風車形電極を備えた圧電変圧器
【課題】風車形電極を備えた圧電変圧器の提供。
【解決手段】ここに記載されているのは風車形電極を備えた圧電変圧器である。本発明の圧電変圧器は本体、上部電極及び下部電極を包含する。該本体は圧電材料で円形に形成されている。該上部電極は該本体の上部及び下部表面に対応する第1及び第2表面の一方に隣接するように形成され、該本体と同じ平面形状に形成され、分離して形成され、入力電圧は分離された電極のいくつかに印加され、出力電圧は残りの電極より得られる。下部電極は上部電極が形成された平面と反対の平面に隣接し、該下部電極は該本体と同じ平面形状に形成される。
【解決手段】ここに記載されているのは風車形電極を備えた圧電変圧器である。本発明の圧電変圧器は本体、上部電極及び下部電極を包含する。該本体は圧電材料で円形に形成されている。該上部電極は該本体の上部及び下部表面に対応する第1及び第2表面の一方に隣接するように形成され、該本体と同じ平面形状に形成され、分離して形成され、入力電圧は分離された電極のいくつかに印加され、出力電圧は残りの電極より得られる。下部電極は上部電極が形成された平面と反対の平面に隣接し、該下部電極は該本体と同じ平面形状に形成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電材料の圧電効果と逆圧電効果を利用した電圧増幅用の圧電変圧器に係り、更に詳しくは、高効率の圧電変圧器であって、新規な電極構造と新規な分極方向配置を使用して有効にねじれ振動を生成することで、高い出力特性を得られるものに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、圧電変圧器の研究は1957年に米国のジェネラルエレクトリック社においてC.E.Rosen 等により実施された実験研究に基づいている。当時使用された圧電材料はチタン化バリウムであり、無負荷状態で50から60回のブースト範囲を有するため、圧電変圧器の実現には制限がある。しかし、Pb(Zr,Ti)O3 を主成分として使用した新規な圧電材料が発明され、より広い範囲のブーストが可能となり、それにより、最近は圧電変圧器の実用の研究が真剣に行われてきた。
【0003】
伝統的な巻線型変圧器を圧電変圧器と較べると、巻線型変圧器は電磁誘導に基づくブースト方法を採用しているが、圧電変圧器は圧電及び逆圧電効果を使用し、及び、ゆえに、電磁ノイズが少ない。さらに、巻線型変圧器の場合、ブースト比は巻線比により決定されるが、圧電変圧器の場合は電極の材料特性及び構造と寸法により決定される。
【0004】
さらに、出力電源の立場からは、巻線型変圧器の場合、二次側の電圧と電流を高電圧と低電流に変換するために巻線比を増さなければならないため、巻線比の増加に比例してリーク成分が増す。圧電材料を使用した圧電変圧器は電気的−機械的(一次側)−機械的−電気的(二次側)の組合せを利用し、ゆえに、90%以上の効率アップが実現される。
【0005】
このように、高電圧と低電流を二次側に有する変圧器は、負荷が高インピーダンスを有している時、満足できるインピーダンスマッチングを実現でき、ゆえに効率は改善され、ゆえに、優れた負荷特性を得ることができ、エネルギー変換効率を増す。
【0006】
高電圧と低電流特性を備えた圧電変圧器の提供は、非常に好ましく実施され、圧電変圧器のノートブック型コンピュータのバックライト用のインバータへの応用が、積極的に考察されてきた。
【0007】
最近のノートブック型コンピュータは小型化及び薄型化の傾向があるが、伝統的な巻線型変圧器は、絶縁確保と耐電圧のため、小型化及び薄型化を実現する際には有効性が限られ、コア損失のような巻線損失のために、効率が低減する。このような欠点を克服するため、圧電変圧器をノートブック型コンピュータのLCDのバックライトに適用する場合、圧電変圧器とノートブック型コンピュータのLCDのバックライトのインピーダンスマッチングが充分に実行されることで、ノートブック型コンピュータのバックライトのインバータへの圧電変圧器の応用に問題がなくなり、すでに圧電変圧器が使用されたいくつかの製品が既に市販されている。
【0008】
一方、第1次Rosen 型及び第3次Rosen 型のようなものにおける高出力が積極的に実施され、並列操作のための積層方法の研究がそれと共に実施されてきた。
【0009】
伝統的な圧電変圧器の基本構造の問題は図1を参照して説明される。図1に示されるように、圧電変圧器の基本構造として様々なタイプの構造が提案されてきたが、図1(a)の、矩形平面形状を備えた基本構造は、製造工程とブースト比の立場から最も有用な構造と評価される。
【0010】
図1に示されるように、圧電素子の半分は厚さ方向に形成された電極を有すると共に、これもまた厚さ方向に形成された分極方向を有する。その残りの半分は、長さ方向に形成された電極と、これもまた長さ方向に形成された分極方向を有する。
【0011】
この場合、厚さ方向に形成された電極部分は駆動ユニットと指定され、長さ方向に形成された電極部分は出力ユニットと指定される。それらはそれぞれ変圧器の一次側及び二次側に対応する。
【0012】
縦寸法が2Lと決定された固有の共振周波数の入力電圧が該駆動ユニット(厚さ方向電極部分)に印加される時、強力の機械的振動が電歪効果のために起こり、そのため、このような機械的振動のために出力ユニット(長さ方向電極部分)において圧電効果が発生するために電荷が発生し、高い交流電圧が出力端子にて得られる。
【0013】
こうして電気エネルギーを機械エネルギーに、或いは機械エネルギーを電気エネルギーに変換してブースト操作が実行される。
【0014】
図2は各振動モードにおける変位と応力の分布図である。
【0015】
図2において、分布0で応力が最大の点はノードポイントと称され、最大ブースト比はノードポイントが支持されている時のみに得られる。
【0016】
この構造の最大の欠点は、駆動ユニットの分極方向と出力ユニットが直交するため、境界表面上の応力集中が深刻となり、また、出力ユニットが分極するとき3kV/mmの高電界が印加されるため、分極の実施が難しく、及び、出力ユニットの電極領域は小さいために、高電流を得ることが難しく、ゆえに高電圧及び低電流の出力特性となる。ゆえに、このような構造は高電流照明、例えば蛍光灯には適さない。
【0017】
この問題を解決するため、複数の圧電素子を個別に製造して圧電素子を並列駆動する方法が提案された。しかし、この方法は、電極寸法を正確に制御することが難しいため、共振周波数が互いに一致させられず、また、分極工程の欠点が克服されないため、出力特性が悪くなるたとの問題を有している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
ゆえに、本発明は従来の技術に起こった上述の問題を考慮してなされ、本発明の目的は、圧電変圧器を提供することにあり、それは伝統的な圧電変圧器とは異なる新規な電極構造と新規な分極方向配置を使用した高出力特性(高電圧及び高電流)を得られるものである。
【0019】
