説明

食品包装用ストレッチフィルム

【課題】指押し復元性、カット性、ヒートシール性、ストレッチ性等が優れている食品包装用ストレッチフィルムの提供。
【解決手段】中心層及びその両外面層の少くとも3層からなるフィルムであって、その中心層が、(A)ホモポリプロピレン20〜50質量%、(B)炭素数2〜12のαオレフィンの2種類以上を共重合させた共重合体10〜50質量%及び(C)石油樹脂、テルペン樹脂、クマロン−インデン樹脂、ロジン系樹脂及びそれらの水素添加樹脂から選ばれた少なくとも一種の樹脂15〜50質量%を含む樹脂組成物〔但し、(A)と(B)と(C)の合計は100質量%〕で形成され、両外面層がポリエチレン系樹脂で形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品包装用ストレッチフィルムに関する。更に詳しくは、透明性、解反性、低収縮力、カット性、ヒートシール性、ストレッチ性などの食品包装用ストレッチフィルムとしての必要条件に優れるとともに、特にストレッチ後の収縮が遅く、自動ストレッチ包装機での適性の高いポリオレフィン系樹脂を主体にする食品包装用ストレッチフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
青果物、鮮魚、精肉などをトレイに入れ、その上からストレッチフィルムで覆って包装して販売する方式がスーパーマーケットなどで多用されている。このストレッチフィルムには、古くから軟質ポリ塩化ビニルフィルムが使用されて来た。近年、軟質ポリ塩化ビニルフィルムは焼却時に塩化水素ガスを発生すること、また含有されている可塑剤が溶出する場合があることなどが問題視されはじめ、そのため無可塑剤で、ポリ塩化ビニルフィルムに代わる食品包装用ストレッチフィルム、例えばポリオレフィン系フィルムの開発が進められている。
【0003】
トレイの上からストレッチフィルムで覆う包装を、作業効率を高めるため、自動ストレッチ包装機で行う方法が導入されている。この自動ストレッチ包装機を使用して包装するとき、軟質ポリ塩化ビニルフィルムのようなストレッチ後の収縮速度が遅いフィルムを用いた場合は、フィルムをストレッチしてトレイの底部裏面でオーバーラップさせてからヒートシールするまでの間にフィルムの収縮による逃げが小さく、そのため十分にオーバーラップさせた状態でヒートシールできる(いわゆる、オーバーラップ性が良い)。しかし、ポリオレフィン系フィルムはゴムライクであり、ストレッチしてからヒートシールまでのわずかな時間でフィルムが収縮する傾向が強く、そのため十分にオーバーラップさせた状態でヒートシールすることができなく、ヒートシール部分のオーバーラップ量が不足し、包装不良が発生し易い。
【0004】
従来から軟質ポリ塩化ビニルフィルムの特性を備えさせることを目的としたポリオレフィン系のストレッチフィルムが種々提案されている。そして、ストレッチフィルムに必要な表面及び裏面の粘着適性を、防曇剤を添加したエチレン−酢酸ビニル共重合体層で形成することによって満たし、またストレッチフィルムのストレッチ性等の適性をポリオレフィンを主体とする中心層で満たした3層構成のポリオレフィン系食品包装用ストレッチフィルムが提案されているが、未だ十分な性能を備えたポリオレフィン系食品包装用ストレッチフィルムは得られていない。例えば、中心層がエチレン−αオレフィン共重合体含有樹脂である食品包装用ストレッチフィルムが提案されている(特許文献1)が、このフィルムは、弾性が強く、食品包装用ストレッチフィルムとしての必要物性に劣り、実用化しがたい。
【0005】
また、中心層として、種々のポリオレフィンと石油樹脂等からなる層を持つ食品包装用ストレッチフィルムが提案されている(特許文献2、特許文献3)が、カット性、ヒートシール性、ストレッチ性などの食品包装用ストレッチフィルムとしての必要物性は満たすものの、オーバーラップ性が低く、自動ストレッチ包装機での適性に劣る。そのため、自動ストレッチ包装機に用いるストレッチフィルムとして、高価なビニル芳香族化合物と共役ジエンとの共重合体の水素添加誘導体をポリオレフィンに添加したフィルム(特許文献4)、特殊なポリオレフィンと石油樹脂等からなる層を持つフィルム(特許文献5)が提案されている。
【0006】
【特許文献1】特開平11−77927号公報
【特許文献2】特開平9−154479号公報
【特許文献3】特開平11−320785号公報
【特許文献4】特開平9−165491号公報
