説明

風速案内装置および風速案内方法

【課題】車両の走行安定性に最も大きく影響を与える横風成分に基づいて案内内容を決定して運転者に注意喚起を行うことが可能な技術の提供。
【解決手段】道路に併設された風向センサによって風向を取得し、前記道路に併設された風速センサによって風速を取得し、前記風向および前記風速に基づいて、前記道路が延びる方向に垂直かつ水平方向に平行な方向の前記風速の成分を横風成分として取得し、前記横風成分の大きさに応じた案内を案内部に実行させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風速案内装置および風速案内方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両が風を受けると車両の走行安定性が低下するため、車両の運転者に対して注意喚起等を行うために運転者に風の状況を認識させる技術が知られている。例えば、特許文献1においては、車両の左右の側面に圧力センサを取り付け、圧力センサによって得られた検出値から圧力差を算出して風速および風向を判定する装置が開示されている。
また、道路の周辺において所定値以上の風速の風が吹くことが予測される場合に、当該道路の脇に設置された情報表示装置において横風に注意するように注意喚起する表示を行う技術が開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−207988号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された技術においては、注意喚起されるべき状況において運転者に注意喚起を行うことができなかった。すなわち、特許文献1に開示された技術においては車両が存在する位置における風速および風向を判定するため、注意喚起されるべき風速の風が検出された時点では既に車両に当該風が作用している。従って、車両に作用する風に関する風速や風向を案内しても運転者に対して有効に注意喚起を行うことができない。
【0005】
一方、横風に注意するように注意喚起する情報表示装置においては、情報表示装置の設置位置の周囲にて予測される風向に基づいて注意喚起を行うが、車両の進行方向と風向との関係に基づいて注意喚起を行うことはできない。すなわち、車両の進行方向に対して垂直な方向からの風と車両の進行方向に対して平行な方向からの風とでは、同じ風速であっても車両の走行安定性に与える影響は異なり、同じ風速であっても風向によっては運転者が注意すべき場合と注意する必要がない場合とが発生し得る。
本発明は、前記課題にかんがみてなされたもので、車両の走行安定性に最も大きく影響を与える横風成分に基づいて案内内容を決定して当該横風成分の風が車両に作用する前に運転者に注意喚起を行うことが可能な技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明においては、道路に併設されたセンサによって風向および風速を取得し、風向および風速に基づいて、道路が延びる方向に垂直かつ水平方向に平行な方向の風速の成分を横風成分として取得する。そして、当該横風成分の大きさに応じた案内を案内部に実行させる。すなわち、風速センサによって検出した風速を道路上の車両の横方向成分である横風成分に変換し、当該横風成分の大きさによって案内の内容を決定している。従って、車両の走行安定性に最も大きく影響を与える横風成分によって案内内容を決定して運転者に注意喚起を行うことが可能である。
【0007】
さらに、風速案内装置においては、道路に併設された風向センサおよび風速センサによって風向および風速を検出するため、道路上の風向および風速に基づいて横風成分を特定することができる。従って、運転者が、風速案内装置の設置位置に到達する前に案内部による案内を認識することで、車両に横風が作用する前の段階で横風成分を認識することができる。この結果、運転者は注意すべき状況に達する以前に注意喚起を受けることができ、余裕を持って横風に備えることが可能になる。
【0008】
ここで、風向取得手段は、道路に併設された風向センサによって風向を取得することができればよい。すなわち、風向センサが道路に併設されていることにより、当該風速センサによって検出された風向が道路上の風向と同視できる状況になっている。このため、風向センサは道路から所定距離(風向が道路上の風向と同視できる様な距離)以内に設置されていれば良く、道路脇に設置された支持部や道路の上方に設置された支持部等に支持される構成等を採用可能である。
