説明

風味が向上したカレー、シチュー類又はソース類

【課題】滑らかな口当たりやコクが付与される一方だけでなく、スパイス、エキス等の香味発現も改善され、全体的に風味が向上したカレー、シチュー類又はソース類を提供する。更に、本発明では、油脂含量を低減した場合であっても、油脂含量を低減する前と遜色ないコクを有するカレー、シチュー類又はソース類であって、香味発現が極めて良好なカレー、シチュー類又はソース類を提供する。
【解決手段】
カレー、シチュー類又はソース類に、下記性質を有するデキストリンを含有する;
(1)馬鈴薯由来であり、DEが2以上5未満である、
(2)25℃の蒸留水で調製したデキストリン30質量%水溶液を、25℃で5分間静置した時の粘度が100mPa・s以下である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風味が向上したカレー、シチュー類又はソース類に関する。具体的には、滑らかな口当たりやコクが付与されるだけでなく、スパイス、エキス等の香味発現も改善され、全体的に風味が向上したカレー、シチュー類又はソース類に関する。更に、本発明は、油脂含量を低減した場合であっても、油脂含量を低減する前と遜色ないコクを有するカレー、シチュー類又はソース類であって、香味発現が極めて良好なカレー、シチュー類又はソース類に関する。
【背景技術】
【0002】
カレー、ホワイトシチュー、ブラウンソース等のカレー、シチュー類又はソース類は、喫食時にコク、滑らかな口当たりや良好な香味発現が求められる。カレー、シチュー類又はソース類へのコク味付与を目的とした場合、澱粉質や増粘性多糖類を添加する手法が挙げられる。しかし、これら素材を用いた場合は、コクを付与できる一方で、口当たりが粘性質となって食感が低下する、スパイス、エキス等の香味発現が悪化し、喫食当初に鼻に抜ける香りや、喫食後に残存する香味を楽しむことができなかった。
【0003】
また、近年の健康嗜好に伴い、カレー等の油脂含量を低減させる試みもなされている。例えば、澱粉及び/又はこれ以外の増粘性物質を含有することにより、油脂の含有量を5重量%以下に低減させたカレールウ(特許文献1)などがある。
【0004】
一方、デキストリンを含有したカレーとしては、特許文献2に油脂、澱粉系原料、化学調味料及び香辛料を含む食品素材を水とともに加熱処理した液状物を含むレトルト食品であって、前記液状物のBrixが9〜25%であり、殺菌前の容器内残存酸素量が食品180mlあたり4mlであり、かつクミンアルデヒドを0.0005〜0.05重量%及びオイゲノールを0.0002〜0.025重量%の割合で含むことを特徴とするレトルト食品が記載されており、段落[0017]に、とろみを抑えてコク味を付与するために澱粉の分解物であるデキストリン等を用いることができることが記載されている。また、低油脂ルウに関する発明が開示されている特許文献3には、固形ルウの熱水への溶解性を高めるために、デキストリンを含ませることもでき、デキストリンとしてDE値が5〜40のもの、より好ましくは5〜20のものを使用できることが開示されている。
【0005】
しかし、油脂がカレー、シチュー類又はソース類本来の風味、コクに与える影響は大きく、単に油脂含量を低減させると、特有のコク、濃厚感が低減し、カレー、シチュー類又はソース類本来の十分なコクや濃厚感が得られない。かかる濃厚感の補充を目的として澱粉や各種増粘性物質を添加した場合も、コク味付与を目的として澱粉質や増粘性多糖類を添加した場合と同様、香味発現が悪化し、風味が悪化するといった課題を抱えていた。また、とろみを抑えてコク味を付与するために澱粉の分解物であるデキストリンを用いた場合であっても、DE値が5〜20であるデキストリンを用いた場合は、コクの付与効果が低く、さらに香り立ちを改善することもできなかった。
【0006】
同様にして、特許文献4には、DEが2〜40の澱粉分解物を含有する冷凍調味ソース(シチュー等)が、特許文献5には、DE5以下の澱粉分解物とDE9〜15の澱粉分解物とを含有したパスタソースが開示されている。しかし、特許文献4に開示されているデキストリンの由来澱粉は、コーン、ワキシーコーン、タピオカ、米、小麦及び甘藷の一つ以上であり、馬鈴薯由来のデキストリンを用いることについて何ら開示されていない。同様にして、特許文献5で使用しているDE4のデキストリン(コーン由来「パインデックス♯100」)では、十分なコク味を付与することができず、十分なコクを付与するために添加量を増加すると、香味発現が低下し、風味が悪化するといった問題を抱えていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3155467号公報
