説明

食品用品質改良剤および食品

【課題】製造方法が簡単であり、保存安定性にも優れ、各種食品に添加した際に、加工や調理直後の食感や風味を長期間に亘って維持できる食品用品質改良剤の製造方法を提供する。
【解決手段】有機酸モノグリセリド、乳化剤および糖類を含む食品用品質改良剤の製造方法であって、該乳化剤はショ糖脂肪酸エステル又はポリグリセリン脂肪酸エステルであり、先ず、有機酸モノグリセリドのラメラ構造体の分散液を調製し、次いで、得られた分散液と上記の乳化剤とを混合する食品用品質改良剤の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は食品用品質改良剤および食品に関する。
【背景技術】
【0002】
澱粉を含有する食品は、加工や調理時後、保存期間中に澱粉粒の老化が進行し、しっとり感が失われ、パサツキ感が出、硬い食感になる。更に、老化臭がする場合もある。また、冷凍食品では、冷凍保存中の氷結晶の粗大化や水分の気化により食品組織の破壊が起こったり、解凍時に離水が発生したりする。更に、餅や団子に含まれる餡においても経時的に水が分離する。
【0003】
保存中の食品における上記の問題に対処するために幾つかの品質改良剤方法が提案されている。
【0004】
例えば、油脂、有機酸モノグリセリド、ジグリセリド、乳化剤、糖類、水を特定の割合で混合した乳化油脂組成物を、冷凍食品に添加することにより、冷凍保存後の柔らかさ、しっとり感を維持すると共に、食感、風味の低下を防止する方法が知られている(特許文献1参照)。
【0005】
油脂、デキストリン類、乳化剤を含有する水中油型乳化油脂組成物を、澱粉質食品生地に練り込むことにより、冷凍、冷蔵保存時の硬化、乾燥、食感低下などの澱粉老化現象を抑制する方法も知られている(特許文献2参照)。
【0006】
また、グルコマンナンのゲル化特性を利用した方法も知られている。例えば、グルコマンナンを含む糖液中に、内相にアルカリ水溶液を含むW/Oエマルションが均一に分散したPH4−8の液状食品素材の製造方法が知られている(特許文献3参照)。また、各種食品に上記の液状食品素材を配合することにより、食品の物性、食感、風味向上、チルド耐性、冷凍耐性などの保存安定性を効果的に改善する方法も知られている(特許文献4)更に、餅類の硬化を防止するために、天然多糖類のプルランと、二糖類、乳化剤を使用する方法が知られている(特許文献5参照)。
【0007】
【特許文献1】特開平5−236919号公報
【特許文献2】特開2001−95489号公報
【特許文献3】特開2003−88306号公報
【特許文献4】特開平2003−235474号公報
【特許文献5】特開平5−84046号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来の技術では、充分満足のいく品質改良効果は得られていない。しかも、前記の乳化油脂組成物は、製造時の乳化温度や時間のコントロールが難しいこと、組成物の安定性を維持することが困難であるといった問題がある。また、グルコマンナンを配合する場合は、グルコマンナンとアルカリを徐々に相互作用させるために、複合型エマルションなどを使用する必要があり、製造方法が複雑であり、更に、エマルションの安定性を長期間維持するのも困難である。
【0009】
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、その目的は、製造方法が簡単であり、保存安定性にも優れ、パン類、マドレーヌ、カステラ、ケーキ等の洋菓子類、フィリング
類、麺類(冷凍麺、乾麺、即席フライ麺等)などの澱粉含有食品、餅、餡、団子等の和菓子類、惣菜類、水産練製品、冷凍餃子等の冷凍食品など各種食品に添加した際に、加工や調理直後の食感や風味を長期間に亘って維持できる食品用品質改良剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで、本発明者は、鋭意検討した結果、有機酸モノグリセリドが水溶液中で形成する特定の構造体を乳化剤と糖類によって水中に分散させることにより調製した食品用品質改良剤により、上記の目的を容易に達成し得るとの知見を得、本発明に到達した。
【0011】
すなわち、本発明の本発明の第1の要旨は、有機酸モノグリセリド、乳化剤および糖類を含む食品用品質改良剤の製造方法であって、該乳化剤はショ糖脂肪酸エステル又はポリグリセリン脂肪酸エステルであり、先ず、有機酸モノグリセリドのラメラ構造体の分散液を調製し、次いで、得られた分散液と上記の乳化剤とを混合することを特徴とする、食品用品質改良剤の製造方法に存する。
【0012】
また、本発明の第2の要旨は、上記の製造方法より製造された食品用品質改良剤に存する。
【0013】
更に、本発明の第3の要旨は、上記の食品用品質改良剤を添加した食品に存する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の食品用品質改良剤は、製造方法が簡単であり、保存安定性にも優れ、各種食品に添加した際に、加工や調理直後の食感や風味を長期間に亘って維持できる。なお、本
発明の食品用品質改良剤の優れた効果は、水分保持力による澱粉の老化防止やタンパク質の変性抑制によるものと推定される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を詳細に説明する。先ず、本発明の食品用品質改良剤について説明する。本発明の食品用品質改良剤は、乳化剤、糖類、有機酸モノグリセリドのラメラ構造体を含有し、エタノール等のアルコールの併用により、保存安定性をより一層向上させることが出来る。
