説明

飛翔体飛ばし装置

【課題】多数の飛翔体を自動的に飛ばし操作し、飛翔体を用いて新規で高い雰囲気盛上げ演出効果を奏する飛翔体飛ばし装置を提供する。
【解決手段】自身に駆動源を持たず、重力下の自由状態で空中を滑空する複数の飛翔体12と、上下に配置した複数の飛翔体を地上に対して高位置で垂下状に保持する保持機構14と、最も下側に配置される飛翔体12(12B)から順次1体ずつ保持機構14による保持を所定の時間間隔で解放させる順次解放装置16と、を有し、解放順に複数の飛翔体12を空中に飛ばすことを特徴とする飛翔体飛ばし装置10から構成される。所定の時間間隔で1体ずつ飛翔体を飛ばすことにより、独創性の高いバリエーションに富んだ演出を行える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、結婚式や披露宴、コンサート、その他種々のイベントや式典等での演出効果に用いられる飛翔体飛ばし装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種イベント会場等で雰囲気の盛上げ等に、多数の風船を空中に飛ばしたり、紙ふぶき、紙テープ等を空中から降らせて視覚的な演出を行う方法が知られている。例えば、特許文献1には、風船本体の中空内部を左右の容積比に差異を持たせて隔成した風船が開示されている。そして、風船本体内にヘリウム等のガスを注入して放すと、左右の容積比の差異により、風船体が空中で旋回上昇させるものであった。
【0003】
【特許文献1】特開平9−28934号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近時では、演出効果に対する需要者の要求レベルも高く、単に風船を飛ばせたり紙ふぶき等を降らせたりする方法だけでは単調であり、飽きがきたり、満足できない場合も多い。よって、興趣性及び独自性の高い新規な演出方法の開発が望まれていた。また、特許文献1等のような風船等を多数空中を飛ばす場合には、風船を1個1個、個別に管理する必要があるとともに、多数の人手を要し煩雑なものであった。
【0005】
本発明は上記従来の課題に鑑みてなされたものであり、その一つの目的は、多数の飛翔体を自動的に飛ばし操作し、飛翔体を用いて高い雰囲気盛上げ演出効果を奏する新規な飛翔体飛ばし装置を提供する。さらに、他の目的は、構造が簡単で低コストで製造できる飛翔体飛ばし装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明は、自身に駆動源を持たず、重力下の自由状態で空中を滑空又は浮遊する複数の飛翔体12と、上下に配置した複数の飛翔体を地上に対して高位置で垂下状に保持する保持機構14と、最も下側に配置される飛翔体12(12B)から順次1体ずつ保持機構14による保持を所定の時間間隔で解放させる順次解放装置16と、を有し、解放順に複数の飛翔体12を空中に飛ばすことを特徴とする飛翔体飛ばし装置10から構成される。飛翔体12は、比較的滞空時間が長いものが好適であり、多数の飛翔体12を同時に滑空等させて、より高い演出効果を得ることができる。また、飛翔体12に、例えば、新郎新婦等の名前、イベント名、会社名やロゴ、クジ番号等種々の内容を記載しても良い。これにより多数の飛翔体12を飛ばすことによる視覚的な効果に加えて、雰囲気の盛り上げや、会社の宣伝効果の向上等の付加価値を付与することができる。また、複数の飛翔体は、全て同一形状でもよく、異なる形状のものでもよい。また、演出を行う1つのイベント等の会場に、複数台の飛翔体飛ばし装置10を設置してもよい。飛翔体飛ばし装置10は、屋内、屋外等任意の場所の高位置に設置して使用することができる。飛翔体の風や空調等による影響を考慮して利用するとよい。
【0007】
