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食品包装材用コーティング材、被膜の製造方法及び食品包装材
説明

食品包装材用コーティング材、被膜の製造方法及び食品包装材

【課題】透明性を有し、且つ、優れた紫外線遮断性を有し、基材との密着性が高い被膜を成形することができ、たとえ、被膜に剥離が生じ、また被膜からその含有物が溶出し、これらが食品に付着、混入した場合であっても人体にとって安全であり、更に、微生物による変質や水滴の付着を抑制し得る被膜を成形することができる食品包装材用コーティング材や、これを用いた食品包装材を提供すること。
【解決手段】光触媒となる金属酸化物、未硬化樹脂および増粘剤を含み、好ましくは、光触媒となる金属酸化物が、酸化チタンを含有し、未硬化樹脂が、メタクリル酸エステルを含有し、増粘剤が、セルロースまたはセルロース誘導体を含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明性を有する食品包装材用コーティング材やこれを用いた被膜の製造方法及び食品包装材に関し、より詳しくは、透明性を有する紫外線遮断用食品包装材、光触媒機能用食品包装材、水滴付着抑制用食品包装材や、これらを製造することができる食品包装材用コーティング材や、被膜の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、食品業界では光による商品の品質劣化が問題になっている。品質劣化の主原因の一つとして蛍光灯から放出される紫外線が挙げられる。アルミ蒸着フィルムなどの不透明な包装材を用いた場合、紫外線遮断効果が高く商品の品質劣化は大きな問題とはならないが、内容物の確認ができないという欠点がある。そのため、食品業界では、紫外線を遮断する効果が高く、且つ、内容物の商品の目視が可能であり、消費者にも安心感を与えることができる透明性を有する包装材の要請が高い。このような紫外線遮断材は包装材表面にコーティングされて用いられた場合、包装材から剥離しあるいは溶出する可能性を有し、紫外線遮断材の食品への付着、混入の可能性を有することになる。このため、食品添加物として認められていない紫外線遮断材を、食品に直接接触する包装材に用いることはできない。紫外線遮断材は有機系・無機系いずれもその殆どが食品添加物として認められておらず、食品包装材に適用可能な紫外線遮断材は極限られたものであり、透明性を有し、充分な紫外線遮断効果が得られる食品包装材は、未だ得られていない。
【0003】
また、食品業界においては食品の微生物による変質や、包装材に梱包された食品を冷蔵庫から常温の庫外へ取り出したときに、包装材表面に付着する細かな水滴によりラベル等の確認が困難になる。このようなことから、微生物の繁殖を抑制することができ、また、水滴の付着を抑制できる包装材が要望されている。
【0004】
一方、酸化チタン等の金属酸化物は光の照射によって励起エネルギーを放出し、物質に作用して他の物質へ変換する機能を有し、光触媒として多用されている。かかる光触媒を使用した光触媒機能性材料は、建築物外壁や窓ガラスの汚れ、自動車の排ガスによる道路遮音壁や照明灯、看板等の汚れ、室内のたばこ等の悪臭、空気中のNOx、SOx、細菌、黴などの微生物や環境ホルモンなどの有害物等の分解、除去に適用されている。
【0005】
このような光触媒である酸化チタンと、人体に無害なバインダーとして天然糊料とを使用した消臭作用を有するコーティング組成物(特許文献1)が報告されている。
【0006】
また、加水分解性チタン化合物および/またはその低縮合物と過酸化水素水と混合して得られるチタン含有水性液と有機塩基性化合物とpH10以下で安定な水性有機高分子化合物を含有する酸化チタン膜形成用塗布剤を食品包装用プラスチックフィルムに塗布したガスバリヤー・紫外線遮断フィルム(特許文献2)が報告されている。
【0007】
その他、アクリレート含有層を白色ポリエステルフィルム表面に設けた、ヨーグルト容器の蓋に用いるフィルム(特許文献3)が報告されている。
【0008】
しかし上記天然糊料をバインダーとするコーティング組成物(特許文献1)はエアの浄化、消臭用であり、食品包装材に適用するものではなく、上記ヨーグルト容器蓋用として好適なフィルム(特許文献3)は、白色フィルムとして印刷性、耐引裂き性を向上するものであり、透明性を有するものではない。
【0009】
また、上記酸化チタン膜に有機塩基性化合物をpH調整のために含有させた食品包装用ブラスチックフィルム(特許文献2)においては、酸化チタンの光触媒性により酸化チタン膜層自体の劣化を来たし、プラスチックフィルムから酸化チタン膜の剥離が生じることを抑制することはできない。
【特許文献1】特開2002−338871号公報