本発明の別の目的は、高効率の圧電変圧器を提供することにあり、それは、220V/110Vの家庭入力電圧で、駆動回路に巻線型変圧器を使用することなく、高電圧と高電流を必要とする外部電極蛍光ランプ(EEFL)、蛍光ランプ、及び3波ランプを、安定して灯すことができる。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記目的を達成するため、本発明は圧電変圧器を提供し、それは圧電材料で形成された本体、該本体の一表面上に形成された複数の上部電極、該本体の反対表面に形成された下部電極を包含する。該上部電極は本体形状と一致する平面形状とされ、風車形状に互いに離間するよう形成され、該上部電極は、離間したいくつかの電極に入力電圧が印加されると、残りの電極から出力電圧が得られるように実施される。ある実施例において、下部電極は該本体形状に一致する平面形状に形成され、入力/出力コモン電極を使用して実施される。別の実施例では、下部電極は該本体形状に一致する平面形状に形成され、風車形状に離間して形成され、これにより該下部電極は該上部電極に対して所定角度で回転させて形成され、該下部電極は、入力電圧が印加される上部電極に対応する下部電極に入力電圧が印加されると、残りの下部電極から出力電圧が得られるように実施される。
【0021】
本発明のある実施例において、上部電極は渦状をなす複数の翼形電極と、該複数の翼形電極以外の部分に形成された一つの電極を包含し、該翼形電極は風車形状をなし、一定間隔で互いに離間されている。互いに離間した上部電極のうち、入力電圧が翼形電極以外の電極に印加されると、残りの上部電極より出力電圧が得られる。
【0022】
別の実施例において、上部電極は上部電極の中心に形成された絶縁領域から渦状に外向きに放射状に延伸された複数の渦状の絶縁線により離間されて、これにより風車形状を形成する。
【0023】
好ましくは、該本体は厚さ方向に形成された分極方向を有する。好ましくは、上部電極に形成された風車形状は逆時計回り或いは時計回りに回転する形状を有する。該本体は円形或いは環形に形成された複数の平面を包含し得る。
【0024】
以下に、本発明の実施例は添付の図を参照して説明される。図を参照するに際し、各図を通し、同じ或いは類似のコンポーネントを指すために、同じ参照数字が使用されている。本発明の以下の説明において、詳細な説明は、熟知された機能と構築に係わる詳細な説明が本発明の要点を不明瞭とする恐れがあると判断された場合には省略され得る。
【発明の効果】
【0025】
上述したように、本発明の長所は、風車形電極構造より得られるねじれ振動を利用することで高電圧高電流出力を得られること、そのうち駆動ユニットと出力ユニットは同方向に分極され、ゆえに信頼性と生産性が保証されることにある。
【0026】
さらに、本発明の長所は、伝統的な変圧器が商用電圧で点灯できなかった家庭用の典型的な蛍光ランプ及びEEFLを点灯できるところにある。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】伝統的な圧電変圧器の構造表示図である。
【図2】振動モードにおける第1次Rosen 型圧電変圧器の応力−変位分布図である。
【図3】本発明の実施例の圧電変圧器の電極形状表示図である。
【図4】本発明の別の実施例の圧電変圧器の電極形状表示図である。
【図5】本発明のまた別の実施例の圧電変圧器の電極形状表示図である。
【図6】本発明の実施例のねじれ振動を説明する座標系表示図である。
【図7】本発明の実施例の共振周波数でのねじれ振動の形状表示図である。
【図8】本発明の実施例の共振周波数でのねじれ振動の形状表示図である。
【図9】本発明の実施例の圧電変圧器の駆動方法表示図である。
【図10】本発明の別の実施例の圧電変圧器の駆動方法表示図である。
【図11】本発明の実施例の圧電変圧器の分極方向表示図である。
【図12】本発明の実施例の圧電変圧器の電界方向表示図である。
【図13】本発明の実施例の圧電変圧器の実際の写真である。
【図14】本発明の第1実施例の圧電変圧器を使用したシステム構築を示すブロック図である。
【図15】本発明の第1実施例の実験で得られた入力側及び出力側の電圧及び電流のグラフである。
【図16】本発明の第2実施例の圧電変圧器を使用したシステム構築を示すブロック図である。
【図17】本発明の第2実施例の実験で得られた入力側及び出力側の電圧及び電流のグラフである。
【図18】本発明の第3実施例の圧電変圧器を使用したシステム構築を示すブロック図である。
【図19】本発明の第3実施例の実験で得られた入力側及び出力側の電圧及び電流のグラフである。
【図20】本発明の実施例の圧電変圧器を使用したEEFLが駆動された状況の実際の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図3は本発明の実施例の圧電変圧器の電極形状を示す図である。図3(a)は圧電変圧器の上部電極を表示し、図3(b)は圧電変圧器の下部電極を示す。
【0029】
図3の実施例において、上部電極は圧電材料で形成されたコイン形状の上部表面(第1平面)上に形成され、下部電極は該本体の下部表面(第2平面)に形成される。上部電極(図3(a))は一つの入力電極5及び四つの翼形の出力電極1、2、3及び4が風車形状をなすように実施される。下部電極(図3(b))は一つの入力/出力コモン電極を使用して実施され、該本体の平面形状(円形板)と同じ形状を有する。
【0030】
図3(a)の出力電極は四つの渦状翼形電極1、2、3及び4を有し、それぞれ円形板の中心の回りの先端を有し、各翼形は分離され風車形状を形成し、その各翼は所定間隔で互いに離間されている。該風車は時計回り或いは逆時計回りに回転する形状に形成される。
【0031】
図3(a)において、該上部電極は入力電圧が該上部電極の離間された電極のうち、出力電極1、2、3及び4以外の入力電極5に印加されると、出力電圧が該出力電極1、2、3及び4より得られるように実施される。
【0032】
図3(b)において、該下部電極は単一本体として形成され、分離されることなく、及びコモングラウンドに接続される。
【0033】
図3の実施例の圧電変圧器の駆動の例が図9に示されている。
【0034】
図3において、入力電圧と出力電圧に接続する方法は一つの実施例に過ぎず、圧電変圧器が他の方法を使用して入力電圧と出力電圧に接続されることにより駆動され得ることは明らかである。例えば、入力電圧が該上部電極の離間された電極のうち翼形電極1、2、3及び4に印加されると、出力電圧は翼形電極以外の電極5より得られる。
【0035】
図4は本発明の別の実施例の圧電変圧器の電極形状表示図である。図4(a)は圧電変圧器の上部電極を表示し、図4(b)は圧電変圧器の下部電極を示す。
【0036】
図4の実施例において、上部電極は圧電材料で形成されたコイン形状の上部表面(第1平面)上に形成され、下部電極は該本体の下部表面(第2平面)に形成される。上部電極(図4(a))は一つの入力電極5及び四つの翼形の出力電極1、2、3及び4を包含し、該入力電極と該出力電極は絶縁線(黒線で示される)により互いに隔離されている。下部電極(図4(b))は該本体の平面形状(円形)と同じ形状を有する表面上に形成され、それらは該上部電極と同様に風車形状を成すように隔離されるが、該上部電極に対して所定角度回転させて形成される。
