食品粉体の殺菌装置
【課題】 食品粉体の場合には、加熱殺菌すると、食品粉体の性質が変わり、食品粉体を元の性質のままで使用することはできないという問題があった。
【解決手段】 枠体１に振動板２が装着され、この振動板２の上に金属メッシュや複数の孔が開けられたパンチ部材３が装着され、又、枠体１に上部に突出された支持部材１ａに第１の超音波振動子４が固着され、又、振動板２の下面に第２の超音波振動子５が装着され、第１、第２の超音波振動子４，５はそれぞれのフランジ４ａ、５ａで振動子ケース６，７が支持され、さらに、振動子ケース６，７にそれぞれ充填剤８が入れられ、又、枠体１はハウジング９で支持されさらに、図２に示すように、枠体１の上部に粉体注入口１ａが装着され、枠体１の下部に粉体排出口１ｂが装着されている。
【解決手段】 枠体１に振動板２が装着され、この振動板２の上に金属メッシュや複数の孔が開けられたパンチ部材３が装着され、又、枠体１に上部に突出された支持部材１ａに第１の超音波振動子４が固着され、又、振動板２の下面に第２の超音波振動子５が装着され、第１、第２の超音波振動子４，５はそれぞれのフランジ４ａ、５ａで振動子ケース６，７が支持され、さらに、振動子ケース６，７にそれぞれ充填剤８が入れられ、又、枠体１はハウジング９で支持されさらに、図２に示すように、枠体１の上部に粉体注入口１ａが装着され、枠体１の下部に粉体排出口１ｂが装着されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、粉体を高速で加速し、衝突部材の剛性体に衝突させることにより、粉体に付着している菌を叩いて殺菌するようにした食品粉体の殺菌装置に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
一般に、食品衛生管理の中で、食品の安全性を高める手段として、殺菌処理は有効な手段であるが、加熱殺菌は食品の栄養価及び品質の低下が生じるという問題があり、特に、食品粉体の場合には、加熱殺菌すると、食品粉体の性質が変わり、食品粉体を元の性質のままで使用することはできないという問題があった。
【０００３】
この問題を解決するために、粉体をスピーカーの上に置いて、スピーカーから発生する音によって粉体を振動させて殺菌する装置もしられているが、スピーカーの音声による振動では、パワーが少ないために、余り効果が得られないとともに、スピーカーの上に余分に粉体を載置すると、粉体が振動しなくなるという問題がある。
【特許文献１】特開
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
解決しようとする問題点は、食品粉体の場合には、加熱殺菌すると、食品粉体の性質が変わり、食品粉体を元の性質のままで使用することはできないという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【０００５】
本発明では、振動板と、該振動板の近傍に金属メッシュを装着した枠体と、該枠体を左右に振動する第１の超音波振動子と、前記振動板に接続して該振動板を上下に振動する第２の超音波振動子と、前記枠体を囲むハウジングとからなり、前記枠体を前記振動板及び金属メッシュとともに前記第１の振動子で振動することにより、前記金属板及び金属メッシュの上に入れた粉体を前記振動板上に薄く広げ、前記金属板に装着した前記第２の超音波振動子で超音波振動することにより、前記粉体を高速で加速して、前記振動板及び金属メッシュの剛性体に衝突させることにより、前記粉体に付着している菌を叩いて殺菌するものである。
【発明の効果】
【０００６】
本発明の食品粉体の殺菌装置では、枠体に装着した第１の超音波振動子で枠体を振動することにより、振動板の上に置かれた粉体を振動板の上に薄く広げ、この状態で振動板の下面に装着した第２の超音波振動子により超音波振動すると、振動板上の粉体は振動板の剛性体に衝突され、なおかつ金属メッシュにより超音波振動に対する接触面積の拡大を図るので、超音波振動により高速で加速され、振動板及び金属メッシュの剛性体に衝突することにより、その衝突時の重力加速度によって粉体に付着している菌が破壊されて死滅することにより、殺菌することができるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【０００７】
本発明では、粉体を振動板の上に置くと、枠体に装着した第１の超音波振動子で枠体を振動することにより、粉体を容器の振動板の上に薄く広げ、この薄く広がった粉体を第２の超音波振動子による超音波振動により加速して、粉体を振動板及び衝突部材の剛性体に衝突させることができた。