【特許文献2】WO02/002313号
【特許文献3】特開2004−143461号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の課題は、透明性を有し、且つ、優れた紫外線遮断性を有し、基材との密着性が高い被膜を成形することができ、たとえ、被膜に剥離が生じ、また被膜からその含有物が溶出し、これらが食品に付着、混入した場合であっても人体にとって安全であり、更に、微生物による変質や水滴の付着を抑制し得る被膜を成形することができる食品包装材用コーティング材や、これを用いた食品包装材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、透明性を有し、且つ、紫外線遮断性を有し、食品包装材に使用できる材料として、光触媒として使用され、抗菌性、超親水性を有し、食品・食品添加物規格基準に認定されている金属酸化物に着目した。そして、金属酸化物を含有する被膜を成形することができる透明な材料の選定に当たり、食品・食品添加物規格基準において認定されている材料の範囲に限定した。これらの内から、被膜としたときの金属酸化物の光触媒機能による剥離を抑制することができる被膜成形性の高い未硬化樹脂と共に、増粘剤とを組み合わせたコーティング材を用いることにより、安全性が高く、基材からの被膜の剥離、被膜からの含有物の溶出を抑制し、基材への密着性の高い被膜を得ることができることの知見を得た。特に、光触媒となる金属として二酸化チタン、未硬化樹脂としてメタクリル酸エステル、増粘剤としてセルロースまたはセルロース誘導体を用いたとき、透明性が高く、優れた紫外線遮断性を有し、被膜性、基材への密着性が高い被膜を得ることができることを見い出した。かかる知見に基づき本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち、本発明は、光触媒となる金属酸化物、未硬化樹脂および増粘剤を含むことを特徴とする食品包装材用コーティング材に関する。
【0013】
また、本発明は、上記食品包装材用コーティング材を用いて塗工膜を形成し、光照射して前記食品包装材用コーティング材が含有する金属酸化物の光触媒作用により塗工膜を硬化することを特徴とする被膜の製造方法に関する。
【0014】
また、本発明は、上記食品包装材用コーティング材を用いて成形した被膜を有する紫外線遮断用食品包装材、光触媒機能用食品包装材、水滴付着抑制用食品包装材、抗菌用食品包装材に関する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の食品包装材用コーティング材は、透明性を有し、且つ、優れた紫外線遮断性を有し、基材との密着性が高い被膜を成形することができ、たとえ、被膜に剥離が生じ、また被膜からその含有物が溶出し、これらが食品に付着、混入した場合であっても人体にとって安全である。更に、光触媒性を有し、微生物による変質や水滴の付着を抑制し得る被膜を成形することができる。
【0016】
また、本発明の食品包装材は、透明性を有し、且つ、優れた紫外線遮断性を有し、人体にとって安全であり、紫外線遮断用、光触媒機能用、水滴付着抑制用、抗菌用として有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の食品包装材用コーティング材は、光触媒となる金属酸化物、未硬化樹脂および増粘剤を含むことを特徴とする。
【0018】
本発明の食品包装材用コーティング材に用いる光触媒となる金属酸化物は、透明性、紫外線遮断性、更に、抗菌性、超親水性を有するものであり、食品添加物規格基準に認定されているものであることが好ましい。かかる金属酸化物として、酸化チタン等は、化学的安定性を有し、透明または白色、無害であり、使用しやすいことから、好ましいものとして挙げることができる。特に、酸化チタンは、広範囲な波長の光の照射により光触媒作用を有し、それ自体コーティング材に用いた場合、得られる被膜において、透明性に優れ、且つ、紫外線遮断効果が高く、密着性に優れるため好ましい。
【0019】
かかる酸化チタンとしては、二酸化チタン(TiO2)、オルトチタン酸(Ti(OH)4)、メタチタン酸(Ti(OOH)(OH))、過酸化チタン(ペルオキソチタン酸)(Ti(OOH)(OH)3)等を用いることができる。二酸化チタンとしてはアナターゼ型、ルチル型、ブルッカイト型を挙げることができ、例えば、アナターゼ型二酸化チタンと過酸化チタンとを組み合わせて用いることができる。このような二酸化チタンとしては、市販のもの、例えば、ミラクルチタン(三井鉱山株式会社製)などを使用することができる。 光触媒となる金属酸化物の含有量としては、例えば、コーティング材の固形分全体に対して0〜90質量%などとすることができ、好ましくは、60〜80質量%であり、コーティング材全体に対して、0〜20質量%などとすることができる。