【0037】
図4(a)において、該上部電極は複数の翼形電極1、2、3及び4で構成され、それぞれが該上部電極の中心を囲む先端を有し、各翼形電極は分離されて風車形状を形成し、その各翼は所定間隔で互いに離間されている。風車形状は時計回り或いは逆時計回りに形成される。
【0038】
図4(a)において、該上部電極は、入力電圧が該上部電極の離間された電極のうち、翼形電極1、2、3及び4以外の電極5に印加されると、出力電圧が該翼形電極1、2、3及び4より得られるように実施される。
【0039】
図4(b)において、該下部電極は、該下部電極の分離された電極のうち、翼形電極1’、2’、3’及び4’以外の電極5’に印加されると、出力電圧が翼形電極1’、2’、3’及び4’より得られるように実施される。
【0040】
図4の実施例の圧電変圧器の駆動の例が図10に示されている。
【0041】
図4において、入力電圧と出力電圧に接続する方法は一つの実施例に過ぎず、圧電変圧器が他の方法を使用して入力電圧と出力電圧に接続されることにより駆動され得ることは明らかである。例えば、入力電圧が該上部電極の離間された電極のうち翼形電極1、2、3及び4に印加されると、出力電圧は翼形電極以外の電極5より得られ、該下部電極の入力及び出力電圧が接続されて、該上部電極に対応する。
【0042】
本発明の他の実施例は、図3及び図4の電極とは異なる形状の電極を有する実施例を包含し得る。
【0043】
図5は本発明のさらに別の実施例の圧電変圧器の電極形状を示す図である。図5(a)は、全ての入力及び出力電極が互いに隔離された実施例を示し、図5(b)は環形圧電変圧器の実施例を示す。
【0044】
図5(a)において、上部電極は、上部電極の中心に形成された絶縁領域(黒円で示される)から渦状に外向きに放射状に延伸された複数の渦状絶縁線により隔離され、それにより風車形状に形成される。各電極は絶縁領域と絶縁線により隔離されている。
【0045】
図5(b)は環形圧電変圧器の実施例を示し、それは圧電材料で形成された環形平坦本体、及び、該本体の上部及び下部平面に対応する第1及び第2平面のいずれか一方に隣接して形成され、該本体と同じ平面形状に形成され、及び風車形状に分離するよう形成された上部電極を有する。
【0046】
図5において、下部電極はコモングラウンド電極として形成され得て、図3(b)に示されるようであり、或いは、上部電極と同様に、風車形状に分かれるように、上部電極に対して所定角度で回転されて形成される。
【0047】
図5において、駆動ユニットが接続され得て、これにより入力電圧が分離電極のいくつかに印加されると、出力電圧が残りの電極より得られる。例えば、入力電圧が電極1、2、3及び4に印加されると、出力電圧は残りの電極5、6、7及び8より得られる。もちろん、反対の場合も可能であり、また、圧電変圧器は、実施例により各種方法を使用して入力電圧と出力電圧に接続されることで駆動され得る。
【0048】
図6は本発明の実施例のねじれ振動を説明するための座標系を示す。図6の座標系は極座標システムであり、座標系の原点の回りを時計回りに回転する形状を有する電極が形成されている。また、図6の実施例と反対に、座標系の原点の回りを逆時計回りに回転する形状を有する電極が形成された実施例も実施可能である。
【0049】
図7及び図8は本発明の実施例の共振周波数でのねじれ振動の形状を示し、各振動モードにおける変位のシミュレート結果を示す。図7及び図8において、ねじれ振動は(a)->(b)->(c)->(d)->(a)の順序で起こるのが分かり、矢は振動の変位方向を示す。(a)と(c)の結果はニュートラル状態を示し、(b)と(d)の結果は最大変位状態を示す。このようなねじれ振動は上述したように風車形電極構造のために起こる。
【0050】
図11は本発明の実施例の圧電変圧器の分極方向を示す。図11に示されるように、本体の分極方向が厚さ方向に形成される。上部電極と下部電極が所定角度に回転されていることを示すため、図11は上部電極の翼の末端が下部電極の対応する翼の末端に点線で繋がれている。図11に示されるように、下部電極は好ましくは上部電極に対して所定の角度で回転させられて形成される。
【0051】
図12は本発明の実施例の圧電変圧器の電界方向を示す。図12は図3の電極構造の入力側に形成される電界の方向を示す。図12において、下部電極が上部電極に対して所定の角度で回転されて形成された状態は、点線を使用して電極構造の側部に示される。
【0052】
図13は本発明の実施例の圧電変圧器の実際の写真であり、それは本発明の実験に実際に使用されたものである。
【0053】
図14は本発明の実施例の圧電変圧器を使用したシステムの構築を示す。図14のシステムは、波形ジェネレータ110、パワー増幅器120、入力側マッチング回路130、圧電変圧器140、出力側マッチング回路150、EEFL160を包含する。図14の実施例において、0から130Vrmsの入力電圧範囲を有する正弦波が駆動ユニットにおいて使用され、最大出力モードにおいて使用される入力周波数が使用される。
【0054】
さらに、この実験において使用されるセラミック圧電素子の圧電及び誘電特性が以下に説明される。
<圧電変圧器用の素子の圧電及び誘電特性>
組成式Pb(Mn1/3Nb2/3)-PZT+ 添加剤
縦方向圧電定数(d31) −150pC/N
縦方向 電気的−機械的 カップリング係数(kp) 0.6
誘電率 1200
Tano 0.25
Qm 2200
Tc 310 ℃
【0055】
図14において、図4の電極構造を有する圧電変圧器が使用されている。電極間間隙は1.5mmであり、電極構造の寸法は28mmであり、電極構造の厚さは5mmである。一次側でのインピーダンスマッチングのため、2.4mHのインダクタンスを有するインダクタが使用されている。出力6WのEEFL 10個が負荷抵抗として並列に駆動される。負荷側のインピーダンスマッチングのために、8mHのインダクタンスを有するインダクタが使用されている。
【0056】
図15は本発明の第1実施例の実験における入力側と出力側の電圧と電流グラフである。図15(a)は入力側の電圧と電流の波形を示し、図15(b)は出力側の電圧と電流の波形を示す。図15のグラフにおいて、注意されるべきは、電圧波形の場合、測定値は測定値に0.5を掛けることで得られた値として読まれなければならないということであり、なぜなら、電圧プローブのスケールは500:1であり、オシロスコープのスケールは1000:1であるからである。例えば、測定されたRMS(Root Mean Square)入力側電圧が206.2Vrmsであっても、実際の電圧値は103.1Vrmsであり、これは0.5を206.2Vrmsに掛けることにより得られる。
【0057】
