説明

食品梱包用途における自己集合性ポリマー膜

ポリマー膜を用いて食品を梱包する方法であって、ポリマーは、自己集合性ポリマー材料であり、且つ方法は、a.)該ポリマーをフィルムの状態にすること;及びb.)該フィルムにより雰囲気中の食品を梱包することを含み、該フィルムは、食品が梱包された雰囲気を調節する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に食品貯蔵用の梱包雰囲気を維持するための方法に関する。より詳細には、本発明は、高分子的に自己集合性であるポリマーを含むポリマー膜、フィルム、ホイル、シート、コンテナ、チューブまたはパッチの使用を介して食品梱包及び貯蔵雰囲気を維持するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
これまでの梱包技術としては、D.r.Paul及びR.Clarke;Modeling of modified atmosphere packaging based on designs with a membrane and perforation;Journal of Membrane Science,2002,208.269〜283頁が挙げられる。この論文は、梱包された農産物の呼吸能を改良するための方法としてのCO2/O2 選択性ポリマーの使用を開示する。この研究論文は、多様な農産物の呼吸率に適合する梱包環境におけるCO2/O2、及び水蒸気の濃度を開示する。
【0003】
V.V.Pethe等;(Oxygen and Carbon Dioxide Permeability of EAA/PEO Blends and Microlayers;Journal of Applied Polymer Science, 2008, 110, 1411−1419頁);は、農産物の梱包用途に実行可能な材料として、多様なポリ(エチレンオキシド)及びエチレンアクリル酸コポリマーの使用を開示する。報告された最も高い純粋気体CO2/O2選択性は、純粋なPEOマトリクスについて、16.8であったのに対し、最も高いCO2透過性は、6.7barrerであった。
【0004】
Khemani等,米国特許第7,297,394号,Biodegradable Films and Sheets Suitable for use as Coatings, Wraps, and Packaging Materialsは、食品梱包に適した機械的特性を有する生分解性ポリマーの使用を開示する。少なくとも約80g/m2/日の水蒸気透過率が開示されている。
【0005】
農産物梱包内部の雰囲気条件の制御は、多くの梱包用途において重要であるCO2、2及び水蒸気の運搬速度の制御を要求する。残念ながら、満足のいくCO2、2及び水の透過性を実証するような多くの材料は存在しない。
【0006】
例えば、ある種の切断された農産物は、分解を防ぐために乾燥環境を要求する。他の農産物は、CO2またはO2が梱包環境において過剰に存在するならば、変色し始めるだろう。
【0007】
現在の農産物梱包等の用途は、全世界の農産物配送市場の必要性に対処していない。果実及び野菜は、運送の間にも呼吸を続け、そして雰囲気組成がそれらの呼吸率に合うように調整されているならば、より長く新鮮なままになる。現在の梱包材料は、高いCO2またはO2の透過性を有さず、且つしばしば農産物に呼吸ができなくなるようにし、それはそれらがすぐに腐る原因となっている。CO2が梱包から抜け出ることができ、且つO2が農産物の周囲に入ることができるように、少なくとも梱包の一部分を設計することが所望されている。
【0008】
結果として、農産物の保存可能期間を延長させるような、食品梱包中の雰囲気を維持する方法の必要性が存在している。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明の概要
本発明の1つの観点によれば、ポリマー膜を用いて食品を梱包するための方法が提供され、ポリマーは、高分子的に自己集合性であるポリマー材料を含む。方法は、ポリマーをフィルムの状態にすること、及びポリマーフィルムにより雰囲気中の食品を梱包することを含み、ここでのフィルムは、食品が梱包される雰囲気を調節する。
【0010】
本発明のさらなる観点によれば、食品を梱包する方法は、数ある梱包形態の中でも特にフィルム、ホイル、シート、コンテナまたはチューブの形態における共射出工程を介して、梱包材料を組み立てることを含む。
【0011】
本発明は、食品貯蔵のための梱包雰囲気を維持する方法である。この文脈において、維持される雰囲気とは、本発明のポリマー膜から構築される任意の梱包を含んで食品が貯蔵される内部の環境である。
【0012】
本発明の方法に供される食品としては、その混合物を包含し、特にアーティチョーク、アンズ、バナナ、クランベリー、ナス、ブドウ、キウイフルーツ、リーキ(leek)、レタス、マンゴー、ハネデューメロン(honeydew melon)、キノコ、ネクタリン、パパイヤ、モモ、西洋ナシ、エンドウ、ピーマン、パイナップル、プラム、ダイコン、イチゴ、及びトマト等の果実及び野菜が挙げられる。
【0013】
非多孔性ポリマーを介する気体透過は、通常いわゆる3−段階“溶解−拡散”モデルを用いて説明される。本モデルによれば、上流(すなわち高分圧)膜での気体分子は、ポリマーの上流面への分割を表面に出す。気体分子は、ポリマーを介して拡散し、そして低い気体分圧に曝されたポリマー表面から脱着する。本工程における第二段階、ポリマーを介する拡散は、律速段階である。
【0014】
厚さlの均質、等方性フラットシート膜を介する気体A、PAの定常状態透過性は、以下のように定義される:
【数1】

【0015】
式中NAは、フィルムを介する定常状態気体流動であり、且つp2及びp1は、それぞれ気体Aの供給及び透過分圧である。透過性は、典型的に、本来備わっているポリマー浸透系の特性として扱われ、且つそれはしばしばbarrerの単位において報告され:ここでは、
1barrer=10―10cm3(STP)cm/(cm2s(cmHg))
である。
【0016】
透過性への駆動力の効果を適切に説明するために、Eq.(1)における分圧は、理想気体でない場合、逸散性に置き換えられる。一般に気体は、10atmを下回る圧力で理想気体挙動に従うものと考えられている。文献において報告されるほとんどの透過性係数は、逸散性よりもむしろ圧力または分圧に基づき算出されるので、本報告は、圧力に関して透過性を検討する。
【0017】
定常状態で、フィックの第一法則の拡散が、気体輸送を支配し、且つ下流圧力、p1が、上流圧力、p2よりもかなり低い場合に、Eq.(1)は、以下のように表され得る:
【数2】