また、保持機構14は、上下に配置した複数の飛翔体12を上下に貫いた状態で保持する貫通体58を含み、貫通体58を上方に移動させながら貫通体58により貫かれた最も下側に配置される飛翔体12との係合を順次解除して該飛翔体12を空中に飛ばすこととしてもよい。また、貫通体58は、例えば、糸や紐等の索条、ある程度幅を持ったベルト体や、金属製又は合成樹脂製等の硬質素材からなる細い杆部材、板部材等、その他任意のでもよい。
【0008】
また、貫通体58は索条28からなり、最下端の飛翔体12(12B)の索条貫通端部に複数の飛翔体12の離脱を防止する仮ストッパ部60が形成されるとともに、最上端の飛翔体12(12A)の上方側移動を規制する規制部43が設けられ、索条28を上方に移動させることにより最下端の飛翔体を強制的に通過させながら仮ストッパ部60による複数の飛翔体12の離脱防止を順次解除することとしてもよい。仮ストッパ部60は、例えば、索条28の結びこぶ、あるいは小さな棒材やリング、立方体や球体等のその他の小形ブロック体等、その他の任意の部材を取り付けたものでもよい。
【0009】
また、索条28を上方に巻き取るように回転自在に設置されたリール40と、索条28の巻取り方向にリール40を回転駆動させる駆動モータ42と、を含むこととしてもよい。駆動モータ42は、AC100V電源等の外部電源で駆動させてもよく、バッテリーや電池等で駆動させてもよい。
【0010】
また、飛翔体12は軽量薄板状部材18からなることとしてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の飛翔体飛ばし装置によれば、自身に駆動源を持たず、重力下の自由状態で空中を滑空又は浮遊する複数の飛翔体と、上下に配置した複数の飛翔体を地上に対して高位置で垂下状に保持する保持機構と、最も下側に配置される飛翔体から順次1体ずつ保持機構による保持を所定の時間間隔で解放させる順次解放装置と、を有し、解放順に複数の飛翔体を空中に飛ばす構成であるから、空中を滑空又は浮遊等する飛翔体を所定の時間間隔で順番に1体ずつ空中に多数飛ばして、興趣性、独自性が高く、新規な演出効果を得ることができる。また、上下に配置した飛翔体を吊支状に保持し、順次解放装置により保持を解放させるだけで、飛翔体自身の重力を利用して空中に飛ばすことができるので、構造を簡単にでき、低コストで製造できる。
【0012】
また、保持機構は、上下に配置した複数の飛翔体を上下に貫いた状態で保持する貫通体を含み、貫通体を上方に移動させながら該貫通体により貫通された最も下側に配置される飛翔体との係合を順次解除して該飛翔体を空中に飛ばす構成とすることにより、貫通体により簡単かつシンプルな構造で、上下に配置した複数の飛翔体を確実に保持できるとともに、確実に飛翔体を空中に飛ばすことができる。
【0013】
また、貫通体は索条からなり、最下端の飛翔体の索条貫通端部に複数の飛翔体の離脱を防止する仮ストッパ部が形成されるとともに、最上端の飛翔体の上方側移動を規制する規制部が設けられ、索条を上方に移動させることにより最下端の飛翔体を強制的に通過させながら仮ストッパ部による複数の飛翔体の離脱防止を順次解除する構成とすることにより、索条により飛翔体飛ばし装置全体を軽量化でき、高位置への支持を比較的簡素なものとしたり、装置運搬を省力で行えるとともに、仮ストッパ部により確実に飛翔体を保持できる。さらに、飛翔体を飛ばす作動時には、仮ストッパ部を最下端の飛翔体を強制的に通過させながら確実に1体ずつ解放させることができ、所定時間間隔での飛翔体の順次飛ばし操作をスムーズかつ確実に行える。
【0014】
また、索条を上方に巻き取るように回転自在に設置されたリールと、索条の巻取り方向にリールを回転駆動させる駆動モータと、を含むことにより、簡単な構造で索条を上に移動する構成を具現でき、低コストで製造できる。
【0015】
