ツールとして利用できる風呂蓋が特許文献1に開示されている。
【0004】
特許文献1に開示されている風呂蓋は、複数の風呂蓋部材に分割構成されており、各風呂蓋部材は中央部が上側に凸形状に湾曲構成されていて、各風呂蓋部材を裏返すと凸部が浴槽の湯の中に没し、その一部または全部が入浴用の椅子、浴槽へ出入りする際は踏み台等になることを特徴としている。
【特許文献1】特開2001−231699号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、底部にステップを備えた浴槽であれば、入浴者はステップに腰を下ろして腹部の例えばみぞおち程度まで湯に浸かる半身浴を行うことができる。この半身浴を入浴者は本を読みながら行ったり、アロマテラピーを行ったりして、半身浴を楽しむことができる。また、のどが乾いたときのために浴室に飲み物を持ち込んだりする場合がる。この場合、本や飲み物等を入浴者の前側に置くことができれば便利であるが、風呂蓋を外しているため、入浴者の前側に置くことはできない。仮に、半身浴時に風呂蓋を浴槽の上に置けば入浴者の前側に風呂蓋が広がることになるが、風呂蓋は物を置くように構成されていないため、例えば風呂蓋に載置したコップは風呂蓋表面に付いた湯によって滑って移動したり、入浴者の体が触れて倒れたりするおそれが生じ得る。また、本を風呂蓋の上に置くことができたとしても、紙面が真上を向いているため、座臥の状態では必ずしも読み易いものではない。
このように、従来の風呂蓋に入浴者が利用する物品などを置いたとしても、風呂蓋はそもそも半身浴時における入浴者の利便性を考慮して構成されていないため、入浴者が半身浴を行う快適な環境を確保できない場合がある。これでは、入浴者は十分なリラックス効果を得られない。
【0006】
本発明は以上の課題に鑑みて、半身浴時等に入浴者の補助ツールとして利用できる風呂蓋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は、平板から成る風呂蓋であって、平板の一方の面に、物品を保持する保持部を備えたことを特徴としている。
本発明の風呂蓋において、保持部は、物品を載置する底部と、この底部に載置した物品の周りに配設される壁部とから、又は、傾斜面とこの傾斜面の下端から上方へ突出していて傾斜面に載せた物品の位置ずれを規制する凸部と、から構成されている。
本発明の風呂蓋において、保持部は凹部で成り、凹部内の水を凹部外へ導く溝が面に形成されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、物品は保持部で支えられるため、滑って位置がずれたりすることを防止できる。よって、コップや半身浴グッズなどの物品は保持部によってその位置が規制される。これにより、例えば風呂蓋に載置したコップが風呂蓋表面に付いた湯によって滑って移動したりすることを防止できる。したがって、風呂蓋は入浴者の補助ツールとして活用できるため、入浴者は快適に半身浴を楽しむことができて、リラックス効果を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を説明する。
図1(A)は本発明の第1実施形態に係る風呂蓋10の表面側の斜視図であり、図1(B)は裏面側の斜視図である。
風呂蓋10は矩形状の平板で成り、従来の一般的な風呂蓋と同様に浴槽の開口部を閉塞して浴槽の湯を保温するために、図2に示すように、発泡体11の両面をPET(polyethylene terephthalate)等のプラスチック製の表皮材12で包んで構成されている。本例の風呂蓋10の厚みtは15〜30mm程度とする。
【0010】
この風呂蓋10の表面は、図1(A)に示すように表面全体が平らに構成されている。これにより浴槽を使用しないとき、浴槽の上面に風呂蓋によって平らな面が広がることで良好なデザインを呈することが出来て、浴室の見栄えを確保できる。また、全面が平らであることから手入れが簡単である。
【0011】
風呂蓋10の裏面は図1(B)に示すように凹凸状に構成されて、物品を支える保持部が形成されている。即ち、裏面には窪んだ第1及び第2の凹陥部21,22が形成されている。
なお、以下の説明では、図1(B)に示す矢印αが浴槽に入った入浴者の前方を示すと仮定し、浴槽蓋は図1(B)に示す向きで入浴者の前方に置かれて使用されることを前提に説明する。
【0012】
第1の凹陥部21は、裏面の左端に寄せた位置で直径60〜80mm程度の円形状に形成されていて、ドリンクホルダーとして機能する。この第1の凹陥部21は、コップ,ペットボトル等の飲料容器を載置する底部21Aと、この底部21Aに載置した飲料容器の周りを囲繞する壁部21Bと、から構成されている。
この第1の凹陥部21に湯が溜まるのを防止するために、第1の凹陥部21から左縁13へ亘って溝30が形成されている。
【0013】
第2の凹陥部22は、風呂蓋の前縁14から風呂蓋の中央部までに亘る領域で略四角形状に形成されていて、テーブルとして機能する。この第2の凹陥部22は、半身浴グッズなどの物品を載置する底部22Aと、この底部22Aに隣接して設けられた壁部22Bと、から構成されている。第2の凹陥部22は、風呂蓋10の前縁14を含めて形成されており、壁部22Bは、この前縁14を除いて、底部22Aの左右の縁と奧側の縁から立ち上がるように形成されている。さらにこの第2の凹陥部22に湯が残ることを防止するために、底部22Aには奥側から前縁14に向かって下がる勾配が付けられている。