図16は本発明の図3の圧電変圧器を使用した第2実施例のシステム構築を示す。図16のシステムは、波形ジェネレータ110、パワー増幅器120、入力側マッチング回路130、圧電変圧器140、出力側マッチング回路150、EEFL170を包含する。図16において使用されるセラミック圧電素子の圧電及び誘電特性は上の場合と同じである。0から130Vrmsの入力電圧範囲を有する正弦波が駆動ユニットにおいて使用され、最大出力モードにおいて使用される入力周波数が使用され、及び、6WレベルEEFL 10個が並列駆動される。
【0058】
図17は本発明の第2実施例の実験における入力側と出力側の電圧と電流グラフである。図17(a)は入力側の電圧と電流の波形を示し、図17(b)は出力側の電圧と電流の波形を示す。図17のグラフにおいて、注意されるべきは、電圧波形の場合、測定値は測定値に0.5を掛けることで得られた値として読まれなければならないということであり、なぜなら、電圧プローブのスケールは500:1であり、オシロスコープのスケールは1000:1であるからである。例えば、測定されたRMS(Root Mean Square)入力側電圧が206.2Vrmsであっても、実際の電圧値は103.1Vrmsであり、これは0.5を206.2Vrmsに掛けることにより得られる。
【0059】
図18は本発明の図3の圧電変圧器を使用した第3実施例のシステム構築を示す。図18のシステムは、波形ジェネレータ110、パワー増幅器120、入力側マッチング回路130、圧電変圧器140、及び蛍光ランプ180を包含する。図18において、55WレベルEEFL一つが並列駆動される。
【0060】
図19は本発明の第3実施例の実験における入力側と出力側の電圧と電流グラフである。図19(a)は入力側の電圧と電流の波形を示し、図19(b)は出力側の電圧と電流の波形を示す。図19のグラフにおいて、注意されるべきは、電圧波形の場合、測定値は測定値に0.5を掛けることで得られた値として読まれなければならないということであり、なぜなら、電圧プローブのスケールは500:1であり、オシロスコープのスケールは1000:1であるからである。例えば、測定されたRMS入力側電圧が168.9Vrmsであっても、実際の電圧値は84.4Vrmsであり、これは0.5を168.9Vrmsに掛けることにより得られる。
【0061】
図20は本発明の実施例の圧電変圧器を使用したEEFLが駆動されている状況を示す実際の写真である。図20において、145kHz の方形波が入力として使用され、10個のEEFLが並列に駆動されている。
【0062】
本発明はいくつかの好ましい実施例を使用して説明されたが、これらの実施例は例に過ぎず、本発明を正弦する目的のものではない。例えば、上の説明において、風車形状を構築する電極の数が4つの場合が例として説明されているが、風車形状を構築する電極数を、例えば3つ、或いは5つ或いはそれより多く設定する等の変更が可能である。風車の方向は時計回り方向或いは逆時計回り方向のいずれにでも設定できる。上に説明されたように、この技術に習熟した者であれば、付随するクレームに記載された発明の範囲と精神から逸脱することなく各種の変更、追加、置換を察知することができる。さらに、本発明の範囲は上述の実施例に限定されず、クレームとそれと同等のものにより定義されるべきである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電材料の圧電効果と逆圧電効果を利用した電圧増幅用の圧電変圧器に係り、更に詳しくは、高効率の圧電変圧器であって、新規な電極構造と新規な分極方向配置を使用して有効にねじれ振動を生成することで、高い出力特性を得られるものに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、圧電変圧器の研究は1957年に米国のジェネラルエレクトリック社においてC.E.Rosen 等により実施された実験研究に基づいている。当時使用された圧電材料はチタン化バリウムであり、無負荷状態で50から60回のブースト範囲を有するため、圧電変圧器の実現には制限がある。しかし、Pb(Zr,Ti)O3 を主成分として使用した新規な圧電材料が発明され、より広い範囲のブーストが可能となり、それにより、最近は圧電変圧器の実用の研究が真剣に行われてきた。
【0003】
伝統的な巻線型変圧器を圧電変圧器と較べると、巻線型変圧器は電磁誘導に基づくブースト方法を採用しているが、圧電変圧器は圧電及び逆圧電効果を使用し、及び、ゆえに、電磁ノイズが少ない。さらに、巻線型変圧器の場合、ブースト比は巻線比により決定されるが、圧電変圧器の場合は電極の材料特性及び構造と寸法により決定される。
【0004】
さらに、出力電源の立場からは、巻線型変圧器の場合、二次側の電圧と電流を高電圧と低電流に変換するために巻線比を増さなければならないため、巻線比の増加に比例してリーク成分が増す。圧電材料を使用した圧電変圧器は電気的−機械的(一次側)−機械的−電気的(二次側)の組合せを利用し、ゆえに、90%以上の効率アップが実現される。
【0005】
このように、高電圧と低電流を二次側に有する変圧器は、負荷が高インピーダンスを有している時、満足できるインピーダンスマッチングを実現でき、ゆえに効率は改善され、ゆえに、優れた負荷特性を得ることができ、エネルギー変換効率を増す。
【0006】
高電圧と低電流特性を備えた圧電変圧器の提供は、非常に好ましく実施され、圧電変圧器のノートブック型コンピュータのバックライト用のインバータへの応用が、積極的に考察されてきた。
【0007】
最近のノートブック型コンピュータは小型化及び薄型化の傾向があるが、伝統的な巻線型変圧器は、絶縁確保と耐電圧のため、小型化及び薄型化を実現する際には有効性が限られ、コア損失のような巻線損失のために、効率が低減する。このような欠点を克服するため、圧電変圧器をノートブック型コンピュータのLCDのバックライトに適用する場合、圧電変圧器とノートブック型コンピュータのLCDのバックライトのインピーダンスマッチングが充分に実行されることで、ノートブック型コンピュータのバックライトのインバータへの圧電変圧器の応用に問題がなくなり、すでに圧電変圧器が使用されたいくつかの製品が既に市販されている。
【0008】
一方、第1次Rosen 型及び第3次Rosen 型のようなものにおける高出力が積極的に実施され、並列操作のための積層方法の研究がそれと共に実施されてきた。
【0009】
伝統的な圧電変圧器の基本構造の問題は図1を参照して説明される。図1に示されるように、圧電変圧器の基本構造として様々なタイプの構造が提案されてきたが、図1(a)の、矩形平面形状を備えた基本構造は、製造工程とブースト比の立場から最も有用な構造と評価される。
【0010】
図1に示されるように、圧電素子の半分は厚さ方向に形成された電極を有すると共に、これもまた厚さ方向に形成された分極方向を有する。その残りの半分は、長さ方向に形成された電極と、これもまた長さ方向に形成された分極方向を有する。
【0011】
この場合、厚さ方向に形成された電極部分は駆動ユニットと指定され、長さ方向に形成された電極部分は出力ユニットと指定される。それらはそれぞれ変圧器の一次側及び二次側に対応する。
【0012】
