説明

食品の包装容器および包装方法

【課題】外袋を開封したとき、およびその後において使い勝手のよい食品の包装容器および包装方法を提供すること。
【解決手段】ガム1を個包装する個包装紙2は、ガム1の長手方向にみて分離部2Aと固定部2Bとに分離可能である。裏側外包装材51上に、個包装された複数枚のガム1(食品ユニット3)を横方向に整列状態で配列し、表側外包装材52を、裏側外包装材51の一縁53に沿って折り返して食品ユニット3の上面側を覆う。裏側外包装材51と表側外包装材52との周縁部同士をシール部7でシールすると、合わさった裏側外包装材51および表側外包装材52によって包装容器100(外袋)が完成し、食品ユニット3は包装容器100内で密閉される。各食品ユニット3の個包装紙2の固定部2Bが、接着部材8によって裏側外包装材51および表側外包装材52の少なくとも一方に固定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、食品を収納するための包装容器および食品の包装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
小袋で個包装した菓子等を外袋に収容する包装構成が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭57−131454号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の場合は、外袋内において菓子(小袋)が固定されていないので、外袋を破いて開封すると、外袋内の菓子が不意にばらけてこぼれ出し、床面等に散乱する虞がある。これでは、外袋内の菓子の携行性が低下するので、使い勝手が悪い。
この発明は、かかる背景のもとでなされたもので、外袋を開封したとき、およびその後において使い勝手のよい食品の包装容器および包装方法を提供することを主たる目的とする。
【0005】
また、この発明は、収容された食品を衛生的に食べることができる食品の包装容器および包装方法を提供することを別の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、食品の長手板状の小片を包装するための包装容器であって、前記板状小片を1つずつ個包装するための個包装紙を有し、当該個包装紙は、板状小片を包んだ状態で、板状小片の長手方向にみて、一端側包装紙部と他端側包装紙部とに分離可能に加工されており、前記板状小片の所定の複数枚がそれぞれ前記個包装紙によって個包装され、それらを横方向に整列させた状態で受け止める裏側外包装材と、前記裏側外包装材の一縁から伸び出ており、その一縁に沿って折り返されて前記整列された複数枚の個包装板状小片の上面側を覆う表側外包装材と、前記個包装された複数枚の板状小片の各個包装紙の前記他端側包装紙部と前記裏側外包装材および表側外包装材の少なくとも一方との間に介在された接着部材と、前記裏側外包装材と表側外包装材との周縁部同士をシールして、内部に個包装された複数枚の板状小片を密閉するシール部と、を有することを特徴とする、食品の包装容器である。
【0007】
請求項2記載の発明は、食品の長手板状の小片を包装するための包装容器であって、前記板状小片を1つずつ個包装するための個包装紙を有し、当該個包装紙は、板状小片を包んだ状態で、板状小片の長手方向にみて、一端側包装紙部と他端側包装紙部とに分離可能に加工されており、前記板状小片の所定の複数枚がそれぞれ前記個包装紙によって個包装され、それらを横方向に整列させた状態で受け止める裏側外包装材と、前記裏側外包装材とは別に設けられており、前記整列された複数枚の個包装板状小片の上面側を覆う表側外包装材と、前記個包装された複数枚の板状小片の各個包装紙の前記他端側包装紙部と前記裏側外包装材および表側外包装材の少なくとも一方との間に介在された接着部材と、前記裏側外包装材と表側外包装材との周縁部同士をシールして、内部に個包装された複数枚の板状小片を密閉するシール部と、を有することを特徴とする、食品の包装容器である。
【0008】
請求項3記載の発明は、前記シール部には、前記シール部から前記裏側外包装材および表側外包装材を破り裂いて開封するための開封ガイド切り込みが形成されていることを特徴とする、請求項1または2記載の包装容器である。
請求項4記載の発明は、前記裏側外包装材および表側外包装材は、平面視が略矩形状であり、かつ、可撓性のある軟包材で形成されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の包装容器である。