【特許文献5】特開2001−138453号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、透明性、解反性、低収縮力、カット性、ヒートシール性、ストレッチ性などの食品包装用ストレッチフィルムとしての物性が優れていると共に、ストレッチ後の収縮速度が遅い特性を持ち、自動ストレッチ包装機への適性(オーバーラップ性)の良い、安価なポリオレフィン系樹脂を主体にする食品包装用ストレッチフィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、中心層をポリオレフィンで形成した安価な食品包装用ストレッチフィルムについて種々検討した結果、適度な柔軟性を有するポリオレフィン例えばランダムポリプロピレン又は低密度ポリエチレンを主体にし、これに石油樹脂等を配合した組成物を中心層にしたものは、ゴムライクな弾性特性があり、ストレッチ後の収縮速度が速く、オーバー性が悪いが、特定の極めて硬いポリオレフィンと特定の極めて柔らかいポリオレフィンを混合させた混合樹脂は、適度な柔軟性を保ちながら、ポリオレフィン特有のゴムライクな弾性特性を低減させ得ることを知見し、本発明を完成した。
【0009】
すなわち、本発明は、中心層及びその両外面層の少くとも3層からなる食品包装用ストレッチフィルムであって、その中心層が下記の成分(A)、(B)及び(C):
(A)ホモポリプロピレン20〜50質量%
(B)炭素数2〜12のαオレフィンの2種類以上を共重合させた共重合体であって、密度が0.85〜0.91g/cm3のαオレフィン共重合体10〜50質量%
(C)石油樹脂、テルペン樹脂、クマロン−インデン樹脂、ロジン系樹脂及びそれらの水素添加樹脂から選ばれた少なくとも一種の樹脂15〜50質量%
を含む樹脂組成物〔但し、(A)と(B)と(C)の合計は100質量%〕で形成され、両外面層がポリエチレン系樹脂で形成されていることを特徴とする食品包装用ストレッチフィルムである。上記(B)成分のαオレフィン共重合体は、密度0.85〜0.88g/cm3のエチレン−1-オクテン共重合体20〜80質量%と密度0.85〜0.88g/cm3のプロピレン−1-ブテン共重合体20〜80質量%との混合物が好ましい。また、上記の両外面層の最表層のポリエチレン系樹脂は、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂層が好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の食品包装用ストレッチフィルムは、透明性、解反性、低収縮力、カット性、ヒートシール性、ストレッチ性などの食品包装用ストレッチフィルムとしての物性が優れている。また、本発明の食品包装用ストレッチフィルムはストレッチ後の収縮速度が遅いため、フィルムをストレッチしてトレイの底部裏面でオーバーラップさせてからヒートシールするまでの間にフィルムの収縮による逃げが小さく、十分にオーバーラップさせた状態でヒートシールできる特性(いわゆる、オーバーラップ性が良い)を持つため、自動ストレッチ包装機での使用に適している。またオレフィン素材とするので安価である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の食品包装用ストレッチフィルムの中心層の(A)成分のホモポリプロピレンは、プロピレン単位からなるポリマーである。このポリマーは結晶性が高く、一般フィルムでは汎用されているが、ストレッチフィルムでは硬すぎるため従来使用されていない。このホモポリプロピレンは、一般的にはチーグラー・ナッタ触媒、メタロセン触媒などを用いて気相法で製造する。微量のエチレン、1−1-ブテンなどの共重合成分を含んでいても、ホモポリプロピレンとしての物性レベルにあるもの、具体的には結晶化熱量が80J/g以上であれば使用可能であるが、好ましくは共重合成分を含まない純粋なホモポリプロピレンである。(A)成分の配合量は、(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計量の20〜50質量%が好ましく、30〜40質量%がオーバーラップ性がもっとも良好となり更に好ましい。
【0012】
本発明における中心層の(B)成分のαオレフィン共重合体は、炭素数2〜12のαオレフィンの2種以上を共重合させた共重合体であって、密度が0.85〜0.91g/cm3のαオレフィン共重合体である。ポリオレフィンでは、密度が低いということは結晶性が低いということであり、結晶性が低いと柔軟になる。そのため、密度は柔軟性の指標になる。本発明において、(B)成分の密度が0.91g/cm3以上では、(A)成分のホモポリプロピレンの硬さを打ち消すことができず、食品包装用ストレッチフィルムとしては硬すぎる。好ましくは0.88g/cm3以下であり、0.87g/cm3以下が硬さ調整上好ましい。また、0.85g/cm3の未満の安価なαオレフィン共重合体についての知見がない。
