説明

風味の改善された豆乳乳酸発酵物

【課題】独特の不快な大豆臭が軽減された豆乳乳酸発酵物を提供する。
【解決手段】分岐鎖アミノ酸が添加された豆乳を乳酸菌により発酵させて得られる、乳酸発酵によるジアセチル生成の抑制された豆乳乳酸発酵物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独特の不快な発酵臭が低減された、風味のよい豆乳乳酸発酵物およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、健康に対する関心の高まりから植物性蛋白飲食品が評価されている。特に良質の蛋白質を多量に含有する大豆を原料とする飲食品はその評価も高く、伝統的な大豆加工食品である豆腐、納豆をはじめとして、豆乳飲料、肉様食品等が商品化されている。特に、豆乳は低カロリーであり、コレステロールが全く含まれず、牛乳アレルギーの人でも安心して飲むことができることなどの理由で、幅広い年齢層の消費者に好まれており、従来、豆乳等を乳酸菌により発酵させたヨーグルト様の飲食品として豆乳乳酸発酵物が知られている。
【0003】
しかしながら、豆乳の乳酸発酵物は、独特の不快な発酵臭があり、また、低温に保存しておいても青臭さや豆臭さが豆乳以上に強くなってしまい、豆乳乳酸発酵物関連商品がなかなか普及しない原因の1つとなっている。
【0004】
豆乳乳酸発酵物の風味を改善する検討に関して、例えば、特許文献1は、特定の乳酸菌を用いて、豆乳、牛乳および糖類を含有する液体を発酵させる豆乳発酵食品の製造方法を開示する。特許文献2は、発酵過程において、pHが5.5以上で温度を急低下または急上昇させることにより、発酵豆乳のpHを5.3〜6付近とし、これによって、乳酸菌等の菌数レベルが高く健康に有用で、かつ酸味が少なく風味良好な食品を製造する方法を開示する。特許文献3は、豆乳に、内分岐環状構造部分と外分岐構造部分とを有し、重合度が50以上であるグルカンと、乳原料を添加し、乳酸醗酵させることにより、ヨーグルト様飲食物を製造する方法を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−263898号公報
【特許文献2】特開2006−296387号公報
【特許文献3】特開2003−289800号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の手法では、乳製品などの動物性素材を添加する手法(例えば、特許文献1および3)や、pHを5.3〜6.0に維持する(特許文献2)手法等法で豆乳乳酸発酵物の風味を改善していることから、乳アレルギーの人々が飲食できない、コレステロールを多く摂取してしまう、製造中の汚染の心配がある、等の問題がある。
【0007】
また、乳をヨーグルト用スターターで発酵させるとヨーグルトの風味を呈することは既知の事実であるが、豆乳を同様の条件で発酵させると、発酵に用いる乳酸菌の種類によっては(乳製品製造の際にはチーズやバター臭と言われている)ジアセチルが過剰量生成され、豆乳乳酸発酵物中では好ましくない風味を呈し、オフフレーバーとなる問題にも本発明者らは着目した。
【0008】
以上のような背景のもと、本発明が解決しようとする課題は、独特の不快な発酵臭が低減された、風味のよい豆乳乳酸発酵物およびその製造方法を提供することである。特に、乳製品等の動物由来製品を使用せず、また、pHを5.0以下に抑えることで防黴性の高められた、豆乳乳酸発酵物およびその製造方法、ならびに豆乳乳酸発酵物中ではオフフレーバーとなるジアセチルの生成の抑制された豆乳乳酸発酵物およびその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以上の課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、本発明者らは、分岐鎖アミノ酸を添加した豆乳を乳酸菌で発酵させることで、ジアセチル生成の抑制された、風味のよい豆乳乳酸発酵物が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0010】
すなわち、本発明は、以下の豆乳乳酸発酵物に関する:
[1]分岐鎖アミノ酸が添加された豆乳を乳酸菌により発酵させて得られる豆乳乳酸発酵物;
[2]分岐鎖アミノ酸が、バリン、ロイシンおよびイソロイシンよりなる群から選択される1種以上のアミノ酸である、上記[1]に記載の豆乳乳酸発酵物;