【0009】
請求項5記載の発明は、食品の長手板状の小片を包装するための包装方法であって、前記板状小片を1つずつ個包装するための個包装紙を準備し、当該個包装紙は、板状小片を含んだ状態で、板状小片の長手方向にみて、一端側包装紙部と他端側包装紙部とに分離可能に加工されており、板状小片の所定の複数枚をそれぞれ前記個包装紙によって個包装し、それらを横方向に整列させた状態で裏側外包装材上に配列し、裏側外包装材には、予め、前記配列される複数枚の個包装板状小片の各個包装紙の前記他端側包装紙部を裏側外包装材に固定するための接着層を設けておき、前記裏側外包装材の一縁から伸び出た裏側外包装材と対をなす形状の表側外包装材を、前記一縁に沿って折り返して前記整列された複数枚の個包装板状小片の上面側を覆い、前記裏側外包装材と表側外包装材との周縁部同士をシールして、内部に個包装された複数枚の板状小片を密閉することを特徴とする、包装方法である。
【0010】
請求項6記載の発明は、食品の長手板状の小片を包装するための包装方法であって、前記板状小片を1つずつ個包装するための個包装紙を準備し、当該個包装紙は、板状小片を含んだ状態で、板状小片の長手方向にみて、一端側包装紙部と他端側包装紙部とに分離可能に加工されており、板状小片の所定の複数枚をそれぞれ前記個包装紙によって個包装し、それらを横方向に整列させた状態で裏側外包装材上に配列し、前記裏側外包装材の一縁から伸び出た裏側外包装材と対をなす形状の表側外包装材に、予め、前記配列される複数枚の個包装板状小片の各個包装紙の前記他端側包装紙部を表側外包装材に固定するための接着層を設けておき、前記表側外包装材を、前記一縁に沿って折り返して前記整列された複数枚の個包装板状小片の上面側を覆った上で接着し、前記裏側外包装材と表側外包装材との周縁部同士をシールして、内部に個包装された複数枚の板状小片を密閉することを特徴とする、包装方法である。
【0011】
請求項7記載の発明は、食品の長手板状の小片を包装するための包装方法であって、前記板状小片を1つずつ個包装するための個包装紙を準備し、当該個包装紙は、板状小片を含んだ状態で、板状小片の長手方向にみて、一端側包装紙部と他端側包装紙部とに分離可能に加工されており、板状小片の所定の複数枚をそれぞれ前記個包装紙によって個包装し、それらを横方向に整列させた状態で裏側外包装材上に配列し、前記裏側外包装材と対をなす形状の表側外包装材で、前記整列された複数枚の個包装板状小片の上面側を覆い、前記裏側外包装材と表側外包装材との周縁部同士をシールして、内部に個包装された複数枚の板状小片を密閉することを特徴とする、包装方法である。
【0012】
請求項8記載の発明は、裏側外包装材に、予め、前記配列される複数枚の個包装板状小片の各個包装紙の前記他端側包装紙部を裏側外包装材に固定するための接着層を設けるステップを含むことを特徴とする、請求項7記載の包装方法である。
請求項9記載の発明は、表側外包装材に、予め、前記配列される複数枚の個包装板状小片の各個包装紙の前記他端側包装紙部を表側外包装材に固定するための接着層を設けるステップを含むことを特徴とする、請求項7記載の包装方法である。
【発明の効果】
【0013】
請求項1、5および6記載の発明によれば、食品の板状小片を個包装する個包装紙は、板状小片の長手方向にみて、一端側包装紙部と他端側包装紙部とに分離可能である。そして、裏側外包装材上に、個包装された複数枚の板状小片を横方向に整列状態で配列し、表側外包装材を、裏側外包装材の一縁に沿って折り返して前記整列された複数枚の個包装板状小片の上面側を覆う。そして、裏側外包装材と表側外包装材との周縁部同士をシール部でシールすると、合わさった裏側外包装材および表側外包装材によって包装容器(外袋)が完成し、個包装された複数枚の板状小片は、包装容器内で密閉される。
【0014】
ここで、個包装された複数枚の板状小片の各個包装紙の他端側包装紙部が、接着部材(接着層)によって裏側外包装材および表側外包装材の少なくとも一方に固定されている。そのため、包装容器を開封しても、包装容器内の板状小片の位置がずれることはなく、これらの板状小片がばらけて包装容器外へこぼれることはない。これにより、包装容器(外袋)を開封したとき、およびその後において使い勝手がよい。
【0015】
