食パンの製造方法、食パン、及びサンドイッチ
【課題】切断面に1又は複数個の渦巻き模様が略均一に、かつ、定形的に形成されるようにした食パンの製造方法と、その食パンを提供する。
【解決手段】互いに色彩が異なる少なくとも2以上のパン生地をそれぞれ作成する。次いで、第一の色彩を有する第一パン生地に対し、この第一パン生地とは色彩が異なる第二パン生地を複数回に分けて添加し、この第二パン生地の添加ごとに混合する。引き続き、混合したパン生地を分割し、それぞれ圧延し、さらに、縁部より巻き上げて棒状に成形する。そして、棒状に成形した棒状パン生地を、1本又は複数本並列に焼成型内に載置し型詰し、最終醗酵をとって焼成する。
【解決手段】互いに色彩が異なる少なくとも2以上のパン生地をそれぞれ作成する。次いで、第一の色彩を有する第一パン生地に対し、この第一パン生地とは色彩が異なる第二パン生地を複数回に分けて添加し、この第二パン生地の添加ごとに混合する。引き続き、混合したパン生地を分割し、それぞれ圧延し、さらに、縁部より巻き上げて棒状に成形する。そして、棒状に成形した棒状パン生地を、1本又は複数本並列に焼成型内に載置し型詰し、最終醗酵をとって焼成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切断したときの断面に外観上視覚的に特徴のある模様が露呈する食パンの製造方法と、その食パン、及びこの食パンを用いたサンドイッチに係り、詳しくは、食パンの切断面(すなわち、食パン片の表面)に1又は複数個の渦巻き模様が略均一に、かつ、定形的に形成されるようにした技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、通常のパン生地の色を有するパン生地である「白生地」と、ココアや果汁等により着色されたパン生地である「色生地」を組み合わせて、たとえば2色といった異なる色彩を有するパンを製造することが行われている。この場合、白生地と色生地を組み合わせるときに、両者のパン生地を混合し過ぎてしまうと、両者が均一に混ざり合い、両者が備える色彩の中間的な単一色のパン(生地)となってしまう。
【0003】
このような弊害を避けるため、両者が均一に混ざり合うことの無い程度に混合して2色を有するパン生地を作成し、これを焼成する方法が考えられる。しかしながら、この方法では、両者が均一に混ざり合うことの無いように混合を僅かにしか行わない結果、色生地が十分に分散されず、白生地中に色生地が偏在してしまうという不都合がある。また、仮に色生地を白生地中に満遍なく分散させることができたとしても、この方法で得られる色生地に由来する模様は不定形であり、焼成後の食パンの切断面に定形的な渦巻き模様を安定して形成させることは困難であった。
【0004】
そこで、食パンの切断面に定形的な渦巻き模様を安定して形成させるために、たとえば、色彩の異なる2枚のシート状パン生地を用意し、両者を重ねて巻き上げたパン生地を焼成する方法が考えられる。ところが、この方法においては、2種類の生地を別々に作成のうえ、シート状に成形し、さらに両者を組み合わせて(重ね合わせて)巻き上げるという、食パンの製造過程においては特殊な成形方法を採用する必要があり、成形作業が煩雑となる。また、これを機械的に行う場合には特殊な機械、たとえば、具体的には、デニッシュペストリー生地を製造するにあたり使用する、パン生地を薄く伸してシート状にし、これに油脂を折り畳んで成形するシーターテーブル等の機械が必要となる。
【0005】
また、パンの切断面に特定の模様や絵柄を与えるために、醗酵・焼成時のパン生地の膨張を考慮のうえ、異なる色彩のパン生地を適宜成形し、これらを張り合わせたり、重ねたりしてから、最終醗酵・焼成する食パンの製造方法が提案されている(特許文献1を参照)。
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の方法は、異なる色彩のパン生地を得た後、それぞれのパン生地を所望の形状に成形し、これらを特定の模様や絵柄となるように張り合わせるといった食パンの製造過程には無い作業が必要であり、食パンの製造過程上、その煩に耐えるものではない。特に、食パンを大量生産する工場等の現場において当該方法を採用することは現実的ではない。
【0007】
一方、従来のサンドイッチにおいては、サンドする具材の選択や、サンドイッチ用のパンとして通常使用される食パン以外のパン、たとえばフランスパン、ロールパン、クロワッサンもしくはベーグル等を用いて、そのバラエティ化が図られている。しかしながら、外観上視覚的に特徴のある食パン、特に、渦巻き模様を有する食パンは、上述したような製造上の課題があるため、食パンを用いたサンドイッチにおいては、そのサンドする具材に変化をもたせる以外にバラエティ化を図ることは困難であった。
【0008】
また、サンドイッチとして、シート状食パン片の間に具材を挟んでその周囲を圧着した密閉型サンドイッチが提案され、近年、この密閉型サンドイッチの需要が増大しているが、そのようなサンドイッチは皆同じような外観であり特徴がない。しかも、密閉型であることから、外観からは、サンドされた具材が何であるか判別できないという難点があった。
このように、食パンの製造過程には無い煩雑な工程又は特殊な機械を用いることなく、外観上視覚的に特徴のある食パンの製造方法と、その食パン、及び具材に頼らずにバラエティ化が図られたサンドイッチは、現在のところ何ら提案されていない。
【特許文献1】特開昭64−34235号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みて成されたものであり、食パンの製造過程には無い煩雑な工程又は特殊な機械を要することなく、その切断面に1又は複数個の渦巻き模様が略均一に、かつ、定形的に形成されるようにした食パンの製造方法と、その食パンを提供することを目的とする。
また、本発明は、具材に頼らずにバラエティ化が図られた斬新なサンドイッチを提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、複数種類の色彩の異なるパン生地を用いて切断面に1又は複数個の渦巻き模様を有する食パンを製造するにあたり、一方のパン生地を分割して複数回に分けて、順次、他方の種類のパン生地に添加・混合するとともに、両者を混合した後のパン生地を巻き上げて棒状に成形することにより、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は、以下の各発明を包含する。
【0011】
本発明の請求項1に係る食パンの製造方法は、互いに色彩が異なる少なくとも2以上のパン生地をそれぞれ作成する第一工程と、前記第一工程で作成した、第一の色彩を有する第一パン生地に対し、この第一パン生地とは色彩が異なる第二パン生地を複数回に分けて添加し、前記第二パン生地の添加ごとに混合する第二工程と、前記第二工程で混合したパン生地を分割する第三工程と、前記第三工程で分割したパン生地をそれぞれ圧延し、さらに、縁部より巻き上げて棒状に成形する第四工程と、前記第四工程で棒状に成形した棒状パン生地を、1本又は複数本並列に焼成型内に載置し型詰する第五工程と、前記第五工程で焼成型内に載置した棒状パン生地を最終醗酵する第六工程と、前記第六工程で最終醗酵した棒状パン生地を焼成する第七工程と、を含み、前記第七工程で焼成した後のパンを前記棒状パン生地であったときの長手方向に対して横断する方向で切断したときの断面に渦巻き模様が露呈することとなることを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項2に係る食パンの製造方法は、前記請求項1において、第二工程が、第一パン生地が100質量%に対し、第二パン生地を5〜50質量%使用することを特徴とする。
【0013】
本発明の請求項3に係る食パンの製造方法は、前記請求項1又は2において、第二工程が、第二パン生地の30〜70質量%を最初に添加することを特徴とする。
【0014】
本発明の請求項4に係る食パンの製造方法は、前記請求項1乃至3のいずれか1項において、前記第二工程が、前記第二パン生地を三回以上に分けて添加するとき、二回目以降に添加する前記第二パン生地を均等割合の量で添加することを特徴とする。
【0015】
本発明の請求項5に係る食パンの製造方法は、前記請求項1又は2において、第二工程が、第二パン生地を均等割合の量で添加することを特徴とする。
【0016】
本発明の請求項6に係る食パンの製造方法は、前記請求項1乃至5のいずれか1項において、第二工程が、第一パン生地に対し添加する1回分の第二パン生地を複数個に分割し、この分割した各第二パン生地をそれぞれ、第一パン生地又は既に混合された第一・第二パン生地の異なる位置に添加することを特徴とする。
【0017】
本発明の請求項7に係る食パンの製造方法は、前記請求項1乃至6のいずれか1項において、前記第一パン生地と前記第二パン生地との混合に回転軸が水平向きに配置されて回転するミキサーを用いるとき、 前記第二工程は、前記第一パン生地に対し最初に添加した前記第二パン生地の混合を、前記ミキサーを略半回転させることにより行うことを特徴とする。
【0018】
本発明の請求項8に係る食パンの製造方法は、前記請求項1乃至7のいずれか1項において、前記第一パン生地と前記第二パン生地との混合に回転軸が水平向きに配置されて回転するミキサーを用いるとき、前記第二工程は、前記第一パン生地に対し二回目以降に添加した前記第二パン生地の混合を、前記ミキサーを15〜40rpmの回転速度で5〜20秒間回転させることより行うことを特徴とする。
【0019】
本発明の請求項9に係る食パンの製造方法は、前記請求項1乃至7のいずれか1項において、前記第一パン生地と前記第二パン生地との混合に回転軸が水平向きに配置されて回転するミキサーを用いるとき、前記第二工程は、前記第一パン生地に対し二回目以降に添加した前記第二パン生地の混合を、前記ミキサーを寸動させることにより行うことを特徴とする。
【0020】
本発明の請求項10に係る食パンの製造方法は、前記請求項1乃至6のいずれか1項において、前記第一パン生地と前記第二パン生地との混合に回転軸が水平向きに配置されて回転するミキサーを用いるとき、前記第二工程は、前記第一パン生地に対し添加した前記第二パン生地の混合を、前記ミキサーを寸動させることにより行うことを特徴とする。
【0021】
本発明の請求項11に係る食パンの製造方法は、前記請求項1乃至10のいずれか1項において、前記第一工程は、互いに色彩の異なる3以上のパン生地をそれぞれ作成し、
前記第二工程は、互いに色彩の異なる2以上のパン生地を第二パン生地とし、この互いに色彩の異なる2以上の第二パン生地を前記第一パン生地に対して、一緒に又は別々に添加する、ことを特徴とする。
【0022】
本発明の請求項12に係る食パンの製造方法は、前記請求項1乃至11のいずれか1項において、前記第一工程乃至第四工程により棒状パン生地を作成し、これとは別に、前記第一工程乃至第四工程により、前記棒状パン生地を構成する第一パン生地及び/又は第二パン生地とは色彩の異なる第一パン生地及び第二パン生地からなる棒状パン生地を1種類又は互いに色彩の異なる2種類以上を作成し、これらの棒状パン生地を複数本並列に焼成型内に載置し型詰する、ことを特徴とする。
【0023】
本発明の請求項13に係る食パンの製造方法は、前記請求項1乃至12のいずれか1項において、前記第七工程は、前記焼成型に蓋をして焼成することを特徴とする。
【0024】
本発明の請求項14に係る食パンは、前記請求項1乃至13のいずれか1項に記載の食パンの製造方法により製造したことを特徴とする食パン。
【0025】
本発明の請求項15に係るサンドイッチは、前記請求項1乃至13のいずれか1項に記載の食パンの製造方法により製造した食パンを、前記棒状パン生地であったときの長手方向に対し横断する方向に切断して所望の厚さとしたシート状食パン片とし、このシート状食パン片を用いて具材を挟むことにより製造したことを特徴とする。
【0026】
本発明の請求項16に係るサンドイッチは、前記請求項15において、サンドイッチが、具材を挟んだシート状食パン片の周囲を圧着した密閉型サンドイッチであることを特徴とする。
【0027】
本発明の請求項17に係るサンドイッチは、前記請求項16において、サンドイッチが、圧着した部位より外側に位置するシート状食パン片の外周部を切除したものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
本発明は、第一パン生地に対し、色彩の異なる第二パン生地を分割して複数回に分けて添加し、この第二パン生地の添加ごとに混合する。これにより、第一パン生地と第二パン生地とを混合し過ぎてしまうことにより生地が単一色となってしまう不都合や、第一パン生地と第二パン生地との不十分な混合により第一パン生地中に第二パン生地が偏在してしまうといった不都合が解消され、僅かな混合であっても第一パン生地中に第二パン生地が効率良く分散し、略均一な渦巻き模様を形成することが可能になる。また、本発明は、第一パン生地中に第二パン生地が効率良く分散するように混合したこのパン生地を、圧延して縁部より巻き上げて棒状に成形する。これにより、第一パン生地中に第二パン生地が効率良く分散したパン生地が、規則的に巻き上げられたものとなり、定形的に渦巻き模様を形成することが可能になる。
したがって、通常の食パンの製造過程には無い煩雑な工程を要することや、特殊な機械を用いることなく、切断したときの面に1又は複数個の渦巻き模様が略均一に、かつ、定形的に形成されるようにした食パンの製造方法と、その食パンを提供することができる。
【0029】
また、本発明は、上述した食パンの製造方法により製造した食パンを、棒状パン生地であったときの長手方向に対し横断する方向に切断して所望の厚さとしたシート状食パン片を用いてサンドイッチを製造する。これにより、シート状食パン片の表面(食パンの断面)に外観上視覚的に特徴のある渦巻き模様が1又は複数個露呈するサンドイッチとすることができる。ゆえに、サンドする具材に変化をもたせること無く、サンドイッチのバラエティ化を図ることができる。
したがって、具材に頼らずにバラエティ化が図られた斬新なサンドイッチを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明における実施の形態の一例について、図面を参照して説明する。
本発明で意図する食パンの製造方法は、焼成した後のパンを、棒状に成形した棒状パン生地であったときの長手方向に対して横断する方向で切断したときの断面に渦巻き模様が露呈することとなる食パンを製造する方法である。
なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるため技術的に種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、これらの形態に限られるものではない。
【0031】
<第1の実施の形態>
本実施の形態においては、色彩の異なる2種類のパン生地を用いて、切断したときの断面に3つの渦巻き模様が露呈することとなる3斤タイプの食パンを製造する場合を例に説明する。なお、本実施の形態においては、第一の色彩を有するパン生地を「第一パン生地」、この第一パン生地とは異なる第二の色彩を有するパン生地を「第二パン生地」とそれぞれ称する。
【0032】
図1は、本発明に係る食パンの製造方法の工程順を示すフローチャート図である。
図1に示すように、本実施の形態における食パンの製造方法は、第一工程としてのパン生地作成工程、第二工程としてのパン生地添加・混合工程、第三工程としての混合パン生地分割工程、第四工程としての分割パン生地成形工程、第五工程としての棒状成形パン生地型詰工程、第六工程としての型詰パン生地最終醗酵工程、第七工程としての醗酵パン生地焼成工程を備える。
【0033】
まず、パン生地作成工程(第一工程)は、図2に示すように、互いに色彩が異なる2種類のパン生地として、第一パン生地11及び第二パン生地12をそれぞれ作成する。
第一パン生地11及び第二パン生地12としては、いずれも、何ら特殊なパン生地である必要はなく、通常のパン生地を用いることができる。要は、両者の色彩が異なれば良い。したがって、第一パン生地11のみ着色しても良いし、第二パン生地12のみを着色しても良いし、或いは、両者が互いに異なる色彩となるように両者を着色しても良い。図2において、第一パン生地11は白色パン生地、第2パン生地12は着色パン生地として示されている。
【0034】
この第一パン生地11及び/又は第二パン生地12を着色するための着色材は、食用可能であれば、何ら限定されるものではなく、典型例としては、チョコレート、ココア、茶、果汁、ゴマ等が挙げられる。また、小麦の全粒又は胚芽の粉又は粒等を添加することにより着色することもできるし、又小麦以外の穀物の粒や粉等により着色しても良い。さらに、所謂「食用着色料」として販売されているものも当然に使用可能である。
【0035】
第一パン生地11及び第二パン生地12の原材料としては、何ら特殊なものを使用する必要が無く、通常の食パンに使用される原材料を使用することができる。具体的には、たとえば、小麦粉、パン酵母、水、糖類、油脂、乳製品、卵、塩、乳化剤、イーストフード、その他食用可能な任意の原材料を使用することができる。
【0036】
