説明

食品製品及び食品製品の提供方法、並びに、商品及び商品の提供方法

【課題】商品に対する消費者の信用度を増大させると共に、消費者が安心して商品を選択できるようにする。
【解決手段】食品1が一次産品である場合には、食品の生産に関与した物4の少なくとも一部が食品とは別個に封入され、食品が二次産品である場合には、食品の原料の生産に関与した物の少なくとも一部が食品とは別個に封入され、かつ、食品と共に提供される付属物によって、食品が消費者に提供されるまでの過程において影響を受けた要因を把握する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品製品及び食品製品の提供方法、並びに、商品及び商品の提供方法に関する。詳しくは、食品や商品本体と共に所定の付属物を提供する食品製品及び食品製品の提供方法、並びに、商品及び商品の提供方法に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来、食品を中心として商品の安全性が消費者に注目されており、消費者が商品を選択する際に、消費者は商品自体や商品の原料がどの様な物であるのかという点にまで関心を示す様になっている。
【0003】
そのため、商品の提供者は、提供する商品や商品の原料の成分や産地、製造年月日等の情報を商品の包装に貼付したラベルに記載したり、ICタグに記録したりして、商品を提供している。
【0004】
しかし、単に情報を記載や記録したものを商品に添付して提供するだけでは、その情報の改竄や偽造等が容易であり、現に情報の改竄や偽造等が行われている事実もあり、消費者の信用度が低く、消費者が安心して商品を選択することが困難であった。
【0005】
そこで、本発明の発明者は、単に情報を記載や記録したものを食品に添付するのではなく、食品の原料を粉末にした原料粉末見本を食品に添付して食品を提供する技術を提案している(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−5665号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、食品(一次産品)は、それを生産する際に実際に使用した土壌、肥料、飼料、種子等の影響を強く受けている。
同様に、食品(二次産品)は、その原料を生産する際に実際に使用した土壌、肥料、飼料、種子等の影響を強く受けている。更に、食品(二次産品)は、それを製造する際に用いられた添加物の影響を強く受けている。
【0008】
即ち、食品の品質は、消費者に提供されるまでの過程における様々な要因に強く影響を受けるものである。
【0009】
そのため、食品の原料粉末は、食品の品質についての情報を得ることができる要因ではあるものの、たった1つの要因に過ぎず、原料粉末見本を食品に添付して食品を提供するといった特許文献1に記載の技術のみでは、消費者が安心して食品を選択するといった目的を実現するのに充分ではない場合がある。
【0010】
本発明は以上の点に鑑みて創案されたものであって、より一層充分に消費者が安心して食品や商品を選択することが可能となる食品製品及び食品製品の提供方法、並びに、商品及び商品の提供方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、本発明の食品製品では、所定の食品と、該食品が一次産品である場合には、同食品の生産に関与した物の少なくとも一部が前記食品とは別個に封入され、前記食品が二次産品である場合には、同食品の原料の生産に関与した物の少なくとも一部が前記食品とは別個に封入され、かつ、前記食品と共に提供される付属物とを備える。
【0012】
ここで、食品が一次産品である場合には、同食品の生産に関与した物の少なくとも一部が食品とは別個に封入され、食品が二次産品である場合には、同食品の原料の生産に関与した物の少なくとも一部が食品とは別個に封入され、かつ、食品と共に提供される付属物によって、食品が消費者に提供されるまでの過程において影響を受けた要因を把握することができる。
【0013】
なお、ここでの食品とは、栄養素の摂取や嗜好を目的とした飲食物(生鮮食品、動物性食品、植物性食品、加工食品、嗜好食品、調味用材料、健康食品、飲料、加工材料等)を含むことは勿論のこと、医薬品や医薬部外品をも含む趣旨である。例えば、漢方薬も含まれる。
