説明

飛行時間取得システム

【解決手段】開示される飛行時間取得システムにおいて、デジタイザー(6)を用いて、飛行時間型質量分析計の加速電極に印可される加速パルス(2)をデジタル化する。次に、デジタイザー(6)を切り替えて、イオン検出器(5)から出力されるイオン到達信号をデジタル化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[クロスリファレンス]
本出願は、2009年6月26日に出願された米国仮特許出願No.US61/220,621及び2009年5月13日に出願された英国特許出願No.0908210.8に基づく優先権を主張するものであり、前記出願の内容は、参照することにより、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、質量分析計及び質量分析の方法に関する。好適な実施形態において、飛行時間取得システムが提供される。
【背景技術】
【0003】
当業者には自明のように、加速パルスと検出器信号の両方のサンプリングを行なうために、飛行時間型質量分析器により検出されるイオンの記録時間には不確かさが伴う。不確かさの合計は、サンプリングの間隔に要する時間程度までとなるが、この不確かさは、飛行時間取得システムがサンプリングクロックと非同期であることに起因する。
【0004】
単一のイオン飛行に関して、タイミングの不確かさにより、検出イオンの記録された、または求められた質量または質量対電荷比に誤差が生じる結果となる。多くのイオン飛行を統合することにより、統合されたイオン飛行数の平方根で誤差が減少するが、それでもなお、不確かさにより、統合させた検出信号の幅が拡大して、システム解像度が明らかに減少する結果となる。
【0005】
サンプリングクロックから加速パルスを開始する試みが従来なされている。しかし、このアプローチには、加速イベントの際にジッターを誘導してしまうという問題がある。このジッターは、タイミングの不確かさに相当する。イオンの到達時間がサンプリング時間の正確な整数倍になるとは考えにくいため、このような周知のアプローチでは、検出信号の非同期の問題を解決できない。このため、周知の構成では、より多数のイオン飛行を統合しても抑制できない系統的なタイミング誤差の問題がある。
【0006】
上記の問題を解決した質量分析の方法及び質量分析計を提供することが望まれている。
【発明の概要】
【0007】
本発明の一つの態様は、質量分析の方法であって、
加速パルスを加速電極に印加して、イオンを加速させ、質量分析器のフィールドフリー領域またはドリフト領域内に入れて、
前記フィールドフリー領域またはドリフト領域を前記イオンが通過後に、イオン検出器を用いて前記イオンの少なくとも一部を検出し、
前記イオン検出器から出力されるイオン到達信号をデジタル化して、イオン到達時間を求め、
さらに、前記加速パルスをデジタル化して、イオン加速時間を求める。
【0008】
第1のサンプリングクロックを参照して、第1のアナログ・デジタル変換器により前記加速パルスを取得またはデジタル化することが望ましい。また、前記第1のサンプリングクロックを参照して、前記同じ第1のアナログ・デジタル変換器により前記イオン到達信号を取得またはデジタル化することが望ましい。
【0009】
動作モードにおいて、前記アナログ・デジタル変換器を、前記加速パルスを取得またはデジタル化するように初期設定して、その後、前記イオン到達信号を取得またはデジタル化するように切り替える。
【0010】
第1のサンプリングクロックを参照して、第1のアナログ・デジタル変換器により前記加速パルスを取得またはデジタル化し、その後、異なる第2のアナログ・デジタル変換器により前記イオン到達信号を取得またはデジタル化するようにしてもよい。前記第2のアナログ・デジタル変換器が、前記第1のアナログ・デジタル変換器と同期することが望ましい。
【0011】
前記求めたイオン到達時間と前記求めたイオン加速時間との間の差に基づいて、イオンの質量または質量対電荷比を求めることが望ましい。
【0012】
好適な実施形態において、前記イオンを直交加速させて、前記フィールドフリー領域またはドリフト領域内に入れる。
【0013】
前記加速パルスをデジタル化することは、さらに、前記加速パルスのパルスの高さのx%に対応する時間を求めることを備え、
xは、(i)<10、(ii)10〜20、(iii)20〜30、(iv)30〜40、(v)40〜50、(vi)50〜60、(vii)60〜70、(viii)70〜80、(ix)80〜90及び(x)>90からなる群から選択される。
