説明

食品包装用フィルム

【課題】柔軟性、透明性、弾力復元性、引裂強度、ヒートシール性および耐寒性に優れ、その中でも特に引裂強度と耐寒性に優れ、低温時の包装や冷凍保存時にフィルムが割れることなく、また低温の雰囲気下での自動包装にも使用できるポリオレフィン系フィルムを提供する。
【解決手段】ポリプロピレン系樹脂100 重量部に対して、ビニル芳香族化合物と共役ジエンとの共重合体の水素添加誘導体10〜30重量部と、密度が0.860 g/cm3〜0.890 g/cm3 のエチレン・オクテンコポリマー10〜30重量部とを混合してなる樹脂組成物を芯層とし、この芯層の両側に内外層としてエチレン−酢酸ビニル共重合体からなる層を積層した3層からなる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、物品の包装用フィルム、特には透明で適度な粘着性を有し、引裂強度、復元性等に優れ、ヒートシール温度範囲の広い食品包装用フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】食品の包装、特に鮮魚、精肉、野菜等の生鮮食品の包装には、透明で適度な粘着性を有し、引裂強度、復元性に優れ、ヒートシール可能なストレッチラップフィルムが多数開発され食品包装用フィルム(以下、単にフィルムという)として広く使用されている。さらに近年、人手による包装に加えて、突き上げ式自動包装機やピロー式自動包装機等の機械を用いた自動包装が盛んに行われている。
【0003】自動包装に適したフィルムとして、例えば、特開平06-155676 号公報では、芯層をポリプロピレン、スチレン−ブタジエンブロック共重合体の水素添加物、エチレン−酢酸ビニル共重合体および/またはエチレン−α−オレフィン共重合体からなる混合物で形成し、この芯層の両側に内外層として酢酸ビニル共重合体からなる層を積層したポリオレフィン系フィルムを提案している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記提案のポリオレフィン系フィルムは、なかでも引裂強度、耐寒性が十分ではなく、包装後の商品を冷凍保存する際、フィルムが割れてしまったり、あるいは低温の雰囲気下において自動包装機による包装中にフィルムが裂け、包装を中断するなどの不具合があった。本発明の目的は、柔軟性、透明性、弾力復元性、引裂強度、ヒートシール性および耐寒性に優れ、その中でも特に引裂強度と耐寒性に優れ、低温時の包装や冷凍保存時にフィルムが割れることなく、また低温の雰囲気下での自動包装にも使用できるポリオレフィン系フィルムを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の食品包装用フィルムは、ポリプロピレン系樹脂100 重量部に対して、ビニル芳香族化合物と共役ジエンとの共重合体の水素添加誘導体10〜30重量部と、密度が0.860 〜0.890 g/cm3 のエチレン・オクテンコポリマー10〜30重量部とを配合してなる樹脂組成物を芯層とし、この芯層の両側に内外層としてエチレン−酢酸ビニル共重合体からなる層を積層した3層からなることを特徴としている。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明の芯層の主成分となる上記ポリプロピレン系樹脂は優れた透明性と引裂強度を有する樹脂で、MFR (メルトフローレシオ)が1〜10g/10分(温度230 ℃、荷重2.16kg)であり、プロピレンおよび/またはブテン−1成分の含有率が50重量%(以下、wt%と表記する)以上の非晶質ポリオレフィン20〜50wt%と、結晶性ポリプロピレン80〜50wt%を含有する。この非晶質ポリオレフィンは非晶質のオレフィンポリマーであり、例えば、非晶性のポリプロピレンやポリブテン−1あるいはプロピレンやブテン−1と他のα−オレフィンとの共重合体等を用いることができる。