また、開封された包装容器から、個包装された板状小片を取り出す際、一端側包装紙部を介して板状小片が摘まれる。この状態で、板状小片を包装容器から引き出すと、接着部材(接着層)によって包装容器側に固定された他端側包装紙部と、一端側包装紙部とが分離するので、板状小片は、今まで他端側包装紙部に覆われていた他端側部分が露出された状態で、包装容器から取り出される。そのため、個包装紙を手で剥かなくても板状小片の他端側部分を露出させ、この他端側部分から板状小片を食べることができる。このように、包装容器から板状小片を取り出して食べるまでの間に、板状小片に直接触れずに済むので、包装容器に収容された食品(板状小片)を衛生的に食べることができる。
【0016】
そして、裏側外包装材および表側外包装材が前記一縁でつながって一体的に形成されているので、裏側外包装材および表側外包装材を折り重なるようにし、それぞれ包装材の周縁部同士をシール部でシールすることによって、容易に包装容器を形成できる。この場合、各包装材の三辺をシールすれば済む(四辺全てをシールしなくてよい)ので、シールに係る工程の簡略化を図ることもできる。また、請求項6記載の発明のように、個包装板状小片が配列される裏側外包装材でなく、表側外包装材に接着層を設けるのであれば、接着層を設ける工程の自由度が広がるので、その分、様々な製造装置を用いることができる。
【0017】
ただし、裏側外包装材と表側外包装材とは、請求項2および7記載の発明のように、別体であってもよい。請求項8記載の発明のように、各個包装紙の他端側包装紙部を裏側外包装材に固定するのであれば、前記整列された複数枚の個包装板状小片の上面側を表側外包装材で覆う前に、予め、裏側外包装材に接着層を設けることが好ましい。請求項9記載の発明のように、各個包装紙の他端側包装紙部を表側外包装材に固定するのであれば、前記整列された複数枚の個包装板状小片の上面側を表側外包装材で覆う前に、予め、表側外包装材に接着層を設けることが好ましい。
【0018】
請求項3記載の発明によれば、シール部に形成された開封ガイド切り込みによって、裏側外包装材および表側外包装材を円滑に破り裂いて包装容器を開封することができるので使い勝手がよい。
請求項4記載の発明によれば、裏側外包装材および表側外包装材は、平面視が略矩形状であり、かつ、可撓性のある軟包材で形成されていることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、食品であるガム1(板状小片)を個包装紙2で包んで食品ユニット3を形成する手順を説明するための図であり、(a)は、ガム1を個包装紙2に載せた状態を示し、(b)は、(a)のガム1を個包装紙2で包んで食品ユニット3を完成させた状態を示している。
【図2】図2は、この発明の一実施形態に係る包装容器100の展開図である。
【図3】図3は、完成状態にある包装容器100を示しており、図3(a)は、包装容器100の平面図であり、図3(b)は、図3(a)のA−A矢視断面図である。
【図4】図4は、包装容器100の平面図であって、その一部を破いている状態を示している。
【図5】図5は、一部を破いた包装容器100からガム1を取り出す様子を説明するための図であり、図5(a)は、包装容器100の平面図であり、図5(b)は、図5(a)のB−B矢視断面図である。
【図6】図6は、ガム1を1つ取り出した後に包装容器100を折り畳む様子を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下には、図面を参照して、この発明の実施形態について具体的に説明する。
この発明の一実施形態に係る包装容器100は、食品であるガムの板状小片を複数まとまった状態で収容(包装)するためのものである。包装容器100の説明に先立って、まず、板状小片であるガム1について説明する。
図1は、食品であるガム1(板状小片)を個包装紙2で包んで食品ユニット3を形成する手順を説明するための図である。
【0021】
図1(a)を参照して、ガム1は、縦長直方体形状をなす薄手のブロック形状(長手板状)である。
ガム1は、個包装紙2に包まれる。ガム1と、これを包んだ状態にある個包装紙2とは、食品ユニット3を構成する。
個包装紙2は、いわゆる銀紙やワックスペーパーやフィルムであり、展開した状態では、ガム1全体を包み込む大きさを有する長方形状である。個包装紙2では、その長手方向におけるどちらかへ偏った位置に、個包装紙2の短手方向に沿って個包装紙2を横切って延びるミシン目4が形成されている。
【0022】
