説明

食品容器

【課題】柔軟性を備え、油脂および脂肪性食品用の食品容器に求められるn−ヘプタンを浸出溶液として使用する場合の蒸発残留物を満たし、電子レンジやスチームによる長時間の熱履歴を受けても外観(特に容器壁と蓋部のグロスと透明性)が変化しにくい食品容器を提供すること。
【解決手段】(A)DSCで測定される融点が120〜170℃であるプロピレン系重合体50〜90重量%と(B)DSCで測定される融点が120℃未満または融点が観測されないプロピレン・エチレン・α−オレフィン共重合体10〜50重量%(ここで、成分(A)および成分(B)の合計量は100重量%である。)、並びに(C)前記成分(A)および前記成分(B)の合計量は100重量部に対し、スチレンブロックコポリマー(C−1)およびエチレン・α−オレフィン共重合体(C−2)から選ばれる1種以上のエラストマーを5〜80重量部含むプロピレン系重合体組成物(X)を成形して得られる食品容器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、厚生省告示第370号(食品、添加物等の規格基準)に定められる蒸発残留物試験法にて測定した蒸発残留物量が少なく、高温下におけるグロス保持率に優れた、プロピレン系重合体組成物を成形して得られる食品容器に関する。
【背景技術】
【0002】
食品容器に用いられる合成樹脂類は、食品衛生法ならびにその関連法令によって、昭和34年12月28日厚生省告示第370号(食品、添加物等の規格基準)に定められる蒸発残留物試験法にて測定した蒸発残留物に関する規格を満たす必要がある。例えば、ポリエチレンおよびポリプロピレンを主成分とする合成樹脂において、油脂および脂肪性食品に接触して使用する食品容器は、n−ヘプタンを浸出溶液として使用する場合の蒸発残留物(以下、n−ヘプタン溶出量)が、使用温度が100℃を超えない場合には150μg/mL以下、100℃を超える場合には30μg/mL以下であることが定められている。
【0003】
一方で、合成樹脂からなる食品容器に食品を入れたまま電子レンジで加熱あるいはスチームで食品を加熱する、あるいは温水を用いる自動食器洗浄器を使用する生活習慣・食習慣が家庭に定着するに従い、当該容器が熱による履歴を受ける機会が従来以上に増えている。このような熱履歴は容器を構成する合成樹脂によっては容器表面部のグロス低下による見栄えの悪化、あるいは容器自体の透明性が低下して食品容器内の内容物の視認性が問題になる場合がある。
【0004】
これらの課題を解決すべく、ポリプロピレン系樹脂を主成分とした組成物を成形して得られる多くの食品容器が種々提案されている(例えば、特許文献1〜8)。しかしながら、これら特許文献には、n−ヘプタン溶出量が食品衛生法に適合し、かつ熱履歴によるグロス低下幅の少ない柔軟な食品容器については、何ら言及されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006-76590号公報
【特許文献2】WO2005-087864号公報
【特許文献3】特開平11-172058号公報
【特許文献4】特開平9-295655号公報
【特許文献5】特開2005-8762号公報
【特許文献6】特開2002-362599号公報
【特許文献7】特開2007-332225号公報
【特許文献8】特開2006-16600号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
かかる技術背景の下、本発明者らは油脂および脂肪性食品用の食品容器、特に容器本体部と蓋部が、どちらかの部に設けられている軟質周縁部を通して密着できる程度の柔軟性を備え、油脂および脂肪性食品用の食品容器に求められるn−ヘプタン溶出量を満たし、電子レンジやスチーム、温水による長時間の熱履歴を受けても外観(特に容器壁と蓋部のグロスと透明性)が変化しにくい食品容器を開発するため鋭意検討した結果、本発明に到達した。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち本発明は、
(A)示差走査熱量計(DSC)で測定される融点が120〜170℃であるプロピレン系重合体:50〜90重量%と、
(B)示差走査熱量分析(DSC)で測定される融点が120℃未満または融点が観測されず、プロピレン由来の構成単位94.0〜60.0モル%、エチレン由来の構成単位5.0〜30.0モル%、および炭素原子数4〜20のα−オレフィン由来の構成単位1.0〜30.0モル%の量で含有する(ここで、プロピレン由来の構成単位とエチレン由来の構成単位とα−オレフィンの由来構成単位の合計を100モル%とする。)プロピレン・エチレン・α−オレフィン共重合体:10〜50重量%〔ここで、成分(A)および成分(B)の合計量を100重量%とする。〕、および
(C)スチレン系エラストマー(C−1)およびエチレン・α−オレフィン共重合体(C−2)から選ばれる1種以上のエラストマーを、前記成分(A)および前記成分(B)の合計量100重量部に対し、5〜80重量部含む、
