説明

食品廃棄物処理装置

【課題】食品廃棄物をより効率的に処理することのできる食品廃棄物処理装置を提供することを課題とする。
【解決手段】食品廃棄物を乾燥させて処理する装置であって、食品廃棄物が投入され、軸周りに回転する処理槽2と、処理槽2内を減圧する真空ポンプと、処理槽2内の食品廃棄物を加熱するためのコイル3と、処理槽2内部にて発生した蒸気を外部へ排気するよう、回転軸と同心に処理槽2に形成された排気ポート23と、排気ポート23から排気された蒸気を冷却水に混合させることで蒸気を凝縮して冷却水とともに排水する凝縮部4と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品廃棄物を乾燥処理するための食品廃棄物処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
食品製造業や、外食産業、家庭内から排出される食品廃棄物は大量であるため、これを効率的に処理するための処理装置が種々提案されている。例えば、特許文献1に開示された処理装置は、被処理物9を収容するための容器10が回転可能に真空炉7内に設置されており、真空炉7の外側にはコイル8が設けられている。また、真空炉7には不純物回収装置13を介して真空ポンプ12が接続されている。この装置では、真空ポンプ12によって真空炉7内を真空とし、容器10を回転させながらコイル8に高周波電流を流すことにより被処理物9を誘導加熱する。これにより蒸発した不純物は、真空ポンプ12によって不純物回収装置13に送られ、不純物回収装置13内において水冷ジャケット16によって水冷された凝固室15の内面にて冷却されてその内面に凝固付着する。このように凝固室15の内面に凝固付着した不純物は、回転刃などによって削り取られてから外部へと排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−306417号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した装置では、蒸発した不純物を凝固室から排除するために一旦加熱運転を停止させる必要があり、連続的な処理を行うことができず処理効率が十分とは言えなかった。そこで、本発明は、より効率的に食品廃棄物を処理することのできる食品廃棄物処理装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る食品廃棄物処理装置は、食品廃棄物を乾燥させて処理する装置であって、食品廃棄物が投入され、軸周りに回転する処理槽と、前記処理槽内を減圧する減圧手段と、前記処理槽内の食品廃棄物を加熱する加熱手段と、前記処理槽内部にて発生した蒸気を外部へ排気するよう、回転軸と同心に前記処理槽に形成された排気ポートと、前記排気ポートから排気された蒸気を冷却水に混合させることで前記蒸気を凝縮して冷却水とともに排水する凝縮部と、を備えている。
【0006】
この食品廃棄物処理装置によれば、排気ポートから排気された蒸気を凝縮部の冷却水によって凝縮してから排水するというように、食品廃棄物の加熱処理を停止することなく連続的に蒸気を処理することができるため、効率的な処理が可能となる。また、蒸気を外部へと排気するための排気ポートが処理槽の回転軸と同心となっているため、処理槽を回転させても排気ポートにより蒸気が排気される位置は変わらない。このため、処理槽を回転させて食品廃棄物を加熱処理しつつ、蒸気を凝縮部により排気処理することができ、食品廃棄物の連続的な処理が可能となる。
【0007】
上記加熱手段は、処理槽の外周面に巻回され交流電流が流れるコイルであることが好ましい。
【0008】
また、上記凝縮部は、排出ポートの先端を覆うとともに、内部に冷却水が供給された構造とすることができ、また、この内部に供給された冷却水を外部へ排水する排水部を有している。
【0009】
また、上記減圧手段は、前記処理槽の回転軸と交差する部分から前記処理槽内の気体を排出するように前記処理槽に接続された真空ポンプとすることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、食品廃棄物を効率的に処理することのできる食品廃棄物処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は本発明に係る食品廃棄物処理装置の実施形態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る食品廃棄物処理装置の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、図中の矢印は冷却水の流れる方向を示している。
【0013】
図1に示すように、本実施形態に係る食品廃棄物処理装置1は、食品廃棄物を内部に収容する処理槽2と、処理槽2の内部を減圧するための真空ポンプ(図示省略)と、処理槽2の外周面に巻回されるコイル3と、処理槽2内から排気された蒸気を凝縮するための凝縮部4と、から主に構成されている。
【0014】
処理槽2は、円筒状であって回転軸が水平方向(図1の左右方向)に延びており、食品廃棄物を処理槽2内に投入するための投入口21,及び処理後の食品廃棄物を処理槽2内から排出するための排出口22が側面に形成されている。これら投入口21及び排出口22は、開閉可能な機構となっている。なお、この投入口21及び排出口22を合わせて1つの投入排出口とすることもできる。この処理槽2は、回転軸周りに回転可能に支持されており、モータMによって回転軸周りに回転させられる。処理槽2の容量は特に限定されるものではないが、600〜1000L程度とすることができる。
【0015】