また、飛翔体は軽量薄板状部材からなる構成とすることにより、飛翔体の構造を極めてシンプルな構造で実現でき、簡単に製造できると同時に、飛翔体を空中に飛ばした際に独特な滑空飛行をしてより大きな演出効果を期待できる。また、保持機構に保持した際に嵩張りが少なく、コンパクトな状態で保持できるとともに、1つの装置に比較的多数の飛翔体を1度に保持させて、多数の飛翔体を順番に飛ばすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下添付図面を参照しつつ本発明の飛翔体飛ばし装置の一実施形態について説明する。本発明に係る飛翔体飛ばし装置は、飛翔体を空中に飛ばして視覚的な演出効果を行うものであり、高い演出効果を期待できる。図1ないし図4は、本発明の投入口の補助具の一実施形態を示している。本実施形態において、飛翔体飛ばし装置10は、図1、図2に示すように、複数の飛翔体12と、飛翔体を保持する保持機構14と、順次解放装置16と、を含む。
【0017】
図1、図5に示すように、飛翔体12は、自身でエンジンや駆動モータ等の駆動源を持たず、重力下の自由状態ですなわち、支持をしない状態では空中を滑空又は浮遊する飛行物体である。本実施形態では、図6、図7、図8に示すように、飛翔体12は、例えば、軽量素材である発泡スチロール等の発泡合成樹脂で形成された、厚さが1.7〜1.8mm程度の薄板状部材18からなり、縦長のハート形状に形成されている。ハート形状の薄板状部材18の先鋭先端部には、例えば、シール部材等からなる錘20が貼り付けられている。飛翔体12は、待機状態では保持機構14によって高い位置に保持されるとともに、所望の演出時には順次解放装置16を介してその保持を解放され、空中を滑空等することにより視覚的な演出効果を奏する。図5に示すように、飛翔体12(12F)を空中に飛ばすと、該飛翔体が受ける重力や周囲の空気による揚力、抵抗等の種々の作用等のバランスにより、錘20が取り付けられた先端側に向けてその進路を取りつつ、直進や旋回等バリエーションに富んだ動きで滑空しながら長時間飛行する。本実施形態では、薄板状部材18には、面を貫通するように貫通孔22が穿孔されており、後述の保持機構14の索条28に貫かれた状態で保持される。なお、図9に示すように、例えば、飛翔体12の薄板状部材18を中心に沿って若干折り曲げた態様としてもよい。薄板状部材18を折り加工することにより、飛行能力、飛行時間や飛行のバリエーションに違いが生じる。また、薄板状部材18は、ハート形状に限らず、例えば、直線や曲線で形成された抽象的な形状、魚、鳥、虫、動物、飛行機、その他任意のキャラクター、四葉、木の葉、星形等、生物、自然物や種々の形状等を模した形状等、その他任意の形状でもよい。また、飛翔体12は、薄板状部材に限らず、例えば、風船様に膨らんだ形状やその他任意の立体的な構造でも良い。また、飛翔体は、ある程度長時間、空中を浮遊しながらゆっくり降下するものでもよく、例えば、四葉形状のように複数の羽根体を有した形状のものの連結中心に錘を取り付けて構成し、空中に飛ばすと回転しながら下方にゆっくり降下するものでもよい。
【0018】
図1、図2に示すように、保持機構14は、複数の飛翔体12を地上に対して高位置に保持する手段であり、複数の飛翔体12を上下に配置した状態で垂下状に保持する。なお、本実施形態では、地上とは、例えば、屋外の地面に限らず建物内の床面等を含む。保持機構14は複数の飛翔体12を所定の空中位置に保持する。本実施形態では、保持機構14は、例えば、各構成要素を一体的にまとめた基体24と、飛ばし装置10全体を建物の天井側の他の構造物に支持させる吊支部26と、を含む。図5にも示すように、吊支部26を介して、例えば、披露宴会場や、コンサート会場等の建物内で、床面FLから数m程度の高位置に飛翔体飛ばし装置10全体が設置される。さらに、保持機構14は、基体24に垂下状に支持され、下端に仮ストッパ部を形成した索条28を含み、該索条28は上下に重ねた複数の飛翔体12を上下に串刺し状に貫いた状態で保持する。
【0019】
