説明

食品への適用のための水分散性組成物

水分散性組成物を製造する方法は、微結晶セルロースウエットケーキと少なくとも1種の澱粉とを共摩擦によって共処理し、コロイド状微結晶セルロースと少なくとも1種の澱粉とを含む混合物を形成する工程を含む。混合物は次に乾燥される。混合物はさらに、親水コロイド、例えばガラクトマンナンと、乾燥前または後に随意混合してよい。乾燥されたコロイド状微結晶セルロース組成物は水媒体に分散してよく、食品/飲料生産物が得られる。組成物は特に例えばタンパク質を含む水媒体に分散されてよく、低pH飲料組成物が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品への適用のための微結晶セルロース組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
微結晶セルロース(MCC)は、食品産業において最終的な食品生産物の性質や特性を向上させるために使用される。MCCは例えば、水媒体中の分散や固体懸濁の懸濁補助剤として使用されてきた。MCC組成物は特に、食品への適用において食感や「口内感覚」を増すために開発が行われてきた。特許文献1によれば、微結晶性セルロースと、ゼラチン、アルギン酸塩および類似物のような相当量の保護親水コロイドとを共乾燥すれば、食品生産物に添加することで食感や口内感覚を変化させる共乾燥製品を形成できる。特許文献2には、水媒体中で微結晶セルロースとグアーガムのようなガラクトマンナンガムとを完全に混合し、さらに乾燥して作られた、水を含む食品のための脂肪様増量剤が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第3573058号明細書
【特許文献2】米国特許第5192569号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、低pHや中性pHのような異なる食品への適用において、幅広い食感を呈する微結晶セルロースを提供することが必要であった。食感特性が最終製品において望ましい知覚特性に基づいて設計されることもまた望ましい。さらに、微結晶セルロース組成物が優れた安定性と保存可能期間を有する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る微結晶セルロース組成物は、広範囲にわたる食感を呈し、また高度な安定性と保存可能期間を有する。また、微結晶セルロース組成物は容易に水媒体中に分散して超微細粒子を形成する。これはタンパク質ベースの飲料への適用や果物果肉分散物、アイスクリーム、調理用クリーム等の食品への適用において特段有用である。本発明の観点は、水分散性微結晶セルロース組成物と、これを製造する方法と、低pH飲料組成物と、これを製造する方法とを含む。
【0006】
本発明の実施形態によれば、例えば食品への適用に使用される水分散性組成物は、微結晶セルロースウエットケーキと少なくとも1種の澱粉とを共処理し、コロイド状微結晶セルロースと該少なくとも1種の澱粉とを含む混合物を形成するために共摩擦することによって作成されてよい。続いて、混合物は乾燥される。好適な実施形態において、少なくとも1種の澱粉はタピオカ澱粉である。ガラクトマンナンのような親水コロイドを乾燥の前又は後に混合物にさらに組み合わせることも可能である。例えば、微結晶セルロース組成物はさらなる親水コロイドと混合されるか、さらなる親水コロイドと共に水に分散され、後に共乾燥されてよい。
【0007】
本発明の他の実施形態によれば、アイスクリーム、調理用クリーム等の食品への適用に用いられる組成物は、コロイド状微結晶セルロースウエットケーキの共処理された混合物と、少なくとも1種のタピオカ澱粉または澱粉誘導体とを含み、コロイド状微結晶セルロースは少なくとも1種のタピオカ澱粉または澱粉誘導体によって少なくとも部分的にコーティングされている。
【0008】
本発明の他の実施形態によれば、水分散性組成物は、共処理されたコロイド状微結晶セルロースウエットケーキの混合物と、少なくとも1種の澱粉とを含み、コロイド状微結晶セルロースは少なくとも1種の澱粉を含むバリア分散剤によって少なくとも部分的にコーティングされる。水分散性組成物はさらにそれに吸着する親水コロイドを随意有してよい。さらに、乾燥されたコロイド状微結晶セルロース組成物は水媒体中に分散されてよい。
【0009】
本発明の他の実施形態によれば、pHが約5より低い低pH飲料組成物は、少なくとも1種の低pH安定化澱粉;ガラクトマンナン;タンパク質;および水媒体を含むバリア分散剤によって少なくとも部分的にコーティングされたコロイド状微結晶セルロースを含む。
【0010】
本発明の他の実施形態によれば、低pH飲料組成物の作成方法には、水媒体中のコロイド状微結晶セルロースと澱粉、ガラクトマンナン、及びタンパク質の共処理された混合物の分散が含まれ、コロイド状微結晶セルロースは低pH安定化澱粉を含むバリア分散剤によって少なくとも部分的にコーティングされている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明は図面の参照によってさらに理解され、図1には本発明のある実施形態によるMCC/澱粉/グアーガム組成物のゲル強度が示されている。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は水分散性コロイド状微結晶セルロース組成物を含み、微結晶セルロース組成物、ガラクトマンナン、およびタンパク質を含む低pH飲料組成物のような可食食品生産物の安定剤として有効である。
【0013】
本明細書で用いられる「コロイド」および「コロイド状」は可換に用いられ、混合物中に分散されうる粒子と定義される。本技術分野の当業者にとって既知であるが、コロイド粒子は所定の平均粒径を有し、それは例えば約0.1〜10ミクロンのオーダーである。本明細書に記載されるコロイド状粒子は、コロイド分散系を形成できる限りにおいて任意の好適な粒子サイズを有してよい。
【0014】
本明細書における「親水コロイド」の範疇には水溶液系に分散されうるコロイド粒子、および/あるいは水媒体中に分散された粒子のコロイド系が含まれることが意図される。
【0015】
本明細書では、特に指定しなければ組成物の組成や成分の値は重量%または個々の材料の組成物中の重量の百分率で表される。
【0016】
本発明のある実施形態において、水分散性組成物の作成方法は、微結晶セルロースウエットケーキと少なくとも1種の澱粉とを共摩擦によって共処理し、コロイド状微結晶セルロースと該少なくとも1種の澱粉とを含む混合物を形成する工程を含む。続いて、混合物は乾燥される。
【0017】
本発明の他の実施形態において、食品に適用される水分散性組成物はコロイド状微結晶セルロースウエットケーキと少なくとも1種の澱粉との共処理された混合物を含み、コロイド状微結晶セルロースは少なくとも1種の澱粉を含むバリア分散剤によって少なくとも部分的にコーティングされている。
【0018】
本発明の組成物には任意の微結晶セルロースを用いてよい。微結晶セルロースは部分的に加水分解されたセルロース(β‐1,4グルカン)の小さな棒状微結晶を含んでよい。β‐1,4グルカンは、所定のセルロース素材に適用できる任意の好適な化学的分解手段によって誘導されてよい。好適な分解が完了した後、残渣はろ過ケーキとして回収され、不純物を除去するために完全に洗浄されてよい。好適には約40%の固体を含む洗浄されたケーキに、その後機械的粉末化を施してよい。化学分解処理とそれに続く洗浄において、微結晶セルロースはアモルファス領域におけるセルロース鎖の開裂によって分解されてよい。個々の結晶はその後、処理された繊維や断片から分離または脱離してよい。粉末化中に、微結晶が分解した素材から分離するにしたがって新たな面が形成されるが、それぞれの微結晶が分離状態を維持しなければそれらは再結合する。効果的なせん断を達成するため、粉末化される塊はせん断力の伝達が効果的となるために十分な固体比率でなければならない。一方、微結晶の新たに形成された面が水和されるのに十分な水が存在しないために、分離した微結晶が融合したり大きな凝集体を形成するような、高い固体比率であってはならない。
【0019】
機械的摩擦は様々な標準的な装置、例えば調理用ミキサー、プラネタリーミキサー、ボールミル、摩擦粉砕機、ワーリングブレンダーのような高速せん断装置、およびそれらの類似物を用いて行ってよい。さらに、好適には水媒体の存在下で行われる加水分解処理の残渣は、残渣と水媒体との混合物に力を加えて多孔板に見られるような有限の断面の通路を通過させることによって、粒子間のせん断や摩擦にさらされてよい。粒子の少なくとも約1重量%、好適には少なくとも30重量%が、約1.0ミクロン以下の平均長であると電子顕微鏡による検査で判定されるような塊を生じさせるのに十分な程度の摩擦が必要である。そのような塊中の粒子は部分的には、しかしながら、1ミクロンの数百分の一程度の長さまたは最大寸法を有してよい。
【0020】
微結晶セルロースは任意の好適な形状を有してよい。微結晶セルロースは好適にはウエットケーキの形である。微結晶セルロースウエットケーキは湿潤状態で生産された微結晶セルロースであり、例えば水を含み、乾燥されていない(「非乾燥」)。すなわち微結晶セルロースウエットケーキは先行して乾燥して水で再水和していない微結晶セルロースである。本発明のある実施形態において、MCCウエットケーキは約36〜44%が固体の固体比率(すなわち約56〜64%が水)である。MCCウエットケーキは共処理の前および/あるいは後にコロイド状であってよい。すなわち、コロイドグレードのMCCは例えば既知の加水分解、ろ過、洗浄ステップの直後に、ウエットケーキの機械的摩擦によって作られてよい。コロイド状微結晶セルロースの粒子サイズは特に限定しない。
【0021】
最終混合物に含まれるMCCウエットケーキ中の水または任意の付加された水の存在量は約75重量%より少ない。ある実施形態において、共処理中の水の含有量は混合物の約30〜70重量%、より好適には約35〜50%である。このようにして、混合物は好適には例えばウエットケーキにいくらかの水を含むが、多すぎる程は含まない。好適には、混合物がペースト状と同様となるのに十分な水が含まれる。共処理工程中は、水の含有量が75重量%より多くなるべきでない。すなわち、共処理中にMCCと澱粉とが過剰な水によって希釈されるべきではない。特に、MCCウエットケーキと澱粉とは、懸濁液を形成する程に多くの水と共に混合するべきではない。特定の理論によって限定されるべきでないが、MCCと澱粉との混合物中に過剰の水が存在すれば、共処理中に十分な摩擦が起こらず、生成した水分散性組成物の性能に負の効果を及ぼすであろうと考えられている。
【0022】
少なくとも1種の澱粉とは任意の好適な澱粉であってよく、例えば天然澱粉、又は当業者にとって既知の澱粉誘導体であり、例えば小麦、とうもろこし、オート麦、米、タピオカ、ジャガイモ等の任意の原料由来であってよい。澱粉のアミロース含有量は任意であってよいが、アミロースは品質を劣化させる傾向があるため(結合し合って水を排除する結合を形成する)、好適な実施形態において澱粉のアミロース含有量は低い。結果的に、澱粉はその吸水性を失いかねない。化学的、物理的、遺伝子的に改変された澱粉もまた使用してよい。例えば少なくとも1種の澱粉は、ヒドロキシアルキルデンプン、ヒドロキシエチル澱粉、ヒドロキシプロピル澱粉、アシル澱粉、およびそれらの混合物からなる群より選択されてよい。ある好適な実施形態において、化学的に変性された澱粉は置換ヒドロキシアルキルデンプン誘導体であり、リン酸塩又は他の一般的な化学架橋手段によって低〜中程度架橋(あるいは非架橋)されている。ある実施形態において、少なくとも1種の澱粉は、タピオカ澱粉、コーンスターチ、それらの誘導体、それらの混合物を含む。
【0023】
ある例示的実施形態において、澱粉はタピオカ(キャッサバまたはマニオクとしても知られる)のような高アミロペクチン澱粉を含む。ある実施形態において、澱粉はタピオカベースの澱粉であるか、それを含む。タピオカベースの澱粉とは変性されていないタピオカ(例えば天然タピオカ澱粉)又はタピオカ誘導体であってよい。ある好適な実施形態において澱粉は、例えばヒドロキシプロピル2リン酸タピオカ澱粉、ヒドロキシプロピルタピオカ澱粉、またはそれらの混合物を含む変性タピオカ澱粉のような、タピオカ誘導体である。
【0024】
ある実施形態において、少なくとも1種の澱粉の含有量は、水分散性組成物の約25〜70重量%、より好適にはMCC組成物の約35〜60重量%である。コロイド状微結晶セルロースウエットケーキと少なくとも1種の澱粉との共処理中、澱粉の含有量は混合物の約10〜35重量%(他の実施形態では、約20〜30%)であってよい。
【0025】
本発明のある実施形態において、澱粉は例えばC−Cヒドロキアルキル澱粉のようなヒドロキシアルキル澱粉である。天然澱粉のヒドロキシアルキル化は、天然澱粉と適切な炭素数のアルキレンオキシドとの反応によって行うことができる。特定の理論によって限定されるべきでないが、澱粉骨格に炭素数2〜5のアルキル鎖を経由して結合した水酸基が形成されれば、澱粉の親水性、親油性のバランスが適切になると考えられている。アルキル基上の水酸基の位置に制限はなく、アルファ位からオメガ位であってよい。ヒドロキシアルキル化の置換度、すなわち無水グルコース単位あたりの澱粉分子のOH置換基の平均数は好適には平均0.08〜0.3である。特に好適な澱粉は、澱粉をエチレンオキシドまたはプロピレンオキシドとそれぞれ反応させて得られるヒドロキシエチル化澱粉及び/あるいはヒドロキシプロピル化澱粉である。本発明で使用される澱粉はアルキル基あたり1以上の水酸基を有してもよい。澱粉のヒドロキシプロピル化は(官能基の数は置換度によって決まる)、様々な食品系において凍結融解安定性、劣化を防止する点、等のいくらかの有効な性質を提供しうる。
【0026】
本発明の他の実施形態において、澱粉はC2−C18アシル澱粉のようなアシル澱粉である。アシル化は一般的に、一般式(R−C(O))2Oで表される酸無水物との反応によって行われ、Rはメチル基やエチル基のようなアルキル基ある。好適な酸無水物の例は、限定するものではないが、無水コハク酸、無水マレイン酸、およびそれらのアルキル化誘導体である。C2−C18アシル澱粉はC2−C18アルカン酸エステルまたはアルケン酸エステルとの架橋反応によって形成され、好適な親水性、親油性のバランスを達成するために置換度0〜0.8、特に0〜0.5となるようにさらなるアシル化を行ってよい。
【0027】
ある好適な実施形態において、澱粉は化学的に変性された架橋澱粉である。ある好適な架橋方法はリン酸化反応であり、澱粉(ヒドロキシアルキル化澱粉のような)と、オキシ塩化リン、五酸化二リン、および/あるいはトリメタリン酸ナトリウムとの反応である。2つの澱粉鎖がアニオン性P−O基によって架橋される。他の好適な架橋方法はC4−C18アルカン又はアルケンのジカルボン酸を用いる方法で、好適にはC4−C8アルカンのジカルボン酸が用いられ、特にアジピン酸が用いられる。アルカン又はアルケンのジカルボン酸は2つの澱粉鎖をエステル結合で結合させる。これは直鎖または分岐鎖であってよい。例えば澱粉をジカルボン酸の無水物と酢酸との混合物と反応させることによって、誘導体が得られるであろう。乾燥澱粉を基準として、一般的に0.1重量%より少ない、通常約0.06重量%の架橋剤が使用される。
【0028】
化学的に変性された澱粉はゼラチン化されないか、ゼラチン化前処理されてよく、前者はより好適である。
【0029】
低pHへの応用において、澱粉は好適には食品グレードの変性された低pH安定化澱粉である。その名前が暗示するように、食用に供するのに好適であるために澱粉は「食品グレード」であり、澱粉は化学的に変性および/あるいは架橋されて「変性」され、「低pH安定化」とは酸性条件下で安定であることを表す。本発明のある実施形態において澱粉誘導体は、ヒドロキシプロピルジスターチホスフェート、アセチル化ジスターチアジペート、及びナトリウムヒドロキシプロピルスターチホスフェートから成る群より選択される。ある好適な実施形態において、食品グレードの変性された低pH安定化澱粉は変性タピオカ澱粉、変性コーンスターチ、およびそれらの混合物である。変性タピオカ澱粉は例えば、ヒドロキシプロピル2リン酸タピオカ澱粉、ヒドロキシプロピルタピオカ澱粉、及びそれらの混合物を含んでよい。
【0030】
ある好適な実施形態において、食品グレードの変性された低pH安定化澱粉はヒドロキシプロピルジスターチホスフェートであり、低pHで架橋されたヒドロキシプロピル化デンプン(例えば24%のアミロースと76%のアミロペクチンを含む)である。好適なヒドロキシプロピルジスターチホスフェートは例えば、アイオワ州ムスカチンに本社があるGrain Processing CorporationからPURE GEL(商標)B−994として市販されている。特定の理論により限定されるべきでないが、オキシ塩化リンによる高pH(例えばpH11)での架橋反応は、熱、せん断、酸に対して安定なジスターチホスフェートを与えうる。すなわち、デンプン顆粒が高せん断状態において無傷で破断が起こらず、低pH条件下で吸水性能が維持される。すなわち、デンプンは架橋が多い場合に酸に対して安定となるため、ある種の低pH食品への応用においては架橋が多いことが望ましい。
【0031】
コロイド状微結晶セルロースは少なくとも1種のデンプンを含むバリア分散剤によって少なくとも部分的にコーティングされてよい。MCCとデンプンとは互いに密に結合する。コロイド状微結晶セルロースウエットケーキは澱粉と共処理され、澱粉が少なくとも部分的に、または完全に微結晶セルロースを取り囲む。すなわち、澱粉は微結晶セルロースウエットケーキのバリア分散剤の役割を果たし、このため微結晶セルロースの粒子が凝集しない。例えば、澱粉はMCC粒子の表面上にある。バリア分散剤としての澱粉を用いなければ、微結晶セルロースが凝集し、水媒体に添加した場合のMCCの分散性が損なわれる。
【0032】
本発明のある実施形態によれば、アイスクリーム、調理用クリーム等の食品への適用に用いられる組成物は、コロイド状微結晶セルロースウエットケーキと、少なくとも1種のタピオカ澱粉または澱粉誘導体との共処理された混合物を含み、コロイド状微結晶セルロースは少なくとも1種のタピオカ澱粉または澱粉誘導体によって少なくとも部分的にコーティングされている。
【0033】
本発明の他の実施形態において、食品に適用される水分散性組成物はコロイド状微結晶セルロースウエットケーキと酸に安定な親水コロイドとの共処理された混合物を含み、コロイド状微結晶セルロースは酸に安定な親水コロイドを含むバリア分散剤によって少なくとも部分的にコーティングされている。酸に安定な親水コロイドは、低pH安定化澱粉であってよい。
【0034】
上述の通り、MCCは、乾燥あるいは再水和MCCとは異なり、ウエットケーキの形である。原料の形やMCCと澱粉とを混合する処理条件に応じて、コロイド状微結晶セルロースはバリア分散剤となる澱粉により少なくとも部分的にコーティングされるか完全にコーティングされる。澱粉はMCCウエットケーキ中の水と接触して水和可能となってよい。ある好適な実施形態において、MCCと澱粉とは共処理され、微結晶セルロースの凝集を最少化するために中または高せん断条件を用いることによって微結晶セルロースの表面に澱粉のコーティングが形成される。好適な中〜高せん断条件は、例えばMCCウエットケーキと澱粉とを押出成形機で共押出することによって得られる。MCCと澱粉とは、例えばスラリーを形成するためにMCCと澱粉とを水に添加したり、乾燥MCCの再水和とそれに続く澱粉の添加などによって混合されるのではない。すなわち、MCCウエットケーキは澱粉との共処理の際に水で希釈する必要はなく、好適には水によって希釈されない。特定の理論によって限定されるべきでないが、MCCと澱粉との混合物中に過剰の水が存在すれば、十分な摩擦が起こらないと考えられている。
【0035】
本発明のある実施形態によれば、コロイド状微結晶セルロースと少なくとも1種の澱粉との共処理混合物は乾燥される。乾燥は様々な手段で行われてよく、その例はオーブン、冷凍、噴霧、ドラム、フラッシュ、流動床、真空、サーマルリアクターによる乾燥である。乾燥は組成物から水を除去し、当業者により「乾燥」製品とみなされる製品が得られる。乾燥水分散性組成物はコロイド状微結晶セルロースと澱粉との共処理された混合物を含む。
