説明

風味保持材

【課題】飲食品が本来有する風味を保持し、かつ食したときには口中でその風味を放出することにより、風味豊かな食品を提供しうる風味保持材を提供する。
【解決手段】タマネギ植物などのユリ科野菜の細胞組織から分離され、140メッシュ(140mesh;USA)を通過するリグニンまたはリグニン前駆体を含む植物由来固形分からなる風味保持材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風味保持材に関するものであり、より詳しくは、飲食品や調味料などに添加することにより、それらの好ましい風味の散逸を防止し、飲食品や調味料などの風味を増強することができ、風味豊かな飲食品を提供できる風味保持材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、飲食品の風味保持材としては、セルロースやヘミセルロースを含む繊維材料からなり、これと親油性香料や親油性成分を含有する溶液とを含み、香料の制御放出をする香味放出材料が提案されている(特許文献1。)。しかしながら、本発明者らの検討結果によれば、前記セルロースやヘミセルロースによる風味成分の吸着および放出能力はそれほど顕著なものではなかった。
【0003】
また、植物細胞壁の構成成分の一つであるアラビノキシラン、ペクチン等の繊維質に存在するフェルラ酸エステルをフェルラ酸エステラーゼの存在下に通常の方法で分解して得るフェルラ酸などのスチレン構造を有するフェノール化合物酸素の存在下で酸化反応させて得られる反応混合物を食品に存在させて食品のオフフレーバーを除去する方法(特許文献2)、リグニンとフェノール性化合物を酸化する酵素とを含有し、口臭、体臭、漂白剤やパーマ液などの臭い、冷蔵庫内での臭い、糞尿の臭いなど日常の生活において感じられる臭い、工場内あるいは工業廃液中の悪臭などを消去あるいは軽減するために使用される消臭剤組成物(特許文献3)が提案されている。さらに、バイオエタノール製造時に発生する、植物細胞由来のリグニンを炭化賦活化することにより、活性炭と同程度の、揮発性有機化合物(VOC)吸着性能を有することが報じられている(非特許文献1。)。しかしながら、これらはいずれも、臭気などの有害成分を吸着、除去する目的で植物細胞由来成分を利用するものであり、従来、植物細胞由来のリグニンについての食品の風味成分の保持、放出といった作用効果については全く知られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2009−534050号公報
【特許文献2】特開2001−352914号公報
【特許文献3】特開2004−148046号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】「リグニンからVOC吸着材−活性炭と同等性能実現−」、化学工業日報、地方独立行政法人 東京都立産業技術研究センター、2010年4月14日(http://www.iri-tokyo.jp/joho/hodo/09_10/100114.html)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、飲食品が本来有する風味を保持し、かつ食したときには口中でその風味を放出することにより、風味豊かな食品を提供しうる、風味保持材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、飲食品の風味に関し、種々研究をしているなかで、加熱調理時に生ずるコク、とりわけ、タマネギ(オニオン)の加熱調理時に生ずる強いコクを有する植物エキスを開発した(特開2010−142147号公報および特開2010−142148号公報参照。)。この食品(タマネギエキス)は、搾汁したタマネギ原料を濃縮した後、薄膜状に拡げた状態で、流動させながら、品温が140℃に到達するまで加熱調理することによって得られるものである。この方法により得られたタマネギエキスは、タマネギを加熱した時に得られる濃厚な甘味とコクに寄与する香気成分を豊富に含むため、該タマネギエキスを添加することにより強いコクが付与された食品を提供することができるというものである。
【0008】