【0018】
式中DA は、有効濃度−平均拡散係数であり、且つSAは、膜の上流面での溶解度係数であり:
【数3】

【0019】
式中C2は、上流フィルム表面でのポリマーにおける気体濃度であり、且つp2は、供給における気体Aの透過分圧である。ポリマーにおける気体溶解度は、しばしば臨界温度等の気体濃縮能増加のいくつかの基準に従って増加する。臨界温度、Tc、注目のいくつかの気体についての値を以下に示す。CO2は、これらの気体の中でも群を抜いて最高の臨界温度を有する。ポリマーにおける気体溶解度は、Tcとともに指数関数的に上がるので、CO2は、一般にこれらの他の気体よりもポリマーによりいっそう溶解性になるだろうし、そのことは多くの他の気体よりもCO2に透過性であるポリマーの傾向を増加させる。
【表1】

【0020】
拡散係数は、ポリマーにおける浸透分子の可動性を特徴付け、且つそれらは、例えばより高い拡散係数を有するより小さい分子による動的分子径によって測定されるような浸透サイズと多くの場合関連がある。上記の表は、CO2分離におけるいくつかの注目の気体について、動的分子径に基づく浸透サイズを提供する。CO2動的分子径は、CO2の楕円の性質を反映して、O2のものより小さい。他の等方的に形づけられた分子のように、CO2は、主にその最も狭い横断面の方向において拡散段階を達成すると信じられている。結果として、ポリマーにおけるCO2拡散係数は、通常大幅に低い分子量の気体(例えばO2)のものよりも高い。2つの気体を分離させるポリマーの能力は、多くの場合2つの気体の透過性の比率である理想的な選択性A、B:
【数4】

