説明

食事管理及び薬剤管理のための情報提供システム

【課題】患者毎の食事管理又は食事制限のためのメニュー情報及び各人が服用する薬剤の副作用情報等に関する薬剤管理情報を提供する。
【解決手段】複数の医療機関ネットワークサーバと、複数のレストランサーバと、複数の薬局サーバと、1又は複数の薬剤情報サーバと、複数の患者データ処理装置と、センターサーバと、から構成され、センターサーバは、医療機関ネットワークサーバから提供される、各患者の電子カルテ情報に基づいて作成された食事制限情報を各患者の患者ID番号毎に格納する食事制限情報記憶手段と、患者ID番号毎に、食事制限情報に基づいて提供される食事メニュー情報を作成し、医療機関ネットワークサーバから提供される各患者の電子カルテ情報に記載された処方箋情報又は薬局サーバDから提供される各患者の投薬情報に基づいて、各患者が服用する各薬剤の副作用情報及び複数の薬剤の飲み合わせに関する薬剤情報を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食事管理及び服用する薬剤管理のための情報管理及び情報提供システムに関し、特に、摂取カロリー数、特定の栄養素又はミネラル等の摂取が制限されている人(患者)毎の食事管理又は食事制限のためのメニュー情報及び各人(患者)が服用する薬剤の副作用情報等に関する薬剤管理情報を提供するための情報提供システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、特に先進各国においては、食事によるカロリー摂取の過多により生活習慣病又は成人病と言われている糖尿病、高脂質による高血圧症が蔓延する事態に至っている。糖尿病の患者数は、日本国内だけでも650万人を超えていると言われており、耐糖能障害を患う糖尿病患者の予備軍は人口の10人に1人、さらにはカロリー摂取の過多による高脂質症又は高血圧症の人は、成人の5人に1人を超えていると言われている。また、肝機能障害や腎機能障害を患う人は、例えば鉄分やカルシウム等、特定のミネラルの摂取が制限される場合がある。また、アレルギーのために、卵等の特定の食材を摂取することができない場合がある。
【0003】
これらの生活習慣病又は成人病を患う患者やその予備軍の人達は、病院や保健所等での診察や健康診断の結果、日々の食事において摂取するカロリーを制限する必要があったり、特定の栄養素やミネラル分(以下、総称して「栄養素」という)又は食材の摂取を避けたり所定量以下に制限する必要が生じる。
【0004】
このような食事制限を必要とする人や肥満を気にする人のために、限られたメニューを提供するレストラン・チェーン等においては、提供する食事毎にそのカロリー数をメニュー上に表示する場合が見受けられるようになってきた。
【0005】
また、大学病院や公的機関が設立する比較的大きな病院内の食堂等では、カルテに基づいて患者毎の症状又は服用する薬剤の種類や量に応じた食事を提供する場合もある。これは、同一病院内の診療部門と食事提供部門が各患者毎の情報を共有することによって初めて可能である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、病院に入院はしていないが、カロリー制限や特定の栄養素の摂取を制限する人にとっては、日々の食事において自己管理をせざるを得ない。しかし、これらの食事制限の内容は、その人の身長や体重等の体格や体質、1日の平均運動量、その人が患う高血圧症、高脂質症又は糖尿病の症状の程度等に応じて千差万別であり、例えば、家庭や食事を提供するレストラン、ホテル、食堂等(以下、総称して「レストラン」と言う)において特定の食事の摂取カロリー数が判明していたとしても、食事の自己管理は面倒で且つ困難であることから、挫折することが多かった。
【0007】
また、同一人が、複数の異なる病気を患って複数の病院に通院し複数の医師から複数の処方箋をもらい、複数の薬剤を服用する場合がある。このような場合、従来は、医師又は薬剤師に対して患者自ら現在服用している薬剤名を自己申告しなければ、同一の薬剤を所定量以上服用してしまったり、若しくは、決して同時に服用してはいけない飲み合わせの悪い食材と薬剤あるいは複数の薬剤を服用してしまい、深刻な薬害や薬の副作用を被る危険性があった。
【0008】
さらに、医療医薬品だけではなく市販の医薬品(いわゆる大衆薬)の成分もその他の薬剤や食材と飲み合わせの悪い場合があるが、現在はそういった情報の管理が整備されているとはいえない状況にある。
【0009】