さらに、本発明者らは、上記タマネギエキスの研究過程において、原料となるタマネギ搾汁液として、加圧ろ過などにより精製したものについては、得られるタマネギエキスにおいて、甘い風味やコクに関連する香気成分が減少することにより風味が低下するとの知見を得た。この知見に基づき、さらに研究を重ねた結果、タマネギ搾汁液中に含まれる、ある種の細胞由来成分(固形分)が、タマネギ本来の甘い風味やコク、更には加熱調理により生ずる旨味成分(香気成分)等の風味成分を吸着し、かつ食したときには口中で前記吸着した風味成分を放出する機能を有することの知見を得た。さらに、前記タマネギ由来の固形分による風味成分の吸着および放出機能は、単にタマネギにとどまることなく、タマネギ以外のユリ科野菜やリンゴなど、各種の植物の細胞由来固形分においても、発揮されるものであるとの知見を得た。本発明は、このような知見に基づき、完成されたものである。
【0009】
本発明の第一は、植物の細胞組織から分離され、140メッシュ(140mesh;USA)を通過する植物由来固形分からなることを特徴とする風味保持材に関する。
【0010】
好ましい実施態様では、前記植物がユリ科野菜である。
好ましい実施態様では、前記ユリ科野菜がタマネギである。
好ましい実施態様では、リグニンまたはリグニン前駆体を20重量%以上含有する。さらに好ましい実施態様では、リグニンまたはリグニン前駆体を50重量%以上含有する。
【0011】
本発明の第二は、植物の搾汁液を遠心分離して得られた沈殿を、140メッシュ(140mesh;USA)の篩で濾して通過した固形分を得ることを特徴とする風味保持材の製造方法に関する。
【0012】
好ましい実施態様では、前記植物がユリ科野菜である。
好ましい実施態様では、前記篩で濾して通過した固形分を水またはアルコールで洗浄する。
【0013】
本発明の第三は、上記のような本発明の風味保持材を含有する調味料に関する。
【0014】
本発明の第四は、上記のような本発明の風味保持材を含有する香味料に関する。
【0015】
本発明の第五は、上記のような本発明の風味保持材、調味料または香味料を含有する飲食品に関する。
【0016】
本発明の第六は、上記のような本発明の風味保持材、調味料または香味料を飲食品に添加することにより、その飲食品がもつ風味の散逸を防止することを特徴とする飲食品の風味を保持する方法に関する。
【0017】
本発明の第七は、上記のような本発明の風味保持材を、調味料に添加することにより、調味料の風味の散逸を防止することを特徴とする調味料の風味を保持する方法に関する。
【0018】
本発明の第八は、上記のような本発明の風味保持材を、香味料に添加することにより、香味料の風味の散逸を防止することを特徴とする香味料の風味を保持する方法に関する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、植物細胞由来の固形分、好ましくはユリ科野菜の植物細胞由来の固形分、より好ましくはタマネギの細胞由来の固形分であり、特に前記固形分がリグニンまたはリグニン前駆体である場合、前記リグニンまたはリグニン前駆体などの植物細胞由来の固形分に吸着、結合された風味成分は、飲食品の加熱調理時には放出されずにリグニンまたはリグニン前駆体に吸着されたまま保持されるとともに、食したときに口中で前記香気成分などの風味成分がリグニンまたはリグニン前駆体から放出され、飲食品に旨味、コクなどの好ましい風味を付与することができる。従って、本発明の風味保持材を、飲食品、その原材料、飲食品に加える調味料や香味料などに添加することで、飲食品、さらには添加した調味料や香味料が本来有する好ましい旨味やコクなどの風味が、調理の過程や保存、輸送など、消費者の口に入るまで保持され、しかも口中で前記リグニンまたはリグニン前駆体などの植物細胞由来の固形分に吸着されていた風味成分が放出される。従って、前記調味料や香味料を添加しなくとも、飲食品の原料が本来有している好ましい風味や、加熱調理時に生ずる旨味、コクなどの風味を保持することで、飲食品の風味を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明につき、さらに詳細に説明する。
【0021】
本発明に係る風味保持材は、植物細胞、とりわけユリ科野菜の細胞組織から分離され、140メッシュ(140mesh;USA)を通過する固形分(以下、「植物細胞由来固形分」ということもある。)からなることを特徴とする。
【0022】
