説明

食品搬送システム及び振動式コンベヤ

【課題】重なって供給された平たい形状を有する食品を搬送方向にずらすことができる構造的に簡易な食品搬送システム及び振動式コンベヤを提供する。
【解決手段】本発明による食品搬送システム(1)は、多数のポテトチップ(F)を供給する供給装置(2)と、供給装置(2)によって供給されたポテトチップ(F)搬送する本発明による振動式コンベヤ(6)を有する。振動式コンベヤ(6)は、搬送方向上流側から下流側に向かって一直線に整列した複数の搬送部(12a〜12e)と、搬送部(12a〜12e)を駆動するための1つの駆動部(14)を有する。搬送部(12a〜12e)の各々は、それぞれのバネ(36a〜36e)を介して振動フレーム(24)に取り付けられる。隣接した搬送部(12a〜12e)の固有振動数は、ポテトチップ(F)を搬送方向(4)にずらすために互いに異なる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動式コンベヤ及びそれを有する食品搬送システムに係わり、更に詳細には、平たい形状の多数の食品を搬送する振動式コンベヤ及びそれを有する食品搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ポテトチップ、スナック菓子等の平たい形状のフライ食品を、振動式コンベヤによって搬送することが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平10−14495号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、フライ後のポテトチップは、重なった状態で振動式コンベヤに供給される。次いで、ポテトチップは、振動式コンベヤの下流側の工程において、調味料で味付けされたり、チョコレートやチーズ等でトッピングされたりする。調味料で味付けする場合、ポテトチップは、ドラム内で調味料と一緒に混合される。従って、ポテトチップが振動式コンベヤ上で重なっていることはあまり問題とならない。他方、ポテトチップをチョコレート等でトッピングする場合、ポテトチップは、振動式コンベヤの下流側に配置された搬送コンベヤで搬送される間に、トッピング材料が上方から供給される。この場合、ポテトチップが完全に重なっていると、下側のポテトチップにトッピング材料が供給されないことになる。また、ポテトチップ同士の間をあけて搬送すると、生産量が減少し、搬送コンベヤを長くする必要があると共に、トッピング材料が搬送コンベヤを汚すことがある。
【0005】
そこで、本発明の目的は、重なって供給された平たい形状を有する食品を搬送方向にずらすことができる構造的に簡易な食品搬送システム及び振動式コンベヤを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明による食品搬送システムは、平たい形状の多数の食品を供給する供給装置と、前記供給装置によって供給された食品を搬送方向に搬送する振動式コンベヤと、を有する食品搬送システムであって、振動式コンベヤは、供給装置によって重なるように供給された平たい形状の多数の食品を搬送方向にずらすために搬送方向上流側から下流側に向かって一直線に整列した複数の搬送部と、複数の搬送部を駆動するための1つの駆動部と、を有し、駆動部は、ベースフレームと、ベースフレームにバネを介して取り付けられた振動フレームと、振動フレームに振動を加えるためにベースフレーム及び振動フレームに連結された振動発生部とを有し、複数の搬送部の各々は、それぞれのバネを介して振動フレームに取り付けられ、隣接した搬送部の固有振動数は、平たい形状の多数の食品を搬送方向にずらすために互いに異なり、最も下流側の搬送部の搬送速度は、最も上流側の搬送部の搬送速度よりも速いことを特徴としている。
【0007】
このように構成された本発明の食品搬送システムでは、平たい形状の多数の食品が、供給装置によって重なるように振動式コンベヤの最も上流側の搬送部に供給され、搬送方向下流側に向かって整列した搬送部に順番に搬送される。最も下流側の搬送部の搬送速度は、最も上流側の搬送速度よりも速いので、重なるように供給された食品の分布は、搬送方向に広げられる。搬送部自体が振動しているので、上側の食品を下側の食品に対してずらす力が働く。それに加えて、隣接した搬送部の固有振動数が互いに異なっているため、隣接した搬送部の搬送速度が互いに異なり、上側の食品を下側の食品に対してずらす力が更に促進される。その結果、重なって供給された平たい形状の多数の食品を搬送方向にずらすことができる。
【0008】
また、複数の振動する搬送部を有しているにもかかわらず、1つの駆動部しか必要としないので、構造的に簡易な食品搬送システムを提供することができる。
【0009】