縦寸法が2Lと決定された固有の共振周波数の入力電圧が該駆動ユニット(厚さ方向電極部分)に印加される時、強力の機械的振動が電歪効果のために起こり、そのため、このような機械的振動のために出力ユニット(長さ方向電極部分)において圧電効果が発生するために電荷が発生し、高い交流電圧が出力端子にて得られる。
【0013】
こうして電気エネルギーを機械エネルギーに、或いは機械エネルギーを電気エネルギーに変換してブースト操作が実行される。
【0014】
図2は各振動モードにおける変位と応力の分布図である。
【0015】
図2において、分布0で応力が最大の点はノードポイントと称され、最大ブースト比はノードポイントが支持されている時のみに得られる。
【0016】
この構造の最大の欠点は、駆動ユニットの分極方向と出力ユニットが直交するため、境界表面上の応力集中が深刻となり、また、出力ユニットが分極するとき3kV/mmの高電界が印加されるため、分極の実施が難しく、及び、出力ユニットの電極領域は小さいために、高電流を得ることが難しく、ゆえに高電圧及び低電流の出力特性となる。ゆえに、このような構造は高電流照明、例えば蛍光灯には適さない。
【0017】
この問題を解決するため、複数の圧電素子を個別に製造して圧電素子を並列駆動する方法が提案された。しかし、この方法は、電極寸法を正確に制御することが難しいため、共振周波数が互いに一致させられず、また、分極工程の欠点が克服されないため、出力特性が悪くなるたとの問題を有している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
ゆえに、本発明は従来の技術に起こった上述の問題を考慮してなされ、本発明の目的は、圧電変圧器を提供することにあり、それは伝統的な圧電変圧器とは異なる新規な電極構造と新規な分極方向配置を使用した高出力特性(高電圧及び高電流)を得られるものである。
【0019】
本発明の別の目的は、高効率の圧電変圧器を提供することにあり、それは、220V/110Vの家庭入力電圧で、駆動回路に巻線型変圧器を使用することなく、高電圧と高電流を必要とする外部電極蛍光ランプ(EEFL)、蛍光ランプ、及び3波ランプを、安定して灯すことができる。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記目的を達成するため、本発明は圧電変圧器を提供し、それは圧電材料で形成された本体、該本体の一表面上に形成された複数の上部電極、該本体の反対表面に形成された下部電極を包含する。該上部電極は本体形状と一致する平面形状とされ、風車形状に互いに離間するよう形成され、該上部電極は、離間したいくつかの電極に入力電圧が印加されると、残りの電極から出力電圧が得られるように実施される。ある実施例において、下部電極は該本体形状に一致する平面形状に形成され、入力/出力コモン電極を使用して実施される。別の実施例では、下部電極は該本体形状に一致する平面形状に形成され、風車形状に離間して形成され、これにより該下部電極は該上部電極に対して所定角度で回転させて形成され、該下部電極は、入力電圧が印加される上部電極に対応する下部電極に入力電圧が印加されると、残りの下部電極から出力電圧が得られるように実施される。
【0021】
本発明のある実施例において、上部電極は渦状をなす複数の翼形電極と、該複数の翼形電極以外の部分に形成された一つの電極を包含し、該翼形電極は風車形状をなし、一定間隔で互いに離間されている。互いに離間した上部電極のうち、入力電圧が翼形電極以外の電極に印加されると、残りの上部電極より出力電圧が得られる。
【0022】
別の実施例において、上部電極は上部電極の中心に形成された絶縁領域から渦状に外向きに放射状に延伸された複数の渦状の絶縁線により離間されて、これにより風車形状を形成する。
【0023】
好ましくは、該本体は厚さ方向に形成された分極方向を有する。好ましくは、上部電極に形成された風車形状は逆時計回り或いは時計回りに回転する形状を有する。該本体は円形或いは環形に形成された複数の平面を包含し得る。
【0024】
以下に、本発明の実施例は添付の図を参照して説明される。図を参照するに際し、各図を通し、同じ或いは類似のコンポーネントを指すために、同じ参照数字が使用されている。本発明の以下の説明において、詳細な説明は、熟知された機能と構築に係わる詳細な説明が本発明の要点を不明瞭とする恐れがあると判断された場合には省略され得る。
【発明の効果】
【0025】
上述したように、本発明の長所は、風車形電極構造より得られるねじれ振動を利用することで高電圧高電流出力を得られること、そのうち駆動ユニットと出力ユニットは同方向に分極され、ゆえに信頼性と生産性が保証されることにある。
【0026】
さらに、本発明の長所は、伝統的な変圧器が商用電圧で点灯できなかった家庭用の典型的な蛍光ランプ及びEEFLを点灯できるところにある。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】伝統的な圧電変圧器の構造表示図である。
【図2】振動モードにおける第1次Rosen 型圧電変圧器の応力−変位分布図である。
【図3】本発明の実施例の圧電変圧器の電極形状表示図である。
【図4】本発明の別の実施例の圧電変圧器の電極形状表示図である。
【図5】本発明のまた別の実施例の圧電変圧器の電極形状表示図である。
【図6】本発明の実施例のねじれ振動を説明する座標系表示図である。
【図7】本発明の実施例の共振周波数でのねじれ振動の形状表示図である。
【図8】本発明の実施例の共振周波数でのねじれ振動の形状表示図である。
【図9】本発明の実施例の圧電変圧器の駆動方法表示図である。
【図10】本発明の別の実施例の圧電変圧器の駆動方法表示図である。
【図11】本発明の実施例の圧電変圧器の分極方向表示図である。
【図12】本発明の実施例の圧電変圧器の電界方向表示図である。
【図13】本発明の実施例の圧電変圧器の実際の写真である。
【図14】本発明の第1実施例の圧電変圧器を使用したシステム構築を示すブロック図である。
【図15】本発明の第1実施例の実験で得られた入力側及び出力側の電圧及び電流のグラフである。
【図16】本発明の第2実施例の圧電変圧器を使用したシステム構築を示すブロック図である。
【図17】本発明の第2実施例の実験で得られた入力側及び出力側の電圧及び電流のグラフである。
【図18】本発明の第3実施例の圧電変圧器を使用したシステム構築を示すブロック図である。
【図19】本発明の第3実施例の実験で得られた入力側及び出力側の電圧及び電流のグラフである。
【図20】本発明の実施例の圧電変圧器を使用したEEFLが駆動された状況の実際の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図3は本発明の実施例の圧電変圧器の電極形状を示す図である。図3(a)は圧電変圧器の上部電極を表示し、図3(b)は圧電変圧器の下部電極を示す。
【0029】
