説明

食品供給シュートおよび食品充填機

【課題】多数の食材が集合してなる食品を所定の充填量で食品容器に充填することができる食品供給シュートを提供する。
【解決手段】上端に形成された食品導入口8と下端に形成された食品排出口9の間において断面積が絞られた絞り部10を備え、食品導入口8から絞り部10に向かって断面積を徐々に小さくすると共に絞り部10から食品排出口9に向かって断面積を徐々に大きくした形状を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、食品供給シュートおよび食品充填機に係り、特に、上方が開放された食品容器に食品を供給する食品供給シュートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、食品を容器に効率よく充填するために、上端の食品導入口から下端の食品排出口に向かって断面積を徐々に小さくした食品供給シュートが実用化されている。例えば、惣菜などの1種または複数種の多数の食材が集合してなる食品が、食品導入口から食品供給シュート内に導入され、傾斜した内壁に沿って導かれて食品排出口から排出される。これにより、食品排出口に配置された容器に食品を集めて充填することができる。しかしながら、食品排出口から食品を排出して充填する際に、食品が容器外にこぼれるなどして容器への充填量が減少し、所定量の食品を充填することが困難であった。
【0003】
そこで、所定量の食品を容器に充填する技術として、例えば特許文献1に開示されているように、粉体を上端から下端に導く上部シュートと袋を固定した下部シュートが着脱可能に接続された食品供給シュートが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−206219号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の食品供給シュートでは、上部シュートにより導かれた粉体が下部シュートを介して袋内に直接供給されるため、所定量の粉体を袋に充填することが可能となる。
しかしながら、容器に下部シュートを着脱するために労力を要し、特にトレイなどの上方が開放された食品容器は様々な形状を備えるため、それらの形状に下部シュートを対応させて着脱するには多くの労力を要する。このため、上方が開放された食品容器に食品を供給する際には、例えば、図7(A)に示すように、食品供給シュート21の直下に食品容器Cを配置して食品供給シュート21を下降させ、図7(B)に示すように、食品排出口22が食品容器Cの収容部内に位置した状態で食品を食品容器Cに供給することで、所定量の食品を食品容器Cに充填することが試みられている。しかし、惣菜などの食品は、1種または複数種の多数の食材が集合してなるものが多く、食品容器Cに盛られた後でも崩れやすく、例えば図7(C)に示すように、食品の充填が完了して食品供給シュート21が上昇された時に、食品Fの一部が食品容器Cの外側にこぼれるなどして食品容器Cへの充填量が減少してしまうといった問題がある。
【0006】
この発明は、このような従来の問題点を解消するためになされたもので、多数の食材が集合してなる食品を所定の充填量で食品容器に充填することができる食品供給シュートおよび食品充填機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る食品供給シュートは、上端に形成された食品導入口から導入された食品を下端に形成された食品排出口から排出することにより、前記食品排出口の直下に配置され且つ上方が開放された食品容器に食品を供給する食品供給シュートであって、前記食品導入口と前記食品排出口の間において断面積が絞られた絞り部を備え、前記食品導入口から前記絞り部に向かって断面積を徐々に小さくすると共に前記絞り部から前記食品排出口に向かって断面積を徐々に大きくした形状を有するものである。
【0008】
ここで、前記食品排出口は、前記絞り部の断面積に対し、1.2〜1.6倍の面積を有するのが好ましい。また、前記食品排出口の周縁部に少なくとも1つの切り欠き部が形成されるのが好ましい。
また、前記食品排出口は、多角形状の横断面を有することができる。また、前記食品排出口は、円または楕円状の横断面を有することもできる。
【0009】
この発明に係る食品充填機は、上記のいずれかに記載の食品供給シュートと、前記食品供給シュートの前記食品導入口に所定量の食品を供給する食品供給部とを備えるものである。
【0010】
