説明

食品等の包装容器

【課題】容器本体を紙製とすることで、印刷による新たな付加価値や装飾性を施すことができる食品等の包装容器を提供する。
【解決手段】紙製の容器本体2と、この容器本体2に被せて取付ける透明な合成樹脂製の蓋体3との組み合わせからなり、前記容器本体2が、一枚の厚紙を用いてこれを折り曲げることにより、矩形状底板4の四周縁に枠状の周壁5を設けて形成され、前記周壁5の外面で各コーナの位置に、厚紙を切り抜くことによって形成された凹状係合部23を設け、前記蓋体3の各コーナに、この蓋体3を容器本体2に被せたとき凹状係合部23に対して係合する凸状係合部24を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ケーキやサンドイッチ等の食品を陳列、販売するために用いる食品等の包装容器に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような食品を陳列、販売する場合、食品を衛生的に収納して持ち帰ることができると同時に、収納した食品の選択ができて購買を促進するために外部から目視できるようにしなければならない。
【0003】
このような目的のための包装容器として、従来より各種構造のものが提案されているが、一般によく知られている包装容器は、浅い箱状の容器本体と、この容器本体に被せて取付ける蓋体の組み合わせからなり、前記容器本体及び蓋体は共に熱可塑性の合成樹脂シートを用いて金型で加熱成形され、少なくとも蓋体は透明性を有し、前記容器本体の周壁と蓋体の嵌り合い部分の一方に凹状係合部と他方に凸状係合部を形成した構造になっている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
上記のような包装容器は、容器本体内に食品を載置して収納し、この容器本体に上から蓋体を被せ、凹状係合部と凸状係合部を係合させることにより、蓋体を容器本体に取り付け固定することにより、食品を外気から遮蔽して衛生的な状態で収納し、蓋体の透明によって食品を外部から見ることができることになり、また、食品を取り出すときは、容器本体に対して蓋体の周縁鍔部を指先で挟んで開方向の力を加え、凹状係合部と凸状係合部の係合を解いて蓋体を取外すことによって行うものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3108182号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記のような包装容器は、食品を衛生的に収納することができると同時に、収納した食品を外部から目視することができるが、容器本体が合成樹脂製であるため、これに図柄や文字等を直接印刷するのに困難性があり、印刷による新たな付加価値や装飾性を施すのが困難であるという問題がある。
【0007】
また、上記のような包装容器は、簡易的な包装形態であるため密閉性に劣り、収納した食品がどうしても乾燥しやすいという問題もある。
【0008】
そこで、この発明の課題は、上記のような問題点を解決するため、厚紙を用いて樹脂製と同等の構造の容器本体を形成することで、印刷による新たな付加価値や装飾性を施すことができ、厚紙の持つ保湿性により収納した食品の乾燥発生を抑えることが可能になる食品等の包装容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記のような課題を解決するため、この発明は、紙製の容器本体と、この容器本体に被せて取付ける透明な合成樹脂製の蓋体との組み合わせからなり、前記容器本体が、一枚の厚紙を用いてこれを折り曲げることにより、矩形状底板の四周縁に枠状の周壁を設けて形成され、前記周壁の外面で各コーナの位置に、厚紙を切り抜くことによって形成された凹状係合部を設け、前記蓋体の各コーナに、この蓋体を容器本体被せたとき凹状係合部に対して係合する凸状係合部を設けたものである。
【0010】
上記容器本体の周壁が、外側壁と内側壁の二枚重ね構造となり、周壁の外面で各コーナの位置に設けた凹状係合部は、外側壁に設けた切抜き孔によって形成され、この切抜き孔の内側が内側壁によって閉塞されているようにすることができる。
【0011】
また、上記容器本体の周壁において、隣接する外側壁の端部が、内側へ二つ折りにして一方外側壁とその内側壁の間に収まる内折り壁によって連なり、上記切抜き孔は、外側壁の端部から内折り壁に達するように設けられ、前記周壁の組み立て状態で、隣接する外側壁の切抜き孔が互いに連通することにより凹状係合部を形成しているようにしてもよい。