【0009】
また、風速取得手段は、道路に併設された風速センサによって風速を取得することができればよい。すなわち、風速センサが道路に併設されていることにより、当該風速センサによって検出された風速が道路上の風速と同視できる状況になっている。このため、風速センサは道路から所定距離(風速が道路上の風速と同視できるような距離)以内に設置されていれば良く、道路脇に設置された支持部や道路の上方に設置された支持部等に支持される構成等を採用可能である。
【0010】
横風成分取得手段は、風向および風速に基づいて、道路が延びる方向に垂直かつ水平方向に平行な方向の風速の成分を横風成分として取得することができればよい。すなわち、風向および風速によって特定される水平方向に平行な面内のベクトルを道路に平行な方向と垂直な方向とに分解することを想定し、風速を当該道路に沿って垂直な方向の風速の成分に変換することができればよい。例えば、水平方向に平行な面内において道路が延びる方向に対する角度を風向として取得する構成とし、当該角度に基づいて横風成分を取得する構成としても良い。角度に基づいて横風成分を取得する際には、三角関数を利用した演算を行っても良いし、風速に乗じて横風成分を演算するための係数を角度毎に特定しておき風向を示す角度に応じて係数を特定し、係数と風速とを乗じて横風成分を特定する構成としても良い。なお、ここでは、車両が進行する場合における車両の横方向が、道路が延びる方向に垂直かつ水平方向に平行な方向であるとみなしている。
【0011】
案内実行手段は、横風成分の大きさに応じた案内を案内部に実行させることができればよい。すなわち、横風成分の大きさを運転者に連想させる案内を案内部に実行させることができればよい。案内部は、風速案内装置の設置位置に到達する前に横風成分の大きさを運転者に連想させるための情報を運転者に提供することができればよく、画像を表示するディスプレイであっても良いし、音声を出力するスピーカーでも良く、種々の構成を採用可能である。また、案内部は、風速案内装置に取り付けられていても良いし、風速案内装置と別体の装置に取り付けられていても良い。後者としては、例えば、車両に搭載されたナビゲーション装置が挙げられる。
【0012】
以上は、本発明が装置として実現される場合について説明したが、かかる装置を実現する方法としても発明は実現可能である。また、以上のような風速案内装置は単独で実現される場合もあるし、ある方法に適用され、あるいは同方法が他の機器に組み込まれた状態で利用されることもあるなど、発明の思想としてはこれに限らず、各種の態様を含むものである。また、ソフトウェアであったりハードウェアであったりするなど、実現態様は適宜、変更可能である。また、ソフトウェアの記録媒体は、磁気記録媒体であっても良いし光磁気記録媒体であっても良いし、今後開発されるいかなる記録媒体においても同様である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態にかかる風速案内装置を含む道路表示装置を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態にかかる風速案内装置のブロック図である。
【図3】風速案内処理を示すフローチャートである。
【図4】(4A)は道路に併設された風速案内装置を示す図、(4B)は横風成分の取得を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)風速案内装置の構成:
(2)風速案内処理:
(3)他の実施形態:
【0015】
(1)風速案内装置の構成:
図1は本発明の一実施形態にかかる風速案内装置を含む道路表示装置を示す図である。同図1において、道路表示装置は支柱11を備えており、支柱11は道路の脇に設置される。また、支柱11には風力発電装置12、風向センサ40、風速センサ41、表示部42、風速案内装置10が取り付けられる。風力発電装置12は、支柱11に作用する風によって回転するプロペラを備えており、当該プロペラが回転することによって電力を生成して風向センサ40、風速センサ41、表示部42および風速案内装置10に電力を供給する。
【0016】