の観点において定義される。
【0021】
Eq.(2)より、理想的な選択性は、DA/DB、拡散選択性、及びSA/SB、溶解選択性:
【数5】

の産物である。
【0022】
拡散選択性は、主として浸透分子の相対的なサイズ及びポリマーのサイズふるい分け能(すなわち、浸透物質サイズに基づくポリマーの気体分離能)に依存し、それはポリマーマトリクス自由体積(及び自由体積分布)並びにポリマー鎖剛性に強く依存する。溶解選択性は、浸透物質の相対的な濃縮能及び浸透物質の相対的な親和性(ポリマーマトリクスに対して)に影響される。先に示したように、浸透物質濃縮能は、多くの場合に溶解度の決定において支配的な要因であり、そのために溶解選択性である。しかしながら、CO2は、極性浸透物質であり、且つそれ自体は、ポリマー中の極性基と有益な相互作用を有し、その結果として、単独での浸透物質濃縮能検討を超えて、その溶解度及び溶解選択性を変化させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
好適な態様の詳細な説明
本発明に従って、食品保存可能期間を延長させるような食品梱包中の雰囲気を維持する方法が提供される。方法は、自己集合性ポリマー材料から構成されるポリマー膜中に食品を梱包することを含む。方法は、定常状態のO2、CO2、及び/または水蒸気輸送が食品につながる梱包雰囲気を維持するような膜により食品を梱包するステップを含む。
【0024】
分子自己集合性材料
本明細書において使用されるようなMSA材料とは、化学官能基の物理的な分子間会合を介して、より大きな会合または集合オリゴマー及び/または高重合体を効果的に形成するオリゴマーまたはポリマーを意味する。理論に拘束されるつもりはないが、分子間会合は、分子量(Mn−数平均分子量)または自己集合性材料の鎖長を増加させず、且つ前記材料間での共有結合は、生じないと信じられている。この結合または集合は、より大きな会合または集合オリゴマー或いはポリマー構造を形成するための冷却等の引き金事象を自発的に起こす。他の引き金事象の例は、分子的に自己集合性である材料のせん断誘起結晶化、及び核形成剤を分子的に自己集合性である材料に接触させることである。したがって、好適な態様におけるMSAは、いくつかの高分子量の合成ポリマーと類似する機械的特性、及び非常に低い分子量の化合物のような粘性を示す。しかしながら、高分子量であり、且つ高粘性であり、そしてそれ自体は本発明の範囲内にあるような高分子自己集合性ポリマーを有することは可能である。MSA組織(自己集合)は、しばしば方向性の、個々の分子(すなわちオリゴマーまたはポリマー)の繰り返し単位上に位置する分子官能基または部位の間の非共有結合相互作用に起因する(例えば水素結合アレイ)。非共有結合相互作用としては、静電相互作用(イオン−イオン、イオン−双極子または双極子−双極子)、配位金属−リガンド結合、水素結合、π−π−構造スタッキング相互作用、供与体−受容体、及び/またはファン・デル・ワールス力が挙げられ、且つ分子内及び分子間で起こり、構造秩序を与え得る。
【0025】
自己集合の1つの好適な様式は、水素結合であり、且つこの非共有結合相互作用は、多重水素結合を有する化学錯体、または錯体の基の相対的なエネルギー相互作用強度を説明する数学の“結合定数,”K(assoc)定数によって定義される。かかる錯体は、MSA材料の集団において高次構造を生じさせる。自己集合性多重H−結合アレイの記述は、“Supramolecular Polymers,” Alberto Ciferri編、第二版、157〜158頁において見出され得る。
【0026】
“水素結合アレイ”は、繰り返し構造または単位に共有結合した化学的部分(例えばカルボニル、アミン、アミド、ヒドロキシル等)の意図的に合成された一式(または基)であり、好適には個々の化学部分が、同一、または異なる分子上の他の供与体及び受容体と自己集合性供与体−受容体対を形成するように、自己集合性分子を好ましく調製する。“水素結合錯体”は、水素結合アレイ間で形成される化学錯体である。水素結合アレイは、102から109-1(逆数モル濃度)の間、一般に103-1超の会合定数K(assoc)を有し得る。好適な態様では、アレイは化学的に同一であり、または相違し、且つ錯体を形成する。
【0027】
したがって、本発明における使用に適している分子的に自己集合性である材料(MSA)としては、分子的に自己集合性であるポリエステルアミド、コポリエステルアミド、コポリエーテルアミド、コポリエーテルエステル−アミド、コポリエーテルエステル−アミド、コポリエーテルエステル−ウレタン、コポリエーテル−ウレタン、コポリエステル−ウレタン、コポリエステル−尿素、コポリエーテルエステル−尿素及びそれらの混合物が挙げられる。好適なMSAとしては、コポリエステルアミド、コポリエーテルアミド、コポリエステル−ウレタン、及びコポリエーテル−ウレタンが挙げられる。MSAは、好適には1モル当たり200グラム以上、より好適には少なくとも約3000g/mol、及びさらにより好適には少なくとも約5000g/molの数平均分子量、MWn(区別しないでMnとも呼ばれる)を有する(好適にはNMR分光法または任意にゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって決定される)。MSAは、好適にはMWn1,000,000g/mol以下、より好適には約50,000g/mol以下、またより好適には約25,000g/mol以下、及びさらにより好適には約12,000g/mol以下を有する。
【0028】
MSA材料は、好適には分子的に自己集合性である繰り返し単位を含み、より好適には(多重)水素結合アレイを含み、前記アレイは、好適には102〜109逆数モル濃度(M-1)、及びさらにより好適には103-1超の会合定数K(assoc)を有し;供与体−受容体水素結合部分を含む多重−水素結合アレイの会合は、自己集合の好適な様式である。多重H−結合アレイは、好適には1個の分子的に自己集合性である単位当たり、平均で2〜8個、より好適には4〜6個、及びさらにより好適には少なくとも4個の供与体−受容体水素結合部分を含む。好適なMSA材料における分子的に自己集合性である単位としては、ビス−アミド基、及びビス−ウレタン基繰り返し単位並びにそれらの高次オリゴマーが挙げられる。
【0029】
本発明において有用なMSA材料における好適な自己集合性単位は、ビス−アミド、ビス−ウレタン及びビス−尿素単位、またはそれらの高次オリゴマーである。便宜上、且つ他に断りのない限り、MSA材料を含むオリゴマーまたはポリマーとしては、ホモポリマー、及び、コポリマー、ターポリマー等のインターポリマーが挙げられ、本明細書において簡単にポリマーと称され得る。
【0030】
いくつかの態様では、MSA材料は、“非芳香族ヒドロカルビレン基”を含み、且つこの用語は、本明細書において特にオリゴマーまたはポリマー繰り返し単位の骨格中に芳香族環(例えばフェニル)等の任意の芳香族構造を有さない、または含まないヒドロカルビレン基(炭化水素から2つの水素原子を取り除くことによって形成される2価の基)を意味する。いくつかの態様では、非芳香族ヒドロカルビレン基は、これらに限定されないが、ハロゲン化物、アルコキシ基、ヒドロキシル基、チオール基、エステル基、ケトン基、カルボン酸基、アミン、及びアミド等の多様な置換基、または官能基によって任意に置換される。“非芳香族へテロヒドロカルビレン”は、ポリマーまたはオリゴマー鎖の骨格に少なくとも1個の非炭素原子(例えば、N、O、S、Pまたは他のヘテロ原子)を含み、且つポリマーまたはオリゴマー鎖の骨格に芳香族構造(例えば芳香族環)を有しない、または含まないようなヒドロカルビレンである。
【0031】
いくつかの態様では、非芳香族ヘテロヒドロカルビレン基は、これらに限定されないが、ハロゲン化物、アルコキシ基、ヒドロキシル基、チオール基、エステル基、ケトン基、カルボン酸基、アミン、及びアミド等の多様な置換基、または官能基により任意に置換される。ヘテロアルキレンは、少なくとも1個の非炭素原子(例えばN、O、Sまたは他のヘテロ原子)を有するアルキレン基であり、いくつかの態様では、これらに限定されないが、ハロゲン化物、アルコキシ基、ヒドロキシル基、チオール基、エステル基、ケトン基、カルボン酸基、アミン、及びアミド等の多様な置換基、または官能基により任意に置換される。本開示の目的のために、“シクロアルキル”基は、3個〜12個、好適には3個〜7個の炭素原子を有する飽和炭素環式基である。“シクロアルキレン”基は、3〜12個、好適には3〜7個の炭素原子を有する不飽和炭素環式基である。シクロアルキル及びシクロアルキレン基は、芳香族を含まない限り、独立して単環式または多環式融合系である。炭素環式基の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル及びシクロヘプチルが挙げられる。
【0032】
いくつかの態様では、本明細書における基は、当業界において公知であるような1つ以上の置換可能な位置において任意に置換される。例えばいくつかの態様では、シクロアルキル及びシクロアルキレン基は、特にハロゲン化物、アルコキシ基、ヒドロキシル基、チオール基、エステル基、ケトン基、カルボン酸基、アミン、及びアミドにより任意に置換される。いくつかの態様では、シクロアルキル及びシクロアルケン基は、任意に他の基との組み合わせに組み込まれて、さらなる置換基、例えばアルキル、ヘテロアルキル、及びシクロアルキルの多様な非限定的な組み合わせを参照する“−アルキレン−シクロアルキレン−”、“−アルキレン−シクロアルキレン−アルキレン−”、“−ヘテロアルキレン−シクロアルキレン−”、及び“−ヘテロアルキレン−シクロアルキル−ヘテロアルキレン”を形成する。これらの組み合わせとしては、オキシジアルキレン(例えばジエチレングリコール)等の基、ネオペンチルグリコール等の分岐ジオールから由来する基、またはDow ChemicalのUNOXOL(商標)1,3−及び1,4−シクロヘキサンジメタノールの異性体混合物等のシクロ−ヒドロカルビレンジオールから由来する基、並びに−メチルシクロヘキシル−メチル−シクロヘキシル−メチル等の他の非限定的な基が挙げられる。
【0033】
“ヘテロシクロアルキル”は、4〜12個の原子を有し、且つ炭素原子、及び少なくとも1個から4個までの窒素、酸素、または硫黄から選択されるヘテロ原子を含む1個以上の環状の環系である。ヘテロシクロアルキルとしては縮合環構造が挙げられる。好適なヘテロ環基は、ピペラジニル等の2個の環窒素原子を含有する。いくつかの態様では、本明細書におけるヘテロシクロアルキル基は、1つ以上の置換可能な位置において任意に置換される。例えばいくつかの態様では、ヘテロシクロアルキル基は、ハロゲン化物、アルコキシ基、ヒドロキシル基、チオール基、エステル基、ケトン基、カルボン酸基、アミン、及びアミドにより任意に置換される。
【0034】
本発明において有用なMSA材料の例は、ポリ(エステル−アミド)、ポリ(エーテル−アミド)、ポリ(エステル−尿素)、ポリ(エーテル−尿素)、ポリ(エステル−ウレタン)、及びポリ(エーテル−ウレタン)、並びにその混合物であり、それは米国特許(USPN)US6,172,167;及びPCT/US2006/004005として再番号を付され、且つPCT国際特許出願(PCT−IPAPN)WO2007/099397にて公開された出願人の同時係属中のPCT出願PCT/US2006/023450;PCT−IPAPN WO2007/030791にて公開されたPCT/US2006/035201;PCT/US08/053917;PCT/US08/056754;並びにPCT/US08/065242において、その調製と共に記載されている。好適な前記MSA材料は、後述する。
【0035】
一連の好適な態様では、分子的に自己集合性である材料は、式I:
【化1】

