説明

風呂蓋

【課題】少ない動作で簡単に浴水を洗濯機に取り込むことができ、しかも、取水ホース収納時において、取水ホースを伝って落ちる水を大幅に減らすことのできる風呂蓋を提供する。
【解決手段】浴槽7の上端部に載置される板状をした蓋本体1で主体が構成されている。蓋本体1に上下に貫通するように、上方から洗濯機Bの浴水導入用の取水ホース2が接続可能とされた貫通孔3が穿設されている。長手方向に伸縮自在でその長手方向の一端が貫通孔3に接続されて内部が貫通孔3と連通し、長手方向に収縮した状態で収納されると共に長手方向に伸張した状態で長手方向の他端が浴水中に浸漬される吸込みホース4が設けられる。吸込みホース4を長手方向に収縮させて貫通孔3に収納した状態を保持する保持手段5が設けられる。また、貫通孔3を開閉自在に閉塞する開閉体6が設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴槽に載置される風呂蓋に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、浴槽には風呂蓋が使用される(例えば、特許文献1参照)。風呂蓋は、浴槽内に浴水が貯溜されている場合には、常時設置されたままであることがほとんどである。
【0003】
また、使用後の浴水は洗濯に再利用されている。洗濯機には浴水導入用の取水ホースが設けられており、この取水ホースによって洗濯機内に浴水を取り込んで、浴水を再利用できるようになっている。
【0004】
通常、浴室とは別の場所に脱衣室が設けられており、この脱衣室に洗濯機が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−28266号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述したように、浴水が貯溜された浴槽には入浴時を除いてほぼ常に風呂蓋が設置されているため、浴水を洗濯機に取り込もうとする時においても、浴槽には風呂蓋が設置された状態となっている。このため、洗濯機に浴水を取り込むに当たっては、洗濯機の取水ホースを脱衣室から浴室内に持ち入り、浴槽に設置された風呂蓋を持ち上げたり移動させたりして浴槽に取水ホースを挿通できる状態とし、その後、浴槽上方から取水ホースの先端を挿通して、取水ホースを浴水中に浸漬するようにしていた。この一連の動作のなかで特に、取水ホースを片手で持ちながらもう一方の手で風呂蓋を持ち上げたり移動させたりするという作業は、面倒なものであった。
【0007】
また、洗濯機に浴水を取り込んだ後には、先端を浴水中に浸漬した取水ホースを再び洗濯機に収納する必要がある。しかし、取水ホースの先端は浴水中に浸漬されていたため、取水ホースには大量の水が付着した状態となっている。このため、脱衣室内にこの大量の水が付着した取水ホースを持ち込むと、取水ホースに付着した水が脱衣室の床に大量に滴り落ちてしまい、周辺を汚してしまうという問題もあった。
【0008】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、少ない動作で簡単に浴水を洗濯機に取り込むことができ、しかも、取水ホース収納時において、取水ホースを伝って落ちる水を大幅に減らすことのできる風呂蓋を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために本発明の風呂蓋は以下の構成を備えている。
【0010】
すなわち、請求項1に係る本発明の風呂蓋は、浴槽7の上端部に載置される板状をした蓋本体1で主体が構成されている。蓋本体1に上下に貫通するように、上方から洗濯機Bの浴水導入用の取水ホース2が接続可能とされた貫通孔3が穿設されている。長手方向に伸縮自在でその長手方向の一端が貫通孔3に接続されて内部が貫通孔3と連通し、長手方向に収縮した状態で収納されると共に長手方向に伸張した状態で長手方向の他端が浴水中に浸漬される吸込みホース4が設けられる。吸込みホース4を長手方向に収縮させて貫通孔3に収納した状態を保持する保持手段5が設けられる。また、貫通孔3を開閉自在に閉塞する開閉体6が設けられる。
【0011】
