説明

食品廃棄物を原料とする家畜用飼料の製造方法

【課題】豆腐粕、麺くずなどを含む食品廃棄物を原料として安全かつ経済的に家畜飼料を製造する。従来法では、飼料化処理を行うまでの間の腐敗のために保冷装置を要したり、処理において加熱のために多量のエネルギーを要していた。
【解決手段】食品廃棄物の発生した施設で食品廃棄物を輸送用の容器に移す際に雪柳の葉から抽出したものを含む液を加えることによって、保冷に依存せず飼料加工までの間の腐敗を抑制することができる。乾燥状態の家畜用飼料を製造する場合は、加熱の前に水分含有量を下げる処理を行うとともに、分離された水分に菌体を含むものを加えて発酵させて液肥を製造する。製造された家畜用飼料を収納する容器に、雪柳の葉から抽出したものを含む液を加えることで、家畜に与えるまでの変質を防ぐことができる。とくに反芻動物用には竹をパウダー状に粉砕し雪柳の抽出液を噴霧して変敗を抑制したものを添加する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、豆腐粕、パンくず、麺くずなどを含む食品廃棄物を原料として安全かつ経済的に家畜用飼料を製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、我が国は食糧の約60%を輸入に頼っている一方、その約40%を食品廃棄物としている。食品廃棄物の処分方法としては従来の焼却法のほかに、堆肥化の方法もあるが、より付加価値が高いものの製造に利用することが望まれている。一方、家畜用飼料については、日本では以前から飼料用作物の栽培はあまり行われず、そのほとんど輸入に頼ってきた。しかし、最近、炭酸ガス発生量の抑制の点から、世界的に飼料用穀物などをバイオエタノール製造などに用いられるような動きが広がっており、家畜用飼料の輸入価格が上昇することが懸念されている。このような状況から、食品廃棄物を家畜用飼料製造に有効利用することが注目されている。
【0003】
以前は豚などに食品残さを直接与えることが行われていたが、飼料の安全管理の点から現在はその方法はあまり用いられず、乾燥して水分を低減したり、あるいは発酵させて腐敗を防止するなどの処理が行われる。
その製造から飼料として利用するまでのコストを決まる主要因としては次のことが挙げられる。
(1)廃棄物の発生から家畜用飼料製造工程に入るまで間の腐敗防止をどのようにして行うか。
高温多湿期を含めて腐敗しやすい食品廃棄物の腐敗を防止するためには、一般に保冷車での運搬、保冷装置による保管が用いられている(特許文献1)。しかし、保冷のための設備費、および保冷のためのエネルギー費は、とくに中小規模で家畜用飼料製造を行う場合には、処理コストへの影響が大きい。
(2)発酵によって液体状の家畜用飼料を作る場合(特許文献2)には、その得られた飼料を用いる飼育場までの搬送費、および液状飼料の保管装置費が高い。
(3)一方、飼料化工程が加熱、乾燥からなる場合(特許文献3)は、水分量が多い場合には、水分蒸発のためのエネルギー費が高くなる。そのエネルギー費を下げるために、水分分離処理を組み合わせた場合には、その分離された水分には冨栄養化成分が高濃度に含まれているので排水できず、排水処理費がかさむおそれがある(特許文献4)。
このように、食品廃棄物を家畜飼料製造に有効利用しようとする場合、とくに中小規模では安全性と経済性を両立させる方法は、これまで存在していなかった。特許文献5には、食品工場やコンビニエンスストア等にて廃棄される容器に収納されている生ゴミを、食品製造時に発生する生ゴミ、野菜屑、魚粗及び屠死骸等と一緒に投入し、攪拌・粉砕・乾燥・発酵させて家畜飼料又は堆肥の基を製造する飼料製造機の改良の例が示されている。しかし、上記の諸点からみた、システムとして課題解決方法は示されていない。
【0004】
一方、本件発明者の1人である山根は、さきに雪柳を含むスピラエ属(シモツケ属)の植物の葉、花、枝、茎もしくは根の水などによる抽出液を利用したものとして、特許文献6で害虫忌避剤、特許文献7で蒸発・揮発抑制剤、乾燥防止剤、特許文献8で害虫等の忌避剤、特許文献9で消臭抗菌防腐剤および防臭防腐防虫剤を公表している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−262720号公報
【特許文献2】特開2008−253226号公報
【特許文献3】特開2008−125413号公報
【特許文献4】特開2007−75807号公報
【特許文献5】特開平11−74725号公報
【特許文献6】特開2005−36006号公報
【特許文献7】特開2005−97296号公報