【特許文献2】特開2006−81461号公報
【特許文献3】特開2006−345858号公報
【特許文献4】特開2009−60860号公報
【特許文献5】特開2009−65878号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記課題に鑑み、本発明では、風味が向上したカレー、シチュー類又はソース類を提供することを目的とする。詳細には、コク及び滑らかな口当たりを付与し、更に、スパイス、エキス等の香味発現も改善され、全体的な風味が向上したカレー、シチュー類又はソース類を提供することを目的とする。更に、本発明では、油脂含量を低減した場合であっても、油脂含量を低減する前と遜色ないコクや濃厚感を有するカレー、シチュー類又はソース類であって、香味発現が極めて良好なカレー、シチュー類又はソース類を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような状況に鑑み、本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、下記の性質を有するデキストリンを用いることにより、コク及び滑らかな口当たりが付与され、更に、スパイス、エキス等の香味発現も改善されて、全体的な風味が向上したカレー、シチュー類又はソース類を提供できることを見出して本発明に至った。
(1)馬鈴薯由来であり、DEが2以上5未満である、
(2)25℃の蒸留水で調製したデキストリン30質量%水溶液を、25℃で5分間静置した時の粘度が100mPa・s以下である。
【0010】
即ち、本発明は下記項の1〜3に掲げるカレー、シチュー類又はソース類、並びに項4に掲げるカレー、シチュー類又はソース類の風味向上方法に関する。
【0011】
項1.下記性質を有するデキストリンを含有することを特徴とする、カレー、シチュー類又はソース類;
(1)馬鈴薯由来であり、DEが2以上5未満である、
(2)25℃の蒸留水で調製したデキストリン30質量%水溶液を、25℃で5分間静置した時の粘度が100mPa・s以下である。
項2.液状タイプのカレー、シチュー類又はソース類であり、油脂含量が5質量%以下である、項1に記載のカレー、シチュー類又はソース類。
項3.レトルト品である、項1又は項2のいずれかに記載のカレー、シチュー類又はソース類。
項4.下記性質を有するデキストリンを添加することを特徴とする、カレー、シチュー類又はソース類の風味向上方法;
(1)馬鈴薯由来であり、DEが2以上5未満である、
(2)25℃の蒸留水で調製したデキストリン30質量%水溶液を、25℃で5分間静置した時の粘度が100mPa・s以下である。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、コク及び滑らかな口当たりが付与され、更に、スパイス、エキス等の香味発現も改善されて、全体的な風味が向上したカレー、シチュー類又はソース類を提供できる。更に、近年の健康嗜好に伴い、油脂含量を低減したカレー、シチュー類又はソース類のコクや濃厚感付与を目的として、従来使用されてきた澱粉や増粘性多糖類は、添加することにより、香味発現や口当たりが悪化し、風味が低下するといった課題を抱えていた。
しかし、本発明のデキストリンを用いることにより、意外にも香味発現が悪化するどころか、油脂低減前よりもスパイス、エキス等の香り立ちや、喫食後の口腔に残る呈味感が良好となり、香味発現が極めて良好であり、風味が向上したカレー、シチュー類又はソース類を提供できるといった利点を有する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明のカレー、シチュー類又はソース類は、下記性質を有するデキストリン(以下、「本発明のデキストリン」ともいう)を含有することを特徴とする。
(1)馬鈴薯由来であり、DEが2以上5未満である、
(2)25℃の蒸留水で調製したデキストリン30質量%水溶液を、25℃で5分間静置した時の粘度が100mPa・s以下である。
【0014】
(本発明に用いるデキストリンについて)
(1)馬鈴薯由来であり、DEが2以上5未満である。