このような構成によれば、風呂蓋が浴槽7に設置された状態のままであっても、該風呂蓋を持ち上げたり移動させたりせずに、簡単に浴水を洗濯機Bに取り込むことができる。つまり、蓋本体1には、浴水に浸漬される吸込みホース4が設けられると共に、上方から洗濯機Bの取水ホース2が接続可能とされた貫通孔3が穿設されているから、風呂蓋が設置された状態であっても取水ホース2を貫通孔3に接続するだけでよい。また、吸込みホース4が長手方向に収縮可能とされているうえに、この吸込みホース4は貫通孔3に収納可能とされており、さらにこの収納状態を保持する保持手段5が設けられているから、吸込みホース4を使用しないときには、この吸込みホース4を目立たないように収納しておくことが可能である。また、このように貫通孔3が設けられていても、この貫通孔3を閉塞する開閉体6が設けられているから、蒸発した浴水が貫通孔3を通って浴室内に漏れてしまったり、風呂蓋の保温効果を低下させてしまったりすることが防止される。
【0012】
また、請求項2に係る風呂蓋は、請求項1に係る風呂蓋において、前記開閉体6が、取水ホース2が貫通孔3に装着されたときに開き且つ取水ホース2が貫通孔3から離脱されたときに閉じるように構成されている。
【0013】
このような構成によれば、取水ホース2を貫通孔3に装着するだけで貫通孔3を開放させることができるため、洗濯機Bに浴水を取り込むに当たって、開閉体6を開いて貫通孔3を開放させる動作を省くことができる。また、取水ホース2を貫通孔3から離脱させるだけで開閉体6を閉じることができるため、取水ホース2を離脱した後に開閉体6を閉じる作業を行なう必要がない。この結果、開閉体6の設置し忘れや開閉体6の紛失を防ぐことができる。
【0014】
また、請求項3に係る風呂蓋は、請求項1又は請求項2のいずれかに係る風呂蓋において、前記保持手段5が、取水ホース2が貫通孔3に装着されることで収納された吸込みホース4の保持状態を解除するように構成されている。
【0015】
このような構成によれば、吸込みホース4が収納された状態のままであっても、例えば風呂蓋を持ち上げて吸込みホース4を取り出したりする必要がなく、取水ホース2を貫通孔3に装着するだけで吸込みホース4を使用可能な状態とすることができる。
【0016】
また、請求項4に係る風呂蓋は、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に係る風呂蓋において、前記吸込ホースが、浴水中に浸漬される他端側の先端部分にフィルター45を備えている。
【0017】
このような構成によれば、浴水と共に、浴水中のごみや糸くずなどが洗濯機Bに取り込まれてしまうことを防止できる。また、フィルター45が吸込みホース4の先端に設けられているため、吸込みホース4が、収納された状態かまたは取り出された状態かに拘らず、簡単にフィルター45の掃除を行なうことが可能となる。
【発明の効果】
【0018】
本願発明によれば、浴水を洗濯機に取り込むに当たり、少ない動作で簡単に行なうことができる。しかも、取水ホースが直接浴水中に浸漬しないようになっているため、取水ホース収納時において、取水ホースを伝って流れ落ちる水を格段に減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態の風呂蓋に取水ホースが取り付けられた状態を示す要部側断面図である。
【図2】同上の風呂蓋の要部側断面図である。
【図3】本発明の一実施形態の風呂蓋の使用例を示し(a)は浴室ユニットの側面図であり(b)は浴室ユニットの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明について添付図面に基づいて説明する。
【0021】
図1及び図2には本発明の風呂蓋Aの一実施形態を示している。また、この本実施形態の風呂蓋Aを設置した状態(風呂蓋Aによって浴槽7の開口を閉塞した状態)の使用例を図3に示している。以下、この風呂蓋Aの設置状態に応じて説明する。
【0022】
本実施形態の風呂蓋Aは、図3(a)に示されるように、浴槽7の上端に設置されて、浴槽7の上方開口を閉塞するようにして使用される。
【0023】
風呂蓋Aは、図1に示されたように、浴槽7の上端部に載置される板状をした蓋本体1で主体が構成されている。この蓋本体1には、蓋の上下(厚み方向)に貫通する貫通孔3が穿設されている。この貫通孔3の内周端面には、貫通孔用部材8が配設されている。この貫通孔用部材8には、先端が浴槽7の浴水中に浸漬されると共に該貫通孔3と内部が連通する長手方向に伸縮自在な吸込みホース4が設けられている。
【0024】