【0016】
本発明で使用される乳化剤としては、特に制限されないが、ショ糖脂肪酸エステルやポリグリセリン脂肪酸エステルが好ましい。
【0017】
ショ糖脂肪酸エステルとしては、親水性が高く(HLB値が5〜18)、水分散性に優れ、高温で高粘性の水分散液の状態となるものが好ましい。構成脂肪酸として、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸などの炭素数14〜22の飽和または不飽和の脂肪酸が挙げられる。これらの中では、炭素数14〜18の飽和脂肪酸が好ましい。また、構成脂肪酸の70重量%以上がステアリン酸である脂肪酸が更に好ましい。
【0018】
ポリグリセリン脂肪酸エステルも、ショ糖脂肪酸エステルと同様に、親水性が高く、水分散性に優れ、高温で高粘性の水分散液の状態となるものが好ましい。斯かるポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、ポリグリセリンの平均重合度が通常2〜20(好ましくは3〜10)であり、構成脂肪酸が前記と同様に炭素数14〜22の飽和または不飽和の脂肪酸であり、構成脂肪酸の70重量%以上がステアリン酸であるポリグリセリン脂肪酸エステルが挙げられる。
【0019】
本発明で使用される糖類としては、特に制限されず、砂糖、ブドウ糖、異性化糖、マルトース、トレハロース、ソルビトール、マルチトール、ラクチトール、エリスリトール等の糖および糖アルコール;各種オリゴ糖;それらの混合物を使用することが出来る。これらの中ではオリゴ糖が好ましい。
【0020】
上記のオリゴ糖としては、マルトオリゴ糖(好ましくは重合度3〜7)、ニゲロオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、パノースオリゴ糖、ゲンチオオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、乳果オリゴ糖、それらのシラップ等が挙げられる。上記の糖類は、目的に応じ、適宜選択して使用され、例えば、飲食品の冷凍耐性を向上させる場合にはマルトオリゴ糖や糖アルコールが好ましい。本発明の食品用品質改良剤の調製においては、通常、糖類は水溶液として使用され、例えばシラップの場合はそのまま使用することも出来る。
【0021】
本発明で使用する有機酸モノグリセリドは、グリセリン1分子に脂肪酸1分子と有機酸1分子が結合した構造を有し、一般的には、有機酸の酸無水物と脂肪酸モノグリセリドを反応させることにより得られる。反応は、通常、無溶媒条件下で行われ、例えば無水コハク酸と炭素数18のモノグリセリドの反応では、温度120℃前後において90分程度で反応が完了する。かくして得られた有機酸モノグリセリドは、通常、有機酸、未反応モノグリセリド、ジグリセリド、その他オリゴマーを含む混合物となっている。本発明においては、このような混合物をそのまま使用してもよい。本発明の食品用品質改良剤中の有機酸モノグリセリドの純度を高めたい場合は、蒸留モノグリセリドとして市販されているものを使用できる。また、有機酸部分が一部中和されたものを使用してもよい。
【0022】
上記の有機酸としては、例えば、コハク酸、クエン酸、酒石酸、ジアセチル酒石酸、リンゴ酸、アジピン酸、グルタル酸、マレイン酸、フマル酸などが挙げられる。これらの中では、食品用途に使用されるコハク酸、クエン酸、ジアセチル酒石酸が好ましく、特にコハク酸が好ましい。上記の脂肪酸としては、例えば、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸などの炭素数8〜22の飽和または不飽和の脂肪酸が挙げられる。これらの中では風味の観点からステアリン酸を主成分とする脂肪酸が好ましい。
【0023】
上記の有機酸モノグリセリドと水との混合物は、これらの量比、温度変化により様々な相状態をとることが可能である。これらの相状態のうち、本発明では保水力に優れるラメラ構造体(ラメラ液晶構造体)を利用する。
【0024】
ラメラ構造体とは、有機酸モノグリセリドを水に分散させた際に有機酸モノグリセリド2分子が親水基部分を水側に向け、疎水基部分(脂肪酸)が互いに向き合い、これが2次元的に広がった構造のことである。有機酸モノグリセリドは低濃度から高濃度領域の広い範囲でラメラ構造を形成し易いことが知られている。例えば、コハク酸ステアリン酸モノグリセリドは、ナトリウム塩の状態において、濃度が約35〜85重量%のような高濃度領域で且つ温度が50℃以上の条件でラメラ構造体を形成する。この場合、ラメラ構造体が何層にも重なった状態が認められ、水溶液の粘度も高くなる。濃度が85重量%よりも
高い場合は固体状態となり、濃度が35重量%よりも低い場合は水溶液にラメラ構造体が分散して粘性が比較的小さい状態となる。作業性などを考慮すると、低濃度かつ高温領域でラメラ構造体を形成させるのが好ましい。
【0025】
ただし、ラメラ構造体は、不安定であるため、ショ糖脂肪酸エステルやポリグリセリン脂肪酸エステル等の乳化剤により、構造を安定化させることが必要である。この安定化されたラメラ構造体は、親水基部分の強い水和力により層間に多量の水を保持し、その結果、澱粉粒からの水分移行が抑制される。