のエステル繰り返し単位、
【0036】
並びに式II及びIII :
【化2】

のエステルアミド単位、
【0037】
及び式IV:
【化3】

【0038】
のエステルウレタン単位から選択される少なくとも1つの第二の繰返し単位を含み、
【0039】
式中Rは、それぞれの出現で、独立して約100〜約15000g/molの基分子量を有するC2〜C20の非芳香族ヒドロカルビレン基、C2〜C20の非芳香族ヘテロヒドロカルビレン基、またはポリアルキレンオキシド基である。好適な態様では、C2〜C20の非芳香族ヒドロカルビレンは、それぞれの出現で、独立して特定の基:アルキレン−、−シクロアルキレン−、−アルキレン−シクロアルキレン−、−アルキレン−シクロアルキレン−アルキレン−(ジメチレンシクロヘキシル基を包含する)である。好適には、これらの前述の特定の基は、2〜12個の炭素原子、より好適には3〜7個の炭素原子である。C2〜C20の非芳香族ヘテロヒドロカルビレン基は、それぞれの出現で独立して、具体的には、非限定的な例として、−ヘテロアルキレン−、−ヘテロアルキレン−シクロアルキレン−、−シクロアルキレン−ヘテロアルキレン−、または−ヘテロアルキレン−シクロアルキレン−ヘテロアルキレン−等の、基であり、それぞれの前述の特定の基は、好適には2〜12個の炭素原子、より好適には3〜7個の炭素原子を含む。好適なヘテロアルキレン基としては、オキシジアルキレン、例えばジエチレングリコール(−CH2CH2OCH2CH2−O−)が挙げられる。Rがポリアルキレンオキシド基である場合、それは好適にはポリテトラメチレンエーテル、ポリプロピレンオキシド、ポリエチレンオキシド、またはランダムまたはブロック構造におけるそれらの組み合わせであり、ここでの分子量(Mn−平均分子量、または慣用の分子量)は、好適には約250g/ml〜15000,g/mol、より好適には280g/mol超、及びさらにより好適には500g/mol超であり、且つ好適には3000g/mol未満であり、いくつかの態様では、混合された長さのアルキレンオキシドが包含される。他の好適な態様としては、それぞれの出現でRが同一のC2〜C6アルキレン基であり、及び最適にはそれが−(CH24−である物質が挙げられる。
【0040】
1は、それぞれの出現で、独立して、結合、またはC1〜C20の非芳香族ヒドロカルビレン基である。いくつかの好適な態様では、R1は、それぞれの出現で、同一のC1〜C6アルキレン基、最適には−(CH24−である。
【0041】
2は、それぞれの出現で、独立してC1〜C20の非芳香族ヒドロカルビレン基である。他の態様によれば、R2は、それぞれの出現で同一であり、好適にはC1〜C6アルキレン、及びさらにより好適には、R2は、−(CH22−、−(CH23−、−(CH24−、または−(CH25−である。
【0042】
Nは、それぞれの出現で−N(R3)−Ra−N(R3)−であり、式中R3は、独立してHまたはC1〜C6アルキル、好適にはC1〜C4アルキルであり、またはRNは、2個の窒素原子を含有するC2〜C20のヘテロシクロアルキレン基であり、式中それぞれの窒素原子は、上記の式IIまたはIIIに伴うカルボニル基に結合し、wは、エステルのモル分率を表し、且つx、y及びzは、アミドまたはウレタンのモル分率を表し、ここでw+x+y+z=1であり、0<w<1であり、且つx、y及びzの少なくとも1つは、ゼロ超である。nは、少なくとも1であり、且つ2未満の平均値を有する。Raは、C2〜C20の非芳香族ヒドロカルビレン基、より好適にはC2〜C12アルキレンであり、最適なRa基は、エチレンブチレン、及びヘキシレン−(CH26−である。いくつかの態様では、RNは、ピペラジン−1,4−ジイルである。他の態様によれば、両方のR3基は、水素である。
【0043】
他の態様では、MSAは、式IIまたは式IIIのいずれかの繰返し単位のポリマーであり、式中R、R1、R2、RN、及びnは、上記定義の通りであり、且つx及びyは、モル分率であり、ここでx+y=1であり、そして0<x<1であり且つ0<y<1である。
【0044】
式I及びII、または式I、II及びIIIのポリエステルアミドを含む特定の態様では、特に好適な材料は、式中Rが−(C2〜C6)−アルキレン、特に−(CH24−であるものである。さらに好適には、式中それぞれの出現でR1が同一であり、且つC1〜C6アルキレン、特に−(CH24−である材料である。さらに好適には、式中それぞれの出現でR2が同一であり、且つ−(C1〜C6)−アルキレン、特に−(CH25−アルキレンである材料である。本態様に伴うポリエステルアミドは、好適には少なくとも約4000、及び約20,000以下の数平均分子量(Mn)を有する。より好適には、分子量は、約12,000以下である。
【0045】
便宜上、多様な態様に関する繰り返し単位は、独立して示す。本発明は、ランダムに分布したw、x、y、及びz単位、交互に分布したw、x、y及びz単位、並びに部分的に、且つブロックまたはセグメント化されたコポリマーを包含する、コポリマー中のw、x、y、及びz単位の全ての可能性のある分布を包含し、これらの種類のコポリマーの定義は、当業界において公知の慣用の方法において用いられている。さらに、コポリマーが少なくとも1個のw、及び少なくとも1個のx、y、またはz単位を含むことを条件に、多様な単位の分率において、本発明では特定の制限は存在しない。いくつかの態様では、w対(x+y+z)単位のモル分率は、約0.1:0.9から約0.9:0.1の間である。いくつかの好適な態様では、コポリマーは、少なくとも15モルパーセントのw単位、少なくとも25モルパーセントw単位、または少なくとも50モルパーセントのw単位を含む。
【0046】
いくつかの態様では、本発明において有用なMSA材料の数平均分子量(Mn)は、約1000g/molから約1,000,000g/molの間(端点を含む)にある。いくつかの態様では、MSA材料のMnは、約2,000g/molから約50,000g/molの間(端点を含む)にあり、好適には約5,000g/molから約25,000g/molである。
【0047】
使用方法
本発明の方法の多様な態様によれば、ポリマーが合成され、多孔質基体上の膜として設置され、その後に基体が農産物を梱包するために使用されるパッチ、フィルムまたはシートの状態にされ得る。さらなる態様では、合成されたポリマーは、他のプラスチックまたはボール紙、及び共射出に改良されたコンテナである基体上または基体間にラミネートされ得る。
【0048】
本発明は、一般に食品梱包に適用可能である。食品梱包は、数ある機能の中でも特に物理的保護、バリア保護、封じ込め、及び防衛手段等のいくつもの目的を果たす。いくつもの固体または液体の食品としては、果実及び野菜、魚、家禽、または食肉等の生鮮食品、パン種を入れた、及びパン種を入れていない小麦粉に基づく食品等の焼いた食品、ミルク、ヨーグルト、アイスクリーム、バター、及びチーズ等の乳製品が挙げられ、本発明の梱包による保護が可能である。さらに本発明の工程及び梱包は、冷凍及び非冷凍加工食品にも使用され得る。
【0049】