このため、本発明は、インターネット等の通信網の発達と、これにアクセスできるパーソナルコンピュータや携帯電話、個人情報を記憶したICカードや磁気カード等の普及、そして病院におけるカルテの電子化(電子カルテの実用化)等の環境が整備されつつある現在の状況下において、生活習慣病や成人病を患う患者やその予備軍の人達、特定の栄養素の摂取を所定量以下に制限する必要がある人、又は肥満を気にする人(本願ではこれらの人々を総称して「患者」という)のために各患者の症状や実情若しくは嗜好に基づく食事管理及び食事制限のための患者毎のメニュー情報を作成すると共に、個々の患者に対して、インターネットで相互接続された医療機関や薬局から提供される各患者の処方箋情報又は投薬情報に基づいて、各患者が服用する各薬剤の副作用情報及び複数の薬剤の飲み合わせに関する薬剤情報等に関する薬剤管理情報を提供するための情報提供システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記目的を達成するべく、双方向情報通信ネットワークを介して相互に接続された、複数の医療機関ネットワークサーバと、複数のレストランサーバと、複数の薬局サーバと、1又は複数の薬剤・食材情報サーバと、複数の患者データ処理装置と、センターサーバと、から構成された食事管理及び薬剤管理のための情報処理システムであって、前記センターサーバは、前記医療機関ネットワークサーバから提供される、各患者の電子カルテ情報に基づいて作成された食事制限情報を各患者の患者ID番号毎に格納する食事制限情報記憶手段と、前記患者ID番号毎に、前記食事制限情報に基づいて提供される食事メニュー情報を作成し、前記医療機関ネットワークサーバから提供される各患者の電子カルテ情報に記載された処方箋情報又は前記薬局サーバから提供される各患者の投薬情報に基づいて、各患者が服用する各薬剤の副作用情報及び複数の薬剤の飲み合わせに関する薬剤情報を前記薬剤情報サーバから取得し、当該薬剤情報を前記患者ID番号毎に格納する手段と、前記双方向情報通信ネットワークを介して、前記食事メニュー情報を前記複数のレストランサーバに配信し、且つ当該食事メニュー情報及び前記薬剤情報を当該患者データ処理装置に配信する手段と、を備えたことを特徴とする食事管理及び薬剤管理のための情報提供システムを提供するものである。
【0011】
また、上記の食事管理及び薬剤管理のための情報提供システムにおいて、前記薬剤情報は、各患者に提供される前記食事メニュー情報に含まれる食材と当該患者が服用する各薬剤との相互作用及び食べ合わせ又は飲み合わせに関する情報を含むことを特徴とする。
【0012】
さらに、上記の食事管理及び薬剤管理のための情報提供システムにおいて、前記センターサーバは、さらに、前記薬剤情報サーバから市販用医薬品に関する副作用又は他の薬剤との飲み合わせに関する情報を取得し、前記医療機関ネットワークサーバから提供される前記薬剤情報と共に当該患者データ処理装置に配信することを特徴とする。
【0013】
また、上記の食事管理及び薬剤管理のための情報提供システムにおいて、前記医療機関ネットワークサーバから提供される各患者の前記食事制限情報と前記処方箋情報は、各患者の病症の程度、身長や体重等の体格と体質、当該患者に課せられる1日の平均運動量に鑑みて作成されることを特徴とする。
【0014】
また、上記の食事管理及び薬剤管理のための情報提供システムにおいて、前記センターサーバは、前記患者データ処理装置から送信された各患者の食事又は食材の好み情報を、嗜好コードとして前記患者ID番号に対応付けて記憶することを特徴とする。
【0015】
さらに、上記の食事管理及び薬剤管理のための情報提供システムにおいて、前記センターサーバは、患者ID番号毎に作成する前記食事メニュー情報を前記嗜好コードと当該患者の前記食事制限情報とに基づいて作成することを特徴とする。
【0016】
また、上記の食事管理及び薬剤管理のための情報提供システムにおいて、前記食事メニュー情報は、少なくとも食事の名称、当該食事のカロリー数、当該食事に含まれる1又は複数の特定栄養素の量と、当該食事のレシピ情報と、を含むことを特徴とする。
【0017】
また、上記の食事管理及び薬剤管理のための情報提供システムにおいて、前記食事メニュー情報は、患者毎に複数種類の食事の組み合わせとして作成されることを特徴とする。
【0018】
また、上記の食事管理及び薬剤管理のための情報提供システムにおいて、前記食事メニュー情報は、当該患者が摂取を避けなければならない特定の栄養素又は食材に関する情報及び服用を避けなければならない薬剤又は栄養補助食品に関する情報を含むことを特徴とする。
【0019】
なお、上記の食事管理及び薬剤管理のための情報提供システムにおいて、前記患者データ処理装置は、前記双方向情報通信ネットワークに接続可能なパーソナルコンピュータ、携帯通信端末装置又は携帯電話である。