【0014】
好適な実施形態において、前記イオン到達時間を求めることは、さらに、イオン到達ピークの質量中心を求めることを備える。
【0015】
本発明の他の態様は、質量分析計であって、
加速パルスが印加される加速電極であって、使用時に、イオンを加速させて、質量分析器のフィールドフリー領域またはドリフト領域内に入れる加速電極と、
前記フィールドフリー領域またはドリフト領域を前記イオンが通過後に、前記イオンの少なくとも一部を検出するように構成及び適合されるイオン検出器と、
前記イオン検出器から出力されるイオン到達信号をデジタル化して、イオン到達時間を求めるように構成及び適合されるデジタイザーと、を備え、
さらに、前記加速パルスをデジタル化して、イオン加速時間を求めるようにデジタイザーが構成及び適合される。
【0016】
前記デジタイザーは、望ましくは、第1のサンプリングクロックを参照して、前記加速パルスを取得またはデジタル化するように構成及び適合される第1のアナログ・デジタル変換器を備え、前記第1のサンプリングクロックを参照して、前記同じ第1のアナログ・デジタル変換器により前記イオン到達信号を取得またはデジタル化する。
【0017】
質量分析計は、望ましくは、さらに、スイッチを備え、動作モードにおいて、前記スイッチにより、前記加速パルスを取得またはデジタル化するように前記アナログ・デジタル変換器を初期設定して、前記アナログ・デジタル変換器がその後で前記イオン到達信号を取得またはデジタル化するように、前記スイッチを設定する。
【0018】
質量分析計が、第1のアナログ・デジタル変換器と 異なる第2のアナログ・デジタル変換器と、を備えるようにしてもよい。この実施形態において、第1のサンプリングクロックを参照して、前記第1のアナログ・デジタル変換器により前記加速パルスを取得またはデジタル化し、その後、前記第2のアナログ・デジタル変換器により前記イオン到達信号を取得またはデジタル化する。前記第2のアナログ・デジタル変換器は、使用時に、前記第1のアナログ・デジタル変換器と同期するように構成及び適合されることが望ましい。
【0019】
好適な実施形態において、質量分析計は、望ましくは、直交加速飛行時間型質量分析器を備える。
【0020】
好適な実施形態において、同じアナログ・デジタル変換器(Analog to Digital Converter:ADC)と、イオン検出器により出力される検出器信号の取得とデジタル化に望ましくは用いられるサンプリングクロックと、を用いて、加速パルスのプロファイルを取得することが望ましい。デジタイザーは、検出器出力と加速パルスとの間で切り替えられることが望ましく、質量分析器のドリフト領域またはフィールドフリー領域へのイオン飛行の開始時に加速パルスを最初にサンプリングして、その後、検出器出力をサンプリングすることが望ましい。加速パルスのプロファイルをリアルタイムで調べて、加速パルス状の特異点の時間位置を求めることが望ましい。一実施形態において、パルス前縁の50%ポイントを特異点としてもよい。サンプリングクロックの精度よりも高い精度で位置を記録することが望ましい。質量分析器のドリフト領域またはフィールドフリー領域内にイオンが加速されると考えられる正確な時間を、サンプリングクロックの精度よりも高い精度で望ましくはその後に記録されるイオン到達時間から引くことが望ましい。
【0021】
第1のアナログ・デジタル変換器及び/または第2のアナログ・デジタル変換器は、望ましくは、アナログ電圧をデジタル出力に変換するように構成される。第1のアナログ・デジタル変換器及び/または第2のアナログ・デジタル変換器は、望ましくは、(a)(i)<1GHz、(ii)1〜2GHz、(iii)2〜3GHz、(iv)3〜4GHz、(v)4〜5GHz、(vi)5〜6GHz、(vii)6〜7GHz、(viii)7〜8GHz、(ix)8〜9GHz、(x)9〜10GHz及び(xi)>10GHzからなる群から選択されるデジタル化率で、使用時に動作するように構成される、及び/または、(b)(i)少なくとも4ビット、(ii)少なくとも5ビット、(iii)少なくとも6ビット、(iv)少なくとも7ビット、(v)少なくとも8ビット、(vi)少なくとも9ビット、(vii)少なくとも10ビット、(viii)少なくとも11ビット、(ix)少なくとも12ビット、(x)少なくとも13ビット、(xi)少なくとも14ビット、(xii)少なくとも15ビット及び(xiii)少なくとも16ビットからなる群から選択される解像度を備える。