[3]豆乳乳酸発酵物中のジアセチル量が3ppm以下である、上記[1]または[2]に記載の豆乳乳酸発酵物;
[4]乳酸菌が、ラクトバチラス属、ロイコノストック属またはストレプトコッカス属に属する乳酸菌を含む、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の豆乳乳酸発酵物;
[5]分岐鎖アミノ酸がバリンであり、バリンが豆乳に対し0.005%以上添加される、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の豆乳乳酸発酵物;ならびに
[6]飲食品である、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の豆乳乳酸発酵物;
【0011】
さらに、本発明は、
[7]分岐鎖アミノ酸が、ロイシンおよびイソロイシンの組み合わせである、上記[1]〜[6]のいずれかに記載の豆乳乳酸発酵物;
[8]分岐鎖アミノ酸が、0.1〜0.5%のBetamino BC/Kとして添加される、上記[1]〜[6]のいずれかに記載の豆乳乳酸発酵物;
[9]乳酸菌が、ストレプトコッカス・サーモフィラスを含む、上記[1]〜[8]のいずれかに記載の豆乳乳酸発酵物;
[10]豆乳の大豆固形分が4.5%より多い、上記[1]〜[9]のいずれかに記載の豆乳乳酸発酵物;
[11]動物由来成分を含まない、上記[1]〜[10]のいずれかに記載の豆乳乳酸発酵物;
[12]pHが5.0以下である、上記[1]〜[11]のいずれかに記載の豆乳乳酸発酵物;ならびに
[13]豆乳乳酸発酵物中のジアセチル量が2ppm以下である、上記[1]〜[12]のいずれかに記載の豆乳乳酸発酵物
にも関する。
【0012】
本発明は、また、
(1)豆乳に分岐鎖アミノ酸を添加する工程、および
得られた分岐鎖アミノ酸添加豆乳を乳酸菌により発酵させる工程
を含む、豆乳乳酸発酵物の製造方法に関する。
さらに、本発明は、
(2)乳酸菌がストレプトコッカス・サーモフィラスを含み、発酵が39〜43℃で行われる、上記(1)に記載の豆乳乳酸発酵物の製造方法;
(3)発酵が6〜16時間行われる、上記(1)または(2)に記載の豆乳乳酸発酵物の製造方法;ならびに
(4)発酵終了時のpHが4.8以下である、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の豆乳乳酸発酵物の製造方法
にも関する。
【0013】
本発明は、また、培地に分岐鎖アミノ酸を添加する工程を含む、乳酸発酵においてジアセチル生成を抑制する方法にも関する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、独特の不快な発酵臭が低減された、風味のよい豆乳乳酸発酵物を提供することができる。特に、乳製品等の動物由来製品を使用しないことで乳アレルギーの心配がなく、コレステロールを多く摂取する心配もなく、また、pHを5.0以下に抑えることで防黴性の高められた豆乳乳酸発酵物を提供することができる。さらに、豆乳乳酸発酵物中ではオフフレーバーとなるジアセチルの生成の抑制された豆乳乳酸発酵物を提供することができる。本発明によれば、乳酸発酵においてジアセチル生成を抑制する方法も提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施例3において、大豆固形分濃度の異なる希釈豆乳を用いた希釈豆乳乳酸発酵物中のジアセチル量を示した図である。
【図2】実施例5において、各種分岐鎖アミノ酸を0.1%添加した豆乳を用いた豆乳乳酸発酵物中のジアセチル量を示した図である。
【図3】実施例6において、各種分岐鎖アミノ酸を0.1%添加した豆乳を用いた豆乳乳酸発酵物中のジアセチル量を相対値で示した図である。
【図4】実施例7において、L−バリンを0.001%〜0.1%の各種濃度で添加した豆乳乳酸発酵物中のジアセチル量を示した図である。
【図5】実施例8において、分岐鎖アミノ酸を多く含むBetamino BC/Kを各種濃度で添加した豆乳乳酸発酵物中のジアセチル量を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明において、豆乳とは、水に浸漬して膨潤させた豆類を蒸煮し摩砕して得られる液体、または該液体からおからを分離して得られる液体をいう。豆乳乳酸発酵物の味や食感の観点から、好ましくは該液体からおからを分離して得られる液体である。原料となる豆類は、豆腐の原料として用いることができる豆類であれば限定されないが、好ましくは大豆を用いることができる。大豆の品種は特に限定されず、例えば「りゅうほう」「たちゆたか」等を使用することができる。本発明において、豆乳は、乳酸菌によって発酵させることができる限り、その製造方法、由来等は制限されず、各種市販豆乳または公知技術を用いて製造した豆乳を使用することができる。全粒大豆粉、脱脂大豆粉等を溶解した液を用いてもよい。