【発明の効果】
【0020】
これにより、本発明は、生活習慣病や成人病を患う患者やその予備軍の人達、特定の栄養素の摂取を所定量以下に制限する必要がある人、又は肥満を気にする人(患者)のために、患者毎の症状や実情若しくは嗜好に適合した最適な食事メニュー情報を、大学等の医療機関等からのカルテ情報又は食事制限情報に基づいて作成すると共に、食材や薬剤の成分情報等をシステム的に管理し、医師、薬剤師、栄養士等の医療従事者が、このシステムに係る各種管理情報を活用することで、可能な限り複数の薬剤間あるいは薬剤と食材間の相互作用、副作用を回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0022】
図1は、本発明の食事管理及び薬剤管理のための情報提供システムの全体構成を示す概観図である。
この図に示すAは、複数の薬剤間あるいは薬剤と食材間の相互作用、副作用に関する各種管理情報を管理する情報管理センターサーバである。
【0023】
この情報管理センターサーバAは、インターネットや専用通信回線等の双方向情報通信ネットワークを介して、薬剤・食材情報サーバB、医療機関ネットワークサーバC、薬局サーバDにそれぞれ接続されている。
【0024】
ここで、薬剤・食材情報サーバBは各製薬会社、大学(薬学部等)、病院(薬剤部等)、食品会社、食品研究所等に備えられる。また、医療機関ネットワークサーバCは各大学(医学部等)、病院(栄養部等)、介護施設等に備えられる。さらに、薬局サーバDは院内外調剤薬局、各ドラッグストア等に備えられる。
【0025】
また、情報管理センターサーバAは、さらに、患者データ処理装置Eに接続されている。この患者データ処理装置Eは、双方向情報通信ネットワークに接続可能なパーソナルコンピュータの他、携帯通信端末装置又は携帯電話であってよい。
【0026】
このように、薬剤・食材情報サーバB、医療機関ネットワークサーバC、薬局サーバD、患者データ処理装置Eは管理情報センターAを介してそれぞれ接続され、各々が各種管理情報を記録及び抽出することができる。
【0027】
ここで、各種管理情報とは例えば、薬剤情報(成分情報、添付文書等の情報)、食材・食品等の栄養素、含有微量元素、成分等の分析情報、食材・食品等の生産、製造履歴情報、薬剤と食材・食品あるいは複数の薬剤間の相互作用の情報、薬剤の副作用情報、患者の薬剤応答性情報、薬歴情報、レシピ情報、患者の外食履歴情報、診断、食事指導等の情報、マーケティング情報、各種治験情報等が挙げられる。
【0028】
図2は、本発明の食事管理及び薬剤管理のための情報提供システムにおける情報管理センターサーバと医療機関ネットワークサーバ間のシステム構成を示す図である。
図2に示すように、情報管理センターサーバAと医療機関ネットワークサーバCとは、インターネット網を含む情報通信ネットワークで接続されている。この情報通信ネットワークは、VPN(Virtual Private Network)、専用線等のセキュアな接続が可能なネットワークの他、SOAP(Simple Object Access Protocol)、WSDL(Web
Services Description Language)、UDDI(Universal Description, Discovery, and
Integration)等を活用したWebサービス等、その他SOA(Service Oriented Architecture)技術による接続が可能なネットワークで構成される。このネットワークで通信されるデータ構造は、XML形式を基本としている。また、RDB(Relational
Database)からのデータ変換が行われることもある。
【0029】
情報管理センターサーバAは、システム機能レベルの構成要素として、セキュリティサーバA1が管轄するWWWサーバA4と、DNSサーバA5と、SSLサーバA6と、認証サーバA7とを備える。さらに情報管理センターサーバAは、送受信ストレージサーバA3が管理するAPサーバA8、DBサーバA9と、データベースAD1、AD2、AD3、AD4、AD5、AD6、AD7、AD8を備える。
情報管理センターサーバAは、上述の情報通信ネットワークと接続されている。
【0030】
WWWサーバA4は、公開するウェブページを管理する。DNSサーバA5は、分散名前管理システム(DNS:Domain Name System)に用いられる。SSLサーバA6は、暗号化通信プロトコルを起動する。認証サーバA7は通信相手の認証を行う認証機器A2を介して送受信ストレージサーバA3に接続されており、医療機関ネットワークサーバCと通信することができる。