【0036】
ある実施形態において、少なくとも1種の澱粉の含有量は、コロイド状微結晶ウエットケーキと澱粉との共処理混合物の約20重量%〜70重量%である。他の実施形態において、少なくとも1種の澱粉の含有量は好適には約30%〜60%、より好適には約35%〜50%である。
【0037】
特定の理論によって限定されるべきでないが、MCC/澱粉混合物は、微結晶セルロース粒子単体(すなわち澱粉によってコーティングされていないMCC)とは逆に、高い負の表面荷電を有すると考えられている。これは、親水性コロイドは高いイオン性環境(すなわち低pH環境において起こる環境)において十分な表面荷電を提供することが望まれるため、低pH食品への応用においては特段重要である。低pHへの応用でのある好適な実施形態において、低pH変性澱粉は安定なコロイド分散系を形成するのに必要な負の表面荷電を提供すると考えられている。このようにして、負の表面荷電であれば低pH環境下での凝析(すなわち塊やフレーク状となって分散系からコロイドが離脱する)を回避できる。
【0038】
水分散性組成物はさらにそれに吸着する親水コロイドを有してよい。すなわち、水分散性微結晶セルロース組成物は親水コロイドをさらに含んでよい。そのような親水コロイドは、限定するものではないが、カラギナン、寒天、 ファーセレランのような海藻性多糖類、アルギン酸プロピレングリコール(PGA)のようなアルギン酸塩及びアルギン酸塩誘導体、カリウム塩やナトリウム塩のようなアルギン酸の1価塩、グアー、ローカストビーンガム、タラ、カルボキシメチルグアー、カルボキシメチルローカストビーンガムのようなガラクトマンナン、蒟蒻、タマリンドシードのようなグルコマンナン、それらを含む植物性ゴム、多糖類、高および低メトキシペクチンおよびアセチルペクチンを含む、ビートペクチンのようなペクチン、カラヤ、アカシア、トラガカント、澱粉、キサンタン、プルラン、ジェラン、ウェランのような細菌性多糖類、セルロースガム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースを含むアルキルセルロースエーテル、およびそれらの混合物である。本発明のある例示的実施形態において、さらなる親水コロイドはガラクトマンナンである。本発明のある好適な実施形態において、さらなる親水コロイドはグアーガムである。グアーガムは様々な分子量のもの、加水分解されたもの、誘導体であってもよい。
【0039】
水分散性組成物はさらなる親水コロイドと共にまたはさらなる親水コロイド無しで乾燥されてよい。乾燥は様々な手段で行われてよく、その例はオーブン、冷凍、噴霧、ドラム、フラッシュ、流動床、真空、サーマルリアクターによる乾燥である。乾燥水分散性組成物はコロイド状微結晶セルロースウエットケーキと澱粉との共処理混合物を含んでよく、ガラクトマンナンのような親水コロイドを随意さらに含んでよい。ある好適な実施形態において、微結晶セルロースと澱粉との混合物は水中でグアーガムと混合され、得られた混合物はスプレー乾燥される。すなわち、微結晶セルロース/澱粉組成物とグアーガムとは共スプレー乾燥される。
【0040】
ある実施形態において、さらなる親水コロイドの含有量は、MCC/澱粉共処理混合物を含む組成物において約10重量%〜30重量%である。他の実施形態において、さらなる親水コロイドの含有量は、組成物の約20〜25重量%であってよい。
【0041】
ある実施形態において、さらなる親水コロイドと、微結晶セルロース及び少なくとも1種の澱粉の共処理物とは、さらなる親水コロイドと、微結晶セルロース及び少なくとも1種の澱粉の共処理物との含有量比が約1:9〜3:7となるように含まれてよい。他の実施形態において、さらなる親水コロイドと、微結晶セルロースと澱粉との共処理物との重量比は約1:4〜1:3の範囲にある。
【0042】
水分散性組成物は水媒体の環境下で分散されてよい。澱粉のバリア分散剤効果のために、MCCは凝集せず、水溶液中で容易に分散するであろう。特に、MCC/澱粉混合物は水中で分散されて親水コロイドを形成するであろう。ただし、あらゆる好適な水溶液が使用可能であることが想定される。特定の理論によって限定されるべきでないが、個々のMCC粒子表面の澱粉の水和状態が維持されることで、MCCの水中での分散性が向上し、水懸濁液が形成されると考えられている。
【0043】
水分散性組成物は、食品生産物において、タンパク質安定性、セラム(serum)安定性、熱安定性、食感変化、泡安定性、澱粉特性向上、又は粘度制御のうち少なくとも1つを提供する。上述の通り、MCC、澱粉、随意のガラクトマンナンの混合物は、負の表面荷電が高い。タンパク質は典型的には酸性条件下で等電点以下で正の表面荷電を有する。このように、水分散性組成物は、組成物とタンパク質との電荷相互作用によってタンパク質の安定性を向上させる(例えばタンパク質の沈降がない)。同様に、MCC組成物はセラム安定性を与える(タンパク質安定性の1種と考えうる)。特に低pHにおいて、タンパク質の電荷のためにタンパク質は懸濁液の他の部分からわずかに分離してセラムを形成する。このように、セラム安定性の結果として懸濁液上部からのタンパク質分離が最小となるか分離しなくなる。ある好適な実施形態において、組成物がガラクトマンナンを含むとき、組成物の親水コロイドのセラム安定性が向上する。コロイド懸濁状態を維持することで、組成物は高温においても熱安定性を呈する。食感変化(例えば口内感覚)はコロイド系の種類に依存するであろう。泡安定性には親水コロイドが空気または他の気体性成分を捕捉する能力が含まれるであろう。澱粉特性向上は当業者にとって自明であり、例えば「澱粉質」の味、澱粉の安定性(例えば澱粉は劣化しない)等の性質を含むであろう。粘度制御は食品生産物の最終仕様に依存するであろう(例えば低粘度飲料、高粘度培養製品)。
【0044】
この製造物は潜在的には食品への適用において使用され、食品への適用においては熱安定性(焼き菓子への適用、低含水食品等)、食感変化(サラダドレッシング、マヨネーズ、ソース、培養製品等)、泡安定性(気泡食品生産物および類似物)、澱粉特性向上(高温安定性、低pH耐性等)および固体懸濁液(チョコレート飲料)は重要な機能的性質である。他には、薬剤への適用における懸濁化剤および工業/化粧品への適用における粘度制御安定剤(歯磨きペースト、ローション、およびクリーム)としての潜在的な使用方法がある。このように、食品への適用には低pH(例えばpHが約5より低い)飲料(例えば大豆ベース)、中性(例えばpHが約5〜7)飲料、ジュース、チョコレート飲料、乳製品(例えばフローズンヨーグルト、アイスクリーム)、詰め物、プリン、焼き菓子、冷凍デザート、調理用クリーム、デザートクリーム、ソース、ドレッシング、マヨネーズ、培養製品(例えばサワークリーム/ヨーグルト、ヨーグルト飲料)、または気泡食品生産物が含まれる。
【0045】
本発明のある実施形態において、水分散性組成物の作成方法は、微結晶セルロースウエットケーキと少なくとも1種の澱粉とを共摩擦によって共処理し、コロイド状微結晶セルロースと該少なくとも1種の澱粉とを含む混合物を形成する工程を含む。続いて、混合物は乾燥される。微結晶セルロースウエットケーキと澱粉との共処理は、コロイド状微結晶セルロースと澱粉との混合物を形成するのに好適な任意の装置/技術を用いて行ってよく、コロイド状微結晶セルロースは少なくとも部分的に、または全体的に澱粉によって表面がコーティングされている。微結晶セルロースウエットケーキと澱粉とは、微結晶セルロースの凝集を最少化するため、又、微結晶セルロースの表面に澱粉のコーティングを形成するために、中又は高せん断条件で共処理されてよい。好適な中〜高せん断条件は、例えば共押出、研磨、混練又はMCCウエットケーキと澱粉とを密に混合することによって得られて良い。ある好適な実施形態において、共処理とは押出成形機によるMCCと澱粉との共押出で、押出成形物が得られる。MCCウエットケーキと澱粉との共処理、例えば共押出は、混合物に水を添加せずに行ってよい。ある実施形態において、MCCウエットケーキは約36〜44%が固体の固体比率である。得られた混合物は随意、当技術分野の当業者に既知の任意の好適な技術を用いて乾燥してよい。本発明のある実施形態において、押出成形物は水に分散され、得られた分散系は次に乾燥される(例えばスプレー乾燥によって)。
【0046】
共処理ステップは単一ステップの工程であってよい。ある好適な実施形態において、MCCウエットケーキと澱粉とは共摩擦される。このようにして、MCCと澱粉とは共処理されて二成分の共摩擦混合物が形成される。本明細書で用いられる「共摩擦された」と「共摩擦」の言葉は可換に用いられ、一部の粒子をまたは全部の粒子をコロイドサイズに至るまで(例えば、MCCがコロイドサイズに縮小される)効果的にサイズ縮小する工程を指す。ある好適な実施形態において、工程は共押出のような機械的工程であり、MCCと澱粉との混合物にせん断力を作用させる。例えば、湿式機械分解(例えば摩擦)はセルロースの凝集体を分解して微結晶を放出させる。微結晶は次に、乾燥工程における再凝集を防ぐためにバリア分散剤と共に共処理されてよい。他の実施形態において、MCCウエットケーキは単独で摩擦され、やはり単独で摩擦することができる澱粉と混合される。共処理によって、MCCと澱粉とは密に混合される。言い換えれば、本発明のMCC/澱粉組成物を形成するために多段階の工程は必要ではない。他の場合、共処理ステップはMCCと澱粉とを共摩擦する過程を含んでよく、これによって混合物が形成され、また混合物を乾燥する過程を含んでよく、これには例えば共スプレー乾燥技術が利用できる。
【0047】
コロイド状微結晶セルロースとすくなくとも1種の澱粉との混合物はさらに、ガラクトマンナンのようなさらなる親水コロイドと混合してよい。さらなる親水コロイド(例えばガラクトマンナン)は、乾燥MCC/澱粉組成物と混合され、この際当技術分野の当業者に既知の任意の好適な混合技術を用いてよい。他の場合、さらなる親水コロイドはMCC/澱粉組成物と共に水に分散してよく、これは分散系を形成し、次に乾燥されてよく、これはコロイド状微結晶セルロース、澱粉、およびさらなる親水コロイド(例えばガラクトマンナン)を含む乾燥コロイド状微結晶セルロース組成物を形成する。乾燥は様々な手段で行われてよく、その例はオーブン、冷凍、噴霧、ドラム、フラッシュ、流動床、真空、サーマルリアクターによる乾燥である。ある好適な実施形態において、分散系は共スプレー乾燥され、これによって粉末が形成される。スプレー乾燥は広い表面積のために迅速な乾燥を可能にする。得られた粉末を水に分散させてよい。言い換えれば、乾燥コロイド状微結晶セルロース組成物は水媒体に分散可能である。本明細書に記載された条件のため、MCC組成物は得られる水懸濁液に均一かつ迅速に分散される。
【0048】
本発明の他の実施形態によれば、食品又は飲料組成物はバリア分散剤によって少なくとも部分的にコーティングされたコロイド状微結晶セルロースを含み、バリア分散剤は少なくとも1種の低pH安定化澱粉;ガラクトマンナン;分散微粒子;および水媒体を含む。分散微粒子は例えばタンパク質、天然又は合成果肉、又は類似物であり、食品又は飲料組成物に含まれてよい。
【0049】
本発明の他の実施形態によれば、低pH飲料組成物はバリア分散剤によって少なくとも部分的にコーティングされたコロイド状微結晶セルロースを含み、バリア分散剤は少なくとも1種の低pH安定化澱粉、ガラクトマンナン、タンパク質、および水媒体を含む。低pH飲料はpHが約5より低く酸性である。ある実施形態において、共スプレー乾燥されたMCC、澱粉、ガラクトマンナンの組成物は水溶液中でタンパク質または随意他の材料、例えばジュース、香味料等と混合してよい。低pH飲料組成物を作る方法には、コロイド状微結晶セルロースと澱粉組成物、ガラクトマンナン、およびタンパク質の水媒体中での分散が含まれ、ここでコロイド状微結晶セルロースは少なくとも部分的に低pH安定化澱粉を含むバリア分散剤によってコーティングされている。
【0050】
ある例示的な実施形態において、低pH飲料組成物はバリア分散剤によって少なくとも部分的にコーティングされたコロイド状微結晶セルロースを含み、バリア分散剤はヒドロキシプロピルジスターチホスフェート;グアーガム;大豆タンパク;および水媒体を含み、低pH飲料はpHが約5より低い。
【0051】
本発明での使用に適するタンパク質には、哺乳類、鳥類、は虫類、魚類および他の生物にとって有用な食品タンパク質とアミノ酸とを含む。食品タンパク質には動物性および植物性タンパク質およびそれらの断片や誘導体が含まれる。植物由来タンパク質はナッツおよびナッツ由来タンパク質、ソルガム、マメ科植物およびマメ科植物由来タンパク質、例えば大豆および大豆由来製品例えば非加工生大豆、液状大豆、濃縮大豆、分離大豆、米タンパク質、およびそれらの全ての形態と断片を含む。動物由来タンパク質には、牛乳および牛乳由来製品、ヘビークリーム、ライトクリーム、全乳、低脂肪乳、スキムミルク、タンパク質強化ミルクを含む強化ミルク、過熱および/あるいは濃縮、加糖、非加糖スキンミルクまたは全乳を含む加工乳と乳製品、全粉乳と脱脂粉乳(NFDM)とを含む乾燥粉乳、カゼインとカゼイン塩、乳清濃縮物、ラクトース除去乳清、脱ミネラル乳清、分離乳清タンパク質を含む乳清および乳清由来製品が含まれる。卵および卵由来タンパク質も用いてよい。食品タンパク質は任意の利用可能な形態で使用してよく、液体、濃縮状態、粉末が含まれる。粉末状タンパク源を用いる際には、しかしながら、微結晶セルロース組成物との混合を行う前にタンパク源を水和前処理するのが望ましいであろう。最終的な所望の結果物に応じて、任意の好適な量のタンパク質を用いてよい。
【0052】
ある好適な実施形態において、タンパク質は大豆タンパク、マメ科植物タンパク、エンドウマメタンパク、菜種タンパク、キャノーラタンパク、コーンタンパク、小麦グルテン、植物乳清タンパク、乳清、牛乳乳清、カゼイン、およびそれらの混合物からなる群より選択される。
【0053】
水溶媒中での酸性条件においてタンパク質が相対的に不溶であることは、酸性飲料にタンパク質を添加する際の障害であった。最も慣例的に用いられるタンパク質は大豆タンパクやカゼインであるが、酸性pHにおいて等電点を有する。このため、タンパク質は酸性液体において酸性飲料のpHあるいはそれに近いpHにおいて最も溶解しにくい。例えば、大豆タンパクはpH4.5において等電点を有し、カゼインはpH4.7において等電点を有し、最も一般的なジュースはpHの範囲が3.7〜4.0である。結果的に、酸性の含タンパク質飲料においてタンパク質は沈殿物として沈降する傾向にある。この沈降は飲料において望ましくない性質である。本明細書に記載のコロイド状微結晶セルロース、澱粉、および随意のさらなる親水コロイド組成物はこのような酸性水懸濁液中でタンパク質を安定化して優れた飲料製品を形成させることが見出された。
【0054】
水分散性微結晶セルロース組成物はまたさらなる材料、例えばジュースを含んでよい。好適なジュースは果物ジュース(限定はしないが、レモンジュース、ライムジュース、オレンジジュースを含み、レモネード、ライムエード、オレンジエード等の変化形を含み、ホワイト及びレッドグレープジュース、グレープフルーツジュース、アップルジュース、ナシジュース、クランベリージュース、チェリージュース、パイナップルジュース、ザクロジュース、マンゴージュース、アプリコットジュースまたはネクター、ストロベリージュース、キウイジュース、オレンジレモネードを含む)、および野菜ジュース(限定はしないがトマトジュース、ニンジンジュース、セロリジュース、ビートジュース、パセリジュース、ホウレンソウジュース、およびレタスジュースを含む)を含んでよい。ジュースはどの様な形態でもよく、液体、固体、半固体形状例えばゲルまたは他の濃縮状態、氷又はシャーベット、又は粉末を含んでよく、懸濁固体も含まれてよい。
【0055】
任意の最終的な食品又は飲料組成物は他の成分を何種類でも含んでよく、例えば酸味料、甘味料、緩衝剤、pH調整剤、pH緩衝剤、安定化塩、香味料、着色料、保存料、栄養補完剤、加工補助剤、およびそれらの類似物を含んでよい。
【0056】
本明細書に記載のコロイド状組成物は高または低粘度の食品適用において効果的に機能することが可能である。高粘度食品への適用、例えばサワークリームでは、凝析は起こりにくい。しかしながら、低粘度の低pH飲料の安定性を維持するのは、凝析効果が増加するためにより困難である。本明細書に記載のMCC/澱粉組成物は、しかしながら、低pHのタンパク質ベースのジュース飲料において効果的な懸濁化とタンパク質の保護とを可能にする。本発明のある好適な実施形態において、低pH飲料組成物は低粘度、例えば室温において約100cpよりも低い粘度を有する。言い換えれば、飲料は流動性を有し/飲むことができることに相当する性質を有しながら均一な分散状態を維持する。MCC/澱粉組成物はまた、実施に応じた所定のゲル強度(すなわちゲルを形成する能力)を呈してよい。ゲル強度を決定するため、最終仕上げを行った共処理生産物のレオロジーを測定してもよい。ある例示的実施形態において、共処理された混合物および/あるいは最終的な食品生産物のゲル強度は約2パスカル(Pa)以上、好適には5Pa以上である。
【0057】
MCC組成物と食品および飲料生産物の原材料の重量パーセントは、タンパク質安定性のような望ましい最終的性質を結果的に維持するように調製してよいことが認識されるべきである。そのような所定操作による組成物の調製は完全に当業者の能力の範囲内であり、本発明の目的と意図の範疇である。
【実施例】
【0058】
ここで用いられる安定性ガイドラインは飲料を所定の温度(又は指定がないときは室温)で6週間貯蔵することを前提としている。生産物は、セラムが5mmより小さく沈降が見られないとき安定性試験に合格したとみなされる。飲料は定性的にも、全体的な流動性が良好か、濃度、飲料の食感(例えばゼラチン化が少ないまたは無い、または飲料の粘度)が評価される。
【0059】
実施例1:60/40 MCC/低pH変性澱粉
5ガロンのHobartミキサーで、860.8gの微結晶セルロース(MCC)ウエットケーキと257.2gの低pH変性澱粉とを混合し、MCCと低pH変性澱粉との固体比率が重量比60/40となるようにした。混合物は共回転二軸スクリュー押出機によって複数回押し出され、混合物にせん断力を作用して微結晶凝集物が粉砕されるようにした。得られた押出物は滑りにくい程度の硬さを有し、よって高度の加工を行うことが可能で、これはコロイド状微結晶セルロース粒子の形成を促進する。
【0060】
MCC/低pH変性澱粉押出物279.51gを2720.49gの蒸留水に分散させた。得られたスラリーをManton Gaulinホモジナイザーを用いて2500psiで処理し、スプレー乾燥させて粉末を形成させた。スプレー乾燥は次のように行った:ホモジナイズされたスラリーを3フィート(0.9144m)のBowenスプレー乾燥器に移し、開口部0.1インチ(0.00254m)の噴霧ノズルを用いて行った。スラリーはMoyno可変フィードポンプによって、所望の出力温度を与えるような速度で乾燥器に移した。スプレー乾燥器の稼働中の入力/出力空気温度は約225°F/125°Fであった。スプレー乾燥の条件は、粘度や得られる乾燥生産物の特性などのフィードでの性質や後の生産量に応じて制御した。
【0061】
得られた粉末は、40液量オンスのWaring混合機を用いて水に分散させた(レオスタット設定は110Vで5分間)。得られた分散系の顕微鏡による評価によって、MCC粒子は効果的に粉砕され、均一に分散していることが分かった。
【0062】
実施例2:大豆タンパク飲料‐低pH飲料
0.45%の60:40MCC/低pH変性澱粉(アイオワ州ムスカチンに本社をおくGrain Processing社から市販のINSCOSITY(商標)B656)組成物と0.15%の食品グレードのグアーガム(ニュージャージー州リッジフィールドにあるMULTI−KEM社より市販のMULTI−KEM FG 60/70)とを用いてサンプルを調製した。低pH飲料組成物は表1に挙げる重量%の組成を有する。
【0063】
【表1】