【0017】
大豆固形分量に関連して、JAS規格では、豆乳は大豆固形分8.0%以上のものと定義され、調整豆乳は大豆固形分6%以上のものと定義され、豆乳飲料は大豆固形分4%以上のものと定義されているが、これらのいずれも本発明の豆乳として用いることができる。本発明の目的が、独特の不快な発酵臭が低減された、風味のよい豆乳乳酸発酵物を提供することにあるという観点から、乳酸発酵時に不快臭の生じやすい豆乳を用いることができ、例えば、大豆固形分が2.7%以上、好ましくは4.5%以上、より好ましくは6%以上、特に好ましくは8.0%以上、例えば9.0%以上の豆乳を用いることができる。
【0018】
本発明において、乳酸菌は、豆乳を乳酸発酵することができる限り特に限定されず、例えば、ストレプトコッカス属(ストレプトコッカス・サーモフィラス等)、ラクトバチルス属(例えば、ラクトバチルス・ブルガリカス、ラクトバチルス・カゼイ、ラクトバチルス・アシドフィルス、ラクトバチルス・ガッセリ、ラクトバチルス・デルブルッキィ等)、ラクトコッカス属(ラクトコッカス・ラクティス等)、ロイコノストック属(ロイコノストック・メセンテロイテス、ロイコノストック・ラクティス等)、エンテロコッカス属(エンテロコッカス・フェカーリス、エンテロコッカス・フェシウム等)、ビフィドバクテリウム属(ビフィドバクテリウム・ビフィダム、ビフィドバクテリウム・アドレッセンティス等)、ペディオコッカス属(ペディオコッカス・ペントサセウス、ペディオコッカス・ハロフィルス等)等に属する、通常ヨーグルト用スターターとして使用される乳酸菌を用いることができる。一態様において、本発明により乳酸菌の乳酸発酵におけるジアセチル生成を抑制するという観点から、乳酸菌としてはラクトコッカス属およびペディオコッカス属以外に属する乳酸菌が好ましく、特に、ラクトバチラス属、ロイコノストック属およびストレプトコッカス属に属する乳酸菌(例えばストレプトコッカス・サーモフィラス)が好ましい。これらを含む乳酸菌で豆乳を発酵させた場合(例えば、これらのいずれかに属する乳酸菌を単独で発酵させた場合や、ストレプトコッカス・サーモフィラスおよびラクトバチラス・ブルガリカスにより共発酵する場合)、ジアセチルが過剰量生成され、オフフレーバーとなって好ましくない風味を呈することを本発明者らは確認している。
【0019】
本発明において、豆乳を乳酸菌により発酵させる際、分岐鎖アミノ酸を発酵前に豆乳に添加することで、独特の不快な発酵臭が低減された、風味のよい豆乳乳酸発酵物を提供することができる。特に、ジアセチルの生成の抑制された豆乳乳酸発酵物を提供することができる。すなわち、本発明は、豆乳に分岐鎖アミノ酸を添加することを特徴とする、豆乳の乳酸菌による発酵においてジアセチル生成を抑制する方法にも関する。
【0020】
分岐鎖アミノ酸としては、側鎖に枝分かれした炭素鎖を有するアミノ酸であれば特に制限されず、天然アミノ酸であっても非天然アミノ酸であってもよく、L型アミノ酸であってもD型アミノ酸であってもよい。一態様において、本発明の豆乳乳酸発酵物を飲食品として提供する場合、分岐鎖アミノ酸は、天然に存在するL型アミノ酸であることが好ましい。特に、分岐鎖アミノ酸としては、L−バリン、L−ロイシンおよびL−イソロイシンからなる群から選択される1以上のアミノ酸が好ましく、豆乳の乳酸発酵においてジアセチルの生成を効果的に抑制するという観点から、L−バリンのみ;L−バリン、L−ロイシンおよびL−イソロイシンのうち任意の2種を組み合わせて;または、L−バリン、L−ロイシンおよびL−イソロイシンの3種を組み合わせて使用することが特に好ましい。
【0021】
なお、含硫アミノ酸であるシステインまたはメチオニンを豆乳に添加した場合にも、豆乳の乳酸発酵におけるジアセチル生成を抑制することはできるが、子の場合、アミノ酸由来の硫黄臭により、風味の面で好ましい豆乳乳酸発酵物が得られないことを本発明者らは確認している。
【0022】