【0031】
送受信ストレージサーバA3が管理するAPサーバA8は、各アクセスポイントからのリクエストに対して、上述の各種管理情報を提供する。
【0032】
また、DBサーバA9は、各アクセスポイントからのリクエストに応じて、情報入手に必要なデータベースを検索して必要情報を抽出する。
【0033】
送受信ストレージサーバA3が管理するデータベースAD1は医療機関ネットワークサーバCからの患者の個人情報を記憶し、データベースAD2は患者の治療食の管理情報を記憶し、データベースAD3は患者の治療食メニュー及びレシピ情報を記憶し、データベースAD4はトランザクションデータ(課金データ等、一括処理されるべき各種関連情報)を記憶する。
【0034】
医療機関ネットワークサーバCは、システム機能レベルの構成要素として、送受信ストレージサーバC3と、認証機器C2と、セキュリティサーバC1と、各種情報系APサーバC4を備える。また、送受信ストレージサーバC3が管理するデータベースCD1は患者のカルテデータを記憶し、データベースCD2は患者の治療食の摂取成分管理情報を、データベースCD3は栄養指導管理情報をそれぞれ記憶する。
【0035】
医療機関ネットワークサーバCのセキュリティサーバC1は、前述の情報通信ネットワークと接続されており、情報管理センターサーバAと通信することができる。
【0036】
図3は、本発明の食事管理及び薬剤管理のための情報提供システムにおける情報管理センターサーバと医療機関ネットワークサーバとの間で交換される情報とその流れを示した説明図である。
【0037】
図3に示すように、情報管理センターサーバAには、前述のトランザクションデータを記憶するデータベースAD4の他、医療機関ネットワークサーバCの患者情報データベースCD1、治療食摂取成分管理情報データベースCD2、栄養指導管理情報データベースCD3等の各種データベースから抽出された各種管理情報を受信後、それらを記憶する各種管理情報データベースAD1、AD2、AD8がある。情報管理センターサーバAと医療機関ネットワークサーバCは相互認証接続後、医療機関ネットワークサーバCのデータベースCD1、CD2、CD3等から情報管理センターサーバAへ各種管理情報を送信する。この送信された各種管理情報は、情報管理センターサーバAのデータベースAD1、AD2、AD8へ格納され、前述のDBサーバA9を介して適切にデータ処理され、データベースAD20に格納される。
【0038】
データベースAD20は各接続先から収集した各種管理情報を適切にデータ処理して格納管理するデータベースで、各施設から要求され必要とされる各種管理情報を接続先に提供する。図3の場合は、医療機関ネットワークサーバCに必要な各種管理情報(薬剤に関する情報、治療食・制限食・医療食の履歴情報、各種治験情報、健康診断情報等)を送信する。
【0039】
医療機関ネットワークサーバCから情報管理センターサーバAへ、患者個別の食事・治療に関する情報(栄養指導情報を含む)が送信されると、情報管理センターサーバAから患者別に食材・食品、薬剤の各種成分情報の組み合わせとして適切な情報及びそれらの情報を活用した治療食、制限食、医療食等のレシピ情報が各種管理情報として医療機関ネットワークサーバCに提供される。
【0040】
また、医療機関ネットワークサーバCから情報管理センターサーバAに対し食材・食品、薬剤の各種管理情報についての問い合わせを実行すれば、それら単独もしくは併用時の相互作用、副作用についての判定情報等、また成分情報等が各種管理情報として情報管理センターサーバAから医療機関ネットワークサーバCに提供される。
【0041】
図4は、本発明の食事管理及び薬剤管理のための情報提供システムにおける情報管理センターサーバと薬剤・食材情報サーバ間のシステム構成を示す図である。
【0042】
この図に示すように、情報管理センターサーバAと薬剤・食材情報サーバBとは、インターネット網を含む情報通信ネットワークで接続されている。この情報通信ネットワークについての詳細及び情報管理センターサーバAのシステム構成については前述の通りである(図2参照)。
【0043】
APサーバA8、DBサーバA9はデータベースAD4、AD5、AD6を管理する。データベースAD4はトランザクションデータ(課金データ等、一括処理されるべき各種関連情報)を記憶し、データベースAD5は薬剤・食材情報サーバBからの薬剤情報を記憶し、データベースAD6は薬剤・食材情報サーバBからの食材・食品情報を記憶する。認証サーバA7は通信相手の認証を行う認証機器A2を介して送受信ストレージサーバA3に接続されており、薬剤・食材情報サーバBと通信することができる。
【0044】