【0064】
DKP(リン酸ジカリウム)を利用可能な水の80%に添加し、15分間混合した。次に、分離大豆タンパクを加え、混合物を155〜160°Fに加温して15分間混合した。次に、乾燥混合糖とTCP(リン酸トリカルシウム)を添加してさらに5分間混合した。次に、60:40MCC/低pH変性澱粉粉末を混合物に分散させ、その間温度は155〜160°Fに保持して15分間混合した。MULTI−KEM FG 60/70グアーガムを次に添加して水和するまで、または約10分間混合した。生成物を100〜110°Fに冷却した。ジュース濃縮物とクエン酸を残りの水で希釈し、組成物に加えて5分間混合した。消泡剤(ロードアイランド州リンカーンにあるOiiChem社から市販のHI−MAR S−030−FG、0.1〜0.2%)を加え、必要であれば水の損失に対して調製を行った。生成物を195°Fで15秒間パスチャライズした。生成物を165°Fに冷却し、Manton Gaulinホモジナイザーで二段階圧力2500psi(2000psi、500psi)で処理した。最後に、混合物を20℃に冷却して充填した。生成物のpHは4.35で粘度は51.0cPであり、4℃における6週間の貯蔵の後に我々の安定性ガイドラインに合格した。
【0065】
実施例3:大豆タンパク飲料‐低pH飲料
0.50%の60:40MCC/低pH変性澱粉(INSCOSITY(商標)B656)組成物と0.15%のMULTI−KEM FG 60/70グアーガムを用いてサンプルを調製した。低pH飲料組成物は表2に挙げる重量%の組成を有する。
【0066】
【表2】