【0022】
質量分析計は、望ましくは、さらに、
(a)前記イオン検出器の上流側に配置されるイオン源であって、(i)エレクトロスプレーイオン化(Electrospray ionization: ESI)イオン源、(ii)大気圧光イオン化(Atmospheric Pressure Photo Ionization: APPI)イオン源、(iii)大気圧化学イオン化(Atmospheric Pressure Chemical Ionization: APCI)イオン源、(iv)マトリックス支援レーザー脱離イオン化(Matrix Assisted Laser Desorption Ionization: MALDI)イオン源、(v)レーザー脱離イオン化(Laser Desorption Ionization: LDI)イオン源、(vi)大気圧イオン化(Atmospheric Pressure Ionization: API)イオン源、(vii)シリコンを用いた脱離イオン化(Desorption Ionization on Silicon: DIOS)イオン源、(viii)電子衝撃(Electron Impact: EI)イオン源、(ix)化学イオン化(Chemical Ionization: CI)イオン源、(x)電界イオン化(Field Ionization: FI)イオン源、(xi)電界脱離(Field Desorption: FD)イオン源、(xii)誘導結合プラズマ(Inductively Coupled Plasma: ICP)イオン源、(xiii)高速原子衝撃(Fast Atom Bombardment: FAB)イオン源、(xiv)液体二次イオン質量分析(Liquid Secondary Ion Mass Spectrometry: LSIMS)イオン源、(xv)脱離エレクトロスプレーイオン化(Desorption Electrospray Ionization: DESI)イオン源、(xvi)ニッケル−63放射性イオン源、(xvii)大気圧マトリックス支援レーザー脱離イオン化(Atmospheric Pressure Matrix Assisted Laser Desorption Ionization)イオン源及び(xviii)サーモスプレーイオン源からなる群から選択されるイオン源、及び/または、
(b)前記イオン検出器の上流側に配置される1つ以上のイオンガイド、及び/または、
(c)前記イオン検出器の上流側に配置される1つ以上のイオン移動度分離装置、及び/または、電界非対称イオン移動度分光計(Field Asymmetric Ion Mobility Spectrometer)、及び/または、
(d)前記イオン検出器の上流側に配置される1つ以上のイオントラップまたは1つ以上のイオントラップ領域、及び/または、
(e)前記イオン検出器の上流側に配置される衝突、フラグメンテーション(断片化)または反応セルであって、(i)衝突誘起解離(Collisional Induced Dissociation: CID)フラグメンテーション装置、(ii)表面誘起解離(Surface Induced Dissociation: SID)フラグメンテーション装置、(iii)電子移動解離(Electron Transfer Dissociation)フラグメンテーション装置、(iv)電子捕獲解離(Electron Capture Dissociation)フラグメンテーション装置、(v)電子衝突(Electron Collision)または電子衝撃解離(Electron Impact Dissociation)フラグメンテーション装置、(vi)光誘起解離(Photo Induced Dissociation: PID)フラグメンテーション装置、(vii)レーザー誘起解離(Laser Induced Dissociation)フラグメンテーション装置、(viii)赤外線誘起解離装置、(ix)紫外線誘起解離装置、(x)ノズル・スキマー・インターフェース・フラグメンテーション装置、(xi)インソースフラグメンテーション装置、(xii)インソース衝突誘起解離(Collision Induced