【0007】非晶質ポリオレフィンは、ポリプロピレン系樹脂中での含量が20wt%未満では結晶性ポリプロピレン樹脂の有する結晶性が強く発現されるため、柔軟性が得られず、また、フィルム中での配向性が強まり引裂強度が低下する不具合があり、50wt%を超えると融点が低下するためにヒートシールの上限温度が低下するので好ましくない。なお、非晶質ポリオレフィンは、プロピレンおよび/またはブテン−1成分の含有率が50wt%未満では、結晶性ポリプロピレンとの相溶性が低下するので好ましくない。
【0008】次いで、上記結晶性ポリプロピレンは、ポリプロピレン系樹脂中での含量が50wt%未満では融点が低下するためにヒートシールの上限温度が低下する不具合があり、80wt%を超えると結晶性が強く発現されるため、柔軟性が得られず、また、フィルム中での配向性が強まり引裂強度が低下するので好ましくない。この結晶性ポリプロピレンは、好ましくはプロピレン単独重合体、あるいはエチレン成分を30wt%以下好ましくは1 〜25wt%含有するプロピレン−エチレンのランダム共重合体またはブロック共重合体が挙げられる。エチレン成分が30wt%を超えると融点が低下するために、ヒートシールの上限温度が低下するので好ましくない。
【0009】このようなポリプロピレン系樹脂を芯層の主要成分として配合することで非晶性の特徴により、フィルムの透明性(ヘイズ)に優れ、また、配向性が小さくなるので引裂強度にも優れ、さらにヒートシール温度範囲を高温側に広くしたフィルムが得られる。さらに、自動包装においてはフィルムの引張弾性率が重要な要因となる。しかし芯層にポリプロピレン系樹脂を単独使用した場合、引張弾性率が実用に適する範囲より高くなりすぎる。また、フィルム伸張時の50%応力は実用に適する範囲にあるものの、50%以上伸張されると塑性変形して復元性が得られず、さらに、耐寒性も得られない。
【0010】芯層には、上記ポリプロピレン系樹脂とともに、引張弾性率の低減と復元性の付与を目的として、MFR が1〜15g/10分(温度230 ℃、荷重2.16kg)のビニル芳香族化合物と共役ジエンとの共重合体の水素添加誘導体を配合する。このビニル芳香族化合物と共役ジエンとの共重合体の水素添加誘導体はゴム弾性を有するため、弾性変形領域が広範囲にわたって存在する。また、低応力で伸びるため引張弾性率も低い。これはポリプロピレン系樹脂100 重量部に対して10〜30重量部、より好ましくは12〜25重量部、さらに好ましくは12〜20重量部配合されるが、10重量部未満では、引張弾性率が実用に適する範囲まで低減しない、弾性が付与されず復元性が得られない等の不具合を生じる。一方、30重量部を超えると、配向性が強まりフィルムの引裂強度が低下する、復元性が強過ぎて自己粘着性が阻害される、透明性が低下する等の不具合を生じる。
【0011】使用されるビニル芳香族化合物としてはスチレンが代表的であり、この他にo-スチレン、p-スチレン、α- メチルスチレン等が挙げられる。共役ジエンとしてはブタジエン、イソプレン、1,3-ペンタジエン等が挙げられる。これらを適宜組み合わせて共重合されるが、例えば、スチレン−ブタジエンジブロック共重合体の水素添加誘導体(SEB )、スチレン−ブタジエン−スチレントリブロック共重合体の水素添加誘導体(SEBS)、スチレン−イソプレンジブロック共重合体の水素添加誘導体(SEP )およびスチレン−イソプレン−スチレントリブロック共重合体の水素添加誘導体(SEPS)等が挙げられる。また、ブロック共重合体以外にはランダム共重合体であってもよい。これらの中ではSEBS、SEPSが好ましく、より好ましくはSEBSである。
【0012】これら共重合体中のスチレン含有量は10〜40wt%であり、10wt%未満では応力の低下が著しく、50%応力が実用範囲に達せず、また、インフレーション成形時のバブル安定性が低下する不具合があり、40wt%を超えるとMFR が極めて小さくなるため成形時の溶融混練が不十分になり、透明性が低下するので好ましくない。水素添加は、共役ジエン中のオレフィン型二重結合の少なくとも80wt%以上、より好ましくは90wt%以上が水素添加されたものである。80wt%未満では成形加工時に熱劣化されやすく、架橋反応などが起こるので好ましくない。なお、共役ジエンがブタジエンの場合、その結合様式は1,4-結合または 1,2-結合であり、共役ジエンがイソプレンの場合、1,4-結合である。