この食品搬送システムの実施形態において、好ましくは、更に、複数の搬送部と搬送方向に整列し且つ振動フレームにバネを介さずに固定されたフレーム搬送部を有し、フレーム搬送部の固有振動数とそれに隣接した搬送部の固有振動数とは、平たい形状の多数の食品を搬送方向にずらすために異なる。
【0010】
このように構成された食品搬送システムによれば、搬送部の代わりにフレーム搬送部を使用することにより、搬送部のバネを省略することができ、食品搬送システムの構造が更に簡易になる。
【0011】
また、本発明による食品搬送システムの実施形態において、好ましくは、更に、振動式コンベヤの下流側に配置された搬送コンベヤと、搬送コンベヤの上方に配置されたトッピング装置を有する。
【0012】
また、上記目的を達成するために、本発明による振動式コンベヤは、平たい形状の多数の食品を搬送する振動式コンベヤであって、重なるように供給された平たい形状の多数の食品を搬送方向にずらすために搬送方向上流側から下流側に向かって一直線に整列した複数の搬送部と、複数の搬送部を駆動するための1つの駆動部と、を有し、駆動部は、ベースフレームと、ベースフレームにバネを介して取り付けられた振動フレームと、振動フレームに振動を加えるためにベースフレーム及び振動フレームに連結された振動発生部とを有し、複数の搬送部の各々は、それぞれのバネを介して前記振動フレームに取り付けられ、隣接した前記搬送部のバネの固有振動数は、平たい形状の多数の食品を搬送方向にずらすために互いに異なり、最も下流側の搬送部の搬送速度は、最も上流側の搬送部の搬送速度よりも速いことを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように、本発明による食品搬送システム及び振動式コンベヤによれば、重なって供給された平たい形状を有する食品を簡易な構造で搬送方向にずらすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図面を参照して、本発明による食品搬送システム及び振動式コンベヤの実施形態を説明する。図1は、本発明による食品搬送システムの実施形態の概略的な正面図である。図2は、本発明による振動式コンベヤの実施形態の搬送部の概略的な平面図である。
【0015】
図1に示すように、食品搬送システム1は、平たい形状の多数の食品であるポテトチップFを供給する供給装置2と、供給装置2によって供給されたポテトチップFを搬送方向4に搬送する振動式コンベヤ6と、振動式コンベヤ6の下流側に配置された搬送コンベヤ8と、搬送コンベヤ8の上方に配置されたトッピング装置10とを有している。振動式コンベヤ6は、本発明による振動式コンベヤの実施形態である。
【0016】
供給装置2は、図示のように、多数のポテトチップFを振動式コンベヤ6に供給する搬送コンベヤであってもよいし、そのように機能するホッパー等(図示せず)であってもよい。
【0017】
また、トッピング装置10は、溶融したチョコレートやチーズ等の液状のトッピング材料を食品に連続的に又は間欠的にポテトチップの上に供給するための装置であってもよいし、固形のチョコレートやチーズ等の固形のトッピング材料をポテトチップするための装置であってもよい。
【0018】
振動式コンベヤ6は、供給装置2によって重なるように供給された平たい形状の多数のポテトチップFを搬送方向4にずらすために搬送方向上流側から下流側に向かって一直線に整列した5つの搬送部12a〜12eと、複数の搬送部12a〜12eを駆動するための1つの駆動部14とを有している。
【0019】
駆動部14は、設置面16に対して台17及びコイルバネ18を介して取り付けられたベースフレーム20と、ベースフレーム20に板バネ22を介して取り付けられた振動フレーム24と、振動フレーム24に振動を加えるためにベースフレーム20に取り付けられた振動発生部26とを有している。
【0020】
振動発生部26は、ベースフレーム20に取り付けられたモータ26aと、モータ26aからの動力が伝動される偏心回転部26bと、偏心回転部26bと振動フレーム24とを連結する連結部26cとを有している。モータ26aの回転により、偏心回転部26bが偏心回転し、この偏心回転が振動フレーム24に搬送方向4の振動として伝達される。
【0021】
コイルバネ18は、上記振動が設置面16に伝わることを防止するように構成されたバネである。コイルバネ18は、その他任意の形態の弾性部材であってもよい。板バネ22は、振動フレームの搬送方向4の固有振動数を所望の値にするように構成されたバネである。板バネ22は、その他任意の形態の弾性部材とリンクを組合せたものであってもよい。
【0022】