図1、図2に示すように、基体24は、例えば、中空の矩形箱体で設けられており、例えばプラスチック等の硬質合成樹脂や金属等の硬質素材で形成された4つの周壁30と、天壁32と、底壁34と、を組み合わせて構成されている。底壁34は、1つの周壁に蝶番36を介して接続されており、基体24の下方側を開閉可能に閉鎖している。底壁30の一辺側の縁側と、それに対応する周壁26の内部には、互いに着脱自在に磁力吸着する磁石38a、38bがそれぞれ固定されており、底壁34を閉鎖した際に吸着して閉鎖状態を維持する。なお、例えば、ビスや、バックル、その他のロック機構等を介して底壁を閉鎖状態で固定するようにしてもよい。底壁を開閉することによりメンテナンス等を行える。底壁34の略中心位置には、該底壁を上下に貫通する通係孔34aが穿孔されており、索条28が上下に通係自在に貫通される。さらに、基体24の中空内部には、底壁34を貫通している索条28の基体24内部に配置された上方側を巻取り自在に支持するリール40と、リール40を回転駆動させる駆動モータ42と、が配置されている。底壁34の下面側には、例えば、発泡スチロール等の飛翔体12と同じ素材からなるあてがい部材44が一体的に固定されている。あてがい部材44には、索条28を通係自在に貫通させるように底壁34の通係孔34aに連通する孔が穿孔されている。あてがい部材44は、索条28に上下に重ねた複数の飛翔体12を保持させた際に最も上側に配置される飛翔体(最上端の飛翔体)12Aの上面側に当接され、基体24とともに該飛翔体12Aの上方移動を規制する規制部43を構成している。規制部43は、後述のように索条28の上方向への移動に伴って複数の飛翔体が上方側へ移動するのを規制する。なお、あてがい部材44の下面側の形状は飛翔体の形状に対応して形成されるとよい。例えば、図8に示すように平らな形状の場合にはあてがい部材44の下面側も平らに形成される。図9に示すように薄板状部材を略V字状に折り曲げた態様の飛翔体の場合には、あてがい部材44の下面側も略V字状に形成すると、折り曲げた飛翔体を上下に重ねた状態でもその形状を維持できる。図1、図2に示すように、基体12の天壁32上には、略円錐台形状に突出した突出部45が固定されており、突出部45の上端からさらに上方に向けて軸部46が突設されている。この軸部46に吊支部26が取り付けられている。なお、基体24は、円筒形状、任意の多角形形状等その他任意形状の中空箱体でもよい。また、基体24は、例えば、枠構造でも良いが、箱体形状であると内部のリール、駆動モータ等を保護できるとともに、内部の構造が外から見えないので意匠感もよい。
【0020】
図1、図2に示すように、吊支部26は、略コ字状のフック部48と、フック部48の内部空隙に対して螺進退するようにフック部48に螺着した固定用ボルト50と、フック部28を基体側の軸部46へ取り付ける連結部52と、を含む。連結部52は、例えば軸部46を下端から挿入させる挿入穴を有した円筒形状に設けられており、その中間位置には横方向に分岐する分岐筒が形成されている。連結部の分岐筒には軸部46に対して直交方向に螺進退する調整ボルト54が取り付けられている。調整ボルト54を螺進させるとその先端側が連結部52内部の軸部46に当たって固定される。また、調整ボルト54を緩めることにより、縦軸回りに基体24を自在に回転させて向きを調整することができる。なお、落下防止を確実にするために連結部52には軸部46との固定用の蝶ねじ等を別途設けることとしても良い。吊支部46は、例えば、イベント会場等に設置されている照明設備を支持するバトンTに着脱可能に固定するようになっており、フック部48の内部空隙にバトンTを挿入して該バトンTに係止させて、固定用ボルト50の先端部を螺進させることによりバトンTに固定させて、飛翔体飛ばし装置10全体を吊支状に支持する。また、基体24には、落下防止用のフック付ワイヤ56が固定されている。なお、装置の高位置への支持構成は、上記の構成に限らず、例えば、基体24を建物の壁や柱等にフックで引っ掛けて支持させたり、ねじ止め固定させる等、その他任意の構成でもよい。また、例えば、基体24を、地面や床面上に自立するポール等に組み付けるようにしてもよい。