【0013】
(B)成分のαオレフィン共重合体は、炭素数2〜12のαオレフィンの2種以上を、チーグラー−ナッタ触媒、メタロセン触媒を用いて気相法、液相法などで重合させて得ることができる。ここに炭素数2〜12のαオレフィンは、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセンなどである。特にメタロセン触媒を用いて液相法で重合させた密度0.85〜0.88g/cm3のエチレン−1-オクテン共重合体が好ましく、更に好ましいのは、この密度0.85〜0.88g/cm3のエチレン−1-オクテン共重合体と、密度0.85〜0.88g/cm3のプロピレン−1-ブテン共重合体との混合物である。密度が低く、より柔軟なαオレフィン共重合体或はそれらの組み合わせが、オーバーラップ性が良く、食品包装用ストレッチフィルムとしての適度な硬さを与えるためである。また、エチレン−1-オクテン共重合体又はプロピレン−1-ブテン共重合体のそれぞれの単独より、それらの混合物の方がオーバーラップ性能が優れているが、その理由は不明である。
【0014】
エチレン−1-オクテン共重合体において、エチレンと1-オクテンの重合割合は、エチレン80〜65質量%、1-オクテン20〜35質量%が好ましい。1−オクテンを20〜35質量%含むエチレン−1-オクテン共重合体樹脂は、低結晶性の軟質エラストマーであって、おおむね密度0.85〜0.88g/cm3でフィルムに適度な柔軟性を与える。1-オクテンが20質量%未満ではが密度が低く、柔軟なため好ましくない。また、1-オクテンが35質量%を超えると、ゴム弾性が強くなり、オーバーラップ性が低く、好ましくない。
【0015】
プロピレン−1-ブテン共重合体は、結晶性が低いほど密度が低く、フィルムに適度の柔軟性を与える。密度0.85〜0.88g/cm3のものが好ましい。また、プロピレン−1-ブテン共重合体は、密度の低いものでは、ベタツキにより樹脂ペレットの扱いが面倒になるため、ポリプロピレンを少量添加してベタツキを改良したものが好ましい。
【0016】
上記の共重合体の重合に用いるメタロセン触媒(カミンスキー触媒、シングルサイト触媒とも言われている)は、メタロセン系遷移金属錯体と有機アルミニウム化合物とからなる触媒で種々のものが知られている(特開平3−163088号公報、特開平7−118431号公報、特表平9−501711号公報参照)。このメタロセン系遷移金属錯体は、例えばチタン、ジルコニウム、ハフニウムなどの遷移金属に、シクロペンタジエニル基、ジシクロペンタジエニル基、インデニル基、テトラヒドロインデニル基などの基を配位子として1個又は2個配位させ、他に水素原子、酸素原子、ハロゲン原子、アルキル基などの配位子を配位させたものである。また有機アルミニウム化合物は、例えばトリメチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、ジメチルアルミニウムクロライドなどのアルキルアルミニウム、或はこれらのアルキルアルミニウムに水を接触させて生成される鎖状又は環状のアルミノキサンなどである。この触媒はシリカゲルやゼオライトなどの無機担体に担持させて使用することもある。
【0017】
本発明の中心層の(B)成分の配合量は、(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計量の10〜50質量%である。オーバーラップ性の良さから、好ましくは25〜35質量%である。
【0018】
本発明で用いる成分(C)は、石油樹脂、テルペン樹脂、クマロン−インデン樹脂、ロジン系樹脂及びそれらの水素添加樹脂から選ばれた少なくとも一種の樹脂である。石油樹脂としては、シクロペンタジエンまたはその二量体からの脂環式石油樹脂やC9成分からの芳香族石油樹脂などが挙げられ、テルペン樹脂としてはβ−ピネンからのテルペン樹脂やテルペン−フエノール樹脂が挙げられ、またロジン系樹脂としてはガムロジン、ウツドロジンなどのロジン樹脂、グリセリンやペンタエリスリトールで変性したエステル化ロジン樹脂などが挙げられる。これらの(C)成分は、(A)成分、(B)成分に混合した場合に比較的良好な相溶性を示すが、色調や熱安定性、相溶性といった面から水素添加誘導体を用いることが好ましい。
【0019】