【0014】
また、本発明の食品製品では、所定の食品と、該食品に用いられた添加物の少なくとも一部が前記食品とは別個に封入され、かつ、前記食品と共に提供される付属物とを備える。
【0015】
ここで、食品に用いられた添加物の少なくとも一部が食品とは別個に封入され、かつ、食品と共に提供される付属物によって、食品が消費者に提供されるまでの過程において影響を受けた要因の1つである添加物の情報を把握することができる。
【0016】
また、食品に用いられた添加物の総量を付属物として食品と共に提供する場合には、一見して添加物の総量を把握することが可能となる。
【0017】
また、上記の目的を達成するために、本発明の食品製品の提供方法では、一次産品である所定の食品と、該食品の生産に関与した物の少なくとも一部であり、前記食品とは別個に封入された付属物とを共に提供する工程を備える。
【0018】
ここで、一次産品である所定の食品と、食品の生産に関与した物の少なくとも一部であり、食品とは別個に封入された付属物とを共に提供することによって、食品が消費者に提供されるまでの過程において影響を受けた要因を把握することができる。
【0019】
また、本発明の食品製品の提供方法では、二次産品である所定の食品と、該食品の原料の生産に関与した物の少なくとも一部であり、前記食品とは別個に封入された付属物とを共に提供する工程を備える。
【0020】
ここで、二次産品である所定の食品と、食品の原料の生産に関与した物の少なくとも一部であり、食品とは別個に封入された付属物とを共に提供することによって、食品が消費者に提供されるまでの過程において影響を受けた要因を把握することができる。
【0021】
また、本発明の食品製品の提供方法では、所定の食品と、該食品に用いられた添加物の少なくとも一部であり、前記食品とは別個に封入された付属物とを共に提供する工程を備える。
【0022】
ここで、所定の食品と、食品に用いられた添加物の少なくとも一部であり、食品とは別個に封入された付属物とを共に提供することによって、食品が消費者に提供されるまでの間の過程において影響を受けた要因の1つである添加物の情報を把握することができる。
【0023】
また、上記の目的を達成するために、本発明の商品は、所定の商品本体と、該商品本体または商品本体の原料の生産に関与した物の少なくとも一部が前記商品本体とは別個に封入され、かつ、前記商品本体と共に提供される付属物とを備える。
【0024】
ここで、商品本体または商品本体の原料の生産に関与した物の少なくとも一部が商品本体とは別個に封入され、かつ、商品本体と共に提供される付属物によって、商品本体が消費者に提供されるまでの過程において影響を受けた要因を把握することができる。
【0025】
また、本発明の商品は、所定の商品本体と、該商品本体に用いられた添加物の少なくとも一部が前記商品本体とは別個に封入され、かつ、前記商品本体と共に提供される付属物とを備える。
【0026】
ここで、商品本体に用いられた添加物の少なくとも一部が商品本体とは別個に封入され、かつ、商品本体と共に提供される付属物によって、商品本体が消費者に提供されるまでの過程において影響を受けた要因の1つである添加物の情報を把握することができる。
【0027】
また、上記の目的を達成するために、本発明の商品の提供方法は、所定の商品本体と、該商品本体または商品本体の原料の生産に関与した物の少なくとも一部であり、前記商品本体とは別個に封入された付属物とを共に提供する工程を備える。
【0028】
ここで、所定の商品本体と、商品本体または商品本体の原料の生産に関与した物の少なくとも一部であり、商品本体とは別個に封入された付属物とを共に提供することによって、商品本体が消費者に提供されるまでの過程において影響を受けた要因を把握することができる。
【0029】
また、本発明の商品の提供方法は、所定の商品本体と、該商品本体に用いられた添加物の少なくとも一部であり、前記商品本体とは別個に封入された付属物とを共に提供する工程を備える。
【0030】