プロピレン系重合体組成物(X)を成形して得られることを特徴とする食品容器である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の食品容器は、本体部と蓋部の密着が可能な程度の柔軟性をもち、食品衛生法で定められた上限以下のn−ヘプタン溶出量を示し、また加熱しても容器面、蓋面の外観変化の少ない食品容器である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
〔プロピレン系重合体(A)〕
本発明の食品容器を形成するプロピレン系重合体組成物(X)を構成する重合体成分の一つであるプロピレン系重合体(A)は示差走査熱量計(DSC)で測定される融点が120〜170℃であるプロピレン系重合体である。
【0010】
以下の説明では成分(A)を単にPPと表記する場合がある。本発明で用いられる成分(A)は、プロピレンの単独重合体であっても、プロピレンと炭素数2〜20のα−オレフィン(ただし、プロピレンを除く)ランダム共重合体〔プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体〕であっても、あるいは、前段においてプロピレン単独あるいはプロピレンと少量のエチレンとの混合物の重合を連続的に行い、後段においてプロピレンとエチレンの共重合を連続的に行って、非晶性のプロピレン・エチレン共重合体を製造されたプロピレン・エチレンブロック共重合体であってもよいが、好ましくは、プロピレンの単独重合体(以下、h-PPと略記する場合がある。)、あるいは、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体(以下、r-PPと略記する場合がある。)である。
【0011】
食品容器として、耐熱性と剛性を重視する場合は、成分(A)としてプロピレン単独重合体が好ましく、また食品容器として柔軟性と透明性を重視する場合は、成分(A)としてプロピレン−炭素数2〜20(ただし炭素数3を除く)のα−オレフィンランダム共重合体が好ましい。
【0012】
プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体を構成するプロピレン以外の炭素原子数が2〜20のα−オレフィンとしては、具体的には、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどが挙げられる。
【0013】
プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体としては、エチレンとの共重合体、炭素原子数が4〜10のα−オレフィンとの共重合体またはエチレンと炭素数が4〜10のα−オレフィンとの共重合体が好ましい。
【0014】
本発明に係るプロピレン系重合体(A)は、好ましくはアイソタクティックプロピレン系重合体である。
アイソタクティックプロピレン系重合体とは、NMR法により測定したアイソタクティックペンタッド分率が90%以上、好ましくは95%以上であるプロピレン系重合体である。
【0015】
アイソタクティックペンタッド分率(mmmm分率)は、例えば特開2007−186664公報に記載されているように、13C−NMRを使用して測定される分子鎖中のペンタッド単位でのアイソタクチック連鎖の存在割合を示しており、プロピレンモノマー単位が5個連続してメソ結合した連鎖の中心にあるプロピレンモノマー単位の分率である。
【0016】
本発明に係るプロピレン系重合体(A)は、示差走査熱量計(DSC)測定により得られる融点(Tm)が、好ましくは130℃〜168℃であり、さらに当該DSC測定に得られる融解熱量(ΔH)が50mJ/mg以上であることが好ましい。
【0017】
本発明に係るプロピレン系重合体(A)が上記のような特性を満たすと、耐熱性と剛性、並びに柔軟性と透明性のバランスが優れる食品容器が得られるので好ましい。
本発明に係るプロピレン系重合体(A)のMFRは、プロピレン系重合体(A)を配合することにより得られるプロピレン系重合体組成物(X)を食品容器に成形加工し得る限り特に限定はされないが、通常、230℃、2.16kg荷重下で測定したMFRが0.01〜400g/10分、好ましくは0.1〜200g/10分、より好ましくは1〜100g/10分の範囲にある。
【0018】
本発明に係るプロピレン系重合体(A)として、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体(r-PP)を用いる場合は、α−オレフィンとしては、エチレンおよび炭素数4〜20のα−オレフィンから選ばれ、これを該共重合体中に、10モル%未満、好ましくは0.1〜8モル%、さらに好ましくは0.2〜7.5モル%の量で含有していることが好ましい。
【0019】
本発明に係るプロピレン系重合体(A)、例えば、アイソタクティックプロピレン系重合体は、種々の方法により製造することができる。
立体規則性触媒を用いて製造する場合には、例えば、固体状チタン触媒成分と有機金属化合物触媒成分とさらに必要に応じて電子供与体とから形成される触媒を用いて製造することができる。