風向センサ40は、支柱11から水平方向に延びる支持部13の先端において鉛直方向に平行な回転軸13aを中心にして回転可能に支持されており、水平方向に平行な面内で回転可能である。また、風向センサ40は、鉛直方向に平行に配向された面を持つ板状部材40aを備えており当該板状部材40aが風を受けることによって板状部材40aの面と風の方向が平行になる。風向センサ40は、板状部材40aが配向している角度を風向として出力することができる。なお、風向センサ40は、支持部13によって道路の脇に設置された支柱11に支持されるため、道路に併設されたセンサである。
【0017】
風速センサ41は、支持部13の先端において回転軸13aを中心にして回転可能に支持されており、水平方向に平行な面内で回転可能である。また、風速センサ41は、回転軸13aから放射状に延びる複数の腕の先端に取り付けられた半球状の風受部41aを備えており、当該風受部41aが風を受けることによって風受部41aが回転軸13aを中心にして回転する。風速センサ41は、風受部41aの回転速度に応じた風速を特定して出力することができる。なお、風速センサ41は、支持部13によって道路の脇に設置された支柱11に支持されるため、道路に併設されたセンサである。
【0018】
表示部42は、複数のLEDが格子状に配置された表示面を備え、風速案内装置10が出力する画像データが示す画像を表示面に表示することができる。表示面は、道路表示装置が設置された道路が延びる方向に対して垂直に配向するように支柱11に取り付けられている。従って、当該道路を走行する車両の運転者は、道路表示装置が設置された位置よりも前の段階から当該表示部42を視認して表示面に表示された画像を認識することができる。
【0019】
風速案内装置10は直方体の筐体を備え、当該筐体は支柱11に取り付けられる。図2は、風速案内装置10の構成を示すブロック図である。図2に示すように、風速案内装置10は、制御部20と記録媒体30を備えている。制御部20は、図示しないCPU,RAM,ROM等によって構成され、記録媒体30やROMに記録されたプログラムを実行することができる。本実施形態においては、当該プログラムの一つとして風速案内プログラム21を実行可能である。
【0020】
記録媒体30には各種の情報を記録可能であり、本実施形態においては、予め係数情報30b、閾値情報30c、案内情報30dが定義され、記録媒体30に記録される。また、風速案内プログラム21の処理の過程で横風情報30aを記録する。横風情報30aは、風向センサ40が出力する風向と風速センサ41が出力する風速とを示す情報である。
【0021】
係数情報30bは、風速を車両の進行方向に対して垂直かつ水平方向に平行な方向(横方向)の成分である横風成分に換算するための係数であり、風向の角度と係数とが対応づけられた情報である。すなわち、本実施形態における道路表示装置は道路の脇に設置されており、風向センサ40が水平方向に平行な面内で回転して角度を風向として出力する構成となっている。本実施形態において、角度は道路が延びる方向が基準方向となるように定義され、回転軸を起点として放射状に延びるベクトルによって風を定義した場合に、当該ベクトルが回転軸を中心に当該基準方向に対して時計回りに回転した角度によって風向が定義される。
【0022】
図4Aは、道路Rの脇に設置された道路表示装置の例を示している。この例において、道路表示装置の設置位置にて鉛直上方に延びる支柱11(図示せず)の中心を原点とし、水平方向に平行な2次元平面内で道路Rが延びる方向に平行な方向にy軸、当該y軸に垂直な方向にx軸を定義した場合、y軸が指す方向が基準方向となる。図4Bは、x軸およびy軸を抜き出して示した図であり、回転軸の位置に相当する原点Oを起点として放射状に延びるベクトルWで風を定義した場合、y軸が指す方向を基準方向として時計回りに回転した角度は角度αである。従って、ベクトルWのような風向は回転角αで定義される。
【0023】
また、車両の進行方向に対して垂直かつ水平方向に平行な方向の成分は、図4Aに示す道路Rが延びる方向に垂直かつ水平方向に平行な成分である。従って、横風成分は、図4Bに示すベクトルWをx軸に投影した場合の成分となり、ベクトルWsとなる。当該ベクトルWsの大きさは、ベクトルWの大きさに対してsinαを乗じた値の絶対値によって特定することができる。そこで、本実施形態においては、sinαの値を予め算出しておき、角度α毎の係数の値を係数情報30bとして定義している。なお、本実施形態において、αは0〜2π(rad)であり、sinαの値域は−1〜1である。従って、係数の値が正の場合、道路Rを走行する車両の進行方向に対して左方向から風が吹いており、係数の値が負の場合、道路Rを走行する車両の進行方向に対して右方向から風が吹いていることになる。本明細書においては、左方向から吹く風を左方向の風、右方向から吹く風を右方向の風と呼ぶ。例えば、図4Bに示すベクトルWsは右方向の風となる。