本実施の形態において、第一パン生地11及び第二パン生地12の作成は、常法により行うことができ、この工程では、それぞれのパン生地に必要な混捏が終了した状態のパン生地を作成する。したがって、たとえば、第一パン生地11及び第二パン生地12を中種法により作成する場合には、それぞれ、中種法の本捏工程が終了した状態のパン生地を作成する。また、ストレート法、その他の任意のパン製法を採用することも可能である。
【0037】
なお、本実施の形態において、第一パン生地11と第二パン生地12の使用割合は、特に限定されるものではないが、第二パン生地12を第一パン生地11より少量使用することが望ましい。たとえば第一パン生地11が100質量%に対し、第二パン生地12を5〜50質量%添加することが望ましく、同じく10〜40質量%とすることが更に望ましく、15〜30質量%とすることが最も望ましい。
【0038】
このように第一パン生地に対し添加する第二パン生地の全体量を調整すれば、分散する側の生地量が少量であり、少ない混合によって食パン10を切断したときの断面10aに綺麗な渦巻き模様101を確実に現出させ易くなる。
したがって、食パンを切断したときの断面に露呈する渦巻き模様において、第1の色彩と第2の色彩とのバランスを好ましいようにすることもできる。
【0039】
次に、パン生地添加・混合工程(第二工程)は、図3に示すように、パン生地作成工程で作成した第一の色彩を有する第一パン生地11と、この第一パン生地11とは色彩が異なる第二パン生地12とを混合する。本発明では、第一パン生地11に対し第二パン生地12を複数回に分けて添加し、第二パン生地12の第一パン生地11への添加ごとに混合する。
また、本発明では、図1に示す第二工程において点線で示すように、第二パン生地12の添加・混合工程を3回以上繰り返すものとしても良い。
【0040】
本実施の形態において、たとえば、第二パン生地12を2回に分けて第一パン生地11に添加・混合する場合、第一パン生地11及び第二パン生地12をそれぞれ作成した後、図3(a)に示すように、第一パン生地11に第二パン生地12の一部12aを添加して混合する。ここでの第一パン生地11と第二パン生地12(12a)との混合は、第一パン生地11と第二パン生地12(12a)とが完全に混ざり合い、混合後のパン生地が単一色のパン生地となることのないように混合する必要がある。図3(a)において、着色した第二パン生地12(12a)が白色の第一パン生地11中に満遍なく分散されている混合パン生地20aが示されている。
【0041】
引き続き、図3(b)に示すように、混合パン生地20aに第二パン生地12の残り12bを添加して混合する。ここでの混合も2種のパン生地が完全に混ざり合わないようにする必要がある。図3(b)において、着色した第二パン生地12(12a及び12b)が白色の第一パン生地11中に満遍なく分散されている最終の混合パン生地20が示されている。
【0042】
本実施の形態において、第一パン生地11に第二パン生地12を添加する場合、図10に示すように、添加する1回分の第二パン生地12を複数個に分割し、この分割した各第二パン生地12をそれぞれ、第一パン生地11又は既に混合された第一・第二パン生地(混合パン生地)20aの異なる位置に、分散させて載置することにより添加することが望ましい。
【0043】
この場合、この第二パン生地12を好ましくは2〜10個に分割し、さらに好ましくは3〜5個に分割して、それぞれ分散させて載置することが望ましい。ここでの第二パン生地12の分割数は、多くするほど第二パン生地12を第一パン生地11中に分散させ易くなるが、その反面、分割及び載置作業の煩雑性が増すことや、第二パン生地12が第一パン生地11に完全に混ざり合い易くなってしまう。したがって、上述した範囲の個数に分割することが好適である。図10(a)において、最初(1回目)に添加する1回分の第二パン生地12としてその一部12aが5つに分割され、この分割した各第二パン生地12−1,12−2,12−3,12−4,12−5がそれぞれ、第一パン生地11の異なる位置に、分散して載置されている状態が示されている。
【0044】
また、残りの第二パン生地12bを添加・混合する場合、以下の2つの好ましい形態がある。
まず、残りの第二パン生地12bの添加・混合方法A(第二パン生地の残部を1回で添加・混合する方法)は、最初(1回目)の添加・混合と同様の理由で、残りの第二パン生地12bを更に複数個に分割し、分割した第二パン生地12bをそれぞれ、既に混合された第一・第二パン生地(混合パン生地)20aの異なる位置に対し分散させて添加することが望ましい。また、この場合も、第二パン生地12bの分割個数は、好ましくは2〜10個、さらに好ましくは3〜5個として、それぞれ分散して載置することが望ましい。図10(b)において、2回目に添加する1回分の第二パン生地12として残り12bが5つに分割され、この分割した各第二パン生地12−1,12−2,12−3,12−4,12−5がそれぞれ、混合パン生地20aの異なる位置に、分散して載置されている状態が示されている。
この残りの第二パン生地12bを添加・混合Aは、残りの第二パン生地12bの添加後、2種のパン生地が完全に混ざり合わない程度に混合する。
【0045】
一方、残りの第二パン生地12bの添加・混合方法B(第二パン生地の残部を複数回に分けて添加・混合する方法)は、残りの第二パン生地12bを更に複数個に分割し、分割した複数個の第二パン生地12bのうちの一部を、まず既に混合された第一・第二パン生地(混合パン生地)20aに対して添加することが望ましい。ここで、添加する残りの第二パン生地12bの一部が1個の場合には、この一部を既に混合された第一・第二パン生地(混合パン生地)20aの任意の部位に載置することにより添加する。また、添加する残部の第二パン生地12bの一部が複数個の場合には、これら一部をそれぞれ、既に混合された第一・第二パン生地(混合パン生地)20aの任意の位置に分散させて載置して添加する。この場合、1回に添加する残部の第二パン生地12bを2〜10個添加することが望ましく、3〜5個添加することがより望ましい。この残りの第二パン生地12bの添加・混合は、具体的には、2〜10回繰り返すことが望ましく、3〜5回繰り返すことがより望ましい。
【0046】
従って、残りの第二パン生地12bの添加・混合方法Bでは、第二パン生地12の残り12bは、2〜100個に分割することが望ましく、4〜50個に分割することがより望ましく、6〜30個に分割することが更により望ましい。そして、残りの第二パン生地12bを1回に2〜10個ずつ添加することが望ましく、3〜5個ずつ添加することがより望ましい。図10(c)において、2回目以降に添加する第二パン生地12として残り12bが5つの第二パン生地12−1,12−2,12−3,12−4,12−5に分割され、この分割した一部の第二パン生地12−1(2回目又はそれ以降に添加する1回分の第二パン生地)が、さらに5つに分割され、この分割した各第二パン生地12−1a,12−1b,12−1c,12−1d,12−1eがそれぞれ、混合パン生地20aの任意の位置に載置されている状態が示されている。
【0047】
このように第一パン生地11に対し添加する1回分の第二パン生地12を分割すれば、予め第二パン生地12が分散して添加されているので、第一パン生地11と第二パン生地12とが均一に混合することなく、第一パン生地11中に第二パン生地12を満遍なく分散させ、且つ焼成後の食パンの断面に綺麗な渦巻き模様を現出させ易くなる。
したがって、食パンを切断したときの断面に露呈する渦巻き模様において、第一パン生地11に対し一回当たり添加する第二パン生地12の量を調整することなく、第1の色彩と第2の色彩とが混ざり合うことを低減するように抑制することもできる。
【0048】
次に、混合パン生地分割工程(第三工程)は、図4に示すように、パン生地添加・混合工程(第二工程)で混合した混合パン生地20を分割する。
分割は、その前に常法に倣いフロアタイムをとって、該パン生地を休ませることが望ましい。この場合、フロアタイムは、例えば、10〜30℃で、10〜30分間行うことがより望ましい。
【0049】
この混合パン生地分割工程は、任意に且つ常法により行うことができる。分割重量も特に制限はないが、たとえば、400〜800gとすることが望ましい。分割工程後においても、常法に倣い、丸め工程及びベンチタイムをとることが望ましく、ベンチタイムは、たとえば、10〜30℃で、10〜30分間とることがより望ましい。図4において、混合パン生地20をフロアタイム後に複数に分割した分割パン生地30(30a,30b,30c,30d,30e・・・)が示されている。
【0050】
次に、分割パン生地成形工程(第四工程)は、図5に示すように、混合パン生地分割工程で分割したパン生地をそれぞれ圧延し、さらに、このパン生地を縁部より巻き上げて棒状に成形する。好ましくは、分割・丸め・ベンチタイム後のパン生地を圧延し、巻き上げて棒状に成形すると良い。この成形は、各種モルダー、カーリング等の機械により行うことができるし、当然、手作業でも良い。図5(a)において、分割パン生地30を平面状に圧延した圧延パン生地40が示され、図5(b)において、この圧延パン生地40を縁部40aより巻き上げている状態が示され、図5(c)において、この圧延パン生地40を巻き上げて棒状に成形した棒状パン生地50が示されている。
【0051】
なお、通常、角型食パン生地の成形は、所謂、「M字」成形(すなわち、パン生地を棒状に成形してから、アルファベットの「M」の形に成形するもの)、「N字」成形(すなわち、パン生地を棒状に成形してから、アルファベットの「N」の形に成形するもの)等の成形方法が採用されている。しかしながら、このような通常の角型食パン生地の成形方法では、焼成後の食パンの断面に渦巻き模様を形成させることはできない。したがって、分割したパン生地は、圧延後に巻き上げて棒状に成形することを要する。
【0052】
次いで、棒状成形パン生地型詰工程(第五工程)は、図6に示すように、分割パン生地成形工程で棒状に成形した棒状パン生地50を、焼成型51の長手方向Lに沿うよう焼成型内の底面中央に1本、又は複数本並列に焼成型内に載置し型詰を行う。
本発明において、この棒状パン生地を2〜4本型詰することが、より確実に食パンの断面に渦巻き模様を形成させることができるため望ましい。また、最も確実に該模様の形状を安定させ、各模様の大きさを均等にバランス良く形成させるためには、この棒状パン生地を3本とすることが望ましい。図6において、3本の棒状パン生地50A,50B,50Cが焼成型51内に並列に載置し型詰された状態が示されている。
なお、本発明の食パンの製造方法は、切断したときの断面に露呈する渦巻き模様が1つだけとなるように、棒状パン生地50を焼成型51内中央に1本だけ載置して型詰することもできるし、2又は4以上の渦巻き模様が切断したときの断面に露呈するように、焼成型51内に2又は4以上の棒状パン生地50を並列に載置して型詰しても良い。
【0053】
さらに、パン生地醗酵工程(第六工程)は、図7に示すように、棒状成形パン生地型詰工程で焼成型内に載置した棒状パン生地を最終醗酵する。
本発明において、最終醗酵の条件についても特に制限が無く、常法により行うことができる。具体的には、例えば、温度30〜40℃、湿度70〜90%、時間30〜90分間の条件にて行うことができる。図7において、焼成型51内において最終醗酵した3本の棒状パン生地60A,60B,60Cが示されている。
【0054】
そして、パン生地焼成工程(第七工程)は、パン生地醗酵工程で最終醗酵した棒状パン生地60A,60B,60Cを焼成する。
本実施の形態による食パンは、焼成型51に蓋(不図示)をしてから焼成して製造される角型食パンであることが望ましい。蓋をして焼成することにより、焼成中における各棒状生地の膨張が均一となり、形成される各渦巻き模様の大きさも均一になり易くなる。
【0055】
また、本発明において、焼成条件も特に制限は無い。したがって、たとえば、温度180〜250℃、時間20〜50分間の焼成条件を採用することができる。図8において、3本の棒状パン生地60A,60B,60Cを焼成することにより製造した3斤タイプの食パン10が示されている。
【0056】
このようにして得られた食パンは、図9に示すように、分割パン生地成形工程において棒状パン生地であったときの長手方向に対し横断する方向で切断したとき、その断面に複数個の渦巻き模様101が形成されている。ここで、「横断する方向」とは、食パン10の長手方向に対して斜め方向をも含むが、直交する方向で切断することが望ましい。
図9(a)において、食パン10を長手方向に対し直交する方向に図中A−A線に沿って切断することが示され、図9(b)において、3つの渦巻き模様101が略均一に、かつ、定形的に形成されている食パン10の断面10aが示されている。
【0057】
したがって本実施の形態において、第二パン生地12として1種類のパン生地を用い、且つ、同じ色彩の棒状パン生地50を3本型詰することにより得られた食パン10の断面10aに形成される各渦巻き模様101はいずれも単色で、同色となる。
【0058】
以上のように本発明は、色彩の異なる複数種類のパン生地を用いて、一方のパン生地に対し、他方の種類のパン生地を分割して順次添加・混合するとともに、両者を混合した後のパン生地を巻き上げて棒状に成形するものである。したがって、焼成した後のパンを、棒状に成形した棒状パン生地であったときの長手方向に対して横断する方向で切断したとき、断面に渦巻き模様が略均一に、かつ、定形的に形成された食パンを製造することができる。
【0059】
また、本発明は、図11に示すように、上述した方法により製造した食パン10を用いたサンドイッチ110をも包含する。ここでは、この食パン10を、その長手方向に対し直交する方向、すなわち型詰した棒状パン生地であったときの長手方向に対して直交する面でスライスして所望の厚さとした、このスライス面に渦巻き模様101を現出させたシート状食パン片100を用いる。図11において、表面(食パン10の断面10a)に3つの渦巻き模様101が略均一に、かつ、定形的に形成されている、2枚のシート状食パン片100A,100Bを用いて具材111を挟むことにより製造したサンドイッチ110が示されている。
【0060】
このサンドイッチの製造方法及び、サンドする具材については何ら制限が無い。したがって、所謂「甘味系」、「惣菜系」等、いずれの種類の具材をも使用することができる。また、第一パン生地11及び/又は第二パン生地12を作成するにあたり、適宜原材料を選択して味付け、風味付け、色付け等を施して、サンドする具材と同系統のものとしたり、異系統のものとしたりすることができる。このように、本発明により、食パンを使用したサンドイッチにおいて、際限無くバリエーションを増やすことが可能となる。
【0061】
また、本発明においてサンドイッチは、図12に示すように、密閉型サンドイッチ120であることが望ましい。
ここで、「密閉型サンドイッチ」とは、たとえば、スライスした2枚のシート状食パン片100A,100Bの間に具材111を挟んだものの周囲102a,102bを圧着し、好ましくは、圧着と同時に、圧着した部位より外側に位置するシート状食パン片の外周部(所謂、食パンの耳)を切り離すこと等により得られるサンドイッチである。
【0062】
また、スライスした1枚のシート状食パン片を折り返し、シート状食パン片が2重となった間に具材を挟んだものの開口周囲を圧着し、及び折り返し部分も圧着する。好ましくは、圧着と同時に、圧着した部位より外側に位置するシート状食パン片の外周部を切り離すこと等により得られるサンドイッチでも良い。なお、1枚のシート状食パン片を折り返して得た中間品の場合、一辺は折り返し部分となっているので圧着する必要は無い。
【0063】
さらに、比較的肉厚にスライスしたシート状食パン片の一端は切り離れないようにしつつ、厚さ方向略中間部よりスライス面に沿って平行に切り込みを入れ、この切り込み部に具材を挟んだもの等の中間品を作成する。引き続き、この中間品の重なり合った上下のシート状食パン片の周囲を圧着し、好ましくは、圧着と同時に、圧着した部位より外側に位置するシート状食パン片の外周部を切り離すこと等により得られるサンドイッチでも良い。
【0064】
この密閉型サンドイッチの製造は、特に限定されるものではなく、たとえば、特許第3941061号公報や、特開2004−242664号公報等に記載された方法・装置によるものとすることができる。
【0065】
また、このような渦巻き模様が形成された食パンを所望の厚さにスライスしたシート状パン生地片を用いて密閉型サンドイッチを製造する場合、密閉型サンドイッチに使用する食パンの第一パン生地及び/又は第二パン生地の着色材の色と、サンドする具材の内容との間に一定の法則を定めておけば、製造された密閉型サンドイッチの外観、たとえば食パンに形成された渦巻き模様の色及び/又は渦巻き模様の周りの色から、その具材の内容が判別できるため便利である。
【0066】
また、本発明において、上述したパン生地作成工程(第一工程)により図13に示すように、互いに色彩の異なる3以上のパン生地をそれぞれ作成し、そのうちの1つを第一パン生地とし、2以上を第二パン生地として、第二パン生地相互間及びこれらと第一パン生地の色彩を異なるものとしても良い。複数種類の色彩の異なるパン生地を使用する場合、各複数種類の色彩の異なる第二パン生地は、それぞれ別々に作成しておく。
図14において、第一パン生地11は白色パン生地、第二パン生地12は着色パン生地として示され、さらに、第二パン生地12は、第一着色パン生地(第二パン生地A)12Aと、第二着色パン生地(第二パン生地B)12Bとして示されている。
【0067】