図5は、本発明の食事管理及び薬剤管理のための情報提供システムにおける情報管理センターサーバと薬剤・食材情報サーバとの間で交換される情報とその流れを示す説明図である。
【0045】
図5に示すように、情報管理センターサーバAには、前述のトランザクションデータを記憶するデータベースAD4の他、薬剤・食材情報サーバBの薬剤情報データベースBD1、食材・食品情報データベースBD2から抽出された各種管理情報を受信後、記憶する各種管理情報データベースAD5、AD6がある。情報管理センターサーバAと薬剤・食材情報サーバBは相互認証接続後、薬剤・食材情報サーバBから情報管理センターサーバAへ薬剤情報、食材・食品情報等を各種管理情報として送信する。送信された各種管理情報はデータベースAD5、AD6へ格納され、前述のAD20にその他、各接続先からの各種管理情報と一緒に管理され、薬剤・食材情報サーバBに必要な各種管理情報(薬剤に関する情報、治療食・制限食・医療食の履歴情報、各種治験情報、健康診断情報、マーケティング情報等)を送信する。
【0046】
図6は、本発明の食事管理及び薬剤管理のための情報提供システムにおける情報管理センターサーバと患者データ処理装置間のシステム構成を示す図である。
【0047】
この図に示すように、患者データ処理装置Eには少なくともクライアントPC(E1)及び前述の情報通信ネットワーク(但し、インターネット網主体)と接続を行う接続装置E4とが設置されているものとする。情報管理センターサーバAのシステム構成については前述の通りである(図2参照)。
【0048】
図7は、本発明の食事管理及び薬剤管理のための情報提供システムにおける情報管理センターサーバと患者データ処理装置との間で交換される情報とその流れを示す説明図、そして、図8は、本発明の食事管理及び薬剤管理のための情報提供システムにおける情報管理センターサーバと患者データ処理装置を用いた患者の外食における栄養評価を説明する図である。
【0049】
図7に示すように、少なくとも前述のクライアントPC(E1)及び接続装置E4を有する各種電子媒体E2及び端末装置E3(携帯端末)と情報管理センターサーバAとの間はインターネット網を利用した認証接続が行われる。この認証の後、両者間で情報が交換される。
【0050】
患者は、自宅等からクライアントPC(E1)、電子媒体E2、携帯端末E3を介して情報管理センターサーバAとの間で前述の認証接続を行い、情報管理センターサーバAにアクセスする。この接続の後、患者は患者個人に必要な治療食のレシピや、処方された薬剤と食材・食品、薬剤等の相互作用に関する各種管理情報を情報管理センターサーバAから受信し、クライアントPC(E1)や携帯端末E3等で閲覧することができる。また、患者は、自己の各種管理情報や各種履歴情報を情報管理センターサーバAに送信し、情報管理センターサーバAはデータベースAD20で適切に処理した後、格納する。食材、食品、食事に関する情報は、患者が直接患者データ処理装置Eから情報管理センターサーバAに必要な情報を入力するか、写真等を紙媒体、電子媒体等で提出して情報の一部とする。
【0051】
なお、電子媒体E2としては例えば、ICカード、SDカード、USBメモリ、薬歴通帳等を用いることができる。また携帯端末E3としては例えば、PDA、携帯電話等を用いることができる。
【0052】
また、図8に示すように、携帯電話等のカメラ付き携帯端末E3から外食履歴を写真として情報管理センターサーバAへ送信し、これを参考に患者の外食における栄養評価を行う。
【0053】
この場合、送信する情報は料理画像とそれに付加する付加情報である。付加情報とは例えば「カツ丼」「カレーライス」等の料理のカテゴリーや単品情報等、料理に関する属性情報で、これらは手入力かバーコード等により入力する。情報管理センターサーバAへ送信された情報は適切に処理され情報管理センターサーバA内の画像データベースAD30及び付加データベースAD31に記録される。付加情報は食材・食品情報データベースAD6の基礎データと比較分析され、実際の情報か推測される近似値を料理の属性情報として患者治療食管理、各種履歴情報データベースAD2に記録する。画像情報は栄養士の目視から読み取れる情報を直接手入力かバーコード等により入力し栄養指導情報データベースAD8に記録することで料理の属性情報を補完する。
【0054】
図9は、本発明の食事管理及び薬剤管理のための情報提供システムにおける情報管理センターサーバと薬局サーバのシステム構成を示す図である。
【0055】
