説明

食品容器

【課題】 包丁等の刃物を使うことなく、豆腐等の食品をカットして、あるいはカットせずにまるごと取り出すことができる食品容器を提供する。
【解決手段】 上面開口を有しており食品が収容される容器本体と、外周縁が前記上面開口の開口周縁に対して剥離可能に接着されて容器本体を密封するシート状の蓋体と、を備える食品容器において、蓋体は、外蓋と内蓋が剥離可能に接着されてなり、内蓋の外周縁が開口周縁に剥離可能に接着されることにより容器本体を密封し、外蓋のみが剥離されることにより容器本体側に残される内蓋に格子穴が形成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、豆腐やゼリー等の食品をカットした状態で取り出すことができる食品容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、豆腐やゼリー等の食品は、これを丸ごと樹脂製の容器本体に入れて、容器本体の上面開口を樹脂製フィルムで密封することにより包装しており、鍋物や小分けにする場合は、容器から取り出してから包丁でサイの目切りにすることが一般的に行われている。しかし、これらの食品は、非常に軟らかく、サイの目切りにする作業中で型崩れさせてしまうことが多い。また、型崩れさせないように掌の上に取り出してそのまま包丁を使う人もいるが、不安定で切り難いうえに怪我をする危険性がある。更に包丁や手を洗うなどの手間が必要で煩わしい。
【0003】
これに対し、図7(a)に示すように、上面及び一側面に開口を備え、上面開口10aには、糸状体101を格子状に張り渡して固定する一方、側面開口10bには、当該開口を上下方向に分割するように水平方向に糸状体102を張り渡して固定する食品切断器10が提案されている。この食品切断器10によれば、格子状に糸状体101が張り渡された上面開口10aから食品を投入した後、容器を傾けて水平方向に糸状体102が張り渡された側面開口10bから食品を排出させることにより、刃物を使わずに食品をサイの目切りにすることができる(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、図7(b)に示すように、プラスチック製の容器本体201に食品Fを収容して、容器本体201の上面開口201aに糸状体202を格子状に張り渡すように固定しておき、その上を樹脂製フィルム203で覆って周縁部を接着することにより密封した食品容器20が提案されている。この食品容器20によれば、樹脂製フィルム203を剥がして、上面開口201aを下方に向けるように容器本体201を天地逆にして底面201bを押し下げるだけで、食品Fをサイの目切り状態で取り出すことができる(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】登録実用新案第3000967号公報
【特許文献2】特開平11−243896号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、図7(a)に示す食品切断器10では、これに食品を投入する作業中に型崩れさせてしまう可能性は依然としてあり、また、このような複雑な形状の器具を洗うことは大変手間であるという問題がある。図7(b)に示す食品容器については、取り出される食品Fが糸状体202によって必ず格子状にカットされるため、例えば豆腐を冷奴にする等の事情で食品をそのままカットせずに取り出す、いわゆる一丁出しの場合には使えないという問題がある。かかる場合、容器本体201の上面開口201aに固定された糸状体202をカットすることで対応は可能だが、一丁出しには本来不要である刃物が必要となるうえに、複数本の糸状体202をカットすることは煩わしく、その際に食品Fを傷つけてしまう恐れもある。
【0007】
また、上記食品容器20は、糸状体202で形成される格子の間隔を狭くすることにより、上面開口201aに直交する方向において細かく切り分けることはできるが、上記食品切断器10のように上面開口と平行な面で切り分ける機能は備えていない。そのため、図7(c)に示すように、格子間隔を狭くしても、食品を上下方向に細長い形状にしかカットすることができず、細かいサイの目切りを実現したい場合は、容器本体の深さを極端に浅くするしかないという制約がある。
【0008】
本発明は、上記のような事情に鑑みて、包丁等の刃物を使うことなく、豆腐等の食品をカットして、あるいはカットせずにまるごと取り出すことができ、更には食品を容器の深さ方向において切り分けることができる食品容器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1記載の食品容器は、