【特許文献8】特開2005−350469号公報
【特許文献9】特開2006−193500号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、豆腐粕、麺くずなどの食品廃棄物を原料として、中小の規模においても、高温多湿期も含めて、安全性と経済性を両立して家畜用飼料を製造するための方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するための手段の第1は、食品廃棄物を発生した施設で食品廃棄物を輸送用の容器に移す際に雪柳の葉から抽出したものを含む液を加えること(工程A)である。
【0008】
手段の第2は、0007において、雪柳の葉から抽出したものを含む液を加える方法が、食品廃棄物を装入する前の容器内面への吹付けと、食品廃棄物装入後の上面からの吹きつけの組み合わせからなることである。
【0009】
手段の第3は、0007および0008において、輸送されてきた食品廃棄物に対して、45℃以上の温度に加熱すること(工程B)である。
【0010】
手段の第4は、0007〜0009において、輸送されてきた食品廃棄物に対して、水分含有量が70%以上の場合に水分を分離して水分含有量の低下を図った(工程C)後、45℃以上の温度に加熱すること(工程B)である。
【0011】
手段の第5は、0009の方法で製造された家畜飼料を収納する容器の内面と、装入後の家畜飼料層の上面のいずれか、あるいは両方に雪柳の葉から抽出したものを含む液を吹き付けることである。
【0012】
手段の第6は、0010の工程Cで分離された水分に菌体を含むものを加えて発酵させて、液肥を製造することである。
【0013】
手段の第7は、竹をパウダー状に粉砕したものを、0009の工程Bで他の原料に混合することである。
【0014】
手段の第8は、0013において加えるパウダー状に粉砕した竹が雪柳の葉から抽出したものを含む液を吹き付けて変敗を抑制したものであることである。
【発明の効果】
【0015】
0007の方法により、年間を通して保冷車や保冷保管装置などの保冷装置に依存せずに、食品廃棄物から安全な家畜用飼料を製造することができる。0008の方法により、食品廃棄物に雪柳から抽出した液を簡単な作業で添加して十分な腐敗抑制効果を発揮することができる。0009の方法により,家畜飼料化の方法が菌による発酵法である場合でも、雪柳の葉からの抽出した成分を含む液が発酵菌に及ぼす影響を抑えることができる。0010の方法により、乾燥した家畜飼料製造のための必要エネルギーを低く抑えることができる。0011の方法により、家畜飼料製造からそれを家畜に与えるまでの期間が長い場合にもその間の変質を効果的に抑制することができる。0012の方法により、副生物として発生した排出液を有効利用することができる。また、0013,0014の方法により、竹パウダーの変敗抑制に真空パックなどの高価な方法に依存することなく、特に牛などの反芻動物用に適した飼料を製造することができる。以上の方法を組み合わせることによって、各種の食品廃棄物から安全な家畜用飼料を安価に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の方法で乾燥状態の家畜飼料を製造する場合の一例を示すプロセス・フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明で用いる原料は、各種の食品廃棄物である。食品廃棄物の中には、食品製造の副産物(豆腐粕、メン屑、パン屑など)、加工屑、余剰食品(食品として製造されたが食品として利用がされなかったもの)、事業所系の調理残さ、事業所系の食べ残しなどである。これらを腐敗しない状態で、家畜飼料に加工する場所に運搬、保管するために、特に高温多湿期には保冷装置が用いられることが多いが、本発明では、製造しようとする家畜飼料が乾燥状態のものか、水分を含む流動状態のものであるがにかかわりなく、保冷装置に依存することなく、まず、家畜飼料製造工程が始まるまでの間の腐敗を効率的に防止するために、食品廃棄物が発生した施設で食品廃棄物を輸送用の容器に移す際に雪柳の葉からの抽出物を含む液を加えることを特徴とする。
【0018】