【0013】芯層を構成する樹脂組成物に、前記ビニル芳香族化合物と共役ジエンとの共重合体の水素添加誘導体を配合することにより、弾性変形領域が広範囲になる、引張弾性率が実用に適する範囲まで低下する等の好ましい特性が得られるが、ビニル芳香族化合物と共役ジエンとの共重合体の水素添加誘導体を配合すると、これらが直鎖状樹脂のため配向してしまい、フィルムの縦方向(成形方向)に沿って裂けやすくなる。すなわちフィルム横方向(フィルムの成形方向と直交する方向)の引裂強度が低下する不具合がある。
【0014】本発明では、芯層を構成する樹脂組成物に、引裂強度と耐寒性の向上を目的として、MFR が0.1 〜8 g/10分(温度190 ℃、荷重2.16kg)、密度0.860 〜0.890g/cm3 のエチレン・オクテンコポリマーを配合する。このエチレン・オクテンコポリマーは長鎖分岐を有する樹脂のため、他の樹脂とよく絡み合い網目構造を形成することができる。これはポリプロピレン系樹脂100 重量部に対して10〜30重量部配合されるが、配合量が10重量部未満では配向性を弱められず、引裂強度と耐寒性が向上しない。30重量部を超えるとフィルム伸張時の50%応力が実用に適する範囲より低下する。また、本発明で用いられるエチレン・オクテンコポリマーの密度は0.860 〜0.890 g/cm3 の範囲でなければならない。密度が0.860 g/cm3 未満のエチレン・オクテンコポリマーは実用上存在しない。なぜなら、0.860 g/cm3 はエチレンの結晶化度を0%にした場合の密度である。一方、0.890 g/cm3 を超えるとエチレンの結晶化度が上がるため、エチレン・オクテンコポリマー自身の配向性が強まり、引裂強度と耐寒性の向上が図れない。
【0015】このエチレン・オクテンコポリマーは、オクテンコポリマーを20〜30wt%含有するエチレン・オクテンコポリマーであり、シングルサイト触媒を用いて製造された直鎖状低密度ポリエチレンである。オクテンコポリマーの含有量が20wt%未満では密度が0.890 g/cm3 以下にならず、30wt%を超えても密度は0.860 g/cm3までしか低下しない。芯層を構成する樹脂組成物に、このようなエチレン・オクテンコポリマーを配合することにより、引裂強度と耐寒性を向上させることができる。
【0016】本発明のフィルムは、従来のポリ塩化ビニルに替えてポリプロピレン系樹脂を主成分とし、好ましい透明性、引裂強度をフィルムに付与し、ヒートシール温度範囲を高温側に広げたものである。ただし、本発明で用いるポリプロピレン系樹脂は、引張弾性率が実用に適する範囲より極めて高く、降伏点を有し塑性変形する。このため芯層がポリプロピレン系樹脂のみからなるフィルムを自動包装機で使用すると、包装時にフィルムの弾性が強過ぎてフィルム押えからフィルムが抜けてしまうことがある。また、フィルムが抜けずに包装された場合でも、フィルムの弾性が強過ぎるため、自己粘着性とヒートシール性を阻害してしまう。さらに、フィルムの伸張が50%を超えた場合には、塑性変形してしまい、フィルムに張りがなく復元性が得られない。
【0017】このため、ビニル芳香族化合物と共役ジエンとの共重合体の水素添加誘導体を樹脂組成物に配合して、ゴム弾性による復元性をフィルムに付与するとともに引張弾性率を低減している。ただし、前記水素添加誘導体は直鎖状樹脂であるため、分子がフィルムの縦方向に沿って配向し裂けやすくなる。この対策として、長鎖分岐を有し他の分子とよく絡み合って網目構造を増加させることができる。エチレン・オクテンコポリマーを配合することにより、フィルム中での分子の配向性を見掛け上弱めることが可能となり、引裂強度と耐寒性が向上する。このようにして、フィルム横方向の50%応力、引張弾性率および引裂強度を満足することができ、柔軟性、透明性、復元性、引裂強度、ヒートシール性、耐寒性をフィルムに付与することができる。