上面開口を有しており食品が収容される容器本体と、
外周縁が前記上面開口の開口周縁に対して剥離可能に接着されて前記容器本体を密封するシート状の蓋体と、を備える食品容器において、
前記蓋体は、外蓋と内蓋が剥離可能に接着されてなり、前記内蓋の外周縁が前記開口周縁に剥離可能に接着されることにより前記容器本体を密封し、前記外蓋のみが剥離されることにより容器本体側に残される内蓋に格子穴が形成されていることを特徴とする。
【0010】
請求項2記載の食品容器は、
上面開口を有しており食品が収容される容器本体と、
外周縁が前記上面開口の開口周縁に対して剥離可能に接着されて前記容器本体を密封するシート状の蓋体と、を備える食品容器において、
前記容器本体の側周壁の内面沿いに、糸状体が概ねループ形状をなすように、かつ、引張力が加わることにより容易に外れ又は破断する保持手段で、前記上面開口と略平行に保持されており、
前記側周壁の少なくとも一箇所には、前記糸状体を容器の外側に引き出すための引出孔が形成されるとともに、該引出孔から前記糸状体の一部が導出されており、
該引出孔は、閉塞部材が取り付けられることにより塞がれていることを特徴とする。
【0011】
請求項3記載の食品容器は、
上面開口を有しており食品が収容される容器本体と、
外周縁が前記上面開口の開口周縁に対して剥離可能に接着されて前記容器本体を密封するシート状の蓋体と、を備える食品容器において、
前記蓋体は、外蓋と内蓋が剥離可能に接着されてなり、前記内蓋の外周縁が前記開口周縁に剥離可能に接着されることにより前記容器本体を密封し、前記外蓋が剥離されることにより容器本体側に残される内蓋に格子穴が形成されており、
前記容器本体の側周壁の内面沿いに、糸状体が概ねループ形状をなすように、かつ、引張力が加わることにより容易に外れ又は破断する保持手段で、略水平に保持されており、
前記側周面には、前記糸状体を容器の外側に引き出すための引出孔が形成されるとともに、該引出孔から前記糸状体の一部が導出されており、
該引出孔は、閉塞部材が取り付けられることにより塞がれていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の食品容器によれば、以下の優れた効果を奏する。上面開口を密封する蓋体の外蓋のみを剥離した場合には、格子穴が形成されている内蓋が容器本体側に残されるので、その状態で容器本体を天地逆にして収容されている食品を取り出す場合には、内蓋の格子で食品をカットすることができる。また、上面開口を密封する蓋体全部(内蓋及びの外蓋)を剥離した場合には、上面開口が全開されることとなり、容器本体に収容されている食品をカットすることなく、そのままの状態で取り出すことができる。
【0013】
請求項2記載の食品容器によれば、以下の優れた効果を奏する。糸状体を容器本体の側周壁の内面に沿って概ねループ状をなすように、容易に外れ又は破断する保持手段で、上面開口と略平行に保持したので、それを側周壁に形成される引出孔から引き出すことにより、糸状体で形成されるループ状部分が絞られて容器本体に収容されている食品をカットすることができる。したがって、食品を容器本体から取り出すことなく上面開口と平行な面で切り分けることができる。また、引出孔は閉塞部材で塞がれているので、食品が引出孔から洩れ出ることはない。
【0014】
請求項3記載の食品容器によれば、請求項1及び2記載の食品容器が奏する効果を奏し、容器本体に収容されている食品を、糸状体により上面開口と平行な面で切り分けたうえで、内蓋の格子を通過させて取り出すことにより、容器のサイズに影響されることなく、細かなサイの目切り等を施すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第一実施形態に係る食品容器の斜視図であって、(a)は食品が充填された容器本体を蓋体(外蓋及び内蓋)で密封した状態、(b)は容器本体から外蓋のみを剥離している状態、(c)は容器本体から外蓋及び内蓋を合わせて剥離している状態を示している。
【図2】本発明の第一実施形態に係る食品容器を構成する蓋体であって、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A断面図、(c)は外蓋と内蓋を剥離している状態を示す断面図。
【図3】本発明の第二実施形態に係る食品容器を構成する容器本体の斜視図であり、(a)は容器本体から糸状体を引き出す前の状態、(b)及び(c)は糸状体を引き出している途中の状態を示している。
【図4】本発明の第二実施形態に係る食品容器(容器本体)の斜視図であり、(a)は容器本体から糸状体を完全に引き出した状態、(b)は食品が充填された容器本体を蓋体(外蓋及び内蓋)で密封したままで糸状体を完全に引き出した状態、(c)は更に外蓋のみを剥離している状態を示している。