【0012】
ここで、容器本体を形成する一枚の厚紙は、長方形となる下部底板の四辺に外側壁とその内側壁を連成し、下部底板の幅方向に位置する一方内側壁に上部底板を連成し、他方内側壁に上下底板間への挟み込み板を設け、下部底板の長さ方向に位置する両端の内側壁に上下底板間への挟み込み板を設け、前記下部底板の四隅で隣接する外側壁の端部間に、内側へ二つ折りする内折り壁を設け、各外側壁の両端部に長孔状の切抜き孔が内折り壁に達するように設けられた構造になっている。
【0013】
上記外側壁と内側壁を順次内折りして内折り壁を内側に折込み、下部底板上に挟み込み板を重ねた状態で上部底板を折り込み、上部底板の周縁に設けた凸片を内側壁と挟み込み板の境界に設けた孔に係止することにより、接着剤を用いることなく、下部底板と上部底板が重なる矩形状底板の周囲に枠状の周壁が起立する容器本体が組み上がり、前記周壁には四隅の外面位置に前記外側壁に設けた切抜き孔によって凹状係合部が形成されることになる。
【0014】
上記蓋体は、透明な合成樹脂シートを用い、下部開口が上記周壁の外側に嵌り合う大きさと形状に形成され、下部開口の四隅に上記凹状係合部に対して係合する凸状係合部が形成され、この蓋体は容器本体に被せて上から力を加えることで取付けることができる。
【0015】
なお、容器本体における周壁の四隅の位置は、形状的及び寸法的に変化の発生が最も少ない部位であり、この四隅の位置に凹状係合部を形成することにより、容器本体を一枚の厚紙から折り曲げ形成した構造であっても、蓋体を被せた場合、凹状係合部と蓋体の凸状係合部の係合を確実に保持することができることになる。
【発明の効果】
【0016】
この発明によると、矩形状底板の四周縁に枠状の周壁を設けて形成された容器本体を紙製とし、前記周壁の外面で各コーナの位置に、厚紙を切り抜くことによって形成された凹状係合部を設け、この容器本体に被せて取付ける透明な合成樹脂製の蓋体に、凹状係合部に対して係合する凸状係合部を設けたので、食品を衛生的に収納することができると同時に、収納した食品を外部から目視することができる包装容器の容器本体を紙製とすることができ、容器本体に対して文字や図柄を施すことにより、包装容器に対して印刷による新たな付加価値や装飾性を付与すことができ、紙の持つ保湿性により収納した食品の乾燥発生を抑えることが可能になる。
【0017】
また、周壁の外面で各コーナの位置に凹状係合部を設けたので、容器本体が紙製であっても、周壁の四隅の位置は形状的及び寸法的に変化の発生が最も少ない部位となり、被せて取付けた蓋体の固定が確実に得られることになり、収納した食品の販売や持ち帰りが支障なく行える。
【0018】
更に、容器本体を紙製とすることで、使用後において地球環境にやさしい廃棄処理が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】容器本体を示す展開図
【図2】容器本体の組立て途中の前半を示す斜視図
【図3】容器本体の組立て途中の中間を示す斜視図
【図4】容器本体の組立て途中の後半を示す斜視図
【図5】容器本体の組立て状態を示す斜視図
【図6】容器本体と蓋体の分解斜視図
【図7】(a)は組み上がった包装容器を拡大した要部切り欠き側面図、(b)は組み上がった包装容器の容器本体と蓋体の係合部分を拡大した縦断面図
【図8】他の例の容器本体を示す展開図
【図9】他の例の容器本体を示す組み上がった状態の斜視図
【図10】他の例の組み上がった容器本体の積み重ね状態を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0021】
図6のように、この発明の包装容器1は、容器本体2とこれに被せて取付ける蓋体3との組み合わせからなり、容器本体2は一枚の厚紙を折り曲げて接着剤を用いることなく組立てた紙製であり、矩形状底板4の四周縁に枠状の周壁5を設けた構造となり、また、蓋体3は、透明な薄い合成樹脂シートを用いて金型で加熱成形したものである。
【0022】