【0020】
また、本発明の食品包装材用コーティング材に用いる未硬化樹脂は、硬化後に被膜を構成する樹脂のモノマーやオリゴマーなどであり、硬化して得られる被膜の基材への密着性や、被膜強度が高く、剥離が抑制できるものである。硬化後得られる樹脂が食品添加物規格基準に認定されている樹脂であることが人体に無害で、安全性の点から好ましい。未硬化樹脂は本発明の食品包装材用コーティング材を塗工した塗工膜中で、重合開始剤などによらず上記光触媒の作用により硬化され、被膜を形成することができるものが、得られる被膜中の添加物を減少することができるため、好ましい。かかる未硬化樹脂としては、具体的には、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル等のメタクリル酸エステルを好ましいものとして挙げることができる。
【0021】
このような未硬化樹脂の含有量としては、例えば、コーティング材全体に対して、0.1〜5質量%などとすることができる。未硬化樹脂の含有量が0.1質量%以上であれば、得られる被膜において密着性が向上し基材からの剥離を抑制することができる。未硬化樹脂の含有量が5質量%以下であれば、金属酸化物の光触媒機能を担保すると共に、本発明の食品包装材コーティング材の塗工を容易とし、均一な厚さを有する被膜を得ることができる。
【0022】
また、本発明の食品包装材用コーティング材に用いる増粘剤は、上記未硬化樹脂と相俟って、得られる被膜の強度、基材への密着性を高くすることができ、被膜の剥離や、被膜中の含有物の溶出を抑制する。かかる増粘剤は食品添加物規格基準に認定されている増粘剤であることが好ましい。かかる増粘剤としては、天然増粘剤、合成増粘剤を挙げることができ、紅藻類から得られるカラギナン、植物繊維から得られるセルロース類、キサンタンガム、グァーガム、ペクチン等や、メチルセルロース、エチルセルロース等のセルロース誘導体等を挙げることができる。これらのうち上記メタクリル酸エステルとの組み合わせにおいて、セルロース誘導体を好ましいものとして挙げることができる。
【0023】
増粘剤の含有量としては、例えば、コーティング材全体に対して、0.01〜5質量%などとすることができる。増粘剤の含有量が0.01質量%以上であれば、コーティング材の塗工性が良好となり、均一な被膜を成形することができる。増粘剤の含有量が5質量%以下であれば、金属酸化物の光触媒機能を担保すると共に、密着性の高い被膜を得ることができる。
【0024】
本発明の食品包装材用コーティング材に用いる媒体は、上記酸化チタン、硬化性樹脂、増粘剤を分散または溶解し得る液体であればいずれも、適用することができる。具体的には、水、アルコール、これらの混合液などを挙げることができる。
【0025】
本発明の食品包装材用コーティング材には、その他、食品用などの着色剤、紫外線吸収剤、充填剤、熱安定剤、光重合開始剤等を含有させることができる。着色剤を含有することにより有色のコーティング材がムラなく塗工されたことを確認でき、光照射により光触媒を活性化させ塗工膜の硬化と同時に被膜を無色として欠落のない被膜を得ることもできる。
【0026】
本発明の食品包装材用コーティング材を適用する食品包装材としては、食品の包装に用いるものであれば、いずれのものにも適用することができる。具体的には、プラスチック製のフィルム、ラップ、袋、トレー、容器などを挙げることができる。上記被膜はこれらの食品包装材の表裏の一方、または、双方に設けることができる。食品包装材の材質としては、いずれのものであってもよいが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリスチレン、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリアセタール、AS樹脂、ABS樹脂、メラミン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂等のプラスチックや、紙、金属膜、ガラス等も挙げることができる。
【0027】
本発明の食品包装材用コーティング材を用いて被膜を成形する方法としては、塗工膜を形成し、これを硬化する方法を挙げることができる。塗工膜の形成は塗布、浸漬、噴霧などいずれの方法によってもよい。また、塗工膜を硬化する方法としては、必要に応じて適宜加熱する方法などによってもよいが、自然光あるいは適宜人工光線を照射し、本発明の食品包装材用コーティング材が含有する金属酸化物の光触媒の作用により硬化する方法を挙げることができる。
【0028】