【図5】本発明の第三実施形態に係る食品容器(容器本体)の斜視図であり、(a)は容器本体に切断具をセットした状態、(b)は食品が充填された容器本体を蓋体で密封した状態、(c)は蓋体を剥離して切断具を操作し終わった状態、(d)更に食品を横方向に切り分ける方法を示している。
【図6】第一実施形態及び第二実施形態の変形例に係る食品容器の斜視図で、(a)は分解図、(b)は外蓋のみを剥離している状態、(c)は外蓋及び上側の内蓋を合わせて剥離している状態を示している。
【図7】(a)は従来の食品切断器、(b)は従来の食品容器、(c)は従来の食品容器の問題点を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(本発明の第一実施形態)
図1に示す食品容器1は、上面開口21(同図(c))を有しており豆腐Tが充填される容器本体2と、外周縁3aが容器本体2の上面開口21の開口周縁21aに剥離可能に接着されて容器本体2を易開封可能に密封するシート状の蓋体3と、を備えてなる。
【0017】
容器本体2は、PP(ポリプロピレン)、PVC(ポリ塩化ビニル)、PE(ポリエチレン)、EVA(エチレン酢酸ビニル)、PS(ポリスチレン)等の合成樹脂で成形される略直方体形状の浅型容器で、充填された豆腐Tが収容されている。上面開口21は、容器本体2の上面全体に形成される略四角形の開口で、その外周縁の全体に亘って、略四角形で額縁状の開口周縁21aが一体的に形成されている。なお、容器本体2は薄肉に形成されており、底面22を押すことで豆腐Tを容易に外部に排出することができる。
【0018】
蓋体3は、上面開口21及び開口周縁21aを覆う合成樹脂製のシート体で、略同じ大きさの外蓋31と内蓋32を上下に重合させて剥離可能に接着することにより形成されている。上側の外蓋31は、上面開口21を全面的に閉鎖することができる略四角形のシート体であり、下側の内蓋32は、略四角形で額縁状の外周縁32aと、外周縁32aで囲まれる開口部分を4列×5列(複数列×複数列)の格子穴32bに区画する網状体32cと、が一体的に形成されているシート体であり、略四角形のシート体から格子穴32bに相当する部分を切り抜くことより形成される。網状体32cを形成する桟は、糸状体のように極めて細く形成されている。
【0019】
より具体的に述べると、蓋体3は、図2に示すように、プルタブ311を有する外蓋31と、プルタブ321を有する内蓋32と、の間に接着材層33を介する積層シート体である。内蓋32は、図2(b)に示すように、格子穴32bを開口形成するために切り抜かれる部分と一体的に形成されるシート体であり、上記切り抜き部分との間には、容易に相互分離させるためのハーフカットの切れ目32dが形成されている。外蓋31の接着面(下面)において内蓋32に対応する部分には、接着材層33に対して容易に剥離可能である易剥離層34が形成されている。したがって、図2(c)に示すように、外蓋31を引き上げると、外蓋31と接着材層33で直接接着されている上記切り抜き部分は、外蓋31とともに内蓋32から離脱する一方、易剥離層34を介して接着されている内蓋32は、外蓋31から剥離されることになる。
【0020】
すなわち、内蓋32の外周縁32aを上記外周縁3aとして、図1(a)に示すように、容器本体2の開口周縁21aに剥離可能に接着することで、容器本体2の上面開口21が易開封可能に密封され、その密封状態から外蓋31のみを剥離することで、図1(b)に示すように、容器本体2側に残される内蓋32によって上面開口21に形成される複数の格子穴32bが露出する。なお、外蓋31のみを剥離しようとする際に、内蓋32まで剥離されることがないように、内蓋32と容器本体2との接着力は、外蓋31と内蓋32との接着力よりも大きく設定しておく必要がある。
【0021】
上記のとおりであるから、図1(b)に示すように、プルタブ311を引き上げて外蓋31のみを剥離し、更に容器本体2を天地逆にして底面22を押し下げることにより、豆腐Tが上面開口21から下方排出され、その際、上面開口21に張り渡されている網状体32cによって豆腐Tを格子状にカットすることができる。また、図1(c)に示すように、プルタブ321を引き上げて内蓋32をその上面側に接着されている外蓋31とともに剥離し、更に容器本体2を天地逆にして底面22を押し下げることにより、豆腐Tは上面開口21からカットされることなく丸ごと排出される。
【0022】
(本発明の第二実施形態)