次に、第二工程としてのパン生地添加・混合工程において、図13に示すように、パン生地作成工程で作成した第一の色彩を有する第一パン生地11と、この第一パン生地11とは異なる色彩を有する第一着色パン生地12Aとを混合する。この場合、第一パン生地11に対し第一着色パン生地12Aを添加して混合する。
【0068】
ここでの第一パン生地11と第一着色パン生地12Aとの混合は、第一パン生地11と第一着色パン生地12Aとが完全に混ざり合い、混合後のパン生地が単一色のパン生地となることのないように混合する必要がある。図15(a)において、第一着色パン生地12Aが白色の第一パン生地11中に満遍なく分散されている混合パン生地20bが示されている。
【0069】
引き続き、図13に示すように、先のパン生地添加・混合工程において作成した第一パン生地11と第一着色パン生地12Aとの混合パン生地20bに対し、第一パン生地11及び第一着色パン生地12Aとは異なる色彩を有する第二着色パン生地12Bを添加し、混合する。ここでの混合もまた、第一パン生地11と第一着色パン生地12Aと第二着色パン生地12Bとが完全に混ざり合い、混合後のパン生地が単一色のパン生地となることのないように混合する必要がある。図15(b)において、第一着色パン生地12Aと第二着色パン生地12Bとが白色の第一パン生地11中に満遍なく分散されている最終の混合パン生地20が示されている。
【0070】
なお、第二パン生地12として、互いに色彩の異なる第一着色パン生地12Aと第二着色パン生地12Bを第二パン生地12とし、この第一着色パン生地12Aと第二着色パン生地12Bとを第一パン生地11に対して別々に添加するものとしたが、これに限らず第一着色パン生地12Aと第二着色パン生地12Bとを第一パン生地11に対して一緒に添加するものとしても良い。
【0071】
第二パン生地として、複数種類の色彩の異なるパン生地を使用する場合、第一パン生地と第二パン生地の使用割合は、複数種類の色彩の異なる第二パン生地の合計量が、上述した第一パン生地100質量%に対する第二パン生地の好ましい添加量と同様の数値範囲となるようにして、第二パン生地を添加することが望ましい。
また、第二パン生地として、複数種類の色彩の異なるパン生地を使用する場合、複数種類の色彩の異なる第二パン生地をそれぞれ分割して添加することが望ましい。
【0072】
また、複数種類の色彩の異なる第二パン生地の最初(1回目)に添加する1回分の分割個数を、上述した1回に添加する第二パン生地の好ましい分割個数と同様の分割個数の数値範囲の個数とすることが望ましい。
また、第二パン生地として、複数種類の色彩の異なるパン生地を使用する場合、複数種類の色彩の異なる第二パン生地の残部をそれぞれ分割して第一パン生地上に分散させて添加することが望ましく、また、複数種類の色彩の異なる分割された第二パン生地をそれぞれ分割して、複数回に分けて添加する場合には、その添加毎に複数個を分散させて添加して混合することがより望ましい。
【0073】
また、複数種類の色彩の異なる第二パン生地の残部の分割個数を、上述した1回又は複数回に分けて添加する場合における第二パン生地の好ましい分割個数と同様の分割個数の数値範囲の個数とすることが望ましい。
【0074】
また、第二パン生地として、複数種類の色彩の異なるパン生地を使用する場合において、パン生地添加・混合工程で添加及び混合を繰り返し行うときには、各複数種類の色彩の異なる第二パン生地を、繰り返し行う添加のうちいずれで添加しても構わないが、繰り返し行う添加の全てに添加することが望ましい。この場合も、各添加において、各複数種類の色彩の異なる第二パン生地をそれぞれ分割して添加することが望ましい。
【0075】
その後、上述の混合パン生地分割工程、分割パン生地成形工程、棒状成形パン生地型詰工程、型詰パン生地最終醗酵工程、及び醗酵パン生地焼成工程を経て食パンを製造することができる。
このようにして得られた食パンは、図16に示すように、分割パン生地成形工程において棒状パン生地であったときの長手方向に対し横断する方向で切断したときの断面に、複数の色彩を有する複数個の渦巻き模様131が形成されている。図16において、2色からなる3つの渦巻き模様131が略均一に、かつ、定形的に形成されている食パン10の断面10bが示されている。
【0076】
このように互いに色彩のことなる3以上のパン生地を用いて、第二パン生地として、複数種類の色彩の異なるパン生地を使用すれば、一つの渦巻き模様が複数色で形成されることになる。
したがって、本発明の食パンの製造方法においては、第二パン生地として、色彩の異なる複数種類のパン生地を使用することもできる。
【0077】
また、本発明において、上述したパン生地作成工程(第一工程)、パン生地添加・混合工程(第二工程)、混合パン生地分割工程(第三工程)、分割パン生地成形工程(第四工程)により第一棒状パン生地を作成し、これとは別に、上述したパン生地作成工程(第一工程)、パン生地添加・混合工程(第二工程)、混合パン生地分割工程(第三工程)、分割パン生地成形工程(第四工程)により、第一棒状パン生地を構成する第一パン生地及び/又は第二パン生地とは色彩の異なる第一パン生地及び第二パン生地からなる第二棒状パン生地を1種類又は互いに色彩の異なる2種類以上を作成し、これら第一棒状パン生地及び第二棒状パン生地を複数本並列に焼成型内に載置し型詰し、型詰パン生地最終醗酵工程、及び醗酵パン生地焼成工程を経て食パンを製造するものとしても良い。
【0078】
具体的には、まず、上述したパン生地作成工程(第一工程)によりパン生地を作成し、図14に示すように、互いに色彩の異なる3以上のパン生地をそれぞれ作成しておく。
次に、第二工程としてのパン生地添加・混合工程において、図17(a)に示すように、パン生地作成工程で作成した第一の色彩を有する第一パン生地11と、この第一パン生地11とは色彩が異なる第一着色パン生地12Aとを混合する。本発明では、第一パン生地11に対し第一着色パン生地12Aを添加して混合する。
【0079】
ここでの第一パン生地11と第一着色パン生地12Aとの混合は、第一パン生地11と第一着色パン生地12Aとが完全に混ざり合い、混合後のパン生地が単一色のパン生地となることのないように混合する必要がある。図17(a)において、第一着色パン生地12Aが白色の第一パン生地11中に満遍なく分散されている混合パン生地20Aが示されている。
【0080】
また、混合パン生地20Aとは別に、図17(b)に示すように、パン生地作成工程で作成した第一の色彩を有する第一パン生地11と、第一着色パン生地12Aとは色彩が異なる第二着色パン生地12Bとを混合する。本発明では、第一パン生地11に対し第二着色パン生地12Bを添加して混合する。ここでの混合もまた、第一パン生地11と第二着色パン生地12Bとが完全に混ざり合い、混合後のパン生地が単一色のパン生地となることのないように混合する必要がある。図17(b)において、第二着色パン生地12Bが白色の第一パン生地11中に満遍なく分散されている最終の混合パン生地20Bが示されている。
【0081】
そして、混合パン生地分割工程、分割パン生地成形工程の後、棒状成形パン生地型詰工程において、着色パン生地(第二パン生地)の色彩が異なる棒状パン生地を、焼成型の長手方向に沿うよう複数本(前記第二棒状パン生地1本と、その両側に前記第一棒状パン生地を1本ずつ)並列に焼成型内に載置し型詰し、型詰パン生地最終醗酵工程、及び醗酵パン生地焼成工程を経て食パンを製造する。
【0082】
このようにして得られた食パンは、図18に示すように、分割パン生地成形工程において棒状パン生地であったときの長手方向に対し横断する方向で切断したときの断面に、第一渦巻き模様141Aと、第二渦巻き模様141Bが複数形成されている。図18において、二つの第一渦巻き模様141Aで一つの第二渦巻き模様141Bを挟み込んだ3つの渦巻き模様141が略均一に、かつ、定形的に形成されている食パン10の断面10cが示されている。
【0083】
このように互いに色彩のことなる3以上のパン生地を用い、それぞれ異なる色彩の混合パン生地を組み合わせれば、第二パン生地12として、互いに異なる色彩の着色パン生地が用いられた複数の棒状パン生地50を組み合わせて使用するので、それぞれの渦巻き模様が互いに異なった色彩で形成されることになる。
したがって、本発明の食パンの製造方法においては、第二パン生地12として、色彩の異なる複数種類のパン生地を使用し、別々に第一パン生地11と混合して製造した互いに色彩の異なる混合パン生地20を用いることもできる。
【0084】
このように本発明は、第一パン生地が1種類のパン生地で第二パン生地が複数種類のパン生地である場合だけでなく、第一パン生地が複数種類で第二パン生地が1種類のパン生地である場合、さらには、第一パン生地及び第二パン生地のいずれもが複数種類のパン生地である場合をも含むものである。
【0085】
<第2の実施の形態>
また、本発明の食パンの製造方法は、食パンを切断したときの断面に露呈する渦巻き模様の形成工程を単純化(簡略化)させるようにすることもできる。すなわち、上述した第1の実施の形態とは、第一パン生地に対し複数回に分けて添加する第二パン生地の量を均一化する点で異なる。
なお、以下に述べる他の各実施の形態では、上述した第1の実施の形態と異なる部分を中心に説明する。したがって、第1の実施の形態と同様の構成部分は同じ符号を付してその説明は省略し、特に説明しない限り同じであるものとする。
【0086】
本実施の形態において、第一工程としてのパン生地作成工程は、上述した第1の実施の形態と同様である。
次いで、本実施の形態において、第一パン生地11に第二パン生地12を添加して混合する場合、第一パン生地11に対し一回当たり添加する第二パン生地12の量を均等割合とする。すなわち、第二パン生地12を複数回に分けて第一パン生地11に添加する場合、最初(1回目)に添加する第二パン生地12(12a)の量と、2回目又は2回目以降に添加する各第二パン生地12(12b)の量とを等しいものとする。
【0087】
その後、上述した第1の実施の形態と同様に、第一パン生地11と第二パン生地12とを混合して混合パン生地20を作成し、この混合パン生地20を分割して分割パン生地30を作成する。そして、この分割パン生地30を圧延してその縁部40aより巻き上げて棒状パン生地50に成形すると共に、この棒状パン生地50を焼成型内に載置して型詰し、最終醗酵し、焼成する。なお、第一パン生地11への第二パン生地12の添加、及び第一パン生地11と第二パン生地12の混合は、複数回繰り返すことが望ましい。具体的には、4〜20回繰り返すことが望ましく、6〜10回繰り返すことがより望ましい。
【0088】
本実施の形態において、第一パン生地11と第二パン生地12との混合にミキサーを用いるとき、第一パン生地11に対し最初に添加する第二パン生地12aは、複数個に分割して添加することが望ましく、また、その混合は、ミキサーを寸動させることにより行うことが望ましい。この混合には、たとえば、回転軸が水平向きに配置されて回転する、所謂、「横型ミキサー」を用いることができる。ここで「寸動」とは、僅かにミキサーを回転させることを意味する。具体的には、例えば「横型ミキサー」を使用する場合には、第一パン生地に添加した第二パン生地を、次回添加する第二パン生地の第一パン生地上の添加予定場所から除去する(移動させる)程度にミキサーを僅かに回転させ、且つ、それ以上に回転させないようにすることをいう。
【0089】
また、残りの第二パン生地12bを添加し、ミキサーで混合する場合も、第二パン生地12の残り12bを複数個に分割して複数回に分けて添加することが望ましく、添加・混合を複数回繰り返す場合に、その添加毎に第二パン生地12を複数個添加することが更により好ましい態様となる。具体的には、たとえば、2回目(もしくはそれ以降)の添加・混合工程は、分割された第二パン生地12を添加毎に3〜5個添加して、ミキサーを寸動させて混合する添加・混合を5〜20回繰り返すことが望ましく、7〜10回繰り返すことが最も好ましい態様である。
【0090】
このように第一パン生地11と第二パン生地12との混合において、たとえば回転軸が水平向きに配置されて回転するミキサーを用いるとき、ミキサーを寸動させて混合を行えば、2種のパン生地が完全に混ざり合ってしまう危険は無い。
【0091】
本実施の形態によれば、第一パン生地11に対し添加する第二パン生地12の量を添加回数ごとに細かく調整することなく、機械化・大量生産に適した均等分割という極めて単純化(簡略化)した分割作業によって、食パンを切断したときの断面に渦巻き模様が露呈するようにできる。
【0092】
<第3の実施の形態>
また、本発明の食パンの製造方法は、食パンを切断したときの断面に露呈する渦巻き模様において、第1の色彩と第2の色彩とが完全に混ざり合うことを低減するように抑制することもできる。すなわち、上述した第2の実施の形態と同様に、上述した第1の実施の形態とは、第一パン生地に対し分割して添加する第二パン生地の量を調整する点で異なり、また、上述した第2の実施の形態とは、第一パン生地11と第二パン生地12との混合にミキサーを用いたときの混合方法が異なる。
【0093】
本実施の形態において、第一工程としてのパン生地作成工程は、上述した第1の実施の形態と同様である。
次いで、本実施の形態において、第一パン生地11に第二パン生地12の一部を添加して混合する場合、最初(1回目)に添加して混合する一部12aとしての第二パン生地12の量は、たとえば第二パン生地12全部(全量)のうち、30〜70質量%とすることが望ましく、35〜65%質量とすることが更に望ましく、40〜60%質量とすることが最も望ましい。
【0094】
第一パン生地11と第二パン生地12との混合に上述したミキサーを用いるとき、第一パン生地11に対し最初に添加した第二パン生地12aの混合は、ミキサーを略半回転させることにより行うことが望ましい。
【0095】
このように第一パン生地11と第二パン生地12との混合において、たとえば回転軸が水平向きに配置されて回転するミキサーを用いるとき、ミキサーを半回転させて最初に添加した第二パン生地12の混合を行えば、2種のパン生地が完全に混ざり合ってしまう危険が無く、しかも、第一パン生地11と最初に添加した第二パン生地12との混合を効率良く機械的に行うようにすることもできる。
【0096】
また、このようにミキサーを略半回転させることにより混合を行うと、第一パン生地11に添加した第二パン生地12が、最初の位置を表側とすると略裏側に位置することとなり、すなわち、次に添加する第二パン生地12の残り12bの添加位置の略裏側に位置することになるため、第二パン生地12が第一パン生地11中で満遍なく分散され易くなる。
【0097】
なお、本実施の形態において、第二パン生地12の一部12aを最初に添加した後は、残り12bを一括して添加することが望ましい。
【0098】
第一パン生地11と第二パン生地12の残部との混合に上述したミキサーを用いるとき、この混合は、残りの第二パン生地12bの添加後、2種のパン生地が完全に混ざり合わない程度にミキサーを一定時間回転させて混合する。具体的には、たとえば、上述したミキサーを15〜40rpm、即ち、1分間に15〜40回の回転速度で、5〜20秒間回転させて混合を行うことが望ましい。もっとも、これと異なる回転速度のミキサーも当然使用可能であり、その場合には、混合時間を適宜調節すれば良い。
【0099】
このように第一パン生地11と2回目に添加した第二パン生地12との混合において、ミキサーを一定時間回転させて混合を行えば、第一パン生地11と第二パン生地12が均一に混合されてしまうことなく、第一パン生地11と2回目に添加した第二パン生地12との混合を機械的に効率良く行うようにすることもできる。
【0100】
その後、上述した第1の実施の形態と同様に、第一パン生地11と第二パン生地12とを混合して混合パン生地20を作成し、この混合パン生地20を分割して分割パン生地30を作成する。そして、この分割パン生地30を圧延してその縁部40aより巻き上げて棒状パン生地50を成形すると共に、この棒状パン生地50を焼成型内に載置して型詰し、最終醗酵し、焼成する。
【0101】
本実施の形態によれば、第一パン生地11と第二パン生地12とが完全に混合されることなく、第二パン生地12を第一パン生地11中で満遍なく分散させ、且つ断面に綺麗な渦巻き模様を現出させ易くなる。
【0102】
<第4の実施の形態>
また、本発明の食パンの製造方法は、食パンを切断したときの断面に露呈する渦巻き模様を、よりきれいに確実に形成させることもできる。すなわち、上述した第2及び第3の実施の形態と同様に、上述した第1の実施の形態とは、第一パン生地に対し分割して添加する第二パン生地の量を調整する点で異なり、また、上述した第2及び第3の実施の形態とは、第一パン生地11と第二パン生地12との混合に上述したミキサーを用いたときの混合方法が異なる。
【0103】
本実施の形態において、第一工程としてのパン生地作成工程は、上述した第1の実施の形態と同様である。
次いで、本実施の形態において、第一パン生地11に第二パン生地12の一部を添加して混合する場合、最初(1回目)に添加して混合する一部12aとしての第二パン生地12の量は、たとえば第二パン生地12全部(全量)のうち、30〜70質量%とすることが望ましく、35〜65%質量とすることが更に望ましく、40〜60%質量とすることが最も望ましい。
【0104】