【0021】
図1に示すように、索条28は、例えば、ナイロン糸(テグス)等からなり、上下に重ねた複数の飛翔体12を上下に串刺し状に貫いた状態で保持する貫通体58を構成する。索条28は、基体24内部のリール40に巻取り、繰出し可能に支持されつつ、底壁34を貫通して直線状に垂下され、基体24の底壁34の直下位置に複数の飛翔体12を重層状に配置させて保持する。索条28の最下端の飛翔体12Bの貫通端部には、該複数の飛翔体12が索条28に沿って下方向に離脱するのを防止するように該飛翔体12を下から受ける仮ストッパ部60が設けられている。仮ストッパ部60は、複数の飛翔体の離脱を防止しているが、後述のように索条28を上方へ移動させた際に最下端の飛翔体12Bを強制的に通過して索条と該飛翔体との係合を解除する仮の受け手段である。仮ストッパ部60は、例えば、索条28の先端側を1回又は複数回結んで飛翔体12に設けられた貫通孔22の径よりも大きく形成した結びこぶからなり、最も下側に配置される飛翔体(最下端の飛翔体)12Bの下面側と係合する。なお、本実施形態では、最下層の飛翔体12Bのさらに下方側には、後述の補助部材62が配置されており、仮ストッパ部60は該補助部材62の下面側に係合している。
【0022】
順次解放装置16は、保持機構14により上下に重ねた状態で保持されている複数の飛翔体12を、最も下側の飛翔体12Bから順次1体ずつ保持機構14による保持を所定の時間間隔で解放させる手段である。図1、図3、図4に示すように、本実施形態では、順次解放装置16は、索条28を複数の飛翔体12に対して上方に移動させることにより、索条下端の仮ストッパ部60を最下端の飛翔体12Bを例えば強制打抜き状に強制的に通過させて該索条28と最下端の飛翔体12との係合(離脱防止)を解除して、飛翔体12を順に空中に飛ばすようになっている。なお、本実施形態では、飛翔体12の解放に先立って補助部材62の係合を解除させる。索条28を上方に移動させる上動機構としては、上述の索条28を巻き取るリール40と、索条28の巻取り方向に該リール40を回転駆動させる駆動モータ42と、を含む。リール40は横方向に回転軸40aが設定され、その回転軸に駆動モータの出力軸が連係されて支持されている。駆動モータ42は、例えば、基体24の1つの周壁30にブラケット61を介して固定されている。駆動モータ42は、例えば、モータ本体にギアを組み付けたギアドモータからなり、1分間に2回転程度のゆっくりとした低速回転でリール40を回転駆動させる。これにより、リール40による索条28の巻き上げスピードを低速として、最も下層側の飛翔体との係合の解除すなわち飛翔体12を飛ばす時間間隔を確保している。駆動モータ42には電源コード62が接続されており、基体の天壁32の突出部45から外部に引き出されており、例えばAC100V電源に接続される。電源コード66には、スイッチのオン・オフを操作するスイッチ68が介設されている。なお、電源コード66を、例えばイベント会場等の照明等を遠隔操作できる設備等にアダプタやコネクタ等を接続して、オン・オフ操作を遠隔操作できるようにしてもよい。駆動モータ42を駆動させると索条28がリール40に巻き取られるとともに索条28の下端の仮ストッパ部60も上昇するが、図3に示すように、上下に重ねられた飛翔体12全体は、規制部43により上方側への移動を規制されるので、最下端の飛翔体12Bの仮ストッパ部60との係合部位周辺には局所的に強い力が作用する。飛翔体12は発泡スチロールのように比較的破られやすい薄板状部材からなるので、該索条28を飛翔体の厚さに対応した長さ分だけ巻取ると、仮ストッパ部60が最下端の飛翔体12Bに仮ストッパ部と略同じ径の拡大貫通孔22aを形成して強制打抜き状に通過する。これにより、最下端の飛翔体12Bは索条28及び仮ストッパ部60による係合が解除されて自由状態となり重力により該飛翔体12Fを空中に飛ばすことができる。