蓋本体1は、図3(b)に示されたように、浴槽7の平面視長手方向に小蓋体11を2つ並設することで構成されている。この小蓋体11の対向する端部同士を互いに当接して、蓋本体1が形成される。蓋本体1は、図1などのように、合成樹脂発泡体からなる断熱性芯材12の上下両面に、アルミニウム又は高湿合成樹脂製の表装材13を積層一体化して構成されている。また、小蓋体11の周縁には、滑り止め効果を有するエラストマー製のエッジプロテクターが嵌着されている。
【0025】
この蓋本体1の一方の小蓋体11に貫通孔3が穿設されている。貫通孔3は、蓋本体1が浴槽7に設置された状態において上下(表裏)に貫通するようにして穿設される。この貫通孔3の形状は特に限定されないが、本実施形態においては、円形状の貫通孔3となっている。
【0026】
図1及び図2に示すように、この貫通孔3の内周端縁には貫通孔用部材8が配設されている。この貫通孔用部材8は、断面略コ字形状で且つ平面視円環状で構成されており、貫通孔3の内周端面を覆うようにして嵌着されている。貫通孔用部材8は、蓋本体1の上面(表面)に当接する上フランジ片81と、該上フランジ片81に対して略直角方向に連設されて且つ円筒形状をなす筒体部82と、該筒体部82の下端から径外方向に突設し蓋本体1の下面(裏面)に当接する下フランジ片83とを有している。また、貫通孔用部材8の上端部には、径内方向に突設し平面視円環状の内突条84が設けられている。この内突条84によって、貫通孔3に取水ホース2を取り付けるための接続口部85が形成される。
【0027】
また、筒体部82の一部が吸込みホース4を内部に収納可能な収納部86とされている。詳しくは後述するが、図2に示されたように、この収納部86内に収縮した吸込みホース4が格納されて、蓋本体1の厚み内に吸込みホース4の略全体が収まるようになっている。
【0028】
筒体部82の上下方向の中央よりもやや上方には、筒体部82の内周面全周に亘って内溝部87が設けられている。内溝部87における筒体部82と直角な面であって下方側の面が下係止部871とされ、上方側の面が上当接部872とされている。この内溝部87には後述する吸込みホース4の係止突部41がスライド自在に取り付けられる。つまり、吸込みホース4が下方に引っ張られると、吸込みホース4の係止突部41が内溝部87の下係止部871と係止して、吸込みホース4が抜け止めされる。一方、吸込みホース4を収納するために、吸込みホース4を下方から上方に向けて押し上げると、吸込みホース4の係止突部41がスライドしながら上昇し、上当接部872と当接する。そのままこの押し上げを継続することにより、吸込みホース4が収縮して収納状態とされる。
【0029】
内突条84は、接続口部85の開口の内径が小さく且つその下方にある筒体部82の内径が大きくなっている。また、内突条84の下面が下面視円環状をした開閉体当接面88となっている。この開閉体当接面88には、貫通孔3の接続口部85の開口を塞ぐ開閉体6が設けられている。開閉体6は、開閉体当接面88と離接自在に設けられている。また、開閉体6は開閉体当接面88に接触する方向に、ばねからなる弾性体により構成される付勢手段89により付勢されている。この開閉体6を上方から下方に向けて押圧すると、開閉体当接面88と当接して閉じられた開閉体6がその付勢力に抗して下降し、開閉体当接面88と離間する。開閉体6が開閉体当接面88と離れると、接続口部85の開口と吸込みホース4の内部とが連通する。
【0030】
開閉体6は、筒体部82に対して、開閉体当接面88と当接する位置から、上当接部872よりも下方で且つ下係止部871よりも上方となる位置の範囲で移動可能となるように構成される。
【0031】
吸込みホース4は、長手方向に伸縮自在な蛇腹状のホースで構成されている。この吸込みホース4の一端には、鍔状に径外方向に突出する係止突部41が突設されている。この係止突部41は、上述のように、貫通孔用部材8の内溝部87に上下スライド自在に取り付けられる。
【0032】
吸込みホース4の他端側は、吸込みホース4が伸張した状態で浴槽7の浴水中に浸漬される吸込み部42が設けられている。この吸込み部42は、下面視ドーナツ状をしたキャップ体43と、キャップ体43の周縁部から上方に向けて突出した立上り片44とを備えている。立上り片44は、図2に示すように、貫通孔用部材8の下フランジ片83を被嵌する。キャップ体43の中央の開口は、吸込みホース4の内部と連通している。また、キャップ体43の内部には、キャップ体43の開口を塞ぐようにしてフィルター45が埋設されている。このため、浴水を吸込む際には、フィルター45を介してゴミや糸くずなどが取り除かれた浴水が吸込まれるようになっている。