本発明の食品包装材は上記食品包装材用コーティング材を用いて成形した被膜を有するものであれば、いずれのものであってもよい。かかる被膜は上記コーティング材を上記方法により成形したものを挙げることができる。
【0029】
本発明の食品包装材は紫外線遮断用、光触媒機能用、水滴付着抑制用、抗菌用などの用途に用いることができる。本発明の食品包装材は透明性、紫外線遮断性を有し、基材との密着性に優れ、被膜の剥離を抑制することができ、その光触媒機能性のため、冷気中から暖気中へ移動させたときに水滴の付着を抑制することができ、また、細菌などの繁殖を阻害する抗菌性を有する。
【0030】
本発明の食品包装材の一例として、図1に示すように、菓子など、特に油脂分を多く含む食品のプラスチックフィルム製包装袋の内面に本発明の食品包装材用コーティング材を塗布して作製したものを挙げることができる。このような包装袋に包装することにより、コンビニエンスストア等の店舗において、搬入後数日間連続して蛍光灯照射下で陳列された場合であっても、油脂の光酸化を抑制し酸化臭の発生を抑制することができ、商品の寿命を延長することができる。
【実施例】
【0031】
次に本発明について実施例より詳細に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0032】
[実施例]
アナターゼ型二酸化チタンゾルとペルオキソチタン酸を含有する分散液(商品名:ミラクルチタン、三井鉱山株式会社製)およびメチルセルロース水溶液、メタクリル酸メチルのエタノール溶液を混合しコーティング材を調製した。コーティング材中のメチルセルロースの含有量を0.1質量%とし、メタクリル酸メチルの含有量を0.1質量%、0.25質量%、0.5質量%、1.0質量%、1.5質量%、2.0質量%と6段階としてコーティング材(1〜6)を調製した。メチルセルロース水溶液は60℃の水に、メチルセルロースを投入後1時間以上攪拌して溶解させて調製した。
【0033】
得られたコーティング材(1〜6)を、500μm厚のポリプロピレンフィルムに、約370mg/m2をマイクロメーター式コーティング装置によりそれぞれ塗布した。蛍光灯下で乾燥、固化し、コーティング被膜成形ポリプロピレンフィルム(以下、試料1〜6という。)を成形した。
【0034】
1.0質量%のメタクリル酸メチルを含んだコーティング材(試料4)を用いて作製した被膜について示差熱測定を行った。−50℃から230℃まで加熱を行い、発熱・吸熱変化を測定した。結果を図2(a)に示す。測定結果において、ポリメタクリル酸メチルの存在が確認できる。
【0035】
以下、試料の特性について測定した。
【0036】
(1)密着性
試料1〜6についてJIS K5600−5−6規格のクロスカット法に準じてポリプロピレンフィルムに対する密着性を測定した。結果を図3に示す。この規格において、0の場合強固な密着性、5の場合非常にはがれやすい状態を示している。メタクリル酸メチル量の増加と共に密着性が増加していた。
【0037】
(2)紫外線遮断性
コーティング材を塗布したOPPフィルムに200〜400nmの紫外線および400〜800nmの可視光を照射した。コーティング材を塗布して被膜を成形したOPPフィルムと、被膜成形していないポリプロピレンフィルムとを透過する紫外線を紫外−可視分光光度計により測定した。結果を図4に示す。図4において、照射した200〜400nmの全紫外線量はS1+S2+S3で表され、コーティング材を塗布したOPPフィルムによる紫外線吸収量はS1+S2で表され、コーティング材を塗布したOPPフィルムにおける被膜の紫外線吸収量はS2で表される。コーティング材を塗布したOPPフィルムの紫外線遮断率は(S1+S2)/(S1+S2+S3)で表され、この値は約0.7以上であった。即ち、コーティング材を塗布したOPPフィルムの紫外線遮断率は約70%以上あった。
【0038】
(3)抗菌性
コーティング材を塗布したOPPフィルムの抗菌性をJIS Z2801に準拠して検出した。シャーレにコーティング材を塗布したOPPフィルムをおき、ブドウ球菌を初発の数(検体400μL)を加え、コーティング材を塗布したOPPフィルムを被せて、被検体を作製した。被膜を成形していないポリプロピレンフィルムを用いて、同様に比較検体を作製した。
【0039】
これらの被検体を蛍光灯照射下において10℃、20時間放置し、ブドウ球菌を回収した後培地上で培養し、菌数をカウントした。結果を表1に示す。コーティング材を塗布したOPPフィルムを用いた被検体においては比較検体より菌数減少が3桁以上大きく、優れた抗菌性を有することが分かる。
【0040】
【表1】

【0041】
(4)被膜の溶出試験