石油樹脂等は主に分子量により種々のガラス転移温度を有するものが得られるが、本発明に適合し得るのはガラス転移温度が50〜100℃、好ましくは70〜90℃のものである。ガラス転移温度が50℃未満であると、混合樹脂組成物としての結晶性は低下するが、弾性率が低くなり過ぎてフイルム全体として好適な粘弾性特性を得ることが困難になる。一方ガラス転移温度が100℃を超えるものでは、添加量が少ないとポリオレフィンの結晶性が残存しその混合効果が小さく、また添加量を多くすると混合樹脂組成物としての結晶性は低下するが、ガラス転移温度の上昇に伴って弾性率も高くなり、ストレツチフイルムとして必要な伸展性や低温特性が損なわれる。(C)成分の配合量は、(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計量の15〜50質量%である。オーバーラップ性の良さから、好ましくは30〜40質量%である。
【0020】
本発明の中心層を形成する樹脂組成物には、(A)成分、(B)成分及び(C)成分以外に、少量のランダムポリプロピレンなどを添加することは可能であるが、物性が悪い方向に向かうため、(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計量に対して10%以下に押えることが好ましい。また、製造工程中に生じるサイクル品を中心層に混合してもよい。サイクル品を中心層に混合したときは、外面層の樹脂例えばエチレン−酢酸ビニル共重合体が中心層に混入することになる。その場合には、相比を変更し、ストレッチフィルム全体としての(A)成分と(B)成分と(C)成分の比率が、本発明で規定する範囲内になるようにすることで物性の変化を最小限にとどめることができる。
【0021】
本発明においては、中心層だけでは、適切なヒートシール性、粘着性、防曇性を設定するのが困難である。そのため、中心層の両面に他の樹脂層を設ける。この樹脂層は一層でも、二層以上でもよい。これらの樹脂層は、中心層より柔軟でオーバーラップ性などの物性にほとんど影響を与えないものが選ばれる。本発明の食品包装用ストレッチフィルムの両面の表面層、すなわち両外面層には、ポリエチレン系樹脂からなる層が適する。ポリエチレン系樹脂は、中心層より柔軟なことによりオーバーラップ性などの物性にほとんど影響を与えず、中心層のポリプロピレンを含む樹脂層より、軟化温度が低いことにより好適なヒートシール性となるため、好適に使用される。
【0022】
このポリエチレン系樹脂は、例えばエチレン−プロピレン共重合体、エチレン−1-ブテン共重合体、エチレン−1-ペンテン共重合体、エチレン−ヘキセン−1共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレンーアクリル酸メチル共重合体、エチレンーアクリル酸エチル共重合体、エチレンーアクリル酸共重合体、エチレンーメタアクリル酸メチル共重合体、エチレンーメタアクリル酸エチル共重合体、エチレンーメタアクリル酸共重合体、エチレンーメタアクリル酸エチル共重合体、アイオノマー樹脂、線状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、のようなエチレンを主体とするエチレン系共重合体や低密度ポリエチレンのようなポリエチレンである。エチレン−酢酸ビニル共重合体は特に軟化温度が低く、柔軟でオーバーラップ性などの物性にほとんど影響を与えることなく、良好なヒートシール性を持ち、適切な粘着性を持ち、防曇剤を混合してもあまり白濁しないので特に好ましい。
【0023】
本発明の食品包装用ストレッチフィルムの総厚さは、7〜15μmである。中心層と両外面層の厚さの比率は、1:1.5〜3:1が好ましい。
【実施例】
【0024】
表1の組成物を中心層にし、エチレン−酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニル含量15質量%、190℃MFR=2.0g/10分)100質量部に防曇剤としてジグリセリンモノオレ−ト2質量部を混練した組成物を表裏外面層にして、共押出インフレーシヨン成形し、総厚み10μm(表外面層2.5μm/中心層5μm/裏外面層2.5μm)のフイルムを得た。表1の組成物において、ホモポリプロピレンは住友化学社製FS2011DGである。エチレン−1-オクテン共重合体はダウ・エンゲージ社製EG8150(密度0.868)である。プロピレン−1-ブテン共重合体は住友化学社製タフセレンT−1712(プロピレン−1-ブテン共重合体85質量%とランダムポリプロピレン15質量%の混合物、密度0.86)である。エチレン−1−ヘキセン共重合体は住友化学社製FV103(密度0.907)である。石油樹脂は荒川化学工業社製アルコンP−125である。ランダムポリプロピレンは住友化学社製のS−131である。
