説明

食品組成物

【課題】アンセリンが有する生理活性を顕著に高めた食品組成物を提供する。
【解決手段】アンセリン、カルノシンおよびバレニンからなる群から選択された少なくとも一種と、アルファ−GPC(L−アルファ−グリセリルホスホリルコリン;sn−グリセロ(3)ホスホコリン)とを含む食品組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
アンセリンの生理活性としては、血中尿酸値の低下、疲労抑制(特許文献1)等が知られている。アンセリンの類縁化合物であるカルノシン、バレニンについても、アンセリンと同様の作用効果を発揮するとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−173442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、アンセリンが有する生理活性を顕著に高めた食品組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、アンセリン、カルノシンおよび/またはバレニン(以下、アンセリン類ということがある)と、アルファ−GPCと、を配合した組成物が、アンセリン類のみを用いる場合よりも、顕著に優れた生理活性を発現することを見出し、本発明を完成するに至った。 本発明は、アンセリン、カルノシンおよびバレニンからなる群から選択された少なくとも一種と、アルファ−GPCとを含む食品組成物を提供するものである
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、アンセリン類とアルファ−GPCとを配合したので、アンセリン類が有する生理活性を飛躍的に高めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明をさらに詳しく説明する。
【0008】
本発明に使用されるアンセリン類は、公知の化合物であり、例えばアンセリンは、マグロ、カツオ等の回遊魚の筋肉から得られるアラニンとヒスチジンが結合したジペプチドである。なお本発明でいうアンセリンとは、アラニンとヒスチジンが結合したジペプチドを含むペプチドを包含するものとする。アンセリンは、市販されているものを利用することもでき、例えば焼津水産化学工業社製、マリンアクティブ等が挙げられる。また本発明でいうアンセリン類とは、その塩も包含する。塩しては、塩酸、乳酸、酢酸、硫酸、クエン酸、アスコルビン酸、リンゴ酸、コハク酸、アジピン酸、グルコン酸、酒石酸等の塩が挙げられる。
【0009】
アルファ−GPC(L−アルファ−グリセリルホスホリルコリン;sn−グリセロ(3)ホスホコリン)は、例えば特表2004−536838号公報、特表2002−532520号公報等に記載されているように、広く知られている化合物である。 アルファ−GPCは、公知の化学合成法により製造可能であり、また市販されているものを利用することもできる。
【0010】
アンセリン類の1日あたりの摂取量は、通常1mg〜5g、好ましくは3mg〜500mg、さらに好ましくは20mg〜300mgである。 アルファ−GPCの摂取量は、例えば、成人1日あたり0.01g〜10g、好ましくは100mg〜5g、さらに好ましくは100mg〜2.5g、とくに100mg〜1000mg程度である。 したがって本発明の食品組成物は、1日あたりの摂取量が上記範囲内となるように、各成分を配合し、ほ乳類(例えばヒト)に摂取せしめるのが望ましい。
【0011】
また本発明の食品組成物には、その効果を損なわない限り、任意の所望成分を配合することができる。例えば、ビタミンC等のビタミン類やソフトカプセルを調製する時に通常配合される乳化剤、緊張化剤(等張化剤)、緩衝剤、溶解補助剤、防腐剤、安定化剤、抗酸化剤等を適宜配合することができる。
【0012】
本発明の食品組成物は、その形態を特に制限するものではないが、公知の方法によりマイクロカプセル、ソフトカプセル又はハードカプセルに封入してカプセル化することが好ましい。
【実施例】
【0013】
以下、実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0014】
実施例1 本発明の食品組成物の高尿酸血症に対する効果を調べた。 実験方法 供試動物はWistar系ラット(メス)(8週令、体重約180g)を1群6匹で用いた。 試験飼料に0.75%の濃度でアデニンを加えてラットに給与し、腎臓からの尿中への尿酸排泄阻害を起こさせて高尿酸血症のモデル動物とした。 対照群は、上記の0.75%アデニン飼料のみ、薬剤投与群は、0.75%アデニンと本発明の食品組成物含有飼料とした。飼料は自由摂取としたが、薬剤投与群の試験飼料中のアンセリンの濃度を、摂取量が10mg/kg体重となるように調整した。また、アルファ−GPCの濃度を、摂取量が30mg/kg体重となるように調整した。試験開始日及び24日目に血中の尿酸値を測定した。 その結果、対照群の試験開始日の血中尿酸濃度は、0.61mg/mlであり、24日目が2.46mg/mlであったのに対し、薬剤投与群の24日目の血中尿酸濃度は0.81mg/mlであった。
【0015】
比較例1 上記実施例1において、試験試料を、0.75%アデニンとアンセリン含有飼料とした(アルファ−GPCは配合していない)。飼料は自由摂取としたが、試験飼料中のアンセリンの濃度を、摂取量が10mg/kg体重となるように調整した。それ以外は、実施例1と同様である。その結果、24日目の血中尿酸濃度は1.85mg/mlであった。
【0016】
比較例2 上記実施例1において、試験試料を、0.75%アデニンとアルファ−GPC含有飼料とした(アンセリンは配合していない)。飼料は自由摂取としたが、試験飼料中のアルファ−GPCの濃度を、摂取量が30mg/kg体重となるように調整した。それ以外は、実施例1と同様である。その結果、24日目の血中尿酸濃度は2.47mg/mlであった。
【0017】
この結果から明らかなように、アルファ−GPCは、アンセリンの血中尿酸濃度低下効果を飛躍的に高めていることが分かる。
【0018】
実施例2 ヒト(健常男子成人志願者)6例に本発明の食品組成物を1回投与し、その後48時間にわたり血清中の尿酸値を測定した。なお、前記1回投与分において、アンセリンは50mg、アルファ−GPCは1g含まれている。 結果を表1に示す。
【0019】
【表1】