食品衛生法の食品・食品添加物等規格基準に従い、ポリメタクリル酸メチルの溶出試験を行った。コーティング材を塗布したOPPフィルムを20%エタノール中で60℃、30分間浸した。その溶液にジエチルエーテルを加え振とうし、ジエチルエーテル層にメタクリル酸メチルを移動させ、濃縮し、ガスクロマトグラフにより分析を行った。40℃から毎分5℃の昇温を行った条件で、メタクリル酸メチルの保持時間は7.4分であるが、7.4分において、メタクリル酸メチルは不検出であった。結果を図5に示す。コーティング材を塗布したOPPフィルムにおいてメタクリル酸メチルの残留モノマーは検出されず、食品衛生法の食品・食品添加物等規格基準において安全性が高いことが分かった。
【0042】
(5)透明性
コーティング材を塗布したOPPフィルムについて可視光線の透過率を紫外線遮断性と同様の紫外−可視分光光度計によって測定したところ、図4のとおり40%以下であった。
【0043】
[比較例1]
アナターゼ型二酸化チタンゾルとペルオキソチタン酸を含有する分散液に替えて水を用いた他は実施例1と同様にコーティング材を調製し、被膜を成形して、同様に示差熱測定を行った。結果を図1(b)に示す。結果から、ポリメタクリル酸メチルの存在は確認できなかった。
【0044】
[比較例2]
メタクリル酸メチルのエタノール溶液を用いない他は実施例1と同様にコーティング材を調製し、被膜を成形して、密着性を測定した。結果を図2に示す。
【0045】
以上より、本件発明の食品包装材は、可視光線の透過率が高いものの、紫外線透過率が低く、抗菌性、水滴付着抑制性が高いことが明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の食品包装材の一実施例を示す図である。
【図2a】本発明の食品包装材の一実施例のコーティング被膜におけるポリメタクリル酸メチルの存在を示す示差熱を示す図である。
【図2b】金属酸化物を含有しないコーティング被膜におけるポリメタクリル酸メチルが存在しないことを示す示差熱を示す図である。
【図3】本発明の食品包装材におけるコーティング被膜中のポリメタクリル酸メチルの含有量と被膜の密着性の関係を示す図である。
【図4】本発明の食品包装材の一実施例の紫外線遮断性を示す図である。
【図5】本発明の食品包装材の一実施例のコーティング被膜のメタクリル酸メチル溶出液のガスクロマトグラフを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光触媒となる金属酸化物、未硬化樹脂および増粘剤を含むことを特徴とする食品包装材用コーティング材。
【請求項2】
光触媒となる金属酸化物が、酸化チタンを含有することを特徴とする請求項1記載の食品包装材用コーティング材。
【請求項3】
未硬化樹脂が、メタクリル酸エステルを含有することを特徴とする請求項1または2記載の食品包装材用コーティング材。
【請求項4】
増粘剤が、セルロースまたはセルロース誘導体を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の食品包装材用コーティング材。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか記載の食品包装材用コーティング材を用いて塗工膜を形成し、光照射して前記食品包装材用コーティング材が含有する金属酸化物の光触媒作用により塗工膜を硬化することを特徴とする被膜の製造方法。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか記載の食品包装材用コーティング材を用いて成形した被膜を有することを特徴とする紫外線遮断用食品包装材。
【請求項7】
請求項1〜4のいずれか記載の食品包装材用コーティング材を用いて成形した被膜を有することを特徴とする光触媒機能用食品包装材。
【請求項8】
請求項1〜4のいずれか記載の食品包装材用コーティング材を用いて成形した被膜を有することを特徴とする水滴付着抑制用食品包装材。
【請求項9】
請求項1〜4のいずれか記載の食品包装材用コーティング材を用いて成形した被膜を有することを特徴とする抗菌用食品包装材。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−217599(P2007−217599A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−41011(P2006−41011)
【出願日】平成18年2月17日(2006.2.17)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 日本食品科学工学会 社団法人日本食品科学工学会 第52回大会講演集 68頁 2005年8月29日〜31日
【出願人】(591079487)広島県 (101)
【Fターム(参考)】