【0033】
キャップ体43は、浴水中に浸漬されたときに、吸込みホース4が浴水上に浮いてしまわないように、おもりとしての作用も果たしている。つまり、水よりも比重が大きい材料にて形成されている。例えば、塩化ビニル樹脂(PVC)やメタクリル樹脂等によって形成される。
【0034】
キャップ体43には平面視円環状に磁石が埋設されている。このキャップ体43に設けられた磁石がホース側保持手段51を構成する。一方、貫通孔用部材8の下フランジ片83には、下面視円環状で且つホース側保持手段51に対応する部位に、ホース側保持手段51の磁石とは異極の磁石が埋設されている。この下フランジ片83に埋設された磁石が貫通孔側保持手段52を構成する。そして、これらのホース側保持手段51と貫通孔側保持手段52とで、収納された吸込みホース4を収納状態に保持する保持手段5が構成されている。
【0035】
なお、この保持手段5は磁石により構成されたものでなくてもよく、例えば、下フランジ片83に対してキャップ体43を無理嵌めするようにして保持されたものであってもよい。また、下フランジ片83とキャップ体43とが係合するような構造であってもよい。
【0036】
図1のように、この吸込み部42は、吸込みホース4が長手方向に伸張すると、浴水中に浸漬されるが、浴槽7底面には接触しない。つまり、吸込みホース4は、伸張状態で浴槽7の底面71と接しない長さで形成されている。
【0037】
一方、吸込みホース4が長手方向に収縮すると、図2のように、収縮した吸込みホース4の寸法は、筒体部82の上当接部872とキャップ体43の上面との間の寸法と同寸法となる。なお、このときの収縮した吸込みホース4は、最も収縮した状態となっており、この状態でさらに上下方向に外力を負荷して収縮させようとしても、これ以上は収縮することができない。
【0038】
このため、この吸込みホース4が収納された状態において、貫通孔3を閉塞する開閉体6を下方に向けて押圧すると、開閉体6が下降すると共に収縮した吸込みホース4の上端に該開閉体6が当接する。そして、さらに開閉体6の押下を続けると、開閉体6と共に吸込みホース4の上端が下降する。その後、吸込みホース4の上端が下降すると共に保持手段5による保持が解除され、キャップ体43の荷重と吸込みホース4の自重により、吸込み部42が下降すると共に吸込みホース4が伸張する。
【0039】
このように構成された風呂蓋Aの貫通孔3に設けられた接続口部85には、洗濯機Bの浴水導入用の取水ホース2が接続される。
【0040】
図1及び図2に示されるように、取水ホース2の洗濯機Bとは反対側の先端には、ジョイントヘッド部21が取り付けられる。このジョイントヘッド部21は、風呂蓋Aに接続された状態で開閉体6を下方に押下する押圧部材22と、被接続体27とを有している。
【0041】
押圧部材22は、開閉体6と当接し下面視円環状の押下片23と、取水ホース2の先端内側に嵌入する取着片24と、取着片24の突出基部に設けられ取水ホース2の先端と当接するホース当接面25とを備えている。押下片23は側方に設けられた複数のスリット26によって側方が開放されている。このため、開閉体6と当接しても、取水ホース2の内部と吸込みホース4の内部とは連通する。
【0042】
被接続体27は、大径部28と小径部29とを有しており、中央に取水ホース2が挿通される挿通孔が形成されている。図1に示すように、被接続体27の挿通孔の内壁部と、押圧部材22の取着片24とで取水ホース2の端縁を挟持して、取水ホース2にジョイントヘッド部21が固着される。
【0043】
小径部29は、貫通孔用部材8の接続口部85の開口に嵌入し、水密状態となる。この小径部29と接続口部85との接触面にパッキンのような水密材を介在させてもよい。
【0044】
大径部28における貫通孔用部材8の内突条84と当接する面には、L字状の係止部(図示せず)が設けられている。また、貫通孔用部材8の内突条84の上端面には係止孔(図示せず)が設けられており、前記係止部を係止孔に挿通したうえで、大径部28を周方向に回転させると貫通孔用部材8とジョイントヘッドとが係合するような構成となっている。