この場合、第一パン生地11と第二パン生地12との混合に上述したミキサーを用いるとき、第一パン生地11に対し最初に添加した第二パン生地12aの混合は、ミキサーを略半回転させることにより行うことが望ましい。
【0105】
なお、本実施の形態において、第二パン生地12の一部12aを最初に添加した後は、残り12bを均等割合の量で複数回に分けて添加することが望ましい。
【0106】
第一パン生地11と残りの第二パン生地12bとの混合は、残りの第二パン生地12bの添加後、2種のパン生地が完全に混ざり合わない程度にミキサーを寸動させて混合することが望ましい。なお、第一パン生地11への第二パン生地12の残部12bの添加、及び第一パン生地11と第二パン生地12の残部12bの混合は、複数回繰り返すことが望ましい。具体的には、2〜10回繰り返すことが望ましく、3〜5回繰り返すことがより望ましい。この場合、添加するごとに、第二パン生地12の残部12bを複数個添加することが望ましい。具体的には、添加ごとに第二パン生地12の残部12bを2〜10個添加することがより望ましく、3〜5個添加することがさらにより望ましい。
【0107】
このように第一パン生地11と最初に添加した第二パン生地12の混合において、ミキサーを半回転させて最初に混合を行い、引き続き、第一パン生地11と2回目(もしくはそれ以降)に添加した第二パン生地12との混合において、ミキサーを寸動させて混合を行う。これにより、第一パン生地11を第二パン生地12中で満遍なく分散させ、且つ焼成後の食パンの断面に綺麗な渦巻き模様を現出させ易くなる。
【0108】
その後、上述した第1の実施の形態と同様に、第一パン生地11と第二パン生地12とを混合して混合パン生地20を作成し、この混合パン生地20を分割して分割パン生地30を作成する。そして、この分割パン生地30を圧延してその縁部40aより巻き上げて棒状パン生地50を成形すると共に、この棒状パン生地50を焼成型内に載置して型詰し、最終醗酵し、焼成する。
【0109】
本実施の形態によれば、第一パン生地11と第二パン生地12とが完全に混合されることなく、第二パン生地12を第一パン生地11中で満遍なく分散させ、且つ断面に綺麗な渦巻き模様を現出させ易くなる。
【実施例】
【0110】
以下、実施例及び比較例により、本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例1]
1.第一パン生地(白生地/乳白色)の作成
(1)表1に示す中種配合及び、表2に示す中種工程条件により横型ミキサーを用いて中種を作成した。
【0111】
【表1】
【0112】
【表2】
【0113】
(2)上記(1)で作成した醗酵後の中種を用いて、表3に示す本捏配合及び、表4に示す本捏工程条件により、上記横型ミキサーを用いて第一パン生地を作成した。
【0114】
【表3】
【0115】
【表4】
【0116】
2.第二パン生地(ココア生地/茶色)の作成
(3)表5に示す中種配合及び、表6に示す中種工程条件により、上記横型ミキサーを用いて中種を作成した。
【0117】
【表5】
【0118】
【表6】
【0119】
(4)上記(3)で作成した醗酵後の中種を用いて、表7に示す本捏配合及び、表8に示す本捏工程条件により、上記横型ミキサーを用いて第二パン生地を作成した。
【0120】
【表7】
【0121】
【表8】
【0122】
3.パン(生地)の作成
(5)上記1.で作成した第一パン生地100質量%及び、上記2.で作成した第二パン生地20質量%を用いて、以下の要領にてパン生地を作成した。パン生地の作成は以下の通りである。
(5−1)まず、第一パン生地100質量%を、上記横型ミキサーに投入した。この際、第一パン生地を横型ミキサーに投入する代わりに、第一パン生地の本捏工程終了後、第一パン生地をそのまま横型ミキサー内に入れたまま、それ以降の工程に進むようにしても良い。
(5−2)引き続き、第二パン生地20質量%のうちの10質量%を略4等分し、この4等分した第二パン生地を第一パン生地上に分散させて添加した。
(5−3)そして、横型ミキサーを略半回転させた(以下、「第一添加・混合工程」という。)。
【0123】
(5−4)次に、残部の第二パン生地10質量%を略16等分して、そのうちの4個を第一添加・混合工程後の混合パン生地上に分散させて添加した。
(5−5)引き続き、横型ミキサーを寸動させた(以下、「第二添加・混合工程1」という。)
(5−6)また、上記(5−4)で略16等分したうちの4個の第二パン生地を、第二添加・混合工程1後の混合パン生地上に分散させて添加した。
(5−7)引き続き、横型ミキサーを寸動させた(以下、「第二添加・混合工程2」という。)
【0124】
(5−8)また、上記(5−4)で略16等分したうちの4個の第二パン生地を、第二添加・混合工程2後の混合パン生地上に分散させて添加した。
(5−9)引き続き、横型ミキサーを寸動させた(以下、「第二添加・混合工程3」という。)
(5−10)さらに、上記(5−4)で略16等分したうちの4個の第二パン生地を、第二添加・混合工程3後の混合パン生地上に分散させて添加した。
(5−11)そして、横型ミキサーを寸動させた(以下、「第二添加・混合工程4」という。)
【0125】
(6)第二添加・混合工程4後、20分間のフロアタイムをとった。
(7)フロアタイム後、混合パン生地を530gに分割した。
(8)混合パン生地の分割後、丸め、20分間のベンチタイムをとった。
(9)ベンチタイム後、2段クロスモルダー(モルダーローラークリアランス上部5mm、下部2mmに設定)により、分割パン生地を圧延して巻き上げ、3斤食パン用焼成型の底面長手方向よりもやや短い長さの棒状に成形した。
(10)上記(9)で成形した棒状パン生地3本を、3斤食パン用焼成型の底面上に並列に載置して型詰した。
(11)そして、型詰したパン生地を、温度38℃、湿度85%、時間60分間の条件で最終醗酵させた。
(12)その後、焼成型に蓋をし、温度210℃、40分間の条件で焼成して、角型食パンを得た。
【0126】
4.パンの評価
上記3.により製造した角型食パンを長手方向に対して直交する方向で切断したところ、その切断面には、ココア生地(第二パン生地)に由来する茶色の渦巻き模様が3個並列的に形成されていた。この3個の渦巻き模様は、略均等の大きさで、しかも、いずれの渦巻き模様も綺麗に形よく形成されていた。
【0127】
[実施例2]
上記実施例1において、パン生地の分割重量を800gとし、2段クロスモルダーを上部5.5mm、下部2.5mmに設定し、及び棒状パン生地2本を3斤食パン用焼成型の底面上に並列に載置する以外は、実施例1と同様の配合及び工程により角型食パンを製造した。
得られた角型食パンを長手方向に対して直交する方向で切断したところ、その切断面には、ココア生地(第二パン生地)に由来する茶色の渦巻き模様が2個並列的に形成されていた。この2個の渦巻き模様は、略均等の大きさで、しかも、いずれの渦巻き模様も綺麗に形よく形成されていた。
【0128】
[実施例3]
上記実施例1において、パン生地の分割重量を400gとし、及び棒状生地4本を3斤食パン用焼成型の底面上に並列に載置する以外は、実施例1と同様の配合及び工程により角型食パンを製造した。
得られた角型食パンを長手方向に対して直交する方向で切断したところ、その切断面には、ココア生地(第二パン生地)に由来する茶色の渦巻き模様が4個並列的に形成されていた。この4個の渦巻き模様は、略均等の大きさで、しかも、いずれの渦巻き模様も綺麗に形よく形成されていた。
【0129】
[実施例4]
1.密閉型サンドイッチの製造
上記実施例1で製造した角型食パンを用いて、以下の要領にて密閉型サンドイッチを製造した。
(1)上記実施例1で得られた角型食パンを長手方向に対して直交する方向で10mm厚にスライスした。
(2)上記(1)でスライスしたシート状食パン片2枚の上面にチョコクリームを塗布した。
(3)上記(2)のシート状食パン片2枚のチョコクリーム塗布面を合わせて(チョコクリームをサンドするように)重ね合わせた中間品を作成した。
(4)上記(3)の中間品を、上下一対の抜き型で挟み付けるように押圧し、この中間品の上下のパン片の周囲圧着予定部位を圧着させると同時に、この周囲圧着予定部位の外周部分を切断して密閉型サンドイッチを得た。
【0130】
2.密閉型サンドイッチの評価
上記1.で得られた密閉型サンドイッチは、その食パンについては、ココア風味を有するとともに、渦巻き模様が3個並列的に形成されており、また、具材としてチョコクリームがサンドされたものであった。該密閉型サンドイッチは、外観が斬新であり、また、その食味は、食パンのココア味と具材のチョコクリームの味とが混合した味わい深いものであった。
【産業上の利用可能性】
【0131】
本発明は、パンを製造する業種において産業上有用であり、特に、食パンを用いてサンドイッチを製造する市場において有用である。
【図面の簡単な説明】
【0132】
【図1】本発明に係る食パンの製造方法の工程順を示すフローチャート図である。
【図2】本発明に係る食パンの製造方法におけるパン生地作成工程を説明する模式図である。
【図3】本発明に係る食パンの製造方法におけるパン生地添加・混合工程を説明する図であり、(a)第二パン生地一部添加・混合状態を説明する模式図、(b)第二パン生地残部添加・混合状態を説明する模式図である。
【図4】本発明に係る食パンの製造方法における混合パン生地分割工程を説明する模式図である。
【図5】本発明に係る食パンの製造方法における分割パン生地成形工程を説明する図であり、(a)圧延状態を説明する模式図、(b)巻き上げ状態を説明する模式図、(c)棒状成形状態を説明する模式図である。
【図6】本発明に係る食パンの製造方法における棒状成形パン生地型詰工程を説明する模式図である。
【図7】本発明に係る食パンの製造方法における型詰パン生地最終醗酵工程を説明する模式図である。
【図8】本発明に係る食パンの製造方法における醗酵パン生地焼成工程後の食パンを示す斜視図である。
【図9】本発明に係る食パンの製造方法において製造した食パンを示す図であり、(a)平面図、(b)(a)に示すA−A線に沿う断面図である。
【図10】本発明に係る食パンの製造方法における他のパン生地添加・混合工程をそれぞれ説明する図である。
【図11】本発明に係る食パンの製造方法において製造した食パンを用いて製造したサンドイッチを示す斜視図である。
【図12】本発明に係る食パンの製造方法において製造した食パンを用いて製造した密閉型サンドイッチを示す側面図である。
【図13】本発明に係る食パンの製造方法の他の工程順を示すフローチャート図である。
【図14】本発明に係る食パンの製造方法における他のパン生地作成工程を説明する模式図である。
【図15】本発明に係る食パンの他の製造方法におけるパン生地添加・混合工程を説明する図であり、(a)第一着色パン生地添加・混合状態を説明する模式図、(b)第二着色パン生地添加・混合状態を説明する模式図である。
【図16】本発明に係る食パンの他の製造方法において製造した食パンの断面を示す図である。
【図17】本発明に係る食パンの他の製造方法におけるパン生地添加・混合工程を説明する図であり、(a)第一着色パン生地添加・混合状態を説明する模式図、(b)第二着色パン生地添加・混合状態を説明する模式図である。
【図18】本発明に係る食パンの他の製造方法において製造した食パンの断面を示す図である。
【符号の説明】
【0133】
10 食パン、10a 断面、11 第一パン生地、12 第二パン生地、20(20a,20b,20A,20B) 混合パン生地、30 分割パン生地、40 圧延パン生地、50 棒状パン生地、51 焼成型、100A,100B シート状食パン片、101 渦巻き模様、102 周囲、110 サンドイッチ、111 具材、120 密閉型サンドイッチ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、切断したときの断面に外観上視覚的に特徴のある模様が露呈する食パンの製造方法と、その食パン、及びこの食パンを用いたサンドイッチに係り、詳しくは、食パンの切断面(すなわち、食パン片の表面)に1又は複数個の渦巻き模様が略均一に、かつ、定形的に形成されるようにした技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、通常のパン生地の色を有するパン生地である「白生地」と、ココアや果汁等により着色されたパン生地である「色生地」を組み合わせて、たとえば2色といった異なる色彩を有するパンを製造することが行われている。この場合、白生地と色生地を組み合わせるときに、両者のパン生地を混合し過ぎてしまうと、両者が均一に混ざり合い、両者が備える色彩の中間的な単一色のパン(生地)となってしまう。
【0003】
このような弊害を避けるため、両者が均一に混ざり合うことの無い程度に混合して2色を有するパン生地を作成し、これを焼成する方法が考えられる。しかしながら、この方法では、両者が均一に混ざり合うことの無いように混合を僅かにしか行わない結果、色生地が十分に分散されず、白生地中に色生地が偏在してしまうという不都合がある。また、仮に色生地を白生地中に満遍なく分散させることができたとしても、この方法で得られる色生地に由来する模様は不定形であり、焼成後の食パンの切断面に定形的な渦巻き模様を安定して形成させることは困難であった。
【0004】
そこで、食パンの切断面に定形的な渦巻き模様を安定して形成させるために、たとえば、色彩の異なる2枚のシート状パン生地を用意し、両者を重ねて巻き上げたパン生地を焼成する方法が考えられる。ところが、この方法においては、2種類の生地を別々に作成のうえ、シート状に成形し、さらに両者を組み合わせて(重ね合わせて)巻き上げるという、食パンの製造過程においては特殊な成形方法を採用する必要があり、成形作業が煩雑となる。また、これを機械的に行う場合には特殊な機械、たとえば、具体的には、デニッシュペストリー生地を製造するにあたり使用する、パン生地を薄く伸してシート状にし、これに油脂を折り畳んで成形するシーターテーブル等の機械が必要となる。
【0005】
また、パンの切断面に特定の模様や絵柄を与えるために、醗酵・焼成時のパン生地の膨張を考慮のうえ、異なる色彩のパン生地を適宜成形し、これらを張り合わせたり、重ねたりしてから、最終醗酵・焼成する食パンの製造方法が提案されている(特許文献1を参照)。
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の方法は、異なる色彩のパン生地を得た後、それぞれのパン生地を所望の形状に成形し、これらを特定の模様や絵柄となるように張り合わせるといった食パンの製造過程には無い作業が必要であり、食パンの製造過程上、その煩に耐えるものではない。特に、食パンを大量生産する工場等の現場において当該方法を採用することは現実的ではない。
【0007】
一方、従来のサンドイッチにおいては、サンドする具材の選択や、サンドイッチ用のパンとして通常使用される食パン以外のパン、たとえばフランスパン、ロールパン、クロワッサンもしくはベーグル等を用いて、そのバラエティ化が図られている。しかしながら、外観上視覚的に特徴のある食パン、特に、渦巻き模様を有する食パンは、上述したような製造上の課題があるため、食パンを用いたサンドイッチにおいては、そのサンドする具材に変化をもたせる以外にバラエティ化を図ることは困難であった。
【0008】
また、サンドイッチとして、シート状食パン片の間に具材を挟んでその周囲を圧着した密閉型サンドイッチが提案され、近年、この密閉型サンドイッチの需要が増大しているが、そのようなサンドイッチは皆同じような外観であり特徴がない。しかも、密閉型であることから、外観からは、サンドされた具材が何であるか判別できないという難点があった。
このように、食パンの製造過程には無い煩雑な工程又は特殊な機械を用いることなく、外観上視覚的に特徴のある食パンの製造方法と、その食パン、及び具材に頼らずにバラエティ化が図られたサンドイッチは、現在のところ何ら提案されていない。
【特許文献1】特開昭64−34235号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みて成されたものであり、食パンの製造過程には無い煩雑な工程又は特殊な機械を要することなく、その切断面に1又は複数個の渦巻き模様が略均一に、かつ、定形的に形成されるようにした食パンの製造方法と、その食パンを提供することを目的とする。
また、本発明は、具材に頼らずにバラエティ化が図られた斬新なサンドイッチを提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、複数種類の色彩の異なるパン生地を用いて切断面に1又は複数個の渦巻き模様を有する食パンを製造するにあたり、一方のパン生地を分割して複数回に分けて、順次、他方の種類のパン生地に添加・混合するとともに、両者を混合した後のパン生地を巻き上げて棒状に成形することにより、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は、以下の各発明を包含する。
【0011】