【0024】
閾値情報30cは、横風成分の大きさと比較すべき閾値を示す情報であり、本実施形態においては、複数の閾値が予め設定されている。すなわち、横風成分の大きさに応じて運転者に対する注意喚起の程度を変動させるため、予め複数の閾値が定義されている。本実施形態において、具体的には、1m/s,5m/s,10m/s,15m/sが閾値情報30cとして定義されている。
【0025】
案内情報30dは、表示部42に表示する画像を示す画像データであり、横風成分の大きさ(横風強度)に応じて5段階の程度で注意喚起を行うための画像が横風成分の風向毎に予め定義され、5段階の横風強度に対応づけられて案内情報30dとして定義されている。
【0026】
風速案内プログラム21は、以上のような記録媒体30に記録された各情報および風向センサ40、風速センサ41、表示部42と協働して横風成分の大きさに応じた注意喚起を行う機能を制御部20に実現させる。このため、風速案内プログラム21は、風向取得部21aと風速取得部21bと横風成分取得部21cと案内実行部21dとを備えている。以下、フローチャートに即して風速案内プログラム21の処理を説明する。
【0027】
(2)風速案内処理:
図3は、制御部20が風速案内プログラム21によって実行する風速案内処理を示すフローチャートである。当該風速案内処理は、所定の期間(例えば10ms)毎に実行される。風向取得部21aは、風向センサ40によって風向を取得する機能を制御部20に実現させるモジュール、風速取得部21bは、風速センサ41によって風速を取得する機能を制御部20に実現させるモジュールである。風速案内処理において、制御部20は、風向取得部21aの処理により風向センサ40によって風向を取得し、風速取得部21bの処理により風速センサ41によって風速を取得する(ステップS100)。すなわち、図4Bに示すように、水平方向に平行な面内での風を示すベクトルWの基準に対する角度αとベクトルWの大きさ(m/s)を示す情報が制御部20によって取得され、記録媒体30に横風情報30aとして記録される。
【0028】
横風成分取得部21cは、風向および風速に基づいて、道路が延びる方向に垂直かつ水平方向に平行な方向の風速の成分を横風成分として取得する機能を制御部20に実現させるモジュールである。すなわち、制御部20は、横風成分取得部21cの処理により、風向に基づいて風速に乗じるべき係数を特定し、係数と風速から横風成分を取得する(ステップS105)。具体的には、制御部20は、横風情報30aを参照して風向を示す角度を特定し、係数情報30bを参照して当該角度に対応した係数を特定する。そして、制御部20は、横風情報30aを参照して風速を特定し、係数と風速との積の絶対値を取得することによって図4Bに示すベクトルWsの大きさに相当する横風成分を取得する。
【0029】
案内実行部21dは、横風成分の大きさおよび横風成分の方向に応じた案内を表示部42に表示する機能を制御部20に実現させるモジュールである。当該案内を表示部42に表示するため、まず、制御部20は、案内実行部21dの処理により、横風成分の方向を判定する(ステップS110)。すなわち、制御部20は、ステップS105にて横風成分を取得する過程で得られた係数と風速との積の符号を特定し、符号が正の場合には左方向、符号が負の場合には右方向と判定する。
【0030】
ステップS110にて、風向が左方向であると判定された場合、制御部20は、閾値情報30cを参照して最小の閾値である1m/sを取得し、横風成分の大きさが1m/s以上であるか否かを判定する(ステップS115)。ステップS115にて、横風成分の大きさが1m/s以上であると判定されない場合、横風の強度は、閾値で規定される5段階の強度の中で最も小さい強度1である。そこで、制御部20は、横風強度1の左横風が吹いていることを案内する(ステップS135)。すなわち、制御部20は、案内情報30dを参照して横風強度1の左横風が吹いていることを示す画像の画像データを抽出し、表示部42に対して出力する。この結果、表示部42は、横風強度1の左横風が吹いていることを示す画像を表示する。