図1及び図2に示すように、各搬送部12a〜12eは、搬送方向4に延び且つ幅30aを有する搬送面30と、搬送面30の幅方向32両側に配置された壁部材34とを有している。本実施形態では、搬送面30及び壁部材34は、ステンレス板材で形成されており、幅30aは、各搬送部12a〜12eにおいて搬送方向4に一定である。また、搬送部12a〜12eの搬送面30の高さは、搬送方向4に一定である。
【0023】
複数の搬送部12a〜12eの各々は、それぞれの板バネ36a〜36eを介して振動フレーム24に取り付けられている。それにより、振動フレーム24の搬送方向4の振動は、各板バネ36a〜36eを介して搬送部12a〜12eに搬送方向4の振動として伝達される。板バネ36a〜36eは、その他任意の形態の弾性部材とリンクを組合せたものであってもよい。
【0024】
隣接した搬送部12a〜12eの固有振動数は、平たい形状の多数のポテトチップFを搬送方向4にずらすために互いに異なっており、それに応じて、各搬送部12a〜12eの重量及びバネ36a〜36eの曲げ弾性率が定められている。これらの値は、最も下流側の搬送部12eの搬送速度は、最も上流側の搬送部12aの搬送速度よりも速くなるように定められ、好ましくは、搬送部12a〜12eの搬送速度が下流側に向かって増大するように定められる。搬送部12a〜12eの固有振動数が振動フレーム24の駆動振動数に比べて大きくなるほど、搬送部12a〜12eの搬送速度が大きくなる。バネ36a〜36eは、例えば、PTFEで形成され、曲げ弾性率は、例えば、300〜800MPaであり、好ましくは、550MPaである。また、搬送部12a〜12eの固有振動数は、例えば、5〜20Hzであり、好ましくは、11〜13Hzである。
【0025】
次に、上述した食品搬送システムの動作を説明する。
【0026】
ポテトチップFを供給装置2によって振動式コンベヤ6に供給する。供給されたポテトチップFは、最も上流側の搬送部12aの搬送面30の上で10〜20層に重なっている。ポテトチップFの供給は、ポテトチップFが振動式コンベヤ6に滞留しなければ、連続方式であっても、バッチ方式であってもよい。
【0027】
次いで、ポテトチップFは、搬送方向下流側に向かって整列した搬送部12b〜12eに順番に搬送される。搬送部12a〜12eの搬送速度が下流側に向かって増大するように定められている場合、重なるように供給されたポテトチップFの分布は、下流側に搬送されるに従って、搬送方向4に広げられる。搬送部12a〜12e自体が振動しているので、重なっている上側のポテトチップFを下側のポテトチップFに対してずらす力が働く。それに加えて、隣接した搬送部(例えば、12aと12b、12bと12c)の固有振動数が互いに異なっているため、隣接した搬送部の搬送速度が互いに異なり、重なっている上側のポテトチップFを下側のポテトチップFに対してずらす力が更に促進される。その結果、重なって供給された平たい形状の多数のポテトチップFを搬送方向4にずらすことができる。例えば、バッチ方式によって、多数のポテトチップの1つの塊のように振動式コンベヤ6に供給されたポテトチップFは、振動式コンベヤ6によって搬送されるうちに、次第に搬送方向4に広がるようにずらされ、全体的に細長い範囲に分布する。
【0028】
次いで、ポテトチップFは、ずらされた状態で搬送コンベヤ8に搬送され、トッピング材料がトッピング装置10によってポテトチップFの上に供給される。重なっていたポテトチップFがずらされているので、まったくトッピング材料が供給されないポテトチップFが生産されるおそれを軽減することができる。
【0029】
本実施形態による食品搬送システム1では、複数の振動する搬送部12a〜12eを有しているにもかかわらず1つの駆動部14しか必要としないので、構造的に簡易になる。
【0030】
次に、本発明による食品搬送システムの変形実施形態を説明する。図3は、本発明による食品搬送システムの変形の実施形態の概略的な正面図である。
【0031】
変形の実施形態の食品搬送システム1’は、上述した振動式コンベヤ6の最も下流側の搬送部12eが、振動フレーム24にバネを介さずに固定されたフレーム搬送部12fに置き換えられた振動式コンベヤ6’を有している。
【0032】
詳細には、フレーム搬送部12fは、搬送部12a〜12dの下流側において搬送方向4に整列し、フレーム搬送部12fの固有振動数は、それに隣接した搬送部12dの固有振動数とは、平たい形状の多数のポテトチップFを搬送方向4にずらすために異なっており、好ましくは、フレーム搬送部12fの搬送速度が搬送部12dの搬送速度よりも大きくなるように定められる。搬送部12a〜12dの搬送面30の高さが、変形の実施形態に示すように、下流側に向かって下がっていてもよい。
【0033】
変形の実施形態の食品搬送システム1’の動作は、上述した食品搬送システム1の動作と同様である。
【0034】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【0035】