【0045】
このように構成された本実施形態の風呂蓋Aの動作を説明する。
【0046】
通常の状態では、図2に示すように、吸込みホース4が、収縮された状態で蓋本体1の厚み内に収納された状態となっている。このとき、開閉体6は貫通孔3を閉塞した状態となっている。このため、この貫通孔3を通って浴水の水蒸気が浴槽7外(浴室)に漏れることが防止される。
【0047】
次に、この風呂蓋Aの貫通孔3に洗濯機Bの取水ホース2を接続する。図1に示すように、取水ホース2のジョイントヘッド部21を把持しながら、風呂蓋Aの貫通孔用部材8の接続口部85にジョイントヘッド部21の小径部29を連結させる。すると、ジョイントヘッド部21の押下片23が開閉体6を下方に押し下げると共に、保持手段5の保持状態が解除される。保持手段5の保持状態が解除されると、吸込みホース4の上端に設けられた係止突部41が、キャップ体43の荷重及び吸込みホース4の自重により、下降して下係止部871に係止される。このとき、開閉体6と吸込みホース4の上端部とは離間しており、隙間が形成されている。そして、キャップ体43の荷重及び吸込みホース4の自重により、吸込みホース4が伸張し、吸込みホース4の吸込み部42が浴水中に浸漬される。
【0048】
このとき、図1に示すように、吸込み部42の開口と取水ホース2の開口とが連通した状態となっているため、洗濯機Bのポンプにより取水ホース2を介して洗濯機Bに浴水を取り込むことができる。
【0049】
このように構成したことで、風呂蓋Aが浴槽7に設置された状態のままであっても、該風呂蓋Aを持ち上げたり移動させたりせずに、簡単に浴水を洗濯機Bに取り込むことができる。
【0050】
また、吸込みホース4が長手方向に収縮可能とされているうえに、この吸込みホース4は貫通孔3に収納可能とされており、さらにこの収納状態を保持する保持手段5が設けられているから、吸込みホース4を使用しないときには、この吸込みホース4を目立たないように収納しておくことができる。
【0051】
また、このように貫通孔3が設けられていても、この貫通孔3を閉塞する開閉体6が設けられているから、蒸発した浴水が貫通孔3を通って浴室内を高湿としてしまったり、風呂蓋Aの保温効果を低下させてしまったりすることが防止される。
【0052】
また、取水ホース2を貫通孔3に装着するだけで、貫通孔3を開いた状態とすることができるため、開閉体6を開放する動作を省くことができる。その上、取水ホース2を貫通孔3から離脱させるだけで開閉体6を閉じることができるため、取水ホース2を離脱した後に開閉体6を閉じる作業を行なう必要がない。この結果、開閉体6を設置し忘れることを防止できる。しかも、開閉体6を紛失してしまうこともない。
【0053】
さらに、前記保持手段5が、取水ホース2が貫通孔3に装着されることで収納された吸込みホース4の保持状態を解除するように構成されているため、蓋本体1に吸込みホース4が収納された状態のままであっても、取水ホース2を貫通孔3に装着するだけで簡単に吸込みホース4を使用可能な状態とすることができる。
【0054】
さらに、フィルター45が吸込みホース4の先端部分に設けられているため、吸込みホース4が、収納された状態かあるいは取り出された状態かに拘らず、簡単にフィルター45の掃除を行なうことが可能となる。
【0055】
なお、上記実施形態において、取水ホース2が貫通孔3に装着されたときに開き且つ取水ホース2が貫通孔3から離脱されたときに閉じるように開閉体6が構成されているが、単に、風呂蓋Aとは別体の蓋体が貫通孔3に取り付けられただけのものであってもよい。なお、このような場合には、取水ホース2の押下片23が、収納された吸込みホース4の上端を押下するように構成すれば、取水ホース2を貫通孔3に取り付けることによって保持手段5の保持状態を解除するようにできる。
【0056】
また、仮に、下フランジ片83とキャップ体43との保持が係合構造によりなされていたとしても、取水ホース2の装着に連動して、その係止が解除されるように構成すればよい。
【0057】
さらに、本実施形態においては、吸込み部42が浴槽7の底面と離間するように吸込みホース4の長さを調節していたが、例えば、吸込み部42のキャップ体43の下面に、浴槽7の底面と離間させるための凸部を複数箇所に突設して、吸込み部42と浴槽7底面とに隙間が形成されるようにしてもよい。