【実施例】
【０００８】
図１は本発明の実施例の食品粉体の殺菌装置の側面断面図、図２は図１の殺菌装置の一部の斜視図で、枠体１に振動板２が装着され、この振動板２の上に金属メッシュや複数の孔が開けられたパンチ部材３が装着され、又、枠体１に上部に突出された支持部材１ａに第１の超音波振動子４が固着され、又、振動板２の下面に第２の超音波振動子５が装着され、第１、第２の超音波振動子４，５はそれぞれのフランジ４ａ、５ａで振動子ケース６，７が支持され、さらに、振動子ケース６，７にそれぞれ充填剤８が入れられ、又、枠体１はハウジング９で支持されさらに、図２に示すように、枠体１の上部に粉体注入口１ａが装着され、枠体１の下部に粉体排出口１ｂが装着されている。
【０００９】
このように構成された本実施例の粉体の殺菌装置では、枠体１の金属板２及び金属メッシュ又はパンチ部材３の上に粉体が入れられ、第１の超音波振動子４が発振器（図示せず）からの発振出力によって駆動されると、枠体１が図３の矢印Ａの方向に振動されることによって、粉体が金属板又はパンチ部材２の上に広げられ、ここで金属板周波振動が発生し、この低周波振動により容器１の振動板２上に載置された粉体は矢印Ａに示す方向に薄く広がり、ここで、振動板２の下面に装着された第２の超音波振動子５によって振動板２が図４のＢに示すように振動されると、この超音波振動によって、振動板２上に広がった粉体は上下に加速され、この加速によって、粉体は振動板２及び金属メッシュ又はパンチ部材３に衝突され、この粉体が振動板２及び金属メッシュ又はパンチ部材３の剛体に衝突する時に粉体に付着している菌は殺されて殺菌される。
【００１０】
なお、金属メッシュ３は、図５に示すように、細かい編み目１０が形成されたものであり、又、パンチ部材３は、図６に示すように、多数の小さい穴１１が形成されたものであり、又、第１，第２の超音波振動子４，５の周波数は１５ｋＨｚ〜１００ｋＨｚである。
【００１１】
上記実施例に示す粉体殺菌装置を利用し、超音波振動子５を３７ｋＨｚで加振させ、注入口１ａから２００ｇの脱脂大豆粉を注入し、約１０分後に排出口から取り出したところ、一般生菌数を約７３％低減（１０回のテストの平均：注入時の一般生菌数約２２０００個、取り出し後の一般生菌数６０００個）させることができるという結果を得ることができた。
【産業上の利用可能性】
【００１２】
なお、上記実施例において、第１、第２の超音波振動子４，５は超音波振動を拡大するボルト締めランジュバン型振動子を使用しても良い。
【図面の簡単な説明】
【００１３】
【図１】本発明の実施例の食品粉体の殺菌装置の断面図である。
【図２】図２は図１の殺菌装置の一部の斜視図である。
【図３】図３は図１の第１の超音波振動子からの超音波による振動を示した図である。
【図４】図４は図１の台２の超音波振動子の振動方向を示した図である。
【図５】図５は金属メッシュの平面図である。
【図６】図６はパンチ部材の平面図である。
【符号の説明】
【００１４】
１ 枠体
２ 振動板
３ 金属メッシュ又はパンチ部材
４ 第１の超音波振動子
５ 第２の超音波振動子
６、７ 振動子ケース
８ 充填剤
９ ハウジング
【技術分野】
【０００１】
本発明は、粉体を高速で加速し、衝突部材の剛性体に衝突させることにより、粉体に付着している菌を叩いて殺菌するようにした食品粉体の殺菌装置に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
一般に、食品衛生管理の中で、食品の安全性を高める手段として、殺菌処理は有効な手段であるが、加熱殺菌は食品の栄養価及び品質の低下が生じるという問題があり、特に、食品粉体の場合には、加熱殺菌すると、食品粉体の性質が変わり、食品粉体を元の性質のままで使用することはできないという問題があった。
【０００３】
この問題を解決するために、粉体をスピーカーの上に置いて、スピーカーから発生する音によって粉体を振動させて殺菌する装置もしられているが、スピーカーの音声による振動では、パワーが少ないために、余り効果が得られないとともに、スピーカーの上に余分に粉体を載置すると、粉体が振動しなくなるという問題がある。
【特許文献１】特開
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