一般に、本発明は、フィルムまたはシートを形成するために、当業者に公知のいくつもの手段によってその後に処理されるポリマーの合成を含む。フィルムまたはシートは、その後に処理されて、数ある梱包の種類の中でも特にホイル、バッグ、ポーチ、箱、カートン、トレイ、及び包装材料を形成するために使用され得る任意の多様な剛性または非剛性梱包ストックを形成し得る。
【0050】
本ストックを形成するための加工としては、押し出し、成形、溶媒及び溶液キャスティング、ローリング、カレンダー仕上げ、並びに射出及び共射出成形等の当業者に公知である任意の多様な方法及び工程が挙げられる。米国特許第4,717,324号;第4,931,234号;第7,704,433号;第7,510,387号において開示されているもの等の代表的な成形工程の全ては、参照によって本明細書に組み込まれている。代表的な射出及び共射出機材としては、Lossburg、GermanyのArburgによって作られたものが挙げられる。有用であると見出されている他の機械は、数ある梱包ストックの中でも特に多層フィルム及びホイルの製造用にEDIから入手可能になったものである。
【0051】
得られたフィルムまたはシートは、その後に要望の通り所望される特性を有するラミネート、ホイル、または任意の他の剛性または非剛性ストックに形成され得る。好適な態様では、本発明は、保存可能期間を最大限にするべき食品に特有である食品梱包ストックを提供する。本発明の梱包ストックは、制御された気体透過率(OTR)により増強した水蒸気透過率(WVTR)を提供する。
【0052】
フィルムの厚さは、所望される通りに変更され得る。フィルムは、約20ミクロン〜500ミクロンの厚さの範囲で生産され得る。本発明に従ってフィルムにする1つの好適な方法は、共射出であり、ここで本発明のポリマーは、基体材料に共射出され、または2つの基体材料の間に挟み込まれ得る。基体として使用され得る材料としては、金属ホイル、セルロース材料またはポリマー材料等のいくつもの材料が挙げられる。セルロース材料としては、剛性及び非剛性の紙及びボール紙が挙げられる。金属フィルム及びホイルは、特にアルミニウム、銅、錫または金等の所定の用途において有用な任意の金属または金属合金を含み得る。さらに剛性及び非剛性ポリマー基体は、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリスチレン等から作られるものを含んでも使用され得る。ここで再び、任意の多様な選択性及び透過性を提供し、並びに梱包ストックの相対剛性/非剛性特徴を変えるために、フィルム及びシートの厚さは改良され得る。
【0053】
食品梱包中の初期の雰囲気条件は、環境の雰囲気組成、すなわち、乾燥ベースで、存在する公知の微量成分と共に、21%のO2及び79%のN2であり得る。水は、0〜100%の相対湿度でどこにでも存在する。さらに食品は湿っていてもよく、食品サンプル間で相対湿度を変化させ得る。食品雰囲気は、その食品雰囲気が環境の雰囲気組成ではないように、改質された雰囲気であり得る。例えば、N2等の不活性気体が、初期の食品雰囲気の全組成を作り上げ、またはエチレン捕捉剤が、食品雰囲気中に存在している。
【0054】
多孔質、または穴を開けた基体は、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ポリスチレン、及びその混合物を含む。基体は、MSA材料の融点よりも少なくとも約10℃高い融点を有し得る。本基体は、MSAと食品の間の接触を妨げるために存在し得るか、またはそれは、MSAに構造安定性を提供するためだけに使用され得る。多孔質基体は、MSAフィルムが気体輸送において支配的な層になるように十分に多孔質でなくてはならない。
【0055】
本発明の方法において使用されるポリマーは、一般に構成物質及び流量に応じて変化する選択性を有する。使用するCO2/O2選択性は、農産物の保存可能期間を延長させる梱包において雰囲気が維持されるように、梱包内部の梱包領域、農産物の種類、及び農産物の重量に合わせたCO2及びO2流量で、約4.5超であるのがよい。CO2透過性は、1barrer超、好適には2barrer超、及びより好適には4barrer超であるのがよい。O2透過性は、0.3barrer超、好適には0.4barrer超、及びより好適には0.5barrer超であるのがよい。
【0056】
本発明の方法において使用されるポリマーは、一般に構成物質及び流量に応じて変化する選択性を有する。使用するH2O/O2選択性は、農産物の保存可能期間を延長させる梱包において雰囲気が維持されるように、梱包内部の梱包領域、農産物の種類、及び農産物の重量に合わせたH2O及びO2流量で、10超であるべきである。H2O透過性は、500barrer超、好適には1000barrer超、及びより好適には1500barrer超であるのがよい。
【0057】
本発明の方法は、食品梱包中に封入されたCO2、O2及び水の含有量を改良する特定の適用により、任意の種類の農産物の周囲に梱包の一部としての雰囲気組成を改質するために使用され得る。本梱包の種類から特に利益が得られ得る特定の種類の農産物は、これらに限定されないが、特に、その混合物を含み、アーティチョーク、アンズ、バナナ、クランベリー、ナス、ブドウ、キウイフルーツ、リーキ、レタス、マンゴー、ハネデューメロン、キノコ、ネクタリン、パパイヤ、モモ、西洋ナシ、エンドウ、ピーマン、パイナップル、プラム、ダイコン、イチゴ、及びトマトが挙げられる。雰囲気を改質する層は、フィルムの1つ以上の層が目打ちを有する、農産物を封入する単一または多層フィルムとして適用され得るか、或いは農産物を収容するコンテナに取り付けられているパッチの一部として添加され得る。ここでのコンテナは、フィルムまたは剛性コンテナであり得る。
【実施例】
【0058】
以下の実施例は、特定の非限定的な本発明の多様な観点の実例となる態様を提供する。
【0059】
調製
調製1:50モルパーセントのエチレン−N,N’−ジヒドロキシヘキサンアミド(C2C)モノマーを含むポリエステルアミド(PEA)であるMSA材料の調製(MSA材料は、一般にPEA−C2C50%として示される)。
【0060】
ステップ(a)ジアミドジオール、エチレン−N,N’−ジヒドロキシヘキサンアミド(C2C)の調製。
撹拌機及び冷却水ジャケットを備えた10リットル(L)のステンレススチール反応器にε−カプロラクトン(5.707キログラム(kg)、50モル)を添加し、そして窒素によりパージする。高速撹拌下で、エチレンジアミン(EDA;1.502kg、25モル)を一度に添加する。誘導期後に遅い発熱反応が始まる。反応器温度は、最大の冷却適用下で、徐々に90℃まで上昇する。白色の沈殿物が生じ、そして反応器内容物が固化する時点で撹拌を停止する。その後に反応器内容物を20℃まで冷却し、そしてその後に15時間そのままにしておく。その後に反応器内容物を140℃まで加熱し(この温度で固化した反応器内容物は溶ける)、そしてその後に継続した撹拌下で、少なくとも2時間160℃までさらに加熱する。その後に得られた液体産物を反応器から収集トレイに排出する。得られた産物の核磁気共鳴検討は、産物中のC2Cのモル濃度が80パーセントを超えることを示す。手順は、得られた5個の産物ロットにおいて4回を超えて繰り返す。産物の融点は、示差走査熱量測定(DSC)により、130〜140℃(主融点)であると決定される(ピーク最大)。固形材料を造粒し、そしてさらなる精製をしないで使用する。