豆乳に対する分岐鎖アミノ酸の添加量は、風味の改善された豆乳乳酸発酵物が得られる限り限定されないが、大豆固形分9%の豆乳に対し、0.005%以上、好ましくは0.01%以上の分岐鎖アミノ酸を添加することが好ましい。分岐鎖アミノ酸の添加量の上限値は特に制限はなく、経済性等を考慮して適宜決定することが出来るが、例えば大豆固形分9%の豆乳に対し、1%以下、好ましくは0.5%以下、より好ましくは0.1%以下の分岐鎖アミノ酸を添加することができる。一態様において、豆乳中の大豆固形分量に対し、0.05%以上11%以下の量の分岐鎖アミノ酸を添加することができる。複数種の分岐鎖アミノ酸を組み合わせて使用する場合には、各々のアミノ酸が上記の下限値以上の量になるよう添加することが好ましく、例えば、各々のアミノ酸を0.1%程度添加することができる。なお、本明細書中において、分岐鎖アミノ酸の添加量は、豆乳中にもともと含まれる分岐鎖アミノ酸を含まない量をいう。
【0023】
分岐鎖アミノ酸を含有する食品または食品原料等を、豆乳に添加してもよい。動物由来原料を含まない豆乳乳酸発酵物を提供しようとする場合、分岐鎖アミノ酸を含有する食品または食品原料は、植物由来であることが好ましく、例えば、砂糖大根(ビート)から得られた分岐鎖アミノ酸高含有のBetamino BC/K(Aceto Corporation)を豆乳に添加することができる。Betamino BC/K中のアミノ酸組成は、総アミノ酸量が85.0%以上で、そのうち総分岐鎖アミノ酸量が75.0%以上であり、L−バリンが20.0%以上、L−ロイシンが24.0%以上、L−イソロイシンが32.0%以上である。Betamino BC/Kは、大豆固形分9%の豆乳に対し、0.1%以上添加することが好ましい。また、添加量が0.5%より多い場合、Betamino BC/K独特の臭いが優先し、好ましくない風味となり得る。従って、好ましくは0.1〜0.5%、より好ましくは0.1%〜0.3%の範囲でBetamino BC/Kを豆乳に添加する。
【0024】
豆乳中にもともと含まれる遊離分岐鎖アミノ酸の含量は非常に少ない。その量は、大豆の磨砕量、磨砕方法、大豆の品種等によって変動し得るが、本発明者らは、大豆固形分9.0%の豆乳について後述の参考例に記載の方法で遊離分岐鎖アミノ酸含量を測定した結果、L−バリンが0.007mg/ml(7.0ppm)、L−ロイシンが0.007mg/ml(7.0ppm)、L−イソロイシンが0.005mg/ml(5.0ppm)という測定値を得ている。分岐鎖アミノ酸を添加することで、豆乳中の遊離アミノ酸組成が大幅に変化し、このような豆乳を乳酸菌で発酵して得られる豆乳乳酸発酵物の風味の改善に寄与していると考えられる。
【0025】
分岐鎖アミノ酸を添加した豆乳を、乳酸菌で発酵させることにより、独特の不快な発酵臭が低減された、風味のよい豆乳乳酸発酵物を得ることができる。乳酸菌による豆乳の発酵は、当業者に公知の手法を用いて行うことができる。
【0026】
発酵の培地としては、豆乳に上述の分岐鎖アミノ酸が添加されている限り特に限定されず、希釈したものであってもよい。また、糖類等の各種炭素源、窒素源、各種塩類、ビタミン類等を適宜組み合わせて添加してもよいし、所望により、各種調味料、果汁、野菜汁、酵母エキス等を添加してもよい。本発明の一態様において、培地は乳製品等の動物由来成分を含まないことが好ましい。動物由来成分を含まない培地を用いることで、乳アレルギーの人でも安心して飲食することができ、コレステロール過剰摂取の心配もない、動物由来成分を含まない豆乳乳酸発酵物を得ることができる。
【0027】
発酵の培地に、上述の乳酸菌を添加して発酵を開始する。乳酸菌の添加方法は特に制限されないが、簡便には、1種または複数種の乳酸菌を含む、市販の乳酸菌スターターを添加することができる。
【0028】
発酵温度は、乳酸発酵が行われる限り限定されず、用いる乳酸菌に応じて適宜選択することができ、例えばストレプトコッカス属に属する乳酸菌を用いる場合、37℃〜45℃、好ましくは39℃〜43℃、例えば41℃付近で発酵を行うことができる。ロイコノストック属またはラクトバチルス属に属する乳酸菌を用いる場合、例えば30℃付近で発酵を行なうことができる。発酵は、半嫌気性条件下、静置条件で行うことが好ましい。
【0029】
発酵の初発pHや発酵中のpHについても乳酸発酵が行われる限り特に限定されない。初発pHとしては、pH6.5〜6.8を例示することができる。発酵に伴って乳酸が生成されてpHが低下するため、pH値を目安に発酵の終点を定めることができる。例えば後述の実施例1に記載の条件で発酵を行った場合、pHが4.80以下になった時点でpHの低下が緩やかになり、このpH値を発酵の終点とすることができる。このようにして得られた豆乳乳酸発酵物は、pHが5.0以下であることから防黴性が高く、また、製造中の細菌汚染の可能性も低い。