【0020】
固体状チタン触媒成分としては、具体的に、三塩化チタンまたは三塩化チタン組成物が、比表面積が100m2/g以上である担体に担持された固体状チタン触媒成分、あるいはマグネシウム、ハロゲン、電子供与体(好ましくは芳香族カルボン酸エステルまたはアルキル基含有エーテル)およびチタンを必須成分とし、これらの必須成分が比表面積100m2/g以上である担体に担持された固体状チタン触媒成分が挙げられる。
【0021】
本発明に係るプロピレン系共重合体(A)は、メタロセン触媒で製造することもできる。特にプロピレン系重合体(A)としてプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体(r-PP)を用いる場合は、α−オレフィン(コモノマー)導入量を増やして柔軟性と透明性を改善しようとする場合であっても、前記チタン触媒を用いた場合に比べてメタロセン触媒を用いた方が高コモノマー含量成分の生成量が相対的に少なくなり、n−ヘプタン溶出量の増加が抑制されるので好ましい製造触媒といえる。
【0022】
また有機金属化合物触媒成分としては、有機アルミニウム化合物が好ましく、有機アルミニウム化合物としては具体的に、トリアルキルアルミニウム、ジアルキルアルミニウムハライド、アルキルアルミニウムセスキハライド、アルキルアルミニウムジハライドなどが挙げられる。
【0023】
なお有機アルミニウム化合物は、使用するチタン触媒成分の種類に合わせて適宜選択することができる。
電子供与体としては、窒素原子、リン原子、硫黄原子、ケイ素原子あるいはホウ素原子などを有する有機化合物を使用することができ、好ましくは上記のような原子を有するエステル化合物およびエーテル化合物などが挙げられる。
【0024】
このような触媒は、さらに共粉砕等の手法により活性化されてもよく、また上記のようなオレフィンが前重合されていてもよい。
【0025】
〔プロピレン・エチレン・α−オレフィン共重合体(B)〕
本発明の食品容器を形成するプロピレン系重合体組成物(X)を構成する重合体成分の一つであるプロピレン・エチレン・α−オレフィン共重合体(B)は、プロピレンとエチレン、さらに炭素数4〜20のα−オレフィンからなるランダム共重合体であって、示差走査熱量分析(DSC)で測定される融点が120℃未満または融点が観測されず、プロピレン由来の構成単位を94.0〜60.0モル%、好ましくは92.0〜60.0モル%、より好ましくは90.0〜60.0モル%、エチレン由来の構成単位を5.0〜30.0モル%、好ましくは5.0〜25.0モル%、より好ましくは5.0〜20.0モル%、および炭素原子数4〜20のα−オレフィン由来の構成単位を1.0〜30.0モル%、好ましくは2.0〜25.0モル%、より好ましくは2.0〜20.0モル%の量で含有する(ここで、プロピレン由来の構成単位とエチレン由来の構成単位とα−オレフィン由来の構成単位の合計は100モル%とする。)プロピレン・エチレン・α−オレフィン共重合体である。
【0026】
各モノマー由来の構成単位が上述の範囲にあると、プロピレン・エチレン・α−オレフィン共重合体(B)が前記プロピレン系重合体(A)と相容し易くなるので、透明性、耐熱性(特に高い加熱変形温度に対する耐熱性)に優れるとともに高温下で長時間使用してもグロス変化の少ない食品容器を得ることができる。なお、エチレンと炭素原子数4〜20のα-オレフィンの含有量が上記範囲にあって、且つエチレン由来の構成単位の含量の方がα−オレフィン由来の構成単位の含量に比べて多い場合は、後述する本発明に係るプロピレン・エチレン・α−オレフィン共重合体(B)を製造する際の生産性が高くなるので好ましい。なお、「生産性が高い」とは具体的には、高い分子量のものが高い触媒活性で得られることをいう。
【0027】
炭素原子数4〜20のα-オレフィンとしてはプロピレン系重合体(A)に使用されるα−オレフィンが同様に使用できるが、この中でも1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテンまたは1−オクテンが好ましく、最も好ましいのは、1−ブテンである。
【0028】
本発明に係るプロピレン・エチレン・α−オレフィン共重合体(B)は、示差走査熱量計(DSC)により測定した融点(Tm)が、120℃未満であるか、または融点が観測されない。なお、融点(Tm)を決定する際のDSC測定条件は次の通りである;23℃±2℃で72時間以上の状態調節を実施した後の試験体にて、−40℃以下まで冷却してから昇温速度10℃/minで測定したときに得られた吸熱曲線を解析してTmを求めた。また融点が観測されないとは、−40〜200℃の範囲において、結晶融解熱量が1J/g以上の結晶融解ピークが観測されないこととして定義される。
【0029】
本発明に係るプロピレン・エチレン・α−オレフィン共重合体(B)は、上記特性に加えて、13C−NMRにより算出したアイソタクティックトライアッド分率(mm)が通常85%以上、好ましくは88%以上である。mm値がこのような範囲にあるプロピレン・エチレン・α−オレフィン共重合体(B)は、前記同様プロピレン・エチレン・α−オレフィン共重合体(B)とプロピレン系重合体(A)との相容性が良好になることに加え、プロピレン・エチレン・α−オレフィン共重合体(B)の機械物性(強度、伸び)が良好となり、これに準じて優れた機械物性を有するプロピレン系重合体組成物(X)が得られる。