図1(a)に示すように、1つのガム1を、1枚の個包装紙2の中央部に、それぞれの長手方向が一致するように載置する。そして、個包装紙2においてガム1からはみ出た部分を折り畳んで、図1(b)に示すように、ガム1を個包装紙2で包む。このようにガム1を1つずつ個包装紙2で包んだ(個包装した)ものが、食品ユニット3である。食品ユニット3は、個包装紙2の厚みの分だけガム1より一回り大きい縦長ブロック形状である。食品ユニット3を立てると、食品ユニット3では、その長手方向である縦方向において下端側へ偏った位置に、個包装紙2のミシン目4が位置しており、ミシン目4は、食品ユニット3の短手方向(横方向)に延びてガム1を一周している。食品ユニット3を立てた状態を基準として、ミシン目4は、ガム1を包んだ状態にある個包装紙2を、ガム1の長手方向(縦方向、上下方向)にみて、ミシン目4より上側の分離部2A(一端側包装紙部)と、ミシン目4より下側の固定部2B(他端側包装紙部)とに区画している。個包装紙2は、ガム1を包んだ状態で、分離部2Aと固定部2Bとに分離可能である。なお、個包装紙2を包装容器100の一部とみなしてもよい。また、個包装紙2が分離部2Aと固定部2Bとに分離可能となるのであれば、個包装紙2にミシン目4を設ける以外に、ミシン目4の位置における個包装紙2を半分程度切断(ハーフカット)してもよい。
【0023】
そして、ガム1を所定の複数枚(ここでは、1つの包装容器100につき、6枚)用意して、各ガム1を個包装紙2によって個包装して、食品ユニット3を複数(6個)用意する。なお、ミシン目4は、個包装紙2において、その長手方向で偏った位置に形成されている必要はなく、たとえば、長手方向中央位置に形成されていてもよい。また、個包装紙2は、分離部2Aまたは固定部2Bになる2枚の紙の一部をオーバーラップさせたもので構成されていて、一方側の紙を摘んで引き抜く(分離する)構成であってもよい。
【0024】
次に、包装容器100について説明する。
図2は、この発明の一実施形態に係る包装容器100の展開図である。図3は、完成状態にある包装容器100を示しており、図3(a)は、包装容器100の平面図であり、図3(b)は、図3(a)のA−A矢視断面図である。なお、図3(a)のA−A線は、包装容器100の短手方向に沿って延びて、包装容器100および包装容器100内の食品ユニット3を切断する仮想的な直線である。
【0025】
図2を参照して、包装容器100は、展開された状態では、平面視が略矩形状のシート50である。このシート50を略二等分して、一方を裏側外包装材51といい、他方を表側外包装材52ということにする。図2では、シート50の上半分が裏側外包装材51であり、シート50の下半分が表側外包装材52である。裏側外包装材51の一縁(図2では下端縁)53は、裏側外包装材51と表側外包装材52との境界線であり、横方向に直線状に延びている。一縁53は、表側外包装材52の一縁(図2では上端縁)でもある。表側外包装材52は、裏側外包装材51の一縁53から伸び出ている。
【0026】
裏側外包装材51および表側外包装材52は、可撓性のある軟包材で一体的に形成されている。裏側外包装材51および表側外包装材52は、平面視で同じ大きさの横方向に長手の略矩形状である。つまり、裏側外包装材51および表側外包装材52は、対をなす形状である。裏側外包装材51および表側外包装材52のそれぞれの大きさは、各包装材の短手方向に沿って長手となった食品ユニット3(ガム1)を横方向に隙間なく6つ整列させた場合に、これら6つの食品ユニット3が余裕を持って載置される程度に設定されている。
【0027】
そして、6つの食品ユニット3を、裏側外包装材51および表側外包装材52のそれぞれの短手方向に沿って長手となる姿勢で、横方向に隙間なく6つ整列させる。
次いで、これらの整列した食品ユニット3を、シート50における裏側外包装材51上に配列する。換言すれば、裏側外包装材51は、これらの食品ユニット3を受け止める。これらの食品ユニット3は、平面視において、裏側外包装材51の外周縁の内側に収まるように、裏側外包装材51の中心側で一縁53に偏った位置に配置される。各食品ユニット3の個包装紙2では、分離部2Aよりも固定部2Bが一縁53側に位置している。
【0028】
このように食品ユニット3を配置すると、裏側外包装材51において、6つの食品ユニット3のまとまりの周りには、これらの食品ユニット3を取り囲むように略U字状(図2では逆U字状)の余白ができる。この余白には、裏側シール部5が設けられている。裏側シール部5は、ヒートシールやコールドシールによって接着力を発揮する接着剤である。