図1は、容器本体2を形成する厚紙の展開図であり、長方形となる下部底板6の四辺に、内折り目線7を介して外側壁8と、外側壁8の外端に内折り目線9を介して内側壁10を連成し、下部底板6の幅方向に位置する一方内側壁10に下部底板6と同じような大きさの上部底板11を外折り目線12を介して連成し、他方の内側壁10に上下底板11と6の間に位置させる短い幅の挟み込み板13を外折り目線14を介して設け、下部底板6の長さ方向に位置する両端の内側壁10に上下底板11と6間への挟み込み板15を外折り目線16を介して設け、この内側壁10の両端に内側へ向けての折り込み片17を設け、前記下部底板6の四隅で隣接する外側壁8の端部間に、内側へ二つ折りする内折り壁18を内折り目線19を介して設け、各外側壁8の両端部にそれぞれの外側壁8の長さ方向に沿う長孔状の切抜き孔20が内折り壁18に達するように設けられた構造になっている。
【0023】
上記上部底板11の周縁三辺には短い係止凸片21が設けられ、この係止凸片21と対応する配置となるよう内側壁10と挟み込み板13及び15の境界に係止孔22が設けられ、上部底板11を下部底板6上へ重ねた状態を係止凸片21と係止孔22の係合によって保持するようになっている。
【0024】
容器本体2を組立てるには、図2乃至図5に示す折り畳み工程のように、下部底板6の四辺に設けた外側壁8を上方に折り曲げ、内側壁10を折り返して外側壁8と重ね、各挟み込み板13及び15を下部底板6上に重なるように折り曲げると共に、隣接する外側壁8間に位置する内折り壁18は内側へ二つ折りにして、外側壁8と内側壁10の間に納め、折り込み片17も外側壁8と内側壁10の間に納めた状態で、上部底板11を下部底板6の上に重ね、上部底板11の係止凸片21を係止孔22に係止させる。
【0025】
図5に示すように、上記のような組みたてにより、下部底板6と上部底板11が重なる矩形状底板4の上面で四周縁に、外側壁8と内側壁10が重なる枠状の周壁5が起立する、浅い箱状の容器本体2が接着剤を用いることなく組み上がり、この容器本体2の周壁5における外面で四隅のコーナ位置に、外側壁8に施した切抜き孔20によって凹状係合部23が形成される。
【0026】
この凹状係合部23は、隣接する外側壁8の切抜き孔20が連通することにより、周壁5におけるコーナにおいて平面的にL字状となり、その内面側は内側壁10や内折り壁18、折り込み片17等が重なることにより閉鎖され、従って、凹状係合部23は、外側壁8を形成する紙厚の厚みだけ凹入する段部になっていると共に、容器本体2における周壁5の内外での連通発生をなくしている。
【0027】
上記容器本体2において、枠状に組み上がった周壁5の四隅の位置は、外圧を受けても形状的及び寸法的に変化の発生が最も少ない部位であり、この四隅の位置に凹状係合部23を形成することにより、容器本体2を一枚の厚紙から折り曲げ形成した構造であっても、凹状係合部23の配置に対して寸法精度の維持が図れることになり、厚紙を用いて合成樹脂シートの成形品と同等の機能を有する容器本体2を形成することができる。
【0028】
上記蓋体3は、透明な合成樹脂シートを用い、図示の場合、天板3aの周囲に設けた周側壁3bの下部開口が上記容器本体2における周壁5の外側に丁度密に嵌り合う大きさと形状に形成され、周側壁3bの下端外周にフランジ3cが設けられ、前記周側壁3bにおける下端開口の四隅に、平面L字状で内面側に向けて突出し、図7(a)と(b)のように、容器本体2に対して上から被せて押し込むことにより、上記凹状係合部23に対して係合する凸状係合部24が形成されている。
【0029】
この蓋体3を形成する合成樹脂シートに生分解性の合成樹脂を用いるようにすると、紙製である容器本体2も同様であるが、使用済み後において地球環境に優しい廃棄処理が可能になる。
【0030】
なお、図1乃至図7に示す容器本体2は、周壁5を垂直に立ち上がるようにしたものを示したが、図8と図9に示す他の例の容器本体2のように、各外側壁8及び内側壁10において、内折り線9の部分における長さを下部底板6の辺の長さよりも長く設定し、周壁5を折り曲げ形成したとき、この周壁5が上広がりの傾斜形状となるようにしてもよく、このように周壁5を上広がりの傾斜形状にすると、図10のように、容器本体2を上下に重ねたときに周壁5が嵌り合い、容器本体2を嵩低く格納することができるという利点がある。
【0031】
この発明の包装容器は、上記のような構成であり、図1又は図8示す展開図のように打ち抜き加工された一枚の厚紙を各折り目線に沿って折り曲げることにより、下部底板6と上部底板11が重なる矩形状底板4の四周縁に、外側壁8と内側壁10が重なる枠状の周壁5を設けた浅い箱状の容器本体2を組み上げる。