Dissociation)フラグメンテーション装置、(xiii)熱源または温度源フラグメンテーション装置、(xiv)電場誘起フラグメンテーション装置、(xv)磁場誘起フラグメンテーション装置、(xvi)酵素消化または酵素分解フラグメンテーション装置、(xvii)イオン−イオン反応フラグメンテーション装置、(xviii)イオン−分子反応フラグメンテーション装置、(xix)イオン−原子反応フラグメンテーション装置、(xx)イオン−準安定イオン反応フラグメンテーション装置、(xxi)イオン−準安定分子反応フラグメンテーション装置、(xxii)イオン−準安定原子反応フラグメンテーション装置、(xxiii)イオンの反応により付加イオンまたはプロダクトイオン(生成イオン)を形成するイオン−イオン反応装置、(xxiv)イオンの反応により付加イオンまたはプロダクトイオンを形成するイオン−分子反応装置、(xxv)イオンの反応により付加イオンまたはプロダクトイオンを形成するイオン−原子反応装置、(xxvi)イオンの反応により付加イオンまたはプロダクトイオンを形成するイオン−準安定イオン反応装置、(xxvii)イオンの反応により付加イオンまたはプロダクトイオンを形成するイオン−準安定分子反応装置、及び(xxviii)イオンの反応により付加イオンまたはプロダクトイオンを形成するイオン−準安定原子反応装置からなる群から選択される衝突、フラグメンテーションまたは反応セル、を備える。
【0023】
以下、本発明のさまざまな実施形態を、例示を目的とした他の構成と共に、ほんの一例として、添付の図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態における飛行時間型質量分析計を示す図。
【図2】最も近いクロックサンプルに対して加速イベント及び飛行時間を記録する周知のアプローチを示す図。
【図3】最も近いクロックサンプルに対して加速イベントを記録し、また、イオンピークの質量中心を求めることによって、より高い精度で飛行時間を記録させる従来のアプローチを示す図。
【図4】より高い精度で加速イベントと飛行時間の両方を記録する本発明の好適な実施形態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1を参照して、本発明の好適な実施形態を説明する。図1に、本発明の一実施形態における飛行時間型質量分析計であって、イオン源1と、質量分析器のフィールドフリー領域またはドリフト領域4に隣接して配置される直交加速電極に直交加速パルス2を印加することにより加速領域3を駆動するように構成される加速パルス生成部と、を備える。質量分析器のフィールドフリー領域またはドリフト領域4の出口領域にイオン検出器5が配置されることが望ましい。
【0026】
さらに、望ましくは、デジタイザー6が備えられ、スイッチ7により、デジタイザー6の入力が、検出器出力または加速パルスのいずれかに接続されることが望ましい。検出器出力またはデジタイザー出力は、処理装置8により処理されて、記憶装置9に格納されることが望ましい。
【0027】
イオン源1で形成されたイオンが、直交加速領域3に入力され、直交加速領域3内で加速パルス2によりフィールドフリー領域またはドリフト領域4内に入れられることが望ましい。加速パルス2により与えられるエネルギー及びイオンの質量または質量対電荷比によって決まる速度まで、イオンを加速することが望ましい。比較的低い質量対電荷比を有するイオンは、比較的高速であり、比較的高い質量対電荷比を有するイオンよりも先にイオン検出器5に到達する。
【0028】
イオンの速度及びイオンの質量または質量対電荷比を求めることができる移動距離により決まる時間の後、イオンは、イオン検出器5に到達する。
【0029】
加速パルス2の開始から、比較的低い質量対電荷比を有するイオンが実際にイオン検出器5に到達するまでには、時間差がある。好適な実施形態において、この時間を利用して、加速パルス2をデジタル化し、デジタル化クロックに対するパルスの前縁上のポイントを正確に求める。一実施形態において、求められたパルス前縁上のポイントは、パルス幅とベースラインとの間の差の50%強度を有するポイントに対応するものでもよい。このポイントが、加速パルス2が直交加速電極に有効に印加され、イオンが加速されてフィールドフリー領域またはドリフト領域4内に入る時点に対応すると考えてもよい。多くのポイントをデジタル化することにより、サンプリングクロックの精度よりも高い精度で、50%の高さポイントの位置を求めることができる。求めた位置を、記憶装置9に格納することが望ましい。
【0030】