本発明で用いるデキストリンは馬鈴薯由来の澱粉から得られるデキストリンである。馬鈴薯以外の澱粉から得られるデキストリンを用いた場合は、例えDEが2以上5未満の範囲内であるデキストリンを用いた場合であっても、十分なコクや濃厚感が得られないばかりか、ざらついた食感となりやすく、滑らかな食感や良好な香味発現を付与することはできない。
【0015】
本発明で用いるデキストリンはDEが2以上5未満、好ましくは3〜4の範囲である。馬鈴薯由来であり、前記DE値を有するデキストリンを用いることにより、カレー、シチュー類又はソース類にコクを付与できる一方で、滑らかな口当たりも付与することができる。更には、スパイスやエキス等の香り立ちをも改善し、風味が向上したカレー、シチュー類又はソース類を提供できる。
【0016】
DEとは、一般には澱粉の分解程度を示す指標であり、澱粉を加水分解したときに生成するデキストリンおよびぶどう糖や麦芽糖等の還元糖の割合を示すものである。全ての還元糖をぶどう糖(dextrose)の量に換算し、その割合を全体の乾燥固形分に対する重量%で表わしたものである。このDEが大きい程、還元糖の含有量が多く分解度が高い。逆にDEが小さい程、還元糖の含有量が少なく分解度が低いことを意味する。本発明ではDEが2以上5未満であるデキストリンを用いることを特徴とするが、DEが2未満であるデキストリンを用いた場合はカレー、シチュー類又はソース類がゲル状となったり糊っぽい食感となることがあり、また香味発現が悪くなる。一方、DEが5以上であるデキストリンを用いた場合は、コク、濃厚感を十分に付与することができない。
【0017】
本発明で用いるデキストリンは、第二に以下の性質を有する。
(2)25℃の蒸留水で調製したデキストリン30質量%水溶液を、25℃で5分間静置した時の粘度が100mPa・s以下である。
上記粘度は、25℃の蒸留水で調製したデキストリンの30質量%水溶液を25℃で5分間静置した後、25℃条件下で、BL型回転粘度計(ローターNo.2)を用いて回転数12rpmで1分間測定することによって求めることができる。以下、本明細書で「粘度」とはかかる方法で算出される値をいう。
【0018】
当該粘度の下限は、制限されないが、通常20mPa・sを挙げることができる。粘度として、好ましくは20〜100mPa・s、更に好ましくは30〜70mPa・sである。一方、当該粘度が100mPa・sを超えるデキストリンを用いた場合は、例え馬鈴薯由来であり、DEが2以上5未満のデキストリンを用いた場合であっても、ざらつきが目立つ食感となり、カレー、シチュー類又はソース類に滑らかな食感を付与することは到底できない。加えて、香味発現が著しく低下する。
【0019】
上記性質(1)及び(2)を兼ね備える本発明のデキストリンは、商業上入手可能であり、例えば三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製の「スマートテイスト[登録商標]」を挙げることができる。
【0020】
本発明においてカレーとは、レトルトカレー、カレールウ等のカレー味に調味された食品をいう。シチュー類とは、クリームシチュー、ブラウンシチュー、ブイヤベース、ボルシチ等のシチューや、ポタージュスープ、コンソメスープ等のスープをいう。ソース類としては、ホワイト(ベシャメル)ソース、ブラウンソース、ミートソース、トマトソース等が例示できる。
なお、本発明にかかるカレー、シチュー類又はソース類を用いることにより、ハッシュドビーフ、ビーフストロガノフ等の食品や、麻婆豆腐の素、リゾットの素等の食品を提供することができる。
【0021】
カレー、シチュー類又はソース類中の上記デキストリンの添加量は、対象食品や油脂含量に応じて適宜調整することができる。具体的には、液状タイプのカレー、シチュー類又はソース類(そのまま喫食、若しくはご飯等に添加して喫食するタイプ)であれば、カレー、シチュー類又はソース類中、0.05〜10質量%、好ましくは0.05〜5質量%、更に好ましくは0.1〜3質量%である。一方、固形状(ルウ等)のカレー、シチュー類又はソース類中に上記デキストリンを添加する場合は、ルウ中、0.05〜40質量%、好ましくは0.05〜30質量%、更に好ましくは0.1〜20質量%である。
デキストリンの添加量が上記質量%より少ないと、コクや滑らかな口当たりを付与する効果が満足に得られず、一方で上記質量%より多い添加量では、やや重たい食感となる場合がある。
【0022】