ここで、前記食品容器は凹状の収容部を有し、前記食品容器の収容部内に前記食品排出口が位置するまで前記食品供給シュートを下降させて食品を排出させると共に、前記食品排出口から所定量の食品が排出された時点で前記食品容器の収容部の上方に前記食品排出口が位置するまで前記食品供給シュートを上昇させるように、前記食品供給シュートと前記食品供給部を制御する制御部をさらに備えることができる。
また、複数の食品容器を移動させる移動部をさらに備え、前記制御部は、前記食品容器を順次前記食品排出口の直下に位置させて前記食品容器に所定量の食品を供給した後、所定量の食品を収容した食品容器を前記食品排出口の直下から送り出すと共に前記食品排出口の直下に次の前記食品容器を位置させるように、前記食品供給部と前記移動部を制御することができる。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、食品導入口と食品排出口の間において断面積が絞られた絞り部を備えて絞り部から食品排出口に向かって断面積を徐々に大きくした形状を有するので、多数の食材が集合してなる食品を所定の充填量で食品容器に充填することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】この発明の一実施の形態に係る食品供給シュートを用いた食品充填機の構成を示すブロック図である。
【図2】食品供給シュートの構成を示す斜視図である。
【図3】食品供給シュートと食品容器の位置関係を示し、(A)は食品を供給する前、(B)は食品を供給中、(C)は食品を供給した後のそれぞれの位置関係を示す図である。
【図4】一実施の形態の変形例で用いられた食品供給シュートの構成を示す斜視図である。
【図5】一実施の形態の他の変形例で用いられた食品供給シュートの構成を示す側面図である。
【図6】一実施の形態のさらに他の変形例で用いられた食品供給シュートの構成を示す斜視図である。
【図7】従来の食品供給シュートと食品容器の位置関係を示し、(A)は食品を供給する前、(B)は食品を供給中、(C)は食品を供給した後のそれぞれの位置関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1に、この発明の一実施の形態に係る食品供給シュートを用いた食品充填機の構成を示す。食品充填機は、食品容器Cを一定方向に移動させる移動部1と、食品容器Cに食品を供給する食品供給シュート2と、食品供給シュート2を昇降させるシュート昇降部3と、食品供給シュート2に食品を供給する食品供給部4と、これらを制御する制御部5とを有する。
ここで、食品容器Cに供給される食品としては、惣菜などの1種または複数種の多数の食材が集合してなるもの、具体的には、ひじき煮、金平牛蒡、切干大根、牛蒡サラダ、マカロニサラダ、卯の花およびポテトサラダなどが使用される。また、食品容器Cとしては、トレイなどの上方が開放されたものが使用される。
【0014】
移動部1は、食品容器Cを移動させるコンベヤ6と、コンベヤ6を駆動するコンベヤ駆動部7を有する。コンベヤ6上には複数の食品容器Cが配置され、コンベヤ駆動部7の駆動により、食品容器Cが食品供給シュート2の直下に順次移動されると共に食品を収容した食品容器Cが食品供給シュートの直下から順次送り出される。
食品供給シュート2は、上端に食品導入口8が形成されると共に下端に食品排出口9が形成され、食品導入口8から導入された食品を食品排出口9から排出して食品容器Cに食品を供給する。
【0015】
食品供給部4は、食品供給シュート2の食品導入口8へ所定量の食品を順次供給するものであり、例えば落下式ギア供給機、組合せ秤などの各種の供給機を用いることができる。落下式ギア供給機は、食品を複数のギアにより下方に設置された秤部に送り、秤部が送られてくる食品を計量することにより、所定量の食品を食品供給シュート2に供給することができる。また、シリンダー式供給機は、シリンダーにより枡計量を行うことにより、所定量の食品を食品供給シュート2に供給することができる。
制御部5は、コンベヤ駆動部7、シュート昇降部3および食品供給部4にそれぞれ接続されている。
【0016】
図2に、食品供給シュート2の構成を示す。食品供給シュート2は、食品導入口8と食品排出口9の間において断面積が絞られた絞り部10と、食品導入口8から絞り部10に向かって断面積を徐々に小さくした食品導入部11と、絞り部10から食品排出口12に向かって断面積を徐々に大きくした食品排出部12とを有する。食品導入口8は最も大きな面積を有し、絞り部10は断面積が最も小さく、食品排出口9は食品導入口8と絞り部10の間の面積となるように形成される。また、食品導入口8、食品排出口9および絞り部10は、それぞれ矩形状の横断面を有する。