【0067】
DKPを利用可能な水の80%に添加し、15分間混合した。次に、分離大豆タンパクを加え、混合物を155〜160°Fに加温して15分間混合した。次に、乾燥混合糖とTCPを添加してさらに5分間混合した。次に、60:40MCC/低pH変性澱粉(INSCOSITY(商標)B656)粉末を混合物に分散させ、その間温度は155〜160°Fに保持して15分間混合した。MULTI−KEM FG 60/70グアーガムを次に添加して水和するまで、または約10分間混合した。生成物を100〜110°Fに冷却した。ジュース濃縮物とクエン酸を残りの水で希釈し、組成物に加えて5分間混合した。消泡剤(HI−MAR S−030−FG、0.1〜0.2%)を加え、必要であれば水の損失に対して調製を行った。生成物を195°Fで15秒間パスチャライズした。生成物を165°Fに冷却し、Manton Gaulinホモジナイザーで二段階圧力2500psi(2000psi、500psi)で処理した。最後に、混合物を20℃に冷却して充填した。生成物のpHは4.34で粘度は54.0cPであり、4℃における6週間の貯蔵の後に我々の安定性ガイドラインに合格した。
【0068】
実施例4:60/40 MCC/コーンスターチNF PURE−DENT(商標) B700
5ガロンのHobartミキサーで、860.8gの微結晶セルロース(MCC)ウエットケーキと254.2gの中性、非変性コーンスターチ(アイオワ州ムスカチンに本社をおくGrain Processing社から市販のPURE−DENT(商標)B700)とを混合し、MCCとスターチとの固体比率が重量比60/40となるようにした。混合物は共回転二軸スクリュー押出機によって複数回押し出され、混合物にせん断力を作用して微結晶凝集物が粉砕されるようにした。得られた押出物は滑りにくい程度の硬さを有し、よって高度の加工を行うことが可能で、これはコロイド状微結晶セルロース粒子の形成を促進する。
【0069】
MCC/スターチ押出物278.75gを2721.25gの蒸留水に分散させた。得られたスラリーをManton Gaulinホモジナイザーを用いて2500psiで処理し、スプレー乾燥させて粉末を形成させた。スプレー乾燥は次のように行った:ホモジナイズされたスラリーを3フィート(0.9144m)のBowenスプレー乾燥器に移し、開口部0.1インチ(0.00254m)の噴霧ノズルを用いて行った。スラリーはMoyno可変フィードポンプによって、所望の出力温度を与えるような速度で乾燥器に移した。スプレー乾燥器の稼働中の入力/出力空気温度は約225°F/125°Fであった。スプレー乾燥の条件は、粘度や得られる乾燥生産物の特性などのフィードでの性質や後の生産量に応じて制御した。
【0070】
得られた粉末は、40液量オンスのWaring混合機を用いて水に分散させた(レオスタット設定は110Vで5分間)。得られた分散系の顕微鏡による評価によって、MCC粒子は効果的に粉砕され、均一に分散していることが分かった。
【0071】
実施例5:大豆タンパク飲料‐低pH飲料
0.50%の60:40MCC/コーンスターチNF(PURE−DENT(商標)B700)組成物と0.15%のMULTI−KEM FG 60/70グアーガムを用いてサンプルを調製した。低pH飲料組成物は表3に挙げる重量%の組成を有する。
【0072】
【表3】