本発明の請求項1に係る食パンの製造方法は、互いに色彩が異なる少なくとも2以上のパン生地をそれぞれ作成する第一工程と、前記第一工程で作成した、第一の色彩を有する第一パン生地に対し、この第一パン生地とは色彩が異なる第二パン生地を複数回に分けて添加し、前記第二パン生地の添加ごとに混合する第二工程と、前記第二工程で混合したパン生地を分割する第三工程と、前記第三工程で分割したパン生地をそれぞれ圧延し、さらに、縁部より巻き上げて棒状に成形する第四工程と、前記第四工程で棒状に成形した棒状パン生地を、1本又は複数本並列に焼成型内に載置し型詰する第五工程と、前記第五工程で焼成型内に載置した棒状パン生地を最終醗酵する第六工程と、前記第六工程で最終醗酵した棒状パン生地を焼成する第七工程と、を含み、前記第七工程で焼成した後のパンを前記棒状パン生地であったときの長手方向に対して横断する方向で切断したときの断面に渦巻き模様が露呈することとなることを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項2に係る食パンの製造方法は、前記請求項1において、第二工程が、第一パン生地が100質量%に対し、第二パン生地を5〜50質量%使用することを特徴とする。
【0013】
本発明の請求項3に係る食パンの製造方法は、前記請求項1又は2において、第二工程が、第二パン生地の30〜70質量%を最初に添加することを特徴とする。
【0014】
本発明の請求項4に係る食パンの製造方法は、前記請求項1乃至3のいずれか1項において、前記第二工程が、前記第二パン生地を三回以上に分けて添加するとき、二回目以降に添加する前記第二パン生地を均等割合の量で添加することを特徴とする。
【0015】
本発明の請求項5に係る食パンの製造方法は、前記請求項1又は2において、第二工程が、第二パン生地を均等割合の量で添加することを特徴とする。
【0016】
本発明の請求項6に係る食パンの製造方法は、前記請求項1乃至5のいずれか1項において、第二工程が、第一パン生地に対し添加する1回分の第二パン生地を複数個に分割し、この分割した各第二パン生地をそれぞれ、第一パン生地又は既に混合された第一・第二パン生地の異なる位置に添加することを特徴とする。
【0017】
本発明の請求項7に係る食パンの製造方法は、前記請求項1乃至6のいずれか1項において、前記第一パン生地と前記第二パン生地との混合に回転軸が水平向きに配置されて回転するミキサーを用いるとき、 前記第二工程は、前記第一パン生地に対し最初に添加した前記第二パン生地の混合を、前記ミキサーを略半回転させることにより行うことを特徴とする。
【0018】
本発明の請求項8に係る食パンの製造方法は、前記請求項1乃至7のいずれか1項において、前記第一パン生地と前記第二パン生地との混合に回転軸が水平向きに配置されて回転するミキサーを用いるとき、前記第二工程は、前記第一パン生地に対し二回目以降に添加した前記第二パン生地の混合を、前記ミキサーを15〜40rpmの回転速度で5〜20秒間回転させることより行うことを特徴とする。
【0019】
本発明の請求項9に係る食パンの製造方法は、前記請求項1乃至7のいずれか1項において、前記第一パン生地と前記第二パン生地との混合に回転軸が水平向きに配置されて回転するミキサーを用いるとき、前記第二工程は、前記第一パン生地に対し二回目以降に添加した前記第二パン生地の混合を、前記ミキサーを寸動させることにより行うことを特徴とする。
【0020】
本発明の請求項10に係る食パンの製造方法は、前記請求項1乃至6のいずれか1項において、前記第一パン生地と前記第二パン生地との混合に回転軸が水平向きに配置されて回転するミキサーを用いるとき、前記第二工程は、前記第一パン生地に対し添加した前記第二パン生地の混合を、前記ミキサーを寸動させることにより行うことを特徴とする。
【0021】
本発明の請求項11に係る食パンの製造方法は、前記請求項1乃至10のいずれか1項において、前記第一工程は、互いに色彩の異なる3以上のパン生地をそれぞれ作成し、
前記第二工程は、互いに色彩の異なる2以上のパン生地を第二パン生地とし、この互いに色彩の異なる2以上の第二パン生地を前記第一パン生地に対して、一緒に又は別々に添加する、ことを特徴とする。
【0022】
本発明の請求項12に係る食パンの製造方法は、前記請求項1乃至11のいずれか1項において、前記第一工程乃至第四工程により棒状パン生地を作成し、これとは別に、前記第一工程乃至第四工程により、前記棒状パン生地を構成する第一パン生地及び/又は第二パン生地とは色彩の異なる第一パン生地及び第二パン生地からなる棒状パン生地を1種類又は互いに色彩の異なる2種類以上を作成し、これらの棒状パン生地を複数本並列に焼成型内に載置し型詰する、ことを特徴とする。
【0023】
本発明の請求項13に係る食パンの製造方法は、前記請求項1乃至12のいずれか1項において、前記第七工程は、前記焼成型に蓋をして焼成することを特徴とする。
【0024】
本発明の請求項14に係る食パンは、前記請求項1乃至13のいずれか1項に記載の食パンの製造方法により製造したことを特徴とする食パン。
【0025】
本発明の請求項15に係るサンドイッチは、前記請求項1乃至13のいずれか1項に記載の食パンの製造方法により製造した食パンを、前記棒状パン生地であったときの長手方向に対し横断する方向に切断して所望の厚さとしたシート状食パン片とし、このシート状食パン片を用いて具材を挟むことにより製造したことを特徴とする。
【0026】
本発明の請求項16に係るサンドイッチは、前記請求項15において、サンドイッチが、具材を挟んだシート状食パン片の周囲を圧着した密閉型サンドイッチであることを特徴とする。
【0027】
本発明の請求項17に係るサンドイッチは、前記請求項16において、サンドイッチが、圧着した部位より外側に位置するシート状食パン片の外周部を切除したものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
本発明は、第一パン生地に対し、色彩の異なる第二パン生地を分割して複数回に分けて添加し、この第二パン生地の添加ごとに混合する。これにより、第一パン生地と第二パン生地とを混合し過ぎてしまうことにより生地が単一色となってしまう不都合や、第一パン生地と第二パン生地との不十分な混合により第一パン生地中に第二パン生地が偏在してしまうといった不都合が解消され、僅かな混合であっても第一パン生地中に第二パン生地が効率良く分散し、略均一な渦巻き模様を形成することが可能になる。また、本発明は、第一パン生地中に第二パン生地が効率良く分散するように混合したこのパン生地を、圧延して縁部より巻き上げて棒状に成形する。これにより、第一パン生地中に第二パン生地が効率良く分散したパン生地が、規則的に巻き上げられたものとなり、定形的に渦巻き模様を形成することが可能になる。
したがって、通常の食パンの製造過程には無い煩雑な工程を要することや、特殊な機械を用いることなく、切断したときの面に1又は複数個の渦巻き模様が略均一に、かつ、定形的に形成されるようにした食パンの製造方法と、その食パンを提供することができる。
【0029】
また、本発明は、上述した食パンの製造方法により製造した食パンを、棒状パン生地であったときの長手方向に対し横断する方向に切断して所望の厚さとしたシート状食パン片を用いてサンドイッチを製造する。これにより、シート状食パン片の表面(食パンの断面)に外観上視覚的に特徴のある渦巻き模様が1又は複数個露呈するサンドイッチとすることができる。ゆえに、サンドする具材に変化をもたせること無く、サンドイッチのバラエティ化を図ることができる。
したがって、具材に頼らずにバラエティ化が図られた斬新なサンドイッチを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明における実施の形態の一例について、図面を参照して説明する。
本発明で意図する食パンの製造方法は、焼成した後のパンを、棒状に成形した棒状パン生地であったときの長手方向に対して横断する方向で切断したときの断面に渦巻き模様が露呈することとなる食パンを製造する方法である。
なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるため技術的に種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、これらの形態に限られるものではない。
【0031】
<第1の実施の形態>
本実施の形態においては、色彩の異なる2種類のパン生地を用いて、切断したときの断面に3つの渦巻き模様が露呈することとなる3斤タイプの食パンを製造する場合を例に説明する。なお、本実施の形態においては、第一の色彩を有するパン生地を「第一パン生地」、この第一パン生地とは異なる第二の色彩を有するパン生地を「第二パン生地」とそれぞれ称する。
【0032】
図1は、本発明に係る食パンの製造方法の工程順を示すフローチャート図である。
図1に示すように、本実施の形態における食パンの製造方法は、第一工程としてのパン生地作成工程、第二工程としてのパン生地添加・混合工程、第三工程としての混合パン生地分割工程、第四工程としての分割パン生地成形工程、第五工程としての棒状成形パン生地型詰工程、第六工程としての型詰パン生地最終醗酵工程、第七工程としての醗酵パン生地焼成工程を備える。
【0033】
まず、パン生地作成工程(第一工程)は、図2に示すように、互いに色彩が異なる2種類のパン生地として、第一パン生地11及び第二パン生地12をそれぞれ作成する。
第一パン生地11及び第二パン生地12としては、いずれも、何ら特殊なパン生地である必要はなく、通常のパン生地を用いることができる。要は、両者の色彩が異なれば良い。したがって、第一パン生地11のみ着色しても良いし、第二パン生地12のみを着色しても良いし、或いは、両者が互いに異なる色彩となるように両者を着色しても良い。図2において、第一パン生地11は白色パン生地、第2パン生地12は着色パン生地として示されている。
【0034】
この第一パン生地11及び/又は第二パン生地12を着色するための着色材は、食用可能であれば、何ら限定されるものではなく、典型例としては、チョコレート、ココア、茶、果汁、ゴマ等が挙げられる。また、小麦の全粒又は胚芽の粉又は粒等を添加することにより着色することもできるし、又小麦以外の穀物の粒や粉等により着色しても良い。さらに、所謂「食用着色料」として販売されているものも当然に使用可能である。
【0035】
第一パン生地11及び第二パン生地12の原材料としては、何ら特殊なものを使用する必要が無く、通常の食パンに使用される原材料を使用することができる。具体的には、たとえば、小麦粉、パン酵母、水、糖類、油脂、乳製品、卵、塩、乳化剤、イーストフード、その他食用可能な任意の原材料を使用することができる。
【0036】
本実施の形態において、第一パン生地11及び第二パン生地12の作成は、常法により行うことができ、この工程では、それぞれのパン生地に必要な混捏が終了した状態のパン生地を作成する。したがって、たとえば、第一パン生地11及び第二パン生地12を中種法により作成する場合には、それぞれ、中種法の本捏工程が終了した状態のパン生地を作成する。また、ストレート法、その他の任意のパン製法を採用することも可能である。
【0037】
なお、本実施の形態において、第一パン生地11と第二パン生地12の使用割合は、特に限定されるものではないが、第二パン生地12を第一パン生地11より少量使用することが望ましい。たとえば第一パン生地11が100質量%に対し、第二パン生地12を5〜50質量%添加することが望ましく、同じく10〜40質量%とすることが更に望ましく、15〜30質量%とすることが最も望ましい。
【0038】
このように第一パン生地に対し添加する第二パン生地の全体量を調整すれば、分散する側の生地量が少量であり、少ない混合によって食パン10を切断したときの断面10aに綺麗な渦巻き模様101を確実に現出させ易くなる。
したがって、食パンを切断したときの断面に露呈する渦巻き模様において、第1の色彩と第2の色彩とのバランスを好ましいようにすることもできる。
【0039】
次に、パン生地添加・混合工程(第二工程)は、図3に示すように、パン生地作成工程で作成した第一の色彩を有する第一パン生地11と、この第一パン生地11とは色彩が異なる第二パン生地12とを混合する。本発明では、第一パン生地11に対し第二パン生地12を複数回に分けて添加し、第二パン生地12の第一パン生地11への添加ごとに混合する。
また、本発明では、図1に示す第二工程において点線で示すように、第二パン生地12の添加・混合工程を3回以上繰り返すものとしても良い。
【0040】
本実施の形態において、たとえば、第二パン生地12を2回に分けて第一パン生地11に添加・混合する場合、第一パン生地11及び第二パン生地12をそれぞれ作成した後、図3(a)に示すように、第一パン生地11に第二パン生地12の一部12aを添加して混合する。ここでの第一パン生地11と第二パン生地12(12a)との混合は、第一パン生地11と第二パン生地12(12a)とが完全に混ざり合い、混合後のパン生地が単一色のパン生地となることのないように混合する必要がある。図3(a)において、着色した第二パン生地12(12a)が白色の第一パン生地11中に満遍なく分散されている混合パン生地20aが示されている。
【0041】
引き続き、図3(b)に示すように、混合パン生地20aに第二パン生地12の残り12bを添加して混合する。ここでの混合も2種のパン生地が完全に混ざり合わないようにする必要がある。図3(b)において、着色した第二パン生地12(12a及び12b)が白色の第一パン生地11中に満遍なく分散されている最終の混合パン生地20が示されている。
【0042】
本実施の形態において、第一パン生地11に第二パン生地12を添加する場合、図10に示すように、添加する1回分の第二パン生地12を複数個に分割し、この分割した各第二パン生地12をそれぞれ、第一パン生地11又は既に混合された第一・第二パン生地(混合パン生地)20aの異なる位置に、分散させて載置することにより添加することが望ましい。
【0043】
この場合、この第二パン生地12を好ましくは2〜10個に分割し、さらに好ましくは3〜5個に分割して、それぞれ分散させて載置することが望ましい。ここでの第二パン生地12の分割数は、多くするほど第二パン生地12を第一パン生地11中に分散させ易くなるが、その反面、分割及び載置作業の煩雑性が増すことや、第二パン生地12が第一パン生地11に完全に混ざり合い易くなってしまう。したがって、上述した範囲の個数に分割することが好適である。図10(a)において、最初(1回目)に添加する1回分の第二パン生地12としてその一部12aが5つに分割され、この分割した各第二パン生地12−1,12−2,12−3,12−4,12−5がそれぞれ、第一パン生地11の異なる位置に、分散して載置されている状態が示されている。
【0044】
また、残りの第二パン生地12bを添加・混合する場合、以下の2つの好ましい形態がある。
まず、残りの第二パン生地12bの添加・混合方法A(第二パン生地の残部を1回で添加・混合する方法)は、最初(1回目)の添加・混合と同様の理由で、残りの第二パン生地12bを更に複数個に分割し、分割した第二パン生地12bをそれぞれ、既に混合された第一・第二パン生地(混合パン生地)20aの異なる位置に対し分散させて添加することが望ましい。また、この場合も、第二パン生地12bの分割個数は、好ましくは2〜10個、さらに好ましくは3〜5個として、それぞれ分散して載置することが望ましい。図10(b)において、2回目に添加する1回分の第二パン生地12として残り12bが5つに分割され、この分割した各第二パン生地12−1,12−2,12−3,12−4,12−5がそれぞれ、混合パン生地20aの異なる位置に、分散して載置されている状態が示されている。
この残りの第二パン生地12bを添加・混合Aは、残りの第二パン生地12bの添加後、2種のパン生地が完全に混ざり合わない程度に混合する。
【0045】
一方、残りの第二パン生地12bの添加・混合方法B(第二パン生地の残部を複数回に分けて添加・混合する方法)は、残りの第二パン生地12bを更に複数個に分割し、分割した複数個の第二パン生地12bのうちの一部を、まず既に混合された第一・第二パン生地(混合パン生地)20aに対して添加することが望ましい。ここで、添加する残りの第二パン生地12bの一部が1個の場合には、この一部を既に混合された第一・第二パン生地(混合パン生地)20aの任意の部位に載置することにより添加する。また、添加する残部の第二パン生地12bの一部が複数個の場合には、これら一部をそれぞれ、既に混合された第一・第二パン生地(混合パン生地)20aの任意の位置に分散させて載置して添加する。この場合、1回に添加する残部の第二パン生地12bを2〜10個添加することが望ましく、3〜5個添加することがより望ましい。この残りの第二パン生地12bの添加・混合は、具体的には、2〜10回繰り返すことが望ましく、3〜5回繰り返すことがより望ましい。
【0046】
従って、残りの第二パン生地12bの添加・混合方法Bでは、第二パン生地12の残り12bは、2〜100個に分割することが望ましく、4〜50個に分割することがより望ましく、6〜30個に分割することが更により望ましい。そして、残りの第二パン生地12bを1回に2〜10個ずつ添加することが望ましく、3〜5個ずつ添加することがより望ましい。図10(c)において、2回目以降に添加する第二パン生地12として残り12bが5つの第二パン生地12−1,12−2,12−3,12−4,12−5に分割され、この分割した一部の第二パン生地12−1(2回目又はそれ以降に添加する1回分の第二パン生地)が、さらに5つに分割され、この分割した各第二パン生地12−1a,12−1b,12−1c,12−1d,12−1eがそれぞれ、混合パン生地20aの任意の位置に載置されている状態が示されている。
【0047】