解決しようとする問題点は、食品粉体の場合には、加熱殺菌すると、食品粉体の性質が変わり、食品粉体を元の性質のままで使用することはできないという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【０００５】
本発明では、振動板と、該振動板の近傍に金属メッシュを装着した枠体と、該枠体を左右に振動する第１の超音波振動子と、前記振動板に接続して該振動板を上下に振動する第２の超音波振動子と、前記枠体を囲むハウジングとからなり、前記枠体を前記振動板及び金属メッシュとともに前記第１の振動子で振動することにより、前記金属板及び金属メッシュの上に入れた粉体を前記振動板上に薄く広げ、前記金属板に装着した前記第２の超音波振動子で超音波振動することにより、前記粉体を高速で加速して、前記振動板及び金属メッシュの剛性体に衝突させることにより、前記粉体に付着している菌を叩いて殺菌するものである。
【発明の効果】
【０００６】
本発明の食品粉体の殺菌装置では、枠体に装着した第１の超音波振動子で枠体を振動することにより、振動板の上に置かれた粉体を振動板の上に薄く広げ、この状態で振動板の下面に装着した第２の超音波振動子により超音波振動すると、振動板上の粉体は振動板の剛性体に衝突され、なおかつ金属メッシュにより超音波振動に対する接触面積の拡大を図るので、超音波振動により高速で加速され、振動板及び金属メッシュの剛性体に衝突することにより、その衝突時の重力加速度によって粉体に付着している菌が破壊されて死滅することにより、殺菌することができるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【０００７】
本発明では、粉体を振動板の上に置くと、枠体に装着した第１の超音波振動子で枠体を振動することにより、粉体を容器の振動板の上に薄く広げ、この薄く広がった粉体を第２の超音波振動子による超音波振動により加速して、粉体を振動板及び衝突部材の剛性体に衝突させることができた。
【実施例】
【０００８】
図１は本発明の実施例の食品粉体の殺菌装置の側面断面図、図２は図１の殺菌装置の一部の斜視図で、枠体１に振動板２が装着され、この振動板２の上に金属メッシュや複数の孔が開けられたパンチ部材３が装着され、又、枠体１に上部に突出された支持部材１ａに第１の超音波振動子４が固着され、又、振動板２の下面に第２の超音波振動子５が装着され、第１、第２の超音波振動子４，５はそれぞれのフランジ４ａ、５ａで振動子ケース６，７が支持され、さらに、振動子ケース６，７にそれぞれ充填剤８が入れられ、又、枠体１はハウジング９で支持されさらに、図２に示すように、枠体１の上部に粉体注入口１ａが装着され、枠体１の下部に粉体排出口１ｂが装着されている。
【０００９】
このように構成された本実施例の粉体の殺菌装置では、枠体１の金属板２及び金属メッシュ又はパンチ部材３の上に粉体が入れられ、第１の超音波振動子４が発振器（図示せず）からの発振出力によって駆動されると、枠体１が図３の矢印Ａの方向に振動されることによって、粉体が金属板又はパンチ部材２の上に広げられ、ここで金属板周波振動が発生し、この低周波振動により容器１の振動板２上に載置された粉体は矢印Ａに示す方向に薄く広がり、ここで、振動板２の下面に装着された第２の超音波振動子５によって振動板２が図４のＢに示すように振動されると、この超音波振動によって、振動板２上に広がった粉体は上下に加速され、この加速によって、粉体は振動板２及び金属メッシュ又はパンチ部材３に衝突され、この粉体が振動板２及び金属メッシュ又はパンチ部材３の剛体に衝突する時に粉体に付着している菌は殺されて殺菌される。
【００１０】
なお、金属メッシュ３は、図５に示すように、細かい編み目１０が形成されたものであり、又、パンチ部材３は、図６に示すように、多数の小さい穴１１が形成されたものであり、又、第１，第２の超音波振動子４，５の周波数は１５ｋＨｚ〜１００ｋＨｚである。
【００１１】
上記実施例に示す粉体殺菌装置を利用し、超音波振動子５を３７ｋＨｚで加振させ、注入口１ａから２００ｇの脱脂大豆粉を注入し、約１０分後に排出口から取り出したところ、一般生菌数を約７３％低減（１０回のテストの平均：注入時の一般生菌数約２２０００個、取り出し後の一般生菌数６０００個）させることができるという結果を得ることができた。
【産業上の利用可能性】
【００１２】
なお、上記実施例において、第１、第２の超音波振動子４，５は超音波振動を拡大するボルト締めランジュバン型振動子を使用しても良い。
【図面の簡単な説明】
【００１３】
【図１】本発明の実施例の食品粉体の殺菌装置の断面図である。