【0073】
DKPを利用可能な水の80%に添加し、15分間混合した。次に、分離大豆タンパクを加え、混合物を155〜160°Fに加温して15分間混合した。次に、乾燥混合糖とTCPを添加してさらに5分間混合した。次に、60:40MCC/コーンスターチNF粉末を混合物に分散させ、その間温度は155〜160°Fに保持して15分間混合した。MULTI−KEM FG 60/70グアーガムを次に添加して水和するまで、または約10分間混合した。生成物を100〜110°Fに冷却した。ジュース濃縮物とクエン酸を残りの水で希釈し、組成物に加えて5分間混合した。消泡剤(HI−MAR S−030−FG、0.1〜0.2%)を加え、必要であれば水の損失に対して調製を行った。生成物を195°Fで15秒間パスチャライズした。生成物を165°Fに冷却し、Manton Gaulinホモジナイザーで二段階圧力2500psi(2000psi、500psi)で処理した。最後に、混合物を20℃に冷却して充填した。生成物のpHは4.34で粘度は125.0cPであり、4℃における1週間の貯蔵の後に我々の安定性ガイドラインに不合格であった。生成物は低pH飲料として安定性ガイドラインに不合格であったが、純粋コーンスターチは中性pH飲料や他の食品適用において効果的に機能する可能性がある。
【0074】
実施例6:60/40 MCC/低pH変性澱粉
5ガロンのHobartミキサーで、860.8gの微結晶セルロース(MCC)ウエットケーキと255.3gの低pH変性澱粉(アイオワ州ムスカチンに本社があるGrain Processing Corporationから市販のPURE GEL(商標)B−994)とを混合し、MCCと低pH変性澱粉との固体比率が重量比60/40となるようにした。混合物は共回転二軸スクリュー押出機によって複数回押し出され、混合物にせん断力を作用して微結晶凝集物が粉砕されるようにした。得られた押出物は滑りにくい程度の硬さを有し、よって高度の加工を行うことが可能で、これはコロイド状微結晶セルロース粒子の形成を促進する。
【0075】
MCC/低pH変性澱粉押出物279.04gを27220.96gの蒸留水に分散させた。得られたスラリーを、Manton Gaulinホモジナイザーを用いて2500psiで処理し、KCOを用いてpHが8.0となるように調製し、5分間185°Fに加温し、スプレー乾燥させて粉末を形成させた。スプレー乾燥は次のように行った:ホモジナイズされたスラリーを3フィート(0.9144m)のBowenスプレー乾燥器に移し、開口部0.1インチ(0.00254m)の噴霧ノズルを用いて行った。スラリーはMoyno可変フィードポンプによって、所望の出力温度を与えるような速度で乾燥器に移した。スプレー乾燥器の稼働中の入力/出力空気温度は約225°F/125°Fであった。スプレー乾燥の条件は、粘度や得られる乾燥生産物の特性などのフィードでの性質や後の生産量に応じて制御した。
【0076】
得られた粉末は、40液量オンスのWaring混合機を用いて水に分散させた(レオスタット設定は110Vで5分間)。得られた分散系の顕微鏡による評価によって、MCC粒子は効果的に粉砕され、均一に分散していることが分かった。
【0077】
実施例7:大豆タンパク飲料‐低pH飲料
0.45%の60:40MCC/低pH変性澱粉(PURE GEL(商標)B−994)組成物と0.15%のMULTI−KEM FG 60/70グアーガムを用いてサンプルを調製した。低pH飲料組成物は表4に挙げる重量%の組成を有する。
【0078】
【表4】

【0079】
DKPを利用可能な水の80%に添加し、15分間混合した。次に、分離大豆タンパクを加え、混合物を155〜160°Fに加温して15分間混合した。次に、乾燥混合糖とTCPを添加してさらに5分間混合した。次に、60:40MCC/低pH変性澱粉(PURE GEL(商標)B−994)粉末を混合物に分散させ、その間温度は155〜160°Fに保持して15分間混合した。MULTI−KEM FG 60/70グアーガムを次に添加して水和するまで、または約10分間混合した。生成物を100〜110°Fに冷却した。ジュース濃縮物とクエン酸を残りの水で希釈し、組成物に加えて5分間混合した。消泡剤(HI−MAR S−030−FG、0.1〜0.2%)を加え、必要であれば水の損失に対して調製を行った。生成物を195°Fで15秒間パスチャライズした。生成物を165°Fに冷却し、Manton Gaulinホモジナイザーで二段階圧力2500psi(2000psi、500psi)で処理した。最後に、混合物を20℃に冷却して充填した。生成物のpHは4.41で粘度は62.5cPであり、4℃における6週間の貯蔵の後に我々の安定性ガイドラインに合格した。
【0080】
実施例8:大豆タンパク飲料‐低pH飲料
0.40%の60:40MCC/低pH変性澱粉(PURE GEL(商標)B−994)組成物と0.18%のMULTI−KEM FG 60/70グアーガムを用いてサンプルを調製した。低pH飲料組成物は表5に挙げる重量%の組成を有する。
【0081】
【表5】

【0082】
DKPを利用可能な水の80%に添加し、15分間混合した。次に、分離大豆タンパクを加え、混合物を155〜160°Fに加温して15分間混合した。次に、乾燥混合糖とTCPを添加してさらに5分間混合した。次に、60:40MCC/低pH変性澱粉(PURE GEL(商標)B−994)粉末を混合物に分散させ、その間温度は155〜160°Fに保持して15分間混合した。MULTI−KEM FG 60/70グアーガムを次に添加して水和するまで、または約10分間混合した。生成物を100〜110°Fに冷却した。ジュース濃縮物とクエン酸を残りの水で希釈し、組成物に加えて5分間混合した。消泡剤(HI−MAR S−030−FG、0.1〜0.2%)を加え、必要であれば水の損失に対して調製を行った。生成物を195°Fで15秒間パスチャライズした。生成物を165°Fに冷却し、Manton Gaulinホモジナイザーで二段階圧力2500psi(2000psi、500psi)で処理した。最後に、混合物を20℃に冷却して充填した。生成物のpHは4.51で粘度は56cPであり、4℃における6週間の貯蔵の後に我々の安定性ガイドラインに合格した。
【0083】
実施例9:大豆タンパク飲料(低タンパク)‐低pH飲料
0.30%の60:40MCC/低pH変性澱粉(PURE GEL(商標)B−994)組成物と、0.18%のPROCOL DP−80グアーガム(ミネソタ州ミネアポリスにあるPolypro International社より市販)を用いてサンプルを調製した。低pH飲料組成物は表6に挙げる重量%の組成を有する。
【0084】
【表6】

【0085】
次に、分離大豆タンパクを水に加え、混合物を155〜160°Fに加温して15分間混合した。次に、60:40MCC/低pH変性澱粉(PURE GEL(商標)B−994)粉末を混合物に分散させ、その間温度は155〜160°Fに保持して15分間混合した。PROCOL DP−80グアーガムを次に添加して水和するまで、または約10分間混合した。次に、糖を添加してさらに5分間混合した。生成物を100〜110°Fに冷却した。ジュース濃縮物とクエン酸溶液を組成物に加えて5分間混合した。必要であれば水の損失に対して調製を行った。生成物を250°Fで6秒間パスチャライズした。生成物を165°Fに冷却し、Niroホモジナイザーで二段階圧力2500psi(2000psi、500psi)で処理した。最後に、混合物を20℃に冷却して無菌充填した。生成物のpHは3.70で粘度は9.0cPであり、穏和な条件における6週間の貯蔵の後に我々の安定性ガイドラインに合格した。
【0086】
実施例10:大豆タンパク飲料(低タンパク)‐低pH飲料
0.35%の60:40MCC/低pH変性澱粉(PURE GEL(商標)B−994)組成物と0.18%のPROCOL DP−80グアーガムを用いてサンプルを調製した。低pH飲料組成物は表7に挙げる重量%の組成を有する。
【0087】
【表7】

【0088】
分離大豆タンパクを水に加え、混合物を155〜160°Fに加温して15分間混合した。次に、60:40MCC/低pH変性澱粉(PURE GEL(商標)B−994)粉末を混合物に分散させ、その間温度は155〜160°Fに保持して15分間混合した。PROCOL DP−80グアーガムを次に添加して水和するまで、または約10分間混合した。次に、糖を添加してさらに5分間混合した。生成物を100〜110°Fに冷却した。ジュース濃縮物とクエン酸溶液を組成物に加えて5分間混合した。必要であれば水の損失に対して調製を行った。生成物を250°Fで6秒間パスチャライズした。生成物を165°Fに冷却し、Niroホモジナイザーで二段階圧力2500psi(2000psi、500psi)で処理した。最後に、混合物を20℃に冷却して無菌充填した。生成物のpHは3.40で粘度は15.0cPであり、穏和な条件における6週間の貯蔵の後に我々の安定性ガイドラインに合格した。
【0089】
実施例11:大豆タンパク飲料(低タンパク)‐低pH飲料
0.40%の60:40MCC/低pH変性澱粉(PURE GEL(商標)B−994)組成物と0.18%のPROCOL DP−80グアーガムを用いてサンプルを調製した。低pH飲料組成物は表8に挙げる重量%の組成を有する。
【0090】
【表8】

【0091】
分離大豆タンパクを水に加え、混合物を155〜160°Fに加温して15分間混合した。次に、60:40MCC/低pH変性澱粉(PURE GEL(商標)B−994)粉末を混合物に分散させ、その間温度は155〜160°Fに保持して15分間混合した。PROCOL DP−80グアーガムを次に添加して水和するまで、または約10分間混合した。次に、糖を添加してさらに5分間混合した。生成物を100〜110°Fに冷却した。ジュース濃縮物とクエン酸溶液を組成物に加えて5分間混合した。必要であれば水の損失に対して調製を行った。生成物を250°Fで6秒間パスチャライズした。生成物を165°Fに冷却し、Niroホモジナイザーで二段階圧力2500psi(2000psi、500psi)で処理した。最後に、混合物を20℃に冷却して無菌充填した。生成物のpHは3.36で粘度は16.0cPであり、穏和な条件における6週間の貯蔵の後に我々の安定性ガイドラインに合格した。
【0092】
実施例12:大豆タンパク飲料(低タンパク)‐低pH飲料
0.45%の60:40MCC/低pH変性澱粉(PURE GEL(商標)B−994)組成物と0.15%のPROCOL DP−80グアーガムを用いてサンプルを調製した。低pH飲料組成物は表9に挙げる重量%の組成を有する。
【0093】
【表9】

【0094】
分離大豆タンパクを水に加え、混合物を155〜160°Fに加温して15分間混合した。次に、60:40MCC/低pH変性澱粉(PURE GEL(商標)B−994)粉末を混合物に分散させ、その間温度は155〜160°Fに保持して15分間混合した。PROCOL DP−80グアーガムを次に添加して水和するまで、または約10分間混合した。次に、糖を添加してさらに5分間混合した。生成物を100〜110°Fに冷却した。ジュース濃縮物とクエン酸溶液を組成物に加えて5分間混合した。必要であれば水の損失に対して調製を行った。生成物を250°Fで6秒間パスチャライズした。生成物を165°Fに冷却し、Niroホモジナイザーで二段階圧力2500psi(2000psi、500psi)で処理した。最後に、混合物を20℃に冷却して無菌充填した。生成物のpHは3.38で粘度は20.0cPであり、穏和な条件における6週間の貯蔵の後に我々の安定性ガイドラインに合格した。
【0095】
実施例13:緩衝60/40 MCC/低pH変性澱粉
5ガロンのHobartミキサーで、860.8gの微結晶セルロース(MCC)ウエットケーキと257.2gの低pH変性澱粉(INSCOSITY B656)とを混合し、MCCと低pH変性澱粉との固体比率が重量比60/40となるようにした。混合物は共回転二軸スクリュー押出機によって複数回押し出され、混合物にせん断力を作用して微結晶凝集物が粉砕されるようにした。得られた押出物は滑りにくい程度の硬さを有し、よって高度の加工を行うことが可能で、これはコロイド状微結晶セルロース粒子の形成を促進する。
【0096】
MCC/低pH変性澱粉押出物279.51gを2720.49gの蒸留水に分散させた。得られたスラリーを、Manton Gaulinホモジナイザーを用いて2500psiで処理し、KCOを用いてpHが8.0となるように調製し、スプレー乾燥させて粉末を形成させた。スプレー乾燥は次のように行った:ホモジナイズされたスラリーを3フィート(0.9144m)のBowenスプレー乾燥器に移し、開口部0.1インチ(0.00254m)の噴霧ノズルを用いて行った。スラリーはMoyno可変フィードポンプによって、所望の出力温度を与えるような速度で乾燥器に移した。スプレー乾燥器の稼働中の入力/出力空気温度は約225°F/125°Fであった。スプレー乾燥の条件は、粘度や得られる乾燥生産物の特性などのフィードでの性質や後の生産量に応じて制御した。
【0097】
得られた粉末は、40液量オンスのWaring混合機を用いて水に分散させた(レオスタット設定は110Vで5分間)。得られた分散系の顕微鏡による評価によって、MCC粒子は効果的に粉砕され、均一に分散していることが分かった。
【0098】
実施例14:大豆タンパク飲料‐低pH飲料
0.30%の緩衝60:40MCC/低pH変性澱粉(INSCOSITY(商標)B656)組成物と0.18%のMULTI−KEM FG 60/70グアーガムを用いてサンプルを調製した。低pH飲料組成物は表10に挙げる重量%の組成を有する。
【0099】
【表10】