液状タイプのカレー、シチュー類又はソース類は冷凍品、チルド品、レトルト品など各種タイプで流通されるが、特にレトルト品のカレー、シチュー類又はソール類は、121℃で20分間程度といった過酷な殺菌条件に加え、常温流通されるため、製造当初のカレー、シチュー類又はソース類本来の風味が低下しやすい。しかし本発明では上記デキストリンを用いることにより、コクや滑らかな口当たりが付与され、更に香味発現が良好に改善され、風味が向上したカレー、シチュー類又はソース類を提供することが可能となった。
【0023】
本発明に用いるデキストリンは、最終的にカレー、シチュー類又はソース類に含有されていれば、添加時期や添加形態は特に限定されない。例えば、レトルトタイプのカレーであれば、80℃に加熱した水に小麦粉、デキストリン、スパイス、必要に応じて油脂、食塩、砂糖、化工でん粉などの任意の原料を添加し十分に加熱撹拌後、包装して121℃20分のレトルト殺菌を行うことにより、十分なコクや滑らかな口当たりが付与され、良好な香り立ちを有するレトルトカレーを調製することが可能である。
同様にして、レトルトタイプのシチュー又はソース類であれば、80℃に加熱した水に小麦粉、デキストリン、必要に応じて乳原料(牛乳、脱脂粉乳、バター等)、澱粉、エキス、調味料などの任意の原料を添加し十分に加熱撹拌後、包装して121℃20分のレトルト殺菌を行うことにより製造できる。
【0024】
なお、本発明では、上記(1)及び(2)の性質を有するデキストリンを添加することにより、油脂含量を低減したカレー、シチュー類又はソース類であっても、油脂含量を低減する前と遜色ないコクを付与することができ、加えて油脂低減前よりも良好な口当たりや香味立ちを実現することができる。
一例として、通常の液状タイプのカレーにおける油脂含量は6〜10質量%程度であるが、本発明のデキストリンを用いることにより、カレー、シチュー類又はソース類の油脂含量を5質量%以下、更には4質量%以下まで低減させた場合であっても、油脂に由来する本来のコクを顕著に付与することができ、更には油脂低減前よりも良好な口当たりや香味発現を有するカレー、シチュー類又はソース類を提供することができる。本発明における液状タイプのカレー、シチュー類又はソース類には、レトルト食品のように、喫食時に液状、ペースト状となる食品を含む。
【0025】
一方、本発明のデキストリンは、家庭でカレー、シチュー類又はソース類を調理する際に使用されるルウ(固形状、粉末状、顆粒状等)に添加することも可能である。一般的なルウは油脂、小麦粉、調味料、香辛料等を加熱混合することにより製造され、その油脂含量は25〜40質量%程度である。ルウに本発明のデキストリンを用いることにより、油脂含量を15質量%以下、更には10質量%以下まで低減させた場合であっても、油脂に由来するカレー、シチュー類又はソース類本来のコクや濃厚感を顕著に付与することができ、油脂含量を低減する前と遜色ないコクや濃厚感を有するカレー、シチュー類又はソース類を提供することができる。更には、油脂低減前よりも良好な口当たり(滑らかな口当たり)や香味発現を有するカレー、シチュー類又はソース類を提供可能である。
【0026】
以上のように、本発明のデキストリンを用いることにより、油脂含量を低減させた場合であっても、油脂に由来する本来のコクが顕著に付与され、かつ低減前よりも滑らかな食感及び良好な香味発現を有し、風味が向上したカレー、シチュー又はソース類を提供することができる。好ましくは、液状タイプのカレー、シチュー又はソース類中に本発明のデキストリンを添加することにより、所望の効果が顕著に得られる。
【0027】
本発明の内容を以下の実施例及び比較例を用いて具体的に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
【実施例】
【0028】
実験例1 レトルトカレーの調製(1)
表1及び表2に示す処方に従ってレトルトカレーを調製した。
具体的には、80℃に加熱した水に表1に示す原料を添加し十分に加熱撹拌後、包装して121℃20分のレトルト殺菌を行い、レトルトカレーを調製した。得られたレトルトカレー(液状タイプのカレー)についての結果を表2に示す。
【0029】
【表1】

【0030】
【表2】

【0031】
表2に示す粘度は、25℃の蒸留水で調製したデキストリンの30質量%水溶液を25℃で5分間静置した後、25℃条件下で、BL型回転粘度計(ローターNo.2)を用いて回転数12rpmで1分間測定することによって求めた値である。
【0032】
<評価基準>
コク、濃厚感:コク、濃厚感を有するものから順に+++>++>+>±>−の5段階で評価した。
香味発現:香味発現の良好なものから順に+++>++>+>±>−の5段階で評価した。