【0061】
ステップ(b):50モルパーセントのアミド含有量(PEA−C2C50%)を有するMSAコポリエステルアミドの調製。反応器に充填:蒸留カラム及び強力真空ポンプシステムを備えた100Lの単一シャフトKneader−Devolatizer反応器に窒素をパージし、そして80℃に加熱する(サーモスタットオイル)。アジピン酸ジメチル(DMA)、38.324キログラム(kg)及び 粒状のC2Cモノマー(31.724kg、上記ステップ(a)において記載したように調製された)をニーダー中に供給する。1分あたり50回転数(rpm)でスラリーを撹拌する。1,4−ブタンジオール(1,4−BD;18.436kg)を約60℃の温度でスラリーに添加する。反応器温度をさらに145℃まで上げて、均質の溶液を得る。
【0062】
ステップ(c):メタノール蒸留及びエステル交換。静止した窒素雰囲気下、1.380kgの1,4−BD中のチタン(IV)テトラブトキシド触媒を145℃の温度で反応器の中に注入するとメタノールの発生が始まる。反応器中の温度を1.75時間でゆっくり180℃まで上げ、そして追加の45分間保持し、環境圧でメタノール蒸留を完了させる。メタノール(12.664kg)を収集する。
【0063】
ステップ(d):PEA−C2C50%を与えるための1,4−ブタンジオール蒸留及び重縮合。反応器ドームの温度を130℃まで上げ、そして真空系を1時間で7ミリバール(mbar)の反応器圧まで段階的に活性化する。ニーダー/デボラタイザー反応器における温度は、180℃に保つ。その後に温度が190℃まで上がる間に、真空を7時間、0.7mbarまで上げる。追加の3時間、191℃で、且つ0.87mbar〜0.75mbarの範囲の真空により反応器を保つ。この時点で反応器内容物のサンプルを採取し(サンプル番号1)、溶融粘度は、180℃で6575ミリパスカル(mPa.s)、及び190℃で5300mPa.sである。サンプル(サンプル番号2)の最終溶融粘度が180℃で8400mPa.s、及び190℃で6575mPa.sであることを示すまで、さらに1.5時間反応を継続させる。その後に液体のニーダー/デボラタイザー反応器含有物を約190℃の高温で収集トレイに排出し、得られたMSA材料を室温まで冷却し、そして砕く。調製1の最終産物PEA−C2C50%の重量は、57.95kg(87.8%収率)である。調製1のPEA−C2C50%のサンプル(サンプル番号3)は、180℃で8625 mPa.s、及び190℃で6725 mPa.sの溶融粘度を有する。粘度は、Brookfied DV−II+Vicosimeterを用いて、スピンドル番号28により、1分あたり20回転数(rpm)で決定する。
【0064】
プロトン核磁気共鳴分光法(プロトンNMRまたは1H−NMR)は、CH2OH末端基を利用して、モノマー純度、コポリマー組成、及びコポリマー数平均分子量Mnを決定するために使用する。プロトンNMR同定は、分析される特異的な構造、並びに測定のために利用される溶媒、濃度、及び温度によって決まる。エステルアミドモノマー及びコ−ポリエステルアミドのためのD4−酢酸は使いやすい溶媒であり、且つ他に断りのない限り使用される溶媒である。メチルエステルであってDDと呼ばれる種類のエステルアミドモノマーに関する典型的なピーク同定は、C(=O)−OCH3については約3.6〜3.7ppm;N−CH2−については約3.2〜3.3ppm;C(=O)−CH2−については約2.2〜2.4ppm;及びC−CH2−Cについては約1.2〜1.7ppmである。1 ,4−ブタンジオールを有するDDに基づくコ−ポリエステルアミドに関する典型的なピーク同定は、C(=O)−OCH2−については約4.1〜4,2ppm;N−CH2−については約3.2〜3.4ppm;C(=O)−CH2−については約2.2〜2.5ppm;C−CH2−Cについては約1.2〜1.8ppm、及び−CH2OH末端基については約3.6〜3.75である。プロトンNMRは、サンプル番号1〜3がそれぞれ1モルあたり6450グラム(g/mol);6900g/mol;及び7200g/molのMnを有することを決定する。
【0065】
調製2:約18モルパーセントのエチレン−N,N’−ジヒドロキシヘキサンアミド(C2C)モノマーを含むポリエステルアミド(PEA)であるMSA材料の調製(MSA材料は、一般にPEA−C2C18%として示される)。
【0066】
以下の調製は、18モル%のC2Cモノマーを含むPEAを与えるように設計される。一首の500mLの丸底フラスコにチタン(IV)ブトキシド(0.31g、0.91mmol)、N,N’−1,2−エタンジイル−ビス[6−ヒドロキシヘキサンアミド](C2C、30.80g、0.1068mol)、アジピン酸ジメチル(103.37g、0.5934mol)、及び1,4−ブタンジオール(97.33g、1.080mol)を充填する。変更Claisenアダプター(Vigreuxカラム及び蒸留ヘッドを有する)とともに、撹拌−シャフト及びブレードをフラスコ内に挿入する。器具は、撹拌ベアリング、撹拌モーター、温度計、除去アダプター、レシーバー、熱トレーシング及び断熱体、真空ポンプ、真空調整器、窒素供給、及び恒温槽を備える。器具を脱気し、そして正の窒素下で保持する。フラスコを160℃の槽の中に、175℃まで温度を上昇させながら計2時間浸す。レシーバーを変え、そして以下の計画に従って真空を適用する:5分間、450Torr(60キロパスカル(kPa));5分間、100 Torr;5分間、50Torr;5分間、40Torr;10分間、30Torr;10分間、20Torr;1.5時間、10Torr。窒素下で器具を設置し、レシーバーを変え、そして以下の計画に従って約0.36Torr〜0.46Torrにわたる範囲の真空下に置く:175℃で2時間;190℃までで2時間、及び210℃までで3時間。調製2のPEA−C2C18%を与えるための固有粘度=0.32dL/g(メタノール:クロロホルム(1:1w/w)、30.0℃、0.5g/dL)。d4−酢酸中のプロトンNMRによる調製2のPEA−C2C18%の末端基由来のMnは、11,700g/molである。調製2のPEA−C2C18%は、C2Cを含む17.3モル%のポリマー繰り返し単位を含む。プロトンNMRは、サンプル番号1〜3がそれぞれ1モルあたり6450グラム(g/mol);6900g/mol;及び7200g/molのMnを有することを決定する。
【0067】
実施例1
成形に先立ち、全てのポリマー及び複合サンプルを、一晩(少なくとも16時間)、65℃で、約36cmHgで乾燥させた。TetrahedronMPT−14プレスを用いて、サンプルを10cm×10cm×0.05cm(4”×4”×0.02”)プラーク及び5cm×1.25cm×0.32cm(2”×0.5”×0.125”)barに圧縮成形した。材料に基づくPEA C2C−50%及びPEA C2C−18%の成形パラメーターをそれぞれ表1及び2に挙げる。
表1.PEA C2C−50%系複合体の圧縮成形パラメーター。
【表2】