加速パルス2が生成される直前に、デジタイザー6が加速パルス2のサンプリングを行なうことができるように、スイッチ7の位置決めを行なう、すなわち、スイッチ7を切り替えることが望ましい。デジタイザー6が加速パルス2をサンプリングした後、デジタイザー6がイオン検出器5から出力される検出器信号のサンプリングを行なうことができるように、スイッチ7の位置決めを行なう、すなわち、スイッチ7を切り替えることが望ましい。
【0031】
イオン検出器5に到達したイオンをサンプリングして、イオンの到達時間を示す値を処理装置8により算出することが望ましい。多くのポイントをデジタル化することにより、サンプリングクロックの精度よりも高い精度でこの値を求めることができる。加速パルス2の開始に対応して先に求めた位置を、求めた飛行時間から減算することが望ましく、また、得られた値を記憶装置9に格納することが望ましい。
【0032】
複数の加速イベントから複数のイオン到達例を記録することによりスペクトルを形成することが望ましい。
【0033】
図2に、最も近いクロックサンプルに対して加速イベント及び飛行時間の両方を記録する周知のアプローチを示す。
【0034】
図3に、最も近いクロックサンプルに対して加速イベントを記録し、また、イオンピークの質量中心を求めることによって、図2に示した従来のアプローチよりも高い精度で飛行時間を記録させる従来の別のアプローチを示す。
【0035】
図4に、図2に示した従来のアプローチよりも高い精度で加速イベントと結果として得られるイオンの飛行時間の両方を記録する本発明の好適な実施形態を示す。
【0036】
好適な実施形態において、加速パルス2の前縁がパルスの高さの50%に到達した時点に対応する第1の時間(時間1)を求める。第1の時間(時間1)は、イオンが最初に直交加速されて、フィールドフリー領域またはドリフト領域4内に入る時点に対応すると考えられる。さらに、イオン検出器5からの出力であるイオンピークの質量中心に望ましくは対応する第2の時間(時間2)を求める。第2の時間(時間2)から第1の時間(時間1)を引くことにより、イオンの飛行時間を求めることが望ましい。
【0037】
別の実施形態において、スイッチ7を省略して、同期させた第2のADCを備えるようにしてもよい。一方のADCを加速パルス2のサンプリングを行なうように配置して、他方のADCをイオン検出器5からの出力であるイオンピークのサンプリングを行なうように配置してもよい。
【0038】
以上、本発明をその好適な実施形態を参照して詳述したが、当業者には自明のことであるが、特許請求の範囲に記載される本発明の要旨を逸脱しない範囲において、形態や詳細において、種々の変形や変更が可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
質量分析の方法であって、
加速パルス(2)を加速電極に印加して、イオンを加速させ、質量分析器のフィールドフリー領域またはドリフト領域(4)内に入れて、
前記フィールドフリー領域またはドリフト領域(4)を前記イオンが通過後に、イオン検出器(5)を用いて前記イオンの少なくとも一部を検出し、
前記イオン検出器(5)から出力されるイオン到達信号をデジタル化して、イオン到達時間を求め、
さらに、前記加速パルス(2)をデジタル化して、イオン加速時間を求める
質量分析の方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
第1のサンプリングクロックを参照して、第1のアナログ・デジタル変換器(6)により前記加速パルス(2)を取得またはデジタル化し、
前記第1のサンプリングクロックを参照して、前記同じ第1のアナログ・デジタル変換器(6)により前記イオン到達信号を取得またはデジタル化する
方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって、
動作モードにおいて、前記アナログ・デジタル変換器(6)を、前記加速パルス(2)を取得またはデジタル化するように初期設定して、その後、前記イオン到達信号を取得またはデジタル化するように切り替える方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、
第1のサンプリングクロックを参照して、第1のアナログ・デジタル変換器(6)により前記加速パルス(2)を取得またはデジタル化し、
異なる第2のアナログ・デジタル変換器により前記イオン到達信号を取得またはデジタル化する
方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法であって、