【0030】
なお、mm値がこのような範囲にない場合には、プロピレン系重合体(A)との相容性の低下、および機械物性の低下に加え、ガラス転移温度(Tg)が高くなり、低温特性の低下も発生する。なお、本発明に係るプロピレン・エチレン・α−オレフィン共重合体(B)のmm値は、国際公開番号2004/087775号パンフレットの21頁7行目から26頁6行目までに記載された方法で求められる。
【0031】
さらに、本発明に係るプロピレン・エチレン・α−オレフィン共重合体(B)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定された分子量分布(Mw/Mn、Mw:重量平均分子量、Mn:数平均分子量、いずれもポリスチレン換算)が3.5以下、好ましくは3.0以下である。Mw/Mnがこのような範囲にあることは、材料のべた付きが少ないことを意味する。すなわち、これは本発明の食品容器を成形する際に高温環境下で使用した際のべた付きを抑えるので成形作業性の向上につながるので好ましい。
【0032】
本発明に係るプロピレン・エチレン・α−オレフィン共重合体(B)のMFRは、プロピレン・エチレン・α−オレフィン共重合体(B)を配合することにより得られるプロピレン系重合体組成物(X)を食品容器に成形加工し得る限り特に限定はされないが、通常、230℃、2.16kg荷重下で測定したMFRが0.01〜400g/10分、好ましくは0.1〜200g/10分、より好ましくは1〜100g/10分の範囲にある。
【0033】
〔エラストマー(C)〕
本発明の食品容器を形成するプロピレン系重合体組成物(X)を構成する重合体成分の一つであるエラストマー(C)は、スチレン系エラストマー(C−1)およびエチレン・α−オレフィンランダム共重合体(C−2)から選ばれる1種以上のエラストマーである。
【0034】
〔スチレン系エラストマー(C−1)〕
本発明に係るスチレン系エラストマー(C−1)は、重合体成分としてスチレンを含むエラストマーである限り、特に制限はないが、スチレン・ジエン系熱可塑性エラストマーが好ましい。特に、その中でもブロック共重合体エラストマー、ランダム共重合体エラストマーが好ましい。ここでスチレン系成分としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルキシレン、ビニルナフタレンおよびこれらの混合物などを例示でき、ジエン系成分としては、ブタジエン、イソプレン、ペンタジエンおよびこれらの混合物などを例示できる。
【0035】
スチレン系エラストマー(C−1)の代表例としては、ポリブタジエンブロックセグメントと、スチレン系化合物(スチレンを含む。以下において同じ)・ブタジエン共重合体ブロックセグメントとからなるブロック共重合体あるいはその水素添加物;ポリイソプレンブロックセグメントと、スチレン系化合物・イソプレン共重合体ブロックセグメントとからなるブロック共重合体あるいはその水素添加物;スチレン系化合物を主体とする重合体ブロックと共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックとからなるブロック共重合体;スチレン系化合物と共役ジエン化合物とのランダム共重合体あるいはその水素添加物;およびスチレン系化合物を主体とする重合体ブロックと共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックとからなるブロック共重合体あるいはその水素添加物などが挙げられる。
【0036】
スチレン系熱可塑性エラストマー中の上記スチレン系成分の含有量は特に制限されないが、5〜40重量%の範囲であれば、特に柔軟性およびゴム弾性の点で好ましい。
本発明に係るスチレン系エラストマー(C−1)は、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0037】
本発明に係るスチレン系エラストマー(C−1)は、市販のもの、例えば、旭化成社製タフテック(登録商標)、クラレ社製セプトン(登録商標)、およびハイブラー(登録商標)、クレイトン社製Dシリーズ、Gシリーズ、FGシリーズ、およびIRシリーズ、三菱化学社製ラバロン(登録商標)、JSR社製ダイナロン(登録商標)を用いることができる。
【0038】
本発明においては、スチレン−エチレン−ブテン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体、またはスチレン−エチレン−プロピレンブロック共重合体が好んで用いられる。
【0039】
本発明に係るスチレン系エラストマー(C−1)のMFRは、スチレン系エラストマー(C−1)を配合することにより得られるプロピレン系重合体組成物(X)を食品容器に成形加工し得る限り特に限定はされないが、通常、JIS K−7210,230℃、2.16kg荷重下で測定したMFRが0.01〜200g/10分、好ましくは0.01〜100g/10分、より好ましくは0.1〜50g/10分の範囲にある。