図3の実施例において、上部電極は圧電材料で形成されたコイン形状の上部表面(第1平面)上に形成され、下部電極は該本体の下部表面(第2平面)に形成される。上部電極(図3(a))は一つの入力電極5及び四つの翼形の出力電極1、2、3及び4が風車形状をなすように実施される。下部電極(図3(b))は一つの入力/出力コモン電極を使用して実施され、該本体の平面形状(円形板)と同じ形状を有する。
【0030】
図3(a)の出力電極は四つの渦状翼形電極1、2、3及び4を有し、それぞれ円形板の中心の回りの先端を有し、各翼形は分離され風車形状を形成し、その各翼は所定間隔で互いに離間されている。該風車は時計回り或いは逆時計回りに回転する形状に形成される。
【0031】
図3(a)において、該上部電極は入力電圧が該上部電極の離間された電極のうち、出力電極1、2、3及び4以外の入力電極5に印加されると、出力電圧が該出力電極1、2、3及び4より得られるように実施される。
【0032】
図3(b)において、該下部電極は単一本体として形成され、分離されることなく、及びコモングラウンドに接続される。
【0033】
図3の実施例の圧電変圧器の駆動の例が図9に示されている。
【0034】
図3において、入力電圧と出力電圧に接続する方法は一つの実施例に過ぎず、圧電変圧器が他の方法を使用して入力電圧と出力電圧に接続されることにより駆動され得ることは明らかである。例えば、入力電圧が該上部電極の離間された電極のうち翼形電極1、2、3及び4に印加されると、出力電圧は翼形電極以外の電極5より得られる。
【0035】
図4は本発明の別の実施例の圧電変圧器の電極形状表示図である。図4(a)は圧電変圧器の上部電極を表示し、図4(b)は圧電変圧器の下部電極を示す。
【0036】
図4の実施例において、上部電極は圧電材料で形成されたコイン形状の上部表面(第1平面)上に形成され、下部電極は該本体の下部表面(第2平面)に形成される。上部電極(図4(a))は一つの入力電極5及び四つの翼形の出力電極1、2、3及び4を包含し、該入力電極と該出力電極は絶縁線(黒線で示される)により互いに隔離されている。下部電極(図4(b))は該本体の平面形状(円形)と同じ形状を有する表面上に形成され、それらは該上部電極と同様に風車形状を成すように隔離されるが、該上部電極に対して所定角度回転させて形成される。
【0037】
図4(a)において、該上部電極は複数の翼形電極1、2、3及び4で構成され、それぞれが該上部電極の中心を囲む先端を有し、各翼形電極は分離されて風車形状を形成し、その各翼は所定間隔で互いに離間されている。風車形状は時計回り或いは逆時計回りに形成される。
【0038】
図4(a)において、該上部電極は、入力電圧が該上部電極の離間された電極のうち、翼形電極1、2、3及び4以外の電極5に印加されると、出力電圧が該翼形電極1、2、3及び4より得られるように実施される。
【0039】
図4(b)において、該下部電極は、該下部電極の分離された電極のうち、翼形電極1’、2’、3’及び4’以外の電極5’に印加されると、出力電圧が翼形電極1’、2’、3’及び4’より得られるように実施される。
【0040】
図4の実施例の圧電変圧器の駆動の例が図10に示されている。
【0041】
図4において、入力電圧と出力電圧に接続する方法は一つの実施例に過ぎず、圧電変圧器が他の方法を使用して入力電圧と出力電圧に接続されることにより駆動され得ることは明らかである。例えば、入力電圧が該上部電極の離間された電極のうち翼形電極1、2、3及び4に印加されると、出力電圧は翼形電極以外の電極5より得られ、該下部電極の入力及び出力電圧が接続されて、該上部電極に対応する。
【0042】
本発明の他の実施例は、図3及び図4の電極とは異なる形状の電極を有する実施例を包含し得る。
【0043】
図5は本発明のさらに別の実施例の圧電変圧器の電極形状を示す図である。図5(a)は、全ての入力及び出力電極が互いに隔離された実施例を示し、図5(b)は環形圧電変圧器の実施例を示す。
【0044】
図5(a)において、上部電極は、上部電極の中心に形成された絶縁領域(黒円で示される)から渦状に外向きに放射状に延伸された複数の渦状絶縁線により隔離され、それにより風車形状に形成される。各電極は絶縁領域と絶縁線により隔離されている。
【0045】
図5(b)は環形圧電変圧器の実施例を示し、それは圧電材料で形成された環形平坦本体、及び、該本体の上部及び下部平面に対応する第1及び第2平面のいずれか一方に隣接して形成され、該本体と同じ平面形状に形成され、及び風車形状に分離するよう形成された上部電極を有する。
【0046】
図5において、下部電極はコモングラウンド電極として形成され得て、図3(b)に示されるようであり、或いは、上部電極と同様に、風車形状に分かれるように、上部電極に対して所定角度で回転されて形成される。
【0047】
図5において、駆動ユニットが接続され得て、これにより入力電圧が分離電極のいくつかに印加されると、出力電圧が残りの電極より得られる。例えば、入力電圧が電極1、2、3及び4に印加されると、出力電圧は残りの電極5、6、7及び8より得られる。もちろん、反対の場合も可能であり、また、圧電変圧器は、実施例により各種方法を使用して入力電圧と出力電圧に接続されることで駆動され得る。
【0048】
図6は本発明の実施例のねじれ振動を説明するための座標系を示す。図6の座標系は極座標システムであり、座標系の原点の回りを時計回りに回転する形状を有する電極が形成されている。また、図6の実施例と反対に、座標系の原点の回りを逆時計回りに回転する形状を有する電極が形成された実施例も実施可能である。
【0049】
図7及び図8は本発明の実施例の共振周波数でのねじれ振動の形状を示し、各振動モードにおける変位のシミュレート結果を示す。図7及び図8において、ねじれ振動は(a)->(b)->(c)->(d)->(a)の順序で起こるのが分かり、矢は振動の変位方向を示す。(a)と(c)の結果はニュートラル状態を示し、(b)と(d)の結果は最大変位状態を示す。このようなねじれ振動は上述したように風車形電極構造のために起こる。
【0050】
図11は本発明の実施例の圧電変圧器の分極方向を示す。図11に示されるように、本体の分極方向が厚さ方向に形成される。上部電極と下部電極が所定角度に回転されていることを示すため、図11は上部電極の翼の末端が下部電極の対応する翼の末端に点線で繋がれている。図11に示されるように、下部電極は好ましくは上部電極に対して所定の角度で回転させられて形成される。
【0051】
図12は本発明の実施例の圧電変圧器の電界方向を示す。図12は図3の電極構造の入力側に形成される電界の方向を示す。図12において、下部電極が上部電極に対して所定の角度で回転されて形成された状態は、点線を使用して電極構造の側部に示される。
【0052】
図13は本発明の実施例の圧電変圧器の実際の写真であり、それは本発明の実験に実際に使用されたものである。
【0053】
図14は本発明の実施例の圧電変圧器を使用したシステムの構築を示す。図14のシステムは、波形ジェネレータ110、パワー増幅器120、入力側マッチング回路130、圧電変圧器140、出力側マッチング回路150、EEFL160を包含する。図14の実施例において、0から130Vrmsの入力電圧範囲を有する正弦波が駆動ユニットにおいて使用され、最大出力モードにおいて使用される入力周波数が使用される。