【0030】
発酵時間についても、特に限定されず、例えば6〜24時間、好ましくは6〜16時間、より好ましくは6〜16時間、発酵を行うことができる。本発明者らは、例えば後述の実施例1に記載の条件では、16時間以上発酵させてもpHの低下は確認されず、ジアセチルの増加もみられないことを確認している。
【0031】
上述の手法で、分岐鎖アミノ酸を添加した豆乳を乳酸菌で発酵させて、カードの形成された豆乳乳酸発酵物を得る。添加した分岐鎖アミノ酸は、発酵中に一部乳酸菌により消費され減少するが、分岐鎖アミノ酸を添加せずに豆乳を乳酸発酵した場合と比較すると、分岐鎖アミノ酸量の多い豆乳乳酸発酵物が得られる。
【0032】
また、得られた豆乳乳酸発酵物中のジアセチル量は、豆乳に分岐鎖アミノ酸を添加せずに、同条件で乳酸発酵して得られた豆乳乳酸発酵物と比較して減少している。ジアセチルは、乳製品の製造の際には、チーズ臭、バター臭として不可欠な香りとなるが、豆乳乳酸発酵物中に存在すると独特の不快な発酵臭を呈し、豆乳乳酸発酵物中のジアセチル量が2〜3ppm以上であると、独特の不快な発酵臭により、風味の面で好ましくない豆乳乳酸発酵物となる。本発明によればジアセチル量が3ppm以下、より好ましくは2ppm以下、特に好ましくは1ppm以下の豆乳乳酸発酵物を得ることができる。ジアセチル量の測定は、例えば後述の実施例に記載のように行うことができる。一態様において、本発明の豆乳乳酸発酵物は、豆乳に分岐鎖アミノ酸を添加せずに、同条件で乳酸発酵して得られた豆乳乳酸発酵物中のジアセチルの量を100%とした場合、80%以下、好ましくは60%以下、より好ましくは40%以下、特に好ましくは25%以下のジアセチルを含有する。
【0033】
このようにして得られた豆乳乳酸発酵物は、そのまままたは乾燥処理等を行うことによって、ヨーグルト様食品や飲料、サプリメント等の飲食品として利用することができる。また不快臭が低減された発酵物として化粧品等に配合することもできる。特に、本発明によれば、揮発性のジアセチル含有量が低い豆乳乳酸発酵物が得られ、これをそのまままたはさらに他の成分と混合して、独特の不快な発酵臭が軽減されたヨーグルト様食品や飲料等の飲食品とすることができる。
【0034】
本発明は、また、培地に分岐鎖アミノ酸を添加する工程を含む、乳酸発酵においてジアセチル生成を抑制する方法にも関する。従って、豆乳の乳酸発酵のみならず、ヨーグルト等の発酵乳製品、キムチ等の発酵植物製品等に関与する乳酸発酵においてもジアセチル生成を抑制することができ、様々な場面において風味のよりよい乳酸発酵物を提供することができる。なお、本発明において、乳酸発酵においてジアセチルの生成を抑制するとは、培地に分岐鎖アミノ酸を添加せずに乳酸発酵して得られた乳酸発酵物中のジアセチルの量を100%とした場合、培地に分岐鎖アミノ酸を添加して乳酸発酵して得られた乳酸発酵物中のジアセチル量が80%以下、好ましくは60%以下、より好ましくは40%以下、特に好ましくは25%以下となることをいう。
【実施例】
【0035】
次に実施例を示して本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の%は、特筆しない限り、重量%を表す。
【0036】
[実施例1]
L−バリンを添加した豆乳を用いた豆乳乳酸発酵物の製造
市販の無調整豆乳(株式会社フードケミファ社製、大豆品種:珠美人、大豆固形分9.0%、0.0007%のL−バリン含有)にL−バリン(日本理化学薬品株式会社製)を0.1%添加した。得られたL−バリン含有豆乳に市販のヨーグルト発酵粉末スターター(ダニスコ社製、ストレプトコッカス・サーモフィラスおよびラクトバチルス・ブルガリカスを含む凍結乾燥品)を最終濃度で28mg/Lの濃度(ストレプトコッカス・サーモフィラス約3.0×10cfu/mL、ラクトバチルス・ブルガリカス約3.0×10cfu/mL含有)となるように添加して41℃±1℃にて10時間、発酵物のpHが4.80以下になるまで、半嫌気条件で静置発酵した。なお、ストレプトコッカス・サーモフィラスは生育できないがラクトバチルス・ブルガリカスは生育可能なpH5.2に調製した選択培地を用いて菌数を測定し、ラクトバチルス・ブルガリカスは豆乳中ではほとんど生育しないことが確認された。発酵後、4℃にて1日間冷却し、カードの形成された豆乳乳酸発酵物を得た(本発明品1)。なお、実施例、比較例いずれにおいても、発酵時間の増加とともに発酵物のpHは減少したが、発酵時間が16時間を越えるとpHはほとんど減少しなくなった。