【0040】
〔エチレン・α-オレフィンランダム共重合体(C−2)〕
本発明に係るエチレン・α−オレフィンランダム共重合体(C−2)は、密度(ASTM D1505 、23℃)が0.850〜0.910g/cm3、好ましくは0.860〜0.905g/cm3、より好ましくは0.870〜0.900g/cm3の範囲にあるエチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとのランダム共重合体である。
【0041】
本発明に係るエチレン・α−オレフィンランダム共重合体(C−2)のMFRは、エチレン・α−オレフィンランダム共重合体(C−2)を配合することにより得られるプロピレン系重合体組成物(X)を食品容器に成形加工し得る限り特に限定はされないが、通常、190℃、荷重2.16kgで測定されるMFRが0.1〜150g/10分、好ましくは0.3〜100g/10分を満たす範囲にある。
【0042】
本発明に係るエチレン・α-オレフィンランダム共重合体(C−2)の製造方法は特に制限されないが、ラジカル重合触媒、フィリップス触媒、チーグラー・ナッタ触媒、またはメタロセン触媒を用いて、エチレンとα-オレフィンとを共重合して製造できる。特にメタロセン触媒を用いて製造された共重合体は通常分子量分布(Mw/Mn)が3以下である。
【0043】
本発明に係るエチレン・α-オレフィンランダム共重合体(C−2)は、X線回折法により測定される結晶化度が、通常、40%以下、好ましくは0〜39%、より好ましくは0〜35%である。
【0044】
エチレンと共重合される炭素数3〜20のα−オレフィンの具体例としては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセンが挙げられ、これらを単独で、または2種以上の組み合わせて用いてもよく、中でもプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンが好ましい。また、必要に応じて他のコノモマー、例えば、1,6−ヘキサジエン、1,8−オクタジエン等のジエン類、シクロペンテン等の環状オレフィン類などを少量含有してもよく、共重合体中のα−オレフィン含量としては、通常、3〜50モル%、好ましくは5〜30モル%、より好ましくは5〜25モル%である。その分子構造は、直鎖状であってもよく、長鎖または短鎖の側鎖を有する分岐状であってもよい。また、複数の異なるエチレン・α-オレフィンランダム共重合体(C−2)を混合して使用することも可能である。エチレン・αオレフィン共重合体(C−2)は、バナジウム系触媒、チタン系触媒またはメタロセン系触媒などを用いる従来公知の方法により製造することができ、例えば、特開平10-212382号公報に記載されている方法を挙げることができる。
【0045】
〔樹脂組成物(X)〕
本発明の食品容器を形成するプロピレン系重合体組成物(X)は、前記プロピレン系重合体(A)を50〜90重量%、好ましくは50〜85重量%、さらに好ましくは50〜80重量%と前記プロピレン・エチレン・α−オレフィン共重合体(B)を10〜50重量%、好ましくは15〜50重量%、さらに好ましくは20〜50重量%〔なお、(A)+(B)=100重量%とする。〕、並びに、前記エラストマー(C)を前記成分(A)および前記成分(B)の合計量は100重量部に対し、5〜80重量部、好ましくは5〜70重量部含む組成物である。
【0046】
ここで成分(C)として、スチレン系エラストマー(C−1)のみを用いる場合、その配合量は成分(A)および前記成分(B)の合計量は100重量部に対して、5〜40重量部が好ましく、より好ましくは5〜30重量部であり、また成分(C)としてエチレン・α−オレフィン共重合体(C−2)のみを用いる場合は、その配合量は成分(A)および前記成分(B)の合計量は100重量部に対して、20〜80重量部が好ましく、より好ましくは20〜70重量部である。
【0047】
プロピレン系重合体(A)の量が上記範囲外の組成物は、プロピレン系重合体(A)が上限を超える場合当該組成物を用いて得られる食品容器の柔軟性が乏しい、下限を下回る場合当該組成物を用いて得られる食品容器のn−ヘプタン溶出量が多いという欠点がある。プロピレン・エチレン・α−オレフィン共重合体(B)が上記範囲を上回る場合は外観変化が起こりやすく、下回る場合は柔軟性に乏しい。前記エラストマー(C)が上記範囲を上回る場合はn−ヘプタン溶出量が多く造核剤を添加しても透明性に劣り、下回る場合は外観変化が起こりやすい。
【0048】
本発明に係るプロピレン系重合体組成物(X)のMFRは、食品容器に成形加工し得る限り特に限定はされないが、通常、230℃、2.16kg荷重下で測定したMFRが1〜100g/10分、好ましくは5〜50g/10分の範囲にある。
【0049】