【0058】
以上、本発明の風呂蓋Aの一例を説明した。このような風呂蓋Aの使用例を図3に基づいて以下説明する。
【0059】
本使用例の浴室は、ユニットタイプの浴室である。この浴室ユニットは、浴槽7を設置する浴槽用床パンと浴室の洗い場を構成する洗い場床パンとで構成される床パン72の周囲に、壁パネル73及びドア74を有する出入り口枠を立設し、壁パネル73及び出入り口枠で囲まれた部分の上端部に天井パネル75を配設して構成してある。また、浴槽用床パン上には浴槽7が載設してあり、洗い場床パンと浴槽用床パンとの境界と、浴槽7のフランジとの間には、エプロン76が配設されており、このエプロンは洗い場床パンの長手方向の全長に亘って形成されている。
【0060】
浴槽7内には浴水が貯溜されているため、この浴槽7には常時、本発明の風呂蓋Aが設置されている。
【0061】
浴室ユニットには隣接して脱衣室Cが設けられている。この脱衣室Cには、洗濯機Bが取り付けられている。この洗濯機Bには、ポンプを介して浴水導入用の取水ホース2が取り付けられている。
【0062】
洗濯機Bに浴水を取り込むに当たっては、取水ホース2の先端側を浴室内に持ち込む。そして、この取水ホース2を浴槽7に設置されたままの風呂蓋Aの貫通孔3に上方から接続させる。すると、吸込みホース4が浴水中に浸漬される(図3(a))。この状態で、洗濯機Bの浴水取り込み用のポンプを駆動させて、洗濯機Bに浴水を取り込む。
【0063】
洗濯機Bに浴水を取り込むことが終了したら、取水ホース2のジョイントヘッド部21を把持して、風呂蓋Aから取水ホース2を取り外し、再び洗濯機Bにこの取水ホース2を収納する。
【0064】
このとき、取水ホース2の先端は浴水中に浸漬されていないから、水が付着していない。このため、洗濯機Bに取水ホース2を収納しても脱衣室Cの床が濡れてしまうのが防止される。
【符号の説明】
【0065】
1 蓋本体
2 取水ホース
21 ジョイントヘッド部
22 押圧部材
23 押下片
24 取着片
25 ホース当接面
26 スリット
27 被接続体
28 大径部
29 小径部
3 貫通孔
4 吸込みホース
41 係止突部
42 吸込み部
43 キャップ体
44 立上り片
45 フィルター
5 保持手段
51 ホース側保持手段
52 貫通孔側保持手段
6 開閉体
7 浴槽
71 浴槽の底面
8 貫通孔用部材
81 上フランジ片
82 筒体部
83 下フランジ片
84 内突条
85 接続口部
86 収納部
87 内溝部
871 下係止部
872 上当接部
88 開閉体当接面
89 付勢手段
A 風呂蓋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽の上端部に載置される板状をした蓋本体と、蓋本体に上下に貫通するように穿設され上方から洗濯機の浴水導入用の取水ホースが接続可能とされた貫通孔と、長手方向に伸縮自在でその長手方向の一端が貫通孔に接続されて内部が貫通孔と連通し、長手方向に収縮した状態で収納されると共に長手方向に伸張した状態で長手方向の他端が浴水中に浸漬される吸込みホースと、吸込みホースを長手方向に収縮させて貫通孔に収納した状態を保持する保持手段と、貫通孔を開閉自在に閉塞する開閉体とを備えて成ることを特徴とする風呂蓋。
【請求項2】
前記開閉体が、取水ホースが貫通孔に装着されたときに開き且つ取水ホースが貫通孔から離脱されたときに閉じるように構成された請求項1記載の風呂蓋。
【請求項3】
前記保持手段が、取水ホースが貫通孔に装着されることで収納された吸込みホースの保持状態を解除するように構成された請求項1又は請求項2のいずれかに記載の風呂蓋。
【請求項4】
前記吸込ホースが、浴水中に浸漬される他端側の先端部分にフィルターを備えた請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の風呂蓋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−24915(P2011−24915A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−175892(P2009−175892)
【出願日】平成21年7月28日(2009.7.28)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】