前記第2のアナログ・デジタル変換器が、前記第1のアナログ・デジタル変換器(6)と同期する方法。
【請求項6】
前記いずれかの請求項に記載の方法であって、
前記求めたイオン到達時間と前記求めたイオン加速時間との間の差に基づいて、イオンの質量または質量対電荷比を求める方法。
【請求項7】
前記いずれかの請求項に記載の方法であって、
前記イオンを直交加速させて、前記フィールドフリー領域またはドリフト領域(4)内に入れる方法。
【請求項8】
前記いずれかの請求項に記載の方法であって、
前記加速パルス(2)をデジタル化することは、さらに、前記加速パルス(2)のパルスの高さのx%に対応する時間を求めることを備え、
xは、(i)<10、(ii)10〜20、(iii)20〜30、(iv)30〜40、(v)40〜50、(vi)50〜60、(vii)60〜70、(viii)70〜80、(ix)80〜90及び(x)>90からなる群から選択される
方法。
【請求項9】
前記いずれかの請求項に記載の方法であって、
前記イオン到達時間を求めることは、さらに、イオン到達ピークの質量中心を求めることを備える方法。
【請求項10】
質量分析計であって、
加速パルス(2)が印加される加速電極であって、使用時に、イオンを加速させて、質量分析器のフィールドフリー領域またはドリフト領域(4)内に入れる加速電極と、
前記フィールドフリー領域またはドリフト領域(4)を前記イオンが通過後に、前記イオンの少なくとも一部を検出するように構成及び適合されるイオン検出器(5)と、
前記イオン検出器(5)から出力されるイオン到達信号をデジタル化して、イオン到達時間を求めるように構成及び適合されるデジタイザー(6)と、を備え、
さらに、前記加速パルス(2)をデジタル化して、イオン加速時間を求めるようにデジタイザーが構成及び適合される
質量分析計。
【請求項11】
請求項10に記載の質量分析計であって、
前記デジタイザー(6)が、第1のサンプリングクロックを参照して、前記加速パルス(2)を取得またはデジタル化するように構成及び適合される第1のアナログ・デジタル変換器(6)を備え、
前記第1のサンプリングクロックを参照して、前記同じ第1のアナログ・デジタル変換器(6)により前記イオン到達信号を取得またはデジタル化する
質量分析計。
【請求項12】
請求項11に記載の質量分析計であって、
さらに、スイッチ(7)を備え、
動作モードにおいて、前記スイッチ(7)により、前記加速パルス(2)を取得またはデジタル化するように前記アナログ・デジタル変換器(6)を初期設定して、
前記アナログ・デジタル変換器(6)がその後で前記イオン到達信号を取得またはデジタル化するように、前記スイッチ(7)を設定する、質量分析計。
【請求項13】
請求項10に記載の質量分析計であって、
第1のアナログ・デジタル変換器(6)と 異なる第2のアナログ・デジタル変換器と、を備え、
第1のサンプリングクロックを参照して、前記第1のアナログ・デジタル変換器(6)により前記加速パルス(2)を取得またはデジタル化し、
前記第2のアナログ・デジタル変換器により前記イオン到達信号を取得またはデジタル化する
質量分析計。
【請求項14】
請求項13に記載の質量分析計であって、
前記第2のアナログ・デジタル変換器は、使用時に、前記第1のアナログ・デジタル変換器(6)と同期するように構成及び適合される質量分析計。
【請求項15】
請求項10ないし請求項14のいずれかの請求項に記載の質量分析計であって、
直交加速飛行時間型質量分析器を備える質量分析計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−527601(P2012−527601A)
【公表日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−510365(P2012−510365)
【出願日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際出願番号】PCT/GB2010/000962
【国際公開番号】WO2010/131002
【国際公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(509314666)マイクロマス・ユーケイ・リミテッド (19)
【氏名又は名称原語表記】MICROMASS UK LIMITED
【Fターム(参考)】