本発明に係るプロピレン系重合体組成物(X)には、プロピレン系重合体(A)、プロピレン・エチレン・α−オレフィン共重合体(B)およびエラストマー(C)に加えて、本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じ、従来公知の造核剤、酸化防止剤、耐熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、顔料、染料、抗菌剤、防黴剤、帯電防止剤、発泡剤、発泡助剤、フィラーなどの、好ましくはポリオレフィン等衛生協議会(以下、ポリ衛協)の定めるポジティブリストに記載されている添加剤を添加することができる。通常、これらの任意添加剤の添加量は樹脂組成物100重量部あたり0.01部〜5重量部の範囲にある。
【0050】
透明性の向上のために造核剤の使用が好適である。造核剤としては、(a)安息香酸金属塩、(b)ソルビトール誘導体、ノニトール誘導体等の多価アルコール誘導体、(c)有機機リン酸エステル金属塩、(d)分岐状オレフィン、等を使用できる。具体的には(a)p−tert−ブチル安息香酸アルミニウム等、(b)ジベンジリデンソルビトール、ビス(4−メチルベンジリデン)ソルビトール等、(c)ナトリウム−2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスフェート等、(d)3−メチル−1−ブテン、3,3−ジメチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン等の単独重合体または共重合体等が挙げられる。商品名では旭電化製のNA−21やNA−11(登録商標)、新日本理化製のゲルオールMD(登録商標)、ミリケン社製のミラード3988(登録商標)、NX8000(登録商標)、三井化学製の NC−4(登録商標)などが例示される。なかでもミリケン社製のミラードNX8000(登録商標)に代表されるノニトール誘導体は透明性の改質効果に優れており、好適である。造核剤の添加量は樹脂組成物100重量部あたり0.01部〜5重量部、より好ましくは0.05〜1重量部が好適である。少なすぎると造核剤としての効果を発揮せず、多すぎると造核剤自体が凝集して返って透明性が損なわれる。
【0051】
本発明に係るプロピレン系重合体組成物(X)を用いて、食品容器に成形加工する際には、成形加工する前に、所定の量で、重合体成分(A)、重合体成分(B)、重合体成分(C)、および必要に応じて他の添加剤などを秤量した後、成形加工機の原料投入口に投入して成形加工に供してもよいし、秤量後、ヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー、V型ブレンダー、タンブラーブレンダー、リボンブレンダーなどを用いて混合後、成形加工機の原料投入口に投入して成形加工に供してもよいし、混合後、さらに、該混合物を単軸押出機、多軸押出機、ロール、ニーダーなどを用いて、通常、180〜300℃、好ましくは200〜260℃で溶融混練・造粒した後に成形加工機の原料投入口に投入して成形加工に供してもよい。
【0052】
中でも、溶融混練・造粒したプロピレン系重合体組成物(X)は、重合体成分(A)、重合体成分(B)、重合体成分(C)、および必要に応じて他の添加剤が均一に分散混合された高品質の組成物となるので好ましい。
【0053】
なお、プロピレン系重合体組成物(X)を得る際には、重合体成分(A)、重合体成分(B)および重合体成分(C)の中のいずれか二つ以上の複数成分を併せ持つ組成物あるいは混合物を別途調製し、当該組成物を用いてプロピレン系重合体組成物(X)とすることもでき、その場合は、重合体成分(A)、重合体成分(B)および重合体成分(C)が上記範囲を満たす限りにおいて、任意である。
【0054】
〔食品容器〕
本発明の食品容器は、前記プロピレン系重合体組成物(X)を種々公知の成形加工方法、例えば、射出成形、押出成形、または圧縮成形することにより、成形加工された食品容器である。
【0055】
本発明の食品容器の形状は、特に限定はされず、食品容器の用途により種々の形状を採り得る。食品容器の他の形状(成形体)としては、たとえば、大皿、プレート、トレー、ボウル、カップ、蓋、まな板などを挙げることができる。
【0056】
特に、本発明の食品容器としては、電子レンジ加熱時に、食用油が付着していたとしても、該食品容器が熱破損または熱変形しないような、たとえば、弁当箱などの透明蓋または弁当箱などの本体容器に用いられることが好ましい。また、容器本体部と蓋部がどちらかに設けられた軟質周縁部を通して密着可能な食品容器も好ましい。なお、弁当箱などの本体容器は、非発泡体であっても、発泡体であってもよい。この他、変形を加えやすいよう適度に柔軟であるために、非使用時(使用前・使用後)には折り畳み状態で保管・運搬でき、内容物を入れて立設陳列及び持ち運びできる特殊な食品用包装容器としても使用が可能である。また、まな板として用いた場合、包丁、ナイフでカッティングした場合に柔軟で衝撃を吸収でき、刃が滑りにくいという利点がある。
【0057】