【0018】芯層を構成する上記樹脂組成物には、さらに、モノグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、およびポリオキシエチレンアルキルエーテル等の界面活性剤を添加することもできる。これらの具体例としては、モノグリセリンラウレート、モノグリセリンオレート、ポリグリセリンラウレート、ポリグリセリンオレート、ソルビタンラウレート、ソルビタンオレート、ポリオキシエチレンラウリルエーテル等が挙げられる。また、触媒残渣等の悪影響を防止するために中和剤、酸化防止剤等を添加してもよい。さらに、内外層で使用するエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−プロピレンゴム等を添加することもできる。
【0019】本発明のフィルムは、内外層として上記芯層の両側に、MFR が0.5 〜10 g/10分(温度190 ℃、荷重2.16kg)のエチレン−酢酸ビニル共重合体からなる層を積層して形成される。使用されるエチレン−酢酸ビニル共重合体は、酢酸ビニルの含有量が5 〜20wt%が好ましく、5 wt%未満では粘着性が発現しないため自己粘着性が得られなくなり、20wt%を超えると粘着性が強くなり過ぎて包装適正が低下する。芯層の両側に設けられる内外層は、上記エチレン−酢酸ビニル共重合体を主成分とする樹脂組成物に、前記芯層に添加しているものと同様の界面活性剤を添加してもよく、界面活性剤を添加することにより、ストレッチラップ多層フィルムの光沢や透明性を阻害せず、自己粘着性、滑り性、防曇性を改良することができる。
【0020】本発明のフィルムの厚さは8〜25μmで、芯層の厚さは3〜20μmであり、芯層の両側に設けられる内外層はいずれの層も少なくとも1μmの厚さを有する。芯層の厚さが3μm未満では芯層としての物性が発現されず、エチレン−酢酸ビニル共重合体の有する塑性変形が発現し復元性が付与されない。さらに、エチレン−酢酸ビニル共重合体の配向により引裂強度が低下する。また、高温側のヒートシール温度範囲が低下する。一方、芯層の厚さが20μmを超えるとエチレンー酢酸ビニル共重合体の層が薄くなるため低温側のヒートシール性が低下する。また、芯層の弾性が強まるため、引張弾性率が高くなって自己粘着性が阻害される。
【0021】本発明の上記構成からなるフィルムは優れた特性を有するが、手包装、突き上げ式自動包装機およびピロー包装機で使用するのに好適なフィルムの柔軟性の尺度となるフィルム横方向の50%応力(JIS K 6732準拠)は4.00〜9.00 N/mm2、より好ましくは4.50〜8.50 N/mm2の範囲にある。この値が4.00 N/mm2未満ではフィルムが柔らかすぎて包装後のフィルムの張りが弱く、このフィルムで包装した商品を陳列時段づみするとフィルムが商品の重さでたるんでしまったり、しわが残ったりする。一方、9.00 N/mm2を超えると硬くて伸びにくいフィルムとなり、包装時にトレーが割れたり、商品をタイトに包装できないなどの不具合が発生する。
【0022】本発明のフィルムの弾性変形や塑性変形、復元性の判断の尺度となるフィルム横方向の引張弾性率(JIS K 7113に準拠し引張強度50%で測定)は50.00 〜110.00 N/mm2、より好ましくは55.00 〜105.00 N/mm2の範囲にある。50.00 N/mm2未満では50%応力が下限値に達せず、また弾性が弱いために包装後のフィルムに十分な復元性が付与されない。一方、110.00 N/mm2を超えると、高弾性となり復元性が強くなりすぎてしまい、自己粘着性とヒートシール性が阻害される。フィルムの配向性の尺度となるフィルム横方向の引裂強度(JIS K 6732準拠)は55.00 〜90.00 N/mm2 、より好ましくは60.00 〜85.00 N/mm2 の範囲にある。55.00 N/mm2未満では縦方向に沿って配向性が強すぎて、手包装時に、フィルムを掴んだ指先にかかる応力に負けてフィルムが裂けてしまい実用に適さない。一方、90.00 N/mm2 を超えると横方向に配向性が強まるため、フィルム縦方向の伸びが低下して包装後のフィルムにしわが残ってしまう。
【0023】