【0037】
[比較例1]
アミノ酸無添加の豆乳を用いた豆乳乳酸発酵物の製造
市販の無調整豆乳(大豆固形分9.0%、0.0007%のL−バリン含有)をそのまま、または滅菌水で希釈し、各大豆固形分濃度(7.2%、5.4%、4.5%、2.7%、1.8%、0.9%)に調整した希釈豆乳に、それぞれ実施例1と同様の条件で、ヨーグルトスターターを接種し、発酵させ、発酵後、冷却し、カードの形成された豆乳乳酸発酵物を得た(比較品)。
【0038】
[実施例2]
官能評価
実施例1で得られた豆乳乳酸発酵物(本発明品1)と、比較例1で大豆固形分濃度9.0%の豆乳から得られたアミノ酸無添加の豆乳乳酸発酵物(比較品1)について官能評価を行った。風味の評価方法として、9名のパネラーにより本発明品1と比較品1の風味を比較する官能評価を行った。また、同パネラーに対し、本発明品1を1個と比較品1を2個の計3個1組にし、3個のうち最も好ましい風味のものを1つ選ばせる3点比較法を実施した。この結果を表1に示す。さらに、13名のパネラーに対し、比較品1と本発明品1を各1個ずつの計2個1組にし、2個のうち最も好ましい風味のものを1つ選ばせる2点比較法も実施した。評価は全てブラインド形式で行った。
【表1】

【0039】
3点比較法の結果、パネラー9名中6名が、比較品1よりも本発明品1の発酵臭または青臭さが軽減したと回答し、有意(5.0%)に風味が改善したことがわかった。また、2点比較法の結果、13名のパネラーのうち、10名のパネラーが発酵臭または青臭さが軽減したと回答し、3点比較法と同様に、有意(5.0%)に風味が改善したことがわかった。乳酸発酵前に豆乳にL−バリンを添加することで、風味が改善された豆乳乳酸発酵物を提供することができた。
【0040】
[実施例3]
ジアセチル生成量の測定1
ジアセチルの定量には内部標準液として1−Pentanol(和光純薬工業社製)を用いた内部標準法を採用した。まず、既知濃度(1ppm、5ppm、10ppm、20ppm、40ppm)のジアセチル標品(東京化成工業社製)と内部標準液(10ppm)の酢酸メチル溶解液を作製し、ガスクロマトグラフィーFID(Flame Ionization Detector)法(Agilent社製)を用いて内部標準液とジアセチルのピーク面積値の比率を用いて検量線(R=0.999)を作製した。豆乳乳酸発酵物中のジアセチルの抽出には、酢酸メチルを用いた溶媒抽出法を採用し、抽出の際に予め終濃度10ppmとなるような内部標準液を添加した。得られた抽出液をガスクロマトグラフィーに供し、作製した検量線に従ってジアセチルの濃度を定量した。比較例1で得られた各豆乳乳酸発酵物をサンプルとし、ジアセチル量を測定した結果を図1に示す。乳酸発酵前の豆乳中の大豆固形分量が減少するに従って、乳酸菌によって生成されるジアセチルの量が減少する傾向があることがわかった。
また、比較例1で得られた、濃度の異なる豆乳を用いて得られた豆乳乳酸発酵物について、実施例2の方法に準じて官能評価を行ったところ、実施例2の結果と、実施例3の結果から、豆乳乳酸発酵物中のジアセチル生成と発酵臭との間に相関があることがわかった。豆乳乳酸発酵物中のジアセチル量が2〜3ppm以上であると、官能評価で独特の不快な発酵臭として感じられ、風味の面で好ましくない豆乳乳酸発酵物となることがわかった。
【0041】
[実施例4]
L−バリンを添加した希釈豆乳を用いた豆乳乳酸発酵物
大豆固形分4.5%の希釈豆乳(0.00035%のL−バリン含有)に、実施例1と同様の手法を用いてL−バリンを0.1%添加して発酵させて、希釈豆乳乳酸発酵物を得た。この希釈豆乳乳酸発酵物と、比較例で大豆固形分4.5%の希釈豆乳を発酵させて得た、アミノ酸無添加の希釈豆乳乳酸発酵物について、パネラー3名により実施例2と同様に官能評価を行ったところ、大豆固形分の少ない豆乳(例えば大豆固形分4.5%以下の豆乳)を発酵させた場合(ジアセチルの生成量が少ない場合)でも、豆乳への分岐鎖アミノ酸添加により若干の風味の改善が認められた。
【0042】
[実施例5]
各種分岐鎖アミノ酸を添加した豆乳を用いた豆乳乳酸発酵物1