このように第一パン生地11に対し添加する1回分の第二パン生地12を分割すれば、予め第二パン生地12が分散して添加されているので、第一パン生地11と第二パン生地12とが均一に混合することなく、第一パン生地11中に第二パン生地12を満遍なく分散させ、且つ焼成後の食パンの断面に綺麗な渦巻き模様を現出させ易くなる。
したがって、食パンを切断したときの断面に露呈する渦巻き模様において、第一パン生地11に対し一回当たり添加する第二パン生地12の量を調整することなく、第1の色彩と第2の色彩とが混ざり合うことを低減するように抑制することもできる。
【0048】
次に、混合パン生地分割工程(第三工程)は、図4に示すように、パン生地添加・混合工程(第二工程)で混合した混合パン生地20を分割する。
分割は、その前に常法に倣いフロアタイムをとって、該パン生地を休ませることが望ましい。この場合、フロアタイムは、例えば、10〜30℃で、10〜30分間行うことがより望ましい。
【0049】
この混合パン生地分割工程は、任意に且つ常法により行うことができる。分割重量も特に制限はないが、たとえば、400〜800gとすることが望ましい。分割工程後においても、常法に倣い、丸め工程及びベンチタイムをとることが望ましく、ベンチタイムは、たとえば、10〜30℃で、10〜30分間とることがより望ましい。図4において、混合パン生地20をフロアタイム後に複数に分割した分割パン生地30(30a,30b,30c,30d,30e・・・)が示されている。
【0050】
次に、分割パン生地成形工程(第四工程)は、図5に示すように、混合パン生地分割工程で分割したパン生地をそれぞれ圧延し、さらに、このパン生地を縁部より巻き上げて棒状に成形する。好ましくは、分割・丸め・ベンチタイム後のパン生地を圧延し、巻き上げて棒状に成形すると良い。この成形は、各種モルダー、カーリング等の機械により行うことができるし、当然、手作業でも良い。図5(a)において、分割パン生地30を平面状に圧延した圧延パン生地40が示され、図5(b)において、この圧延パン生地40を縁部40aより巻き上げている状態が示され、図5(c)において、この圧延パン生地40を巻き上げて棒状に成形した棒状パン生地50が示されている。
【0051】
なお、通常、角型食パン生地の成形は、所謂、「M字」成形(すなわち、パン生地を棒状に成形してから、アルファベットの「M」の形に成形するもの)、「N字」成形(すなわち、パン生地を棒状に成形してから、アルファベットの「N」の形に成形するもの)等の成形方法が採用されている。しかしながら、このような通常の角型食パン生地の成形方法では、焼成後の食パンの断面に渦巻き模様を形成させることはできない。したがって、分割したパン生地は、圧延後に巻き上げて棒状に成形することを要する。
【0052】
次いで、棒状成形パン生地型詰工程(第五工程)は、図6に示すように、分割パン生地成形工程で棒状に成形した棒状パン生地50を、焼成型51の長手方向Lに沿うよう焼成型内の底面中央に1本、又は複数本並列に焼成型内に載置し型詰を行う。
本発明において、この棒状パン生地を2〜4本型詰することが、より確実に食パンの断面に渦巻き模様を形成させることができるため望ましい。また、最も確実に該模様の形状を安定させ、各模様の大きさを均等にバランス良く形成させるためには、この棒状パン生地を3本とすることが望ましい。図6において、3本の棒状パン生地50A,50B,50Cが焼成型51内に並列に載置し型詰された状態が示されている。
なお、本発明の食パンの製造方法は、切断したときの断面に露呈する渦巻き模様が1つだけとなるように、棒状パン生地50を焼成型51内中央に1本だけ載置して型詰することもできるし、2又は4以上の渦巻き模様が切断したときの断面に露呈するように、焼成型51内に2又は4以上の棒状パン生地50を並列に載置して型詰しても良い。
【0053】
さらに、パン生地醗酵工程(第六工程)は、図7に示すように、棒状成形パン生地型詰工程で焼成型内に載置した棒状パン生地を最終醗酵する。
本発明において、最終醗酵の条件についても特に制限が無く、常法により行うことができる。具体的には、例えば、温度30〜40℃、湿度70〜90%、時間30〜90分間の条件にて行うことができる。図7において、焼成型51内において最終醗酵した3本の棒状パン生地60A,60B,60Cが示されている。
【0054】
そして、パン生地焼成工程(第七工程)は、パン生地醗酵工程で最終醗酵した棒状パン生地60A,60B,60Cを焼成する。
本実施の形態による食パンは、焼成型51に蓋(不図示)をしてから焼成して製造される角型食パンであることが望ましい。蓋をして焼成することにより、焼成中における各棒状生地の膨張が均一となり、形成される各渦巻き模様の大きさも均一になり易くなる。
【0055】
また、本発明において、焼成条件も特に制限は無い。したがって、たとえば、温度180〜250℃、時間20〜50分間の焼成条件を採用することができる。図8において、3本の棒状パン生地60A,60B,60Cを焼成することにより製造した3斤タイプの食パン10が示されている。
【0056】
このようにして得られた食パンは、図9に示すように、分割パン生地成形工程において棒状パン生地であったときの長手方向に対し横断する方向で切断したとき、その断面に複数個の渦巻き模様101が形成されている。ここで、「横断する方向」とは、食パン10の長手方向に対して斜め方向をも含むが、直交する方向で切断することが望ましい。
図9(a)において、食パン10を長手方向に対し直交する方向に図中A−A線に沿って切断することが示され、図9(b)において、3つの渦巻き模様101が略均一に、かつ、定形的に形成されている食パン10の断面10aが示されている。
【0057】
したがって本実施の形態において、第二パン生地12として1種類のパン生地を用い、且つ、同じ色彩の棒状パン生地50を3本型詰することにより得られた食パン10の断面10aに形成される各渦巻き模様101はいずれも単色で、同色となる。
【0058】
以上のように本発明は、色彩の異なる複数種類のパン生地を用いて、一方のパン生地に対し、他方の種類のパン生地を分割して順次添加・混合するとともに、両者を混合した後のパン生地を巻き上げて棒状に成形するものである。したがって、焼成した後のパンを、棒状に成形した棒状パン生地であったときの長手方向に対して横断する方向で切断したとき、断面に渦巻き模様が略均一に、かつ、定形的に形成された食パンを製造することができる。
【0059】
また、本発明は、図11に示すように、上述した方法により製造した食パン10を用いたサンドイッチ110をも包含する。ここでは、この食パン10を、その長手方向に対し直交する方向、すなわち型詰した棒状パン生地であったときの長手方向に対して直交する面でスライスして所望の厚さとした、このスライス面に渦巻き模様101を現出させたシート状食パン片100を用いる。図11において、表面(食パン10の断面10a)に3つの渦巻き模様101が略均一に、かつ、定形的に形成されている、2枚のシート状食パン片100A,100Bを用いて具材111を挟むことにより製造したサンドイッチ110が示されている。
【0060】
このサンドイッチの製造方法及び、サンドする具材については何ら制限が無い。したがって、所謂「甘味系」、「惣菜系」等、いずれの種類の具材をも使用することができる。また、第一パン生地11及び/又は第二パン生地12を作成するにあたり、適宜原材料を選択して味付け、風味付け、色付け等を施して、サンドする具材と同系統のものとしたり、異系統のものとしたりすることができる。このように、本発明により、食パンを使用したサンドイッチにおいて、際限無くバリエーションを増やすことが可能となる。
【0061】
また、本発明においてサンドイッチは、図12に示すように、密閉型サンドイッチ120であることが望ましい。
ここで、「密閉型サンドイッチ」とは、たとえば、スライスした2枚のシート状食パン片100A,100Bの間に具材111を挟んだものの周囲102a,102bを圧着し、好ましくは、圧着と同時に、圧着した部位より外側に位置するシート状食パン片の外周部(所謂、食パンの耳)を切り離すこと等により得られるサンドイッチである。
【0062】
また、スライスした1枚のシート状食パン片を折り返し、シート状食パン片が2重となった間に具材を挟んだものの開口周囲を圧着し、及び折り返し部分も圧着する。好ましくは、圧着と同時に、圧着した部位より外側に位置するシート状食パン片の外周部を切り離すこと等により得られるサンドイッチでも良い。なお、1枚のシート状食パン片を折り返して得た中間品の場合、一辺は折り返し部分となっているので圧着する必要は無い。
【0063】
さらに、比較的肉厚にスライスしたシート状食パン片の一端は切り離れないようにしつつ、厚さ方向略中間部よりスライス面に沿って平行に切り込みを入れ、この切り込み部に具材を挟んだもの等の中間品を作成する。引き続き、この中間品の重なり合った上下のシート状食パン片の周囲を圧着し、好ましくは、圧着と同時に、圧着した部位より外側に位置するシート状食パン片の外周部を切り離すこと等により得られるサンドイッチでも良い。
【0064】
この密閉型サンドイッチの製造は、特に限定されるものではなく、たとえば、特許第3941061号公報や、特開2004−242664号公報等に記載された方法・装置によるものとすることができる。
【0065】
また、このような渦巻き模様が形成された食パンを所望の厚さにスライスしたシート状パン生地片を用いて密閉型サンドイッチを製造する場合、密閉型サンドイッチに使用する食パンの第一パン生地及び/又は第二パン生地の着色材の色と、サンドする具材の内容との間に一定の法則を定めておけば、製造された密閉型サンドイッチの外観、たとえば食パンに形成された渦巻き模様の色及び/又は渦巻き模様の周りの色から、その具材の内容が判別できるため便利である。
【0066】
また、本発明において、上述したパン生地作成工程(第一工程)により図13に示すように、互いに色彩の異なる3以上のパン生地をそれぞれ作成し、そのうちの1つを第一パン生地とし、2以上を第二パン生地として、第二パン生地相互間及びこれらと第一パン生地の色彩を異なるものとしても良い。複数種類の色彩の異なるパン生地を使用する場合、各複数種類の色彩の異なる第二パン生地は、それぞれ別々に作成しておく。
図14において、第一パン生地11は白色パン生地、第二パン生地12は着色パン生地として示され、さらに、第二パン生地12は、第一着色パン生地(第二パン生地A)12Aと、第二着色パン生地(第二パン生地B)12Bとして示されている。
【0067】
次に、第二工程としてのパン生地添加・混合工程において、図13に示すように、パン生地作成工程で作成した第一の色彩を有する第一パン生地11と、この第一パン生地11とは異なる色彩を有する第一着色パン生地12Aとを混合する。この場合、第一パン生地11に対し第一着色パン生地12Aを添加して混合する。
【0068】
ここでの第一パン生地11と第一着色パン生地12Aとの混合は、第一パン生地11と第一着色パン生地12Aとが完全に混ざり合い、混合後のパン生地が単一色のパン生地となることのないように混合する必要がある。図15(a)において、第一着色パン生地12Aが白色の第一パン生地11中に満遍なく分散されている混合パン生地20bが示されている。
【0069】
引き続き、図13に示すように、先のパン生地添加・混合工程において作成した第一パン生地11と第一着色パン生地12Aとの混合パン生地20bに対し、第一パン生地11及び第一着色パン生地12Aとは異なる色彩を有する第二着色パン生地12Bを添加し、混合する。ここでの混合もまた、第一パン生地11と第一着色パン生地12Aと第二着色パン生地12Bとが完全に混ざり合い、混合後のパン生地が単一色のパン生地となることのないように混合する必要がある。図15(b)において、第一着色パン生地12Aと第二着色パン生地12Bとが白色の第一パン生地11中に満遍なく分散されている最終の混合パン生地20が示されている。
【0070】
なお、第二パン生地12として、互いに色彩の異なる第一着色パン生地12Aと第二着色パン生地12Bを第二パン生地12とし、この第一着色パン生地12Aと第二着色パン生地12Bとを第一パン生地11に対して別々に添加するものとしたが、これに限らず第一着色パン生地12Aと第二着色パン生地12Bとを第一パン生地11に対して一緒に添加するものとしても良い。
【0071】
第二パン生地として、複数種類の色彩の異なるパン生地を使用する場合、第一パン生地と第二パン生地の使用割合は、複数種類の色彩の異なる第二パン生地の合計量が、上述した第一パン生地100質量%に対する第二パン生地の好ましい添加量と同様の数値範囲となるようにして、第二パン生地を添加することが望ましい。
また、第二パン生地として、複数種類の色彩の異なるパン生地を使用する場合、複数種類の色彩の異なる第二パン生地をそれぞれ分割して添加することが望ましい。
【0072】
また、複数種類の色彩の異なる第二パン生地の最初(1回目)に添加する1回分の分割個数を、上述した1回に添加する第二パン生地の好ましい分割個数と同様の分割個数の数値範囲の個数とすることが望ましい。
また、第二パン生地として、複数種類の色彩の異なるパン生地を使用する場合、複数種類の色彩の異なる第二パン生地の残部をそれぞれ分割して第一パン生地上に分散させて添加することが望ましく、また、複数種類の色彩の異なる分割された第二パン生地をそれぞれ分割して、複数回に分けて添加する場合には、その添加毎に複数個を分散させて添加して混合することがより望ましい。
【0073】
また、複数種類の色彩の異なる第二パン生地の残部の分割個数を、上述した1回又は複数回に分けて添加する場合における第二パン生地の好ましい分割個数と同様の分割個数の数値範囲の個数とすることが望ましい。
【0074】
また、第二パン生地として、複数種類の色彩の異なるパン生地を使用する場合において、パン生地添加・混合工程で添加及び混合を繰り返し行うときには、各複数種類の色彩の異なる第二パン生地を、繰り返し行う添加のうちいずれで添加しても構わないが、繰り返し行う添加の全てに添加することが望ましい。この場合も、各添加において、各複数種類の色彩の異なる第二パン生地をそれぞれ分割して添加することが望ましい。
【0075】
その後、上述の混合パン生地分割工程、分割パン生地成形工程、棒状成形パン生地型詰工程、型詰パン生地最終醗酵工程、及び醗酵パン生地焼成工程を経て食パンを製造することができる。
このようにして得られた食パンは、図16に示すように、分割パン生地成形工程において棒状パン生地であったときの長手方向に対し横断する方向で切断したときの断面に、複数の色彩を有する複数個の渦巻き模様131が形成されている。図16において、2色からなる3つの渦巻き模様131が略均一に、かつ、定形的に形成されている食パン10の断面10bが示されている。
【0076】
このように互いに色彩のことなる3以上のパン生地を用いて、第二パン生地として、複数種類の色彩の異なるパン生地を使用すれば、一つの渦巻き模様が複数色で形成されることになる。
したがって、本発明の食パンの製造方法においては、第二パン生地として、色彩の異なる複数種類のパン生地を使用することもできる。
【0077】
また、本発明において、上述したパン生地作成工程(第一工程)、パン生地添加・混合工程(第二工程)、混合パン生地分割工程(第三工程)、分割パン生地成形工程(第四工程)により第一棒状パン生地を作成し、これとは別に、上述したパン生地作成工程(第一工程)、パン生地添加・混合工程(第二工程)、混合パン生地分割工程(第三工程)、分割パン生地成形工程(第四工程)により、第一棒状パン生地を構成する第一パン生地及び/又は第二パン生地とは色彩の異なる第一パン生地及び第二パン生地からなる第二棒状パン生地を1種類又は互いに色彩の異なる2種類以上を作成し、これら第一棒状パン生地及び第二棒状パン生地を複数本並列に焼成型内に載置し型詰し、型詰パン生地最終醗酵工程、及び醗酵パン生地焼成工程を経て食パンを製造するものとしても良い。
【0078】
具体的には、まず、上述したパン生地作成工程(第一工程)によりパン生地を作成し、図14に示すように、互いに色彩の異なる3以上のパン生地をそれぞれ作成しておく。
次に、第二工程としてのパン生地添加・混合工程において、図17(a)に示すように、パン生地作成工程で作成した第一の色彩を有する第一パン生地11と、この第一パン生地11とは色彩が異なる第一着色パン生地12Aとを混合する。本発明では、第一パン生地11に対し第一着色パン生地12Aを添加して混合する。
【0079】
ここでの第一パン生地11と第一着色パン生地12Aとの混合は、第一パン生地11と第一着色パン生地12Aとが完全に混ざり合い、混合後のパン生地が単一色のパン生地となることのないように混合する必要がある。図17(a)において、第一着色パン生地12Aが白色の第一パン生地11中に満遍なく分散されている混合パン生地20Aが示されている。
【0080】
また、混合パン生地20Aとは別に、図17(b)に示すように、パン生地作成工程で作成した第一の色彩を有する第一パン生地11と、第一着色パン生地12Aとは色彩が異なる第二着色パン生地12Bとを混合する。本発明では、第一パン生地11に対し第二着色パン生地12Bを添加して混合する。ここでの混合もまた、第一パン生地11と第二着色パン生地12Bとが完全に混ざり合い、混合後のパン生地が単一色のパン生地となることのないように混合する必要がある。図17(b)において、第二着色パン生地12Bが白色の第一パン生地11中に満遍なく分散されている最終の混合パン生地20Bが示されている。