【0026】
ラメラ構造体は、有機酸モノグリセリド含有水分散液を物理的に攪拌して再分散せしめることにより、分散液として調製することが出来る。加熱温度は、通常45〜100℃、好ましくは45〜80℃、更に好ましくは50〜70℃である。上記の物理的分散には、例えば、気泡の混入を避けるため、例えば、アンカーミキサー等を使用してゆっくりと撹拌する。
【0027】
また、ラメラ構造体の確認は例えば偏光顕微鏡による観察によって容易に行うことが出来る。ラメラ構造体が存在する場合は偏光十字が見られる。更に、ラメラ構造体の微細構造は、電子顕微鏡観察により観察できる。試料を液体窒素で凍結させ、高真空条件下で割断し、割断表面に金属を蒸着させることにより試料のレプリカを作製し、透過型電子顕微鏡(TEM)により観察する。これにより層状のラメラ構造体が観察できる。
【0028】
本発明の食品用品質改良剤は、乳化剤および糖類を含む水溶液中に有機酸モノグリセリドのラメラ構造体を分散して成る。本発明の食品用品質改良剤は、糖液に乳化剤の水分散液を混合し、これに有機酸モノグリセリドのラメラ構造体の水分散液を添加して撹拌することにより調製される。この際、エタノール等のアルコールを添加すると、食品用品質改良剤の保存中の微生物増殖を抑制することが出来るために好ましい。
【0029】
食品用品質改良剤中の上記の乳化剤の含有量は、通常0.1〜50重量%、好ましくは1〜20重量%、更に好ましくは、3〜10重量%である。乳化剤の含有量が余りにも少ない場合は、有機酸モノグリセリドのラメラ構造体の分散が不十分となり、余りにも多い場合は、有機酸モノグリセリドのラメラ構造体による水分保持が不十分となる。
【0030】
食品用品質改良剤中の糖類の含有量は、通常35〜85重量%、好ましくは40〜60重量%である。糖液の含有量が余りにも少ない場合は、食品用品質改良剤の保存安定性に劣り、余りにも多い場合は、糖の種類によっては結晶が析出したり、粘度が高くなるため作業性が悪くなる。
【0031】
食品用品質改良剤中の有機酸モノグリセリドの含有量は、通常0.1〜50重量%、好ましくは1〜20重量%、更に好ましくは、3〜10重量%である。有機酸モノグリセリドの含有量が余りにも少ない場合は、食品用品質改良効果が不十分となり、余りにも多い場合は、食品用品質改良剤中に均一に分散しなくなる。
【0032】
食品用品質改良剤中の水の含有量は、通常30〜80重量%、好ましくは40〜60重量%である。水の含有量が余りにも少ない場合は、食品用品質改良剤の粘度の増大により作業性が悪くなり、余りにも多い場合は、乳化剤、糖類、有機酸モノグリセリドの量が少なくなるため、食品用品質改良剤の効果が弱くなる。
【0033】
食品用品質改良剤中のアルコールの含有量は、通常1〜10重量%、好ましくは2〜5重量%である。アルコールの含有量が余りにも少ない場合は、食品用品質改良剤の保存中の微生物増殖を抑制する効果が不十分となり、余りにも多い場合は、アルコール臭が強く
なるため好ましくない。
【0034】
なお、本発明の食品用品質改良剤には、本発明の効果を損なわない範囲において、前記以外の乳化剤の他、甘味料、香料、ビタミン、抗酸化剤などの公知の配合剤を加えてもよい。上記の乳化剤として、レシチン、リゾレシチン、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられる。
【0035】
本発明の食品用品質改良剤、調製後、必要に応じ、プレート式殺菌機などを使用した一般的な加熱殺菌など行い、飲食品の食感や物性の改良剤として、様々な飲食品に使用することが出来る。
【0036】
次に、本発明の食品について説明する。本発明の食品は、前記の食品用品質改良剤を含有することを特徴とする。食品としては、例えば、パン類、菓子類、惣菜類、フィリング類、麺類、和菓子類、水産練製品などが挙げられる。食品用品質改良剤の食品への添加量は、通常0.1〜50重量%、好ましくは1〜30重量%、更に好ましくは2〜10重量%である。
【0037】
本発明の食品の代表的な一例はスポンジケーキである。本発明のスポンジケーキは、小麦粉、全卵、砂糖の含有重量比率が1:0.5〜2:0.5〜2であり、前記の食品用品質改良剤を添加して製造されたスポンジケーキであって、当該スポンジケーキ焼成後4℃で1日保存後と、焼成後4℃で1週間保存後の比較において、レオメーター測定におけるプランジャーの進入度が15mmの時の硬さ変化が3.0N以下であることを特徴とする。
【0038】
上記のレオメーター測定は次の様に行うことが出来る。すなわち、スポンジケーキを40mm(幅)×40mm(奥行き)×25mm(高さ)に切り出し、これをレオメーター((株)サン科学製「CR−500DX」)の試料台に載せ、レオメーターに取り付けた円板状の感圧軸(直径5mm)を降下させてケーキ切片の上面から20Nの応力が掛かるまで圧縮させる。そして、感圧軸の進入度に対して検出された応力から硬さを求める。測定は室温が25℃に調節された湿度50〜60%の実験室内で行う。
【0039】
なお、本発明のスポンジケーキは、小麦粉、全卵、砂糖を使用した常法に従って製造され、食品用品質改良剤の添加量は前述の通りである。また、上記のスポンジケーキ硬さ変化は、好ましくは2.0N以下、更に好ましくは1.0N以下である。
【0040】
また、本発明によれば、次の評価方法によるスポンジケーキの硬度変化が3.0N以下であることを特徴とする食品用品質改良剤が提供される。