【図２】図２は図１の殺菌装置の一部の斜視図である。
【図３】図３は図１の第１の超音波振動子からの超音波による振動を示した図である。
【図４】図４は図１の台２の超音波振動子の振動方向を示した図である。
【図５】図５は金属メッシュの平面図である。
【図６】図６はパンチ部材の平面図である。
【符号の説明】
【００１４】
１ 枠体
２ 振動板
３ 金属メッシュ又はパンチ部材
４ 第１の超音波振動子
５ 第２の超音波振動子
６、７ 振動子ケース
８ 充填剤
９ ハウジング
【特許請求の範囲】
【請求項１】
振動板と、該振動板の近傍に金属メッシュを装着した枠体と、該枠体を左右に振動する第１の超音波振動子と、前記振動板に接続して該振動板を上下に振動する第２の超音波振動子と、前記枠体を囲むハウジングとからなり、前記枠体を前記振動板及び金属メッシュとともに前記第１の振動子で振動することにより、前記金属板及び金属メッシュの上に入れた粉体を前記振動板上に薄く広げ、前記金属板に装着した前記第２の超音波振動子で超音波振動することにより、前記粉体を高速で加速して、前記振動板及び金属メッシュの剛性体に衝突させることにより、前記粉体に付着している菌を叩いて殺菌することを特徴とする食品粉体の殺菌装置。
【請求項２】
前記振動板に金属メッシュの代わりにパンチング材を装着することを特徴とする請求項１記載の食品粉体の殺菌装置。
【請求項３】
前記振動板に金属メッシュの代わりに多数の突出部又は窪み部を形成することを特徴とする請求項１記載の食品粉体の殺菌装置。
【請求項４】
前記超音波振動子はボルト締めランジュバン型振動子であることを特徴とする請求項１記載の食品粉体の殺菌装置。
【請求項５】
第１の超音波振動子及び第２の超音波振動子の振動周波数は１５ｋＨｚ〜１００ｋＨｚであることを特徴とする請求項１記載の食品粉体の殺菌装置。
【請求項１】
振動板と、該振動板の近傍に金属メッシュを装着した枠体と、該枠体を左右に振動する第１の超音波振動子と、前記振動板に接続して該振動板を上下に振動する第２の超音波振動子と、前記枠体を囲むハウジングとからなり、前記枠体を前記振動板及び金属メッシュとともに前記第１の振動子で振動することにより、前記金属板及び金属メッシュの上に入れた粉体を前記振動板上に薄く広げ、前記金属板に装着した前記第２の超音波振動子で超音波振動することにより、前記粉体を高速で加速して、前記振動板及び金属メッシュの剛性体に衝突させることにより、前記粉体に付着している菌を叩いて殺菌することを特徴とする食品粉体の殺菌装置。
【請求項２】
前記振動板に金属メッシュの代わりにパンチング材を装着することを特徴とする請求項１記載の食品粉体の殺菌装置。
【請求項３】
前記振動板に金属メッシュの代わりに多数の突出部又は窪み部を形成することを特徴とする請求項１記載の食品粉体の殺菌装置。
【請求項４】
前記超音波振動子はボルト締めランジュバン型振動子であることを特徴とする請求項１記載の食品粉体の殺菌装置。
【請求項５】
第１の超音波振動子及び第２の超音波振動子の振動周波数は１５ｋＨｚ〜１００ｋＨｚであることを特徴とする請求項１記載の食品粉体の殺菌装置。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【公開番号】特開２００９−２３（Ｐ２００９−２３Ａ）
【公開日】平成２１年１月８日（２００９．１．８）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００７−１６２１４３（Ｐ２００７−１６２１４３）
【出願日】平成１９年６月２０日（２００７．６．２０）
【出願人】（０００２４３３６４）本多電子株式会社 (255)
【出願人】（０００１８７０７９）昭和産業株式会社 (64)
【出願人】（５０２３５９０２４）伊藤忠産機株式会社 (8)
【出願人】（００００００１４７）伊藤忠商事株式会社 (43)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２１年１月８日（２００９．１．８）
【国際特許分類】
【出願日】平成１９年６月２０日（２００７．６．２０）
【出願人】（０００２４３３６４）本多電子株式会社 (255)
【出願人】（０００１８７０７９）昭和産業株式会社 (64)
【出願人】（５０２３５９０２４）伊藤忠産機株式会社 (8)
【出願人】（００００００１４７）伊藤忠商事株式会社 (43)
【Ｆターム（参考）】
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