本発明の食品容器(成形体)の曲げ弾性率は通常100〜1000MPa、好ましくは200〜1000MPaである。また引張弾性率は通常100〜1000MPa、好ましくは200〜700MPaである。
【0058】
また、プロピレン系重合体組成物(X)として、造核剤を含む組成物から得られる食品容器は、ヘイズが50以下、好ましくは40以下という値を示し、視認性に優れた食品容器となる。
【0059】
本発明の食品容器は、25℃、1時間のn−ヘプタン溶出量が130μg/mL未満、好ましくは120μg/mL以下、より好ましくは、100μg/mL以下であり、内容物が油脂および脂肪性食品であって100℃を越えない使用に対して食品衛生法で定められた25℃、1時間のn−ヘプタン溶出量が150μg/mL未満の基準に優に適合している。
【0060】
なお、前記した、本発明に係るプロピレン系重合体組成物(X)の好ましい態様においては、当該組成物は、内容物が油脂および脂肪性食品であって100℃以上の使用に対して食品衛生法で定められた25℃、1時間のn−ヘプタン溶出量が30μg/mL未満の基準にさえも適合するのである。
【0061】
本発明の食品容器は、食品容器(成形体)が本来有する光沢値を、食品容器が高温履歴後であっても高い保持率で保持することを特徴としている。具体的には、食品容器に80℃、3日間熱履歴を与えたとしてもグロス保持率(光沢保持率)は、90%以上であり、また食品容器に100℃、3日間熱履歴を与えた場合のグロス保持率(光沢保持率)は、80%以上を示すのである。このことは、本発明の食品容器に食品を装填して、電子レンジあるいはスチーム、および温水で加熱されたとしても容器の壁の光沢低下が起こり難いことを示しており、すなわち長期間に渡って見栄えのよい食品容器が使用可能であることを示している。
【実施例】
【0062】
本発明の食品容器を更に詳細に説明するため、以下に実施例を示して具体的に説明するが、本発明はその主旨を逸脱しない限り、これによって限定されるものではない。
実施例および比較例で用いた重合体を以下に示す。
【0063】
(1)プロピレン系重合体(A)
プロピレン系重合体(A)として、融点(Tm)=165℃、メルトフローレート(MFR)(230℃、2.16kg)=15g/10分、アイソタクティックペンタッド分率(mmmm)=96%、および分子量分布(Mw/Mn)=4.8のプロピレン単独重合体(hPP)を用いた。
【0064】
(2)プロピレン・エチレン・α−オレフィン共重合体(B)
プロピレン・エチレン・α−オレフィン共重合体(B)として、国際公開2004/87775号パンフレットの実施例1eに記載と方法に準拠して製造した プロピレン・エチレン・1-ブテン共重合体(PEBR)を用いた。性状は次の通りである。エチレン含量=16モル%、1-ブテン含量=6モル%、・メルトフローレート(MFR)(230℃、2.16kg)=6g/10分、融点(Tm)=50℃、アイソタクティックトライアッド分率(mm)=92%、分子量分布(Mw/Mn)=2.0、およびショアーA硬度=75(3)エラストマー(C)
【0065】
(3−1)スチレン系エラストマー(C−1)
スチレン系エラストマー(C−1)として、メルトフローレート(MFR)(190℃、2.16kg)=4.5g/10分、およびスチレン含量=18重量%のスチレン−エチレン−ブテン−スチレンブロック共重合体(SEBS)〔旭化成社製 商品名タフテックH−1062〕を用いた。
【0066】
(3−2)エチレン・α−オレフィンランダム共重合体(C−2)
エチレン・α−オレフィンランダム共重合体(C−2)として、メルトフローレート(MFR)(190℃、2.16kg)=3.6g/10分、密度=0.885g/cm3、エチレン含量=88モル%、およびショアA硬度=86のエチレン・1-ブテン共重合体(EBR)を用いた。
【0067】
なお、各成分および組成物の物性値の測定方法は以下の通りである。
〔m1〕融点およびガラス転移温度
DSCの発熱・吸熱曲線を求め、昇温時の最大融解ピーク位置の温度をTm、−100℃〜0℃の間の吸熱曲線で観測される2次転移点をTgとした。測定は、試料をアルミパンに詰め、100℃/分で200℃まで昇温して200℃で5分間保持したのち、10℃/分で−150℃まで降温し、次いで10℃/分で昇温する際の発熱・吸熱曲線より求めた。
【0068】
〔m2〕密度
190℃、2.16kg荷重におけるMFR測定後のストランドを、120℃で1時間熱処理し、1時間かけて室温まで徐冷したのち、密度勾配管法により測定した。
【0069】
〔m3〕メルトフローレート(MFR)
ASTM D-1238に準拠し、190℃または230℃、2.16kg荷重下で測定した。
【0070】
〔m4〕コモノマー(C2、C3、C4)含量
13C-NMRスペクトルの解析により求めた。
【0071】
〔m5〕分子量分布(Mw/Mn)
GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用い、オルトジクロロベンゼン
溶媒で、140℃で測定した。
【0072】
〔m6〕アイソタクティックトライアッド分率(mm)