ここで、所定の商品本体と、商品本体に用いられた添加物の少なくとも一部であり、商品本体とは別個に封入された付属物とを共に提供することによって、商品本体が消費者に提供されるまでの過程において影響を受けた要因の1つである添加物の情報を把握することができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明の食品製品及び食品製品の提供方法、並びに、商品及び商品の提供方法では、消費者がより一層安心して食品や商品を選択することが可能となり、食品や商品の信頼度の向上を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明を適用した食品製品の一例を説明するための模式図である。
【図2】第1の実施の形態の変形例を説明するための模式図(1)である。
【図3】第1の実施の形態の変形例を説明するための模式図(2)である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、発明を実施するための形態(以下、「実施の形態」と称する)について説明を行う。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態
2.第2の実施の形態
【0034】
<1.第1の実施の形態>
[構成の説明]
図1は本発明を適用した食品製品の一例を説明するための模式図であり、ここで示す食品製品Aは、食品1を密閉状に収容した容器2の底部に収容凹部3が形成されている。
【0035】
収容凹部3には、生産関与物4が密閉状に封入された袋状の生産関与物封入体5が収容されている。
なお、食品1と生産関与物4はそれぞれ別個に収容されており、食品1の容器2と、生産関与物4の生産関与物封入体5とが一体的に包装紙6で包装されている。
【0036】
生産関与物4とは、食品1が一次産品の場合には食品1の生産に関与したものを意味し、食品1が二次産品の場合には食品1の原料の生産に関与したものを意味する。
【0037】
具体的には、食品1が大根やキャベツ等の野菜そのものである場合には、生産関与物4としては、その野菜(食品)を栽培する際に実際に使用した土壌、水、肥料、土壌消毒剤、殺菌剤、農薬、種子等が挙げられる。
この場合、例えば、土の粒子のみを生産関与物封入体5に封入しても良いし、土の粒子と土壌消毒剤を一緒に生産関与物封入体5に封入しても良いし、土の粒子を一の生産関与物封入体5に封入すると共に土壌消臭剤を別の生産関与物封入体5に封入しても良い。
【0038】
また、食品1が漬物や加熱済み野菜等の単一の野菜を加工したものからなる加工食品である場合には、生産関与物4としては、その加工食品の原料(食品の原料)となる野菜を栽培する際に実際に使用した土壌、水、肥料、土壌消毒剤、殺菌剤、農薬、種子等が挙げられる。
【0039】
更に、食品1がサラダや野菜炒め等の複数の野菜を加工したものからなる加工食品である場合には、生産関与物4としては、その加工食品の原料(食品の原料)となる各野菜を栽培する際に実際に使用した土壌、水、肥料、土壌消毒剤、殺菌剤、農薬、種子等が挙げられる。
なお、加工食品の原料が複数種類の場合には、代表的な2,3種類の原料を選択して、それぞれを栽培する際に使用した土壌の粒子等を混合して封入しても良い。
【0040】
また、食品1が鶏肉や牛肉等の肉そのものである場合には、生産関与物4としては、その肉(食品)を飼育する際に実際に使用した飼料、水、抗生物質等が挙げられる。
【0041】
また、食品1がステーキ等の単一の肉を加工したものからなる加工食品である場合には、生産関与物4としては、その加工食品の原料(食品の原料)となる肉を飼育する際に実際に使用した飼料、水、抗生物質等が挙げられる。
【0042】
また、食品1がハンバーグ等の複数種類の肉を加工したものからなる加工食品である場合には、生産関与物4としては、その加工食品の原料(食品の原料)となる各肉を飼育する際に実際に使用した飼料、水、抗生物質等が挙げられる。
なお、加工食品の原料が複数種類の場合には、それぞれの原料を飼育する際に実際に使用した飼料、水、抗生物質等を混合して封入しても良い。
【0043】
また、食品1が弁当やハンバーガー等の複数種類の野菜や肉を加工したものからなる加工食品である場合には、生産関与物4としては、その加工食品の原料(食品の原料)となる各野菜を栽培する際に実際に使用した土壌、水、肥料、土壌消毒剤、農薬、種子等や、その加工食品の原料(食品の原料)となる各肉を飼育する際に実際に使用した飼料、水、抗生物質等が挙げられる。