【0100】
DKPを利用可能な水の80%に添加し、15分間混合した。次に、分離大豆タンパクを加え、混合物を155〜160°Fに加温して15分間混合した。次に、乾燥混合糖とTCPを添加してさらに5分間混合した。次に、緩衝60:40MCC/低pH変性澱粉(INSCOSITY(商標)B656)粉末を混合物に分散させ、その間温度は155〜160°Fに保持して15分間混合した。MULTI−KEM FG 60/70グアーガムを次に添加して水和するまで、または約10分間混合した。生成物を100〜110°Fに冷却した。ジュース濃縮物とクエン酸を残りの水で希釈し、組成物に加えて5分間混合した。消泡剤(HI−MAR S−030−FG、0.1〜0.2%)を加え、必要であれば水の損失に対して調製を行った。生成物を195°Fで15秒間パスチャライズした。生成物を165°Fに冷却し、Manton Gaulinホモジナイザーで二段階圧力2500psi(2000psi、500psi)で処理した。最後に、混合物を20℃に冷却して充填した。生成物のpHは4.17で粘度は56.5cPであり、4℃における6週間の貯蔵の後に我々の安定性ガイドラインに合格した。
【0101】
実施例15:45/30/25 MCC/低pH変性澱粉/グアーガム
5ガロンのHobartミキサーで、860.8gの微結晶セルロース(MCC)ウエットケーキと255.3gの低pH変性澱粉(INSCOSITY B994)とを混合し、MCCと低pH変性澱粉との固体比率が重量比60/40となるようにした。混合物は共回転二軸スクリュー押出機によって複数回押し出され、混合物にせん断力を作用して微結晶凝集物が粉砕されるようにした。得られた押出物は滑りにくい程度の硬さを有し、よって高度の加工を行うことが可能で、これはコロイド状微結晶セルロース粒子の形成を促進する。
【0102】
MCC/低pH変性澱粉押出物209.28gとPROCOL DP−80グアーガム41.48gとを2749.24gの蒸留水に分散させた。これは、MCC/低pH変性澱粉/グアーガムの固体比率が45/30/25となるようにして行った。得られたスラリーをManton Gaulinホモジナイザーを用いて2500psiで処理し、スプレー乾燥させて粉末を形成させた。スプレー乾燥は次のように行った:ホモジナイズされたスラリーを3フィート(0.9144m)のBowenスプレー乾燥器に移し、開口部0.1インチ(0.00254m)の噴霧ノズルを用いて行った。スラリーはMoyno可変フィードポンプによって、所望の出力温度を与えるような速度で乾燥器に移した。スプレー乾燥器の稼働中の入力/出力空気温度は約225°F/125°Fであった。スプレー乾燥の条件は、粘度や得られる乾燥生産物の特性などのフィードでの性質や後の生産量に応じて制御した。
【0103】
水分散性コロイド状MCC粉末が得られた。脱イオン水に分散させた際に、その2.6%分散系はBrookfieldによる粘度が当初2000cpsで、24時間後に再試験した際には粘度が3800cpsであった。
【0104】
実施例16:大豆タンパク飲料(低タンパク)‐低pH飲料
0.60%の45/30/25 MCC/低pH変性澱粉(INSCOSITY(商標)B994)/グアーガム(PROCOL DP−80)組成物を用いてサンプルを調製した。低pH飲料組成物は表11に挙げる重量%の組成を有する。
【0105】
【表11】

【0106】
分離大豆タンパクを水に加え、混合物を155〜160°Fに加温して15分間混合した。次に、45/30/25 MCC/低pH変性澱粉(INSCOSITY(商標)B994)/グアーガム(PROCOL DP−80)粉末を混合物に分散させ、その間温度は155〜160°Fに保持して15分間混合した。次に、糖を添加してさらに5分間混合した。生成物を100〜110°Fに冷却した。ジュース濃縮物とクエン酸溶液を組成物に加えて5分間混合した。必要であれば水の損失に対して調製を行った。生成物を250°Fで6秒間パスチャライズした。生成物を165°Fに冷却し、Niroホモジナイザーで二段階圧力2500psi(2000psi、500psi)で処理した。最後に、混合物を20℃に冷却して無菌充填した。生成物のpHは3.61で粘度は24.0cPであり、穏和な条件における6週間の貯蔵の後に我々の安定性ガイドラインに合格した。
【0107】
実施例17:大豆タンパク飲料(低タンパク)‐低pH飲料
0.40%の45/30/25 MCC/低pH変性澱粉(INSCOSITY(商標)B994)/グアーガム(PROCOL DP−80)組成物を用いてサンプルを調製した。低pH飲料組成物は表12に挙げる重量%の組成を有する。
【0108】
【表12】

【0109】
分離大豆タンパクを水に加え、混合物を155〜160°Fに加温して15分間混合した。次に、45/30/25 MCC/低pH変性澱粉(INSCOSITY(商標)B994)/グアーガム(PROCOL DP−80)粉末を混合物に分散させ、その間温度は155〜160°Fに保持して15分間混合した。次に、糖を添加してさらに5分間混合した。生成物を100〜110°Fに冷却した。ジュース濃縮物とクエン酸溶液を組成物に加えて5分間混合した。必要であれば水の損失に対して調製を行った。生成物を250°Fで6秒間パスチャライズした。生成物を165°Fに冷却し、Niroホモジナイザーで二段階圧力2500psi(2000psi、500psi)で処理した。最後に、混合物を20℃に冷却して無菌充填した。生成物のpHは3.68で粘度は14.0cPであり、穏和な条件における6週間の貯蔵の後に我々の安定性ガイドラインに合格した。
【0110】
実施例18:大豆タンパク飲料(低タンパク)‐低pH飲料
0.40%の45/30/25 MCC/低pH変性澱粉(INSCOSITY(商標)B994)/グアーガム(PROCOL DP−80)組成物を用いてサンプルを調製した。低pH飲料組成物は表13に挙げる重量%の組成を有する。
【0111】
【表13】

【0112】
分離大豆タンパクを水に加え、混合物を155〜160°Fに加温して15分間混合した。次に、45/30/25 MCC/低pH変性澱粉(INSCOSITY(商標)B994)/グアーガム(PROCOL DP−80)粉末を混合物に分散させ、その間温度は155〜160°Fに保持して15分間混合した。次に、糖を添加してさらに5分間混合した。生成物を100〜110°Fに冷却した。ジュース濃縮物とクエン酸溶液を組成物に加えて5分間混合した。必要であれば水の損失に対して調製を行った。生成物を250°Fで6秒間パスチャライズした。生成物を165°Fに冷却し、Niroホモジナイザーで二段階圧力2500psi(2000psi、500psi)で処理した。最後に、混合物を20℃に冷却して無菌充填した。生成物のpHは4.17で粘度は14.0cPであり、穏和な条件における6週間の貯蔵の後に我々の安定性ガイドラインに合格した。
【0113】
実施例19:大豆タンパク飲料(低タンパク)‐低pH飲料
0.50%の45/30/25 MCC/低pH変性澱粉(INSCOSITY(商標)B994)/グアーガム(PROCOL DP−80)組成物を用いてサンプルを調製した。低pH飲料組成物は表14に挙げる重量%の組成を有する。
【0114】
【表14】

【0115】
分離大豆タンパクを水に加え、混合物を155〜160°Fに加温して15分間混合した。次に、45/30/25 MCC/低pH変性澱粉(INSCOSITY(商標)B994)/グアーガム(PROCOL DP−80)粉末を混合物に分散させ、その間温度は155〜160°Fに保持して15分間混合した。次に、糖を添加してさらに5分間混合した。生成物を100〜110°Fに冷却した。ジュース濃縮物とクエン酸溶液を組成物に加えて5分間混合した。必要であれば水の損失に対して調製を行った。生成物を250°Fで6秒間パスチャライズした。生成物を165°Fに冷却し、Niroホモジナイザーで二段階圧力2500psi(2000psi、500psi)で処理した。最後に、混合物を20℃に冷却して無菌充填した。生成物のpHは3.63で粘度は21.5.0cPであり、穏和な条件における6週間の貯蔵の後に我々の安定性ガイドラインに合格した。
【0116】
実施例20:大豆タンパク飲料(低タンパク)‐低pH飲料
0.50%の45/30/25 MCC/低pH変性澱粉(INSCOSITY(商標)B994)/グアーガム(PROCOL DP−80)組成物を用いてサンプルを調製した。低pH飲料組成物は表15に挙げる重量%の組成を有する。
【0117】
【表15】

【0118】
分離大豆タンパクを水に加え、混合物を155〜160°Fに加温して15分間混合した。次に、45/30/25 MCC/低pH変性澱粉(INSCOSITY(商標)B994)/グアーガム(PROCOL DP−80)粉末を混合物に分散させ、その間温度は155〜160°Fに保持して15分間混合した。次に、糖を添加してさらに5分間混合した。生成物を100〜110°Fに冷却した。ジュース濃縮物とクエン酸溶液を組成物に加えて5分間混合した。必要であれば水の損失に対して調製を行った。生成物を250°Fで6秒間パスチャライズした。生成物を165°Fに冷却し、Niroホモジナイザーで二段階圧力2500psi(2000psi、500psi)で処理した。最後に、混合物を20℃に冷却して無菌充填した。生成物のpHは4.19で粘度は24.0cPであり、穏和な条件における6週間の貯蔵の後に我々の安定性ガイドラインに合格した。
【0119】
実施例21:45/30/25 MCC/低pH変性澱粉/グアーガム
5ガロンのHobartミキサーで、860.8gの微結晶セルロース(MCC)ウエットケーキと255.3gの低pH変性澱粉(INSCOSITY B994)とを混合し、MCCと低pH変性澱粉との固体比率が重量比60/40となるようにした。混合物は共回転二軸スクリュー押出機によって複数回押し出され、混合物にせん断力を作用して微結晶凝集物が粉砕されるようにした。得られた押出物は滑りにくい程度の硬さを有し、よって高度の加工を行うことが可能で、これはコロイド状微結晶セルロース粒子の形成を促進する。
【0120】
MCC/低pH変性澱粉押出物209.28gとPROCOL DP−50グアーガム41.48gとを2749.24gの蒸留水に分散させた。これは、MCC/低pH変性澱粉/グアーガムの固体比率が45/30/25となるようにして行った。得られたスラリーをManton Gaulinホモジナイザーを用いて2500psiで処理し、スプレー乾燥させて粉末を形成させた。スプレー乾燥は次のように行った:ホモジナイズされたスラリーを3フィート(0.9144m)のBowenスプレー乾燥器に移し、開口部0.1インチ(0.00254m)の噴霧ノズルを用いて行った。スラリーはMoyno可変フィードポンプによって、所望の出力温度を与えるような速度で乾燥器に移した。スプレー乾燥器の稼働中の入力/出力空気温度は約225°F/125°Fであった。スプレー乾燥の条件は、粘度や得られる乾燥生産物の特性などのフィードでの性質や後の生産量に応じて制御した。
【0121】
水分散性コロイド状MCC粉末が得られた。脱イオン水に分散させた際に、その2.6%分散系はBrookfieldによる粘度が当初1010psで、24時間後に再試験した際には粘度が3100cpsであった。
【0122】
実施例22:大豆タンパク飲料(低タンパク)‐低pH飲料
0.50%の45/30/25 MCC/低pH変性澱粉(INSCOSITY(商標)B994)/グアーガム(PROCOL DP−50)組成物を用いてサンプルを調製した。低pH飲料組成物は表16に挙げる重量%の組成を有する。
【0123】
【表16】