雪柳は、バラ科シモツケ属に属する植物である。シモツケ属は別名スピラエ属とも呼ばれる。この雪柳を5,6月ごろ葉が出揃った時点で枝を切り取って、好ましくは生葉の状態で、葉を分離して集め、水を加えてから、ミキサーなどにかけて粉砕する。葉の表面に汚れや殺虫剤が付着しているおそれがある場合には、ミキサーなどにかける前に、水に浸漬してよく洗うことが望ましい。これらの葉と水の混合割合は、葉100gに対して、水200〜800ccの範囲が適当である。ミキサーで粉砕すると、数分間で泡状になるが、これを静置しておくと泡は消え、繊維分は沈殿して上澄み液が分離してくる。本発明では、この上澄み液を用いて以後の処理を行う。なお、乾燥しかけた葉を用いる場合には、ミキサーのかける前に、水に6時間以上浸漬しておくことが望ましい。それ以降の処理は、生葉を使用した場合と同じである。また、乾燥しすぎた葉は茶褐色となり目的の熟成液が出来ず、腐敗、カビの発生、ニオイにも変化がでることがあるので好ましくない。したがって、新鮮緑葉が最良である。雪柳の葉に水を加えてミキサーで粉砕して得られた上澄み液を分離したものを、蓋をした状態で、室温で静置しておくと、腐敗悪臭もなくカビも発生しない。そしてその熟成の期間が35日以上になると透明度が増してきて透明茶褐色の液体になる。35日以上経過すると、褐色で透明度が増す。そして長期間、たとえば9年間、熟成継続しても液の色は、黄色に近い透明のもので、底に絞り粕がねずみ色で沈殿分離している。本発明で用いるのは、35日以上熟成して、透明の状態になったものである。
【0019】
0018に述べた方法で得られた熟成液は、蠅などの昆虫や腐敗菌に対して忌避作用を有し、それによって腐敗を抑制する。なお、この液の生体への安全性は次のような方法で確認されている。熟成液中のα−メチレン−γ−ブチロラクトンは熟成によってpHが低減するとともに低減して、35日を過ぎ、透明度が増した状態では、安定して5ppm以下になっている。この熟成液に、蝸牛を21日間入れておいたが、蝸牛には状況の変化がなく、開放したら自力で逃げて行った。同様に、ダンゴ虫を5日間入れて置いたが、状況の変化はなく、開放したら自力で逃げて行った。すなわち、この状態では殺虫作用は有していない。また、マウスを用いた急性経口毒性試験の結果は次の通りである(日本食品分析センター;第203102350−0001号)。5週齢のICR系マウスを購入し1週間の予備飼育を粉ってから、各5匹をポリカーボネート製ゲージに収容した。そして検体投与群には、20ml/体重kgの熟成液を胃ゾンデを用いて強制単回経口投与した。一方、対象群には20ml/kgの注射用水を同様に投与した。そして14日間の観察と、7日および14日後の体重を測定した。観察期間終了時にすべての試験動物の剖検をした。その結果、1)観察期間中に死亡例は認められなかった。2)観察による異常も認められなかった。3)体重についても、対象群と比較して異常は認められなかった。4)剖検では、すべての試験動物で異常は認められなかった。以上のことから、本発明の熟成液を20ml/体重kg飲ませても異常は全く認められなかった。このように本発明の熟成液は生体への悪影響は見られないと言える。
【0020】
この雪柳の葉から抽出したものを含む液体、すなわち抽出液そのもの、あるいはそれを水などで希釈したものを、食品廃棄物に加えると、抽出液から発生する匂いによって、蠅や腐敗菌に忌避効果を発揮して、食品廃棄物の腐敗を抑制する効果を発揮する。本発明においても、できれば食品廃棄物に液を加えて攪拌することが望ましいが、攪拌操作が行いにくい場合には、次のような方法を取ることもできる。すなわち、食品廃棄物を装入する前の運搬用容器を水洗して乾燥した後、内面へ雪柳抽出液を吹付けることと、食品廃棄物装入後の上面からの吹きつけることの組み合わせることである。これによって食品廃棄物本体への腐敗菌の侵入を防止することによって、高温多湿期においては腐敗が起こるまでの時間を40時間以上に延長することができる。これを利用して、保冷に依存せず、運搬用容器および保管用容器内での、食品廃棄物の腐敗の進行を抑制することができる。
【0021】
本発明が対象とする家畜用飼料としては、乾燥状態のものと、液体を含む液状の場合がある。図1は、そのうちの乾燥状態のものを製造する工程の1例を示している。
【0022】
食品廃棄物の発生場所に運ばれてきた各種食品廃棄物は、これを用いて製造された家畜用飼料が乾燥状態であるか水分を多量に含む液状のものであるかにかかわらず、本発明においては45℃以上に加熱される。本発明におけるこの加熱の目的は、0020で加えた雪柳の葉からの抽出物を含む液体の中に含まれている腐敗菌に対する忌避効果をもつ成分が、家畜飼料化の工程で用いる各種発酵菌によっては、その活動にマイナスの影響をおよぼす場合があるので、それを防止するために、雪柳の葉からの抽出物に含まれていた揮発性成分を蒸発、分離することである。その加熱の方法としてバーナー、あるいは水蒸気を用いることができる。なお、問題になる病源菌が含まれているおそれがある場合に、その除菌のためにさらに高い温度、たとえば75℃以上に加熱する必要がある。