【0044】
ここで、本実施の形態では、生産関与物4のみを生産関与物封入体5に封入した場合を例に挙げているが、こうした場合に限定される必要はない。
例えば、食品1が野菜の場合に、その野菜の根と共に根に付着した土壌を生産関与物4として生産関与物封入体5に封入しても良い。また、生産関与物4が土壌や肥料等の様に、見た目が良くなく、食品製品Aの美観を損なう場合には、土壌や肥料等(生産関与物4)に着色や装飾等を施して封入しても良い。なお、生産関与物封入体5を着色しても良い。更に、生産関与物4をそのままの状態で封入しても良いし、粉砕した状態で封入しても良い。
【0045】
上記の様に構成された食品製品Aでは、食品1と生産関与物4とが一体化されているために、食品1を提供する際に、食品1のみならず、不可避的に生産関与物4をも提供することとなる。
【0046】
[変形例]
ここで、上記した本実施の形態では、取扱商品が食品である場合を例に挙げて説明を行っているが、本発明の適用対象は必ずしも食品に限定される必要はない。
例えば、本発明を化粧品や薬品に適用することもでき、野菜や肉等からの抽出物を原料とした化粧品や薬品の場合には、その原料(商品の原料)となる各野菜を栽培する際に実際に使用した土壌、水、肥料、土壌消毒剤、殺菌剤、農薬、種子等や、その原料(商品の原料)となる各肉を飼育する際に実際に使用した飼料、水、抗生物質等を生産関与物4として生産関与物封入体5に封入することとなる。
【0047】
また、本発明の適用対象となる商品については、特に限定されるものではないが、食品、化粧品、薬品等の消費者(使用者)の身体に触れる商品の方が、消費者(使用者)が安全に関する関心が高いと考えられるため、消費者(使用者)の身体に触れる商品の方がより一層本発明の効果の有用性が高まることとなる。なお、消費者(使用者)としては、人間に限らず、鳥、犬、猫、金魚等の愛玩動物も含まれる。また、使用者(消費者)の身体に触れる場合としては、商品が身体に直接触れる場合に限らず、空気等を解して間接的に触れる場合も含まれる。
【0048】
また、上記した本実施の形態では、収容凹部3に生産関与物封入体5のみが収容された場合を例に挙げて説明を行っているが、生産関与物(ここでは、実際に生産関与物封入体5に封入して食品1に添付した生産関与物4のみならず、その他の生産関与物をも含む。)に関する成分や商品名や場所等の情報を記録したコンピュータで読み取り可能な記録媒体を生産関与物封入体5と共に収容凹部3に収容しても良い。なお、記録媒体としては、USBメモリー等のメモリーカード、CDやMDやDVD等のメモリーディスク、ICタグ等を利用することができる。
【0049】
ここで、記録媒体に所定の情報を記録することなく、URLや二次元バーコード等を記載した記載物や、URLや二次元バーコード等を記録した記録媒体を収容凹部3に収容することで、情報が存在するアドレスを知らしめ、コンピュータや携帯電話等を用いてインターネット上の特定のサーバの記録媒体にアクセスして情報を閲覧できる様にしても良い。
【0050】
更に、収容凹部3には、食品1または食品1の原料を生産する際の実際の環境を記録した環境記録物を収容しても良い。
【0051】
ここで、環境記録物としては、例えば、原料の栽培場所や飼育場所や加工工場の写真、土壌の分析結果、遺伝子組換えに関する情報、温度や湿度や降雨量の変化、生産管理状況、品質検査状況、食品や食品の原料の特徴やセールスポイント、作業者の声等を記録した記録紙が挙げられる。また、その他にも、施肥、追肥、除草、殺虫等の処理日時や処理方法を記録したデータが挙げられる。
【0052】
なお、環境記録物は、上述の生産関与物に関する成分等の情報を記録した記録媒体と共に収容しても良い。その場合、環境記録物を記録媒体と別体としても良いし、記録媒体に生産関与物に関する成分等の情報と一緒に環境記録物をも記録しても良い。
【0053】
更に、上記した本実施の形態では、容器2の底部に収容凹部3が形成された場合を例に挙げて説明を行っているが、収容凹部3の形成位置は容器2の底部に限られるものではない。