【0032】
この容器本体2は、上部底板11の係止凸片21を内側壁10と挟み込み板13及び15の境界に設けた係止孔22に係止させることにより、上部底板11は下部底板6上に重なり状態で固定され、上部底板11が周壁5の下部を内側から保持した状態に組み上がり、その組立てに接着剤を用いる必要がないため、食品の収納に対して衛生的である。
【0033】
上記容器本体2の周壁5で囲まれた内部に例えば、ケーキやサンドイッチ等の食品を収め、この容器本体2の周壁5に蓋体3を被せて上から押し込み、四隅の凸状係合部24を容器本体2の周壁5における外面で四隅のコーナ位置に設けた凹状係合部23に係合させることにより、容器本体2に蓋体3が固定化された包装容器1が完成する。
【0034】
食品を収納した包装容器1は、蓋体3が透明であるので内部の食品が見え、陳列効果を発揮することができると共に、凸状係合部24と凹状係合部23の弾力的な係合によって、容器本体2に対する蓋体3の固定強度が保たれるので、包装容器1のままで食品の持ち帰りが支障なく行え、食品を取り出す場合は、蓋体3のフランジ3cを指先でつまんで引上げることにより、容器本体2から蓋体3を取外せばよい。
【0035】
なお、容器本体2の周壁5に設けた凹状係合部23は、内側壁10等で内面側が閉鎖されているので、容器本体2に蓋体3を被せて取付ければ、包装容器1の内部を外部と遮断することができ、これによって、食品を衛生的に収納することができ、しかも、容器本体2は厚紙製であるので保水性があり、内部の食品が過度に乾燥するのを防ぐことができる。
【0036】
また、容器本体2は厚紙を用いた紙製であるので、上部底板11の上面や周壁5の外面に文字や図柄、着色を食品に無害な塗料で印刷することができ、例えば、上部底板11の食品で隠れる部位にクイズやくじ引き等を表記し、食品購入後に食品を取り出すことでクイズの問題やくじの結果がわかるようにすれば、包装容器1の付加価値と装飾性及び食品の宣伝効果を向上させることができる。
【符号の説明】
【0037】
1 包装容器
2 容器本体
3 蓋体
4 矩形状底板
5 周壁
6 下部底板
7 内折り目線
8 外側壁
9 内折り目線
10 内側壁
11 上部底板
12 外折り目線
13 挟み込み板
14 外折り目線
15 挟み込み板
16 外折り目線
17 折り込み片
18 内折り壁
19 内折り目線
20 切抜き孔
21 係止凸片
22 係止孔
23 凹状係合部
24 凸状係合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙製の容器本体と、この容器本体に被せて取付ける透明な合成樹脂製の蓋体との組み合わせからなり、前記容器本体が、一枚の厚紙を用いてこれを折り曲げることにより、矩形状底板の四周縁に枠状の周壁を設けて形成され、前記周壁の外面で各コーナの位置に、厚紙を切り抜くことによって形成された凹状係合部を設け、前記蓋体の各コーナに、この蓋体を容器本体に被せたとき凹状係合部に対して係合する凸状係合部を設けた食品等の包装容器。
【請求項2】
上記容器本体の周壁が、外側壁と内側壁の二枚重ね構造となり、周壁の外面で各コーナの位置に設けた凹状係合部は、外側壁に設けた切抜き孔によって形成され、この切抜き孔の内側が内側壁によって閉塞されている請求項1に記載の食品等の包装容器。
【請求項3】
上記容器本体の周壁において、隣接する外側壁の端部が、内側へ二つ折りにして一方外側壁とその内側壁の間に収まる内折り壁によって連なり、上記切抜き孔は、外側壁の端部から内折り壁に達するように設けられ、前記周壁の組み立て状態で、隣接する外側壁の切抜き孔が互いに連通することにより凹状係合部を形成している請求項2に記載の食品等の包装容器。
【請求項4】
上記容器本体の周壁が、外広がりの傾斜状になっている請求項1乃至3の何れかに記載の食品等の包装容器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2011−37507(P2011−37507A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−189274(P2009−189274)
【出願日】平成21年8月18日(2009.8.18)
【出願人】(595059850)太平紙器株式会社 (4)
【Fターム(参考)】