【0023】
液状の家畜飼料を製造しようとする場合には、この後、必要な発酵菌を加えて熟成を行う。
【0024】
一方、乾燥状態の飼料を製造において、原料として用いる食品廃棄物がとくに水分含有量が高いもの、たとえば豆腐粕のように70%以上の水分を含んでいる場合には、家畜飼料に至るまでの水分蒸発分離のためのエネルギー消費量が増えることが問題になる、そこで本発明では、0022の加熱の前に水分を分離して水分含有量の低下を図る工程Cを加えることを特徴とする。水分分離の方法としては、たとえば圧縮法などを用いることにより、水分含有量を1/2程度に低減できる。分離された水分は、そのまま廃棄すると冨栄養化によって環境に悪影響を及ぼすおそれがあるので、本発明においては、菌体を加えて熟成させることによって液肥化し、農業用に有効利用することができる。
【0025】
もともと水分含有量の少ない食品廃棄物と、0024の工程で水分含有率を下げた食品廃棄物を合わせて、加熱ができる家畜飼料製造機に装入する。加熱は装入物を攪拌しながらバーナーあるいは電気ヒーターで行う。なお、この工程で、加熱による乾燥と同時に発酵を促進させることも可能である。そのためには、用いる菌の種類に応じて温度を調整してから菌体を加えて発酵させる。
【0026】
このようにして得られた乾燥状態の家畜飼料は、運搬用容器に移されて、家畜に給餌する場所に運ばれる。それぞれの家畜用飼料化の処理を受けたものは、腐敗などによる変質は防止されている筈であるが、その運搬用容器に腐敗菌が付着していた場合、あるいは家畜飼料製造から給餌までの期間が長い場合には、給餌までの間に変質するおそれがある。本発明ではそれを防止するために、特に乾燥状態の家畜用飼料の場合に、収納する容器の内面と、装入後の家畜飼料層の上面の、いずれか、あるいは両方に雪柳の葉から抽出した液を吹き付けておく。
【0027】
飼料を食べさせる家畜が、豚などの場合には、原料として動物由来のタンパク質が混入していても問題ないが、牛などの反芻動物の場合には、A飼料として、動物由来のタンパク質が混入しないようにすることが必要とされている。本発明においても、A飼料製造用には、原料として動物性タンパク質が混入しないようにすることが必要である。一方、とくに反芻動物用には、飼料中に5%程度の竹パウダーが入っていることが有効である。ただし、竹パウダーは高温期には変敗を起こしやすいので、従来は、製造された竹パウダーを真空パックによって変敗を防止する方法が取られてきたが、そのコストが高いのが問題であった。
【0028】
それに対して、本発明においては、竹をパウダー状に粉砕したものを、0025の加熱工程で他の原料と混合することによって、工程費のアップを抑えながら、牛用家畜飼料の付加価値を上げることができる。なお、この工程までの間の竹パウダーの変敗を防止するためには、竹をパウダー状に粉砕した時に雪柳の葉から抽出したものを含む液を吹き付けておくことが効果的である。
【実施例1】
【0029】
豆腐製造場で、当日発生した豆腐粕を、事前に雪柳の抽出液に同量の水を加えた液を内面に噴霧しておいた運搬用容器に移し、その上面に同じ役を噴霧してから搬送し、家畜飼料製造場のタンクに移した。豆腐粕は93%の水分を有していたので、これを圧縮機にかけて、水分含有量を48%まで下げた。これとは別に、パン製造工場で発生したパンくず(水分含有量21%)を、事前に雪柳の抽出液を内面に噴霧しておいた運搬用容器に移し、その上面に雪柳の抽出液を噴霧してから搬送した。水分を低下させた豆腐粕を45wt%、パンくずを55wt%の割合で配合して、パーナーが装着された回転攪拌型飼料製造装置に装入して、一旦、85℃まで加熱したのち、温度を52℃まで下げてから発酵用菌体を加えて、3時間保持してから、装入物を排出して空冷して、袋ずめして豚用の飼料として提供した。豚の嗜好性は良好であった。
【実施例2】
【0030】
実施例1で得られた飼料を次の3条件でドラム缶に入れて、5月10日から3ケ月間、保管した。
条件1;用いたドラム缶;飼料を入れる前に、雪柳の葉からの抽出液をそのまま内面に 吹き付け
;飼料装入後の処理;特別の処理なし。
条件2;用いたドラム缶;飼料を入れる前に、雪柳の葉からの抽出液をそのまま内面に 吹き付け
;飼料装入後の処理;雪柳からの抽出液に同量の水を加えたものを飼料の条件に 吹き付け
条件3;用いたドラム缶;通常のもの
;飼料装入後の処理;特別の処理なし。