【0025】
得られた各フィルムについて、オーバーラップ性、透明性、解反性、フィルムの収縮力を評価した。評価は次の方法によった。その結果も合わせて表1に示した。
オーバーラップ性:寺岡精工株式会社製のストレッチ自動包装機AW−3600を用いて、幅350mmの各ストレッチフィルムで、縦24cm×横24cm×高さ3cmの発泡スチロール製トレーを自動包装した。オーバーラップ性は、その際のトレー底面でのフィルムの重合部分の距離を測定して評価した。◎は6cmm以上、○は4cm以上〜6cm未満、△は2cm以上〜4cm未満、×は2cm未満、を表す。
透明性:ブル−ムによる透明性を評価した。すなわち、各ストレッチフィルムのロールを50℃の雰囲気中に10日間放置後、ヘイズ測定(JIS K7136-2000による光の散乱の測定)して評価した。値が小さいほど透明性がよい。○は3.0未満、△は3.0以上〜4.0未満、×は4.0以上、を表す。
解反性:350mm幅の各ストレッチフィルムのロールを50℃の雰囲気中に10日間放置後、ストログラフ・スピ−ド500mm/分で解反し、そのときの解反力を測定して評価した。○は200g/350mm以下、×は200g/350mm以上を表す。
収縮力:ストレッチ自動包装機AW−3600を用いて、幅350mmの各ストレッチフィルムで、縦20cm×横20cm×高さ3cmの発泡スチロール製トレーを自動包装した。このときのトレ−の歪みを目視して、ストレッチフィルムの収縮力を評価した。フィルムの収縮力が大きいほどトレーの歪が大きい。○は歪みがない、△は歪みが少ない、×は歪み大きい、を表す。なお、×にはフィルムが硬いためため引っ張ることができずに、機械の把持部から外れた場合も含まれている。
【0026】
【表1】

【0027】
表1から分かるように、中心層の(A)成分、(B)成分及び(C)成分の配合割合が本発明の範囲内である実施例1乃至10のストレッチフィルムは、総体的に優れており、実用上、使用可能であった。しかし、本発明で規定する要件を満たさない比較例1乃至7は著しく劣る点があり、実用にならなかった。すなわち、ホモポリプロピレンの配合量が少ない比較例1はオーバーラップ性が劣り、石油樹脂の配合量が少ない比較例2はオーバーラップ性が劣り、石油樹脂の配合量が多過ぎる比較例3は透明性、解反性が劣り、ホモポリプロピレンの配合量が多過ぎる比較例4は収縮力が劣り、αオレフィン共重合体の配合量が多過ぎる比較例5はオーバーラップ性が劣り、また、ホモポリプロピレンの代わりにランダムポリプロピレンを用いた比較例6,7はオーバーラップ性或はオーバーラップ性と収縮力が劣り、いずれも実用にならなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心層及び両外面層の少くとも3層からなる食品包装用ストレッチフィルムであって、その中心層が下記の成分(A)、(B)及び(C):
(A)ホモポリプロピレン20〜50質量%
(B)炭素数2〜12のαオレフィンの2種類以上を共重合させた共重合体であって、密度が0.85〜0.91g/cm3のαオレフィン共重合体10〜50質量%
(C)石油樹脂、テルペン樹脂、クマロン−インデン樹脂、ロジン系樹脂及びそれらの水素添加樹脂から選ばれた少なくとも一種の樹脂15〜50質量%
を含む樹脂組成物〔但し、(A)と(B)と(C)の合計は100質量%〕で形成され、両外面層がポリエチレン系樹脂で形成されていることを特徴とする食品包装用ストレッチフィルム。
【請求項2】
(B)成分のαオレフィン共重合体が、密度0.85〜0.88g/cm3のエチレン−1-オクテン共重合体20〜80質量%と密度0.85〜0.88g/cm3のプロピレン−1-ブテン共重合体20〜80質量%との混合物である請求項1記載の食品包装用ストレッチフィルム。
【請求項3】
両外面層のポリエチレン系樹脂が、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂層である食品包装用ストレッチフィルム。


【公開番号】特開2006−137064(P2006−137064A)
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−327868(P2004−327868)
【出願日】平成16年11月11日(2004.11.11)
【出願人】(000000550)オカモト株式会社 (118)
【Fターム(参考)】