裏側シール部5は、裏側外包装材51において一縁53以外の三辺の周縁を縁取っている。また、表側外包装材52において、一縁53を基準として裏側シール部5と対称になる部分には、表側シール部6が設けられている。表側シール部6は、裏側シール部5と同じ接着剤であって、表側外包装材52において一縁53以外の三辺の周縁を縁取る略U字形状である。裏側シール部5と表側シール部6とはつながっていて、これらは、まとまった状態で、シール部7を構成している。シール部7は、図2において右下へ延びる斜線のハッチングが付された部分であり、シート50の外周縁の全域を縁取る略矩形額縁状である。なお、シール部7を構成する裏側シール部5および表側シール部6のうち、一方が接着剤であって、他方は接着剤でなくてもよい。この場合、当該他方は、シート50の周縁部そのものである。
【0029】
ここで、裏側外包装材51において食品ユニット3が載置される面には、横方向に延びる帯状をなす接着部材8(接着層)が予め設けられている。接着部材8は、接着剤であってもよいし、粘着テープであってもよい。接着部材8は、包装容器100に含まれる。接着部材8は、図2において右上へ延びる斜線のハッチングが付された部分であり、裏側外包装材51において一縁53の近傍に設けられている。そのため、前述したように整列した6つの食品ユニット3を裏側外包装材51上に配列すると、接着部材8は、6つ全ての食品ユニット3における個包装紙2の固定部2Bと裏側外包装材51との間に介在され(図3(b)参照)、平面視において、全ての食品ユニット3の固定部2Bを横切っている。接着部材8は、全ての食品ユニット3の固定部2Bを裏側外包装材51に固定している。これにより、全ての食品ユニット3は、裏側外包装材51に対して相対移動不能に固定されている。なお、接着部材8は、全ての食品ユニット3の固定部2Bに接着できるのであれば、帯状でなくてもよく、この場合、途中で途切れた破線状であってもよい。
【0030】
このように全ての食品ユニット3を裏側外包装材51に固定してから、表側外包装材52を、裏側外包装材51の一縁53に沿って、裏側外包装材51上の食品ユニット3側へ折り返す。すると、表側外包装材52は、裏側外包装材51に完全に重なる。そのため、裏側外包装材51において一縁53以外の3辺にある裏側シール部5と、表側外包装材52において一縁53以外の3辺にある表側シール部6とが完全に重なり合う。この状態が図3に示されている。
【0031】
図3では、表側外包装材52が、裏側外包装材51上で整列された全ての食品ユニット3(ガム1)の上面側(図3(a)における手前側であり、図3(b)における左側)を覆っている。
裏側外包装材51の裏側シール部5と、表側外包装材52の表側シール部6とは、ヒートシールやコールドシールによって、互いに接着される。これにより、表側外包装材52と裏側外包装材51との一縁53以外の周縁部同士が、裏側シール部5および表側シール部6(シール部7)によってシールされる。この結果、重なり合った表側外包装材52および裏側外包装材51によって、横方向に長手の長方形状であって袋状の包装容器100が形成される。包装容器100の内部には、裏側外包装材51に固定された6つの食品ユニット3が収容されている。つまり、包装容器100は、内部の食品ユニット3に対する外袋となる。表側外包装材52と裏側外包装材51との一縁53以外の周縁部同士がシール部7によってシールされ、かつ、表側外包装材52と裏側外包装材51とが一縁53でつながっていることから、包装容器100内の6つの食品ユニット3は、密閉されている。
【0032】
このように、一体形成された裏側外包装材51および表側外包装材52を折り重なるようにし、それぞれ包装材の周縁部同士をシール部7でシールすることによって、容易に包装容器100を形成できる。この場合、各包装材の三辺をシールすれば済む(四辺全てをシールしなくてよい)ので、シールに係る工程の簡略化を図ることもできる。
ここで、完成した包装容器100の横方向両端縁のシール部7において、一縁53とは反対側に偏った位置に、開封ガイド切り込み9が形成されている。開封ガイド切り込み9は、図3(a)に示すように包装容器100の内側へ向けて細くなる三角形状であってもよいし、包装容器100の内側へ向けて尖るホームベース形状であってもよいし、横方向に延びる直線状であってもよい。
【0033】