【実施例】本発明のフィルムは、多層インフレーション法により製造される。すなわち、3台の押出機を用いて3層インフレーションダイスより溶融樹脂フィルムを所定の層厚が得られるよう共押出しする。次いで、該溶融樹脂フィルムを冷却用エアで冷却しながら、ブロー比が3〜10の範囲になるようブローアップする。その後、引取り機内でピンチロールにて折りたたみ、このフィルムを巻取り機にて35cm幅で所定の厚さに巻取る。このとき、ブロー比は3〜10の範囲でなければならない。ブロー比が3未満では、樹脂が成形方向(フィルム縦方向)に沿って配向するため、所定の引裂強度が得られない。一方、ブロー比が10を超えると、ブローアップ時のバブルが不安定になり成膜できない。
【0024】得られたフィルムの各物性は、下記の方法により測定評価した。
1.MFR ;ASTM-D1238に準じて測定した。
2.密度;JIS K7112 に準じて測定した。
3.透明性(ヘイズ%);JIS K7105 に準じてフィルム1枚で測定した。この値が2.0 %以下であれば実用上好適である。
4.復元性;張設したフィルムに30g の鉄球(径2cm)をのせ、これを2cm押し込んで取り除いた後、フィルムの凹みとしわが5秒以内に復元した場合を“〇”(良)とし、復元しない場合を“×”(不良)と評価した。
5.耐寒性;−30℃の雰囲気下で張設したフィルムに50cmの高さから10g の鉄球を落とし、10回中9回以上破れなかった場合を“〇”とし、破れた場合を“×”とした。
6.ヒートシール性;200gの重りを入れたPSP トレーSK-20 (中央化学社製、商品名)をハンドラッパーで包装し、熱板の上に2秒間放置してヒートシールさせた後、ヒートシールの状況を確認し、温度範囲を確認した。温度範囲の下限値はフィルムが融着を開始する熱板の表面温度で、上限値はフィルムが溶融して穴開きが発生する温度である。
【0025】7.自動包装機適正;寺岡精工社製自動包装機AW-2600Jr を使用して、200gの重りを入れたSK-20 トレーを100 パック包装して包装状態を確認した。
a.トレー割れ;100 パック中、0パックを“〇”とし、1パック以上を“×”とした。
b.しわ、弛み;100 パック中、2パック以内を“〇”とし、3パック以上を“×”とした。
c.シール性;底シールの剥れや穴開きが、100 パック中、2パック以内を“〇”とし、3パック以上を“×”とした。
d.破れ;100 パック中、2パック以内を“〇”とし、3パック以上を“×”とした。
【0026】8.手動包装機適正;ハンドラッパーを使用して、200gの重りを入れたSK-20 トレーを50パック包装して包装状態を確認した。
a.しわ、弛み;50パック中、2パック以内を“〇”とし、3パック以上を“×”とした。
b.シール性;底シールの剥れや穴開きが、50パック中、2パック以内を“〇”とし、3パック以上を“×”とした。
c.破れ;50パック中、2パック以内を“〇”とし、3パック以上を“×”とした。
【0027】このようにして、下記の表に示す配合組成、フィルム厚さおよびブローアップ比にて実施例(表1)、比較例(表2)のフィルムを製造した。実施例の結果を表3に、比較例の結果を表4に示した。なお、表3、表4中のMDはフィルムの成形方向を示し、TDはフィルムの成形方向と直交する方向を示す。表から明らかなとおり、実施例のフィルムはいずれも表3に示したとおりの優れた特性を有していた。これに対して、比較例のフィルムは本発明のフィルムより劣っていた。
【0028】
【表1】


【0029】
【表2】


【0030】
【表3】


【0031】
【表4】


【0032】
【発明の効果】本発明のフィルムは、手包装、突き上げ式自動包装機およびピロー包装機で使用するのに好適な柔軟性、透明性、復元性を有するとともに、好適な引裂強度、引張弾性率を有し、ヒートシール性に優れ、かつ広いヒートシール温度範囲を有し、さらに、耐寒性に優れ、低温雰囲気下での自動包装にも使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】ポリプロピレン系樹脂100 重量部に対して、ビニル芳香族化合物と共役ジエンとの共重合体の水素添加誘導体10〜30重量部と、密度が0.860 〜0.890 g/cm3 のエチレン・オクテンコポリマー10〜30重量部とを混合してなる樹脂組成物を芯層とし、この芯層の両側に内外層としてエチレン−酢酸ビニル共重合体からなる層を積層した3層からなることを特徴とする食品包装用フィルム。