【0041】
上記のスポンジケーキの硬度変化は、小麦粉に対して食品用品質改良剤を5%添加し、小麦粉、卵、砂糖の含有重量比率が同一であるスポンジケーキを製造し、スポンジケーキ焼成後4℃で1日保存後と、焼成後4℃で1週間保存後の比較において、レオメーター測定におけるプランジャーの進入度が15mmの時の硬さを測定して求める。
【0042】
上記の食品用品質改良剤はスポンジケーキの硬度変化をパラメータとし、スポンジケーキ硬さ変化は、好ましくは2.0N以下、更に好ましくは1.0N以下である。なお、スポンジケーキの製造は常法に従って行われ、レオメーター測定方法は前記と同様の方法で行うことが出来る。
【実施例】
【0043】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限
り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、「比」、「%」及び「部」は何れも重量基準を意味する。
【0044】
<スポンジケーキ>
【0045】
実施例1:
HLB11のショ糖ステアリン酸エステル(三菱化学フーズ(株)製「リョートーシュガーエステルS−1170」)50gを室温でエタノール50gに分散し、75℃に加温したオリゴ糖水溶液(日本食品化工(株)製「ハイマルトースMC−45」)700g(オリゴ糖液610gと脱塩水90gの水溶液)と混合し、30分間攪拌した(以下「オリゴ糖液」と呼ぶ)。一方、コハク酸モノグリセリド(花王(株)製「ステップSS」)20gを脱塩水180gに分散し、60℃まで昇温しながら攪拌し、ラメラ構造体の水分散液を得た。前記のオリゴ糖液を55℃まで冷却し、上記のコハク酸モノグリセリドのラメラ構造体の水分散液を加えて20分間攪拌した。次いで、45℃まで冷却することにより、食品用品質改良剤1000gを調製した(以下「改良剤A」と呼ぶ)。なお、改良剤A中のコハク酸モノグリセリドのラメラ構造体の確認は偏光顕微鏡による観察によって行った。偏光顕微鏡の写真中に偏光十字が観察され、本組成物がラメラ構造体を有している
ことがわかった。また、透過型電子顕微鏡(TEM)により、改良剤A中のコハク酸モノグリセリドのラメラ構造体を観察した。TEM写真中に層状の構造が観察され、本組成物がラメラ構造体を有していることがわかった。
【0046】
小麦粉100部、砂糖110部、卵100部、ベーキングパウダー1部、脱塩水35部、起泡性乳化油脂10部、上記で調製した改良剤A5部を使用し、オールインミックス法により生地を調製し、常法に従ってスポンジケーキを焼成した(ケーキA)。このスポンジケーキを4℃で1週間保存し、内相部分の水分量変化およびレオメーター測定による硬さ変化について評価した。評価結果を表1に示す。
【0047】
実施例2:
HLB11のショ糖ステアリン酸エステル(三菱化学フーズ(株)製「リョートーシュガーエステルS−1170」)35gを室温でエタノール50gに分散し、75℃に加温したオリゴ糖水溶液(三和澱粉工業(株)製「オリゴトース」)680gと混合し、30分間攪拌した(以下「オリゴ糖液」と呼ぶ)。一方、コハク酸モノグリセリド(花王(株)製「ステップSS」)35gを脱塩水200gに分散し、60℃まで昇温しながら攪拌し、ラメラ構造体の水分散液を得た。前記のオリゴ糖液を55℃まで冷却し、上記のコハク酸モノグリセリドのラメラ構造体の水分散液を加えて20分間攪拌した。次いで、45℃まで冷却することにより、食品用品質改良剤1000gを調製した(以下「改良剤B」と呼ぶ)。なお、改良剤B中のコハク酸モノグリセリドのラメラ構造体の確認は偏光顕微鏡による観察によって行った。
【0048】
この改良剤Bを使用し、実施例1と同様な方法でスポンジケーキを焼成した(ケーキB)。このスポンジケーキを4℃で1週間保存し、内相部分の水分量変化およびレオメーター測定による硬さ変化について評価した。評価結果を表1に示す。
【0049】
実施例3:
実施例2において、HLB11のショ糖ステアリン酸エステルの代わりにHLB5のショ糖ステアリン酸エステル(三菱化学フーズ(株)製「リョートーシュガーエステルS−570」)を使用した以外は、実施例2と同様な方法で食品用品質改良剤1000gを調製した(以下「改良剤C」と呼ぶ)。この改良剤Cを使用し、実施例1と同様な方法でスポンジケーキを焼成した(ケーキC)。このスポンジケーキを4℃で1週間保存し、内相部分の水分量変化およびレオメーター測定による硬さ変化について評価した。評価結果を
表1に示す。
【0050】
実施例4:
実施例2において、ショ糖脂肪酸エステルをポリグリセリン脂肪酸エステル(三菱化学フーズ(株)製「リョートーポリグリエステルS−10D」)に変更した以外は、実施例2と同様な方法で食品用品質改良剤1000gを調製した(以下「改良剤D」と呼ぶ)。この改良剤Dを使用し、実施例1と同様な方法でスポンジケーキを焼成した(ケーキD)。このスポンジケーキを4℃で1週間保存し、内相部分の水分量変化およびレオメーター測定による硬さ変化について評価した。評価結果を表1に示す。
【0051】
比較例1:
実施例1において、食品用品質改良剤を配合しない以外は、実施例1と同様に行ってスポンジケーキを焼成した(ケーキE)。そして、実施例1と同様に4℃で保存して物性評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0052】
【表1】