本発明に係る風味保持材における植物細胞由来の固形分は、各種の植物に由来するものが使用できるが、とりわけタマネギなどの植物細胞由来の固形分、特にリグニンまたはリグニン前駆体を主成分とする植物細胞由来の固形分は、飲食品における、旨味、コク、香気成分などの風味成分を吸着し、飲食品の加熱調理時にも前記風味成分が散逸せず、調理後の飲食品に優れた風味が保持される。本発明者らは、本発明の研究、発明過程において、植物由来の固形分であっても、セルロースやペクチンなどの植物由来のポリマーには、本発明の風味保持材による、前記のような風味の保持および放出機能は見られないことの知見を得ている。従って、本発明の目的とする風味成分保持機能を発揮するには、植物細胞由来の固形分のうちでも、リグニンまたはリグニン前駆体が適していると考えられる。本発明の風味保持材による前記のような風味成分保持機能の詳細な作用機序は必ずしも明らかではないが、リグニンポリマー中の疎水性領域に、揮発性の高い香気成分などの風味成分が適度の結合力でもって結合しているものと推定される。
【0023】
前記のような、本発明に係る風味保持材に用いる植物細胞由来の固形分の原料として好ましい植物としては、前記タマネギを初めとするユリ科野菜である。ユリ科野菜としては、タマネギ、ニラ、ニンニク、ネギなどが挙げられる。これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。中でも、タマネギおよびニンニク、とりわけタマネギから得られるリグニンまたはリグニン前駆体は、本発明の目的とする、食品の風味成分の吸着および放出機能に優れることから好ましい。
【0024】
本発明に係る、植物細胞由来の固形分からなる風味保持材は、植物の搾汁液から遠心分離により分離して得るが、好ましくは分離された固形分を洗浄、更には、遠心分離にかけたり、セルラーゼ、ペクチナーゼ、プロテアーゼ等により酵素処理することによって精製することで、より純度の高いものが得られる。
【0025】
同じくタマネギなどのユリ科野菜の細胞由来の固形分であっても、140メッシュ(140mesh;USA)を通過しないものについては、上記したような本発明が目的とする風味成分の吸着および放出効果が顕著ではない。この理由も必ずしも究明できてはいないが、そのような粗粒の固形分(ポリマー)については、セルロースやペクチン等が多く含まれていることが原因ではないかと考えられる。
【0026】
本発明の風味保持材の製造例を挙げると、例えば以下のとおりである。
【0027】
<製造例1:タマネギ細胞由来の固形分からなる風味保持材の製造例>
すりおろしたタマネギ5kgを搾汁機(juice extractor GP−E1503 ; GREEN POWER)で搾汁した。得られた搾汁液を、遠心機で遠心(6574G,15分)し、沈殿161gを得た。該沈殿を、金属メッシュ(目開き106μm、140mesh)で濾した。メッシュを通過した画分について、さらに遠心機で遠心(6574G,15分)し、沈殿130gを回収した。そのうちの30gに、10倍量の温水(300ml,40℃)を加え、15分間攪拌しながら洗浄した。これをさらに遠心機で遠心(6574G,15分)し、得られた沈殿に、再度、10倍量の温水(300ml,40℃)を加えて15分攪拌した。前記同様に、これを再度、遠心し、沈殿を得た。この沈殿に、10倍量のエタノール(300ml)を加えて攪拌し、攪拌後、さらに遠心機で遠心(6574G,15分)し、沈殿を得た。この沈殿に、再度10倍量のエタノール(300ml)を加えて攪拌し、エバポレーターでエタノールを溜去した。このようにして得られた固形分を、本発明の風味保持材とした。前記固形分について、サイゼル法により分析を行なったところ、50〜60重量%が、メトキシル基を1つ有するグアイアシル型リグニンまたはその前駆体であることが確認された。なお、固形分中のその他の成分としては、セルロースやペクチンなどが考えられる。
【0028】
(サイゼル法)
第十四改正日本薬局方に準じて下記のようにして行なったメトキシル基の定量方法である。
吸収液(酢酸カリウムを氷酢酸・無水酢酸混液に溶かし、臭素を加えたもの)に植物細胞由来固形分を添加し、ヨウ化水素酸を加えて沸騰させた。反応後これを冷却し、臭素の赤色が消えるまでギ酸を滴下した。その後、ヨウ化カリウムと希硫酸を加え、遊離したヨウ素をチオ硫酸ナトリウムで滴定した。メトキシル基量=0.1mol/Lチオ硫酸ナトリウム滴定量×0.5172として、メトキシル基量を定量した。
【0029】
<製造例2:タマネギ以外のユリ科野菜細胞からの風味保持材の製造例>