口当たりの滑らかさ:レトルトカレーの食感(滑らかさ)が良好なものから順に+++>++>+>±>−の5段階で評価した。
【0033】
馬鈴薯由来でDEが2以上5未満であり、更に粘度100mPa・s以下であるデキストリンを用いた実施例1−1及び1−2のレトルトカレーは、デキストリン無添加区(比較例1−1)と比較して顕著にコク、濃厚感が増強されていた。更には、無添加区に比べて口当たりも非常に滑らかとなり、香味発現も良好であり、顕著な風味改善効果が得られていた。
一方、馬鈴薯由来でDEが2以上5未満であっても、粘度が210mPa・sである比較例1−2のデキストリンを用いたレトルトカレーは、デキストリンを添加することにより口当たりが悪化し、ざらつきが生じており、また、香味発現も悪化していた。馬鈴薯由来であり、粘度が100mPa・s以下であっても、DEが9のデキストリンを用いた比較例1−3のレトルトカレーは、十分にコクを付与することができないばかりか、香味発現も低下していた。
DEが4.2であり、粘度が100mPa・s以下のデキストリンであっても、コーン由来のデキストリン(比較例1−4)を用いた場合も十分なコク、濃厚感を付与できないばかりか、香味発現が不十分であり、風味が改善されたレトルトカレーを提供することはできなかった。
【0034】
実験例2 レトルトカレーの調製(2)
表3に示す処方に従ってレトルトカレーを調製した。
具体的には、80℃に加熱した水に表3に示す原料を添加し十分に加熱撹拌後、包装して121℃20分のレトルト殺菌を行い、レトルトカレー(液状タイプのカレー)を調製した。
【0035】
【表3】

【0036】
本発明のデキストリンを用いた実施例2−1のレトルトカレーは、油脂含量(パーム油含量)が2倍であり、デキストリン無添加の比較例2−1のレトルトカレーと遜色ないコクや濃厚感が付与され、更に比較例2−1のレトルトカレーよりも滑らかな口当たりと良好な香味発現を有し、比較例2−1よりも有意に風味が改善されていた。
【0037】
実験例3 レトルトシチュー(ホワイトシチュー)の調製
表4に示す処方に従ってレトルトシチューを調製した。
具体的には、80℃に加熱した水に、表4に示す、香料以外の原料を添加し、10分間加熱撹拌した。香料を加え混合後、アルミパウチに充填後、121℃20分のレトルト殺菌を行い、レトルトシチュー(液状タイプのシチュー)を調製した。
【0038】
【表4】

【0039】
本発明のデキストリンを用いた実施例3−1のレトルトシチューは、油脂含量(乳化油脂含量)が2倍であり、デキストリン無添加の比較例3−1のレトルトシチューと遜色ないコクや濃厚感が付与されていた。更に比較例3−1のレトルトシチューよりも滑らかな口当たりと良好な香味発現を有し、比較例3−1よりも有意に風味が改善されていた。
【0040】
実験例4 ソース(パスタソース)の調製
表5に示す処方に従ってパスタソースを調製した。
具体的には、80℃に加熱した水に、表5に示す、香料以外の原料を添加し、10分間加熱撹拌した。香料を加えて混合し、ソース部を調製した。調製したソースに豚ウデ肉、玉ねぎ及び人参を添加し、アルミパウチに充填後、121℃20分のレトルト殺菌を行い、パスタソース(液状タイプのソース)を調製した。
【0041】
【表5】

【0042】
本発明のデキストリンを用いた実施例4−1のパスタソースは、比較例4−1のデキストリン無添加のパスタソースに比較して顕著にコクが付与され、口当たりも滑らかとなり、更には香味発現も向上し、優位に風味が向上されていた。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記性質を有するデキストリンを含有することを特徴とする、カレー、シチュー類又はソース類;
(1)馬鈴薯由来であり、DEが2以上5未満である、
(2)25℃の蒸留水で調製したデキストリン30質量%水溶液を、25℃で5分間静置した時の粘度が100mPa・s以下である。
【請求項2】
液状タイプのカレー、シチュー類又はソース類であり、油脂含量が5質量%以下である、請求項1に記載のカレー、シチュー類又はソース類。
【請求項3】
レトルト品である、請求項1又は2に記載のカレー、シチュー類又はソース類。
【請求項4】
下記性質を有するデキストリンを添加することを特徴とする、カレー、シチュー類又はソース類の風味向上方法;
(1)馬鈴薯由来であり、DEが2以上5未満である、
(2)25℃の蒸留水で調製したデキストリン30質量%水溶液を、25℃で5分間静置した時の粘度が100mPa・s以下である。