同時に、仮ストッパ部60は次に最下端となる飛翔体に係合して、残りの複数の飛翔体の串刺し状の保持状態を維持する。このような最下端の飛翔体12Bとの係合の解除と、次に最下層となる飛翔体への係合を段階的に繰り返しながら、図5に示すように、複数の飛翔体12を1体ずつ順番に、例えば、数秒〜十数秒間隔ごとに自動的に飛ばすことができる。各飛翔体12の長い飛翔時間とも相俟って、多数の飛翔体を空中で飛行させた興趣性、独自性が高い新規な演出効果を得られる。さらに、少なくとも飛翔体の保持を解放する飛ばし元側においては、多数の飛翔体12を互いに干渉させることなく1体ずつ確実に飛ばすことができる。なお、仮ストッパ部60が飛翔体を強制打抜き状に通過して係合を解除する構成に限らず、例えば、索条を上に移動させる際に飛翔体の貫通孔縁が変形したり、仮ストッパ部側が変形等することにより、仮ストッパ部の最下端の飛翔体の強制的な通過を実現するようにしてもよい。また、例えば、駆動モータをステッピングモータとし、所定時間ごとに回転駆動、停止を繰り返して、飛翔体の飛ばし時間間隔の制御することとしてもよい。なお、本実施形態では、索条28及び仮ストッパ部60を上方に移動させる構成としたが、例えば、逆に上下に配置した複数の飛翔体12を索条等の貫通体58に沿って下方側に強制的に押動する構成としてもよい。この際、例えば、ピニオンラック機構やシリンダ構成等によりあてがい部材44を下方に移動させる構成等、その他任意の構成でもよい。
【0023】
補助部材62は、飛ばし装置10の待機時に、破れやすい素材の飛翔体12が、索条28の仮ストッパ部60により不意に破られるのを防止する部材であり、上下に配置された飛翔体12の下方に配置されて補助的に飛翔体を保持する。補助部材62は、例えば、飛翔体12と同じ素材で同じハート形状の板部材で設けられているが、板部材の厚さが1cm程度と比較的厚く形成されている。補助部材62は基体24に接続紐64を介して接続されており、図5に示すように、索条28との係合を解除された際には、飛翔体のように空中を飛ぶことがなく、接続紐により空中にぶら下がるようになっている。なお、補助部材62に接続紐を取り付けず索条との係合を解除した際に落下させるようにしてもよい。この補助部材62は、破れやすい飛翔体12の保持状態の確実性を向上するものであるが、必ずしも必要としない。
【0024】
次に、本実施形態に係る飛翔体飛ばし装置10を使用して演出を行う際には、まず、リール40から繰出された索条28の先端に針を取り付け、複数例えば、100体程度の飛翔体12に順次通していく。そして、飛翔体12のさらに下方側に基体24に接続紐64で直接接続されている補助部材62に索条28を通す。針を索条28の先端から取り外し、索条28の先端側を例えば、3〜4回程度結んで飛翔体の索条が貫いた貫通孔22より大きな結びこぶを作り、仮ストッパ部60を形成する。例えば、イベント会場の照明設備を支持するバトンTを下降させて、吊支部26のフック部48を引っ掛けて固定用ボルト50で固定する。同時に、落下防止用のフック付ワイヤ56をバトンTに巻き回して留めておく。バトンTを天井側に上昇させて、複数の飛翔体12を含む飛翔体飛ばし装置10全体が高い位置に設置される。駆動モータ42の電源をオンして、索条28をリール40に巻き取らせて上方に移動させると、最上端の飛翔体は規制部43により上方側移動を規制されるので、まず、飛翔体12の下方の補助部材62を仮ストッパ部60が強制打抜き状に貫通し、該補助部材62の索条28による係合が解除されるとともに、仮ストッパ部は最下端の飛翔体12Bに係止し、残りの飛翔体の保持状態を維持する。なお係合が解除された補助部材62は接続紐64により空中にぶら下がった状態となる。さらに索条28をリールに巻き取って上に移動させると、図3、図4に示すように、仮ストッパ部60が最下端の飛翔体を強制打抜き状に通過して、該飛翔体と索条との係合を解除する。