【0031】
一方、ステップS115にて、横風成分の大きさが1m/s以上であると判定された場合、制御部20は、閾値情報30cを参照して2番目の大きさの閾値である5m/sを取得し、横風成分の大きさが5m/s以上であるか否かを判定する(ステップS120)。ステップS120にて、横風成分の大きさが5m/s以上であると判定されない場合、横風の強度は、閾値で規定される5段階の強度の中で2番目に小さい強度2である。そこで、制御部20は、横風強度2の左横風が吹いていることを案内する(ステップS140)。すなわち、制御部20は、案内情報30dを参照して横風強度2の左横風が吹いていることを示す画像の画像データを抽出し、表示部42に対して出力する。この結果、表示部42は、横風強度2の左横風が吹いていることを示す画像を表示する。
【0032】
一方、ステップS120にて、横風成分の大きさが5m/s以上であると判定された場合、制御部20は、閾値情報30cを参照して3番目の大きさの閾値である10m/sを取得し、横風成分の大きさが10m/s以上であるか否かを判定する(ステップS125)。ステップS125にて、横風成分の大きさが10m/s以上であると判定されない場合、横風の強度は、閾値で規定される5段階の強度の中で3番目に小さい強度3である。そこで、制御部20は、横風強度3の左横風が吹いていることを案内する(ステップS145)。すなわち、制御部20は、案内情報30dを参照して横風強度3の左横風が吹いていることを示す画像の画像データを抽出し、表示部42に対して出力する。この結果、表示部42は、横風強度3の左横風が吹いていることを示す画像を表示する。
【0033】
一方、ステップS125にて、横風成分の大きさが10m/s以上であると判定された場合、制御部20は、閾値情報30cを参照して4番目の大きさの閾値である15m/sを取得し、横風成分の大きさが15m/s以上であるか否かを判定する(ステップS130)。ステップS130にて、横風成分の大きさが10m/s以上であると判定されない場合、横風の強度は、閾値で規定される5段階の強度の中で4番目に小さい強度4である。そこで、制御部20は、横風強度4の左横風が吹いていることを案内する(ステップS150)。すなわち、制御部20は、案内情報30dを参照して横風強度4の左横風が吹いていることを示す画像の画像データを抽出し、表示部42に対して出力する。この結果、表示部42は、横風強度4の左横風が吹いていることを示す画像を表示する。
【0034】
一方、ステップS130にて、横風成分の大きさが15m/s以上であると判定された場合、横風の強度は、閾値で規定される5段階の強度の中で最も大きい強度5である。そこで、制御部20は、横風強度5の左横風が吹いていることを案内する(ステップS155)。すなわち、制御部20は、案内情報30dを参照して横風強度5の左横風が吹いていることを示す画像の画像データを抽出し、表示部42に対して出力する。この結果、表示部42は、横風強度5の左横風が吹いていることを示す画像を表示する。
【0035】
上述のステップS110にて、風向が右方向であると判定された場合、制御部20は、ステップS160〜S200にて右横風が吹いていることを示す画像を横風成分の大きさに応じて特定し、表示部42に表示する。当該ステップS160〜S200における処理は、注意喚起の対象が右横風であって表示対象となる画像が右横風であることを示す画像であることを除き、ステップS110〜S155と同様の処理であるため、説明を省略する。
【0036】
以上の処理によれば、道路の脇に設置された道路表示装置にて道路が延びる方向に平行な方向を基準とした水平方向に平行な面内での風向を、道路が延びる方向に垂直かつ水平方向に対して平行な方向の横風成分に変換し、当該横風成分の大きさに応じた注意喚起を行うことが可能である。従って、車両の走行安定性に最も大きく影響を与える横風成分に基づいて注意喚起を行うことが可能であり、運転者に対して正確に注意喚起を行うことができる。
【0037】
さらに、風速案内装置10においては、道路に併設された風向センサ40および風速センサ41によって風向および風速を検出するため、風速案内装置10の設置位置における道路上の風向および風速に基づいて横風成分を特定することができる。また、表示部42の表示面は、道路が延びる方向に対して垂直に配向され、風速案内装置10の設置位置に到達する前に車両の運転者が表示部42の表示内容を視認することができる。従って、車両の運転者が、風速案内装置10の設置位置に到達する前に表示部42の表示内容を認識することで、車両に横風が作用する前の段階で横風成分を認識することができる。この結果、運転者は注意すべき状況に達する以前に注意喚起を受けることができ、余裕を持って横風に備えることが可能になる。