【0014】
また、風呂蓋10の裏面において、浴槽の開口縁に対向する左右の端部には、その縁に沿って段差40が形成されている。風呂蓋10は、裏面を下側にして段差40に浴槽の開口縁を当接することで位置決めされる。これにより、浴槽上での風呂蓋10の向きが規制され、確実に浴槽を閉塞することができる。
【0015】
本発明の実施形態に係る風呂蓋10は以上のように構成されており、半身浴時に入浴者の前側で、風呂蓋10の裏面側を上にして浴槽上に置かれて利用される。その際、ドリンクホルダーには飲み物を入れたコップやペットボトルなどを置くことが出来る。また、テーブルには、半身浴に使用する、ピローやアイマスク等の半身浴グッズやアロマテラピーの瓶等を置くことができる。
【0016】
このように、本発明の風呂蓋10によれば、コップや半身浴グッズなどは風呂蓋表面から一段下がった第1及び第2の凹陥部21,22の底部21A,22Aに置かれて、まわりにある壁部21B、22Bがその動きを規制するため、滑って位置がずれたり倒れたりすることが防止できる。よって、入浴者の使い勝手の良い位置にコップや半身浴グッズが常に載置されるため、利便性が向上することから、入浴者は快適に半身浴を楽しむことができて、リラックス効果を高めることができる。
【0017】
さらに、風呂蓋10の裏面を上にした状態でも、第1の凹陥部21内の水は溝30を介して外へ排出され、第2の凹陥部22内の水はその勾配によって外へ排出されるので、水が残ることが無く衛生的である。
【0018】
図3は本発明の第2の実施形態に係る風呂蓋50の部分断面図である。この風呂蓋50は、奧側から前側へ向けて次第に下がった傾斜面51と、この傾斜面51の下端から上方へ突出した凸部52とを備えていて、傾斜面51に本や雑誌60を載せることができ、本立てとして機能することを特徴としている。
この風呂蓋50は、傾斜面51が入浴者側へ面を向けているので、その上に載置させた本や雑誌60は入浴者から非常に見易い位置に支持される。よって、このような風呂蓋50によれば、入浴者は半身浴を行いながら読書を楽しむことができるので、リラックス効果を高めることができる。なお、雑誌や本60は、その位置ずれを凸部52で規制されるため、本や雑誌60は安定した位置に保持される。
【0019】
本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で、記述した以外の様々な形態で実施をすることができる。
本発明の風呂蓋は、図2に示す断面構成に限らず、図4に示すように、表層15を透明樹脂で構成し、この表層15と発泡体11との間に装飾デザインを施したシート16を挟持して、構成されてもよい。
既述の実施形態では、風呂蓋の裏面の両端に段差40が形成された構造を例示したが、表面にも段差は形成されてもよい。この場合、裏面を半身浴で使用する際に、風呂蓋を位置決めできるので便利である。
また、第2の実施形態における風呂蓋は、鏡を傾斜面に取り付けて構成されてもよい。このような鏡を備えた風呂蓋によれば、入浴者がパック等の顔のお手入れを行うときに便利である。
物品は、上記説明で挙げたコップ、ペットボトル、半身浴グッズなどに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】(A)は本発明の第1実施形態に係る風呂蓋の表面側の斜視図で、(B)は裏面側の斜視図である。
【図2】図1の風呂蓋の部分断面図である。
【図3】本発明の第2実施形態に係る風呂蓋の部分断面図である。
【図4】図1の風呂蓋の他の断面構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0021】
10 風呂蓋
11 発泡体
12 表皮材
13 端
14 前縁
15 表層
16 シート
21 第1の凹陥部
22 第2の凹陥部
30 溝
40 段差
50 風呂蓋
51 傾斜面
52 凸部
60 本,雑誌

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板から成る風呂蓋であって、
上記平板の一方の面に、物品を保持する保持部を備えたことを特徴とする、風呂蓋。
【請求項2】
前記保持部は、前記物品を載置する底部と、この底部に載置した前記物品の周りに配設される壁部と、から構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の風呂蓋。
【請求項3】
前記保持部は、傾斜面と、この傾斜面の下端から上方へ突出していて上記傾斜面に載せた前記物品の位置ずれを規制する凸部と、から構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の風呂蓋。
【請求項4】
前記保持部は凹部で成り、該凹部内の水を凹部外へ導く溝が前記平板の面に形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の風呂蓋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−183651(P2009−183651A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−29838(P2008−29838)
【出願日】平成20年2月11日(2008.2.11)
【出願人】(392008529)ヤマハリビングテック株式会社 (349)
【Fターム(参考)】