この保持機構による保持が解放された1体の飛翔体のみが、重力により下方し、空中に飛ばすことができる。駆動モータ42は低速移転でリールを連続回転させているので、それに対応して、例えば、数秒〜十数秒程度の間隔で、下層の飛翔体から1体ずつ順番に仮ストッパ部による離脱防止を順次解除しながら空中に飛ばすことができる。これにより、各飛翔体12のバリエーションに富んだ飛翔及び長い飛翔時間とも相俟って、多数の飛翔体を空中で飛行させた独自性及び興趣性が高い新規な演出効果を得られる。なお、例えば、照明設備によるライトアップ効果等と組合わせて利用することにより、より効果的な演出を行うこともできる。使用後には、索条をリールから繰出させて、上記同様に再度複数の飛翔体12を保持させて繰り返し使用することもできる。
【0025】
以上説明した本発明の飛翔体飛ばし装置は、上記した実施形態のみの構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の本質を逸脱しない範囲において、任意の改変を行ってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明の飛翔体飛ばし装置は、例えば、結婚式や披露宴、コンサート、その他種々の式典、イベント等の際に好適に利用される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施形態に係る飛翔体飛ばし装置の一部切り欠き説明図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】図1の飛翔体飛ばし装置の作用説明図である。
【図4】図3の一部拡大説明図である。
【図5】図1の飛翔体飛ばし装置を高位置に設置して使用した状態の作用説明図である。
【図6】飛翔体の斜視図である。
【図7】図4の飛翔体の平面図である。
【図8】図6のB−B線矢視図である。
【図9】飛翔体の他の形態の図である。
【符号の説明】
【0028】
10 飛翔体飛ばし装置
12 飛翔体
14 保持機構
16 順次解放装置
18 薄板状部材
22 貫通孔
28 索条
40 リール
42 駆動モータ
58 貫通体
60 仮ストッパ部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
自身に駆動源を持たず、重力下の自由状態で空中を滑空又は浮遊する複数の飛翔体と、
上下に配置した複数の飛翔体を地上に対して高位置で垂下状に保持する保持機構と、
最も下側に配置される飛翔体から順次1体ずつ保持機構による保持を所定の時間間隔で解放させる順次解放装置と、を有し、
解放順に複数の飛翔体を空中に飛ばすことを特徴とする飛翔体飛ばし装置。
【請求項2】
保持機構は、上下に配置した複数の飛翔体を上下に貫いた状態で保持する貫通体を含み、
貫通体を上方に移動させながら該貫通体により貫かれた最も下側に配置される飛翔体との係合を順次解除して該飛翔体を空中に飛ばすことを特徴とする請求項1記載の飛翔体飛ばし装置。
【請求項3】
貫通体は索条からなり、
最下端の飛翔体の索条貫通端部に複数の飛翔体の離脱を防止する仮ストッパ部が形成されるとともに、
最上端の飛翔体の上方側移動を規制する規制部が設けられ、
索条を上方に移動させることにより最下端の飛翔体を強制的に通過させながら仮ストッパ部による複数の飛翔体の離脱防止を順次解除する請求項2記載の飛翔体飛ばし装置。
【請求項4】
索条を上方に巻き取るように回転自在に設置されたリールと、
索条の巻取り方向にリールを回転駆動させる駆動モータと、を含む請求項3記載の飛翔体飛ばし装置。
【請求項5】
飛翔体は軽量薄板状部材からなる請求項1ないし4のいずれかに記載の飛翔体飛ばし装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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