表2.PEA C2C−18%系複合体の圧縮成形パラメーター。
【表3】

【0068】
器具:気体透過セル(Stainless Steel In−Line Filter Holder、47ミリメートル(mm)、Millipore Corporationのカタログ番号XX45 047 00)を得る。気体透過セルは、水平金属メッシュ支持体、及び金属メッシュ支持体の上下でそれぞれに相隔たる入口及び出口を含む。金属メッシュ支持体上に配置されているプラグと一緒になった気体透過セルは、上流体積及び下流体積を定義する。入口は、上流体積、プラグの入口面、プラグの出口面、下流体積、及び出口と順次流体連絡にある。さらに一定体積、可変圧力の純ガス透過器具を得ることは、Wiederhorn,S等、Mechanical Properties in Springer−Handbook of Materials Measurement Methods;Czichos, H., Smith, L. E., Saito, T編;Springer:Berlin、2005;371〜397頁の参照図7.109において記載されていることと類似する。
【0069】
透過実験の処理前に、少なくとも16時間、試験温度で全てのサンプルを真空に曝した。真空への曝露後、上流体積及び下流体積の両方を真空及び供給気体に対して閉鎖することによって漏出速度を決定した。少なくとも1時間セルを分離した後、5分かけて増圧速度を決定した。許容され得る漏出速度は、約2×10-5torr/s 以下であった。許容され得る漏出速度が得られた後、増圧速度が定常状態(すなわち、少なくとも30分かけて、増圧の変化が3%未満)に到達するまで、サンプルをCO2に15 psigで曝した。さらに定常状態のCO2透過のために、45psigの上流圧でサンプルを試験した。
【0070】
純粋なポリマー及びナノ複合体サンプルを横断するO2輸送は、Mocon Ox−Tran(商標)2/21において行った。サンプルは、10cm×10cm×0.05cm(4”×4”×0.02”)プラークであった。温度は、23℃に設定した。 気圧は−750mmHgであり、且つ透過物質及び担体の両方の相対湿度は約50%であった。
【0071】
水蒸気輸送の特徴付けは、Mocon Permatran−W(商標)700を用いて行った。実験は、約38℃、760mmHgの気圧、及び100%の相対湿度で行った。
【0072】
表3は、23℃及び15psigの供給圧でのPEA C2C−50%及びC2C−18%のCO2、O2及び水の透過率を示す。CO2/O2の理想気体選択性は、表4に示す。
表3.23℃及び15psigの供給圧での純ガス透過性
【表4】

表4.23℃での理想気体CO2/O2選択性
【表5】

【0073】
実施例2
ポリプロピレン不織布を採用し、且つそれをMSA PEA C2C−50%及び50%(重量による)ベントナイト化合物に含浸する圧縮成形によってサンプルを調製する(Elementis Specialities、Bentone(商標)105は、Polylab2軸押出機を用いて作られる。Lyssy80−5000は、TAPPI 523−OM(ASTM E96及びE372に相当)の基準により、90%の相対湿度及び38℃の環境条件で水蒸気透過率(WTVR)を評価するために使用する。OTRを測定するために使用される機材は、Mocon Co.モデル2/21であり、且つ標準は、75%の相対湿度及び23℃で、ASTM D3985である。
サンプル2A ベントナイトを有するPP不織布PEA C2C 50%
サンプル2B ベントナイトを有しないPP不織布PEA C2C 50%
サンプル2C HDPE HD40055E(高密度ポリエチレン)を有するPP不織布
サンプル2D HDPE HD40055E(高密度ポリエチレン)
表5.WVTR及びOTRデータ
【表6】