【0038】
さらに、風速案内装置10を駆動するための電力は風力発電装置12によって生成されるが、風速案内装置10は風が吹いている状態で駆動されればよく、風力発電装置12によって駆動電力を生成する構成とすることにより、駆動すべき場合に電力が確実に供給されるように構成することができる。
【0039】
(3)他の実施形態:
以上の実施形態は本発明を実施するための一例であり、道路上の風向および風速から車両に作用する横風成分を特定して当該横風成分の大きさに応じた案内を行う限りにおいて、他にも種々の実施形態を採用可能である。例えば、横風成分の方向が左右のいずれであるのかを明示することなく横風成分の大きさに応じた案内を行う構成であっても良い。この場合、横風成分の方向を判定する必要はなくなり、横風成分の大きさに応じて案内内容を決定して表示すればよい。
【0040】
また、上述の実施形態において、横風成分の大きさに応じた案内を行う案内部は画像の表示部に限定されない。例えば、スピーカーから出力する音声によって案内を行う構成であっても良い。さらに、案内部が設置される場所は、風速案内装置の設置場所と異なっていてもよい。例えば、車両に搭載されたディスプレイやスピーカーが案内部となるような構成を採用可能である。この構成においては、案内内容を示す画像や音声を示す情報を風速案内装置から無線通信によって送信し、車両に搭載された通信部によって当該情報を取得し、当該情報に基づいて画像や音声を出力する構成とすればよい。
【0041】
さらに、風速案内装置を駆動するための電力は風力発電装置12に限定されず、例えば、太陽光発電装置であっても良いし、送電線によって送電される電力を利用しても良い。
【符号の説明】
【0042】
10…風速案内装置、20…制御部、21…風速案内プログラム、21a…風向取得部、21b…風速取得部、21c…横風成分取得部、21d…案内実行部、30…記録媒体、30a…横風情報、30b…係数情報、30c…閾値情報、30d…案内情報、40…風向センサ、40a…板状部材、41…風速センサ、41a…風受部、42…表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路に併設された風向センサによって風向を取得する風向取得手段と、
前記道路に併設された風速センサによって風速を取得する風速取得手段と、
前記風向および前記風速に基づいて、前記道路が延びる方向に垂直かつ水平方向に平行な方向の前記風速の成分を横風成分として取得する横風成分取得手段と、
前記横風成分の大きさに応じた案内を案内部に実行させる案内実行手段と、
を備える風速案内装置。
【請求項2】
前記風向取得手段は、水平方向に平行な面内において前記道路が延びる方向に対する角度を前記風向として取得し、
前記横風成分取得手段は、前記角度に基づいて前記横風成分を取得する、
請求項1に記載の風速案内装置。
【請求項3】
道路に併設された風向センサによって風向を取得する風向取得工程と、
前記道路に併設された風速センサによって風速を取得する風速取得工程と、
前記風向および前記風速に基づいて、前記道路が延びる方向に垂直かつ水平方向に平行な方向の前記風速の成分を横風成分として取得する横風成分取得工程と、
前記横風成分の大きさに応じた案内を案内部に実行させる案内実行工程と、
を含む風速案内方法。
【請求項4】
前記風向取得工程では、水平方向に平行な面内において前記道路が延びる方向に対する角度を前記風向として取得し、
前記横風成分取得工程では、前記角度に基づいて前記横風成分を取得する、
請求項4に記載の風速案内方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−226425(P2012−226425A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−91015(P2011−91015)
【出願日】平成23年4月15日(2011.4.15)
【出願人】(000243881)名古屋電機工業株式会社 (107)
【Fターム(参考)】