上記第一実施形態では、格子穴32bを、その一辺の長さ寸法が容器本体2の深さ寸法と略同じになる正方形に設定しておくことで、容器本体2から排出される豆腐Tをいわゆるサイの目切りにすることができる。更に網状体32cの網目を細かくして格子穴32bの寸法を小さく設定することで、豆腐Tを細かくカットすることができるようになるが、それに応じて容器本体2の深さ寸法も浅くしなければ、上記従来の食品容器(図7(c))と同様にサイの目切りにカットすることはできない。なお、容器本体2の深さ寸法が大きく設定されている場合においても同様の問題がある。
【0023】
そこで、本実施形態では、収容している豆腐(食品)を取り出すことなく、上面開口と平行な面で切り分けることができる容器本体4について説明する。図3及び図4に示す容器本体4は、上述した容器本体2と同様に、PP、PVC、PE、EVA、PS等の合成樹脂で成形される概ね直方体形状の深型容器で、その内部に豆腐が収容される。また、その上面開口41は、上述した容器本体2の上面開口21と同様に、容器本体4の上面全体に形成される略四角形の開口で、その外周縁の全体に亘って、略四角形で額縁状の開口周縁41aが一体的に形成されている。容器本体4は薄肉に形成されており、底面42を押すことで内部に収容した豆腐を容易に排出することができる。
【0024】
なお、容器本体4は、図4(b)及び(c)に示すように、豆腐Tが充填されるとともに易開封性の蓋体3′で密封される食品容器1′を構成するものであるが、図3及び図4(a)では、説明の便宜上、豆腐T及び蓋体3′を省略する。ここで、蓋体3′は、長さ及び幅の寸法形状や格子穴の数(網状体の桟の数)を除けば、図1に示す蓋体3と同構造であり、外蓋31′と内蓋32′を剥離可能に接着してなり、上面開口41及び開口周縁41aを覆う合成樹脂製の積層シート体である。上側の外蓋31′は、上面開口41を全面閉鎖するシート体で、下側の内蓋32′は、額縁状の外周縁32a′とその開口部分を3列×4列(複数列×複数列)の格子穴32b′に区画する網状体32c′を一体化したシート体である。
【0025】
さて、容器本体4において、図3(a)に示すように、その側周壁43、44,45,46の上下方向の略中央部分の内面側に沿って、合成樹脂で形成される糸状体51が概ねループ形状をなすように、かつ、上面開口41と略平行となるように保持されている。糸状体51は、側周壁43、44,45,46の内面の7箇所(複数箇所)に熱接着されるテープ52,53,54で保持されており、一部が側周壁46の中央付近に貫通形成される引出孔46aから外部に導出されて、外側面に熱接着されるテープ55でずれ動かないように保持されている。テープ55は、糸状体51を保持するほか、引出孔46aを閉塞するものであるが、糸状体51の外部に導出されている部分51aを強く引くことで捲れて、これにより、糸状体51は引出孔46aから外部へ引き出し可能な状態になる。
【0026】
テープ52は、側周壁43、44,45,46どうしが連結される四箇所のコーナー部に接着され、テープ53は、相互に対向する側周壁44,46の中央付近に接着され、テープ54は、側周壁46の引出孔46aと対向する側周壁44の中央付近に接着されている。そして、テープ52,53,54のうち少なくともテープ54については、糸状体51を水平方向に相対スライド可能な状態で保持している。また、テープ52,53,54は、引出孔46aから糸状体51が引き出されて引張力が加えられたときに、容易に外れるように接着力が設定されており、更に52、53、54の順で外れるように接着力が調整されている。なお、テープは引張力が加えられたときに容易に破断するように強度を設定しておき、更に52、53、54の順で破断するようにしても良い。
【0027】
したがって、引出孔46aから外部に導出されている糸状体51の端部51aを引っ張ることにより、まず、図3(b)に示すように、テープ55が捲れ上げるように剥がれて、糸状体51が引出孔46aから引き出され、それに伴って生じる引張力で四箇所のコーナー部に接着されているテープ52が剥がれることにより、糸状体51で形成されるループ形状が菱形状に狭められる。これにより、容器本体4に収容されている食品が糸状体51で囲まれる菱形状部分を残して、上下方向の中央部分で水平方向にカットされる。糸状体51を更に強く引っ張ることにより、図3(c)に示すように、側周壁44,46に接着されているテープ52も剥がれて、糸状体51は相互に近接する直線状となる。
【0028】
更に糸状体51を引っ張り続けることにより、図4(a)に示すように、最後にテープ54が剥がれて、糸状体51が容器本体4から完全に引き出される。これにより、糸状体51は、図4(b)において符号Cで示すような切断線をもって、容器本体4に収容されている食品を水平方向に完全にカットすることとなる。そして、外蓋31′のみを剥離し、容器本体4を天地逆にして、底面42を押し下げることにより、豆腐Tが2×3×4=24個のサイの目に切り分けられた状態で外部に排出することができる。