但し、容器2の底部に収容凹部3が形成された場合には、万が一に生産関与物封入体5から生産関与物4が漏れ出た場合であっても、生産関与物4が容器2の内部の食品1に混合してしまうことを抑止できるため、収容凹部3は容器2の底部に形成される方が好ましい。
【0054】
また、上記した本実施の形態では、食品を収容した1つの容器2に1つの生産関与物封入体5を添付する様に構成されているが、容器2と生産関与物封入体5は必ずしも1対1で対応する必要はない。
例えば、図2に示す様に、食品1を収容した容器2を複数個まとめて包装箱8に収容し、その包装箱8に食品1の生産関与物4を封入した1つの生産関与物封入体5を収容しても良い。
【0055】
また、上記した本実施の形態では、食品1を収容した容器2と生産関与物封入体5とが一体化された場合を例に挙げて説明を行っているが、食品1と共に生産関与物4を提供することができれば充分であり、必ずしも食品1と生産関与物4が一体化される必要はない。
【0056】
例えば、図3で示す様に、店舗等で商品陳列棚9に食品製品A毎に仕切板10を設けて区画し、各区画11に食品製品Aを陳列する場合には、各区画11に生産関与物封入体5を陳列する様にしても良い。
【0057】
更に、同一生産者や同一生産部会(複数人)が単独(1ユニット)で店頭の棚で販売する様な場合には、棚毎に並べられた同一生産者や同一生産部会の商品について、棚毎に生産関与物を並べて提供しても良い。
【0058】
また、生産関与物4の提供方法としては、消費者が食品1を購入する時に食品1と共に生産関与物4を提供しても良いし、宅配便で食品1を送る場合に生産関与物4と共に送る様にしても良いし、自動販売機で食品1を供給する際に併せて生産関与物4を供給しても良い。
【0059】
[効果]
上記した本発明を適用した食品製品Aでは、食品1と共に生産関与物4を消費者に提供することができ、食品1が消費者に提供されるまでの過程において影響を受けた要因を把握することができ、消費者はより一層安心して食品製品を選択することが可能となり、食品製品の信頼度の向上が実現することとなる。
【0060】
また、生産関与物4を消費者に提供することで、通常は食品1の背景にあって消費者からは見えない部分をも知ることができ、より一層商品に対する親しみを感じさせることができ、食品製品Aの消費拡大が期待できる。
【0061】
更に、生産関与物4を消費者に提供することで、食品1の品質理解の容易化を図ることが可能となる。即ち、原料粉末見本を添付する場合(例えば、特開2009−5665号公報に記載の技術の場合)には、原料粉末見本の検査等を行わなければ、食品の品質理解が困難であるのに対して、生産関与物4を提供する場合には、検査等を要する場合も一部にはあるものの、検査等を行うことなく一見して食品1の品質を判断ができる場合もあり、食品1の品質理解の容易化が実現する。
【0062】
具体的には、例えば、加工野菜の生産関与物4として「虫が含まれた土壌」を提供する場合には、「この加工野菜に使用されている野菜は、虫が生存可能な土壌で生産されたものである」という点が分かり、虫が生存しているということから、「農薬が散布されていない、若しくは、散布された農薬量が少ない」と判断できることとなる。なお、加工野菜に使用されている野菜の粉末が添付された場合には、粉末を検査しなければ農薬に関する情報を得ることはできない。
【0063】
なお、検査等を要せずに食品1の品質を判断できることによって、食品1の品質の安全性の判断材料となる情報を消費者が食品製品Aを購入する前段階で得ることができ、購入するか否かといった判断材料を消費者に提供することができる。一方、食品1の品質の判断にあたって検査等を要する場合には、購入後に初めて食品1の品質の安全性に関する情報を得ることとなるため、食品製品Aを購入するか否かといった判断材料を消費者に提供することはできない。
【0064】
<2.第2の実施の形態>
第2の実施の形態に係る食品製品Aについても、上記した第1の実施の形態と同様に、食品1を密閉状に収容した容器2の底部に収容凹部3が形成されている(図1参照)。
【0065】
収容凹部3には、食品1に用いられた添加物14が密閉状に封入された袋状の添加物封入体15が収容されている。
なお、食品1と添加物14はそれぞれ別個に収容されており、食品1の容器2と、添加物14の添加物封入体15とが一体的に包装紙6で包装されている。