このような形状を食品供給シュート2が有することにより、食品導入口8から導入された食品は、内側に向かって傾斜された食品導入部11の内壁に沿って絞り部10に一旦集められた後、食品排出口9に向かって食品排出部12を水平方向に拡散しながら落下していく。これにより、食品を食品排出部12の形状に沿って山形に盛り付けながら食品容器Cに充填することができる。
なお、食品排出口9は、絞り部10の断面積に対し、1.2〜1.6倍の面積とすることができ、好ましくは、1.4〜1.6倍とすることができ、より好ましくは1.5倍とすることができ、これにより食品容器Cに食品を崩れにくく充填することができる。
【0017】
次に、図1に示した食品供給シュート2を用いた食品充填機の動作について説明する。
まず、制御部5によりコンベヤ駆動部7が制御されてコンベヤ6が駆動され、コンベヤ6上に配置された食品容器Cを一定方向に移動させる。
【0018】
コンベヤ6により搬送された食品容器Cが、図3(A)に示すように、食品供給シュート2の食品排出口9の直下に位置すると、制御部5は、コンベヤ6の駆動を停止し、シュート昇降部3を制御して食品供給シュート2を下降させる。図3(B)に示すように、食品排出口9が食品容器Cの収容部内に位置した時点で食品供給シュート2の下降は停止され、制御部5は、食品供給部4を制御して所定量の食品を食品導入口8から食品供給シュート2内へ供給する。
食品供給シュート2内に導入された食品は、内側に向かって傾斜された食品導入部11の内壁に沿って絞り部10に一旦集められた後、食品排出口9に向かって食品排出部12を水平方向に拡散しながら落下していく。このようにして、食品排出口9から食品容器Cに供給された食品は、食品容器Cの収容部内に食品排出部12の形状に沿って充填される。
【0019】
食品排出口9から所定量の食品が排出されて食品容器Cへの食品の充填が完了すると、図3(C)に示すように、食品容器Cの収容部の上方に食品排出口9が位置するまで食品供給シュート2が上昇される。この時、食品容器Cに充填された食品Fは、食品排出部12の形状に沿って山形に盛り付けられているため、集合体として安定した形状を有している。このため、その形状が大きく崩れて食品Fの一部が食品容器C外へこぼれるのを抑制し、食品容器Cへの食品Fの充填量を一定に保つことができる。
例えば、図3(C)に示すように、食品Fが食品容器Cの収容部から上方に盛り上がるような供給量で充填された場合でも、食品Fは山形に盛り付けられているため、食品Fの一部が食品容器Cの外側にこぼれるような大きな崩れを抑制することができる。また、食品Fの供給量が多いなどの理由により、食品導入部11に残存していた食品Fが食品供給シュート2の上昇に伴って食品排出口9から排出される場合でも、排出された食品Fは食品容器Cに既に盛り付けられた山形の形状を覆うように供給されるため、その形状が大きく崩れるのを抑制することができる。特に、集合体の形状が崩れやすい卯の花などの軽い食材からなる食品において、その損失を大きく抑制することができる。また、一般的に、牛蒡サラダなどの粘度の高い食品は、嵩高く充填されることが知られているが、食品排出部12において水平方向に拡散させながら充填されるため、その嵩高さを低減して形状の安定した集合体とすることができる。
【0020】
続いて、制御部5は、コンベヤ駆動部7を介して、コンベヤ6を再び駆動させ、所定量の食品Fを収容した食品容器Cを食品排出口9の直下から送り出すと共に食品排出口9の直下に次の食品容器Cを位置させる。このようにして、食品容器Cが食品排出口9の直下に順次移動され、所定量の食品Fを充填した食品容器Cが食品排出口9の直下から順次送り出される。
【0021】
本実施の形態によれば、絞り部10から食品排出口9に向かって断面積を徐々に大きくした形状を有する食品排出部12により、所定量の食品Fが食品排出部12の形状に沿って山形に充填されるため、食品の充填が完了してから次の工程に搬送されるまでの間に、食品が食品容器Cから外側に落下するなどして食品容器Cへの充填量が減少するのを抑制することができる。また、食品容器Cとして、上方の開放部に対して底が浅いものを使用した場合でも、食品は安定した山形の形状で食品容器Cに充填されるため、その形状が大きく崩れて食品の一部が食品容器Cの外側に落下するのを抑制し、食品の充填量を一定に保つことができる。
【0022】
なお、食品供給シュート2の食品排出部12には、食品排出口9の周縁部に少なくとも1つの切り欠き部13を形成することができる。例えば、図4に示すように、食品排出口9において横幅の長い2箇所の周縁部に切り欠き部13をそれぞれ形成することができる。食品排出部12では、充填の際に食品を水平方向に拡散させて山形に盛り付けられていくが、切り欠き部13を形成して食品を側方へ逃がすことで、より崩れ難い山形の形状に盛り付けることができる。さらに、切り欠き部13を有することにより、所定量の食品Fが充填された食品容器Cが、食品排出口9の直下から移動する際に、充填された食品Fが食品排出口9にぶつからなくなるようにすることもできる。