【0029】
(本発明の第三実施形態)
上記第二実施形態に係る食品容器1′は、容器本体4に収容されている豆腐(食品)を取り出すことなく、上下に切り分けるようにしたものであるが、本実施形態に係る食品容器6も容器本体7内に収容する食品を取り出さずに上下に切り分けることができる。図5(a)に示す容器本体7は、PP、PVC、PE、EVA、PS等の合成樹脂で成形される概ね直方体形状の深型容器で、その上面全体に上面開口71が形成されている。上面開口71の外周縁には、その全体に亘る額縁状の開口周縁71aが一体的に形成されている。容器本体7は薄肉成形されており、底面72を押すことで食品を容易に排出することができる。
【0030】
容器本体7には、豆腐Tを上下に切り分けるための合成樹脂製の切断具73が附属されている。切断具73は、図5(a)に示すように、上面開口71に架け渡されて両端が開口周縁71aで支持される細長い薄板状の架渡部73aと、架渡部73aの両端付近からそれぞれ容器本体7の内面沿いに垂下して相互に対向する二本の細長い薄板状の垂下部73bと、垂下部73bの間に張り渡される切断糸73cを備えてなる。垂下部73bは、架渡部73aと一体的に形成されており、切断具73が容器本体7内に安定的に収容されるように、下端部が容器本体7の底面72に接する程度の長さに設定されており、切断糸73cは、容器本体7の上下方向の略中間部に位置するように張り渡されている。
【0031】
図5(a)に示すように切断具73を容器本体内の一端に寄せられた状態で収容されている容器本体7に対して、そのままの状態で豆腐Tを充填し、更に蓋体8による密封処理を行うことにより、図4(b)に示す豆腐T入りの食品容器6が形成される。蓋体8は、上面開口71及び開口周縁71aを覆う合成樹脂製のシート体で、外周縁の全体が開口周縁71aに対して剥離可能に接着されることにより容器本体7を密封する。切断具73は、薄板状の架渡部73aが相互接着される開口周縁71aと蓋体8の外周縁との間に挟み込まれた状態で保持されることになる。なお、架渡部73aが挟み込まれている部分から水洩れや異物混入等しないように、架渡部73aの長さ寸法を短めに設定することで、開口周縁71aと蓋体8の外周縁の接着しろを確保している。なお、本実施形態において、蓋体は接着されるシート体とする必要は無く、容器本体と嵌合する成形品としても良い。
【0032】
そして、容器本体7から豆腐Tを取り出すときには、蓋体8を剥がした後、架渡部73aの両端を手で持つなどして、図5(c)に示すように、切断具73をスライド移動させて容器本体7内を横切らせることにより、切断糸73cが、符号Cで示すような切断線をもって豆腐Tを水平方向にカットすることとなる。切断糸73cによるカット後は、図5(d)に示すように、切断具73を上方に引き抜いて、例えば、図5(d)に示すように、垂直方向に延びる薄板状の切断刃91を平面視格子状をなすように形成し、その上面に保持パネル92が連結される切断器9を容器本体7内に差し込むことにより豆腐Tをサイの目切りにすることができる。なお、切断刃91の縦方向の寸法は、容器本体7の深さ寸法よりも長く設定されており、保持パネル92の上面にはエア抜孔92aが形成されている。
【0033】
(上記実施形態の変形例)
上記第一実施形態及び第二実施形態では、内蓋は一枚のみとしたが、格子穴の形状が相互に異なる二枚以上の内蓋を設定することとしても良い。例えば、図6(a)に示すように、容器本体20の側周壁の上下方向の略中央部分の内面側に沿って、合成樹脂で形成される糸状体201を概ねループ形状をなすように、かつ、上面開口と略平行となるようにテープで保持しておき、また容器本体に形成される引出孔から引き出し可能にした状態で引出孔をテープで塞いでおく。また、容器本体20の上面開口を、一枚の外蓋301と、二枚の内蓋302,303と、で覆うように、かつ、剥離可能に接着して、内蓋302については6列×8列の格子穴を形成しておく一方、内蓋303については3列×4列の格子穴を形成しておく。
【0034】