【0066】
添加物14とは、食品添加物を意味しており、食品1の製造の過程または加工若しくは保存の目的で食品1に添加、混和、浸潤その他の方法によって使用されたものを意味している。
【0067】
添加物14は、食品1に用いられた総量を添加物封入体15に封入しても良いし、その一部(例えば、用いられた総量の1/2、1/3等)を添加物封入体15に封入しても良い。
なお、添加物封入体15に封入された添加物14の量が、総量である場合には総量である旨を、その一部である場合には一部である旨(例えば、総量の1/2である旨、総量の1/3である旨等)を、添加物封入体15に明記する方が好ましい。
【0068】
また、添加物14は、種々の添加物を単一の添加物封入体15に封入しても良いし、添加物14の機能別に分けて添加物封入体15に封入しても良い。
なお、機能別に分けて添加物封入体15に添加物14を封入した場合には、どの様な機能の添加物14が封入されているかを、それぞれの添加物封入体15に明記する方が好ましい。
【0069】
上記の様に構成された食品製品Aでは、食品1と添加物14が一体化されているために、食品1を提供する際に、食品1のみならず、不可避的に添加物14をも提供することとなる。
【0070】
[変形例]
本発明の適用対象が必ずしも食品に限定されるものではない点、消費者(使用者)の身体に触れる商品の方が有用性が高まる点、収容凹部3の形成位置が容器2の底部に限られるものではない点、容器2と添加物封入体15が必ずしも1対1で対応する必要がない点、必ずしも食品1と添加物14が一体化される必要がない点等は、上記した第1の実施の形態と同様である。
また、添加物14の提供方法としては、消費者が食品1を購入する時に食品1と共に添加物14を提供しても良いし、宅配便で食品1を送る場合に添加物14と共に送る様にしても良いし、自動販売機で食品1を供給する際に併せて添加物14を供給しても良い点についても、上記した第1の実施の形態と同様である。
【0071】
また、上記した本実施の形態では、収容凹部3に添加物封入体15のみが収容された場合を例に挙げて説明を行っているが、添加物(ここで、実際に添加物封入体15に封入して食品1に添付した添加物14のみならず、その他の添加物をも含む。)に関する成分や商品名等の情報を記録したコンピュータで読み取り可能な記録媒体を添加物封入体15と共に収容凹部3に収容しても良い。なお、記録媒体としては、USBメモリー等のメモリーカード、CDやMDやDVD等のメモリーディスク、ICタグ等を利用することができる点は、上記した第1の実施の形態と同様である。
【0072】
ここで、記録媒体に所定の情報を記録することなく、URLや二次元バーコード等を記載した記載物や、URLや二次元バーコード等を記録した記録媒体を収容凹部3に収容することで、情報が存在するアドレスを知らしめ、コンピュータや携帯電話等を用いてインターネット上の特定のサーバの記録媒体にアクセスして情報を閲覧できる様にしても良い点についても、上記した第1の実施の形態と同様である。
【0073】
更に、収容凹部3には、添加物を用いて食品1を製造する際の実際の環境を記録した環境記録物を収容しても良い。
【0074】
ここで、環境記録物としては、例えば、添加物を用いて食品1を製造する工場の写真、製造管理状況、食品の特徴やセールスポイント、作業者の声等を記録した記録紙等が挙げられる。
【0075】
なお、環境記録物は、上述の添加物に関する成分等の情報を記録した記録媒体と共に収容しても良い点についても、上記した第1の実施の形態と同様である。
【0076】
[効果]
上記した本発明を適用した食品製品Aでは、食品1と共に添加物14を消費者に提供することができ、食品1が消費者に提供されるまでの過程において添加された添加物を把握することができ、消費者はより一層安心して食品製品を選択することが可能となり、食品製品の信頼度の向上が実現することとなる。
【0077】
また、添加物14を消費者に提供することで、通常は食品1の背景にあって消費者からは見えない部分をも知ることができ、より一層商品に対する親しみを感じさせることができ、食品製品Aの消費拡大が期待できる。
【0078】