上記の試験期間では、条件3ではタンクの内面にカビが発生して白色を帯びていたのに対して、条件1および2では変化は認められなかった。
さらに3ケ月置いて観察したところ、条件1では、表面が白く変色した家畜飼料が見られたのに対して、条件2では最初と変化が認められなかった。
【実施例3】
【0031】
豆腐製造場で、当日発生した豆腐粕を、事前に雪柳の葉からの抽出液に同量の水を加えた液を内面に噴霧しておいた運搬用容器に移し、その上面に同じ役を噴霧してから搬送し、家畜飼料製造場のタンクに移した。これとは別に、パン製造工場で発生したパンくず(水分含有量21%)を、事前に雪柳の葉からの抽出液に同量の水を加えたものを内面に噴霧しておいた運搬用容器に移し、その上面に同じ液を噴霧してから搬送した。これらを混合して、加熱水蒸気を吹き込んで50℃以上に加熱した。その後、水分が60%になるように水を加えるとともに、発酵菌として麹菌を加えて発酵処理をして家畜用の飼料を製造した。その発酵の進行状況は、比較材として用いた、雪柳の葉の抽出したものを加えないで、保冷により腐敗を防止したものと差は認められなかった。
【実施例4】
【0032】
パーナーが装着された回転攪拌型飼料製造装置での85℃での加熱、55℃での菌体を加えての発酵処理の途中までは実施例1と同じである。この家畜用飼料製造機から内容物を排出する15分前に、竹をチップ化し、そのチップを微粉砕して、雪柳の抽出液を噴霧してビニール袋に保管してあった竹パウダー(パウダー製造後、10日以内)を、上記内容物95wt%、竹パウダー5wt%の割合で添加して、攪拌して、装入物を排出して空冷して、袋詰めして牛用の飼料として提供した。牛の嗜好性は良好であった。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明によって、各種の食品廃棄物を原料として、経済的に家畜用飼料を製造することができ、生ごみ処理量の低減によって地方自治体の負担を軽減し、安価で安全な家畜用飼料の提供によって畜産業の経営安定に寄与することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品廃棄物の発生した施設で食品廃棄物を輸送用の容器に移す際に雪柳の葉から抽出したものを含む液を加えること(工程A)を特徴とする食品廃棄物を原料とする家畜飼料の製造方法。
【請求項2】
請求項1において、雪柳の葉から抽出したものを含む液を加える方法が、食品廃棄物を装入する前の容器内面への吹付けと、食品廃棄物装入後の上面からの吹きつけの組み合わせからなることを特徴とする食品廃棄物を原料とする家畜飼料の製造方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2において、輸送されてきた食品廃棄物に対して、45℃以上の温度に加熱すること(工程B)を特徴とする食品廃棄物を原料とする家畜飼料の製造方法。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかにおいて、輸送されてきた食品廃棄物に対して、水分含有量が70%以上の場合に水分を分離して水分含有量の低下を図った(工程C)後、45℃以上の温度に加熱すること(工程B)を特徴とする食品廃棄物を原料とする家畜飼料の製造方法。
【請求項5】
請求項3において、製造された家畜飼料を収納する容器の内面と、装入後の家畜飼料層の上面のいずれか、あるいは両方に雪柳の葉から抽出した液を吹き付けることを特徴とする食品廃棄物を原料とする家畜飼料の製造方法。
【請求項6】
請求項4において、工程Cで分離された水分に菌体を含むものを加えて発酵させて、液肥を製造することを特徴とする食品廃棄物を原料とする家畜飼料の製造方法
【請求項7】
竹をパウダー状に粉砕したものを、請求項3の工程Bで他の原料に混合することを特徴とする食品廃棄物を原料とする家畜飼料の製造方法。
【請求項8】
請求項7において、加えるパウダー状に粉砕した竹が雪柳の葉から抽出したものを含む液を吹き付けて変敗を抑制したものであることを特徴とする食品廃棄物を原料とする家畜飼料の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2011−188850(P2011−188850A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−18999(P2011−18999)
【出願日】平成23年1月12日(2011.1.12)
【出願人】(504067837)松浦造園株式会社 (1)
【Fターム(参考)】