この図に示すように、情報管理センターサーバAと薬局サーバDとは、インターネット網を含む情報通信ネットワークで接続されている。この情報通信ネットワークについての詳細及び情報管理センターサーバAのシステム構成については前述の通りである(図2参照)。薬局サーバDのコントロールPC(D3)はローカルネットワーク内のデータベースDD1、DD2と媒体読み取り装置D4、プリンタD5等を管理し、認証接続機器D2、セキュリティサーバD1を介して情報管理センターサーバAに認証接続し、交信する。
【0056】
図10は、本発明の食事管理及び薬剤管理のための情報提供システムにおける情報管理センターサーバと薬局サーバとの間で交換される情報とその流れを示す説明図である。
【0057】
情報管理センターサーバAで管理される食材・食品、薬剤の各種管理情報(例:食材・食品、薬剤単独もしくは併用時の相互作用、副作用についての判定情報又は成分情報等)が薬局サーバDへ提供される。薬局サーバDではそれらを各種管理情報として調剤作業や薬剤説明に役立てる。また、薬局サーバDでは患者の薬歴情報の管理も行う。患者の薬歴その他個人情報は例外を除いて基本的に各薬局で管理し、これらの情報の抽出等はICカード、薬歴通帳、USBメモリ等を活用し電子キー等によるセキュリティ管理を行う。このとき情報管理センターサーバAのAPサーバA8、A10、DBサーバA9はデータベースAD5、AD6、AD7〜AD11を管理する。
【0058】
図11は、本発明の食事管理及び薬剤管理のための情報提供システムにおける処方箋情報の管理を説明する図である。
【0059】
本発明では、薬局サーバDにおける患者個人の薬歴その他の個人情報に対し、薬歴通帳E5及びICカード、USBメモリ等の電子媒体E2を電子キーとして活用することでセキュアにそれらの情報にアクセスし、閲覧、利用することができる。
【0060】
個人情報、薬歴等の処方箋に係る情報は必要な場合の例外を除いて基本的に各薬局で管理する。このセキュリティを活用することで薬局内における個人情報の管理が容易になる。具体的には、〔1〕患者は患者データ処理装置Eとして薬歴通帳E5とICカード等の電子媒体E2を薬局へ持参。〔2〕薬局では薬局サーバDにより各個人の薬歴情報データベースDD1に記憶された薬歴情報と個人情報データベースDD2に記憶された個人情報を薬局単位で管理する(データベースは暗号化して管理)。さらに薬局では患者の薬歴情報及び個人情報をデータベースDD1、DD2から抽出するにあたり、患者持参の薬歴通帳E5とICカード、USBメモリ等の電子媒体E2の両方又は一方を使用し電子キーを生成する。この生成された電子キーを用いて、薬局内で個別管理される薬歴情報データベースDD1及び個人情報データベースDD2へアクセスすることで、これらの情報を閲覧することが可能となる。薬局内管理のこれらの薬歴情報及び個人情報へのデータアクセスは、上記の電子キーを使用しない限り閲覧が制限される。〔3〕薬局では処方した薬の説明をプリンタD5で薬歴通帳E5に印刷し、患者が薬歴管理できるようにする。
【0061】
なお、薬歴通帳E5にはID番号等の固有データがエンコードされており、ICカード等の電子媒体E2には薬局キー、薬局識別コード等が実装されている。これらの情報から生成された電子キーにより薬局内で管理されているデータベースを閲覧することが可能となる。
【0062】
図12は、本発明の食事管理及び薬剤管理のための情報提供システムにおいて、患者が薬歴通帳又はICカード等の電子媒体を紛失又は損壊した場合の手順を示す図である。
【0063】
患者が薬歴通帳E5又はICカード等の電子媒体E2を紛失又は損壊した場合、どちらか一方の媒体を使用し各薬局の認証されたPC又は読み取り機等のハードウェアを経由して情報管理センターサーバAへアクセスする。それにより認証確認されれば一時的なキーを情報管理センターサーバAが前述の各種管理情報(図9、図10参照)をもとに発行、それを使用することで閲覧等が可能となる。
【0064】
図13は、本発明の食事管理及び薬剤管理のための情報提供システムに用いる薬剤通帳の仕様を説明する図である。
【0065】
薬歴通帳の形態は銀行の通帳に類似した形態で、用紙面への直接印字の他にバーコードE5−1や磁気テープE5−3、ICチップE5−2等を有し記録媒体としての役割も果たす。磁気テープE5−3はキャッシュカードやクレジットカードに代表されるJISII型等(ISO国際仕様含む)の使用位置に貼り付けることで磁気カードと同類の仕様の読み取り装置を活用することができる(活用例として図14を参照)。
【0066】
図14は、本発明の食事管理及び薬剤管理のための情報提供システムにおける薬歴通帳の読み取り装置の仕様を説明する図である。
【0067】