ニンニク、ネギ等の野菜(市販のもの)を適当な大きさに切り、搾汁機(パワージューサー;SHOP JAPAN)で搾汁した。該搾汁液を、遠心機で遠心(6574G,15分)し、沈殿を得た。得られた沈殿を、金属メッシュ(目開き106μm、140mesh)で濾した。メッシュを通過した画分について、さらに遠心機で遠心(6574G,15分)し、沈殿を固形分として回収した。前記固形分30gに10倍量の温水(300ml,40℃)を加え、15分間攪拌しながら洗浄した。これを、さらに遠心機で遠心(6574G,15分)し、得られた沈殿に、再度10倍量の温水(300ml, 40℃)を加えて15分攪拌した。前記と同様に、これを遠心し、沈殿を得た。この沈殿に、10倍量のエタノール(300ml)を加えて攪拌した。攪拌後、これを遠心機で遠心(6574G,15分)し、沈殿を得た。この沈殿に、再度10倍量のエタノール(300ml)を加えて攪拌し、エバポレーターでエタノールを溜去した。得られた固形分を、本発明の風味保持材とした。
【0030】
各種植物(野菜)について、上記と同様に方法により、植物細胞由来の固形分を得た。使用した植物野菜の量と、そこから得た固形分(リグニンまたはリグニン前駆体を主成分とする植物細胞由来の固形分)の関係は、下記の通りであった。
茄子5本 → 5.77g
人参3本 → 3.02g
ゴボウ1本 → 8.13g
生姜2袋 → 1.70g
ゴーヤ1本 → 4.28g
りんご3個 → 14.37g
セロリ1本 → 1.16g
ネギ1本 → 0.90g
【0031】
本発明によれば、上記のようにして得られる植物細胞由来の固形分からなり、好ましくはリグニンまたはリグニン前駆体を主成分として、20重量%以上、より好ましくは50重量%以上を含有する風味保持材を、飲食品の原材料、調理時または調理前に添加することにより、前記原材料が本来有する甘味などの風味成分や、旨味、調理時に生ずるコクなどが風味保持材に吸着され、調理や殺菌時の加熱処理によっても散逸せず、また飲食品の保管、輸送の間にも散逸することなく保持されるとともに、食したときに口中で放出され、風味豊かな飲食品となる。食したときに、口中で前記風味保持材から、該風味保持材に保持された風味成分が放出されることの機序については明らかではないが、口中における温度(体温)や唾液に含まれる電解質や酵素類などが関与しているとも考えられる。
【0032】
本発明の対象となる飲食品には特に制限はない。なお、本発明において、飲食品とは、調味料や香味料を含む場合もある。本発明の対象となる飲食品を一部例示すると、スープ、ラーメンスープ、うどん(そば)汁、ドレッシング、カレーなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。例えば、本発明の風味保持材をカレーに添加した時には、加熱調理中に飛散するであろう香気成分を風味保持材が保持することにより、カレーの美味しさが増す、という効果も期待できる。
【実施例】
【0033】
以下に実施例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、実施例において「部」や「%」は重量基準である。
【0034】
(実施例1:カレー)
お湯400mlを入れた鍋を二つ用意し、一方に、製造例1で得られた風味保持材0.5g (0.125%)を加えた。お湯が沸騰してから、市販のカレールゥ(バーモントカレー プライム;登録商標、ハウス食品株式会社)を2粒ずつ添加した。ルゥを潰しながらかき混ぜ、蓋をせずに30分間煮込んだ。煮込み後、風味保持材を添加したカレーの重量は207.17g、風味保持材を添加していないカレーの重量は217.94gであったので、重量を合わせるために、風味保持材を添加したカレーにお湯を加え、重量を217.94gに合わせた。
得られた2種類のカレーの味見をしたところ、風味保持材を添加して作製したカレーは、風味保持材の添加により、甘い香りが強くなり、後味のスパイス感が際立った、おいしいカレーとなっていた。
【0035】
(実施例2:かつおだし)
水1Lを入れた鍋を二つ用意し、一方に、製造例1で得られた風味保持材を0.5g(0.05%)加えた。お湯が沸騰したら火を止めて差し水15gを加えた。かつおぶしをそれぞれ20gずつ加えて再び加熱し、沸騰してから90秒間煮出した。その後、かつおぶしをざるで除去し、かつおだしをさらに30分間蓋をせずに煮込んだ。同様にお湯を加えて、重量を合わせた。
得られた2種類のかつおだしを味見をしたところ、風味付与材を添加したかつおだしは、香りがより強くなり、スパイス感の残る美味しいだしとなっていた。
【0036】
(実施例3:ブイヨン)