国際公開番号2004/087775号パンフレットの21頁7行目から26頁6行目までに記載された方法で求めた。
【0073】
〔実施例1〜10、比較例1〜5〕
表1及び表2に示す割合(重量部)の各成分を、40mm単軸押出機を用いて溶融温度210℃、回転数40〜50rpmで溶融混練してペレットを作成した。光学特性の検討の際は、さらに造核剤としてとしてミラッドNX8000(ミリケン・アンド・カンパニー社製)を樹脂組成物100重量部あたり0.3重量部添加し、同様に溶融混練してペレットを形成した。このペレットを用いて温度240℃、金型温度40℃の条件にて射出成形しスペシメン形状、またはシート形状の試験片を作成した。また、得られたペレットを用いて、0.6mm厚さの食品容器を模した成形体を、温度200℃にてプレス成形し、シート形状の試験片を得た。具体的には、以下に示す測定方法に従って各種特性評価を行った。評価結果を表1及び表2に併記した。
【0074】
[1] 曲げ弾性率
ASTM D790に準拠し、射出成形によって得た3.2mmtスペシメンにて、曲げ弾性率を測定した。押込速度5mm毎分。
【0075】
[2] 引張物性
ASTM D638に準拠し、射出成形によって得た3.2mmt4号ダンベル型スペシメンにて、降伏点応力、破断点抗張力、破断点伸び(チャック間)、引張初期弾性率を測定した。引張速度 50mm毎分。
【0076】
[3] 表面硬度(ショアD)
ASTM D2240に準拠し、射出成形によって得た2mmtシートを2枚重ねあわせ、表面硬度(ショアD、5秒後)を測定した。
【0077】
[4] Izod衝撃強度
ASTM ASTM D256に準拠し、射出成形によって得た3.2mmtスペシメン(ノッチあり)にて、0℃および−10℃でIzod衝撃強度を測定した。
【0078】
[5] 光学特性
JIS K7105に準拠し、射出成形によって得た2mmtシートを用いて、日本電色工業(株)製のデジタル濁度計「NDH−20D」にて全光線透過率、ヘイズを測定した。
【0079】
【表1】

【0080】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明の食品容器は、容器本体部と蓋部が、どちらかの部に設けられている軟質周縁部を通して密着できる程度の柔軟性を備え、油脂及び脂肪性食品用の食品容器に求められるn−ヘプタン溶出量を満たし、電子レンジ、スチーム、温水による長時間の熱履歴を受けても外観(特に容器壁と蓋部のグロスと透明性)が変化しにくいという特性を持ち、電子レンジ対応、スチーム対応食品容器、あるいは全自動食器洗浄器対応食品容器としての利用価値が高い。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)示差走査熱量計(DSC)で測定される融点が120〜170℃であるプロピレン系重合体:50〜90重量%と、
(B)示差走査熱量分析(DSC)で測定される融点が120℃未満または融点が観測されず、プロピレン由来の構成単位94.0〜60.0モル%、エチレン由来の構成単位5.0〜30.0モル%、および炭素原子数4〜20のα−オレフィン由来の構成単位1.0〜30.0モル%の量で含有する(ここで、プロピレン由来の構成単位とエチレン由来の構成単位とα−オレフィンの由来構成単位の合計を100モル%とする。)プロピレン・エチレン・α−オレフィン共重合体:10〜50重量%〔ここで、成分(A)および成分(B)の合計量を100重量%とする。〕、および
(C)スチレン系エラストマー(C−1)およびASTM D1505に準拠して測定された密度が0.850〜0.910g/cm3の範囲にあるエチレン・α−オレフィンランダム共重合体(C−2)から選ばれる1種以上のエラストマーを、前記成分(A)および前記成分(B)の合計量は100重量部に対し、5〜80重量部含む、
樹脂組成物(X)を成形して得られることを特徴とする食品容器。
【請求項2】
樹脂組成物(X)を成形して得られる食品容器が、25℃、1時間のn−ヘプタン溶出量が130μg/mL未満である請求項1記載の食品容器。
【請求項3】
前記成分(C)が、スチレンブロックコポリマー(C−1)であることを特徴とする請求項1に記載の食品容器。
【請求項4】
25℃、1時間のn−ヘプタン溶出量は30μg/mL未満であることを特徴とする請求項2に記載の食品容器。
【請求項5】
食品容器が、食品保存用密閉容器であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の食品容器。
【請求項6】
食品容器が、食品容器本体を覆う蓋部分であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の食品容器。

【公開番号】特開2013−23564(P2013−23564A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−159049(P2011−159049)
【出願日】平成23年7月20日(2011.7.20)
【出願人】(000005887)三井化学株式会社 (2,318)
【Fターム(参考)】