図14に示すように、薬歴通帳の読み取り装置D4は、読み取り対象物の厚みの変化に対応するため、読み取りヘッドD4−2面の反対側に押し出し球D4−1が複数配置されている。この押し出し球D4−1はスプリングD4−3の弾性力により対象物(薬歴通帳)E5を読み取りヘッドD4−2方向に押圧しており、読み取りの際に適当な接触圧で磁気ヘッドと接触させるため、対象物の厚みが一定に規格化されていない場合であっても確実に対象物と読み取りヘッドの密着度を上げ誤読を防止する効果がある。従って、例えばICカードと薬歴手帳の読み取り装置を兼用することができる。
【0068】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、食事管理及び服用する薬剤管理のための情報管理及び情報提供システムに関し、特に、摂取カロリー数、特定の栄養素又はミネラル等の摂取が制限されている人(患者)毎の食事管理又は食事制限のためのメニュー情報及び各人(患者)が服用する薬剤の副作用情報等に関する薬剤管理情報を提供するための情報提供システムに関するものであり、産業上の利用可能性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の食事管理及び薬剤管理のための情報提供システムの全体構成を示す概観図である。
【図2】本発明の食事管理及び薬剤管理のための情報提供システムにおける情報管理センターサーバと医療機関ネットワークサーバ間のシステム構成を示す図である。
【図3】本発明の食事管理及び薬剤管理のための情報提供システムにおける情報管理センターサーバと医療機関ネットワークサーバとの間で交換される情報とその流れを示した説明図である。
【図4】本発明の食事管理及び薬剤管理のための情報提供システムにおける情報管理センターサーバと薬剤・食材情報サーバ間のシステム構成を示す図である。
【図5】本発明の食事管理及び薬剤管理のための情報提供システムにおける情報管理センターサーバと薬剤・食材情報サーバとの間で交換される情報とその流れを示す説明図である。
【図6】本発明の食事管理及び薬剤管理のための情報提供システムにおける情報管理センターサーバと患者データ処理装置間のシステム構成を示す図である。
【図7】本発明の食事管理及び薬剤管理のための情報提供システムにおける情報管理センターサーバと患者データ処理装置との間で交換される情報とその流れを示す説明図である。
【図8】本発明の食事管理及び薬剤管理のための情報提供システムにおける情報管理センターサーバと患者データ処理装置を用いた患者の外食における栄養評価を説明する図である。
【図9】本発明の食事管理及び薬剤管理のための情報提供システムにおける情報管理センターサーバと薬局サーバのシステム構成を示す図である。
【図10】本発明の食事管理及び薬剤管理のための情報提供システムにおける情報管理センターサーバと薬局サーバとの間で交換される情報とその流れを示す説明図である。
【図11】本発明の食事管理及び薬剤管理のための情報提供システムにおける処方箋情報の管理を説明する図である。
【図12】本発明の食事管理及び薬剤管理のための情報提供システムにおいて、患者が薬歴通帳又はICカード等の電子媒体を紛失又は損壊した場合の手順を示す図である。
【図13】は本発明の食事管理及び薬剤管理のための情報提供システムに用いる薬剤通帳の仕様を説明する図である。
【図14】本発明の食事管理及び薬剤管理のための情報提供システムにおける薬歴通帳の読み取り装置の仕様を説明する図である。
【符号の説明】
【0071】
A 情報管理センターサーバ
A1、B1、C1、D1 セキュリティサーバ
A2、B2、C2 認証機器
A3、B3、C3 送受信ストレージサーバ
A4 WWWサーバ
A5 DNSサーバ
A6 SSLサーバ
A7 認証サーバ
A8、A10 APサーバ
A9 DBサーバ
AD1、CD1 患者情報データベース
AD2 患者治療食管理、各種履歴情報データベース
AD3 治療食メニュー及びレシピ情報データベース
AD4 トランザクションデータベース
AD5、BD1 薬剤情報データベース
AD6、BD2 食材・食品情報データベース
AD7 マーケティング情報データベース
AD8 栄養指導情報データベース
AD9 個人キーバックアップデータベース
AD10 薬局キーバックアップデータベース
AD11 薬局管理情報データベース
AD20、BD20、CD20、DD20 各種管理情報データベース
B 薬剤・食材情報サーバ
B4、C4 各情報系APサーバ
C 医療機関ネットワークサーバ
CD2 治療食摂取成分管理情報データベース
CD3 栄養指導管理情報データベース
D 薬局サーバ
D2 認証接続機器
D3 コントロールPC
D4 媒体読み取り装置
D4−1 押し出し球