鍋を二つ用意し、それぞれに、玉ねぎ94.4g、人参39.4g、セロリ34.3g、パセリ(茎)3.9g、牛すじ肉72.1g、白コショウ20粒、ローリエ1枚、水1Lを入れた。一方の鍋に、製造例1で得られた風味保持材を0.5g(0.05%)添加した。火にかけてアクを取りながら煮込んだ。沸騰したら弱火にして、蓋をして3時間煮込んだ。3時間後、具材を濾し、ブイヨンスープの重さを合わせるためにお湯を加えた。
得られた2種類のブイヨンについて味見をしたところ、風味保持材を添加したブイヨンは、より香りが強く、また味に厚みが感じられた。
【0037】
(実施例4:タマネギ濃縮エキス)
市販のタマネギピューレを搾汁機(juice extractor GP−E1503; GREEN POWER)で搾汁した。搾汁液を遠心機で遠心(6574G,15分)し、上清を得た。鍋を二つ用意し、それぞれにこの上清を100gずつ入れた。一方に、製造例1で得られた風味保持材を0.5g(0.5%)加え、火にかけて攪拌しながら加熱した。上清の重さが1/10になったところで火を止めた。
得られた2種類のタマネギ濃縮エキスの味見をしたところ、風味保持材を添加して加熱調理したタマネギ濃厚エキスは、香り、加熱調理によるコクがより強く、厚みのある美味しいエキスとなっていた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物の細胞組織から分離され、140メッシュ(140mesh;USA)を通過する植物由来固形分からなることを特徴とする風味保持材。
【請求項2】
前記植物がユリ科野菜である請求項1に記載の風味保持材。
【請求項3】
前記ユリ科野菜がタマネギである請求項2に記載の風味保持材。
【請求項4】
リグニンまたはリグニン前駆体を20重量%以上含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の風味保持材。
【請求項5】
リグニンまたはリグニン前駆体を50重量%以上含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の風味保持材。
【請求項6】
植物の搾汁液を遠心分離して得られた沈殿を、140メッシュ(140mesh;USA)の篩で濾して通過した固形分を得ることを特徴とする風味保持材の製造方法。
【請求項7】
前記植物がユリ科野菜である請求項6に記載の風味保持材の製造方法。
【請求項8】
前記篩で濾して通過した固形分を水またはアルコールで洗浄する請求項6または7に記載の風味保持材の製造方法。
【請求項9】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の風味保持材を含有する調味料。
【請求項10】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の風味保持材を含有する香味料。
【請求項11】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の風味保持材、請求項9に記載の調味料または請求項10に記載の香味料を含有する飲食品。
【請求項12】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の風味保持材、請求項9に記載の調味料または請求項10に記載の香味料を飲食品に添加することにより、その飲食品がもつ風味の散逸を防止することを特徴とする飲食品の風味を保持する方法。
【請求項13】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の風味保持材を、調味料に添加することにより、調味料の風味の散逸を防止することを特徴とする調味料の風味を保持する方法。
【請求項14】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の風味保持材を、香味料に添加することにより、香味料の風味の散逸を防止することを特徴とする香味料の風味を保持する方法。

【公開番号】特開2012−200160(P2012−200160A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−65052(P2011−65052)
【出願日】平成23年3月23日(2011.3.23)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【Fターム(参考)】