実施例1において、発酵前の無調整豆乳(大豆固形分9.0%、0.0007%のL−バリン含有)に、L−バリンの代わりに図2に記載の各種アミノ酸を0.1%添加(複数種のアミノ酸を添加する場合はそれぞれのアミノ酸を終濃度で0.1%添加)した以外は実施例1と同様の手法を用いて、各種豆乳乳酸発酵物を得た。得られた豆乳乳酸発酵物のそれぞれについて、実施例3と同様の手法を用いてジアセチルの生成量を測定した結果を図2に示す。L−ロイシンおよびL−イソロイシンは、それぞれ単独(0.1%)で豆乳に添加した場合、L−バリンと比較するとジアセチルの生成抑制効果が弱かったが、組み合わせて共添加することで、顕著なジアセチル生成抑制効果が見られ、官能評価でも発酵臭の軽減が確認された。
【0043】
[実施例6]
各種分岐鎖アミノ酸を添加した豆乳を用いた豆乳乳酸発酵物2(ジアセチル生成量の測定2)
実施例1において、発酵前の無調整豆乳(大豆固形分9.0%、0.0007%のL−バリン含有)に、L−バリンの代わりに図3に記載の各種アミノ酸を0.1%添加(複数種のアミノ酸を添加する場合はそれぞれのアミノ酸を終濃度で0.1%添加)した以外は実施例1と同様の手法を用いて、各種豆乳乳酸発酵物を得た。得られた豆乳乳酸発酵物のそれぞれについて、以下の手法を用いてジアセチルの生成量(相対値)を測定した。
測定には、ヘッドスペースガスクロマトグラフィー・マススペクトル法(Agilent社製)を用いた。20mlヘッドスペース用バイアルにサンプルの豆乳乳酸発酵物を10g分注し、80℃、15分間バイアル中で気液平衡を行い、ガスクロマトカラムに供した。得られたトータルイオンクロマトグラムからジアセチルのピーク面積値を算出した。分岐鎖アミノ酸を添加していない豆乳乳酸発酵物(比較品1)中に含まれるジアセチルのピーク面積値を100%とし、各種アミノ酸を添加した豆乳を用いた豆乳乳酸発酵物中のジアセチル量を相対値として図3に示した。
L−ロイシンおよびL−イソロイシンは、それぞれ単独(0.1%)で豆乳に添加した場合、L−バリンと比較するとジアセチルの生成抑制効果が弱かったが、複数種を共添加することで、顕著なジアセチル生成抑制効果が見られ、官能評価でも発酵臭の軽減が確認された。
【0044】
[比較例2]
分岐鎖アミノ酸以外のアミノ酸を添加した豆乳を用いた豆乳乳酸発酵物1
L−バリンの代わりにスレオニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、ヒスチジン、セリン、アルギニン、リジン、トリプトファン、チロシン、フェニルアラニン、アラニン、プロリンまたはグリシンを各0.1%用いた以外は、実施例1と同様の手法を用いて、それぞれのアミノ酸を添加した豆乳を用いた豆乳乳酸発酵物を得た。
実施例2および実施例6に記載の方法に準じてアミノ酸無添加の豆乳を用いた豆乳乳酸発酵物(比較例1)と比較したところ、上記のアミノ酸添加によるジアセチル生成の抑制作用は見られなかった。
【0045】
[比較例3]
分岐鎖アミノ酸以外のアミノ酸を添加した豆乳を用いた豆乳乳酸発酵物2
L−バリンの代わりにシステインまたはメチオニンを各0.1%用いた以外は、実施例1と同様の手法を用いて、それぞれのアミノ酸を添加した豆乳を用いた豆乳乳酸発酵物を得た。
実施例2および実施例6に記載の方法に準じてアミノ酸無添加の豆乳を用いた豆乳乳酸発酵物(比較例1)と比較したところ、上記のアミノ酸添加により、ジアセチル生成の抑制作用は見られたが、アミノ酸由来の硫黄臭により、風味の面で好ましい豆乳乳酸発酵物は得られなかった。
【0046】
[実施例7]
L−バリンを各種濃度で添加した豆乳を用いた豆乳乳酸発酵物
実施例1において、図4に記載の各量(0.001%、0.005%、0.01%、0.1%)のL−バリンを発酵前の無調整豆乳(大豆固形分9.0%、0.0007%のL−バリン含有)に添加した以外は実施例1と同様の手法を用いて、各種豆乳乳酸発酵物を得た。得られた豆乳乳酸発酵物のそれぞれについて、実施例3と同様の手法を用いてジアセチルの生成量を測定した結果を図4に示す。
L−バリンを50ppm(0.005%)以上添加した豆乳乳酸発酵物では、ジアセチル生成抑制作用が見られたが、L−バリンを10ppm(0.001%)添加した豆乳乳酸発酵物では、ジアセチル生成抑制作用が弱かった。発酵臭の原因となるジアセチルの生成を効果的に抑えるには発酵前の豆乳(大豆固形分9.0%)に、少なくとも50ppmのL−バリンを添加することが好ましいと考えられた。
【0047】
[実施例8]
Betamino BC/Kを添加した豆乳を用いた豆乳乳酸発酵物