【0020】
比較例3 実施例2において、本発明の食品組成物の替わりに、アンセリンのみを投与したこと以外は、実施例2を繰り返した。なお、1回投与分において、アンセリンは50mg含まれている。 結果を表2に示す。
【0021】
【表2】

【0022】
比較例4 実施例2において、本発明の食品組成物の替わりに、アルファ−GPCのみを投与したこと以外は、実施例2を繰り返した。なお、1回投与分において、アルファ−GPCは2g含まれている。結果を表3に示す。
【0023】
【表3】

【0024】
なお、上記ではアンセリンを用いたが、他のアンセリン類を用いた場合、アンセリン類の塩類を用いた場合についても同様の効果を示した。また、上記に記載した各成分の1日あたりの摂取量の範囲においては、いずれの処方の場合でも、同様の効果を示した。
【0025】
実施例3 STD DDY 雄性マウス(5週齢:各群n=3〜4)に対し、アンセリンを、摂取量が10mg/kg体重となるように、また、アルファ−GPCを、摂取量が30mg/kg体重となるように、1日1回、7日間反復経口摂取させた(薬剤投与群)。なお、コントロール群のマウスには、純水のみを摂取させて試験を行った。 摂取完了後、マウスを深さ80センチの水槽に入れて、無動に至るまでの時間を計測した。各試験群のマウス(各群n=3〜4)の無動に至るまでの時間の平均値として、コントロール群は約131秒であったのに対し、実施例3の薬剤投与群は401秒であった。
【0026】
比較例5 実施例3の薬剤投与群において、アンセリンのみを摂取させ、アルファ−GPCを摂取させなかったこと以外は、実施例3を繰り返した。その結果、上記平均値は、220秒であった。
【0027】
比較例6 実施例3の薬剤投与群において、アルファ−GPCのみを摂取させ、アンセリンを摂取させなかったこと以外は、実施例3を繰り返した。その結果、上記平均値は、135秒であった。 以上から、本発明の食品組成物に高い抗疲労効果が確認された。
【0028】
なお、上記ではアンセリンを用いたが、他のアンセリン類を用いた場合、アンセリン類の塩類を用いた場合についても同様の効果を示した。また、上記に記載した各成分の1日あたりの摂取量の範囲においては、いずれの処方の場合でも、同様の効果を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンセリン、カルノシンおよびバレニンからなる群から選択された少なくとも一種と、アルファ−GPCとを含む食品組成物。

【公開番号】特開2012−152158(P2012−152158A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−15135(P2011−15135)
【出願日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(599154412)
【Fターム(参考)】