上述した実施形態では、5つの搬送部12a〜12e又は4つの搬送部12a〜12dを有していたけれども、搬送部の数は、重なるように供給されたポテトチップF等に応じて任意に選択される。ポテトチップFが重なる層が多くなるほど、搬送部の数は多い方が好ましく、例えば、少なくとも3つ以上である。それにより、ポテトチップFの分布が均一化される。
【0036】
上述した実施形態では、各搬送部12a〜12fの幅30aが一定であったけれども、下流側の搬送部に向かって幅30aが大きくなってもよいし、各搬送部において、幅が下流側に向かって広がっていてもよい。この場合、重なるように供給されたポテトチップFが、幅方向32にずらす効果がある。
【0037】
また、上記実施形態では、搬送部12a〜12eの搬送速度が下流側に向かって増大するように定められていたが、ポテトチップFの分布が搬送方向4に広げられれば、搬送部の幾つかの搬送速度は、その上流側の搬送部の搬送速度よりも小さくてもよい。この場合、ばらついて供給されたポテトチップFの分布が均一化される。
【0038】
上記変形の実施形態では、フレーム搬送部12fが、最も下流側の搬送部12dの下流側に配置されたけれども、フレーム搬送部12fが、搬送部12a〜12dの間に配置されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明による食品搬送システムの実施形態の概略的な正面図である。
【図2】本発明による振動式コンベヤの実施形態の搬送部の概略的な平面図である。
【図3】本発明による食品搬送システムの変形の実施形態の概略的な正面図である。
【符号の説明】
【0040】
1 食品搬送システム
2 供給装置
4 搬送方向
6 振動式コンベヤ
12a〜12d 搬送部
12f フレーム搬送部
14 駆動部
20 ベースフレーム
22 板バネ
24 振動フレーム
26 振動発生部
36a〜36e 板バネ
F 食品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平たい形状の多数の食品を供給する供給装置と、前記供給装置によって供給された食品を搬送方向に搬送する振動式コンベヤと、を有する食品搬送システムであって、
前記振動式コンベヤは、前記供給装置によって重なるように供給された平たい形状の多数の食品を搬送方向にずらすために搬送方向上流側から下流側に向かって一直線に整列した複数の搬送部と、前記複数の搬送部を駆動するための1つの駆動部と、を有し、
前記駆動部は、ベースフレームと、ベースフレームにバネを介して取り付けられた振動フレームと、振動フレームに振動を加えるためにベースフレーム及び振動フレームに連結された振動発生部とを有し、
前記複数の搬送部の各々は、それぞれのバネを介して前記振動フレームに取り付けられ、隣接した前記搬送部の固有振動数は、平たい形状の多数の食品を搬送方向にずらすために互いに異なり、最も下流側の搬送部の搬送速度は、最も上流側の搬送部の搬送速度よりも速いことを特徴とする食品搬送システム。
【請求項2】
更に、前記複数の搬送部と搬送方向に整列し且つ振動フレームにバネを介さずに固定されたフレーム搬送部を有し、前記フレーム搬送部の固有振動数は、それに隣接した前記搬送部の固有振動数とは、平たい形状の多数の食品を搬送方向にずらすために異なることを特徴とする請求項1に記載の食品搬送システム。
【請求項3】
平たい形状の多数の食品を搬送する振動式コンベヤであって、
重なるように供給された平たい形状の多数の食品を搬送方向にずらすために搬送方向上流側から下流側に向かって一直線に整列した複数の搬送部と、
前記複数の搬送部を駆動するための1つの駆動部と、を有し、
前記駆動部は、ベースフレームと、ベースフレームにバネを介して取り付けられた振動フレームと、振動フレームに振動を加えるためにベースフレーム及び振動フレームに連結された振動発生部とを有し、
前記複数の搬送部の各々は、それぞれのバネを介して前記振動フレームに取り付けられ、隣接した前記搬送部のバネの固有振動数は、平たい形状の多数の食品を搬送方向にずらすために互いに異なり、最も下流側の搬送部の搬送速度は、最も上流側の搬送部の搬送速度よりも速いことを特徴とする振動式コンベヤ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−208874(P2009−208874A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−52328(P2008−52328)
【出願日】平成20年3月3日(2008.3.3)
【出願人】(591115578)カルビー株式会社 (28)
【出願人】(305060567)国立大学法人富山大学 (194)
【Fターム(参考)】