D4−2 読み取りヘッド
D4−3 スプリング
D5 プリンタ
DD1 薬歴情報データベース
DD2 個人情報データベース
E 患者データ処理装置
E1 クライアントPC
E2 電子媒体
E3 携帯端末
E4 接続装置
E5 薬歴通帳
E5−1 バーコード
E5−2 ICチップ
E5−3 磁気テープ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
双方向情報通信ネットワークを介して相互に接続された、複数の医療機関ネットワークサーバと、複数のレストランサーバと、複数の薬局サーバと、1又は複数の薬剤情報サーバと、複数の患者データ処理装置と、センターサーバと、から構成された食事管理及び薬剤管理のための情報処理システムであって、
前記センターサーバは、
前記医療機関ネットワークサーバから提供される、各患者の電子カルテ情報に基づいて作成された食事制限情報を各患者の患者ID番号毎に格納する食事制限情報記憶手段と、
前記患者ID番号毎に、前記食事制限情報に基づいて提供される食事メニュー情報を作成し、
前記医療機関ネットワークサーバから提供される各患者の電子カルテ情報に記載された処方箋情報又は前記薬局サーバから提供される各患者の投薬情報に基づいて、各患者が服用する各薬剤の副作用情報及び複数の薬剤の飲み合わせに関する薬剤情報を前記薬剤情報サーバから取得し、当該薬剤情報を前記患者ID番号毎に格納する手段と、
前記双方向情報通信ネットワークを介して、前記食事メニュー情報を前記複数のレストランサーバに配信し、且つ当該食事メニュー情報及び前記薬剤情報を当該患者データ処理装置に配信する手段と、
を備えたことを特徴とする食事管理及び薬剤管理のための情報提供システム。
【請求項2】
前記薬剤情報は、各患者に提供される前記食事メニュー情報に含まれる食材と当該患者が服用する各薬剤との相互作用及び食べ合わせ又は飲み合わせに関する情報を含むことを特徴とする請求項1に記載の食事管理及び薬剤管理のための情報提供システム。
【請求項3】
前記センターサーバは、さらに、前記薬剤情報サーバから市販用医薬品に関する副作用又は他の薬剤との飲み合わせに関する情報を取得し、前記医療機関ネットワークサーバから提供される前記薬剤情報と共に当該患者データ処理装置に配信することを特徴とする請求項1又は2に記載の食事管理及び薬剤管理のための情報提供システム。
【請求項4】
前記医療機関ネットワークサーバから提供される各患者の前記食事制限情報と前記処方箋情報は、各患者の病症の程度、身長や体重等の体格と体質、当該患者に課せられる1日の平均運動量に鑑みて作成されることを特徴とする請求項1に記載の食事管理及び薬剤管理のための情報提供システム。
【請求項5】
前記センターサーバは、前記患者データ処理装置から送信された各患者の食事又は食材の好み情報を、嗜好コードとして前記患者ID番号に対応付けて記憶することを特徴とする請求項1に記載の食事管理及び薬剤管理のための情報提供システム。
【請求項6】
前記センターサーバは、患者ID番号毎に作成する前記食事メニュー情報を前記嗜好コードと当該患者の前記食事制限情報とに基づいて作成することを特徴とする請求項5に記載の食事管理及び薬剤管理のための情報提供システム。
【請求項7】
前記食事メニュー情報は、少なくとも食事の名称、当該食事のカロリー数、当該食事に含まれる1又は複数の特定栄養素の量と、当該食事のレシピ情報と、を含むことを特徴とする請求項1に記載の食事管理及び薬剤管理のための情報提供システム。
【請求項8】
前記食事メニュー情報は、患者毎に複数種類の食事の組み合わせとして作成されることを特徴とする請求項7に記載の食事管理及び薬剤管理のための情報提供システム。
【請求項9】
前記食事メニュー情報は、当該患者が摂取を避けなければならない特定の栄養素又は食材に関する情報及び服用を避けなければならない薬剤又は栄養補助食品に関する情報を含むことを特徴とする請求項7に記載の食事管理及び薬剤管理のための情報提供システム。
【請求項10】
前記患者データ処理装置は、前記双方向情報通信ネットワークに接続可能なパーソナルコンピュータ、携帯通信端末装置又は携帯電話である請求項1に記載の食事管理及び薬剤管理のための情報提供システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−26188(P2009−26188A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−190724(P2007−190724)
【出願日】平成19年7月23日(2007.7.23)
【出願人】(591064379)昌栄印刷株式会社 (15)