更に、添加物14を消費者に供給することで、食品1の品質理解の容易化を図ることが可能となる。即ち、一般に商品パッケージには、その食品に使用された添加物の表示がなされているものの、一般に添加物の名称が専門的であり耳慣れし難いこともあって、添加物が表示されていたとしても、知覚的に理解し難い。これに対して、添加物14を提供する場合には、食品1に用いられた添加物を視覚的に理解することが可能となり、一見して食品1の品質を判断することができ、食品1の品質理解の容易化が実現する。
特に、添加物封入体15に添加物14の総量を封入した場合には、より一層充分に品質理解の容易化が実現することとなる。
【0079】
また、機能別に分けて添加物14を添加物封入体15に封入した場合にも、用いられた添加物の量を機能別に把握することが可能となり、食品1の品質理解の容易化が、より一層充分に実現することとなる。
【符号の説明】
【0080】
1 食品
2 容器
3 収容凹部
4 生産関与物
5 生産関与物封入体
6 包装紙
8 包装箱
9 商品陳列棚
10 仕切板
11 区画
14 添加物
15 添加物封入体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の食品と、
該食品が一次産品である場合には、同食品の生産に関与した物の少なくとも一部が前記食品とは別個に封入され、前記食品が二次産品である場合には、同食品の原料の生産に関与した物の少なくとも一部が前記食品とは別個に封入され、かつ、前記食品と共に提供される付属物とを備える
食品製品。
【請求項2】
所定の食品と、
該食品に用いられた添加物の少なくとも一部が前記食品とは別個に封入され、かつ、前記食品と共に提供される付属物とを備える
食品製品。
【請求項3】
前記付属物は、前記食品に添付されている
請求項1または請求項2に記載の食品製品。
【請求項4】
前記付属物は、前記食品に用いられた添加物の総量である
請求項2に記載の食品製品。
【請求項5】
前記付属物は、前記食品に用いられた添加物が機能別に分けて封入されている
請求項2に記載の食品製品。
【請求項6】
一次産品である所定の食品と、該食品の生産に関与した物の少なくとも一部であり、前記食品とは別個に封入された付属物とを共に提供する工程を備える
食品製品の提供方法。
【請求項7】
二次産品である所定の食品と、該食品の原料の生産に関与した物の少なくとも一部であり、前記食品とは別個に封入された付属物とを共に提供する工程を備える
食品製品の提供方法。
【請求項8】
所定の食品と、該食品に用いられた添加物の少なくとも一部であり、前記食品とは別個に封入された付属物とを共に提供する工程を備える
食品製品の提供方法。
【請求項9】
前記付属物は、前記食品に添付して提供する
請求項6、請求項7または請求項8に記載の食品製品の提供方法。
【請求項10】
所定の商品本体と、
該商品本体または商品本体の原料の生産に関与した物の少なくとも一部が前記商品本体とは別個に封入され、かつ、前記商品本体と共に提供される付属物とを備える
商品。
【請求項11】
所定の商品本体と、
該商品本体に用いられた添加物の少なくとも一部が前記商品本体とは別個に封入され、かつ、前記商品本体と共に提供される付属物とを備える
商品。
【請求項12】
所定の商品本体と、該商品本体または商品本体の原料の生産に関与した物の少なくとも一部であり、前記商品本体とは別個に封入された付属物とを共に提供する工程を備える
商品の提供方法。
【請求項13】
所定の商品本体と、該商品本体に用いられた添加物の少なくとも一部であり、前記商品本体とは別個に封入された付属物とを共に提供する工程を備える
商品の提供方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−31421(P2013−31421A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−257740(P2011−257740)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【特許番号】特許第5036902号(P5036902)
【特許公報発行日】平成24年9月26日(2012.9.26)
【出願人】(391032864)
【Fターム(参考)】