【0054】
さらに、この実験において使用されるセラミック圧電素子の圧電及び誘電特性が以下に説明される。
<圧電変圧器用の素子の圧電及び誘電特性>
組成式Pb(Mn1/3Nb2/3)-PZT+ 添加剤
縦方向圧電定数(d31) −150pC/N
縦方向 電気的−機械的 カップリング係数(kp) 0.6
誘電率 1200
Tano 0.25
Qm 2200
Tc 310 ℃
【0055】
図14において、図4の電極構造を有する圧電変圧器が使用されている。電極間間隙は1.5mmであり、電極構造の寸法は28mmであり、電極構造の厚さは5mmである。一次側でのインピーダンスマッチングのため、2.4mHのインダクタンスを有するインダクタが使用されている。出力6WのEEFL 10個が負荷抵抗として並列に駆動される。負荷側のインピーダンスマッチングのために、8mHのインダクタンスを有するインダクタが使用されている。
【0056】
図15は本発明の第1実施例の実験における入力側と出力側の電圧と電流グラフである。図15(a)は入力側の電圧と電流の波形を示し、図15(b)は出力側の電圧と電流の波形を示す。図15のグラフにおいて、注意されるべきは、電圧波形の場合、測定値は測定値に0.5を掛けることで得られた値として読まれなければならないということであり、なぜなら、電圧プローブのスケールは500:1であり、オシロスコープのスケールは1000:1であるからである。例えば、測定されたRMS(Root Mean Square)入力側電圧が206.2Vrmsであっても、実際の電圧値は103.1Vrmsであり、これは0.5を206.2Vrmsに掛けることにより得られる。
【0057】
図16は本発明の図3の圧電変圧器を使用した第2実施例のシステム構築を示す。図16のシステムは、波形ジェネレータ110、パワー増幅器120、入力側マッチング回路130、圧電変圧器140、出力側マッチング回路150、EEFL170を包含する。図16において使用されるセラミック圧電素子の圧電及び誘電特性は上の場合と同じである。0から130Vrmsの入力電圧範囲を有する正弦波が駆動ユニットにおいて使用され、最大出力モードにおいて使用される入力周波数が使用され、及び、6WレベルEEFL 10個が並列駆動される。
【0058】
図17は本発明の第2実施例の実験における入力側と出力側の電圧と電流グラフである。図17(a)は入力側の電圧と電流の波形を示し、図17(b)は出力側の電圧と電流の波形を示す。図17のグラフにおいて、注意されるべきは、電圧波形の場合、測定値は測定値に0.5を掛けることで得られた値として読まれなければならないということであり、なぜなら、電圧プローブのスケールは500:1であり、オシロスコープのスケールは1000:1であるからである。例えば、測定されたRMS(Root Mean Square)入力側電圧が206.2Vrmsであっても、実際の電圧値は103.1Vrmsであり、これは0.5を206.2Vrmsに掛けることにより得られる。
【0059】
図18は本発明の図3の圧電変圧器を使用した第3実施例のシステム構築を示す。図18のシステムは、波形ジェネレータ110、パワー増幅器120、入力側マッチング回路130、圧電変圧器140、及び蛍光ランプ180を包含する。図18において、55WレベルEEFL一つが並列駆動される。
【0060】
図19は本発明の第3実施例の実験における入力側と出力側の電圧と電流グラフである。図19(a)は入力側の電圧と電流の波形を示し、図19(b)は出力側の電圧と電流の波形を示す。図19のグラフにおいて、注意されるべきは、電圧波形の場合、測定値は測定値に0.5を掛けることで得られた値として読まれなければならないということであり、なぜなら、電圧プローブのスケールは500:1であり、オシロスコープのスケールは1000:1であるからである。例えば、測定されたRMS入力側電圧が168.9Vrmsであっても、実際の電圧値は84.4Vrmsであり、これは0.5を168.9Vrmsに掛けることにより得られる。
【0061】
図20は本発明の実施例の圧電変圧器を使用したEEFLが駆動されている状況を示す実際の写真である。図20において、145kHz の方形波が入力として使用され、10個のEEFLが並列に駆動されている。
【0062】
本発明はいくつかの好ましい実施例を使用して説明されたが、これらの実施例は例に過ぎず、本発明を正弦する目的のものではない。例えば、上の説明において、風車形状を構築する電極の数が4つの場合が例として説明されているが、風車形状を構築する電極数を、例えば3つ、或いは5つ或いはそれより多く設定する等の変更が可能である。風車の方向は時計回り方向或いは逆時計回り方向のいずれにでも設定できる。上に説明されたように、この技術に習熟した者であれば、付随するクレームに記載された発明の範囲と精神から逸脱することなく各種の変更、追加、置換を察知することができる。さらに、本発明の範囲は上述の実施例に限定されず、クレームとそれと同等のものにより定義されるべきである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電材料で形成された本体、
該本体の上部表面及び下部表面に対応する第1平面及び第2平面のいずれか一方に形成され、該本体の平面形状と同じ形状に形成され、及び、分離されて風車形状に形成される上部電極であって、入力電圧が分離された電極のいくつかに印加されると、残りの電極より出力電圧が得られるように実施される該上部電極、及び、
該上部電極が形成された平面と反対の平面に形成された下部電極であって、入力/出力コモン電極を使用して実施される該下部電極、
を包含する、圧電変圧器。
【請求項2】
圧電材料で形成された本体、
該本体の上部表面及び下部表面に対応する第1平面及び第2平面のいずれか一方に形成され、該本体の平面形状と同じ形状に形成され、及び、分離されて風車形状に形成される上部電極であって、入力電圧が分離されたいくつかの電極に印加されると、残りの電極より出力電圧が得られるように実施される該上部電極、及び、
該上部電極が形成された平面と反対の平面に形成された下部電極であって、該本体の平面形状と同じ形状に形成され、分離されて風車形状に形成される該下部電極であって、入力電圧が該上部電極の該いくつかの電極に対応する電極に印加されると、残りの電極より出力電圧が得られるように実施される、該下部電極、
を包含する、圧電変圧器。
【請求項3】
該下部電極の風車形状は該上部電極の風車形状に対して所定角度回転させられて形成されたことを特徴とする、請求項2記載の圧電変圧器。
【請求項4】
該上部電極は複数の渦状翼形電極と、この複数の翼形電極以外の部分に形成された一つの電極を包含し、該翼形電極は風車形状を形成し、一定間隙で互いに隔離されたことを特徴とする、請求項1又は2記載の圧電変圧器。
【請求項5】
該入力電圧が、該上部電極の隔離された電極のうち、該翼形電極以外の電極に印加されると、該出力電圧は該複数の翼形電極より得られることを特徴とする、請求項4記載の圧電変圧器。