【0053】
表1から、本発明の食品用品質改良剤を添加したケーキA〜Dは、ケーキEに比べて水分量の変化が少なく、焼成後の硬さを維持していることが分かる。
【0054】
<冷凍用パン生地>
【0055】
実施例5、比較例2及び比較例3:
表2に示した基本組成からなる冷凍用パン生地を調製し、下記の製造工程によりワンローフタイプのパンを製造した。
【0056】
[製造工程]
[1]生地混捏:低速2分、高速5分、捏上温度25±0.5℃(ミキサ−:Shinagawa Type 5DM、低速141rpm、高速285rpm)
[2]発酵:室温(27±1℃)、30分
[3]分割・丸目:2つ折後350gに2分割し、モルダー(Nationl Shee
ter−moulder)の3/8インチロールの間隙に1回通し、3つ折りを2回おこなう。
[4]ねかし:室温(27±1℃)、15分
[5]成型:間隙3/8インチのSheeterロールに1回通し、180度回転して1/8インチの間隙に1回通す。この際のドライ・エンドを中心にカールさせて10回転の加圧成形を行う。
[6]冷凍:成形後、直ちに−30℃で1時間冷凍しポリエチレン袋に入れ、−20℃で冷凍保管する(4週間および8週間)。
[7]解凍:4週間後および8週間後に生地を型に入れ、冷蔵庫に移す。型としては、上縁:20.5×9.8cm、下縁:18.9×8.5cm、深さ:8.0cm(144
5cm3:平均値))のワンロ−フ・タイプを使用する。20時間後に発酵室の焙炉(ホイロ)へ移す。
[8]ホイロ発酵:室温(30±1℃)、90%RH以上の条件で、型上縁まで発酵させる。
[9]焼成:197±3℃、23分の条件で焼成し、室温で40分冷却後、ポリエチレン袋に密封する。
【0057】
焼成後の製パン性について、体積と比容積を測定した。また、ポリエチレン袋に密封した製品を室温(約24℃)で保管した後、2日目および3日目に約13mmの厚さにスライスし、クリープメータにより32mm×32mmのプランジャーで50%まで圧縮した時の加重を測定して破断強度(老化の程度)を求めた。さらに、五感審査による評価を実施した。体積と比容積の結果を表3に、破断強度試験の結果を表4に、五感審査の結果を表5に示した。
【0058】
なお、表5における五感審査は以下のように点数化して実施した。すなわち、外観30点(体積10点、表皮色10点、形均整5点、表皮質5点)と内相70点(内部色相10点、ス立10点、触感15点、香り10点、味25点)の合計100点とした。
【0059】
【表2】