図4は、包装容器100の平面図であって、その一部を破いている状態を示している。図5は、一部を破いた包装容器100からガム1を取り出す様子を説明するための図であり、図5(a)は、包装容器100の平面図であり、図5(b)は、図5(a)のB−B矢視断面図である。図6は、ガム1を1つ取り出した後に包装容器100を折り畳む様子を説明するための図である。なお、図5(a)のB−B線は、包装容器100の短手方向に沿って延びて、包装容器100および包装容器100から取り出される食品ユニット3を切断する仮想的な直線である。
【0034】
図4を参照して、包装容器100において一縁53とは反対側の端部において、左右のいずれかの開封ガイド切り込み9の近傍部分を掴んで引っ張る。すると、この開封ガイド切り込み9を起点(きっかけ)として、この開封ガイド切り込み9が形成されたシール部7から表側外包装材52および裏側外包装材51が破り裂かれ、包装容器100が開封される。ここで、開封ガイド切り込み9によって裏側外包装材51および表側外包装材52を円滑に破り裂いて包装容器100を開封することができるので使い勝手がよい。
【0035】
前述したように、包装容器100内では、各食品ユニット3の個包装紙2の固定部2Bが、接着部材8によって裏側外包装材51に固定されている(図3(b)参照)。そのため、包装容器100を開封しても、包装容器100内のガム1の位置がずれることはなく、これらのガム1がばらけて包装容器100外へこぼれることはない。これにより、包装容器100(外袋)を開封したとき、およびその後において使い勝手がよい。
【0036】
包装容器100において開封された(破れた)部分(開け口X)からは、包装容器100内の食品ユニット3における個包装紙2の分離部2Aの先端が露出される。
次いで、図5に示すように、開け口Xから露出された食品ユニット3の分離部2Aを指先80で摘み、当該食品ユニット3を、太線矢印で示すように開け口Xから上方ヘ引き出す。
【0037】
すると、摘まれた食品ユニット3では、個包装紙2の固定部2Bが接着部材8によって包装容器100側に固定されていることから、個包装紙2が分離部2Aと固定部2Bとに分離する。これにより、摘まれた食品ユニット3では、分離部2Aと、これに包まれたガム1とが一体となった状態で、包装容器100から摘み出される。残りの食品ユニット3は、接着部材8によって包装容器100側に固定されているので、包装容器100内において、これらの食品ユニット3の位置がずれることはない。
【0038】
摘み出された食品ユニット3のガム1において分離部2Aから露出された部分をくわえることでガム1を食べることができる。
同様の手順で、包装容器100における残りの食品ユニット3も摘み出して、各食品ユニット3のガム1を食べることができる。
このように、開封された包装容器100から、個包装されたガム1を取り出す際、分離部2Aを介してガム1が摘まれる。この状態でガム1を包装容器100から引き出すと、固定部2Bと分離部2Aとが分離するので、ガム1は、今まで固定部2Bに覆われていた部分が露出された状態で、包装容器100から取り出される。そのため、個包装紙2を手で剥かなくてもガム1の一部分を露出させ、この部分からガム1を食べることができる。つまり、包装容器100からガム1を取り出して食べるまでの間に、ガム1に直接触れずに済むので、包装容器100に収容された食品(ガム1)を衛生的に食べることができる。
【0039】
また、ガム1を全部食べ切らなかった場合には、図6に示すように、食べ残しのガム1についての食品ユニット3が包装容器100内に残った状態で、包装容器100において既に摘み出された食品ユニット3があった一方部分100Aを、それ以外の他方部分100B側へ折り畳んでもよい。そうすれば、包装容器100を簡易的に再び封止できるとともに、包装容器100が小さくなる。なお、この一方部分100Aを切り落として除去してしまってもよい。
【0040】
この発明は、以上に説明した実施形態に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。