【0074】
本発明は、本発明のその好適な態様並びにそのステップ及び要素の実施例に従って上述したが、それは本開示の精神及び範囲内で修正され得る。したがって本願は、本明細書において開示した一般原理を用いて、本発明の任意の変化、用途、または適合にまで及ぶことが意図されている。さらに本願は、本発明が属する当業界において公知であり、または慣行内にあり、且つ添付の特許請求の範囲内にあるような本開示からのかかる逸脱にまで及ぶことも意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマーフィルムを用いて食品を梱包する方法であって、前記ポリマーが、高分子的に自己集合性であるポリマー材料を含み、前記方法が、
a.)前記ポリマー材料をポリマーフィルムの状態にするステップ;及び
b.)前記ポリマーフィルムにより雰囲気中の食品を梱包するステップ;
を含み、前記フィルムが、前記食品を梱包した雰囲気を調節する方法。
【請求項2】
前記ポリマーフィルムが、ラミネート加工によってもたらされる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ポリマーフィルムが、基体材料と共射出される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ポリマーフィルムが、共射出によって2つの基体間にもたらされる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記基体が、金属または金属合金、ポリマー材料、セルロース、或いはその組み合わせから成る群から選択される、請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
前記ポリマーフィルムが、前記食品雰囲気中の二酸化炭素を調節する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記ポリマーフィルムが、前記食品雰囲気中のO2を調節する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記ポリマーフィルムが、前記食品雰囲気中の水及び水蒸気を調節する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記ポリマーフィルムが、4.5超のCO2/O2選択性を有する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記ポリマーフィルムが、10超の水蒸気/O2選択性を有する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記分子的に自己集合性である材料が、ポリエステル−アミド、ポリエーテル−アミド、ポリエステル−ウレタン、ポリエーテル−ウレタン、ポリエーテル−尿素、ポリエステル−尿素、またはその混合物から成る群から選択される、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記基体が、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ポリスチレン、金属、紙、ボール紙及びその組み合わせから成る群から選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項13】
前記分子的に自己集合性である材料が、多重水素結合アレイを含む自己集合性単位を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記多重水素結合アレイが、103-1超の会合定数K(assoc)を有する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記多重H−結合アレイが、自己集合性単位ごとに、少なくとも供与体−受容体水素結合部位を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記多重H−結合アレイが、自己集合性単位ごとに、平均で2〜8個の供与体−受容体水素結合部位を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記分子的に自己集合性である材料が、式I:
【化1】

の繰返し単位、並びに式II及びIII :
【化2】

のエステル−アミド単位、及び式IV:
【化3】

のエステル−ウレタン単位、またはその組み合わせから選択される少なくとも1つの第二の繰返し単位を含み、
式中Rは、それぞれの出現で、独立して1モルあたり約100グラムから1モルあたり約15000グラムの基分子量を有するC2〜C20非芳香族ヒドロカルビレン基、C2〜C20非芳香族ヘテロヒドロカルビレン基、またはポリアルキレンオキシド基であり;
それぞれの出現でR1は、独立して結合またはC1〜C20非芳香族ヒドロカルビレン基であり;
それぞれの出現でR2は、独立してC1〜C20非芳香族ヒドロカルビレン基であり;
Nは、−N(R3)−Ra−N(R3)−であり、式中それぞれの出現でR3は、独立してHまたはC1〜C6アルキレンであり、且つRaは、C2〜C20非芳香族ヒドロカルビレン基であり、またはRNは、2個の窒素原子を含むC2〜C20ヘテロシクロアルキル基であり、式中それぞれの窒素原子は、上記の式(III )に伴うカルボニル基に結合し;
nは、少なくとも1であり、且つ2未満の平均値を有し;並びに
wは、式Iのエステルモル分率を表し、且つx、y及びzは、それぞれ式II、III 、及びIVのアミドまたはウレタンモル分率を表し、ここでw+x+y+z=1であり、且つ0<w<1であり、且つx、y、及びzの少なくとも1つは、ゼロを超えるが、1未満である、請求項1〜16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記MSA材料が式IIまたはIII :
【化4】

のポリマーまたはオリゴマーであり、
式中Rは、それぞれの出現で、独立して1モルあたり約100グラムから1モルあたり約15000グラムの基分子量を有するC2〜C20非芳香族ヒドロカルビレン基、C2〜C20非芳香族ヘテロヒドロカルビレン基、またはポリアルキレンオキシド基であり;
それぞれの出現でR1は、独立して結合またはC1〜C20非芳香族ヒドロカルビレン基であり;
それぞれの出現でR2は、独立してC1〜C20非芳香族ヒドロカルビレン基であり;
Nは、−N(R3)−Ra−N(R3)−であり、式中それぞれの出現でR3は、独立してHまたはC1〜C6アルキレンであり、且つRaは、C2〜C20非芳香族ヒドロカルビレン基であり、またはRNは、2個の窒素原子を含むC2〜C20ヘテロシクロアルキル基であり、式中それぞれの窒素原子は、上記の式(III)に伴うカルボニル基に結合し;
nは、少なくとも1であり、且つ2未満の平均値を有し;並びに
x及びyは、モル分率を表し、ここでx+y=1であり、且つ0<x<1、及び0<y<1である、 請求項1〜17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記分子的に自己集合性である材料の数平均分子量(Mn)が、1モルあたり約1000グラム(g/mol)から約100,000g/molの間である、請求項10に記載の方法。
【請求項20】
前記分子的に自己集合性である材料のMnが、5,000g/mol未満である、請求項16に記載の方法。

【公表番号】特表2013−519377(P2013−519377A)
【公表日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−553023(P2012−553023)
【出願日】平成23年2月11日(2011.2.11)
【国際出願番号】PCT/US2011/024492
【国際公開番号】WO2011/100524
【国際公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー (1,383)
【Fターム(参考)】