【0060】
【表3−1】

【0061】
【表3−2】

【0062】
【表4−1】

【0063】
【表4−2】

【0064】
【表5−1】

【0065】
【表5−2】

【0066】
表3〜5から、本発明の食品用品質改良剤を添加して調製した冷凍パン生地より焼成されたパンは、無添加および市販のパン生地改良剤を使用した場合に比し、体積が大きく、1日以上の老化遅延効果が認められ、表皮質、食感、触感に優れ、梨肌の抑制効果も認められた。
【0067】
<低カロリーマドレーヌ>
【0068】
実施例6:
ミキサーボールに全卵100部、改良剤B5部、起泡性乳化油脂5部を入れ、ミキサーにより高速で1分間攪拌した。次いで、薄力粉100部、ベーキングパウダー1部、砂糖80部、塩0.7部を混合したものを半量投入し、高速で2分間攪拌した後に、残り半量を投入して低速で30秒間攪拌した。最後に溶かしバター50部を加えて低速で30秒間攪拌し、比重が0.8〜0.9の生地を調製した。この生地をマドレーヌの型に流し込み、ベーキングオーブンを使用して焼成し、低カロリーマドレーヌを得た。焼成2日後と20℃で1ヶ月保存後にパネラー15名により官能検査を実施した。評価結果を表6に示す。
【0069】
比較例4:
実施例6において、改良剤Bを加えない以外は、実施例6と同様な方法で低カロリーマドレーヌを調製し、焼成2日後と20℃で1ヶ月保存後にパネラー15名により官能検査を実施した。評価結果を表6に示す。
【0070】
【表6−1】

【0071】
【表6−2】

【0072】
表6から、本発明の食品用品質改良剤を添加して調製した低カロリーマドレーヌは1ヶ月保存後も、ソフトさ、しっとり感、口溶けの良さを維持しており、水分保持と老化抑制の効果が認められた。
【0073】
<LLカステラ>
【0074】
実施例7:
全卵910部と改良剤B35部をミキサーボールに入れ、高速で30秒間攪拌し、次いで、砂糖910部、食塩4.2部、水70部、蜂蜜70部、起泡性乳化油脂70部を加えて低速で1分間、中速で2分間攪拌し、各原料を均一に分散させた。さらに、薄力粉700部とベーキングパウダー7部を加え、低速で1分間、高速で2分間攪拌し、比重が0.5の生地を調製した。この生地をステンレスバットに流し込み、ベーキングオーブンを使用して焼成し、LLカステラを得た。焼成1日後と4℃で2週間または20℃で1ヶ月保存後にレオメーター測定による硬さ変化について評価した。評価結果を表7に示す。
【0075】
比較例5:
実施例7において、改良剤Bを加えない以外は、実施例7と同様な方法でLLカステラを調製し、焼成1日後と4℃で2週間または20℃で1ヶ月保存後にレオメーター測定による硬さ変化について評価した。評価結果を表7に示す。
【0076】
【表7】

【0077】
表7から、本発明の食品用品質改良剤を添加したLLカステラは改良剤無添加に比べて硬さ変化が小さく、焼成後の硬さを維持していることか分かる。
【0078】
<冷凍餃子>
【0079】
実施例8、9及び比較例6:
表8に示した配合により以下の製造条件で餃子の皮を調製した。
【0080】
【表8】

【0081】
[製造条件]
[1]混捏機:800g用横型練機で15分間混捏
[2]製麺機:4寸単ロール
[3]複合回数:5回で約6mmの麺帯とする
[4]麺帯熟成:なし
[5]圧延回数:5回で約0.7〜0.8mmの麺帯とする
[6]型抜き:直径約7cmの丸
【0082】
そして、調製直後の餃子の皮について、レオメーターにより破断荷重と伸びを測定した。評価結果を表9に示した。
【0083】
【表9】

【0084】
表9から、改良剤B加えた皮は柔らかく、伸びも良好であることがわかる。さらに、餃子の皮を冷蔵庫に5日間保存した場合の生の皮の変化について観察を行ったところ、改良剤Bを添加したものは色が白くなっており、添加量が多いほどその傾向は強いことが確認された。
【0085】
また、冷蔵保存した皮について、レオメーターにより破断荷重と伸びを測定した。評価結果を表10に示した。
【0086】
【表10】

【0087】
表10から、冷蔵保存後も改良剤B加えた皮は柔らかく、伸びも良好であることがわかる。
【0088】
更に、調製した餃子の皮に具約10gを包み、餃子用トレーに入れ、蒸し器で15分間蒸した後、乾燥しないように10分間冷却した後、冷凍庫で凍結し、20日間保存した。冷凍庫から取り出し、そのまま加熱したフライパンにのせ、約30秒間加熱した後に、お
湯100mlを入れ、蓋をした後、約3分間蒸し焼きを行った。その後蓋を取って1分間焦げ目をつけるために加熱した。調理直後、10分後、60分後の食感(皮の合わせ目と皮の側面の硬さ)を評価した。評価結果を表11に示した。
【0089】
【表11】