たとえば、図2を参照して、接着部材8は、裏側外包装材51でなく、表側外包装材52において各食品ユニット3の個包装紙2の固定部2Bを覆う予定の部分に設けられてもよいし、表側外包装材52および裏側外包装材51の両方に設けられてもよい。接着部材8が表側外包装材52だけに設けられる場合には、表側外包装材52を裏側外包装材51側へ折り返すと、接着部材8は、6つ全ての食品ユニット3における個包装紙2の固定部2Bと表側外包装材52との間に介在され、全ての食品ユニット3は、接着部材8によって表側外包装材52に対して相対移動不能に固定される。接着部材8が表側外包装材52および裏側外包装材51の両方に設けられる場合には、接着部材8は、6つ全ての食品ユニット3における個包装紙2の固定部2Bと表側外包装材52との間、および、固定部2Bと裏側外包装材51との間に介在され、全ての食品ユニット3は、接着部材8によって裏側外包装材51および表側外包装材52の両方に対して相対移動不能に固定される。
【0041】
ここで、食品ユニット3が配列される裏側外包装材51でなく、表側外包装材52に接着部材8を設けるのであれば、接着部材8を設ける工程の自由度が広がるので、その分、様々な製造装置を用いて包装容器100を製造することができる。
また、包装容器100に食品ユニット3を横方向に6個並べて収容しているが、収容する食品ユニット3の数は、適宜変更可能である。
【0042】
また、表側外包装材52および裏側外包装材51を一体形成していたが、これらを別々に形成してもよい。その場合、包装容器100を組み立てる際、表側外包装材52および裏側外包装材51のそれぞれの4辺をシール部7でシールする。
また、図5を参照して、各食品ユニット3では、これを包装容器100から取り出すときに個包装紙2が分離部2Aと固定部2Bとに分離するのだが、個包装紙2が分離しなくてもよい。その場合には、個包装紙2にミシン目4(図1参照)を設けなくてもよく、食品ユニット3は、個包装紙2が分離されることなく包装容器100から取り出される。個包装紙2が破れることなく食品ユニット3を容易に包装容器100から取り出せるように、食品ユニット3は、接着部材8によって仮止め程度に(弱めに)包装容器100に固定されていることが好ましい。
【0043】
また、この実施例では、包装容器100に収容される板状小片をガムとしたが、板状小片のチョコレートやキャンディであっても、同様に包装できる。
また、シール部7を接着剤で構成したが、粘着テープで構成してもよい。
また、包装容器100は、その一部を破くことで開封されているが、表側外包装材52と裏側外包装材51とのシール部分を引き離すようにして開封されてもよい。
【0044】
また、必要数分の食品ユニット3を集積紙(図示せず)で束ねた後に、食品ユニット3の束を包装容器100にセットしてもよい。この場合、食品ユニット3の束は、包装容器100を組み立てる前の裏側外包装材51および表側外包装材52(図2参照)の少なくとも一方に接着部材8で固定されていて、包装容器100を組み立てると、包装容器100に収容された状態となる(図3参照)。
【符号の説明】
【0045】
1 ガム
2 個包装紙
2A 分離部
2B 固定部
3 食品ユニット
4 ミシン目
5 裏側シール部
6 表側シール部
7 シール部
8 接着部材
9 開封ガイド切り込み
50 シート
51 裏側外包装材
52 表側外包装材
53 一縁
80 指先
100 包装容器
100A 一方部分
100B 他方部分
X 開け口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品の長手板状の小片を包装するための包装容器であって、
前記板状小片を1つずつ個包装するための個包装紙を有し、当該個包装紙は、板状小片を包んだ状態で、板状小片の長手方向にみて、一端側包装紙部と他端側包装紙部とに分離可能に加工されており、
前記板状小片の所定の複数枚がそれぞれ前記個包装紙によって個包装され、それらを横方向に整列させた状態で受け止める裏側外包装材と、
前記裏側外包装材の一縁から伸び出ており、その一縁に沿って折り返されて前記整列された複数枚の個包装板状小片の上面側を覆う表側外包装材と、
前記個包装された複数枚の板状小片の各個包装紙の前記他端側包装紙部と前記裏側外包装材および表側外包装材の少なくとも一方との間に介在された接着部材と、
前記裏側外包装材と表側外包装材との周縁部同士をシールして、内部に個包装された複数枚の板状小片を密閉するシール部と、を有することを特徴とする、食品の包装容器。
【請求項2】
食品の長手板状の小片を包装するための包装容器であって、
前記板状小片を1つずつ個包装するための個包装紙を有し、当該個包装紙は、板状小片を包んだ状態で、板状小片の長手方向にみて、一端側包装紙部と他端側包装紙部とに分離可能に加工されており、
前記板状小片の所定の複数枚がそれぞれ前記個包装紙によって個包装され、それらを横方向に整列させた状態で受け止める裏側外包装材と、