【0124】
分離大豆タンパクを水に加え、混合物を155〜160°Fに加温して15分間混合した。次に、45/30/25 MCC/低pH変性澱粉(INSCOSITY(商標)B994)/グアーガム(PROCOL DP−50)粉末を混合物に分散させ、その間温度は155〜160°Fに保持して15分間混合した。次に、糖を添加してさらに5分間混合した。生成物を100〜110°Fに冷却した。ジュース濃縮物とクエン酸溶液を組成物に加えて5分間混合した。必要であれば水の損失に対して調製を行った。生成物を250°Fで6秒間パスチャライズした。生成物を165°Fに冷却し、Niroホモジナイザーで二段階圧力2500psi(2000psi、500psi)で処理した。最後に、混合物を20℃に冷却して無菌充填した。生成物のpHは3.65で粘度は24.0cPであり、穏和な条件における3週間の貯蔵の後にセラム分離のために我々の安定性ガイドラインに不合格となった。
【0125】
実施例23:大豆タンパク飲料(低タンパク)‐低pH飲料
0.50%の45/30/25 MCC/低pH変性澱粉(INSCOSITY(商標)B994)/グアーガム(PROCOL DP−50)組成物を用いてサンプルを調製した。低pH飲料組成物は表17に挙げる重量%の組成を有する。
【0126】
【表17】

【0127】
分離大豆タンパクを水に加え、混合物を155〜160°Fに加温して15分間混合した。次に、45/30/25 MCC/低pH変性澱粉(INSCOSITY(商標)B994)/グアーガム(PROCOL DP−50)粉末を混合物に分散させ、その間温度は155〜160°Fに保持して15分間混合した。次に、糖を添加してさらに5分間混合した。生成物を100〜110°Fに冷却した。ジュース濃縮物とクエン酸溶液を組成物に加えて5分間混合した。必要であれば水の損失に対して調製を行った。生成物を250°Fで6秒間パスチャライズした。生成物を165°Fに冷却し、Niroホモジナイザーで二段階圧力2500psi(2000psi、500psi)で処理した。最後に、混合物を20℃に冷却して無菌充填した。生成物のpHは4.27で粘度は21.0cPであり、穏和な条件における3週間の貯蔵の後にセラム分離のために我々の安定性ガイドラインに不合格となった。
【0128】
比較例24:大豆タンパク飲料‐低pH飲料
0.15%のMULTI−KEM FG 60/70グアーガムを用いてサンプルを調製した。低pH飲料組成物は表18に挙げる重量%の組成を有する。
【0129】
【表18】

【0130】
DKPを利用可能な水の80%に添加し、15分間混合した。次に、分離大豆タンパクを加え、混合物を155〜160°Fに加温して15分間混合した。次に、乾燥混合糖とTCPを添加してさらに5分間混合した。MULTI−KEM FG 60/70グアーガムを次に添加して水和するまで、または約10分間混合した。生成物を100〜110°Fに冷却した。ジュース濃縮物とクエン酸を残りの水で希釈し、組成物に加えて5分間混合した。消泡剤(HI−MAR S−030−FG、0.1〜0.2%)を加え、必要であれば水の損失に対して調製を行った。生成物を195°Fで15秒間パスチャライズした。生成物を165°Fに冷却し、Manton Gaulinホモジナイザーで二段階圧力2500psi(2000psi、500psi)で処理した。最後に、混合物を20℃に冷却して充填した。生成物のpHは4.18で粘度は27.5cPであり、4℃における1週間の貯蔵の後にセラム分離のために我々の安定性ガイドラインに不合格であった。
【0131】
比較例25:大豆タンパク飲料‐低pH飲料
1.00%のAMD 783 HM ペクチンを用いて調製した。低pH飲料組成物は表19に挙げる重量%の組成を有する。
【0132】
【表19】

【0133】
DKPを利用可能な水の80%に添加し、15分間混合した。次に、分離大豆タンパクを加え、混合物を155〜160°Fに加温して15分間混合した。次に、乾燥混合糖とTCPを添加してさらに5分間混合した。AMD 783 HM ペクチンを次に添加して水和するまで、または約10分間混合した。生成物を100〜110°Fに冷却した。ジュース濃縮物とクエン酸を残りの水で希釈し、組成物に加えて5分間混合した。消泡剤(HI−MAR S−030−FG、0.1〜0.2%)を加え、必要であれば水の損失に対して調製を行った。生成物を195°Fで15秒間パスチャライズした。生成物を165°Fに冷却し、Manton Gaulinホモジナイザーで二段階圧力2500psi(2000psi、500psi)で処理した。最後に、混合物を20℃に冷却して充填した。生成物のpHは4.17で粘度は91.0cPであり、4℃における1週間の貯蔵の後に沈降のために我々の安定性ガイドラインに不合格であった。
【0134】
比較例26:大豆タンパク飲料(低タンパク)‐低pH飲料
0.35%のAMD 783 HM ペクチンを用いて調製した。低pH飲料組成物は表20に挙げる重量%の組成を有する。
【0135】
【表20】

【0136】
分離大豆タンパクを水に加え、混合物を155〜160°Fに加温して15分間混合した。AMD 783 HM ペクチンを次に添加して水和するまで、または約10分間混合した。次に、糖を添加してさらに5分間混合した。生成物を100〜110°Fに冷却した。ジュース濃縮物とクエン酸溶液を組成物に加えて5分間混合した。必要であれば水の損失に対して調製を行った。生成物を250°Fで6秒間パスチャライズした。生成物を165°Fに冷却し、Niroホモジナイザーで二段階圧力2500psi(2000psi、500psi)で処理した。最後に、混合物を20℃に冷却して無菌充填した。生成物のpHは3.58で粘度は7.0cPであり、穏和な条件における24時間の貯蔵の後に沈降のために我々の安定性ガイドラインに不合格となった。
【0137】
実施例27:大豆タンパク飲料(低タンパク)‐低pH飲料
1.00%の60:40 MCC/低pH変性澱粉(INSCOSITY B656)組成物を用いてサンプルを調製した。低pH飲料組成物は表21に挙げる重量%の組成を有する。
【0138】
【表21】

【0139】
DKPを利用可能な水の80%に添加し、15分間混合した。次に、分離大豆タンパクを加え、混合物を155〜160°Fに加温して15分間混合した。次に、乾燥混合糖とTCPを添加してさらに5分間混合した。次に、60:40MCC/低pH変性澱粉(INSCOSITY B656)粉末を混合物に分散させ、その間温度は155〜160°Fに保持して15分間混合した。生成物を100〜110°Fに冷却した。ジュース濃縮物とクエン酸を残りの水で希釈し、組成物に加えて5分間混合した。消泡剤(HI−MAR S−030−FG、0.1〜0.2%)を加え、必要であれば水の損失に対して調製を行った。生成物を195°Fで15秒間パスチャライズした。生成物を165°Fに冷却し、Manton Gaulinホモジナイザーで二段階圧力2500psi(2000psi、500psi)で処理した。最後に、混合物を20℃に冷却して充填した。生成物のpHは4.46で粘度は38.5cPであり、4℃における24時間の貯蔵の後にセラム分離のために不合格となった。生成物は低pH飲料として安定性ガイドラインに不合格であったが、グアーガムを含まないMCC/低pH変性澱粉組成物は中性pH飲料や他の食品適用において効果的に機能する可能性がある。
【0140】
比較例28:大豆タンパク飲料(低タンパク)‐低pH飲料
次の比較実験は澱粉を含まない。0.15%のMULTI−KEM FG 60/70グアーガムを用いてサンプルを調製した。低pH飲料組成物は表22に挙げる重量%の組成を有する。
【0141】
【表22】

【0142】
DKPを利用可能な水の80%に添加し、15分間混合した。次に、分離大豆タンパクを加え、混合物を155〜160°Fに加温して15分間混合した。次に、乾燥混合糖とTCPを添加してさらに5分間混合した。MULTI−KEM FG 60/70グアーガムを次に添加して水和するまで、または約10分間混合した。生成物を100〜110°Fに冷却した。ジュース濃縮物とクエン酸を残りの水で希釈し、組成物に加えて5分間混合した。消泡剤(HI−MAR S−030−FG、0.1〜0.2%)を加え、必要であれば水の損失に対して調製を行った。生成物を195°Fで15秒間パスチャライズした。生成物を165°Fに冷却し、Manton Gaulinホモジナイザーで二段階圧力2500psi(2000psi、500psi)で処理した。最後に、混合物を20℃に冷却して充填した。生成物のpHは4.18で粘度は27.5cPであり、4℃における1週間の貯蔵の後にセラム分離のために不合格となった。
【0143】
実施例29:60/40 MCC/低pH変性タピオカ澱粉
5ガロンのHobartミキサーで、815.2gの微結晶セルロース(MCC)ウエットケーキと267.6gの低pH変性タピオカ澱粉とを混合し、MCCと低pH変性タピオカ澱粉との固体比率が重量比60/40となるようにした。混合物は共回転二軸スクリュー押出機によって複数回押し出され、混合物にせん断力を作用して微結晶凝集物が粉砕されるようにした。得られた押出物は滑りにくい程度の硬さを有し、よって高度の加工を行うことが可能で、これはコロイド状微結晶セルロース粒子の形成を促進する。
【0144】
MCC/低pH変性澱粉押出物270.70gを2729.30gの蒸留水に分散させた。得られたスラリーをManton Gaulinホモジナイザーを用いて2500psiで処理し、スプレー乾燥させて粉末を形成させた。スプレー乾燥は次のように行った:ホモジナイズされたスラリーを3フィート(0.9144m)のBowenスプレー乾燥器に移し、開口部0.1インチ(0.00254m)の噴霧ノズルを用いて行った。スラリーはMoyno可変フィードポンプによって、所望の出力温度を与えるような速度で乾燥器に移した。スプレー乾燥器の稼働中の入力/出力空気温度は約225°F/125°Fであった。スプレー乾燥の条件は、粘度や得られる乾燥生産物の特性などのフィードでの性質や後の生産量に応じて制御した。
【0145】
得られた粉末は、40液量オンスのWaring混合機を用いて水に分散させた(レオスタット設定は110Vで5分間)。得られた分散系の顕微鏡による評価によって、MCC粒子は効果的に粉砕され、均一に分散していることが分かった。
【0146】
実施例30:大豆タンパク飲料(低タンパク)‐低pH飲料
0.45%の60:40MCC/低pH変性タピオカ澱粉(ニュージャージー州ブリッジウォーターにあるNational Starch LLCから市販のタピオカから誘導された変性食品澱粉であるNATIONAL(商標) FRIGEX HV)組成物と0.15%のPROCOL DP−130グアーガム(パキスタンにあるHabgen(商標)から市販)とを用いてサンプルを調製した。
【0147】
【表23】