【0090】
なお、表11における評価項目は下記のように設定した。
【0091】
<官能試験>
−:硬さはない
±:ほとんど硬さはない
+:硬さが多少ある
++:硬さがある
+++:かなり硬い
++++:非常に硬い
【0092】
表11から、本発明の食品用改良剤を冷凍餃子の皮に添加した場合に、加熱調理後の時間経過による皮の硬さ抑制の効果が認められた。
【0093】
<チルド中華麺>
【0094】
実施10〜12及び比較例7:
表12に示した配合により、以下の製造条件で麺を調製した。
【0095】
【表12】

【0096】
[製造条件]
[1]混捏機:800g用横型練機で15分間混捏
[2]製麺機:4寸単ロール
[3]複合回数:5回で約6mmの麺帯とする
[4]麺帯熟成:室温で約1時間
[5]圧延回数:5回で約1.5mmの麺帯とする
[6]切り歯:♯20
【0097】
各麺を同一の籠に約60gずつ入れ、3分間〜5分間茹でた後、冷水で茹でた麺を洗った後、よく水を切り、ほぐれ剤(不二製油製「ソヤアップ」)3倍希釈液を茹で麺に対して3%絡めたものを容器に入れ、冷蔵庫で24時間〜48時間保存したものの食感を官能検査で評価した。評価結果を表13に示した。
【0098】
【表13−1】

【0099】
【表13−2】

【0100】
なお、表13における評価項目は下記のように設定した。
【0101】
<硬さ>
4 :かなり不良
5 :少し不良
6 :僅かに不良
7 :普通
8 :僅かに良
9 :少し良
10 :かなり良
【0102】
<粘弾性>
10 :かなり不良
12.5:少し不良
15 :僅かに不良
17.5:普通
20 :僅かに良
22.5:少し良
25 :かなり良
【0103】
<滑らかさ>
4 :かなり不良
5 :少し不良
6 :僅かに不良
7 :普通
8 :僅かに良
9 :少し良
10 :かなり良
【0104】
<老化感>
− :ぼそつき感はなく老化感はない
± :多少ぼそつき感がある
+ :硬くぼそつき感がある
++:硬くぼそつき感が強くある
【0105】
表13から、本発明の食品用改良剤を生中華麺を茹でたチルド中華面に使用した場合には、ぼそつき感が抑えられ、麺の老化が抑制されることがわかる。
【0106】
<中華乾麺>
【0107】
実施13〜15及び比較例8:
(各例において、ほぐれ剤なしの例は(a)、ほぐれ剤使用の例は(b)として表記した)
表14に示した配合により、以下の製造条件で中華乾麺を調製した。
【0108】
【表14】

【0109】
[製造条件]
[1]混捏機:800g用横型練機で15分間混捏
[2]製麺機:4寸単ロール
[3]複合回数:5回で約6mmの麺帯とする
[4]麺帯熟成:室温で約1時間
[5]圧延回数:5回で約1.2mmの麺帯とする
[6]切り歯:♯20
[7]乾燥:竿がけし、室温で乾燥
【0110】
各麺を同一の籠に約50gずつ入れ、3分間〜4分間茹でた後、冷水で茹でた麺を洗った後、よく水を切り、ほぐれ剤(不二製油製「ソヤアップ」)3倍希釈液を茹で麺に対して3%絡めたものと絡めないものを容器に入れ、冷蔵庫で24時間〜48時間保存したものの食感を官能検査で評価した。また、以下の式により、茹でた麺の歩留まりを算出した。
【0111】
[数1]
茹で歩留まり=茹で後の麺重量(乾麺)/茹で前の麺重量
【0112】
官能検査の評価結果を表15に、歩留まりの算出結果を表16に示した。なお、表15における評価項目は下記のように設定した。
【0113】
<老化感>
−:ぼそつき感はなく老化感はない
±:多少ぼそつき感がある
+:硬くぼそつき感がある
++:硬くぼそつき感が強くある
【0114】
<ほぐれ>
−:ほぐれやすい
±:ほぐれる
+:多少ほぐれにくい
++:ほぐれにくい
【0115】
【表15−1】

【0116】
【表15−2】

【0117】
【表16】

【0118】
表15及び表16から、本発明の食品用改良剤を中華乾麺に使用した場合には、ぼそつき感が抑えられ、ほぐれ効果が出るとともに、茹で歩留まりの向上が認められて食感も良
好であった。
【0119】
<即席フライ麺>
【0120】
実施16〜18及び比較例9:
表17に示した配合により、以下の製造条件で即席フライ麺を調製した。
【0121】
【表17】

【0122】
[製造条件]
[1]混捏機:800g用横型練機で15分間混捏
[2]製麺機:4寸単ロール
[3]複合回数:5回で約6mmの麺帯とする
[4]麺帯熟成:なし
[5]圧延回数:5回で約1.1mmの麺帯とする
[6]切り歯:♯20
[7]蒸し条件:90秒間
[8]フライ条件:130〜140℃、90秒間
【0123】
各フライ麺を発砲地ロールの容器に入れ、80℃に調整したお湯を加え、アルミ箔で蓋をし、5分間湯戻しをしたものの食感と戻り具合を評価した。評価結果を表18に示した。
【0124】
【表18】