【0081】
そして、混合パン生地分割工程、分割パン生地成形工程の後、棒状成形パン生地型詰工程において、着色パン生地(第二パン生地)の色彩が異なる棒状パン生地を、焼成型の長手方向に沿うよう複数本(前記第二棒状パン生地1本と、その両側に前記第一棒状パン生地を1本ずつ)並列に焼成型内に載置し型詰し、型詰パン生地最終醗酵工程、及び醗酵パン生地焼成工程を経て食パンを製造する。
【0082】
このようにして得られた食パンは、図18に示すように、分割パン生地成形工程において棒状パン生地であったときの長手方向に対し横断する方向で切断したときの断面に、第一渦巻き模様141Aと、第二渦巻き模様141Bが複数形成されている。図18において、二つの第一渦巻き模様141Aで一つの第二渦巻き模様141Bを挟み込んだ3つの渦巻き模様141が略均一に、かつ、定形的に形成されている食パン10の断面10cが示されている。
【0083】
このように互いに色彩のことなる3以上のパン生地を用い、それぞれ異なる色彩の混合パン生地を組み合わせれば、第二パン生地12として、互いに異なる色彩の着色パン生地が用いられた複数の棒状パン生地50を組み合わせて使用するので、それぞれの渦巻き模様が互いに異なった色彩で形成されることになる。
したがって、本発明の食パンの製造方法においては、第二パン生地12として、色彩の異なる複数種類のパン生地を使用し、別々に第一パン生地11と混合して製造した互いに色彩の異なる混合パン生地20を用いることもできる。
【0084】
このように本発明は、第一パン生地が1種類のパン生地で第二パン生地が複数種類のパン生地である場合だけでなく、第一パン生地が複数種類で第二パン生地が1種類のパン生地である場合、さらには、第一パン生地及び第二パン生地のいずれもが複数種類のパン生地である場合をも含むものである。
【0085】
<第2の実施の形態>
また、本発明の食パンの製造方法は、食パンを切断したときの断面に露呈する渦巻き模様の形成工程を単純化(簡略化)させるようにすることもできる。すなわち、上述した第1の実施の形態とは、第一パン生地に対し複数回に分けて添加する第二パン生地の量を均一化する点で異なる。
なお、以下に述べる他の各実施の形態では、上述した第1の実施の形態と異なる部分を中心に説明する。したがって、第1の実施の形態と同様の構成部分は同じ符号を付してその説明は省略し、特に説明しない限り同じであるものとする。
【0086】
本実施の形態において、第一工程としてのパン生地作成工程は、上述した第1の実施の形態と同様である。
次いで、本実施の形態において、第一パン生地11に第二パン生地12を添加して混合する場合、第一パン生地11に対し一回当たり添加する第二パン生地12の量を均等割合とする。すなわち、第二パン生地12を複数回に分けて第一パン生地11に添加する場合、最初(1回目)に添加する第二パン生地12(12a)の量と、2回目又は2回目以降に添加する各第二パン生地12(12b)の量とを等しいものとする。
【0087】
その後、上述した第1の実施の形態と同様に、第一パン生地11と第二パン生地12とを混合して混合パン生地20を作成し、この混合パン生地20を分割して分割パン生地30を作成する。そして、この分割パン生地30を圧延してその縁部40aより巻き上げて棒状パン生地50に成形すると共に、この棒状パン生地50を焼成型内に載置して型詰し、最終醗酵し、焼成する。なお、第一パン生地11への第二パン生地12の添加、及び第一パン生地11と第二パン生地12の混合は、複数回繰り返すことが望ましい。具体的には、4〜20回繰り返すことが望ましく、6〜10回繰り返すことがより望ましい。
【0088】
本実施の形態において、第一パン生地11と第二パン生地12との混合にミキサーを用いるとき、第一パン生地11に対し最初に添加する第二パン生地12aは、複数個に分割して添加することが望ましく、また、その混合は、ミキサーを寸動させることにより行うことが望ましい。この混合には、たとえば、回転軸が水平向きに配置されて回転する、所謂、「横型ミキサー」を用いることができる。ここで「寸動」とは、僅かにミキサーを回転させることを意味する。具体的には、例えば「横型ミキサー」を使用する場合には、第一パン生地に添加した第二パン生地を、次回添加する第二パン生地の第一パン生地上の添加予定場所から除去する(移動させる)程度にミキサーを僅かに回転させ、且つ、それ以上に回転させないようにすることをいう。
【0089】
また、残りの第二パン生地12bを添加し、ミキサーで混合する場合も、第二パン生地12の残り12bを複数個に分割して複数回に分けて添加することが望ましく、添加・混合を複数回繰り返す場合に、その添加毎に第二パン生地12を複数個添加することが更により好ましい態様となる。具体的には、たとえば、2回目(もしくはそれ以降)の添加・混合工程は、分割された第二パン生地12を添加毎に3〜5個添加して、ミキサーを寸動させて混合する添加・混合を5〜20回繰り返すことが望ましく、7〜10回繰り返すことが最も好ましい態様である。
【0090】
このように第一パン生地11と第二パン生地12との混合において、たとえば回転軸が水平向きに配置されて回転するミキサーを用いるとき、ミキサーを寸動させて混合を行えば、2種のパン生地が完全に混ざり合ってしまう危険は無い。
【0091】
本実施の形態によれば、第一パン生地11に対し添加する第二パン生地12の量を添加回数ごとに細かく調整することなく、機械化・大量生産に適した均等分割という極めて単純化(簡略化)した分割作業によって、食パンを切断したときの断面に渦巻き模様が露呈するようにできる。
【0092】
<第3の実施の形態>
また、本発明の食パンの製造方法は、食パンを切断したときの断面に露呈する渦巻き模様において、第1の色彩と第2の色彩とが完全に混ざり合うことを低減するように抑制することもできる。すなわち、上述した第2の実施の形態と同様に、上述した第1の実施の形態とは、第一パン生地に対し分割して添加する第二パン生地の量を調整する点で異なり、また、上述した第2の実施の形態とは、第一パン生地11と第二パン生地12との混合にミキサーを用いたときの混合方法が異なる。
【0093】
本実施の形態において、第一工程としてのパン生地作成工程は、上述した第1の実施の形態と同様である。
次いで、本実施の形態において、第一パン生地11に第二パン生地12の一部を添加して混合する場合、最初(1回目)に添加して混合する一部12aとしての第二パン生地12の量は、たとえば第二パン生地12全部(全量)のうち、30〜70質量%とすることが望ましく、35〜65%質量とすることが更に望ましく、40〜60%質量とすることが最も望ましい。
【0094】
第一パン生地11と第二パン生地12との混合に上述したミキサーを用いるとき、第一パン生地11に対し最初に添加した第二パン生地12aの混合は、ミキサーを略半回転させることにより行うことが望ましい。
【0095】
このように第一パン生地11と第二パン生地12との混合において、たとえば回転軸が水平向きに配置されて回転するミキサーを用いるとき、ミキサーを半回転させて最初に添加した第二パン生地12の混合を行えば、2種のパン生地が完全に混ざり合ってしまう危険が無く、しかも、第一パン生地11と最初に添加した第二パン生地12との混合を効率良く機械的に行うようにすることもできる。
【0096】
また、このようにミキサーを略半回転させることにより混合を行うと、第一パン生地11に添加した第二パン生地12が、最初の位置を表側とすると略裏側に位置することとなり、すなわち、次に添加する第二パン生地12の残り12bの添加位置の略裏側に位置することになるため、第二パン生地12が第一パン生地11中で満遍なく分散され易くなる。
【0097】
なお、本実施の形態において、第二パン生地12の一部12aを最初に添加した後は、残り12bを一括して添加することが望ましい。
【0098】
第一パン生地11と第二パン生地12の残部との混合に上述したミキサーを用いるとき、この混合は、残りの第二パン生地12bの添加後、2種のパン生地が完全に混ざり合わない程度にミキサーを一定時間回転させて混合する。具体的には、たとえば、上述したミキサーを15〜40rpm、即ち、1分間に15〜40回の回転速度で、5〜20秒間回転させて混合を行うことが望ましい。もっとも、これと異なる回転速度のミキサーも当然使用可能であり、その場合には、混合時間を適宜調節すれば良い。
【0099】
このように第一パン生地11と2回目に添加した第二パン生地12との混合において、ミキサーを一定時間回転させて混合を行えば、第一パン生地11と第二パン生地12が均一に混合されてしまうことなく、第一パン生地11と2回目に添加した第二パン生地12との混合を機械的に効率良く行うようにすることもできる。
【0100】
その後、上述した第1の実施の形態と同様に、第一パン生地11と第二パン生地12とを混合して混合パン生地20を作成し、この混合パン生地20を分割して分割パン生地30を作成する。そして、この分割パン生地30を圧延してその縁部40aより巻き上げて棒状パン生地50を成形すると共に、この棒状パン生地50を焼成型内に載置して型詰し、最終醗酵し、焼成する。
【0101】
本実施の形態によれば、第一パン生地11と第二パン生地12とが完全に混合されることなく、第二パン生地12を第一パン生地11中で満遍なく分散させ、且つ断面に綺麗な渦巻き模様を現出させ易くなる。
【0102】
<第4の実施の形態>
また、本発明の食パンの製造方法は、食パンを切断したときの断面に露呈する渦巻き模様を、よりきれいに確実に形成させることもできる。すなわち、上述した第2及び第3の実施の形態と同様に、上述した第1の実施の形態とは、第一パン生地に対し分割して添加する第二パン生地の量を調整する点で異なり、また、上述した第2及び第3の実施の形態とは、第一パン生地11と第二パン生地12との混合に上述したミキサーを用いたときの混合方法が異なる。
【0103】
本実施の形態において、第一工程としてのパン生地作成工程は、上述した第1の実施の形態と同様である。
次いで、本実施の形態において、第一パン生地11に第二パン生地12の一部を添加して混合する場合、最初(1回目)に添加して混合する一部12aとしての第二パン生地12の量は、たとえば第二パン生地12全部(全量)のうち、30〜70質量%とすることが望ましく、35〜65%質量とすることが更に望ましく、40〜60%質量とすることが最も望ましい。
【0104】
この場合、第一パン生地11と第二パン生地12との混合に上述したミキサーを用いるとき、第一パン生地11に対し最初に添加した第二パン生地12aの混合は、ミキサーを略半回転させることにより行うことが望ましい。
【0105】
なお、本実施の形態において、第二パン生地12の一部12aを最初に添加した後は、残り12bを均等割合の量で複数回に分けて添加することが望ましい。
【0106】
第一パン生地11と残りの第二パン生地12bとの混合は、残りの第二パン生地12bの添加後、2種のパン生地が完全に混ざり合わない程度にミキサーを寸動させて混合することが望ましい。なお、第一パン生地11への第二パン生地12の残部12bの添加、及び第一パン生地11と第二パン生地12の残部12bの混合は、複数回繰り返すことが望ましい。具体的には、2〜10回繰り返すことが望ましく、3〜5回繰り返すことがより望ましい。この場合、添加するごとに、第二パン生地12の残部12bを複数個添加することが望ましい。具体的には、添加ごとに第二パン生地12の残部12bを2〜10個添加することがより望ましく、3〜5個添加することがさらにより望ましい。
【0107】
このように第一パン生地11と最初に添加した第二パン生地12の混合において、ミキサーを半回転させて最初に混合を行い、引き続き、第一パン生地11と2回目(もしくはそれ以降)に添加した第二パン生地12との混合において、ミキサーを寸動させて混合を行う。これにより、第一パン生地11を第二パン生地12中で満遍なく分散させ、且つ焼成後の食パンの断面に綺麗な渦巻き模様を現出させ易くなる。
【0108】
その後、上述した第1の実施の形態と同様に、第一パン生地11と第二パン生地12とを混合して混合パン生地20を作成し、この混合パン生地20を分割して分割パン生地30を作成する。そして、この分割パン生地30を圧延してその縁部40aより巻き上げて棒状パン生地50を成形すると共に、この棒状パン生地50を焼成型内に載置して型詰し、最終醗酵し、焼成する。
【0109】
本実施の形態によれば、第一パン生地11と第二パン生地12とが完全に混合されることなく、第二パン生地12を第一パン生地11中で満遍なく分散させ、且つ断面に綺麗な渦巻き模様を現出させ易くなる。
【実施例】
【0110】
以下、実施例及び比較例により、本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例1]
1.第一パン生地(白生地/乳白色)の作成
(1)表1に示す中種配合及び、表2に示す中種工程条件により横型ミキサーを用いて中種を作成した。
【0111】
【表1】
【0112】
【表2】
【0113】
(2)上記(1)で作成した醗酵後の中種を用いて、表3に示す本捏配合及び、表4に示す本捏工程条件により、上記横型ミキサーを用いて第一パン生地を作成した。
【0114】
【表3】
【0115】
【表4】
【0116】
2.第二パン生地(ココア生地/茶色)の作成
(3)表5に示す中種配合及び、表6に示す中種工程条件により、上記横型ミキサーを用いて中種を作成した。
【0117】
【表5】
【0118】
【表6】
【0119】
(4)上記(3)で作成した醗酵後の中種を用いて、表7に示す本捏配合及び、表8に示す本捏工程条件により、上記横型ミキサーを用いて第二パン生地を作成した。
【0120】
【表7】
【0121】
【表8】
【0122】
3.パン(生地)の作成
(5)上記1.で作成した第一パン生地100質量%及び、上記2.で作成した第二パン生地20質量%を用いて、以下の要領にてパン生地を作成した。パン生地の作成は以下の通りである。
(5−1)まず、第一パン生地100質量%を、上記横型ミキサーに投入した。この際、第一パン生地を横型ミキサーに投入する代わりに、第一パン生地の本捏工程終了後、第一パン生地をそのまま横型ミキサー内に入れたまま、それ以降の工程に進むようにしても良い。
(5−2)引き続き、第二パン生地20質量%のうちの10質量%を略4等分し、この4等分した第二パン生地を第一パン生地上に分散させて添加した。
(5−3)そして、横型ミキサーを略半回転させた(以下、「第一添加・混合工程」という。)。
【0123】
(5−4)次に、残部の第二パン生地10質量%を略16等分して、そのうちの4個を第一添加・混合工程後の混合パン生地上に分散させて添加した。
(5−5)引き続き、横型ミキサーを寸動させた(以下、「第二添加・混合工程1」という。)
(5−6)また、上記(5−4)で略16等分したうちの4個の第二パン生地を、第二添加・混合工程1後の混合パン生地上に分散させて添加した。
(5−7)引き続き、横型ミキサーを寸動させた(以下、「第二添加・混合工程2」という。)
【0124】
(5−8)また、上記(5−4)で略16等分したうちの4個の第二パン生地を、第二添加・混合工程2後の混合パン生地上に分散させて添加した。
(5−9)引き続き、横型ミキサーを寸動させた(以下、「第二添加・混合工程3」という。)
(5−10)さらに、上記(5−4)で略16等分したうちの4個の第二パン生地を、第二添加・混合工程3後の混合パン生地上に分散させて添加した。
(5−11)そして、横型ミキサーを寸動させた(以下、「第二添加・混合工程4」という。)
【0125】
(6)第二添加・混合工程4後、20分間のフロアタイムをとった。
(7)フロアタイム後、混合パン生地を530gに分割した。
(8)混合パン生地の分割後、丸め、20分間のベンチタイムをとった。
(9)ベンチタイム後、2段クロスモルダー(モルダーローラークリアランス上部5mm、下部2mmに設定)により、分割パン生地を圧延して巻き上げ、3斤食パン用焼成型の底面長手方向よりもやや短い長さの棒状に成形した。
(10)上記(9)で成形した棒状パン生地3本を、3斤食パン用焼成型の底面上に並列に載置して型詰した。
(11)そして、型詰したパン生地を、温度38℃、湿度85%、時間60分間の条件で最終醗酵させた。
(12)その後、焼成型に蓋をし、温度210℃、40分間の条件で焼成して、角型食パンを得た。
【0126】
4.パンの評価
上記3.により製造した角型食パンを長手方向に対して直交する方向で切断したところ、その切断面には、ココア生地(第二パン生地)に由来する茶色の渦巻き模様が3個並列的に形成されていた。この3個の渦巻き模様は、略均等の大きさで、しかも、いずれの渦巻き模様も綺麗に形よく形成されていた。
【0127】
[実施例2]
上記実施例1において、パン生地の分割重量を800gとし、2段クロスモルダーを上部5.5mm、下部2.5mmに設定し、及び棒状パン生地2本を3斤食パン用焼成型の底面上に並列に載置する以外は、実施例1と同様の配合及び工程により角型食パンを製造した。
得られた角型食パンを長手方向に対して直交する方向で切断したところ、その切断面には、ココア生地(第二パン生地)に由来する茶色の渦巻き模様が2個並列的に形成されていた。この2個の渦巻き模様は、略均等の大きさで、しかも、いずれの渦巻き模様も綺麗に形よく形成されていた。
【0128】
[実施例3]