【0148】
MCC/低pH変性タピオカ澱粉を水に分散させ、さらにグアーガムを添加して15分間混合した。分離大豆タンパクを水に加え、混合物を155〜160°Fに加温して15分間混合した。次に、糖を添加してさらに5分間混合した。生成物を100〜110°Fに冷却した。ジュース濃縮物とクエン酸溶液を組成物に加えて5分間混合した。必要であれば水の損失に対して調製を行った。生成物をNiroホモジナイザーで二段階圧力2500psi(2000psi、500psi)で処理した。生成物を250°Fで6秒間パスチャライズした。最後に、混合物を20℃に冷却して無菌充填した。生成物のpHは24時間において4.17、粘度は8.0cPであった。
【0149】
実施例31:サラダドレッシングと60/40 MCC/低pH変性コーンスターチ
60/40 MCC/低pH変性コーンスターチ(PURE GEL B994)の試験を次の組成と工程で行った。
【0150】
【表24】

【0151】
利用可能な水25gを取出してソルビン酸カリウム溶液を調製した。利用可能な水の残りにMCC/澱粉を添加しSilversonミキサーで5分間混合した。その後、キサンタンガムと糖との乾燥混合物を加え、さらに5分間、又は均一となるまで混合した。卵黄粉末とマスタード粉末との乾燥混合物をガム溶液に添加し、さらに5分間混合した。次に、大豆油をゆっくりと添加し、2分間混合した。塩と酢以外の残りの材料の乾燥混合物を添加し、さらに2分間混合した。酢、保存料溶液、塩を添加し2分間混合した。生成物を次に脱気し、すりくだき、容器に充填した。
【0152】
サンプルを8オンスのジャーに保存し、冷蔵温度で保存した。生成物の粘性と安定性を24時間、1週間、2週間、3週間、4週間後に評価した。粘度の測定はBrookfield RVT粘度計を用い、スピンドルを10rpmとして測定した。粘度の結果を次に挙げる。
【0153】
【表25】

【0154】
実施例32:乳製品調理用クリームと60/40 MCC/低pH変性コーンスターチ
乳製品調理用クリーム‐60/40 MCC/低pH変性コーンスターチ(PURE GEL B994)の試験を次の組成と工程で行った。
【0155】
【表26】

【0156】
NOVATION 3300(リッジウォーターにあるNational Starch LLCから市販のタピオカベースの機能性天然澱粉)、E471(radiamuls MG、脂肪酸のモノおよびジグリセリド、ベルギー、エルトベルデに本社をおくOleon nv社より市販)、および60/40 MCC/低pH変性コーンスターチの乾燥混合物を調製した。この乾燥混合物を牛乳とクリームとの混合物に分散させ、Stephan調理器で65℃に加温した。生成物を温度65℃に保持しながら15分間混合した。混合物はその後75℃の前加熱を行い、120bar(最初の段階で100bar/後の段階で20bar)においてホモジナイズした。次に生成物を142℃で3〜5秒間殺菌し、15℃まで冷却した。生成物は無菌充填して4℃と22℃において貯蔵した。1週間後、4℃で貯蔵した生成物は粘度が340.0cpsでpHは6.92であった。生成物は1つの相のみが観察される良好な均一状態の外観を有していた。1週間後、22℃で貯蔵した生成物は粘度が152.0cpsでpHは6.77であった。生成物は1つの相のみが観察される良好な均一状態の外観を有していた。
【0157】
実施例33:MCC/澱粉/グアーガム組成物のゲル強度
グアーガムと共混合されたMCC/澱粉のゲル強度を、TA−Instrumentsレオメータ(ARES−RFS3)を用いて、1Hzの振動歪み掃引で温度20℃、ギャップサイズ1.8mmの条件で試験した。MCC/澱粉サンプルはすべて、すでにスプレー乾燥を行った60%MCCと40%澱粉の混合物を共処理することによって調製した。澱粉混合物はNATIONAL FRIG EX HVタピオカ澱粉、PURE GEL B994コーンスターチ、およびNOVATION 8300タピオカ澱粉を含む。MCC/澱粉はPROCOL DP−130グアーガムと、75%MCC/澱粉、25%グアーガムの比率で共混合し、固体比率2.6%のゲル分散系とした。
【0158】
ゲル強度の結果は図1に示され、化学変性コーンスターチとタピオカ澱粉でできたMCC/澱粉+グアー組成物は全て良好なレオロジー的性質を呈し、非化学的な変性タピオカ澱粉は許容外のゲル強度を呈した。比較のため、標準FMCコロイド状AVICEL(商標)CL611(MCC/CMC)(ペンシルバニア州フィラデルフィアにあるFMC BioPolymer社より市販の微結晶セルロースおよびカルボキシメチルセルロースナトリウム)もまた比較対象として示されている。
【0159】
好適な実施形態は本明細書に記載されているが、それらの実施形態は例示としてのみ提供されていることが理解されるであろう。数々の変化形、変更、置換が当業者によって本発明の精神から乖離することなく行われるであろう。すなわち、添付の特許請求の範囲はそのような変化形を本発明の精神と範疇に含まれるものとして包含することが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
微結晶セルロースウエットケーキと少なくとも1種の澱粉とを共摩擦によって共処理し、コロイド状微結晶セルロースと前記少なくとも1種の澱粉とを含む混合物を形成する工程と、
前記混合物を乾燥させる次なる工程と、を含む、
水分散性組成物の製造方法。
【請求項2】
前記共摩擦が前記混合物の共押出を含む、
請求項1に記載の組成物の製造方法。
【請求項3】
コロイド状微結晶セルロースと少なくとも1種の澱粉との前記混合物をさらなる親水コロイドと混合する工程をさらに含む、
請求項1に記載の組成物の製造方法。
【請求項4】
前記さらなる親水コロイドがガラクトマンナンである、
請求項3に記載の組成物の製造方法。
【請求項5】
前記ガラクトマンナンがグアーガムである、
請求項4に記載の組成物の製造方法。
【請求項6】
前記少なくとも1種の澱粉が、ヒドロキシアルキルデンプン、ヒドロキシエチル澱粉、ヒドロキシプロピル澱粉、アシル澱粉、およびそれらの混合物からなる群より選択される、
請求項1に記載の組成物の製造方法。
【請求項7】
前記少なくとも1種の澱粉が、食品グレードの変性低pH安定化澱粉であること、
を特徴とする請求項1に記載の組成物の製造方法。
【請求項8】
前記食品グレードの変性低pH安定化澱粉がヒドロキシプロピルジスターチホスフェートであること、
を特徴とする請求項7に記載の組成物の製造方法。
【請求項9】
前記少なくとも1種の澱粉の、前記混合物中の存在量が約10〜35重量%である、
請求項1に記載の組成物の製造方法。
【請求項10】
前記混合物をさらなる親水コロイドと共に水に分散させて分散系を形成させる工程;
および前記分散系を乾燥させて乾燥コロイド状微結晶セルロース組成物を得る工程、をさらに含む、
請求項1に記載の組成物の製造方法。
【請求項11】
前記乾燥が前記分散系の共スプレー乾燥によって行われる、
請求項10に記載の組成物の製造方法。
【請求項12】
前記乾燥コロイド状微結晶セルロース組成物を水媒体中に分散させる工程をさらに含む、
請求項10に記載の組成物の製造方法。
【請求項13】
請求項1に記載の工程によって製造された、食品への適用において使用される乾燥水分散性組成物。
【請求項14】
共処理された前記混合物が、微結晶セルロース粒子単独に比べて大きな負の表面電荷を有する、
請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
低pH条件下で前記負の表面電荷が凝集を妨げる、
請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
前記乾燥水分散性組成物が、食品製品中でタンパク質安定性、セラム安定性、熱安定性、食感変化、泡安定性、澱粉特性向上、又は粘度制御のうち少なくとも1つを提供する、
請求項13に記載の組成物。
【請求項17】
前記食品への適用が、低pH飲料、中性飲料、ジュース、チョコレート飲料、乳製品、詰め物、プリン、焼き菓子、冷凍デザート、ソース、ドレッシング、マヨネーズ、培養物、または気泡食品製品である、
請求項13に記載の組成物。
【請求項18】
コロイド状微結晶セルロースウエットケーキと少なくとも1種の澱粉との共処理混合物を含み、
前記コロイド状微結晶セルロースが少なくとも1種の澱粉を含むバリア分散剤によって少なくとも部分的にコーティングされている、
水分散性組成物。
【請求項19】
前記水分散性組成物がそれに吸着したさらなる親水コロイドを有する、
請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
少なくとも1種の低pH安定化澱粉を含むバリア分散剤によって少なくとも部分的にコーティングされるコロイド状微結晶セルロース;
ガラクトマンナン;
タンパク質;及び、
水媒体;を含む低pH飲料組成物であって、前記低pH飲料のpHが約5より低い、
低pH飲料組成物。
【請求項21】
前記タンパク質が、大豆タンパク、マメ科植物タンパク、エンドウマメタンパク、菜種タンパク、キャノーラタンパク、コーンタンパク、小麦グルテン、植物乳清タンパク、乳清、牛乳乳清、カゼイン、およびそれらの混合物からなる群より選択される、
請求項20に記載の低pH飲料組成物。
【請求項22】
前記組成物の粘度が約100cpより低い、
請求項20に記載の低pH飲料組成物。
【請求項23】
請求項18に記載の水分散性組成物と、ガラクトマンナンと、タンパク質とを水媒体中に分散させる工程を含む、
低pH飲料組成物の製造方法。
【請求項24】
ヒドロキシプロピルジスターチホスフェートを含むバリア分散剤によって少なくとも部分的にコーティングされたコロイド状微結晶セルロース;
グアーガム;
大豆タンパク;及び、
水媒体;を含む低pH飲料組成物であって、前記低pH飲料のpHが約5より低い、
低pH飲料組成物。
【請求項25】
前記少なくとも1種の澱粉が、タピオカ澱粉、コーンスターチ、またはそれらの混合物を含む、
請求項1に記載の組成物の製造方法。
【請求項26】
前記少なくとも1種の澱粉が、ヒドロキシプロピル2リン酸タピオカ澱粉、ヒドロキシプロピルタピオカ澱粉、およびそれらの混合物からなる群から選択される変性タピオカ澱粉を含む、
請求項1に記載の組成物の製造方法。
【請求項27】
共処理された前記混合物のゲル強度が約2Pa以上である、
請求項18に記載の水分散性組成物。
【請求項28】
コロイド状微結晶セルロースウエットケーキと少なくとも1種のタピオカ澱粉または澱粉誘導体との共処理混合物を含み、
前記コロイド状微結晶セルロースは前記少なくとも1種のタピオカ澱粉または澱粉誘導体によって少なくとも部分的にコーティングされている、を含む、
食品への適用のための組成物。
【請求項29】
前記食品への適用が、アイスクリーム、調理用クリーム、ソースおよびデザートクリームから成る群より選択される、
請求項28に記載の食品への適用のための組成物。

【図1】
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【公表番号】特表2013−514814(P2013−514814A)
【公表日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−546142(P2012−546142)
【出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【国際出願番号】PCT/US2010/061511
【国際公開番号】WO2011/087784
【国際公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(391022452)エフ エム シー コーポレーション (74)
【氏名又は名称原語表記】FMC CORPORATION
【Fターム(参考)】