【請求項6】
該入力電圧が、該上部電極の隔離された電極のうち、該翼形電極に印加されると、該出力電圧はその翼形電極以外の電極より得られることを特徴とする、請求項4記載の圧電変圧器。
【請求項7】
該上部電極は該上部電極の中心に形成された絶縁領域より放射状に外向きに渦状に延伸された複数の渦状絶縁線により隔離され、こうして風車形状を形成することを特徴とする、請求項1又は2記載の圧電変圧器。
【請求項8】
該本体は厚さ方向に形成された分極方向を有することを特徴とする、請求項1又は2記載の圧電変圧器。
【請求項9】
該上部電極に形成された風車形状は逆時計回りの形状を有することを特徴とする、請求項1又は2記載の圧電変圧器。
【請求項10】
該上部電極に形成された風車形状は時計回りの形状を有することを特徴とする、請求項1又は2記載の圧電変圧器。
【請求項11】
該本体はそれぞれ円形に形成された両平面を有することを特徴とする、請求項1又は2記載の圧電変圧器。
【請求項12】
該本体はそれぞれ環形に形成された両平面を有することを特徴とする、請求項1又は2記載の圧電変圧器。
【請求項1】
圧電材料で形成された本体、
該本体の上部表面及び下部表面に対応する第1平面及び第2平面のいずれか一方に形成され、該本体の平面形状と同じ形状に形成され、及び、分離されて風車形状に形成される上部電極であって、入力電圧が分離された電極のいくつかに印加されると、残りの電極より出力電圧が得られるように実施される該上部電極、及び、
該上部電極が形成された平面と反対の平面に形成された下部電極であって、入力/出力コモン電極を使用して実施される該下部電極、
を包含する、圧電変圧器。
【請求項2】
圧電材料で形成された本体、
該本体の上部表面及び下部表面に対応する第1平面及び第2平面のいずれか一方に形成され、該本体の平面形状と同じ形状に形成され、及び、分離されて風車形状に形成される上部電極であって、入力電圧が分離されたいくつかの電極に印加されると、残りの電極より出力電圧が得られるように実施される該上部電極、及び、
該上部電極が形成された平面と反対の平面に形成された下部電極であって、該本体の平面形状と同じ形状に形成され、分離されて風車形状に形成される該下部電極であって、入力電圧が該上部電極の該いくつかの電極に対応する電極に印加されると、残りの電極より出力電圧が得られるように実施される、該下部電極、
を包含する、圧電変圧器。
【請求項3】
該下部電極の風車形状は該上部電極の風車形状に対して所定角度回転させられて形成されたことを特徴とする、請求項2記載の圧電変圧器。
【請求項4】
該上部電極は複数の渦状翼形電極と、この複数の翼形電極以外の部分に形成された一つの電極を包含し、該翼形電極は風車形状を形成し、一定間隙で互いに隔離されたことを特徴とする、請求項1又は2記載の圧電変圧器。
【請求項5】
該入力電圧が、該上部電極の隔離された電極のうち、該翼形電極以外の電極に印加されると、該出力電圧は該複数の翼形電極より得られることを特徴とする、請求項4記載の圧電変圧器。
【請求項6】
該入力電圧が、該上部電極の隔離された電極のうち、該翼形電極に印加されると、該出力電圧はその翼形電極以外の電極より得られることを特徴とする、請求項4記載の圧電変圧器。
【請求項7】
該上部電極は該上部電極の中心に形成された絶縁領域より放射状に外向きに渦状に延伸された複数の渦状絶縁線により隔離され、こうして風車形状を形成することを特徴とする、請求項1又は2記載の圧電変圧器。
【請求項8】
該本体は厚さ方向に形成された分極方向を有することを特徴とする、請求項1又は2記載の圧電変圧器。
【請求項9】
該上部電極に形成された風車形状は逆時計回りの形状を有することを特徴とする、請求項1又は2記載の圧電変圧器。
【請求項10】
該上部電極に形成された風車形状は時計回りの形状を有することを特徴とする、請求項1又は2記載の圧電変圧器。
【請求項11】
該本体はそれぞれ円形に形成された両平面を有することを特徴とする、請求項1又は2記載の圧電変圧器。
【請求項12】
該本体はそれぞれ環形に形成された両平面を有することを特徴とする、請求項1又は2記載の圧電変圧器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図7】
【図8】
【図13】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図7】
【図8】
【図13】
【図20】
【公表番号】特表2010−524251(P2010−524251A)
【公表日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−502916(P2010−502916)
【出願日】平成19年4月11日(2007.4.11)
【国際出願番号】PCT/KR2007/001765
【国際公開番号】WO2008/126947
【国際公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【出願人】(509159399)
【氏名又は名称原語表記】INOVA INC.
【住所又は居所原語表記】101 MANUFACTURING BUILDING CHUNG JU NATIONAL UNIVERSITY 123, GEOMDAN−RI, LRYU−MYEON, CHUNGJU−SI, CHUNGCHEONGBUK−DO 380−871 KOREA
【出願人】(508309821)サントマ エルティディー (3)
【氏名又は名称原語表記】SANTOMA LTD.
【住所又は居所原語表記】UNIT 2103,FLOOR 21,REMINGTON CENTRE,23 HUNG TO ROAD, KWUN TONG,KOWLOON,HONG KONG
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年4月11日(2007.4.11)
【国際出願番号】PCT/KR2007/001765
【国際公開番号】WO2008/126947
【国際公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【出願人】(509159399)
【氏名又は名称原語表記】INOVA INC.
【住所又は居所原語表記】101 MANUFACTURING BUILDING CHUNG JU NATIONAL UNIVERSITY 123, GEOMDAN−RI, LRYU−MYEON, CHUNGJU−SI, CHUNGCHEONGBUK−DO 380−871 KOREA
【出願人】(508309821)サントマ エルティディー (3)
【氏名又は名称原語表記】SANTOMA LTD.
【住所又は居所原語表記】UNIT 2103,FLOOR 21,REMINGTON CENTRE,23 HUNG TO ROAD, KWUN TONG,KOWLOON,HONG KONG
【Fターム(参考)】
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