処理槽2の外周にはコイル3が巻回されており、このコイル3には交流電流が流れるように交流電源31に接続されている。このコイル3に交流電流を流すことによって食品廃棄物に対して誘導加熱が行えるよう、処理槽2の材質は金属とすることが好ましく、好ましくは、ステンレス、銅などである。また、処理槽2の内部を減圧するための真空ポンプは、処理槽2の左端面において回転軸と交差する点から処理槽2内の気体を排気するように処理槽2に接続されていることが好ましい。
【0016】
処理槽2の右端面には、処理槽2内で発生した蒸気を外部へと排気するための排気ポート23が形成されている。この排気ポート23は処理槽2の回転軸と同心状に延びている。排気ポート23内には、不純物を除去するためのフィルター231が設けられているとともに、処理槽2内に発生した蒸気を吸引して排気ポート23から排気させるための排気ポンプ232が設けられている。
【0017】
排気ポート23の開放端を覆うように円筒状の凝縮部4が設置されている。この凝縮部4には、冷却水が供給されるよう冷却塔42が配管を介して接続されるとともに、その冷却水を排水するようドレイン管41も接続されている。この凝縮部4は、冷却塔42から冷却水が供給されることによって凝縮部4が密封されることで、排気ポート23から排気された蒸気が外部へ漏れることを防止している。また、ドレイン管41に排水された冷却水が充填されていることにより、排気ポート23から排気された蒸気が凝縮されずに外部へ排気されることも防止される。なお、ドレイン管41から排水された冷却水は、そのまま外部へと排出されてもよいし、一旦、ドレインタンク等に貯められてから排水されてもよい。
【0018】
以上のように構成された食品廃棄物処理装置1によって食品廃棄物を処理する方法について説明する。
【0019】
まず、投入口21から食品廃棄物を処理槽2内に投入し、投入口21を閉める。そして、真空ポンプにて処理槽2内を減圧する。なお、このときの処理槽2内の気圧は、40〜90kPa程度とすることが好ましい。
【0020】
そして、交流電源31によってコイル3に交流電流を流すことにより、誘導加熱によって処理槽2内の食品廃棄物を加熱する。このとき処理槽2をモータMによって回転させることで、食品廃棄物の昇温速度を向上させることができる。なお、このときの処理槽2内の温度は、70〜95℃程度とすることが好ましい。また、この加熱時間は、6〜10時間程度とすることが好ましい。
【0021】
以上のように処理槽2内の食品廃棄物を加熱することによって発生した蒸気は、排気ポンプ232を稼働させることによって排気ポート23から排気される。このとき、蒸気はフィルター231を通過して不純物が除去されから凝縮部4内へと排気される。排気ポート23から凝縮部4へと送られた蒸気は、凝縮部4内に送られてくる冷却水と混合して冷却されることで凝縮される。なお、この凝縮部4内に送られてくる冷却水の温度は、15〜25℃程度とすることが好ましい。このように凝縮された蒸気を含む冷却水は、ドレイン管41から排水される。
【0022】
以上のように誘導加熱によって食品廃棄物が乾燥処理されると、処理槽2の回転及びコイル3による誘導加熱を停止させ、排出口22から乾燥状態の食品廃棄物を取り出し、これを例えば家畜などの飼料などとしてリサイクルすることができる。
【0023】
以上、本実施形態に係る食品廃棄物処理装置1によれば、食品廃棄物を加熱することにより発生した蒸気は、凝縮部4によって冷却水と混合し凝縮されて排水するというように、連続的に効率よく食品廃棄物を処理することが可能となる。また、蒸気が排気される排気ポート23が処理槽2の回転軸と同心状に配置されていることより、処理槽2が回転しても蒸気が排気される位置は変わらないため、処理槽2を回転させながら蒸気の凝縮処理を行うことができる。
【0024】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能であり、例えば、処理槽2内において加熱される食品廃棄物をより均一に加熱されるよう、処理槽2内に撹拌羽根を設置することもできる。
【符号の説明】
【0025】
1 食品廃棄物処理装置
2 処理槽
23 排気ポート
3 コイル
4 凝縮部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品廃棄物を乾燥させて処理する装置であって、
食品廃棄物が投入され、軸周りに回転する処理槽と、
前記処理槽内を減圧する減圧手段と、
前記処理槽内の食品廃棄物を加熱する加熱手段と、
前記処理槽内部にて発生した蒸気を外部へ排気するよう、回転軸と同心に前記処理槽に形成された排気ポートと、
前記排気ポートから排気された蒸気を冷却水に混合させることで前記蒸気を凝縮して冷却水とともに排水する凝縮部と、
を備えた、食品廃棄物処理装置。
【請求項2】
前記加熱手段は、前記処理槽の外周面に巻回され交流電流が流れるコイルである、請求項1に記載の食品廃棄物処理装置。
【請求項3】
前記凝縮部は、
前記排出ポートの先端を覆うとともに、内部に前記冷却水が供給されており、
前記冷却水を外部へ排水する排水部を有する、請求項1又は2に記載の食品廃棄物処理装置。
【請求項4】
前記減圧手段は、前記処理槽の回転軸と交差する部分から前記処理槽内の気体を排出するように前記処理槽に接続された真空ポンプである、請求項1から3のいずれかに記載の食品廃棄物処理装置。

【図1】
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【公開番号】特開2013−86028(P2013−86028A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−229063(P2011−229063)
【出願日】平成23年10月18日(2011.10.18)
【出願人】(000156938)関西電力株式会社 (1,442)
【Fターム(参考)】