そして、図6(b)に示すように、外蓋301のみを剥離させることにより、内蓋302が露出させられ、この際に糸状体201を引き出してから、容器本体20を天地逆にして底面を押し下げることで、内部に収容されている食品を6×8×2=96個のサイの目切りにした状態で排出することができる。また、外蓋301と共に内蓋302も剥離させることにより、内蓋303が露出させられ、そのまま容器本体20を天地逆にして底面を押し下げることで、内部に収容されている食品を3×4×1=12個のサイの目切りにした状態で排出することができる。更に、外蓋301と共に内蓋302,303も剥離させれば、容器本体20の上面開口は完全に開放されて、食品をカットすることなく、丸ごと排出させることができるようになる。本変形例では、内蓋303の格子穴を形成する桟は、内蓋302の格子穴を形成する桟に重なり合うように設定したが、必ずしも重なり合うものである必要は無い。
【0035】
上記第二実施形態及び上記変形例では、容器本体に収容されている食品をカットする糸状体は、容器本体の側周壁の上下方向における中間位置に一本のみ設けることとしたが、これに限らず、上下方向の異なる高さ位置に二本以上設けることとしても良い。また、糸状体を保持する保持手段としてテープを採用したが、テープ以外の保持手段を採用しても良い。例えば、容器本体に糸状体を保持する手段を一体的に形成することとしても良い。更に、糸状体の引出孔を塞ぐ閉塞手段として、テープではなく、引出孔に差し込む栓体を採用することとしても良い。
【0036】
上記第三実施形態においては、切断糸を容器本体の上下方向における中間位置に一本のみ設けることとしたが、二本以上の切断糸を異なる高さ位置に設けることとしても良い。 上記第一乃至第三実施形態では、食品容器に収容される食品として豆腐を例として説明したが、これに限らず、ゼリーや寒天など、他の食品に適用することとしても良い。その他、本発明は上記実施形態及び変形例に限定されることなく、発明の要旨を変更しない範囲内で、種々の変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0037】
1 食品容器
2 容器本体
21 上面開口
21a 開口周縁
3 蓋体
31 外蓋
32 内蓋
32b 格子穴
4 容器本体
41 上面開口
41a 開口周縁
46a 引出孔
51 糸状体
52,53,54 テープ(保持手段)
55 テープ(閉塞部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面開口を有しており食品が収容される容器本体と、
外周縁が前記上面開口の開口周縁に対して剥離可能に接着されて前記容器本体を密封するシート状の蓋体と、を備える食品容器において、
前記蓋体は、外蓋と内蓋が剥離可能に接着されてなり、前記内蓋の外周縁が前記開口周縁に剥離可能に接着されることにより前記容器本体を密封し、前記外蓋のみが剥離されることにより容器本体側に残される内蓋に格子穴が形成されていることを特徴とする食品容器。
【請求項2】
上面開口を有しており食品が収容される容器本体と、
外周縁が前記上面開口の開口周縁に対して剥離可能に接着されて前記容器本体を密封するシート状の蓋体と、を備える食品容器において、
前記容器本体の側周壁の内面沿いに、糸状体が概ねループ形状をなすように、かつ、引張力が加わることにより容易に外れ又は破断する保持手段で、前記上面開口と略平行に保持されており、
前記側周壁の少なくとも一箇所には、前記糸状体を容器の外側に引き出すための引出孔が形成されるとともに、該引出孔から前記糸状体の一部が導出されており、
該引出孔は、閉塞部材が取り付けられることにより塞がれていることを特徴とする食品容器。
【請求項3】
上面開口を有しており食品が収容される容器本体と、
外周縁が前記上面開口の開口周縁に対して剥離可能に接着されて前記容器本体を密封するシート状の蓋体と、を備える食品容器において、
前記蓋体は、外蓋と内蓋が剥離可能に接着されてなり、前記内蓋の外周縁が前記開口周縁に剥離可能に接着されることにより前記容器本体を密封し、前記外蓋が剥離されることにより容器本体側に残される内蓋に格子穴が形成されており、
前記容器本体の側周壁の内面沿いに、糸状体が概ねループ形状をなすように、かつ、引張力が加わることにより容易に外れ又は破断する保持手段で、略水平に保持されており、
前記側周面には、前記糸状体を容器の外側に引き出すための引出孔が形成されるとともに、該引出孔から前記糸状体の一部が導出されており、
該引出孔は、閉塞部材が取り付けられることにより塞がれていることを特徴とする食品容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−173603(P2011−173603A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−37741(P2010−37741)
【出願日】平成22年2月23日(2010.2.23)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】