上記実施例1において、パン生地の分割重量を400gとし、及び棒状生地4本を3斤食パン用焼成型の底面上に並列に載置する以外は、実施例1と同様の配合及び工程により角型食パンを製造した。
得られた角型食パンを長手方向に対して直交する方向で切断したところ、その切断面には、ココア生地(第二パン生地)に由来する茶色の渦巻き模様が4個並列的に形成されていた。この4個の渦巻き模様は、略均等の大きさで、しかも、いずれの渦巻き模様も綺麗に形よく形成されていた。
【0129】
[実施例4]
1.密閉型サンドイッチの製造
上記実施例1で製造した角型食パンを用いて、以下の要領にて密閉型サンドイッチを製造した。
(1)上記実施例1で得られた角型食パンを長手方向に対して直交する方向で10mm厚にスライスした。
(2)上記(1)でスライスしたシート状食パン片2枚の上面にチョコクリームを塗布した。
(3)上記(2)のシート状食パン片2枚のチョコクリーム塗布面を合わせて(チョコクリームをサンドするように)重ね合わせた中間品を作成した。
(4)上記(3)の中間品を、上下一対の抜き型で挟み付けるように押圧し、この中間品の上下のパン片の周囲圧着予定部位を圧着させると同時に、この周囲圧着予定部位の外周部分を切断して密閉型サンドイッチを得た。
【0130】
2.密閉型サンドイッチの評価
上記1.で得られた密閉型サンドイッチは、その食パンについては、ココア風味を有するとともに、渦巻き模様が3個並列的に形成されており、また、具材としてチョコクリームがサンドされたものであった。該密閉型サンドイッチは、外観が斬新であり、また、その食味は、食パンのココア味と具材のチョコクリームの味とが混合した味わい深いものであった。
【産業上の利用可能性】
【0131】
本発明は、パンを製造する業種において産業上有用であり、特に、食パンを用いてサンドイッチを製造する市場において有用である。
【図面の簡単な説明】
【0132】
【図1】本発明に係る食パンの製造方法の工程順を示すフローチャート図である。
【図2】本発明に係る食パンの製造方法におけるパン生地作成工程を説明する模式図である。
【図3】本発明に係る食パンの製造方法におけるパン生地添加・混合工程を説明する図であり、(a)第二パン生地一部添加・混合状態を説明する模式図、(b)第二パン生地残部添加・混合状態を説明する模式図である。
【図4】本発明に係る食パンの製造方法における混合パン生地分割工程を説明する模式図である。
【図5】本発明に係る食パンの製造方法における分割パン生地成形工程を説明する図であり、(a)圧延状態を説明する模式図、(b)巻き上げ状態を説明する模式図、(c)棒状成形状態を説明する模式図である。
【図6】本発明に係る食パンの製造方法における棒状成形パン生地型詰工程を説明する模式図である。
【図7】本発明に係る食パンの製造方法における型詰パン生地最終醗酵工程を説明する模式図である。
【図8】本発明に係る食パンの製造方法における醗酵パン生地焼成工程後の食パンを示す斜視図である。
【図9】本発明に係る食パンの製造方法において製造した食パンを示す図であり、(a)平面図、(b)(a)に示すA−A線に沿う断面図である。
【図10】本発明に係る食パンの製造方法における他のパン生地添加・混合工程をそれぞれ説明する図である。
【図11】本発明に係る食パンの製造方法において製造した食パンを用いて製造したサンドイッチを示す斜視図である。
【図12】本発明に係る食パンの製造方法において製造した食パンを用いて製造した密閉型サンドイッチを示す側面図である。
【図13】本発明に係る食パンの製造方法の他の工程順を示すフローチャート図である。
【図14】本発明に係る食パンの製造方法における他のパン生地作成工程を説明する模式図である。
【図15】本発明に係る食パンの他の製造方法におけるパン生地添加・混合工程を説明する図であり、(a)第一着色パン生地添加・混合状態を説明する模式図、(b)第二着色パン生地添加・混合状態を説明する模式図である。
【図16】本発明に係る食パンの他の製造方法において製造した食パンの断面を示す図である。
【図17】本発明に係る食パンの他の製造方法におけるパン生地添加・混合工程を説明する図であり、(a)第一着色パン生地添加・混合状態を説明する模式図、(b)第二着色パン生地添加・混合状態を説明する模式図である。
【図18】本発明に係る食パンの他の製造方法において製造した食パンの断面を示す図である。
【符号の説明】
【0133】
10 食パン、10a 断面、11 第一パン生地、12 第二パン生地、20(20a,20b,20A,20B) 混合パン生地、30 分割パン生地、40 圧延パン生地、50 棒状パン生地、51 焼成型、100A,100B シート状食パン片、101 渦巻き模様、102 周囲、110 サンドイッチ、111 具材、120 密閉型サンドイッチ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに色彩が異なる少なくとも2以上のパン生地をそれぞれ作成する第一工程と、
前記第一工程で作成した、第一の色彩を有する第一パン生地に対し、この第一パン生地とは色彩が異なる第二パン生地を複数回に分けて添加し、前記第二パン生地の添加ごとに混合する第二工程と、
前記第二工程で混合したパン生地を分割する第三工程と、
前記第三工程で分割したパン生地をそれぞれ圧延し、さらに、縁部より巻き上げて棒状に成形する第四工程と、
前記第四工程で棒状に成形した棒状パン生地を、1本又は複数本並列に焼成型内に載置し型詰する第五工程と、
前記第五工程で焼成型内に載置した棒状パン生地を最終醗酵する第六工程と、
前記第六工程で最終醗酵した棒状パン生地を焼成する第七工程と、
を含み、
前記第七工程で焼成した後のパンを前記棒状パン生地であったときの長手方向に対して横断する方向で切断したときの断面に渦巻き模様が露呈することとなることを特徴とする食パンの製造方法。
【請求項2】
前記第二工程は、前記第一パン生地が100質量%に対し、前記第二パン生地を5〜50質量%使用することを特徴とする請求項1に記載の食パンの製造方法。
【請求項3】
前記第二工程は、前記第二パン生地の30〜70質量%を最初に添加することを特徴とする請求項1又は2に記載の食パンの製造方法。
【請求項4】
前記第二工程は、前記第二パン生地を三回以上に分けて添加するとき、二回目以降に添加する前記第二パン生地を均等割合の量で添加することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の食パンの製造方法。
【請求項5】
前記第二工程は、前記第二パン生地を均等割合の量で添加することを特徴とする請求項1又は2に記載の食パンの製造方法。
【請求項6】
前記第二工程は、前記第一パン生地に対し添加する1回分の前記第二パン生地を複数個に分割し、この分割した各第二パン生地をそれぞれ、前記第一パン生地又は既に混合された前記第一及び第二パン生地の異なる位置に添加することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の食パンの製造方法。
【請求項7】
前記第一パン生地と前記第二パン生地との混合に回転軸が水平向きに配置されて回転するミキサーを用いるとき、
前記第二工程は、前記第一パン生地に対し最初に添加した前記第二パン生地の混合を、前記ミキサーを略半回転させることにより行うことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の食パンの製造方法。
【請求項8】
前記第一パン生地と前記第二パン生地との混合に回転軸が水平向きに配置されて回転するミキサーを用いるとき、
前記第二工程は、前記第一パン生地に対し二回目以降に添加した前記第二パン生地の混合を、前記ミキサーを15〜40rpmの回転速度で5〜20秒間回転させることより行うことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の食パンの製造方法。
【請求項9】
前記第一パン生地と前記第二パン生地との混合に回転軸が水平向きに配置されて回転するミキサーを用いるとき、
前記第二工程は、前記第一パン生地に対し二回目以降に添加した前記第二パン生地の混合を、前記ミキサーを寸動させることにより行うことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の食パンの製造方法。
【請求項10】
前記第一パン生地と前記第二パン生地との混合に回転軸が水平向きに配置されて回転するミキサーを用いるとき、
前記第二工程は、前記第一パン生地に対し添加した前記第二パン生地の混合を、前記ミキサーを寸動させることにより行うことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の食パンの製造方法。
【請求項11】
前記第一工程は、互いに色彩の異なる3以上のパン生地をそれぞれ作成し、
前記第二工程は、互いに色彩の異なる2以上のパン生地を第二パン生地とし、この互いに色彩の異なる2以上の第二パン生地を前記第一パン生地に対して、一緒に又は別々に添加する、
ことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の食パンの製造方法。
【請求項12】
前記第一工程乃至第四工程により棒状パン生地を作成し、これとは別に、前記第一工程乃至第四工程により、前記棒状パン生地を構成する第一パン生地及び/又は第二パン生地とは色彩の異なる第一パン生地及び第二パン生地からなる棒状パン生地を1種類又は互いに色彩の異なる2種類以上を作成し、これらの棒状パン生地を複数本並列に焼成型内に載置し型詰する、
ことを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の食パンの製造方法。
【請求項13】
前記第七工程は、前記焼成型に蓋をして焼成することを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の食パンの製造方法。
【請求項14】
前記請求項1乃至13のいずれか1項に記載の食パンの製造方法により製造したことを特徴とする食パン。
【請求項15】
前記請求項1乃至13のいずれか1項に記載の食パンの製造方法により製造した食パンを、前記棒状パン生地であったときの長手方向に対し横断する方向に切断して所望の厚さとしたシート状食パン片とし、このシート状食パン片を用いて具材を挟むことにより製造したことを特徴とするサンドイッチ。
【請求項16】
前記サンドイッチは、具材を挟んだ前記シート状食パン片の周囲を圧着した密閉型サンドイッチであることを特徴とする請求項15に記載のサンドイッチ。
【請求項17】
前記サンドイッチは、圧着した部位より外側に位置する前記シート状食パン片の外周部を切除したものであることを特徴とする請求項16に記載のサンドイッチ。
【請求項1】
互いに色彩が異なる少なくとも2以上のパン生地をそれぞれ作成する第一工程と、
前記第一工程で作成した、第一の色彩を有する第一パン生地に対し、この第一パン生地とは色彩が異なる第二パン生地を複数回に分けて添加し、前記第二パン生地の添加ごとに混合する第二工程と、
前記第二工程で混合したパン生地を分割する第三工程と、
前記第三工程で分割したパン生地をそれぞれ圧延し、さらに、縁部より巻き上げて棒状に成形する第四工程と、
前記第四工程で棒状に成形した棒状パン生地を、1本又は複数本並列に焼成型内に載置し型詰する第五工程と、
前記第五工程で焼成型内に載置した棒状パン生地を最終醗酵する第六工程と、
前記第六工程で最終醗酵した棒状パン生地を焼成する第七工程と、
を含み、
前記第七工程で焼成した後のパンを前記棒状パン生地であったときの長手方向に対して横断する方向で切断したときの断面に渦巻き模様が露呈することとなることを特徴とする食パンの製造方法。
【請求項2】
前記第二工程は、前記第一パン生地が100質量%に対し、前記第二パン生地を5〜50質量%使用することを特徴とする請求項1に記載の食パンの製造方法。
【請求項3】
前記第二工程は、前記第二パン生地の30〜70質量%を最初に添加することを特徴とする請求項1又は2に記載の食パンの製造方法。
【請求項4】
前記第二工程は、前記第二パン生地を三回以上に分けて添加するとき、二回目以降に添加する前記第二パン生地を均等割合の量で添加することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の食パンの製造方法。
【請求項5】
前記第二工程は、前記第二パン生地を均等割合の量で添加することを特徴とする請求項1又は2に記載の食パンの製造方法。
【請求項6】
前記第二工程は、前記第一パン生地に対し添加する1回分の前記第二パン生地を複数個に分割し、この分割した各第二パン生地をそれぞれ、前記第一パン生地又は既に混合された前記第一及び第二パン生地の異なる位置に添加することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の食パンの製造方法。
【請求項7】
前記第一パン生地と前記第二パン生地との混合に回転軸が水平向きに配置されて回転するミキサーを用いるとき、
前記第二工程は、前記第一パン生地に対し最初に添加した前記第二パン生地の混合を、前記ミキサーを略半回転させることにより行うことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の食パンの製造方法。
【請求項8】
前記第一パン生地と前記第二パン生地との混合に回転軸が水平向きに配置されて回転するミキサーを用いるとき、
前記第二工程は、前記第一パン生地に対し二回目以降に添加した前記第二パン生地の混合を、前記ミキサーを15〜40rpmの回転速度で5〜20秒間回転させることより行うことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の食パンの製造方法。
【請求項9】
前記第一パン生地と前記第二パン生地との混合に回転軸が水平向きに配置されて回転するミキサーを用いるとき、
前記第二工程は、前記第一パン生地に対し二回目以降に添加した前記第二パン生地の混合を、前記ミキサーを寸動させることにより行うことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の食パンの製造方法。
【請求項10】
前記第一パン生地と前記第二パン生地との混合に回転軸が水平向きに配置されて回転するミキサーを用いるとき、
前記第二工程は、前記第一パン生地に対し添加した前記第二パン生地の混合を、前記ミキサーを寸動させることにより行うことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の食パンの製造方法。
【請求項11】
前記第一工程は、互いに色彩の異なる3以上のパン生地をそれぞれ作成し、
前記第二工程は、互いに色彩の異なる2以上のパン生地を第二パン生地とし、この互いに色彩の異なる2以上の第二パン生地を前記第一パン生地に対して、一緒に又は別々に添加する、
ことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の食パンの製造方法。
【請求項12】
前記第一工程乃至第四工程により棒状パン生地を作成し、これとは別に、前記第一工程乃至第四工程により、前記棒状パン生地を構成する第一パン生地及び/又は第二パン生地とは色彩の異なる第一パン生地及び第二パン生地からなる棒状パン生地を1種類又は互いに色彩の異なる2種類以上を作成し、これらの棒状パン生地を複数本並列に焼成型内に載置し型詰する、
ことを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の食パンの製造方法。
【請求項13】
前記第七工程は、前記焼成型に蓋をして焼成することを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の食パンの製造方法。
【請求項14】
前記請求項1乃至13のいずれか1項に記載の食パンの製造方法により製造したことを特徴とする食パン。
【請求項15】
前記請求項1乃至13のいずれか1項に記載の食パンの製造方法により製造した食パンを、前記棒状パン生地であったときの長手方向に対し横断する方向に切断して所望の厚さとしたシート状食パン片とし、このシート状食パン片を用いて具材を挟むことにより製造したことを特徴とするサンドイッチ。
【請求項16】
前記サンドイッチは、具材を挟んだ前記シート状食パン片の周囲を圧着した密閉型サンドイッチであることを特徴とする請求項15に記載のサンドイッチ。
【請求項17】
前記サンドイッチは、圧着した部位より外側に位置する前記シート状食パン片の外周部を切除したものであることを特徴とする請求項16に記載のサンドイッチ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2010−124812(P2010−124812A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−306295(P2008−306295)
【出願日】平成20年12月1日(2008.12.1)
【出願人】(000178594)山崎製パン株式会社 (42)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月1日(2008.12.1)
【出願人】(000178594)山崎製パン株式会社 (42)
【Fターム(参考)】
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