実施例1において、分岐鎖アミノ酸を多く含む、植物性原料(砂糖大根(ビート))由来のBetamino BC/K粉末(製造者:AMINO GmbH(ドイツ))を図5に記載の各量(0.05%、0.01%、0.1%、0.5%)、L−バリンの代わりに発酵前の無調整豆乳(大豆固形分9.0%、0.0007%のL−バリン含有)に添加した以外は実施例1と同様の手法を用いて、各種豆乳乳酸発酵物を得た。得られた豆乳乳酸発酵物のそれぞれについて、実施例3と同様の手法を用いてジアセチルの生成量を測定した結果を図5に示す。
Betamino BC/Kを添加した場合にも、豆乳乳酸発酵物におけるジアセチルの生成が飛躍的に抑制され、また、官能評価で風味改善効果も確認された。添加量が0.5%より多い場合、Betamino BC/K独特の臭いが優先し、あまり好まれない風味となった。一方、Betamino BC/Kを0.01%、0.005%添加した豆乳発酵物ではジアセチル生成抑制作用が弱かった。発酵臭の原因となるジアセチルの生成を効果的に抑えるためには発酵前の豆乳(大豆固形分9.0%)に、少なくとも0.1%のBetamino BC/Kを添加することが好ましいと考えられた。
【0048】
[実施例9]
各種乳酸菌を用いた豆乳乳酸発酵物の製造
市販の無調整豆乳(株式会社フードケミファ社製、大豆品種:珠美人、大豆固形分9.0%、0.0007%のL−バリン含有)にラクトバチルス属乳酸菌(ラクトバチルス・カルバタス、ラクトバチルス・ペントーサス)またはロイコノストック属乳酸菌(ロイコノストック・メセンテロイデス)を実施例1に記載の手法に準じて添加し、30℃にて24時間、半嫌気条件で静置発酵した。得られた豆乳乳酸発酵物それぞれについて、実施例6に記載の方法に準じてアミノ酸無添加の豆乳を用いた豆乳乳酸発酵物(比較例1)と比較したところ、これらの乳酸菌による乳酸発酵でもジアセチル生成が確認された。
【0049】
[参考例]
豆乳中の分岐鎖アミノ酸含有量の測定
豆乳(フードケミファ社製、大豆固形分9.0%、大豆品種:珠美人)に2Nの塩酸を添加し、pH4.5まで下げ、大豆タンパク質を凝集させた。その後、10000rpmで10分間遠心し、上清(ホエー)を回収し、分子量10000の膜で処理し、適宜希釈を行い、液体クロマトグラフィーを用いて遊離アミノ酸量の定量を行った。大豆固形分9.0%の豆乳中の分岐鎖アミノ酸量は、L−バリンが0.007mg/ml(7.0ppm)、L−ロイシンが0.007mg/ml(7.0ppm)、L−イソロイシンが0.005mg/ml(5.0ppm)であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分岐鎖アミノ酸が添加された豆乳を乳酸菌により発酵させて得られる豆乳乳酸発酵物。
【請求項2】
分岐鎖アミノ酸が、バリン、ロイシンおよびイソロイシンよりなる群から選択される1種以上のアミノ酸である、請求項1に記載の豆乳乳酸発酵物。
【請求項3】
豆乳乳酸発酵物中のジアセチル量が3ppm以下である、請求項1または2に記載の豆乳乳酸発酵物。
【請求項4】
乳酸菌が、ラクトバチラス属、ロイコノストック属またはストレプトコッカス属に属する乳酸菌を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の豆乳乳酸発酵物。
【請求項5】
分岐鎖アミノ酸がバリンであり、バリンが豆乳に対し0.005%以上添加される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の豆乳乳酸発酵物。
【請求項6】
飲食品である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の豆乳乳酸発酵物。
【請求項7】
豆乳に分岐鎖アミノ酸を添加する工程、および
得られた分岐鎖アミノ酸添加豆乳を乳酸菌により発酵させる工程
を含む、豆乳乳酸発酵物の製造方法。
【請求項8】
培地に分岐鎖アミノ酸を添加する工程を含む、乳酸発酵においてジアセチル生成を抑制する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−50392(P2012−50392A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−196564(P2010−196564)
【出願日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【出願人】(000004477)キッコーマン株式会社 (212)
【Fターム(参考)】