また、食品供給シュート2は、食品が付着し難いような加工を施すことができる。例えば、図5に示すように、その全体にエンボス加工を施すことができる。これにより、食品供給部4から供給された所定量の食品が食品排出口9から排出されるまでの間に減少するのを抑制することができる。
【0023】
また、上記の実施の形態では、食品供給シュート2の食品排出口9は、矩形状の横断面を有していたが、食品を食品容器に供給できればよく、食品容器の形状に応じて適宜変えるのが好ましい。例えば、三角形、五角形および六角形などの多角形状の横断面を有するように形成することができる。また、図6に示すように、円状の横断面を有するように形成することもでき、楕円状の横断面を有するように形成することもできる。このように、食品排出口9の横断面を様々な形状の食品容器に応じて変えることで、より崩れ難い山形の形状で食品を充填することができる。
また、上記の実施の形態では、1つの食品供給シュート2により食品の充填を行っていたが、複数の食品供給シュートを並べて配置することにより複数の食品容器Cに食品を同時に充填してもよい。これにより、短時間に多くの食品容器Cに食品を充填することができる。
【符号の説明】
【0024】
1 移動部、2 食品供給シュート、3 シュート昇降部、4 食品供給部、5 制御部、6 コンベヤ、7 コンベヤ駆動部、8 食品導入口、9 食品排出口、10 絞り部、11 食品導入部、12 食品排出部、13 切り欠き部、C 食品容器、F 食品。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上端に形成された食品導入口から導入された食品を下端に形成された食品排出口から排出することにより、前記食品排出口の直下に配置され且つ上方が開放された食品容器に食品を供給する食品供給シュートであって、
前記食品導入口と前記食品排出口の間において断面積が絞られた絞り部を備え、
前記食品導入口から前記絞り部に向かって断面積を徐々に小さくすると共に前記絞り部から前記食品排出口に向かって断面積を徐々に大きくした形状を有することを特徴とする食品供給シュート。
【請求項2】
前記食品排出口は、前記絞り部の断面積に対し、1.2〜1.6倍の面積を有する請求項1に記載の食品供給シュート。
【請求項3】
前記食品排出口の周縁部に少なくとも1つの切り欠き部が形成された請求項1または2に記載の食品供給シュート。
【請求項4】
前記食品排出口は、多角形状の横断面を有する請求項1〜3のいずれか一項に記載の食品供給シュート。
【請求項5】
前記食品排出口は、円または楕円状の横断面を有する請求項1〜3のいずれか一項に記載の食品供給シュート。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の食品供給シュートと、
前記食品供給シュートの前記食品導入口に所定量の食品を供給する食品供給部とを備えることを特徴とする食品充填機。
【請求項7】
前記食品容器は凹状の収容部を有し、
前記食品容器の収容部内に前記食品排出口が位置するまで前記食品供給シュートを下降させて食品を排出させると共に、前記食品排出口から所定量の食品が排出された時点で前記食品容器の収容部の上方に前記食品排出口が位置するまで前記食品供給シュートを上昇させるように、前記食品供給シュートと前記食品供給部を制御する制御部をさらに備える請求項6に記載の食品充填機。
【請求項8】
複数の食品容器を移動させる移動部をさらに備え、
前記制御部は、前記食品容器を順次前記食品排出口の直下に位置させて前記食品容器に所定量の食品を供給した後、所定量の食品を収容した食品容器を前記食品排出口の直下から送り出すと共に前記食品排出口の直下に次の前記食品容器を位置させるように、前記食品供給部と前記移動部を制御する請求項6または7に記載の食品充填機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−112368(P2013−112368A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−260026(P2011−260026)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(000226998)株式会社日清製粉グループ本社 (125)
【Fターム(参考)】