前記裏側外包装材とは別に設けられており、前記整列された複数枚の個包装板状小片の上面側を覆う表側外包装材と、
前記個包装された複数枚の板状小片の各個包装紙の前記他端側包装紙部と前記裏側外包装材および表側外包装材の少なくとも一方との間に介在された接着部材と、
前記裏側外包装材と表側外包装材との周縁部同士をシールして、内部に個包装された複数枚の板状小片を密閉するシール部と、を有することを特徴とする、食品の包装容器。
【請求項3】
前記シール部には、前記シール部から前記裏側外包装材および表側外包装材を破り裂いて開封するための開封ガイド切り込みが形成されていることを特徴とする、請求項1または2記載の包装容器。
【請求項4】
前記裏側外包装材および表側外包装材は、平面視が略矩形状であり、かつ、可撓性のある軟包材で形成されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の包装容器。
【請求項5】
食品の長手板状の小片を包装するための包装方法であって、
前記板状小片を1つずつ個包装するための個包装紙を準備し、当該個包装紙は、板状小片を含んだ状態で、板状小片の長手方向にみて、一端側包装紙部と他端側包装紙部とに分離可能に加工されており、
板状小片の所定の複数枚をそれぞれ前記個包装紙によって個包装し、それらを横方向に整列させた状態で裏側外包装材上に配列し、
裏側外包装材には、予め、前記配列される複数枚の個包装板状小片の各個包装紙の前記他端側包装紙部を裏側外包装材に固定するための接着層を設けておき、
前記裏側外包装材の一縁から伸び出た裏側外包装材と対をなす形状の表側外包装材を、前記一縁に沿って折り返して前記整列された複数枚の個包装板状小片の上面側を覆い、
前記裏側外包装材と表側外包装材との周縁部同士をシールして、内部に個包装された複数枚の板状小片を密閉することを特徴とする、包装方法。
【請求項6】
食品の長手板状の小片を包装するための包装方法であって、
前記板状小片を1つずつ個包装するための個包装紙を準備し、当該個包装紙は、板状小片を含んだ状態で、板状小片の長手方向にみて、一端側包装紙部と他端側包装紙部とに分離可能に加工されており、
板状小片の所定の複数枚をそれぞれ前記個包装紙によって個包装し、それらを横方向に整列させた状態で裏側外包装材上に配列し、
前記裏側外包装材の一縁から伸び出た裏側外包装材と対をなす形状の表側外包装材に、予め、前記配列される複数枚の個包装板状小片の各個包装紙の前記他端側包装紙部を表側外包装材に固定するための接着層を設けておき、
前記表側外包装材を、前記一縁に沿って折り返して前記整列された複数枚の個包装板状小片の上面側を覆った上で接着し、
前記裏側外包装材と表側外包装材との周縁部同士をシールして、内部に個包装された複数枚の板状小片を密閉することを特徴とする、包装方法。
【請求項7】
食品の長手板状の小片を包装するための包装方法であって、
前記板状小片を1つずつ個包装するための個包装紙を準備し、当該個包装紙は、板状小片を含んだ状態で、板状小片の長手方向にみて、一端側包装紙部と他端側包装紙部とに分離可能に加工されており、
板状小片の所定の複数枚をそれぞれ前記個包装紙によって個包装し、それらを横方向に整列させた状態で裏側外包装材上に配列し、
前記裏側外包装材と対をなす形状の表側外包装材で、前記整列された複数枚の個包装板状小片の上面側を覆い、
前記裏側外包装材と表側外包装材との周縁部同士をシールして、内部に個包装された複数枚の板状小片を密閉することを特徴とする、包装方法。
【請求項8】
裏側外包装材に、予め、前記配列される複数枚の個包装板状小片の各個包装紙の前記他端側包装紙部を裏側外包装材に固定するための接着層を設けるステップを含むことを特徴とする、請求項7記載の包装方法。
【請求項9】
表側外包装材に、予め、前記配列される複数枚の個包装板状小片の各個包装紙の前記他端側包装紙部を表側外包装材に固定するための接着層を設けるステップを含むことを特徴とする、請求項7記載の包装方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−180097(P2012−180097A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−42436(P2011−42436)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(307013857)株式会社ロッテ (101)
【Fターム(参考)】