【0125】
なお、表18における評価項目は下記のように設定した。
【0126】
<戻り具合>
−:不足
±:やや不足
+:戻っている
【0127】
表18から、本発明の食品用改良剤を即席フライ麺に使用した場合には、80℃のお湯で美味しく戻すことが出来ることがわかる。
【0128】
<餅>
【0129】
実施19〜21及び比較例10:
表19に示した配合により、以下の製造条件で餅を調製した。
【0130】
【表19】

【0131】
[製造条件]
[1]ボールにもち米粉を入れ、水を加えて一つの生地にまとまるまでよく捏ねる。
[2]捏ねた生地をこぶし大に分け、約2cm程度の厚さにつぶし、蒸し器で30分間蒸す。
[3]蒸しあがった生地をケーキミキサーでフックを使用して10分間捏ねる。
[4]改良剤Bを添加するときは、捏ね開始6分後に水で溶いて添加する。
[5]捏ねあがった生地を25〜30gに分割し、容器に詰め、表面が乾燥しないように
ラップまたは蓋をする。
【0132】
5〜7℃の冷蔵庫または10℃の低温庫で保存し、生地の硬さの変化をレオメーターで測定した。矢じり型のプランジャーを使用し、もち生地に1cm入るときの荷重を測定した。1サンプルの5箇所を測定し、その平均値を計算した。評価結果を表20に示した。
【0133】
【表20】

【0134】
表20から、本発明の食品用改良剤を餅に使用した場合には、硬さ変化が抑えられ、老化を抑制できることがわかる。
【0135】
<粳粉団子>
【0136】
実施22、23及び比較例11:
表21に示した配合により、以下の製造条件で粳粉団子を調製した。
【0137】
【表21】

【0138】
[製造条件]
[1]ボールに粳米粉を入れ、水を加えて一つの生地にまとまるまでよく捏ねる。
[2]捏ねた生地をこぶし大に分け、約2cm程度の厚さにつぶし、蒸し器で30分間蒸す。
[3]蒸しあがった生地をケーキミキサーでフックを使用して10分間捏ねる。
[4]改良剤Bを添加するときは、捏ね開始6分後に水で溶いて添加する。
[5]捏ねあがった生地を25〜30gに分割し、容器に詰め、表面が乾燥しないようにラップまたは蓋をする。
【0139】
5℃の冷蔵庫または10℃の低温庫で保存し、生地の硬さの変化をレオメーターで測定した。矢じり型のプランジャーを使用し、もち生地に1cm入るときの荷重を測定した。1サンプルの5箇所を測定し、その平均値を計算した。評価結果を表22に示した。
【0140】
【表22】

【0141】
表22から、本発明の食品用改良剤を粳米粉を使用した団子に使用した場合には、硬さ変化が抑えられ、老化を抑制できることがわかる。
【0142】
<餡>
【0143】
実施例24:
改良剤Bを全量の1.5%添加して、Brix43の黒漉し餡を調製した。この餡を10g秤量し、遠心分離機により3000rpm、1分間の条件で遠心分離を実施して離水(離蜜)の程度を評価したが、離水は起こらなかった。
【0144】
比較例12:
実施例24において、改良剤Bを添加しない以外は、実施例24と同様の方法でBrix43の黒漉し餡を調製した。この餡を10g秤量し、遠心分離機により3000rpm、1分間の条件で遠心分離を実施して離水(離蜜)の程度を評価した結果、0.08gの離水の離水が確認された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機酸モノグリセリド、乳化剤および糖類を含む食品用品質改良剤の製造方法であって、該乳化剤はショ糖脂肪酸エステル又はポリグリセリン脂肪酸エステルであり、先ず、有機酸モノグリセリドのラメラ構造体の分散液を調製し、次いで、得られた分散液と上記の乳化剤とを混合することを特徴とする、食品用品質改良剤の製造方法。
【請求項2】
有機酸モノグリセリドの分散液を45〜100℃の加熱温度で撹拌するすることにより、有機酸モノグリセリドのラメラ構造体の分散液を調製する、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
食品用品質改良剤における水の含有量が30〜80重量%である、請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかに記載の製造方法より製造された食品用品質改良剤。
【請求項5】
請求項4に記載の食品用品質改良剤を添加した食品。
【請求項6】
食品用品質改良剤の添加量が0.1〜50重量%である請求項5に記載の食品。

【公開番号】特開2012−179065(P2012−179065A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−146844(P2012−146844)
【出願日】平成24年6月29日(2012.6.29)
【分割の表示】特願2007−305524(P2007−305524)の分割
【原出願日】平成19年11月27日(2007.11.27)
【出願人】(000005968)三菱化学株式会社 (4,356)
【Fターム(参考)】